説明

クッション材及びマット積層構造体

【課題】すぐれたクッション性を備えると共に透湿性、通気性にすぐれ、濡れても速乾性のあるクッション材を提供する。
【解決手段】高分子材料を発泡させてつくられており、連続気泡構造を有すると共に比重が0.02〜0.04であり、厚みが少なくとも30mmであるクッション材C。また、高分子材料を発泡させてつくられ、連続気泡構造を有すると共に、比重が0.02〜0.04であるクッション材の上に、吸水性または吸湿性及び通気性を有するマット体を積層した、マット積層構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クッション材及びマット積層構造体に関するものである。更に詳しくは、すぐれたクッション性を備えると共に透湿性、通気性にすぐれ、濡れても速乾性のあるクッション材及びそれを使用したマット積層構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックなどの高分子材料に泡を含ませてつくる発泡体は、例えばクッション材をはじめとして、緩衝材、断熱材、防音材、防振材、浮力材等、様々な分野で使用されている。特にクッション材としての利用は顕著であり、このような発泡体は、ウレタンフォーム(ポリウレタン発泡体)等の多孔質材料に代表される。ウレタンフォーム等は、柔らかなクッション性にすぐれるが、透湿性や通気性に劣る。
【0003】
ウレタンフォーム等のこのような課題を改善するものとして、例えば特許文献1のクッション材がある。このクッション材は、クリンプかカールを有するポリエステル等の繊維を積層した繊維積層体の繊維に、樹脂、合成ゴム、天然ゴムなどを発泡させた発泡樹脂やゴムを含浸させ架橋して固化させたものであり、弾性復元力が良好であり、ソフトな感触と安定性にすぐれ、しかも軽量で通気性にもすぐれているというものである。
【0004】
【特許文献1】特開平10−77564号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のクッション材は、繊維積層体の繊維に樹脂、合成ゴム、天然ゴムなどを発泡させた発泡樹脂やゴムを含浸させ架橋して固化させたものであるために、繊維に層をなす発泡樹脂やゴムには厚みにムラが生じてしまう。
このため、繊維の密度がほぼ均一になるようにつくられていたとしても、発泡樹脂やゴムの厚みの違いによって孔が塞がれてしまう部分が多々生じることになる。
【0006】
したがって、このクッション材には、クッション性はもとより、透湿性や通気性にも部分や場所によってムラが生じやすく、安定した性能が得にくい。また、例えば濡れたときには乾きにくいため、濡れやすい場所で使用するものには利用しにくい課題がある。
さらに、前記のように製造工程が煩雑であり、この点からも性能が安定しにくく、コスト高になる課題もある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、すぐれたクッション性を備えると共に透湿性、通気性にすぐれ、濡れても速乾性のあるクッション材及びそれを使用したマット積層構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
本発明は、
高分子材料を発泡させてつくられたクッション材であって、
連続気泡構造を有し、
比重が0.02〜0.04である、
クッション材である。
【0009】
本発明のクッション材は、
厚みが少なくとも30mmであるのがより好ましい。
【0010】
本発明は、
高分子材料を発泡させてつくられ、連続気泡構造を有すると共に、比重が0.02〜0.04であるクッション材の上に、吸水性または吸湿性及び通気性を有するマット体を積層した、マット積層構造体である。
【0011】
クッション材の比重が0.02に満たないと、繊維状の部分が細くなって強度や撓み性、弾性が弱くなる傾向があり、クッション材としての機能を十分に発揮できなくなる傾向がある。
また、クッション材の比重が0.04を超えると、比重が大きくなり取り扱いがしにくくなる傾向があり、さらには気泡の割合が少なくなるため、通気性や透湿性が十分に発揮できなくなる傾向がある。
【0012】
マット積層構造体は、マット積層構造体を構成するクッション材とマット体が、接着や縫着等の手段によって一体化された構造でもよいし、単に重ね合わせられただけの分離可能な構造でもよい。
マット体としては、例えばバスマット、キッチンマット、トイレマット等、水回りのマットが採用されるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
(作用)
本発明に係るクッション材及びマット積層構造体の作用を説明する。なお、ここでは、説明で使用する各構成要件に、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、特許請求の範囲の各請求項に記載した符号と同様に、あくまで内容の理解を容易にするためであって、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。
【0014】
クッション材(C)は、連続気泡構造を有し、しかも、比重が0.02〜0.04であるので、軽量であり取り扱い性にすぐれている。また、これにより、すぐれたクッション性を有しており、透湿性、通気性にもすぐれている。
【0015】
また、仮にクッション材(C)が濡れてしまったときにも、水が保持されにくく、速乾性がある。さらには、前記特許文献1記載のクッション材と比較して構造がごく簡単であり、製造工程も少なくて済むので、製造コストも安価に抑えることができる。
【0016】
マット積層構造体(M)は、例えばマット体(3)がバスマットであり、上側のマット体(3)を踏んで足の水気を取るような場合、クッション材(C)の適度なクッション性によって使用感にすぐれている。また、使用後にクッション材(C)がもとの厚さに復元したときには、クッション材(C)によってマット体(3)と床面の間に通気部となる多数の空隙が形成され、これによるすぐれた通気性によって、濡れたマット体(3)が乾きやすくなる。
【発明の効果】
【0017】
(a)本発明のクッション材は、高分子材料を発泡させてつくられ、連続気泡構造を有し、比重が0.02〜0.04である構成を有することにより、すぐれたクッション性を備えると共に透湿性、通気性にすぐれ、濡れても速乾性があり、特に水回りでの使用に有用である。
【0018】
(b)本発明のマット積層構造体は、マット体の下のクッション材の適度なクッション性によって使用感にすぐれている。また、使用後にクッション材がもとの厚さに復元したときには、クッション材によってマット体と床面の間に通気部となる多数の空隙が形成され、これによるすぐれた通気性によって、マット体が濡れている場合も乾きやすくなる。さらに、マット体の乾燥状態を維持しやすく、マット体を清潔に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を図に示した実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明に係るクッション材の一実施の形態を示す斜視図、
図2は図1のクッション材の平面視部分拡大図、
図3は発泡部の部分拡大説明図である。
【0021】
クッション材Cは、高分子材料を発泡させて、図1に示すように平面視長方形状のマット(またはシート)状に形成されている。クッション材Cは、本実施の形態では、高分子材料としてウレタンを採用しているが、発泡体形成後に繊維状となった材料が、所要の撓み性、変形性または弾性等を有し、クッション材Cにクッション性を付与することができれば、ポリエチレン等、他の高分子材料を採用してもよい。
【0022】
また、クッション材Cは、30mmの厚さに形成されている。クッション材Cの厚みは、これに限定されるものではなく、適宜設定可能であるが、十分なクッション性を確保するには30mm以上であるのが好ましい。クッション材Cは、本実施の形態では長方形状のマット状に形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば直方体形状、球形状等、必要に応じて様々な形状に形成することができる。
【0023】
さらに、クッション材Cは、連続気泡構造の発泡体であり、あたかも木枝状の繊維体1で組み上げられたような形態を有している。クッション材Cは、発泡体としての比重が0.02〜0.04の範囲で適宜設定されている。これにより、クッション材Cは、比較的厚く、すなわち厚さ30mmに形成されているにも関わらず、連続気泡で形成された空隙部2は、平面視において表裏を貫通した孔として多数確認することができる(図2、図3参照)。
【0024】
(作用)
図1ないし図3を参照して、本実施の形態のクッション材Cの作用を説明する。
クッション材Cは、連続気泡構造を有し、しかも、比重が0.02〜0.04であるので、軽量であり取り扱い性にもすぐれている。
【0025】
クッション材Cは、前記したように厚さ30mmに形成されているにも関わらず、連続気泡で形成された空隙部2が、平面視において表裏を貫通した孔として多数確認することができるほどである。この構造によって、クッション材Cはすぐれたクッション性を有し、透湿性、通気性にもすぐれている。
【0026】
したがって、クッション材Cが仮に濡れてしまったときにも、内部で水が保持されにくく、通気性がすぐれていることとも相まって、速乾性がある。さらには、構造がごく簡単であり、製造工程も少ない工程で済むので、製造コストも安価に抑えることができる。
【0027】
図4は本発明に係るマット積層構造体の一部切欠斜視図である。
マット積層構造体Mは、平面視長方形状のクッション材Cの上面にバスマットであるマット体3が重ね合わせられた構造を有している。本実施の形態では、クッション材Cとマット体3は一体化されておらず、分離可能である。
【0028】
(作用)
図4を参照して、本実施の形態のマット積層構造体Mの作用を説明する。
マット積層構造体Mは、上側のマット体3を踏んで足の水気を取るような場合、マット体3の下のクッション材Cの適度なクッション性によって使用感にすぐれている。
【0029】
また、使用後には上からの荷重がなくなってクッション材Cがもとの厚さに復元するが、復元したときには、クッション材Cの多数の空隙部2によって、マット体3と床面の間に通気部となる空隙が形成される。マット積層構造体Mは、これによりすぐれた通気性が発揮できるので、マット体3が濡れている場合も乾きやすくなる。さらに、マット体3の乾燥状態を維持しやすく、マット体3を清潔に保つことができる。
【0030】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るクッション材の一実施の形態を示す斜視図。
【図2】図1のクッション材の平面視部分拡大図。
【図3】発泡部の部分拡大説明図。
【図4】本発明に係るマット積層構造体の一部切欠斜視図。
【符号の説明】
【0032】
C クッション材
1 繊維体
2 空隙部
M マット積層構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子材料を発泡させてつくられたクッション材であって、
連続気泡構造を有し、
比重が0.02〜0.04である、
クッション材。
【請求項2】
厚みが少なくとも30mmである、
請求項1のクッション材。
【請求項3】
高分子材料を発泡させてつくられ、連続気泡構造を有すると共に、比重が0.02〜0.04であるクッション材の上に、吸水性または吸湿性及び通気性を有するマット体を積層した、
マット積層構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−35612(P2009−35612A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200048(P2007−200048)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(590001049)株式会社イケヒコ・コーポレーション (9)
【Fターム(参考)】