説明

ギプス下巻き用ネットおよびその製造方法

【課題】ギプス装着時は、患部から発汗し、その汗が微生物により分解され臭気が発生する問題がある。ギプス下巻き用材料として抗菌性をもつ不織布も存在するが、通気性が小さく、不快である。通気性を大きくするために、抗菌性繊維を使用し、ネットのメを粗くした場合、抗菌性繊維の使用量が減少してしまい十分な抗菌性を発揮しなくなる。
【解決手段】抗菌性を持つ繊維をループ状にすることで、通気性を大きくするためにネットのメを粗くしても、十分な抗菌性繊維を使用できるネットを作製することで問題が解決される。さらに、ループ状の糸は製織・製編が困難であるが、少なくとも1本の製織・製編後の加工により収縮する糸と、少なくとも1本の前述の加工を行っても収縮しない糸を撚糸し、ループのない状態で製織・製編を行い、生地または繊維製品の状態で加工を行い、ループ状の糸を生じさせることで、容易にギプス下巻き用ネットを作製できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨折・靭帯損傷などの治療において患部が動かないように固定するためのギプス下巻き用ネットに関する。ここでネットとは、形状が網目状であれば、編物・織物を問わない。また、網目状の部分を目と言うが、読み間違いを防ぐために、メと記す。また、網目状の部分が大きい場合、メが粗いと言う。
【背景技術】
【0002】
ギプス下巻き材料としては、綿、レーヨン、ポリエステル、ポリウレタン等の繊維を単独または混紡・交撚し、交編・交織した編織物、または上記の素材からなる不織布からなる包帯が用いられる。特に綿製の包帯は、汗等を吸い取るため、広く用いられている。
【0003】
図1にループ糸の構成図を示し、ループ糸について説明する。図1において、繊維1と繊維2は、交点10、11,12、13,14,15で絡んでいる。繊維2は繊維1よりも長く、繊維2がたるみ、ループを形成している。
【0004】
一般に、ループ糸は、意匠的効果のために用いられている。その作製方法の一例をあげる。糸を絡める時、繊維2を繊維1に比べて長く送り出し撚糸することで、交点の間では、繊維2が繊維1よりも長くなり、繊維2がたるみ、ループが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2939036号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ギプス装着時では患部から発汗し、さらにその汗が微生物により分解され臭気が発生するという問題がある。ギプス下巻き用ネットとして上記特許文献の様に抗菌性をもつ不織布も存在するが、通気性が小さく、不快である。
【0007】
通気性を大きくするために、抗菌性繊維を使用し、ネットのメを粗くした場合、抗菌性繊維の使用量が減少してしまい十分な抗菌性を発揮しなくなる。つまり、通気性を大きくすれば、抗菌性繊維の使用量が減少してしまう関係(トレードオフ)が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
多くの場合、意匠的効果のために用いられているループ糸のループの部分に、抗菌性繊維を使用することで、通気性を大きくするためにネットのメを粗くしても、十分な抗菌性繊維を使用でき、前述のトレードオフを生じさせないギプス下巻き用ネットを作製することで問題が解決されることを見いだした。
【0009】
さらに、図1で示されたループ糸は、製織・製編が困難である。そこで、容易に製織・製編できるよう、少なくとも1本の製織・製編後の加工により収縮する糸と、少なくとも1本の前述の加工では収縮しない抗菌性繊維を撚糸し、ループのない状態で製織・製編を行い、生地または繊維製品の状態で加工を行うことで前者を収縮させ、ループを発生させた糸を用いることにより、容易にギプス下巻き用ネットを作製できることを見いだした。
【発明の効果】
【0010】
本発明を用いることにより、製織・製編しやすく、通気性が大きい抗菌性をもつギプス下巻き用ネットを提供し、ギプス装着時の臭気を軽減させることができる。
【0011】
また、熱加工で、収縮する糸にストレッチ性を持つ糸を用いれば、ギプス下巻き用ネットにストレッチ性が付与され、さらに使いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ループ糸の構成図である。
【図2】2本の糸を撚糸した構成図である。
【図3】実施例1で用いた糸の構成図である。
【図4】実施例1での加熱後の状態の構成図である。
【図5】実施例2で用いた糸の構成図である。
【図6】既存品を腕に装着した写真である。
【図7】実施例を腕に装着した写真である。
【図8】実施例3で用いた糸の構成図である。
【図9】実施例4で用いた糸の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に実施例を示すが、この実施例によって、本発明が制限されることはない。
【0014】
本発明において、加工とは、種々の公知の技術から適当なものを選択することができる。
【0015】
図1に示すループ糸を作製する方法の一例について、図2を用いて説明する。図2は2本の糸を撚糸した構成図で、繊維1と繊維2を撚糸している。ここで、加工により繊維1が収縮し、繊維2が収縮しないか、または収縮が繊維1よりも少ない場合、交点20、21,22、23、24、25で糸が絡み、繊維2は繊維1よりも長くなり、繊維2がたるみ、ループを形成し、図1の形態となる。
【0016】
ここで、繊維1は2本以上の長さの同じ繊維で構成されているものもある。また、繊維2は2本以上の繊維で構成され、長さの異なるループが2種類以上形成しているものもある。
【0017】
一般に合成繊維は、熱加工により収縮する。例えば、熱水中にて加熱処理することがあげられる。本発明に適する加工は、繊維2が繊維1よりも長くなる加工であればかまわない。
【0018】
また、熱加工以外の方法としては、繊維1に撚りを加え、水溶性ののりで固めておき、繊維2と撚糸し、生地または縫製を行った繊維製品の状態で水溶性ののりを溶かせば、繊維1の撚りが戻り、繊維2が繊維1よりも長くなり、ループが発生し、図1の形態となる。このように均一にどちらかの繊維が収縮し、その結果、ループが発生する加工であればかまわない。
【0019】
本発明では、ループを形成する糸(図1及び図2の繊維2)に抗菌性繊維を用い、加工により収縮する繊維(図1及び図2の繊維1)と撚糸する。製織・製編後に、加工により収縮する繊維が収縮し、抗菌性繊維がたるみ、ループを形成し、ギプス下巻き用ネットを作製する。
【0020】
本発明において、抗菌性繊維は、種々の公知の技術から適当なものを選択することができる。ただし、ギプスの内側には、光があたらないので、抗菌に光を必要としない素材として、実施例では、東洋紡株式会社の製品「エアクリア」(登録商標)の20番単糸を用いた。「エアクリア」は、綿にチタニア系化合物を天然キレート鉄イオンで加工したものであり、空気中の酸素・水蒸気と反応して有機物を分解する。
【0021】
また、本発明において、加工により収縮する繊維は、種々の公知の技術から適当なものを選択することができる。実施例では、ソロテックス株式会社の製品「ソロテックス」(登録商標)のコンジュゲート糸の50デニールを用いた。ここで、コンジュゲート糸とは、2成分を貼りあわせた構造を持った糸で、熱加工を行うと一方の成分が縮み、ばね構造となる糸のことである。このばね構造のため、熱加工により糸にストレッチ性が付与される。
【0022】
通気性の尺度である通気度は、単位 cm/min sec で表わされ、数値が大きいほど、通気性があることを示している。その測定値は、通気度試験機KES−F8−AP1(カトーテック株式会社製)を用いて通気抵抗を測定し、通気度に変換し求めた。
【0023】
0.4ミリメッシュ(メの形が正方形で一辺が0.4ミリである織物)の通気度は、10486cm/min secであった。0.3ミリメッシュ(メの形が正方形で一辺が0.3ミリである織物)の通気度は、6265cm/min secであった。
【0024】
また、ギプス下巻き用ネットの既存品の通気度は、146cm/min secであった。包帯の通気度は、491cm/min secであった。
【0025】
本発明品の通気度は、150cm/min sec以上、10000cm/min sec以下が好ましい。その理由は、メが粗い場合、抗菌性繊維の効果はうすれてしまう。このため、0.4ミリメッシュよりもメを粗く(通気性を大きく)することなく、既存のギプス下巻きネットよりも通気性を大きくする必要があるからである。
【0026】
さらに好ましくは、本発明品の通気度は、400cm/min sec以上、6000cm/min sec以下が好ましい。その理由は、メが粗い場合、抗菌性繊維の効果はうすれてしまう。このため、より好ましくは、0.3ミリメッシュよりもメを粗く(通気性を大きく)することなく、包帯よりも通気性を大きくする必要があるからである。
【実施例1】
【0027】
実施例1で用いた糸は、抗菌性繊維5と加工により収縮する繊維6を撚糸したものであり、その構成図を図3に示す。ここで、抗菌性繊維5および加工により収縮する繊維6は2本以上の繊維から構成されていてもかまわない。
【0028】
100は、抗菌性繊維5と加工により収縮する繊維6をSよりに撚糸したことを示す。実施例1では、100はSよりに撚糸したが、Zよりに撚糸することもできる。
【0029】
ここで、Sより、Zよりとは、JIS規格のL1013において、よりの方向で定義されているとおり、繊維のよられた方向であり、Sよりは右より、Zよりは左よりと同様である。
【0030】
100での適正なより回数は、組み合わせる糸の繊度により異なるが、撚り数が大きすぎると、スナールが生じてしまう。また、撚り数が小さすぎると、加工後にループ状に飛び出る糸の長さが短くなり、単位長さあたりに使われる抗菌性繊維5の量が少なくなり、抗菌性の効果が減少する。実施例1においては、そのより回数は1m当たりの回数で示すと、100回から160回、好ましくは、120回から140回が望ましい。実施例では132回とした。
【0031】
ここで、スナールとは、JIS規格のL0220において番号2013に定義されるとおり、糸が緩んで生じるループ状の縮れのことである。
【0032】
この糸を用い横編機で、平編という組織で製編し、生地にした。実施例1の場合、横編機で製編したが、丸編機、靴下編機、手袋編機、筒編機等で製編することもできる。
【0033】
ここで、編機の名称はJIS規格のL0307において編組機械用語として定義されるとおりで、横編機は番号105、丸編機は番号104、靴下編機は番号106、手袋編機は番号107で定義されるとおりである。また、筒編機は、JIS規格では定義されていないが、俗称として、小型の丸編機のことを言う。
【0034】
実施例1の場合、平編という組織で製編したが、他の組織で製編することもできる。しかし、平編はメを粗く製編することができるので、平編で製編することが好ましい。
【0035】
ここで、平編という組織は、JIS規格のL0211において番号2−1で定義されているとおりである。
【0036】
このようにして製編した生地を90℃の熱水中で3分加熱した。実施例1での加熱後の状態の構成図を図4に示す。加工により収縮する繊維6が収縮し、抗菌性繊維5がループ状なっており、抗菌性繊維5と加工により収縮する繊維6は交点30,31,32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43で絡んでいる。熱加工により、加工により収縮する繊維6にストレッチ性が付与され、メは変形しやすくなり、適度なストレッチ性が生じた。また、熱加工により抗菌性繊維5がループになり、通気性が大きいギプス下巻き用ネットを作製することができた。
【実施例2】
【0037】
実施例2で用いた糸は、抗菌性繊維5と加工により収縮する繊維6をSよりに撚糸した糸と、同様に抗菌性繊維5と加工により収縮する繊維6をSよりに撚糸した糸をZよりに撚糸したものであり、その構成図を図5に示す。ここで、抗菌性繊維5および加工により収縮する繊維6は2本以上の繊維から構成されていてもかまわない。
【0038】
200および201は抗菌性繊維5と加工により収縮する繊維6をSよりに撚糸したことを示す。また、210は前述の撚糸した2本の繊維をZよりに撚糸したことを示す。実施例2では、200および201ではSよりに撚糸したが、Zよりに撚糸することもできる。また、210では、Zよりに撚糸したが、Sよりに撚糸することもできる。
【0039】
200および201での適正なより回数は、組み合わせる糸の繊度により異なるが、撚り数が大きすぎると、スナールが生じてしまう。また、撚り数が小さすぎると、加工後にループ状に飛び出る糸の長さが短くなり、単位長さあたりに使われる抗菌性繊維5の量が少なくなり、抗菌性の効果が減少する。実施例2においては、そのより回数は1m当たりの回数で示すと、100回から160回、好ましくは、120回から140回が望ましい。実施例では132回とした。
【0040】
210での適正なより回数は、組み合わせる糸の繊度により異なるが、撚り数が大きすぎると、スナールが生じてしまう。また、撚り数が小さすぎると、加工後にループ状に飛び出る糸の長さが短くなり、単位長さあたりに使われる抗菌性繊維の量が少なくなり、抗菌性の効果が減少する。実施例2においては、そのより回数は1m当たりの回数で示すと、100回から160回、好ましくは、120回から140回が望ましい。実施例では132回とした。
【0041】
この糸を用い横編機で、平編という組織で製編し、生地にした。実施例2の場合、横編機で製編したが、丸編機、靴下編機、手袋編機、筒編機等で製編することもできる。
【0042】
実施例2の場合、平編という組織で製編したが、他の組織で製編することもできる。しかし、平編はメを粗く製編することができるので、平編で製編することが好ましい
【0043】
このようにして製編した生地を90℃の熱水中で3分加熱した。熱加工により、加工により収縮する繊維6にストレッチ性が付与され、メは変形しやすくなり、適度なストレッチ性が生じた。また、熱加工により抗菌性繊維5がループになり、通気性が大きいギプス下巻き用ネットを作製することができた。
【0044】
ここで、図5の構成図に示された糸を用いる理由は、実施例2の方が実施例1よりも抗菌性繊維5のループが均等に付与されるからである。
【0045】
既存品を腕に装着した写真を図6に示す。実施例2を腕に装着した写真を図7に示す。実施例2はストレッチ性が大きく、装着時にメがさらに粗くなっており、既存品よりも通気性に優れている。また、ループ糸は部分的にしか肌に触れていないので、肌触りは良い。
【0046】
実施例と既存品の通気性を通気度試験機KES−F8−AP1(カトーテック株式会社製)を用いて測定したところ、実施例2では、727cm/min sec、既存品では、146cm/min secであり、通気性は実施例2の方がかなり大きい結果を得た。
【実施例3】
【0047】
実施例3で用いた糸は、抗菌性繊維5と加工により収縮する繊維6をSよりに撚糸した糸と抗菌性繊維5をZよりに撚糸したものであり、その構成図を図8に示す。ここで、抗菌性繊維5および加工により収縮する繊維6は2本以上の繊維から構成されていてもかまわない。
【0048】
300は抗菌性繊維5と加工により収縮する繊維6をSよりに撚糸したことを示す。また、301は前述の繊維と抗菌性繊維5をZよりに撚糸したことを示す。実施例3において、300では、Sよりに撚糸したが、Zよりに撚糸することもできる。また、301では、Zよりに撚糸したが、Sよりに撚糸することもできる。
【0049】
300での適正なより回数は、組み合わせる糸の繊度により異なるが、撚り数が大きすぎると、スナールが生じてしまう。また、撚り数が小さすぎると、加工後にループ状に飛び出る糸の長さが短くなり、単位長さあたりに使われる抗菌性繊維5の量が少なくなり、抗菌性の効果が減少する。実施例3においては、そのより回数は1m当たりの回数で示すと、100回から160回、好ましくは、120回から140回が望ましい。実施例では132回とした。
【0050】
301での適正なより回数は、組み合わせる糸の繊度により異なるが、撚り数が大きすぎると、スナールが生じてしまう。また、撚り数が小さすぎると、加工後にループ状に飛び出る糸の長さが短くなり、単位長さあたりに使われる抗菌性繊維5の量が少なくなり、抗菌性の効果が減少する。実施例3においては、そのより回数は1m当たりの回数で示すと、100回から160回、好ましくは、120回から140回が望ましい。実施例では132回とした。
【0051】
この糸を用い横編機で、平編という組織で製編し、生地にした。実施例3の場合、横編機で製編したが、丸編機、靴下編機、手袋編機、筒編機等で製編することもできる。
【0052】
実施例3の場合、平編という組織で製編したが、他の組織で製編することもできる。しかし、平編はメを粗く製編することができるので、平編で製編することが好ましい
【0053】
このようにして製編した生地を90℃の熱水中で3分加熱した。熱加工により、加工により収縮する繊維6にストレッチ性が付与され、メは変形しやすくなり、適度なストレッチ性が生じた。また、熱加工により抗菌性繊維5がループになり、通気性が大きいギプス下巻き用ネットを作製することができた。
【実施例4】
【0054】
実施例4で用いた糸は、加工により収縮する繊維6と抗菌性繊維5をSよりに撚糸した糸と加工により収縮する繊維6をZよりに撚糸したものであり、その構成図を図9に示す。ここで、抗菌性繊維5および加工により収縮する繊維6は2本以上の繊維から構成されていてもかまわない。
【0055】
400は抗菌性繊維5と加工により収縮する繊維6をSよりに撚糸したことを示す。また、401は前述の繊維と加工により収縮する繊維6をZよりに撚糸したことを示す。実施例4において、400ではSよりに撚糸したが、Zよりに撚糸することもできる。また、401ではZよりに撚糸したが、Sよりに撚糸することもできる。
【0056】
400での適正なより回数は、組み合わせる糸の繊度により異なるが、撚り数が大きすぎると、スナールが生じてしまう。また、撚り数が小さすぎると、加工後にループ状に飛び出る糸の長さが短くなり、単位長さあたりに使われる抗菌性繊維5の量が少なくなり、抗菌性の効果が減少する。実施例4においては、そのより回数は1m当たりの回数で示すと、100回から160回、好ましくは、120回から140回が望ましい。実施例では132回とした。
【0057】
401での適正なより回数は、組み合わせる糸の繊度により異なるが、撚り数が大きすぎると、スナールが生じてしまう。また、撚り数が小さすぎると、加工後にループ状に飛び出る糸の長さが短くなり、単位長さあたりに使われる抗菌性繊維5の量が少なくなり、抗菌性の効果が減少する。実施例4においては、そのより回数は1m当たりの回数で示すと、100回から160回、好ましくは、120回から140回が望ましい。実施例では132回とした。
【0058】
この糸を用い横編機で、平編という組織で製編し、生地にした。実施例4の場合、横編機で製編したが、丸編機、靴下編機、手袋編機、筒編機等で製編することもできる。
【0059】
実施例4の場合、平編という組織で製編したが、他の組織で製編することもできる。しかし、平編はメを粗く製編することができるので、平編で製編することが好ましい
【0060】
このようにして製編した生地を90℃の熱水中で3分加熱した。熱加工により、加工により収縮する繊維6にストレッチ性が付与され、メは変形しやすくなり、適度なストレッチ性が生じた。また、熱加工により抗菌性繊維5がループになり、通気性が大きいギプス下巻き用ネットを作製することができた。
【0061】
このように糸の構造が上述したように製織・製編時はループがない糸を、製織・製編後に加工を行い、ループを発生させることに限りにおいては、実施形態に限定されることなく、自由に変更可能である。
【0062】
このような結果から、製織・製編しやすく、通気性が大きいギプス下巻き用ネットを作製することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明を用いることにより、製織・製編しやすく、通気性が大きい抗菌性をもつギプス下巻き用ネットを提供し、ギプス装着時の臭気を軽減させることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 繊維
2 繊維
5 抗菌性繊維
6 加工により収縮する繊維
10、11,12、13、14、15 繊維1と繊維2の交点
20、21、22、23、24、25 繊維1と繊維2の交点
30,31,32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43 抗菌性繊維5と加工により収縮する繊維6の交点
100 抗菌性繊維5と加工により収縮する繊維6をSよりに撚糸したことを示す。
200 抗菌性繊維5と加工により収縮する繊維6をSよりに撚糸したことを示す。
201 抗菌性繊維5と加工により収縮する繊維6をSよりに撚糸したことを示す。
210 200、201で撚糸した2本の繊維をZよりに撚糸したことを示す。
300 抗菌性繊維5と加工により収縮する繊維6をSよりに撚糸したことを示す。
301 300で撚糸した繊維と抗菌性繊維5をZよりに撚糸したことを示す。
400 抗菌性繊維5と加工により収縮する繊維6をSよりに撚糸したことを示す。
401 400で撚糸した繊維と加工により収縮する繊維6をZよりに撚糸したことを示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1本の製織・製編後の加工により収縮する糸と、少なくとも1本の前述の加工では収縮しない抗菌性繊維を撚糸し、加工を行うことで前者を収縮させ、ループを発生させた糸を用い、通気性が150cm/min sec以上、10000cm/min sec以下、好ましくは、400cm/min sec以上、6000cm/min sec以下であることを特徴とするギプス下巻き用ネット。
【請求項2】
少なくとも1本の製織・製編後の加工により収縮する糸は、ストレッチ性を有することを特徴とする請求項1記載のギプス下巻き用ネット。
【請求項3】
少なくとも1本の製織・製編後の加工により収縮する糸と抗菌性繊維を撚糸した糸と、同様に少なくとも1本の製織・製編後の加工により収縮する糸と抗菌性繊維を撚糸した糸とを撚糸した糸を用いることを特徴とする請求項1または2記載のギプス下巻き用ネット。
【請求項4】
横編機または丸編機で、平編という組織で製編したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のギプス下巻き用ネット。
【請求項5】
少なくとも1本の製織・製編後の加工により収縮する糸と、少なくとも1本の前述の加工では収縮しない抗菌性繊維を撚糸し、加工を行うことで前者を収縮させ、ループを発生させた糸を用い、通気性が150cm/min sec以上、10000cm/min sec以下、好ましくは、400cm/min sec以上、6000cm/min sec以下であることを特徴とするギプス下巻き用ネットの製造方法。
【請求項6】
少なくとも1本の製織・製編後の加工により収縮する糸は、ストレッチ性を有することを特徴とする請求項1記載のギプス下巻き用ネットの製造方法。
【請求項7】
少なくとも1本の製織・製編後の加工により収縮する糸と抗菌性繊維を撚糸した糸と、同様に少なくとも1本の製織・製編後の加工により収縮する糸と抗菌性繊維を撚糸した糸とを撚糸した糸を用いることを特徴とする請求項1または2記載のギプス下巻き用ネットの製造方法。
【請求項8】
横編機または丸編機で、平編という組織で製編したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のギプス下巻き用ネットの製造方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−246675(P2010−246675A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97881(P2009−97881)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(591032703)群馬県 (144)
【出願人】(309010380)佐藤株式会社 (2)