説明

クッション

【課題】骨盤が立った状態を維持することが可能なクッションを提供する。
【解決手段】クッション10は、左空気室11と、右空気室12と、連通路13とを備える。左空気室11および右空気室12は、内部に空気を充填可能である。連通路13は、左空気室11と右空気室12とを連通し、かつ左空気室11および右空気室12に充填される空気を互いに移動可能である。左空気室11および右空気室12において、前後方向の中心を通り、かつ左右方向に延在する中線Xよりも後ろ側の最大幅W11b、W12bは、中線Xよりも前側の最大幅W11a、W12aよりも大きい。左空気室11および右空気室12は、上側シートと、下側シートと、上側シートおよび下側シートを連結し、可撓性を有する連結部15、16とを含む。連結部15、16は、中線Xよりも前方に中心が位置するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クッションに関し、特に、使用者の着座による加圧によって変形するクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、姿勢の変化が楽で、座り心地を向上すべく空気を内部に充填したクッションが用いられている。たとえば特開2002−272563号公報(特許文献1)には、左右方向に2つ以上の空気室を並置し、各空気室を狭くした連通部にて連通しているエアー座布団が記載されている。この特許文献1に開示のエアー座布団は、左右方向および前後方向に対称の形状をしている。
【特許文献1】特開2002−272563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載のエアー座布団では、連通部より空気が空気室を移動することで、連通している空気室内の空気圧がバランスして安定的に支持していることが記載されている。しかし、特許文献1に開示のエアー座布団の形状および連結部の位置からは、エアー座布団に着座すると、骨盤が立った状態を維持することが困難であることを本発明者は見い出した。
【0004】
ここで、骨盤が立った状態を維持することが必要であることついて説明する。骨盤が後ろに傾くと、脊髄の正しいS字湾曲が保たれなくなり、腰に負担がかかるため、長時間座るときに腰痛が起こる原因の1つとなる。したがって、腰にかかる負担が少ない姿勢で座るためには骨盤を立った状態に維持する必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、骨盤が立った状態を維持することが可能なクッションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面におけるクッションは、使用者の着座による加圧によって変形するクッションであって、左空気室と、右空気室と、連通路とを備えている。左空気室および右空気室は、内部に空気を充填可能である。連通路は、左空気室と右空気室とを連通し、かつ左空気室および右空気室に充填される空気を互いに移動可能である。左空気室および右空気室において、前後方向の中心を通り、かつ左右方向に延在する中線よりも後ろ側の最大幅は、中線よりも前側の最大幅よりも大きい。
【0007】
本発明の他の局面におけるクッションは、使用者の着座による加圧によって変形するクッションであって、左空気室と、右空気室と、連通路とを備えている。左空気室および右空気室は、内部に空気を充填可能である。連通路は、左空気室と右空気室とを連通し、かつ左空気室および右空気室に充填される空気を互いに移動可能である。左空気室および右空気室の各々は、上側シートと、下側シートと、上側シートおよび下側シートを連結し、かつ可撓性を有する連結部とを含む。各々の連結部は、左空気室および右空気室の前後方向の中心を通り、かつ左右方向に延在する中線よりも前方に中心が位置するように配置される。
【0008】
上記連結部は、左空気室および右空気室の内部に配置され、かつ左空気室および右空気室の内部の空気を授受可能な内部空気室であってもよい。
【0009】
上記左空気室および右空気室において、中線よりも後ろ側の最大幅は、中線よりも前側の最大幅よりも大きくてもよい。
【0010】
上記左空気室および右空気室の各々は、前後方向において最大幅の部分から前側に向かって幅が徐々に狭くてもよい。
【0011】
上記連通路は、左空気室と右空気室との間に位置し、かつ中線上に位置してもよい。
上記左空気室および右空気室は、連通路の延在する方向に直交する軸に対して対称な形状であってもよい。
【0012】
上記左空気室と右空気室との間に、左空気室と右空気室とを接続する接続部をさらに備え、接続部上に連通路を設けてもよい。
【0013】
上記左空気室、右空気室および連通路を覆うカバー部をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一の局面におけるクッションでは、前側の最大幅が後ろ側の最大幅よりも狭いので、前側に太腿部が位置し、かつ後ろ側に臀部が位置するように使用者が着座すると、前側よりも後ろ側が盛り上がる。すなわち、使用者が着座すると、太腿部よりも臀部が高くなる。これにより、使用者の骨盤を立てた状態で維持することができる。
【0015】
また本発明の他の局面におけるクッションでは、左空気室および右空気室の前後方向の中心を通り、かつ左右方向に延在する中線よりも前方に中心が位置するように配置される連結部を備えている。この連結部により、前側に太腿部が位置し、かつ後ろ側に臀部が位置するように使用者が着座すると、前側が盛り上がることが抑制される。すなわち、前側よりも後ろ側が盛り上がり、太腿部よりも臀部が高くなる。これにより、使用者の骨盤を立てた状態で維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるクッションを概略的に示す上面図である。図2は、本発明の実施の形態1におけるクッションを構成する左空気室を拡大して概略的に示す上面図である。図3は、図1の線III−IIIに沿った断面図である。図4は、図1の線IV−IVに沿った断面図である。図5(A)〜(C)は、本発明の実施の形態1におけるクッションを構成する連結部を概略的に示す斜視図である。図1〜図5を参照して、本発明の一実施の形態におけるクッション10について説明する。本実施の形態におけるクッション10は、使用者の着座による加圧によって変形する。
【0018】
図1および図2に示すように、クッション10は、左空気室11と、右空気室12と、連通路13と、接続部14と、連結部15、16とを主に備えている。
【0019】
左空気室11および右空気室12は、内部に空気を充填可能である。左空気室11は、使用者がクッション10に着座したときに左臀部および左大腿部が位置し、右空気室12は、使用者がクッション10に着座したときに右臀部および右大腿部が位置する。また、図1において下側に大腿部が位置し、かつ上側に臀部が位置するように使用者がクッション10に着座したときに、大腿部が位置する方向を前とし、臀部が位置する方向を後ろとしている。
【0020】
左空気室11および右空気室12において、前後方向の中心を通り、かつ左右方向に延在する中線Xよりも後ろ側の最大幅W11b、W12bは、中線Xよりも前側の最大幅W11a、W12aよりも大きい。言い変えると、左空気室11および右空気室12において、後端部の最大幅W11b、W12は、前端部の最大幅W11a、W12aよりも広い。さらに言い換えると、クッション10の後端部の最大幅W10bは、前端部の最大幅W10aよりも広い。
【0021】
ここで、図1に示すように、前後方向および左右方向は直交する。また、「前後方向の中心」とは、左空気室11および右空気室12の前後方向に延在する最大長さにおける中点を言う。またクッション10の前端部とは、中線Xよりも前側を言い、クッション10の後端部とは、中線Xよりも後ろ側を言う。
【0022】
また、左空気室11および右空気室12の各々は、前後方向において最大幅(幅W11a、W11b)の部分から前側に向かって幅が徐々に狭くなることが好ましい。言い換えると、左空気室11および右空気室12の各々は、前後方向において後ろ側から最大幅の部分に向かって幅が広がる部分を含まない。さらに言い換えると、左空気室11および右空気室12の各々の前後方向における幅は、前側から最大幅の部分に向けて単調増加している。
【0023】
また、左空気室11および右空気室12は、略同一の形状であることが好ましい。また、左空気室11および右空気室12は、連通路13の延在する方向に直交する軸Yに対して対称な形状であってもよい。連通路13が曲線の場合には、連通路13の延在する方向とは、連通路13の最短距離を示す方向を言う。なお、軸Yは、クッション10の左右方向に延在する最大長さにおける中点を通り、かつ前後方向に延在する。
【0024】
図3および図4に示すように、左空気室11は、たとえば袋状であり、上側シート11aと、下側シート11bとを有している。上側シート11aと下側シート11bとの間に空気が充填可能である。右空気室12についても左空気室11と同様の構成である。
【0025】
連通路13は、左空気室11と右空気室12とを連通し、かつ左空気室11および右空気室12に充填される空気を互いに移動可能である。連通路13は、左空気室11と右空気室12との間に位置している。連通路13は、中線Xより後ろ側に位置している。
【0026】
連通路13は、たとえば左空気室11において右空気室12と対向する領域と、右空気室12において左空気室11と対向する領域とを接続するチューブである。連通路13がチューブの場合、チューブの内径は、たとえば2mm〜8mmである。チューブの内径が2mm以上の場合には、チューブ内を流れる空気の抵抗が大きくなりすぎることを抑制できる。チューブの内径が8mm以下の場合には、チューブ内を流れる空気の抵抗が小さくなりすぎることを抑制できる。したがって、チューブ10の内径を上記範囲にすることにより、安定感を保持しながら、筋肉への適度な負荷を与えることができる。
【0027】
なお、連通路13は、チューブに限定されず、接続部14に設けられる隙間などであってもよい。また、連通路13は1つであってもよく、複数設けられていてもよい。
【0028】
接続部14は、左空気室11と右空気室12との間に位置し、かつ左空気室11と右空気室12とを接続する。接続部14は、厚みが小さく、たとえばシート状の部材である。このため、左空気室11および右空気室12に明確な段差を持たせることができる。
【0029】
接続部14上に連通路13を設けてもよい。本実施の形態では、接続部14上で、連通路であるチューブを固定している。
【0030】
連結部15は、左空気室11において、上側シート11aと下側シート11bとを連結し(図3および図4参照)、可撓性を有する。図2に示すように、連結部15は、左空気室11の前後方向の中心を通り、かつ左右方向に延在する中線Xよりも前方に中心Oが位置するように配置される。言い換えると、連結部15の中心Oを通る軸線等において、後ろ側から中線Xまでの距離R1は、前側から中線Xまでの距離R2よりも小さい。連結部16についても、連結部15と同様の構成である。つまり、連結部16は、右空気室12において、上側シートと下側シートとを連結するとともに可撓性を有し、かつ右空気室12の前後方向の中心を通り、かつ左右方向に延在する中線Xよりも前方に中心が位置するように配置される。連結部15、16は、使用者がクッション10に着座した際に、前側での高さが大きくなることを抑制する部材である。
【0031】
ここで、連結部15の中心Oとは、上側シート11aに投影したときの中心である。連結部16の中心も連結部15の中心Oと同様である。たとえば、連結部15、16が矩形の場合の中心は、対向する頂点を結んだときに交わる点であり、円形の場合の中心は直径の中点であり、線の場合には、上側シート11aに投影したときの長さの中点である。
【0032】
本実施の形態では、図2および図5(A)〜(C)に示すように、連結部15、16は、左空気室11および右空気室12の内部に配置され、かつ左空気室11および右空気室12の内部の空気を授受可能な内部空気室である。左空気室11および右空気室12の内部の空気を授受可能にするために、連結部15、16には開口部15a、16aが設けられている。つまり、開口部15a、16aを通じて、左空気室11、右空気室12の内部に充填された空気が内部空気室である連結部15、16に移動可能である。なお、連通部15は、開口部15aを有している形状であればよく、図5(A)〜(C)のいずれかの形状であってもよく、他の形状であってもよい。
【0033】
また、連結部15、16は、可撓性を有しているので、加圧により変形可能である。このような連結部15、16を構成する材料として、たとえばウレタン、PVCなどを用いることができる。
【0034】
図2に示すように、連結部15の延在する方向(距離R1、R2の伸びる方向)は、左空気室11において連結部15と対向する領域Zの伸びる方向と略平行であることが好ましい。連結部15および領域Zが曲線の場合にはこの領域の接線が互いに平行であることが好ましい。連結部16についても連結部15と同様である。この場合には、着座したときのバランスを向上することができる。
【0035】
注入部17は、右空気室12の上側シートに形成されている。注入部17は、空気を右空気室12の内部に充填するときの入口となり、右空気室12の内部から外部へ空気を排出するときの出口となる。本実施の形態では、右空気室12と左空気室11とは連通路13を通じて連通されているので、注入部17から空気を注入すると、連通路13を介して左空気室11の内部にも空気を充填することができる。また、左空気室11および右空気室12の内部から空気を排出する際には、注入部17から外部に空気を排出することができる。
【0036】
本実施の形態におけるクッション10の平面形状はくさび形である。使用者が着座した際に、クッション10に使用者の臀部および大腿部がはみ出さないような形状であることが好ましい。また、左空気室11および右空気室12上に坐骨が位置することが好ましく、連結部15、16上に位置することがより好ましい。
【0037】
続いて、本実施の形態におけるクッション10の動作について説明する。まず、クッション10の注入部17を通じて、左空気室11および右空気室12に空気を充填する。
【0038】
この状態で、前側に太腿部が位置し、かつ後ろ側に臀部が位置するように使用者がクッション10上に着座すると、図4に示すように、前側よりも後ろ側が盛り上がる。つまり、前側よりも後ろ側が高くなる。これは、左空気室11および右空気室12において、前側の最大幅W11a、W12aが後ろ側の最大幅W11b、W12bよりも狭いこと、および、左空気室11および右空気室12の前後方向の中心を通り、かつ左右方向に延在する中線Xよりも前方に中心Oが位置するように配置される連結部15、16を備えていることの少なくとも一方に起因する。このため、使用者がクッション10に着座すると、太腿部よりも臀部の位置が高くなる。その結果、着座した使用者の骨盤を立てた状態で維持することができる。このように着座した使用者の骨盤を立てた状態で維持できれば、着座した姿勢を良好に保つことができる。よって、上述したように、腰にかかる負担を低減することできる。
【0039】
なお、使用者が着座した際には、図4において、前側から後ろ側に向けて上側シート11aが上側に徐々に膨らむ形状になることが好ましい。
【0040】
また、連通路13が左空気室11および右空気室12との内部の空気を連通しているので、姿勢を変更するときには、左空気室11および右空気室12に加圧される。このため、左空気室11および右空気室12の内部の空気が一方から他方へ移動する。つまり、本実施の形態では、左空気室11と右空気室12との間の空気の移動は、常に左右方向での移動となる。左空気室11と右空気室12とは連通路13のみで連通しているので、連通路13が抵抗になる。このため、骨盤を動かすことにより、骨盤周りの筋肉をほぐすことができるとともに、骨盤周りの筋肉を鍛えることができる。したがって、骨盤周りの柔軟性が高くなるので、骨盤を立たせることができ、骨盤を立たせた状態を長時間維持できる。その結果、長時間の正しい姿勢を続けることが可能となる。よって、上述したように、腰にかかる負担を低減することできる。
【0041】
以上より、本実施の形態におけるクッション10に座ると、骨盤を立った状態で維持できるような座り姿勢が得られるとともに、骨盤周りの柔軟性が高められれ、かつ骨盤周りの筋肉を鍛えることを同時に実現できる。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態におけるクッション10は、左空気室11および右空気室12において、前後方向の中心を通り、かつ左右方向に延在する中線Xよりも後ろ側の最大幅W11b、W12bは、中線Xよりも前側の最大幅W11a、W12aよりも大きい。
【0043】
これにより、前側の最大幅W11b、W12bが後ろ側の最大幅W11a、W12aよりも狭いので、前側に太腿部が位置し、かつ後ろ側に臀部が位置するように使用者が着座すると、前側よりも後ろ側が盛り上がる(膨らむ)。すなわち、使用者が着座すると、太腿部よりも臀部が高くなる。これにより、使用者の骨盤を立てた状態で維持することができる。
【0044】
また本実施の形態におけるクッション10は、左空気室11および右空気室12の各々は、上側シート11aと、下側シート11bと、上側シート11aおよび下側シート11bを連結し、可撓性を有する連結部15、16とを含む。各々の連結部15、16は、左空気室11および右空気室12の前後方向の中心を通り、かつ左右方向に延在する中線Xよりも前方に中心Oが位置するように配置される。
【0045】
これにより、左空気室11および右空気室12の前後方向の中心を通り、かつ左右方向に延在する中線Xよりも前方に中心Oが位置するように配置される連結部15、16を備えている。前側に太腿部が位置し、かつ後ろ側に臀部が位置するように使用者が着座すると、連結部15、16により、前側が盛り上がる(膨らむ)ことが抑制される。すなわち、前側よりも後ろ側が盛り上がり、太腿部よりも臀部が高くなる。これにより、使用者の骨盤を立てた状態で維持することができる。
【0046】
上記クッション10において好ましくは、連結部15、16は、左空気室11および右空気室12の内部に配置され、かつ左空気室11および右空気室12の内部の空気を授受可能な内部空気室である。
【0047】
これにより、左空気室11および右空気室12の前側の高さを効果的に抑制することができる。このため、使用者が着座すると、前側よりも後ろ側が盛り上がるクッション10を実現することができる。
【0048】
上記クッション10において、中線Xよりも後ろ側の最大幅W11b、12bは中線Xよりも前側の最大幅W11a、W12aよりも大きい左空気室11および右空気室12の構成と、連結部15、16の構成との両方を備えていることが好ましい。
【0049】
これにより、左空気室11および右空気室12の前側よりも後ろ側が盛り上がるクッション10をより効果的に実現することができる。
【0050】
上記クッション10において好ましくは、左空気室11および右空気室12の各々は、前後方向において最大幅の部分から前側に向かって幅が徐々に狭くなることが好ましい。
【0051】
これにより、左空気室11および右空気室12の前側よりも後ろ側が盛り上がるクッション10をより効果的に実現することができる。
【0052】
上記クッション10において好ましくは、左空気室11および右空気室12は、連通路13の延在する方向に直交する軸Yに対して対称な形状である。
【0053】
これにより、使用者が着座した際に、左右の臀部を均一に乗せることができるので、骨盤を安定して立てた状態で維持することができる。
【0054】
上記クッション10において好ましくは、左空気室11と右空気室12との間に、左空気室11と右空気室12とを接続する接続部14をさらに備え、接続部14上に連通路13を設ける。
【0055】
これにより、使用者の着座による左空気室11および右空気室12の変形を接続部14上で吸収することができる。
【0056】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2におけるクッションを概略的に示す上面図である。図7は、図6の線VII−VIIに沿った断面図である。図8は、図6の線VIII−VIIIに沿った断面図である。図6〜図8に示すように、本実施の形態におけるクッション20は、基本的には実施の形態1におけるクッション10と同様の構成を備えているが、左空気室11、右空気室12および連通路13を含むクッション10を覆うカバー部21をさらに備えている点において異なる。
【0057】
具体的には、カバー部21は、本体部22と、開口部23と、固定部24とを有している。本体部22は、クッション10を内部に収容する。開口部23は、本体部22の端部に形成され、実施の形態1のクッション10を内部に収容または外部へ取り出すために設けられている。本体部22は、クッション10を内部に収容した状態を保持するために開口部23を閉じるための留め具をさらに有していることが好ましい。留め具は、たとえばボタン、チャックなどを用いることができる。
【0058】
固定部24は、本体部22と接続されている。固定部24は、椅子などに固定するための部材であり、たとえば紐などを用いることができる。固定部24は、本体部22と一体成形されていてもよい。
【0059】
図9は、本発明の実施の形態2におけるクッションの変形例を概略的に示す上面図である。図9において線VII−VIIおよび線VIII−VIIIに沿った断面図は、図7および図8にそれぞれ対応する。
【0060】
図9に示すように、変形例におけるクッション30は、基本的には図7に示すクッション20と同様の構成を備えているが、カバー部21が本体部22と固定部24とを保持する保持部25をさらに有している点において異なる。
【0061】
具体的には、本体部22には保持部25が接続されている。保持部25と本体部22とで形成される開口部に固定部24を通している。つまり、保持部25を介して本体部22と固定部24とが接続されている。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態およびその変形例におけるクッション20、30は、左空気室11、右空気室12および連通路13を含むクッション10を覆うカバー部21をさらに備えている。これにより、クッションの外観を良好にすることができるとともに、より利便性を向上することができる。
【0063】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1におけるクッションを概略的に示す上面図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるクッションを構成する左空気室を拡大して概略的に示す上面図である。
【図3】図1の線III−IIIに沿った断面図である。
【図4】図1の線IV−IVに沿った断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1におけるクッションを構成する連結部を概略的に示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態2におけるクッションを概略的に示す上面図である。
【図7】図6の線VII−VIIに沿った断面図である。
【図8】図6の線VIII−VIIIに沿った断面図である。
【図9】本発明の実施の形態2におけるクッションの変形例を概略的に示す上面図である。
【符号の説明】
【0065】
10,20,30 クッション、11 左空気室、11a 上側シート、11b 下側シート、12 右空気室、13 連通路、14 接続部、15,16 連結部、15a,16a,22,23 開口部、17 注入部、21 カバー部、22 本体部、24 固定部、25 保持部、O 中心、R1,R2 距離、W10a,W10b,W11a,W11b,W12a,W2b 最大幅、X 中線、Y 軸、Z 領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の着座による加圧によって変形するクッションであって、
内部に空気を充填可能な左空気室および右空気室と、
前記左空気室と前記右空気室とを連通し、かつ前記左空気室および前記右空気室に充填される空気を互いに移動可能な連通路とを備え、
前記左空気室および前記右空気室において、前後方向の中心を通り、かつ左右方向に延在する中線よりも後ろ側の最大幅は、前記中線よりも前側の最大幅よりも大きい、クッション。
【請求項2】
使用者の着座による加圧によって変形するクッションであって、
内部に空気を充填可能な左空気室および右空気室と、
前記左空気室と前記右空気室とを連通し、かつ前記左空気室および前記右空気室に充填される空気を互いに移動可能な連通路とを備え、
前記左空気室および前記右空気室の各々は、上側シートと、下側シートと、前記上側シートおよび前記下側シートを連結し、かつ可撓性を有する連結部とを含み、
各々の前記連結部は、前記左空気室および前記右空気室の前後方向の中心を通り、かつ左右方向に延在する中線よりも前方に中心が位置するように配置される、クッション。
【請求項3】
前記連結部は、前記左空気室および前記右空気室の内部に配置され、かつ前記左空気室および前記右空気室の内部の空気を授受可能な内部空気室である、請求項2に記載のクッション。
【請求項4】
前記左空気室および前記右空気室において、前記中線よりも後ろ側の最大幅は、前記中線よりも前側の最大幅よりも大きい、請求項2または3に記載のクッション。
【請求項5】
前記左空気室および前記右空気室の各々は、前後方向において最大幅の部分から前側に向かって幅が徐々に狭くなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のクッション。
【請求項6】
前記左空気室および前記右空気室は、前記連通路の延在する方向に直交する軸に対して対称な形状である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のクッション。
【請求項7】
前記左空気室と前記右空気室との間に、前記左空気室と前記右空気室とを接続する接続部をさらに備え、
前記接続部上に前記連通路を設けた、請求項1〜6のいずれか1項に記載のクッション。
【請求項8】
前記左空気室、前記右空気室および前記連通路を覆うカバー部をさらに備えた、請求項1〜7のいずれか1項に記載のクッション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−142598(P2010−142598A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326287(P2008−326287)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)
【Fターム(参考)】