説明

キー読取装置

【課題】簡単な構造でキーのキー山を読取る作業を自動化するとともに、作業工程を最小限として作業時間を短縮することができるキー読取装置を提供する。
【解決手段】本体部(60)と、該本体部(60)に一端が回動可能に軸支され、他端に移動方向に沿って所定間隔をもって複数のスイッチ操作部(65)を形成したスライダ部(64)を設けるとともに、中間位置にキーのキー山に当接可能なキークランプ部(66)を設けたリンク部材(62A〜62E)と、前記スライダ部(64)の移動に応じて前記スイッチ操作部(65)が当接することによりオンする読取スイッチとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダ錠のキーシリンダに対するタンブラ組付装置に適用されるキー読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリンダ錠を構成するキーシリンダは、ホルダ内に配設され、機械的構造体からなるキーの差し込みにより、ホルダ内で回転可能となる。そして、その回転をリンク部材を介して伝達することにより、電気スイッチをオンまたはオフさせたり、ロック装置をロック動作またはアンロック動作させたりするものである。
【0003】
具体的には、図12に示すように、キーシリンダ1は、径方向に延びるととともに軸方向に貫通したキー穴2と、該キー穴2と同一径方向に延びる複数のタンブラ収容穴3と、該タンブラ収容穴3に連通したスプリング収容穴4とを備えている。これら収容穴3,4は、一端側がキーシリンダ1の外周部に位置して開口し、他端側が閉塞したものである。また、軸方向に隣接するタンブラ収容穴3,3およびスプリング収容穴4,4は、キーシリンダ1の外周部において、一側と対向する他側とで交互に順次開口するように形成されている。
【0004】
前記各タンブラ収容穴3には、それぞれタンブラ6が装着され、スプリング収容穴4には、タンブラ6をタンブラ収容穴3から突出する方向に付勢するスプリング5が収容される。タンブラ6は板状をなし、中央部にキーが差し込まれる矩形状のキー貫通穴7を有するものである。各タンブラ6には、一方の側縁部にスプリング5の一端を受けるスプリング受部8が突設され、他方の側縁部にはサイドバーが没入するV字状の切欠部9が設けられている。
【0005】
このキーシリンダ1は、キー穴2にキーを差し込むと、キーがタンブラ6のキー貫通孔を貫通する。そして、キーの縁に設けたキー山がキー貫通孔の縁を押圧することにより、タンブラをキーシリンダ1内に没入させる。これにより、タンブラ6とホルダの係合溝との係合を解除し、キーシリンダ1をホルダに対して回転可能とするものである。
【0006】
この種のシリンダ錠は、キー貫通穴7の形成位置や、スプリング受部8の形成位置を異ならせた複数(例えば4種)のタンブラ6を形成しておき、これらの組み合わせにより多数のキーコードを形成する。
【0007】
本発明は、このようなシリンダ錠において、キーコードが異なるように別途形成したキーに対応する所定のタンブラ6を自動的に選択し、キーシリンダ1の所定のタンブラ収容穴3に自動タンブラ組付装置によって組み付けるために、キー山を検知するキー読取装置に関するものである。そして、このようなキー読取装置が採用されたタンブラ組付装置に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0008】
【特許文献1】特開昭62−45873号公報
【0009】
特許文献1のタンブラ組付装置は、タンブラをプレート番号(種類)ごとに収容したタンブラカセットと、キーシリンダの各タンブラ収容穴3に対応する溝部を有するガイドとを備えている。そして、予め形成したキーのキー山をタンブラ組付装置に一体的に設けられたキー読取装置で検知することにより、所定のタンブラを自動選択してタンブラカセットからガイドに挿入し、ガイドに配設したタンブラを押込装置により順番に収容させる構成としている。
【0010】
そして、このタンブラ組付装置に採用されているキー読取装置は、一端を基台23上に支軸を介して回転自在に保持される一方、他端をバネの一端に係止され、キーホルダー10の前方に設置された左右一対のキー山検知レバー11により、キー山を読取る構成となっている。
【0011】
しかしながら、この特許文献1のキー読取装置は、キー山検知レバー11によりスライドバー12を介してスライドコーム13を直接駆動し、押出レバー14を介してエレベーター17に設けた挿入溝17に左右より同時に1個ずつ所要のロツクプレート5を挿入するようになっている。すなわち、キー山検知レバー11によりスライドバー12とスライドコーム13を駆動させる機構をタンブラ組付装置に設けなければならないため、キー読取装置単体で構成することができないため、装置全体が大型化してしまうものとなる。
【0012】
また、特許文献1のキー読取装置は、キーの各キー山を順々に読取るようにしているため、読取り時間がかかり、生産性が向上しない。しかも、キーホルダー10及びエレベーター17を上下に移動させるという高い駆動精度が要求されるため、制御装置が高価になるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、簡単な構造でキーのキー山を読取る作業を自動化するとともに、作業工程を最小限として作業時間を短縮することができるキー読取装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するため、本発明のキーシリンダのキー読取装置は、本体部と、該本体部に一端が回動可能に軸支され、他端に移動方向に沿って所定間隔をもって複数のスイッチ操作部を形成したスライダ部を設けるとともに、中間位置にキーのキー山に当接可能なキークランプ部を設けたリンク部材と、前記スライダ部の移動に応じて前記スイッチ操作部が当接することによりオンする読取スイッチとを備えた構成としている。
【0015】
また、キーを水平方向に挿入可能であり、キー山に対向する両側部が開口した差込穴を有する柱部と、該柱部の両側に対向するように配置された一対の本体部と、該本体部をそれぞれ前記柱部に対してスライド移動可能に配置する台座部と、前記差込穴に挿入されたキーのキー山に対して前記キークランプ部を当接するように前記本体部をスライド移動させる駆動部を設けることが好ましい。
【0016】
本発明のキー読取装置は、リンク部材によってキー山の高さを拡大して読み取るため、キー山の読取精度を高くすることができる。また、スイッチのオン回数によってキーコードを読み取るため、高価なCDDカメラによる画像処理等を使用することなく、簡単な構造で確実にキーコードを読み取ることができる。そして、このキー読取装置では、作業者はキーをキー読取装置に挿入するだけでよいため、作業者がキーコードを入力する場合と比較して誤入力等の問題を確実に防止できる。
【0017】
また、キーのキー山に対応する複数の前記リンク部材を設け、前記一対の本体部にそれぞれ交互にキー山に対応するように前記リンク部材を順々に配置することが好ましい。このように構成することにより、リンクに設けられたキークランプ部がキーのキー山に両側から当接して、キークランプ部を各キー山に全て対応するように複数配置することができる。その結果、複数のキークランプ部でキー山を一回の作業工程で全て一括で読取る構成とすることができるため、作業工数の大幅な削減を図ることができる。さらに、キー山方向でキーを複数のキークランプ部によって両側から保持するため、キー山の読み取り精度を効率的に向上させることができる。
【0018】
さらに、形状が異なる複数種のタンブラのうち、キーコードに対応する所定のタンブラを前記キーシリンダの複数のタンブラ収容穴に選択的に自動挿入するキーシリンダのタンブラ組付装置と、前記読取スイッチにより読取ったキーコードに基づいて前記キーシリンダのタンブラ組付装置を制御する制御装置を設けることが好ましい。このタンブラ組付装置にキー読取り装置を適用することによって一連の作業を自動化して行うことができる。その結果、作業者はタンブラを組み込む対象となるキーシリンダをタンブラ組付装置に装着し、そのキーシリンダに対応するキーをキー読取装置に装着するだけでよいので、作業者による作業工数を削減できるため、作業者数を低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のキー読取装置は、リンク部材によってキー山の高さを拡大してスイッチのオン回数によってキーコードを読み取るため、簡単な構造で確実にキーコードを読み取ることができる。そして、作業者はキーをキー読取装置に挿入するだけでよいため、作業者がキーコードを入力する場合と比較して誤入力等の問題を確実に防止できる。また、複数のリンク部材を一対の本体部に設け、キーの両側からキーを保持しながらキー山を一回の作業工程で全て読取る構成とすることにより、作業工数の大幅な削減を図ることができる。その結果、生産効率を向上できるうえ、作業者による作業工数を削減できるため、作業者数を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0021】
図1および図2は、本発明の実施形態に係るキー読取装置が採用されるキーシリンダ1のタンブラ組付装置を示す。このキーシリンダ1のタンブラ組付装置は、キーシリンダ1の複数のタンブラ収容穴3に、形状が異なる複数(本実施形態では4種)のタンブラ6のうち、キー読取装置のよって読取ったキーのキーコードに対応する所定のタンブラ6を選択的に自動挿入するものである。
【0022】
この組付装置は、大略、タンブラ収容箱15A〜15D内に収容したタンブラ6をタンブラ取出装置17によって取り出し、シュータ27を介してタンブラカセット28A〜28Dに同一姿勢で積層して収容する。また、本発明のキー読取装置55によって読み取ったキーコードに応じて、対応するタンブラカセット28A〜28D内のタンブラ6をタンブラ供給装置40によってタンブラ挿入ガイド38A〜38Eにセットする。そして、キーシリンダ移動装置11によって位置決めされたキーシリンダ1のタンブラ収容穴3に対して、タンブラ挿入ガイド38A〜38Eにセットしたタンブラ6をタンブラ挿入装置43によってスプリング5と一緒に収容させるものである。
【0023】
次に、この組付装置について具体的に説明する。この組付装置は、平面視長方形状をなす枠体10を備え、この枠体10の中央にキーシリンダ移動装置11が配設されている。そして、このキーシリンダ移動装置11を中心として、長手方向両側に対称に位置するようにタンブラ供給機構を配設するとともに、上方にスプリング供給機構を配設している。
【0024】
前記キーシリンダ移動装置11は、図3(A),(B)に示すように、ブロック状の装着部材12を備えている。この装着部材12には、図3(C)に示す6種のキーシリンダ1A〜1Fを挿入配置するキーシリンダ保持部13A〜13Fが設けられている。この装着部材12は、上部に配設した駆動手段である第1エアシリンダ14により上下方向に移動可能に構成されている。
【0025】
なお、キーシリンダ1Aは、両側から5枚ずつタンブラ6を収容させるものである。キーシリンダ1B〜1Dは、一側から3枚、他側から4枚のタンブラ6を収容させるもので、全長等が異なるものである。キーシリンダ1Eは、両側から2枚ずつのタンブラ6を収容させるものである。キーシリンダ1Fは、キーシリンダ1B〜1Dと同様に一側から3枚、他側から4枚のタンブラ6を収容させるもので、全長が異なるものである。
【0026】
タンブラ供給機構は、キーシリンダ移動装置11のキーシリンダ1A〜1Fに対して組み付けるタンブラ6を常に選択可能な状態に準備する予備部と、選択されたタンブラ6を組み付ける組付部とに大別される。そして、予備部は、タンブラ収容箱15A〜15Dと、タンブラ取出装置17と、シュータ27と、タンブラカセット28A〜28Dとを備えている。また、組付部は、タンブラ挿入ガイド38A〜38Eと、タンブラ供給装置40と、タンブラ挿入装置とを備えている。
【0027】
前記タンブラ収容箱15A〜15Dは、同一形状(種類)のタンブラ6を収容するもので、枠体10の長手方向の両端に複数配設されている。本実施形態では、4種のタンブラ6(6a〜6d)を用いるため、両端にそれぞれ2行2列の配置で、合計8個配設されている。即ち、枠体10の両端に、4種それぞれを収容するように構成している。これらタンブラ収容箱15A〜15Dは、四角筒状をなす上側部15aと、四角錐状をなす下側部15bとを備え、この下側の傾斜面34に沿ってタンブラ6を落下させて収集するものである。図4(A),(B)に示すように、このタンブラ収容箱15A〜15Dには、下側部15bの下端に位置するように、キーシリンダ移動装置11へ向かう方向に延びる取出溝16が設けられている。この取出溝16は、外周部が周壁により囲繞された筒状をなしている。
【0028】
前記タンブラ取出装置17は、タンブラ収容箱15A〜15D内のタンブラ6を1枚ずつ掬い上げる掬上駆動部18と、予め設定した姿勢のタンブラ6だけを選別してシュータ27への送出を許容するタンブラ選別部22とを備えたものである。
【0029】
前記掬上駆動部18は、回転可能に装着されるアーム部18aを備え、取出溝16内を上下方向に移動される略倒L字形状のものである。この掬上駆動部18には、駆動手段である第2エアシリンダ19が連結部材20を介して連結されている。そして、第2エアシリンダ19の駆動により、枠体10の同一端部に位置する4個の掬上駆動部18が全て連動して回動されるように構成している。また、この掬上駆動部18には、タンブラ収容箱15A〜15D内を臨む端面に、掬上駆動部18が上向きに回動した掬上状態でキーシリンダ移動装置11に向けて下向きに傾斜する溝部21が形成されている。
【0030】
前記タンブラ選別部22は、掬上状態の溝部21に対して直線的に位置する通路部23を備えている。この通路部23は、タンブラ6のスプリング受部8を含めた全高より高い寸法設定であり、その先端には、掬上駆動部18からのタンブラ6の送出を一時的に停止するためのストッパ部24が設けられている。このストッパ部24は、図示しない駆動モータにより通路部23でのタンブラ6送出方向に対して直交方向に進退駆動する構成としている。また、通路部23の上部には、設定姿勢以外のタンブラ6を除外する押圧部材25が設けられている。この押圧部材25は、ストッパ部24と同様に、図示しない駆動モータによってタンブラ6送出方向に対して直交方向に進退可能に構成されている。そして、この押圧部材25には、設定姿勢のタンブラ6のスプリング受部8を迂回するように切り欠いた切欠部26が設けられている。なお、タンブラ6のスプリング受部8は、長手方向の中央を除く位置に偏って設けられている。さらに、押圧部材25の進出方向先方には、除外するタンブラ6をタンブラ収容箱15A〜15D内に戻すための開口部(図示せず)が設けられている。
【0031】
このように構成したタンブラ取出装置17は、タンブラ収容箱15A〜15D内の傾斜面34に沿って取出溝16内に落下している複数のタンブラ6のうち、1枚を掬上駆動部18の溝部21に嵌め込んで掬い上げ、その掬い上げたタンブラ6を自重でスライドさせてタンブラ選別部22に送出する。なお、掬い上げられなかった他のタンブラ6は、掬上駆動部18の上向きの移動により押し上げられ、次の下向きの移動により、再び取出溝16内に落下する。
【0032】
ついで、タンブラ選別部22にてストッパ部24で掬い上げられたタンブラ6の送出が一時停止され、この状態で押圧部材25が押し出される。この際、タンブラ6の前後方向および上下方向が予め設定した姿勢の場合、押圧部材25の切欠部26とタンブラ6のスプリング受部8とが一致する(図4(B)参照)。その結果、押圧部材25が押し出されてもタンブラ6には干渉しないため、開口部からタンブラ収容箱15A〜15Dに戻されることはない。その後、押圧部材25およびストッパ部材が後退されることにより、通路部23内のタンブラ6が下流側のシュータ27に自重で送出される。一方、タンブラ6の前後方向が異なる場合、切欠部26とスプリング受部8とが一致しないため、押圧部材25にスプリング受部8が押圧されることにより、開口部からタンブラ収容箱15A〜15Dに戻される。また、タンブラ6の上下方向が異なる場合、同様に切欠部26とスプリング受部8とが一致しないため、押圧部材25に押圧されることにより、開口部からタンブラ収容箱15A〜15Dに戻される。このように、本実施形態では、前後方向および上下方向が予め設定した方向となっている同一姿勢のタンブラ6だけを選別して取り出し、シュータ27に送出可能としている。よって、作業工数の大幅な削減を図ることができる。
【0033】
前記シュータ27は、タンブラ取出装置17によって取り出されたタンブラ6をキーシリンダ移動装置11に向けて送出するためのものである。このシュータ27は、各タンブラ選別部22の通路部23に対して直線的に連通するように配設されている。そして、各シュータ27の先端は、図1および図2に示すように、それぞれ異なるタンブラカセット28A〜28Dの入口部29に位置されている。
【0034】
前記タンブラカセット28A〜28Dは、シュータ27より送出された同一種類のタンブラ6を同一姿勢で積層して収容するためのもので、キーシリンダ移動装置11からタンブラ収容箱15A〜15Dに向けて水平方向に隣接配置されている。具体的には、このタンブラカセット28A〜28Dは、図5(A),(B)に示すように、タンブラ6の前後方向の長さより僅かに広い幅の樋状をなし、後述するラッチ32を境界として一側の入口部29と他側の収容部30とに区画されている。そして、収容部30の底面部には、所定間隔をもって複数(本実施形態では5個)の挿通孔31a〜31eが設けられている。これら挿通孔31a〜31eは、キーシリンダ1の隣接するタンブラ収容穴3の間隔、より具体的には一側において隣接するタンブラ収容穴3と対応する間隔で設けられている。
【0035】
このタンブラカセット28A〜28Dの一端近傍には、タンブラ6を一方向、具体的には、入口部29から収容部30へ向けた方向のみ通過を許容し、逆方向へのタンブラ6の移動を規制するラッチ32が設けられている。このラッチ32は、第1スプリング33によって内部に突出するように付勢したもので、入口部29の側には面取り加工により傾斜面34が形成されている。この傾斜面34は、収容部30の側から入口部29の側に向けて外広がりに傾斜される。これにより、入口部29の側から収容部30の側に向けてタンブラ6が移動されると、その傾斜によりラッチ32を第1スプリング33の付勢力に抗して離反させるように構成している。
【0036】
また、タンブラカセット28A〜28Dの入口部29には、上部にシュータ27が連結される溝が形成されている。そして、この溝から落下により供給されたタンブラ6を、ラッチ32,32間を通過させて収容部30に送り出すタンブラ送り装置35が配設されている。このタンブラ送り装置35は、駆動手段であるエアシリンダを備え、そのロッドにタンブラ6を押圧する押込部材36を配設したものである。
【0037】
さらに、タンブラカセット28A〜28Dの収容部30には、ラッチ32に向けて付勢する付勢部材である第2スプリング37が配設されている。この第2スプリング37の付勢力により、収容部30内に配置されたタンブラ6は、ラッチ32に向けて圧接される。その結果、タンブラカセット28A〜28Dの底面部には挿通孔31a〜31eを形成されているが、この挿通孔31a〜31eを通して自重では脱落しないように構成している。言い換えれば、簡単な構成で、タンブラカセット28A〜28Dに対してタンブラ6を積層して収容することができるようにしている。
【0038】
前記タンブラ挿入ガイド38A〜38Eは、タンブラカセット28A〜28Dの下部に位置し、図11に示すように、タンブラ収容箱15A〜15Dからキーシリンダ移動装置11に向けて延びて、タンブラカセット28A〜28Dに対して直交配置された複数本のレールからなる。本実施形態では、5列のタンブラ挿入ガイド38A〜38Eと、4列のタンブラカセット28A〜28Dとが、格子状のマトリクス構造を形成するように、上下位置で互いに交差するように配置されている。これらタンブラ挿入ガイド38A〜38Eは、タンブラカセット28A〜28Dの挿通孔31a〜31eの下部に対応するとともに、その先端がキーシリンダ移動装置11のキーシリンダ1に対するタンブラ組付位置に対応するように配設されている。このタンブラ挿入ガイド38A〜38Eの先端上部には、タンブラ6のガイド溝の幅より大きい幅を有し、キーシリンダ1のスプリング収容穴4に対応するスプリング保持部39が設けられている。
【0039】
前記タンブラ供給装置40は、各タンブラカセット28A〜28Dの上部に配設され、該タンブラカセット28A〜28D内のタンブラ6を所定のタンブラ挿入ガイド38A〜38Eへ供給するためのものである。このタンブラ供給装置40は、タンブラカセット28A〜28D毎、かつ、タンブラ挿入ガイド38A〜38E毎に配設した第3エアシリンダ41A〜41Eにより構成されている。具体的には、これら第3エアシリンダ41A〜41Eは、各タンブラカセット28A〜28D列に対してキーシリンダ移動装置側に3列(41A,41C,41E)、その後方に2列(41B,41D)の合計5個ずつ配設されている。そして、各第3エアシリンダ41A〜41Eのロッドには、タンブラカセット28A〜28Dの挿通孔31a〜31e上に位置するタンブラ供給プレート42が配設されている。これにより、所定の第3エアシリンダ41A〜41Eを駆動により下降させると、挿通孔31a〜31e上に位置するタンブラ6を下向きに押圧し、1枚のタンブラ6のみを挿通孔31a〜31eからタンブラ挿入ガイド38A〜38Eに落下させて供給できる。
【0040】
前記タンブラ挿入装置43は、タンブラ収容箱15A〜15Dの下部に配設され、タンブラ挿入ガイド38A〜38Eに供給されたタンブラ6を、キーシリンダ移動装置11に保持されたキーシリンダ1のタンブラ収容穴3に挿入するものである。このタンブラ挿入装置43は、タンブラ挿入ガイド38A〜38Eの下部に位置するベース部44と、該ベース部44の上部に設けたタンブラ押圧ピン45a〜45eとを備えている。このタンブラ押圧ピン45a〜45eは、各タンブラ挿入ガイド38A〜38Eのガイド溝内に位置し、タンブラ6の後端縁を押圧するものである。このタンブラ挿入装置43のベース部44は、スライド部材46に対してタンブラ挿入ガイド38A〜38Eの延び方向に沿って移動可能に取り付けられている。そして、このスライド部材46とベース部44との間には弾性部材である第3スプリング47が配設されている。また、スライド部材46には、第4エアシリンダ48のロッドが連結されている。これにより、タンブラ押圧ピン45a〜45eは、第4エアシリンダ48が進出駆動されると、スライド部材46および第3スプリング47およびベース部44を介して進出し、タンブラ挿入ガイド38A〜38E内に位置するタンブラ6をキーシリンダ1のタンブラ収容穴3に向けて移動させる。その際、キーシリンダ1のタンブラ収容穴3がタンブラ挿入ガイド38A〜38Eの先端と一致していないため、タンブラ6をタンブラ収容穴3に挿入できない状態の場合に、第3スプリング47が収縮することにより、キーシリンダ1に対する過剰な衝突を避けるように構成している。
【0041】
スプリング供給機構は、図1および図7に示すように、スプリング送出装置49と、スプリング供給装置51と、スプリング挿入ガイド54とを備え、これらをスプリング供給チューブ50,53により連結したものである。
【0042】
前記スプリング送出装置49は、内部に多数のスプリング5を収容しており、エアコンプレッサなどによる圧縮空気の噴射により、スプリング5をスプリング供給装置51に連続する第1スプリング供給チューブ50に対して軸方向に連なるように積層状態に送出するものである。この第1スプリング供給チューブ50は、合計で10本のタンブラ挿入ガイド38A〜38Eと対応するように、両側に5本ずつ接続されている。
【0043】
前記スプリング供給装置51は、第1スプリング供給チューブ50に積層されたスプリング5をそれぞれ受ける受部52a1,52a2〜52e1,52e2を備えている。そして、制御装置68からの指示により、所定の受部52a1,52a2〜52e1,52e2からそれぞれ1個のスプリング5を第2スプリング供給チューブ53を介してスプリング挿入ガイド54に供給するものである。各受部52a1,52a2〜52e1,52e2は、進退可能な複数のピン部材を備え、これらピン部材により積層されているスプリング5を1本ずつ分離してスプリング挿入ガイド54へ送る構成としている。
【0044】
前記スプリング挿入ガイド54は、タンブラ挿入ガイド38A〜38Eの先端のスプリング保持部39上に配設した一側面および下端を開口した断面略L字形状のものである。このスプリング挿入ガイド54には、一側面の開口に第2スプリング供給チューブ53の先端が配置されている。そして、この第2スプリング供給チューブ53から供給された1個のスプリング5を、スプリング挿入ガイド54の閉鎖端で停止させることにより、自重で下端開口から落下させてタンブラ挿入ガイド38A〜38Eのスプリング保持部39にスプリング5を供給するものである。
【0045】
そして、このキーシリンダ1のタンブラ組付装置には、本発明に係るキー読取装置55が備えられている。本実施形態のキー読取装置55は、予め形成したキーのキー山の突出量を検知して制御装置68に出力するものである。このキー読取装置55は、図8(A),(B)、図9(A),(B)に示すように、キーを差し込む差込穴58を有する台座部56と、該台座部56に対してスライド可能に配設した一対の本体部60,60と、各本体部60内に配設したリンク部材62A〜62Eと、各リンク部材62A〜62Eの移動量を検出する読取スイッチ67A〜67Eとを備えている。
【0046】
前記台座部56は、平面視矩形状の台であり、その中央部には四角柱状に突出する柱部57が設けられている。そして、この柱部57の上方には、図8(B)中上下方向である短手方向に延びる差込穴58が設けられている。なお、柱部57において、差込穴58の両側部58aは開口され、差込部58のキーが挿入される挿入口58bの挿入方向に向かってキー山が形成されていない根元部とキーの先端部とが係合する位置決め部58c,58cが形成されている。そして、差込穴58の上側には弾性保持部58dが備えられており、図示しないスプリングによって下方側に突出したボール部材58eが差込穴58に突出するため、差込穴58に挿入されたキーは、このボール部材58eによってがたつきなく保持される。また、台座部56には、長手方向に延びるガイドレール59が配設されている。
【0047】
前記本体部60は、矩形状をなす枠体であり、その底面には、ガイドレール59に嵌合される嵌合部材61が配設されている。そして、一対の本体部60,60は、図9(A),(B)に示すように、エアシリンダ70,70に移動部材71,71と連結して、台座部56の柱部57に対して連動して近接および離反可能に移動できるように構成している。即ち、本体部60,60は、予め設定した近接(第1)位置から離反(第2)位置にかけて往復移動可能に構成されている。
【0048】
前記リンク部材62A〜62Eは、本体部60に対して回転可能に軸支され、差込穴58にセットされたキーのキー山に当接することにより揺動するもので、キーシリンダ1のタンブラ収容穴3の間隔と対応する間隔で、タンブラ収容穴3の一つ分、すなわち、キー山一つ分の間隔だけずれて差込穴58の左右両側で順々に位置するように各本体部60,60にそれぞれ5個ずつ設けられている。具体的には、各リンク部材62A〜62Eは、板状をなし、その一端に回転可能に軸支するための支軸部63が設けられている。そして、各本体部60,60では、差込穴58に対して水平方向に対応する位置を基準として、支軸部63が上側に位置するように軸着され、下向きに延びるように配設した3枚のリンク部材62A,62C,62Eと、支軸部63が下側に位置するように軸着され、上向きに延びるように配設した2枚のリンク部材62B,62Dとが、交互に位置するように配設されている。また、リンク部材62A〜62Eは、支軸部63の逆側の端部(他端)に形成された長孔にスライダ部64のスライダ軸部64aが回転可能に設けられ、後述するキークランプ部66を初期位置に復帰させるコイルスプリング72がスライダ部64に隣接して配設されている。このスライダ部64は、柱部57から離反する方向に突出し、支軸部63を中心としたリンク部材62A〜62Eの揺動により水平方向に移動可能に本体部60の横枠60bのスライド溝60c内に収容されるものである。そして、このスライダ部64には、支軸部63の側が位置する面に、移動方向に沿って所定間隔をもって位置する複数(本実施形態4個)のスイッチ操作部65が突設されている。さらに、リンク部材62A〜62Eには、差込穴58に対して水平方向に対応するように、支軸部63から所定距離を有する中間位置に、水平方向に突出してキーのキー山に当接するキークランプ部66が設けられている。なお、本実施形態では、このキークランプ部66は、別体の板材をリンク部材62A〜62Eの長孔62hに回転可能にネジ止め等により軸支されている。キークランプ部66の先端側は本体部60の縦枠60aの略中央部に形成された貫通孔60bに摺動可能に挿通し、柱部57に向かってその先端部が突出している。このネジ止め部分はリンク部材62A〜62Eの作用軸部(作用点)66aとなる。上記した長孔62hにより、リンク部材62A〜62Eを揺動したときに作用軸部66aが逃げるようになっている。
【0049】
前記読取スイッチ67A〜67Eは、本体部60,60に対してスライダ部64のスイッチ操作部65の突出側に配設され、該スイッチ操作部65が当接することによりオンするものである。具体的には、読取スイッチ67A〜67Eは、スライダ部64に向けて突出する弾性片を備え、スイッチ操作部65の当接により弾性片がスライダ部64から離反する方向に撓み、接点をオンすることにより信号を出力する周知のものである。
【0050】
このように構成したキー読取装置55は、差込穴58に所定のキーを挿入した状態で、操作パネル69の操作によりエアシリンダ70,70を作動させて移動部材71,71を離反(第2)位置から近接(第1)位置に駆動する。これにより、嵌合部材61,61をガイドレール59に沿ってスライドし、一対の本体部60,60が柱部57に対して近接するように移動する。そして、リンク部材62A〜62Eのキークランプ部66が差込穴58の両側部58aの左右からキーのキー山を挟み込むように当接し、所定位置まで本体部60,60が近接移動すると、キー山の突出量に応じてリンク部材62A〜62Eが支軸部63を支点として離反する方向に揺動する。具体的には、キー山の突出量が大きい場合には、対応するリンク部材62A〜62Eの揺動(移動)量は大きく、キー山の突出量が小さい場合には、対応するリンク部材62A〜62Eの揺動量は小さくなる。なお、差込穴58にキーを挿入すると弾性保持部58dの付勢力を上側から受けるとともに、位置決め部58c,58cに当接して位置決めされるため、挿入感を得ることができ、違和感なく所定位置にキーを簡単に配置することができる。
【0051】
また、リンク部材62A〜62Eが揺動すると、支軸部63の他端に位置するスライダ部64が、揺動量に応じてコイルスプリング72の付勢力に抗して、スライド溝60c内を移動する。この際、スライダ部64に設けたスイッチ操作部65が読取スイッチ67A〜67Eをオンするため、そのオン信号を制御装置68に出力する。この読取スイッチ67A〜67Eのオン回数は、スイッチ操作部65をスライダ部64に所定間隔をもって複数設けているため、移動量が多くなるとそれに伴って多くなる。なお、本実施形態では、支軸部63からキークランプ部66までの寸法S1を1とすると、キークランプ部66からスライダ部64までの寸法S2が4となるように設定している。これにより、キークランプ部66の移動量に対してスライダ部64の移動量が4倍になるように構成している。
【0052】
このように、本実施形態のキー読取装置55は、リンク部材62によってキー山の高さを拡大して読み取るため、キー山の読取精度を高くすることができる。また、スイッチのオン回数によってキーコードを読み取るため、簡単な構造で確実にキーコードを読み取ることができる。そして、このキー読取装置55を搭載した組付装置では、作業者はキーをキー読取装置55に挿入するだけでよいため、作業者がキーコードを入力手段によって入力する場合と比較して誤入力等の問題を確実に防止できる。さらにキーの両側から複数のキー山を一回の作業工程で全て読取ることにより、作業工数の大幅な削減を図ることができる。
【0053】
そして、前記制御装置68は、図10に示すように、始動および停止を行うスイッチを含む操作パネル69の操作に従って、キー読取装置55、キーシリンダ移動装置11、所定のタンブラ供給装置40およびスプリング供給装置51を制御し、キーシリンダ1に対してタンブラ6を自動選択して組み付ける。また、この自動組付制御と並行して、タンブラ取出装置17およびタンブラ送り装置35を動作させ、タンブラカセット28A〜28Dに対するタンブラ6の補充制御を行うとともに、スプリング送出装置49を動作させ、第1スプリング供給チューブ50に対するスプリング5の補充制御を行うものである。なお、これらタンブラ6およびスプリング5の補充制御は、操作パネル69の操作により自動組付制御と並行処理されるだけではなく、単独でも動作可能になっている。
【0054】
次に、キー読取装置55によるキーのキー山の読取り動作及び読取ったキー山に対応するタンブラ6とスプリング5を対応するキーシリンダ1に組み込む自動組付動作について具体的に説明する。
【0055】
作業者は、キーシリンダ移動装置11の装着部材12に対してキーシリンダ1A〜1Fを装着する。また、キー読取装置55の差込穴58に予め形成したキーを差し込む。この状態で、操作パネル69の始動スイッチを操作する。
【0056】
そうすると、まず、キー読取装置55の本体部60,60を第1移動位置に移動させる。これにより、キー読取装置55からは、各読取スイッチ67A〜67Eからキー山の突出量に応じた回数だけオン信号が入力される。そして、制御装置68は、各読取スイッチ67A〜67Eからのオン信号の入力回数(キーコード)に基づいて、セットされたキーに対応するキーシリンダ1A〜1Fを決定する。また、決定した所定のキーシリンダ1A〜1Fの各タンブラ収容穴3に対して、どの場所にどのタンブラ6を収容させるか決定する。
【0057】
そして、決定したキーシリンダ1A〜1Fがタンブラ挿入ガイド38A〜38Eの先端であるタンブラ組付位置に位置するように、キーシリンダ移動装置11を動作させる。また、タンブラ供給装置40を構成する所定の第3エアシリンダ41A〜41Eを動作させ、タンブラカセット28内のタンブラ6をタンブラ挿入ガイド38A〜38Eにセットする。さらに、スプリング供給装置51を動作させ、選択したキーシリンダ1A〜1Fのスプリング収容穴4に対応する受部52a1,52a2〜52e1,52e2から、対応するタンブラ挿入ガイド38A〜38Eのスプリング保持部39にスプリング5を供給してセットする。
【0058】
例えば、図11に示すように、タンブラ6の右側において、下側に位置する第1タンブラ収容穴3aに第1タンブラ6Aを収容する場合には、タンブラカセット28Aの第3エアシリンダ41Aを動作させ、第2タンブラ収容穴3bに第2タンブラ6Bを収容する場合には、タンブラカセット28Bの第3エアシリンダ41Bを動作させ、第3タンブラ収容穴3cに第2タンブラ6Bを収容する場合には、タンブラカセット28Bの第3エアシリンダ41Cを動作させ、第4タンブラ収容穴3dに第4タンブラ6Dを収容する場合には、タンブラカセット28Dの第3エアシリンダ41Dを動作させ、第5タンブラ収容穴3eに第3タンブラ6Cを収容する場合には、タンブラカセット28Cの第3エアシリンダ41Eを動作させる。また、タンブラ6の左側において、下側に位置する第1タンブラ収容穴3aに第2タンブラ6Bを収容する場合には、タンブラカセット28Bの第3エアシリンダ41Aを動作させ、第2タンブラ収容穴3bに第4タンブラ6Dを収容する場合には、タンブラカセット28Dの第3エアシリンダ41Bを動作させ、第3タンブラ収容穴3cに第2タンブラ6Bを収容する場合には、タンブラカセット28Bの第3エアシリンダ41Cを動作させ、第4タンブラ収容穴3dに第3タンブラ6Cを収容する場合には、タンブラカセット28Cの第3エアシリンダ41Dを動作させ、第5タンブラ収容穴3eに第1タンブラ6Aを収容する場合には、タンブラカセット28Aの第3エアシリンダ41Eを動作させる。これにより、各タンブラカセット28A〜28Dの下部に位置する各タンブラ挿入ガイド38A〜38Eに対して、キー読取装置55によって読み取ったキーコードに対応する組み合わせでタンブラ6A〜6D群をセットできる。
【0059】
その後、タンブラ挿入装置43を動作させ、タンブラ押圧ピン45a〜45eをキーシリンダ移動装置11に向けて近接移動させる。これにより、タンブラカセット28Dの側に位置するタンブラ6から順番にタンブラ押圧ピン45a〜45eに当接し、タンブラ挿入ガイド38に沿ってキーシリンダ1のタンブラ収容穴3に向けて移動される。なお、この移動にしたがってタンブラ6がタンブラ挿入ガイド38の先端に位置すると、各タンブラ6のスプリング受部8にスプリング5が当接する。そのため、これらスプリング5は、タンブラ挿入装置43の駆動により、タンブラ6がキーシリンダ1の各タンブラ収容穴3に挿入されると同時に、そのタンブラ6によって移動されてスプリング収容穴4に挿入される。
【0060】
このように、本実施形態のタンブラ組付装置は、複数のタンブラカセット28A〜28Dと複数のタンブラ挿入ガイド38A〜38Eとを上下方向に重なるように配置しているため、タンブラ挿入ガイド38A〜38Eへ向けてタンブラ6を押し出すタンブラ供給装置40を、タンブラカセット28A〜28Dの上方に集約して配置することができる。よって、組付装置全体の小型化を図ることができる。また、タンブラカセット28A〜28Dとタンブラ挿入ガイド38A〜38Eとを上下方向で格子状のマトリクス構造を形成するように配置しているので、各タンブラ挿入ガイド38A〜38Eに必要なタンブラ6を同時に一括して供給することができる。そのため、作業時間を大幅に短縮することができる。
【0061】
また、自動組付制御では、キーシリンダ1は、装着部材12に固定された状態でタンブラ収容穴3をタンブラ挿入ガイド38A〜38Eに対応する位置に移動させるだけでよいため、細かい間隔で移動させるような高い駆動精度は必要としない。しかも、タンブラ収容箱15A〜15Dにタンブラ6A〜6Dを種類毎に供給するだけで、キーシリンダ1のタンブラ収容穴3に所定のタンブラ6A〜6Dを挿入配置するまでの一連の作業を自動化することができる。その結果、生産効率を向上できるうえ、作業者による作業工数を削減できるため、作業者数を大幅に低減し、1人の作業者によって作業を行なうことが可能となる。
【0062】
さらに、自動組付制御の作業工程を、予備部におけるタンブラ収容箱15A〜15Dからタンブラカセット28A〜28Dにタンブラ6A〜6Dを供給する工程と、組付部における各タンブラ収容穴3にタンブラ挿入装置43によって所定のタンブラ6A〜6Dを挿入する工程との2工程とすることができる。そのため、作業工程を最小限として作業時間を短縮することができる。
【0063】
さらにまた、タンブラ挿入装置43は、各タンブラ収容穴3に対応する複数のタンブラ押圧ピン45a〜45eにより、複数のタンブラ6を同時に挿入可能としている。しかも、このタンブラ挿入装置43を含む、タンブラ収容箱15A〜15D、タンブラカセット28A〜28D、タンブラ供給装置40を、キーシリンダ移動装置11を中心として対称的に一対配置している。そのため、キーシリンダ1の両側面(対向位置)に設けられているタンブラ収容穴3に一括してタンブラ6を挿入することができるため、組付時間を大幅に短縮することができる。
【0064】
そして、本実施形態のキー読取装置55をタンブラ組付装置に採用することによって、作業者はキーをキー読取装置に挿入するだけでよいため、作業者がキーコードを入力する場合と比較して誤入力等の問題を確実に防止できる。さらに、キーに対応した正確にタンブラーを一回の作業工程で自動的に読み取ることができるため、さらに全体的な作業工程を最小限として作業時間を短縮することができる。
【0065】
また、高価なCCDカメラなどを必要とせず、リンク部材によって機械的にキー山の高さを拡大し、スイッチのオン回数によってキーコードを読み取るようにしているため、簡単な構造で確実にキーコードを読み取ることができる。
【0066】
なお、本発明のキー読取装置55は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係るキー読取装置が採用される実施形態のタンブラ組付装置を示す断面図である。
【図2】タンブラ組付装置の一部を破断した平面図である。
【図3】(A),(B)はキーシリンダ移動装置の要部断面図、(C)は組み付けるタンブラを示す正面図である。
【図4】(A),(B)はタンブラ収容箱を示す要部断面図である。
【図5】(A)はタンブラカセット、タンブラ挿入ガイドおよびタンブラ供給装置の構成を示す断面図、(B)はタンブラカセットの要部拡大断面図である。
【図6】タンブラカセットおよびタンブラ挿入ガイドの構成を示す要部拡大断面図である。
【図7】スプリング供給機構の構成を示す正面図である。
【図8】本発明に係るキー読取装置の構成を示し、(A)は正面図、(B)は8b−8b線断面図である。
【図9】本発明に係るキー読取装置の構成を示し、(A)は側面図、図8における(B)は9b−9b線断面図である。
【図10】タンブラ組付装置の構成を示すブロック図である。
【図11】組付制御によるタンブラ挿入ガイドへのタンブラの供給状態の一例を示す概略図である。
【図12】従来からのシリンダ錠を構成するキーシリンダおよびタンブラの構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
1,1A〜1F…キーシリンダ
2…キー穴
3,3a〜3e…タンブラ収容穴
4…スプリング収容穴
5…スプリング
6,6A〜6D…タンブラ
11…キーシリンダ移動装置
13A〜13F…キーシリンダ保持部
15A〜15D…タンブラ収容箱
17…タンブラ取出装置
18…掬上駆動部
22…タンブラ選別部
27…シュータ
28A〜28D…タンブラカセット
32…ラッチ
35…タンブラ送り装置
37…第2スプリング(付勢部材)
38A〜38E…タンブラ挿入ガイド
40…タンブラ供給装置
43…タンブラ挿入装置
49…スプリング送出装置
51…スプリング供給装置
55…キー読取装置
60…本体部
62A〜62E…リンク部材
64…スライダ部
65…スイッチ操作部
66…キークランプ部
67A〜67E…読取スイッチ
68…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
該本体部に一端が回動可能に軸支され、他端に移動方向に沿って所定間隔をもって複数のスイッチ操作部を形成したスライダ部を設けるとともに、中間位置にキーのキー山に当接可能なキークランプ部を設けたリンク部材と、
前記スライダ部の移動に応じて前記スイッチ操作部が当接することによりオンする読取スイッチと、
を備えたキー読取装置。
【請求項2】
キーを水平方向に挿入可能であり、キー山に対向する両側部が開口した差込穴を有する柱部と、
該柱部の両側に対向するように配置された一対の本体部と、
該本体部をそれぞれ前記柱部に対してスライド移動可能に配置する台座部と、
前記差込穴に挿入されたキーのキー山に対して前記キークランプ部を当接するように前記本体部をスライド移動させる駆動部を設けたことを特徴とした請求項1に記載のキー読取装置。
【請求項3】
キーのキー山に対応する複数の前記リンク部材を設け、
前記一対の本体部にそれぞれ交互にキー山に対応するように前記リンク部材を順々に配置したことを特徴とした請求項1に記載のキー読取装置。
【請求項4】
形状が異なる複数種のタンブラのうち、キーコードに対応する所定のタンブラをキーシリンダの複数のタンブラ収容穴に選択的に自動挿入するキーシリンダのタンブラ組付装置と、
前記読取スイッチにより読取ったキーコードに基づいて前記キーシリンダのタンブラ組付装置を制御する制御装置を更に設けたことを特徴とした請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載のキー読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−37795(P2010−37795A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201222(P2008−201222)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)