説明

クッション性を有するタイル及びその製造方法

【課題】良好なクッション性を有し、敷設した場合に、つまずき発生の可能性が低く、めくれ上がり発生の可能性が低く、基材との接合の剥離の可能性も低いタイルを提供する。
【解決手段】ベース層2と発泡層4とトップ層6とを積層してなるタイル1は、外周縁部1aの厚さが中央部1bの厚さより小さく、外周端面1a’における厚さT1が中央部1bの厚さT0の20%乃至80%の範囲内であり、外周縁部1aはトップ層6の側が面取り形状をなしている。発泡層4は、外周縁部部分4aの厚さが中央部部分4bの厚さより小さく、外周縁部部分4aの発泡倍率が1.2倍未満で中央部部分4bの発泡倍率が1.2倍以上である。トップ層6は、ガラス繊維により補強された表面構造層61と、その上に形成された印刷層62と、その上に形成された透明保護層63とを含んでなり、中央部部分6bにおいて発泡層4の厚さ変化に追従可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床タイル等として好適に利用されるクッション性を有するタイル及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢者福祉施設、教育施設及び医療施設等、さらには一般家屋及び商業施設において使用される床材には、近年、歩行性の向上、保温性の向上、防音性の向上、及び人の転倒時の負傷防止のための衝撃吸収性の向上が要求されている。このような要求を満足する床材として、従来、発泡層を有する長尺の塩化ビニル樹脂シート等の長尺プラスチックシートが使用されており、その一例として特許文献1に記載のような床材が挙げられる。
【0003】
一方、近年、床材には、意匠性の向上及び多様化も要求されている。意匠には、単に美観上のものに限らず、所要の表示機能乃至標識機能を発揮する実用上のものもある。而して、上記のような長尺プラスチックシートでは、実際上、意匠性の向上及び多様化が困難である。すなわち、長尺シートにおいて意匠性を向上させ多様化する場合には、予め模様などのデザインの異なる多数の長尺シートを用意しておくか、または注文に応じてその都度所要デザインのシートを製造することが必要となるという、不利がある。
【0004】
床材などにおいて、意匠性の向上及び多様化のために有利な手法として、比較的小さい寸法の複数種類のタイルを所要デザインにて組合せ配列して貼り付けるデザイン貼りという手法がある。これによれば、比較的少ない種類(色彩や模様の種類)のタイルを用意しておくことで、必要に応じて所要デザインとなるように適宜組合せ施工することができる。このようなタイルの一例として特許文献2に記載のようなプラスチックタイルが挙げられる。
【0005】
しかるに、従来のプラスチックタイルは、実質上クッション性がなく、上記の歩行性の向上、保温性の向上、防音性の向上、及び人の転倒時の負傷防止のための衝撃吸収性の向上等の点で、未だ、十分とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−197405号公報
【特許文献2】特開2004−44272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記発泡層を有する長尺シートと同様な構造のものを例えば20〜90cm平方に切断してタイル化することで、デザイン性の向上及び多様化を図り、これによりクッション性等の性能とデザイン性との双方を向上させることが考えられる。しかし、この場合には、発泡層を有する長尺シートのタイル化に伴い、タイルの切断端面近傍の外周縁部が柔軟であることに基づき、次のような問題が発生する。
【0008】
すなわち、構造物躯体の床面等の基材の表面上に互いに隣接して敷設された2つのタイルの外周縁部が柔軟であることから、そのうちの一方のタイルが人の足により踏まれて圧縮されると他方のタイルとの間で容易に表面段差が生ずる。その場合、人が歩行により前進しようとすると、足が段差に引っかかり、つまずいて転倒するおそれがある。また、これに基づき、タイルがめくれあがるおそれがあり、この場合には更に人がつまずいて転倒しやすくなる。更に、以上のようにして足が段差に引っかかると、タイルと基材との接合が剥離するおそれもある。
【0009】
本発明の1つの目的は、以上のような実情に鑑み、良好なクッション性を有するタイルであって、敷設した場合において、つまずき発生の可能性が低く、めくれ上がり発生の可能性が低く、基材との接合の剥離の可能性も低いタイルを提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の1つの目的は、以上のようなタイルの製造に好適な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、以上の如き目的の何れかを達成するものとして、
ベース層と発泡層とトップ層とを積層してなるタイルであって、
該タイルは外周縁部の厚さが中央部の厚さより小さく、前記外周縁部は前記トップ層の側が面取り形状をなしており、
前記発泡層は、前記外周縁部における厚さが前記中央部における厚さより小さく、前記外周縁部における発泡倍率が前記中央部における発泡倍率より小さいことを特徴とするタイル、
が提供される。
【0012】
本発明の一態様においては、前記発泡層は、前記中央部における発泡倍率が1.2倍以上であり、前記外周縁部における発泡倍率が1.2倍未満である。
【0013】
本発明の一態様においては、前記ベース層、前記発泡層及び前記トップ層は、いずれも塩化ビニル系樹脂を含んでなる。
【0014】
本発明の一態様においては、前記タイルは外周端面における厚さが前記中央部の厚さの20%乃至80%の範囲内にある。
【0015】
本発明の一態様においては、前記トップ層は、表面構造層と、その上に形成された印刷層及び/または透明保護層とを含んでなる。本発明の一態様においては、前記表面構造層はガラス繊維により補強されたものである。本発明の一態様においては、前記トップ層は前記中央部において前記発泡層の厚さ変化に追従可能である。
【0016】
また、本発明によれば、以上の如き目的の何れかを達成するものとして、
上記のタイルを製造する方法であって、
ベース層材料、発泡層材料、及びトップ層材料をこの順に積層して積層体を形成する積層体形成工程と、
前記積層体の所要切断位置に対応する部分を上下方向に押圧して厚さ減少させることで減厚部を形成し、該減厚部の形状を維持しながら前記減厚部を加熱することで該減厚部の少なくとも一部を溶融させて前記減厚部における前記発泡層材料の発泡倍率を低下させ、次いで冷却することで前記減厚部を硬化させて形状固定する押圧加熱冷却工程と、
前記所要切断位置で前記積層体の減厚部を切断することで前記タイルを得る切断工程と、
を有することを特徴とする、タイルの製造方法、
が提供される。
【0017】
本発明の一態様においては、前記押圧加熱冷却工程における前記減厚部の加熱は高周波誘導加熱により行われる。本発明の一態様においては、前記切断工程における前記減厚部の切断は切断刃による機械的切断により行われる。本発明の一態様においては、前記切断工程における前記減厚部の切断は、前記所要切断位置が前記発泡層材料の溶融により発泡倍率の低下した部分を通るように行われる。
【0018】
また、本発明によれば、以上の如き目的の何れかを達成するものとして、
上記のタイルを製造する方法であって、
ベース層材料、発泡層材料、及びトップ層材料をこの順に積層して積層体を形成する積層体形成工程と、
前記積層体の所要切断位置に対応する部分を上下方向に押圧して厚さ減少させることで減厚部を形成し、該減厚部の形状を維持しながら前記減厚部を加熱することで該減厚部の少なくとも一部を溶融させて前記減厚部における前記発泡層材料の発泡倍率を低下させ、前記所要切断位置で前記積層体の減厚部を切断し、次いで冷却することで前記減厚部を硬化させて形状固定する押圧加熱切断冷却工程と、
を有することを特徴とする、タイルの製造方法、
が提供される。
【0019】
本発明の一態様においては、前記押圧加熱切断冷却工程において、前記押圧は押圧切断刃を用いて行われ、前記減厚部の加熱は前記押圧切断刃を用いた高周波誘導加熱により行われ、前記切断は前記押圧切断刃による溶断により行われる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のタイルは、良好なクッション性を有すると共に、つまずき発生の可能性が低く、めくれ上がり発生の可能性が低く、基材との接合の剥離の可能性も低い。
【0021】
また、本発明のタイルの製造方法によれば、以上のようなタイルを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明によるクッション性を有するタイルの一実施形態を示す模式的斜視図である。
【図2】図1の実施形態のタイルの模式的部分断面図である。
【図3】本発明によるタイルの製造方法の一実施形態を示す模式的工程断面図である。
【図4】本発明によるタイルの製造方法の実施例で得られた加工済みの積層体を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
図1は、本発明によるクッション性を有するタイルの一実施形態を示す模式的斜視図であり、図2はその模式的部分断面図である。
【0025】
タイル1は、ベース層2と発泡層4とトップ層6とを積層してなる。タイル1は、外周縁部1aの厚さがそれ以外の領域である中央部1bの厚さより小さく、外周縁部1aはトップ層6の側が面取り形状をなしている。面取り形状は、斜面状であってもよいし、所謂R面取り形状等の曲面状であってもよい。タイル1は、平面形状が矩形状とくに正方形状であり、平面寸法は例えば20cm平方〜90cm平方である。外周縁部1aの幅(外周端面からの寸法)Wは、例えば2mm〜10mmである。
【0026】
尚、以下において、タイル1の外周縁部1a及び中央部1bに対応するベース層2、発泡層4及びトップ層6の部分を、それぞれの外周縁部部分2a,4a,6a及び中央部部分2b,4b,6bという。
【0027】
ベース層2、発泡層4及びトップ層6は、いずれも、塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂を含んでなる層とすることができる。発泡層4には、所望により、クッション性の改善を目的として、スチレン−ブタジエン系の樹脂を添加することができる。
【0028】
ベース層2は、所謂アンコ層と呼ばれるものであり、所要の屈曲強度を有しており、厚さが例えば0.3mm〜1mmである。
【0029】
発泡層4は、外周縁部部分4aの厚さが中央部部分4bの厚さより小さい。また、発泡層4は、外周縁部部分4aにおける発泡倍率が中央部部分4bにおける発泡倍率より小さい。例えば、中央部部分4bにおける発泡倍率は1.2倍以上(好ましくは3倍以上)10倍以下(好ましくは5倍以下)である。外周縁部部分4aにおける発泡倍率は1.2倍未満(好ましくは1.1倍未満)である。
【0030】
トップ層6は、表面構造層61と、その上に形成された印刷層62と、その上に形成された透明保護層63とを含んでなる。トップ層6は、その中央部部分6bにおいて発泡層4の中央部部分4bの厚さ変化(足で踏まれること等に基づく厚さ変化)に追従可能である。このような繰り返しの厚さ変化追従における耐久性の向上のために、表面構造層61をガラス繊維により補強されたものとすることが好ましい。印刷層62には、適宜の色彩または模様による表面意匠を形成することができる。但し、表面構造層61等の意匠をそのまま表面意匠として利用する場合には、印刷層62を省略してもよい。表面構造層61、印刷層62及び透明保護層63の厚さは、いずれも、例えば0.2mm〜0.5mmとすることができる。
【0031】
本実施形態においては、図2に示されるように、以上のようなタイル1を、構造物躯体の床面等の基材10の表面に、接着剤または粘着剤等からなる接合材層12を介して接合する。その際、同等な構成を持ち但し平面寸法及び表面意匠が適宜異なってもよい複数の矩形状のタイルを所望のパターンにて貼り付けて敷設する。図2には、外周端面1a’同士が互いに対向するように敷設された2つのタイル1,11が示されている。
【0032】
本実施形態においては、発泡層外周縁部部分4aにおける発泡倍率が発泡層中央部部分4bにおける発泡倍率より小さいので、タイル1は、外周縁部1aより中央部1bの方が柔軟性すなわちクッション性が高い。このため、各タイル1,11の平面面積の大部分を占める中央部1bでは良好なクッション性が得られ、しかも、他のタイルとの境界に近接して位置する各タイル1,11の外周縁部1aは、足で踏まれても形状変化は比較的少ない。このため、他のタイルとの表面段差の発生はほとんどなく、つまずき発生の可能性が低く、めくれ上がり発生の可能性も低く、基材10との接合の剥離の可能性も低い。
【0033】
また、タイル1は、外周端面1a’における厚さT1が中央部6bの厚さT0の20%乃至80%の範囲内にあることが好ましい。厚さT1が厚さT0の20%以上であることで基材10との接合(すなわちタイルの貼り付け)に際して隣接タイルとの突当て位置決め配置を一層良好に行うことができ、一層適切な接合が可能となり、基材10との接合の剥離の可能性も一層低下する。また、厚さT1が厚さT0の80%以下であることで、足で踏んだ時に外周縁部1aが中央部1bに比べて高い抵抗を示してクッション感覚に違和感を生じさせるようなことを一層防止することができる。
【0034】
図3を参照しながら、以上のようなタイル1の製造方法の第1の実施形態を説明する。
【0035】
先ず、図3(A)に示されるように、積層体形成工程において、ベース層2の材料となるベース層材料22、発泡層4の材料となる発泡層材料24、及びトップ層6の材料となるトップ層材料26を、この順に積層して積層体20を形成する。ここで、発泡層材料24の厚さは、形成すべき発泡層4の中央部部分4bの厚さと同一にする。
【0036】
次に、図3(B)に示されるように、押圧加熱冷却工程において、積層体20の所要切断位置(外周端面1a’を形成すべき位置)に対応する部分を押圧刃30により上下方向に押圧して厚さ減少させることで減厚部21を形成する。すなわち、減厚部21は、積層体20をその層厚方向に見た場合に、所要寸法にて矩形状に形成される。
【0037】
この減厚部21の断面形状を維持しながら、減厚部21を加熱することで該減厚部の少なくとも一部を溶融させる。この溶融により、減厚部21における発泡層材料24をも溶融させて、その発泡倍率を低下させる。次いで、冷却することで減厚部21を硬化させて形状固定する。
【0038】
押圧加熱冷却工程における減厚部21の加熱を、高周波誘導加熱により行うことができる。この場合、上記押圧刃30は電極刃であり、該電極刃と保持部材32との間に高周波電圧を印加する。また、押圧加熱冷却工程における減厚部21の冷却の手段としては、上記高周波電圧印加の停止に続く自然放冷を用いることができる。
【0039】
以上の押圧加熱冷却工程の終了により、図3(C)に示される形態が得られる。ここで、減厚部21における発泡層材料24の溶融により発泡倍率が低下した部分が符号24’で示されている。
【0040】
次に、図3(D)に示されるように、切断工程において、所要切断位置で積層体20の減厚部21を切断することでタイル1を得る。この切断工程における減厚部21の切断は、切断刃34による機械的切断により行うことができる。また、この切断工程における減厚部21の切断は、所要切断位置が発泡層材料24の溶融により発泡倍率の低下した部分24’を通るように行う。
【0041】
タイル1の製造方法の別の実施形態として、以下のような第2の実施形態が例示される。
【0042】
即ち、第1の実施形態と同様な積層体形成工程により形成された積層体20を用いて、次のような押圧加熱切断冷却工程を行う。第1の実施形態と同様にして所要切断位置に対応する部分を上下方向に押圧して厚さ減少させることで減厚部21を形成し、該減厚部の形状を維持しながら減厚部21を加熱することで該減厚部の少なくとも一部を溶融させて減厚部21における発泡層材料24の発泡倍率を低下させる。その後、第1の実施形態とは異なり、所要切断位置で積層体20の減厚部21を切断し、次いで冷却することで減厚部21を硬化させて形状固定する。この押圧加熱切断冷却工程においては、押圧は押圧切断刃を用いて行われ、減厚部21の加熱は前記押圧切断刃を用いた高周波誘導加熱により行われ、切断は前記押圧切断刃による圧力印加下での溶断により行われる。
【0043】
以上の実施形態の説明では、発泡層外周縁部部分4aがタイル外周端面1a’を形成するように外部に露出している例が示されているが、本発明では、これに限定されない。発泡層外周縁部部分4aは、外部に露出しなくともよく、即ちタイル外周端面1a’を形成しなくてもよい。この場合、タイル外周端面1a’は、ベース層外周縁部部分2a及びトップ層外周縁部部分6aにより形成される。
【0044】
また、以上の実施形態ではタイルが床タイルとして利用されるものとして説明されているが、本発明は、これに限定されず、例えば壁タイルとして利用されてもよい。
【実施例】
【0045】
以下、実施例により、本発明を更に説明する。
【0046】
[実施例1]
ベース層材料[アンコ層材料]
組成:
ポリ塩化ビニル 100重量部
ジオクチルフタレート 35重量部
炭酸カルシウム 260重量部
厚さ:0.45mm
発泡層材料
組成:
ポリ塩化ビニル 100重量部
ジオクチルフタレート 45重量部
炭酸カルシウム 30重量部
発泡剤 4.5重量部
発泡倍率3.5倍
厚さ:1.7mm
トップ層材料
表面構造層材料
組成:
ガラスペーパー 40g/m
塩ビゾル 320g/m
ポリ塩化ビニル 100重量部
ジオクチルフタレート 75重量部
炭酸カルシウム 30重量部
厚さ:0.35mm
印刷層材料
組成:
ポリ塩化ビニル 100重量部
ジオクチルフタレート 48重量部
炭酸カルシウム 40重量部
厚さ:0.3mm
透明保護層材料
組成:
ポリ塩化ビニル 100重量部
ジオクチルフタレート 40重量部
厚さ:0.3mm
を用いて、ラミネーターにより、図3(A)に示される積層体20を形成した。
【0047】
次に、5KW同時溶断高周波ウェルダー機(シリンダー圧10t)に、厚さ0.7mmの電極刃(押圧切断刃)を25cm角に作製した金型を、設置した。上記第2の実施形態に従って、電極刃で所要切断位置に対応する部分を上下方向に押圧して厚さ減少させることで減厚部21を形成し、該減厚部の形状を維持しながら減厚部21を加熱することで該減厚部の少なくとも一部を溶融させて、減厚部21における発泡層材料24の発泡倍率を1.05倍に低下させた。続いて、電極刃を用いて所要切断位置で積層体20の減厚部21を溶断により切断した。溶断の際の条件を、0.5A、6秒とした。次いで、自然放冷により冷却することで減厚部21を硬化させて形状固定した。
【0048】
これにより、平面寸法が25cm角で、中央部1bの厚さT0が約3.1mmで、外周端面1a’における厚さT1が約0.7mmで、外周縁部1aの幅Wが約3mmのクッション性を有するタイルが得られた。
【0049】
[実施例2]
実施例1と同様にして、積層体20を形成した。
【0050】
次に、5KW同時溶断高周波ウェルダー機(シリンダー圧10t)に、厚さ0.7mmの電極刃(押圧刃)を25cm角に作製した金型を、設置した。上記第1の実施形態に従って、電極刃で所要切断位置に対応する部分を上下方向に押圧して厚さ減少させることで減厚部21を形成し、該減厚部の形状を維持しながら減厚部21を加熱することで該減厚部の少なくとも一部を溶融させて、減厚部21における発泡層材料24の発泡倍率を1.05倍に低下させた。積層体20の溶断はしなかった。次いで、冷却することで減厚部21を硬化させて形状固定した。
【0051】
以上により得られた加工済みの積層体の部分拡大断面図を図4に示す。図4において、ベース層2が「アンコ層」と指示され、表面構造層61が「ガラス補強材」と指示され、透明保護層63が「透明層」と指示され、溶融により発泡倍率の低下した発泡層の部分24’が「誘導加熱された発泡層」と指示され、発泡倍率の低下しない発泡層の部分が「誘導加熱されていない発泡層」と指示されている。
【0052】
次に、切断刃により、図4に示される切断位置D,C,B,Aの順で、切断した。切断位置D,Cでの切断では、切断位置は「誘導加熱された発泡層」を通った。切断位置B,Aでの切断では、切断位置は「誘導加熱されていない発泡層」を通った。
【0053】
切断位置Dでの切断により、平面寸法が約25cm角で、中央部1bの厚さT0が約3.1mmで、外周端面1a’における厚さT1が約1.3mmで、外周縁部1aの幅Wが約4mmの、本発明によるクッション性を有するタイルが得られた。
【0054】
切断位置Cでの切断により、平面寸法が約25cm角で、中央部1bの厚さT0が約3.1mmで、外周端面1a’における厚さT1が約2.6mmで、外周縁部1aの幅Wが約3mmの、本発明によるクッション性を有するタイルが得られた。
【0055】
切断位置B,Aでの切断では、「誘導加熱されていない発泡層」の作用により、切断端面における厚さが復元し、本発明によるクッション性を有するタイルは得られなかった。
【符号の説明】
【0056】
1,11 タイル
1a 外周縁部
1a’ 外周端面
1b 中央部
2 ベース層
2a 外周縁部部分
2b 中央部部分
4 発泡層
4a 外周縁部部分
4b 中央部部分
6 トップ層
6a 外周縁部部分
6b 中央部部分
61 表面構造層
62 印刷層
63 透明保護層
10 基材
12 接合材層
20 積層体
21 減厚部
22 ベース層材料
24 発泡層材料
24’ 発泡倍率低下部分
26 トップ層材料
30 押圧刃
32 保持部材
34 切断刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース層と発泡層とトップ層とを積層してなるタイルであって、
該タイルは外周縁部の厚さが中央部の厚さより小さく、前記外周縁部は前記トップ層の側が面取り形状をなしており、
前記発泡層は、前記外周縁部における厚さが前記中央部における厚さより小さく、前記外周縁部における発泡倍率が前記中央部における発泡倍率より小さいことを特徴とするタイル。
【請求項2】
前記発泡層は、前記中央部における発泡倍率が1.2倍以上であり、前記外周縁部における発泡倍率が1.2倍未満であることを特徴とする、請求項1に記載のタイル。
【請求項3】
前記ベース層、前記発泡層及び前記トップ層は、いずれも塩化ビニル系樹脂を含んでなることを特徴とする、請求項1または2に記載のタイル。
【請求項4】
前記タイルは外周端面における厚さが前記中央部の厚さの20%乃至80%の範囲内にあることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載のタイル。
【請求項5】
前記トップ層は、表面構造層と、その上に形成された印刷層及び/または透明保護層とを含んでなることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載のタイル。
【請求項6】
前記表面構造層はガラス繊維により補強されたものであることを特徴とする、請求項5に記載のタイル。
【請求項7】
前記トップ層は前記中央部において前記発泡層の厚さ変化に追従可能であることを特徴とする、請求項1乃至6の何れか一項に記載のタイル。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載のタイルを製造する方法であって、
ベース層材料、発泡層材料、及びトップ層材料をこの順に積層して積層体を形成する積層体形成工程と、
前記積層体の所要切断位置に対応する部分を上下方向に押圧して厚さ減少させることで減厚部を形成し、該減厚部の形状を維持しながら前記減厚部を加熱することで該減厚部の少なくとも一部を溶融させて前記減厚部における前記発泡層材料の発泡倍率を低下させ、次いで冷却することで前記減厚部を硬化させて形状固定する押圧加熱冷却工程と、
前記所要切断位置で前記積層体の減厚部を切断することで前記タイルを得る切断工程と、
を有することを特徴とする、タイルの製造方法。
【請求項9】
前記押圧加熱冷却工程における前記減厚部の加熱は高周波誘導加熱により行われることを特徴とする、請求項8に記載のタイルの製造方法。
【請求項10】
前記切断工程における前記減厚部の切断は切断刃による機械的切断により行われることを特徴とする、請求項8または9に記載のタイルの製造方法。
【請求項11】
前記切断工程における前記減厚部の切断は、前記所要切断位置が前記発泡層材料の溶融により発泡倍率の低下した部分を通るように行われることを特徴とする、請求項8乃至10の何れか一項に記載のタイルの製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至7に記載のタイルを製造する方法であって、
ベース層材料、発泡層材料、及びトップ層材料をこの順に積層して積層体を形成する積層体形成工程と、
前記積層体の所要切断位置に対応する部分を上下方向に押圧して厚さ減少させることで減厚部を形成し、該減厚部の形状を維持しながら前記減厚部を加熱することで該減厚部の少なくとも一部を溶融させて前記減厚部における前記発泡層材料の発泡倍率を低下させ、前記所要切断位置で前記積層体の減厚部を切断し、次いで冷却することで前記減厚部を硬化させて形状固定する押圧加熱切断冷却工程と、
を有することを特徴とする、タイルの製造方法。
【請求項13】
前記押圧加熱切断冷却工程において、前記押圧は押圧切断刃を用いて行われ、前記減厚部の加熱は前記押圧切断刃を用いた高周波誘導加熱により行われ、前記切断は前記押圧切断刃による溶断により行われることを特徴とする、請求項12に記載のタイルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−255240(P2010−255240A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105107(P2009−105107)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(591065136)富双合成株式会社 (3)
【Fターム(参考)】