説明

クラッカー

【課題】
コンパクトな形状で嵩張ることがないクラッカーを提供する。
【解決手段】
開閉自在な蓋片を有するクラッカー本体と、このクラッカー本体内に配置された火薬体と、前記クラッカー本体から導出され、その引張り操作により前記火薬体を爆発させる引き紐とを備え、前記クラッカー本体は、台紙を該台紙から前記引き紐を導出させた状態で該台紙によって前記火薬体を覆うようにして扁平に折畳んで形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーティー等において雰囲気を盛り上げるために用いられるクラッカーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のクラッカーは、例えば中空円錐状に形成されたクラッカー本体の内部に火薬体が収容されるとともに、この火薬体に連設された引き紐がクラッカー本体から導出され、この引き紐を引張り操作することにより火薬体が爆発するようになっている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】特開平8−219694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のクラッカーにおいては、クラッカー本体が中空円錐状に形成されているため、製造後、保管箱内に収納する際に、クラッカー本体が嵩張って保管箱内に収納できるクラッカーの数が少なくならざるを得ない。そのため、クラッカーの保管及び輸送に大きなスペースが必要となり、保管効率及び輸送効率が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、コンパクトな形状で嵩張ることがないクラッカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るクラッカーは、開閉自在な蓋片を有するクラッカー本体と、このクラッカー本体内に配置された火薬体と、前記クラッカー本体から導出され、その引張り操作により前記火薬体を爆発させる引き紐とを備え、前記クラッカー本体は、扁平に形成されていることを特徴としている。
【0007】
本発明のクラッカーによると、クラッカー本体を扁平に形成することにより、クラッカー本体がコンパクト形状で嵩張ることがない。従って、クラッカー製造後、クラッカーを保管箱内に収納する際に、保管箱内に収納できるクラッカーの数を大幅に増やすことが可能である。
【0008】
また、クラッカー本体は、台紙を該台紙から前記引き紐を導出させた状態で該台紙によって火薬体を包むように折畳んで形成されている。これにより、クラッカー本体の形成に伴ってクラッカー本体内に火薬体を配置することができる。従って、クラッカー本体の作製とそのクラッカー本体内への火薬体の収容とを一工程で済ませることができ、クラッカーの製造工数を削減することが可能である。
【0009】
また、火薬体は、引き紐の引張り操作時にその引張り方向に移動しないように台紙の内側に保持されている。火薬体を保持するための手段として、台紙に切り欠きが形成され、該切欠きに火薬体を係合させて切欠きにおける台紙の縁部によって引き紐の引張り操作時に火薬体を係止する。これにより、引き紐を引張り操作すると、引き紐の引張り方向へ移動しないように保持されている火薬体に対して引き紐が摺動し、この引き紐の摺動摩擦によって火薬体が爆発する。従って、引き紐を引張り操作することにより火薬体を確実に爆発させることが可能である。
【0010】
前記クラッカー本体は、側縁部で互いに折畳み自在に連結された下端部を頂点とする三角形状の複数の本体片と、これらの本体片のいずれか1つの上縁部に折畳み自在に連結された蓋片とを備え、複数の本体片は、火薬体を包むようにして折畳まれ、蓋片は、折畳み状態の複数の本体片に重なるようにして折畳まれてこの状態において対峙する本体片に止着され、該蓋片によりクラッカー本体の折畳み状態が保持されている。これにより、複数の本体片を該複数の本体片で火薬体を包むようにして折畳み、次いで、蓋片を折畳み状態の複数の本体片に重なるようにして折畳んだ後、蓋片を折畳んだ状態において対峙する本体片に止着することにより、クラッカー本体を扁平形態に形成することができる。従って、クラッカー本体を接着剤によって接着せずに成形させることができ、従来に比べて手間を要さずに簡単に製造すること可能である。
【0011】
更に、前記本体片の側縁部に火薬体を保持するための切欠きを有する保持片が連結され、該切欠きに火薬体を係合させて切欠きにおける台紙の縁部によって引き紐の引張り操作時に火薬体を係止する。これにより、引き紐を引張り操作しても、火薬体は保持片の切欠きに保持されているので、火薬体はクラッカー本体に対して引き紐の引張り方向に移動しない。従って、引き紐を引張り操作すると、火薬体に対して引き紐が摺動してその摺動摩擦で火薬体を爆発させることが可能である。
【0012】
更に、前記蓋片が、折畳み状態の複数の本体片に重なるようにして折畳まれた状態において対峙する本体片に設けられた差込口に抜差し自在に差込み係止されている。これにより、引き紐の引張り操作により火薬体が爆発し、火薬体の爆発による圧力が蓋片に作用すると、蓋片は差込口から抜け出して勢いよく開かれ、爆発音を放出させることが可能である。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明のクラッカーは、製造後、保管箱内に収納する際に、保管箱内に収納できるクラッカーの数を大幅に増やすことが可能であるから、クラッカーの保管時及び輸送時のスペースが少なくて済み、保管効率及び輸送効率を向上することができて経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。図1乃至図6は本発明の一実施形態のクラッカーAを示す。このクラッカーAは、三角形状の扁平な巻き袋状のクラッカー本体10の内部に火薬体20を収容し、火薬体20に連設された引き紐21をクラッカー本体10の下端部から外部に導出させたものである。
【0015】
クラッカー本体10は、図5に示す如き、1枚の平板状の台紙11からなり、この台紙11を折畳むことによって三角形状の扁平な巻き袋状に形成される。
【0016】
台紙11は、下端部を頂点とする三角形状の本体片、即ち、表面片12と、この表面片12の一方の傾斜側縁(図5中の左方の傾斜側縁)に折畳み自在に連結され、表面片12と略同一の大きさ及び形状の本体片、即ち、裏面片13と、表面片12の他方の傾斜側縁(図5中の右方の傾斜側縁)に折畳み自在に連結され、表面片12及び裏面片13と略同一の大きさ及び形状の本体片、即ち、中間片14と、その中間片14の表面片12と連結する反対側の傾斜側縁(図5中の右方の傾斜側縁)に折畳み自在に連結された略台形形状の保持片15と、表面片12の上端縁に折畳み自在に連結された上端部を頂点とする三角形状の蓋片16とを備えている。尚、台紙11の内面には図示されていないがマンガの人気キャラクター等のイラストや動物、風景等の絵や宣伝等のメッセージ等が描かれている。
【0017】
裏面片13は、適宜の位置に蓋片16の先端部16aが差込み可能な波形状の差込口17を設けている。
【0018】
保持片15は、上端側に上方に開口する縦長の切欠き18を設け、この切欠き18に火薬体20を係合して保持する。即ち、切欠き18における保持片15の縁部で火薬体20の下端を係止して火薬体20が下方に移動しないようになっている。切欠き18の上端部には、上部側を保持片15の上端縁から半円状に大きく切欠いた半円状部18aを設けて火薬体20が爆発し易い形状としてある。
【0019】
蓋片16は、折畳み状態の表面片12及び裏面片13のうちの裏面片13上に折り重ねられてその表面片12及び裏面片13の上端部を閉塞させるものである。蓋片16は、折畳み状態の表面片12及び裏面片13のうちの裏面片13上に折り重ねられた状態において、先端部16aを裏面片13に設けられた差込口17に差込み係止させることにより、表面片12及び裏面片13の折畳み状態を保持しながらその上端部を閉塞する。
【0020】
火薬体20は、所定量の火薬を薄い紙等で棒状に巻装して形成した公知のものであり、その内部に適宜の長さの引き紐21が通し付けて連設されている。引き紐21は、クラッカー本体10の下端部から外部に導出されており、この引き紐21を引張り操作することによって火薬体20が爆発するようになっている。
【0021】
クラッカーAは、図6に示すようにして製造される。即ち、先ず、台紙11の保持片15の切欠き18に火薬体20を係合して保持させるとともに、火薬体20に連設された引き紐21を台紙11の保持片15の下方に導出させる(図6[a]参照)。場合により火薬体10を更に図示しない接着テープで台紙11の保持片15に止着させることもある。この状態において、台紙11の保持片15を中間片14との連結部において折返して中間片14の内面側に折畳む(図6[b]参照)。次に、台紙11の中間片14を表面片12との連結部において折返して保持片15とともに表面片12の内面側に折畳む(図6[c]参照)。更に、台紙11の裏面片13を表面片12との連結部において折返して表面片12との間に中間片14及び保持片15を挟むように中間片14上に折畳む(図6[d]参照)。この後、蓋片16を表面片12との連結部において折返して折畳み状態の表面片12及び裏面片13の上端部を閉塞するように裏面片13上に折畳んだ後、蓋片16の先端部16aを裏面片13の差込口17に差込み係止させてクラッカー本体10を成形することにより、クラッカー本体10内に火薬体20が包まれて収容されたクラッカー本体Aが製造される。
【0022】
クラッカーAは前述の如く構成されており、次にその使用要領について説明する。クラッカー本体10を片手で把持した状態で、他方の手で引き紐21を掴んで引張り操作する。すると、クラッカー本体10の保持片15に係合されて移動が阻止されている火薬体20に対して引き紐21が摺動し、この引き紐21の摺動摩擦によって火薬体20が爆発される。火薬体20の爆発による圧力はクラッカー本体10の蓋片16に作用し、蓋片16は先端部16aを差込口17から抜き出して勢いよく開かれ、爆発音が放出される。
【0023】
クラッカーAによると、クラッカー本体10を扁平形態に形成したから、クラッカー本体10がコンパクト形状で嵩張ることがない。このようにクラッカー本体10がコンパクト形状で嵩張ることがないので、製造後、保管箱内に収納する際に、保管箱内に収納できるクラッカーの数を大幅に増やすことができる。これにより、クラッカーAの保管時及び輸送時のスペースが少なくて済み、保管効率及び輸送効率を向上することができて経済的である。
【0024】
また、クラッカーAによると、クラッカー本体10を台紙11を該台紙11によって火薬体20を包みようにして折畳んで形成しているから、クラッカー本体10を形成と同時に台紙11で火薬体20を包んでクラッカー本体10の内部に火薬体20を収容させた状態にできるから、クラッカー本体10の作製とそのクラッカー本体10の内部への火薬体20の収容とが1つの工程となり、クラッカーの製造工数を削減してクラッカーの製造における作業性や生産性の向上並びに製造コストの低減を可能にする。
【0025】
また、クラッカーAによると、クラッカー本体10は台紙11を折畳んで蓋片16を裏面片13に差込み係止により止着させただけのものであるから、使用後、クラッカー本体10を容易に展開することができる。従って、使用後もクラッカー本体10を展開して台紙11の内面に描かれているマンガの人気キャラクター等のイラストや動物、風景等の絵や宣伝等のメッセージ等を眺めて楽しむことができる。因みに、クラッカー本体10が差込み係止による止着ではなくて接着剤による強固な接着である場合、クラッカー本体10を展開するのに非常に手間を要するという不都合があるので、使用後にクラッカー本体10を展開して台紙11の内面に描かれているマンガの人気キャラクター等のイラストや動物、風景等の絵や宣伝等のメッセージ等を眺めて楽しもうという気持ちは起こらない。
【0026】
尚、クラッカーAでは、引き紐21の引張り時に火薬体20を引き紐21の引張り方向に移動しないように保持するため、クラッカー本体10の台紙11における保持片15に切欠き18を設け、この切欠き18に火薬体20を係合することにより保持しているが、切欠き18以外の火薬体20をクラッカー本体10の台紙11における保持片15に保持させる手段を用いるようにしてもよい。例えば、図7に示すように、クラッカー本体10の台紙11における保持片15の内面側に火薬体20を接着テープ19で取付けることにより、クラッカー本体10の保持片15に火薬体20を引き紐21の引張り時にその引張り方向に移動しないように保持する。
【0027】
また、クラッカーAでは、クラッカー本体10の保持片15に設けた切欠き18の上部側に火薬体20が爆発し易いように保持片15の上端縁から半円状に大きく切欠いた半円状部18aを設けているが、必ずしも切欠き18の上部側に半円状部18aを設ける必要はない。
【0028】
また、クラッカーAでは、クラッカー本体10に中間片14を設けているが、必ずしもクラッカー本体10には中間片14を設ける必要はない。クラッカー本体10に中間片14を設けない場合は、クラッカー本体10の台紙11において表面片12の他方の傾斜側縁に保持片16を連結し、保持片15を表面片12と裏面片13との挟み込むようにして折畳む。
【0029】
更に、クラッカーAでは、クラッカー本体10の裏面片13に設けた差込口17を波形状に形成しているが、差込口17は必ずしも波形状に形成する必要はなく、波形状以外の蓋片16の先端部16aを差込み係止させることができる形状、例えば、直線状、山形状等に形成してもよい。
【0030】
また、クラッカーAでは、クラッカー本体10の蓋片16の先端部16aを裏面片13に設けた差込口17に差込み係止するようにしているが、差込み係止させる以外にも例えば火薬体の爆発時に剥がれるように蓋片16を接着剤や接着テープによって裏面片13に止着してもよい。
【0031】
以上、本発明の実施形態のクラッカーAについて説明したが、本発明は前記実施形態のクラッカーAに限定されるものではない。以下に、本発明の他の実施形態について説明する。
【0032】
図8及び図9に示す実施形態のクラッカーBは、火薬体20が三角形状の扁平な二つ折りのクラッカー本体30内に配置され、火薬体20に連設された引き紐21がクラッカー本体30の上端部から外部に導出されたものである。
【0033】
クラッカー本体30は、図9に示す如き、1枚の平板状の台紙31からなり、この台紙31を二つ折りに折畳むことによって扁平な三角形状に形成される。
【0034】
台紙31は、下端部を頂点とする三角形状の本体片32と、この本体片32の上端縁に折畳み自在に連結された上端部を頂点とする三角形状の蓋片33とを備えている。本体片32は、所定の位置に蓋片33の先端部33aが差込み可能なU字形状の差込口34を設けている。また、本体片32と蓋片33との連結部における中央部には、火薬体20に連設された引き紐21が挿通可能な挿通孔35が設けられている。尚、台紙31の内面には図示されていないがマンガの人気キャラクター等のイラストや動物、風景等の絵や宣伝等のメッセージ等が描かれている。
【0035】
クラッカーBは、台紙31の本体片32の内面側に火薬体20を接着テープ36によって取付けるとともに、台紙31の挿通孔35に火薬体20に連設された引き紐21を挿通させた状態で、台紙31の蓋片33を本体片32との連結部において折返して本体片32の内面側に折畳み、この後、蓋片33の先端部33aを本体片32の差込口34に差込み係止してクラッカー本体30を形成することにより製造される。このクラッカーBにおいては、火薬体20を接着テープ36によってクラッカー本体30の本体片32の内面側に取付けていることにより、火薬体20はクラッカー本体30内で引き紐21の引張り時にその引張り方向に移動しないように保持されている。
【0036】
クラッカーBは前述の如く構成されており、クラッカー本体30の下端部分を片手で把持した状態で、他方の手で引き紐21を掴んで引張り操作すると、火薬体20が引き紐21との摺動摩擦によって爆発し、火薬体20の爆発による圧力がクラッカー本体30の蓋片33に作用し、蓋片33は先端部33aを本体片32の差込口34から抜き出して勢いよく開かれ、爆発音が放出される。
【0037】
尚、クラッカーBでは、クラッカー本体30の本体片32を三角形状に形成しているが、クラッカー本体30は三角形状以外の形状、例えば、ハート形状、舌片形状等に形成してもよい。
【0038】
また、クラッカーBでは、クラッカー本体30の蓋片33の先端部33aを本体片32に設けた差込口34に差込み係止するようにしているが、差込み係止させる以外にも例えば火薬体の爆発時に剥がれるように蓋片33を接着剤や接着テープによって本体片32に止着してもよい。
【0039】
図10及び図11に示す実施形態のクラッカーCは、火薬体20が舌片形状の扁平な二つ折りのクラッカー本体40内に配置され、火薬体20に連設された引き紐21がクラッカー本体40の上端部から外部に導出されたものである。
【0040】
クラッカー本体40は、図11に示す如き、1枚の平板状の台紙41からなり、この台紙41を二つ折りに折畳むことによって扁平な舌片形状に形成される。
【0041】
台紙41は、下端側が円弧状に形成された舌片形状の本体片、即ち、裏面片42と、この裏面片42の上端縁に折畳み自在に連結され、裏面片42と略対称形状、即ち、上端側が円弧状に形成された舌片形状の本体片、即ち、表面片43とを備えている。表面片43は、所定の位置に上端部を頂点とする三角形状の蓋片44を設けている。蓋片44は、表面片43に設けたV字状の切込み45により形成され、表面片43に対して折返し自在になっている。また、裏面片42と表面片43との連結部における中央部には、火薬体20に連設された引き紐21が挿通可能な挿通孔46が設けられている。尚、台紙41の内面には図示されていないがマンガの人気キャラクター等のイラストや動物、風景等の絵や宣伝等のメッセージ等が描かれている。
【0042】
クラッカーCは、台紙41の裏面片42の内面側に火薬体20を接着テープ47によって表面片43の蓋片44と対峙するようにして取付けるとともに、台紙41の挿通孔46に火薬体20に連設された引き紐21を挿通させた状態で、台紙41の表面片43を裏面片42との連結部において折返して裏面片42の内面側に折畳んだ後、裏面片42と表面片43とを止着し、この後、蓋片44を接着テープ48で表面片43に止着してクラッカー本体40を形成することにより製造される。このクラッカーCにおいては、火薬体20を接着テープ47によってクラッカー本体40の裏面片42の内面側に取付けていることにより、火薬体20はクラッカー本体40内で引き紐21の引張り時にその引張り方向に移動しないように保持されている。裏面片42と表面片43とは、折畳んだ状態の裏面片42及び表面片43の下側部分同士又は周辺部分同士を図示しない接着テープにより止着させる。尚、蓋片44を表面片43に止着する接着テープ48は、火薬体20の爆発時に容易に剥がれるようになっている。また、折畳んだ状態の裏面片42及び表面片43の下側部分同士又は周辺部分同士を止着する接着テープは、使用後にクラッカー本体40を展開する際に展開し易いように剥がし易いものを使用する。
【0043】
クラッカーCは前述の如く構成されており、クラッカー本体40の下側部分を片手で把持した状態で、他方の手で引き紐21を掴んで引張り操作すると、火薬体20が引き紐21との摺動摩擦によって爆発し、火薬体20の爆発による圧力がクラッカー本体40の表面片43における蓋片44に作用し、蓋片44に火薬体20の爆発による圧力が作用することで、蓋片44を表面片43に止着していた接着テープ48が外れて蓋片44が表面片43に対して勢いよく開き、爆発音が放出される。
【0044】
尚、クラッカーCでは、クラッカー本体40の表面片43における蓋片44は切込み45によって形成されて該切込み45によって表面片43に対して折返し自在となっているが、クラッカー本体40の表面片43における蓋片44を形成する切込み45の一部を切り残し、蓋片44を切り残し部分で表面片43に繋いでおいてもよい。この場合、クラッカー本体40の表面片43における蓋片44が切込み45の切り残し部分で表面片43に繋がっているため、通常、蓋片44は表面片43に対して折れ曲がって開いてしまうことはないが、火薬体20が爆発すると、その爆発による圧力で切込み45の切り残し部分が破断して蓋片44が表面片43から切り離されてしまうため、蓋片44は容易に表面片43に対して折れ曲がって開いてしまう。このようにクラッカー本体40の表面片43における蓋片44を切込み45の切り残し部分で表面片43に繋いでおくと、クラッカーCの如く、蓋片44を接着テープによって表面片43に止着させる必要がなくなる。
【0045】
また、クラッカーCでは、クラッカー本体40を舌片形状に形成しているが、クラッカー本体40は舌片形状以外の形状、例えば、ハート形状、三角形状等に形成してもよい。
【0046】
図12乃至図14に示す実施形態のクラッカーDは、火薬体20が扁平な三角形状のクラッカー本体50の内部に配置され、火薬体20に連設された引き紐21がクラッカー本体50の下側の一方角部(図12中の左方角部)から外部に導出されたものである。
【0047】
クラッカー本体50は、図13に示す如き、1枚の平板状の台紙51からなり、この台紙51を折畳むことによって扁平な三角形状に形成される。
【0048】
台紙51は、上端部を頂点とする三角形状の本体片、即ち、裏面片52と、この裏面片52の下端縁に折畳み自在に連結され、その連結部において裏面片52と略対称形状の本体片、即ち、表面片53と、裏面片52の一方の傾斜側縁(図13中の左方の傾斜側縁)に折畳み自在に連結され、その連結部において裏面片52と略対称形状の本体片、即ち、中間片54と、この中間片54に折畳み自在に連結され、その連結部において中間片54と略対称形状の保持片55と、表面片53の一方の斜側縁(図13中の右方の斜側縁)に折畳み自在に連結された台形形状の差込片56とを備えている。尚、台紙51の内面には図示されていないがマンガの人気キャラクター等のイラストや動物、風景等の絵や宣伝等のメッセージ等が描かれている。
【0049】
表面片53は、裏面片52との連結部中央から下側の角部の頂点まで切込み57を設け、この切込み57を境に一方半分(図13中の左方半分)を蓋部53aとしている。中間片54は、裏面片52及び保持片55との連結側の角部付近に舌片形状の開口部58を設けている。保持片55は、中間片54に向けて折畳んだ際に中間片54の開口部58と対峙する位置に火薬体20が係合可能な係合孔59を設け、この係合孔59に火薬体20を係合させて保持するようになっている。
【0050】
クラッカーDは、図14に示すようにして製造される。即ち、先ず、台紙51の保持片55の係合孔59に火薬体20を係合して保持させるとともに、火薬体20に連設された引き紐21を台紙51の中間片54と保持片55との連結部の下側の端部から台紙51の外部に延出させている(図14[a]参照)。この状態において、台紙51の保持片55を中間片54との連結部において折返して中間片54の内面側に折畳む(図14[b]参照)。次に、台紙51の中間片54を裏面片52との連結部において折返して保持片55とともに裏面片52の内面側に折畳む(図14[c]参照)。更に、台紙51の表面片53を裏面片52との連結部において折返して裏面片52との間に中間片54及び保持片55を挟むように中間片54上に折畳む(図14[d]参照)。この後、台紙51の差込片56を表面片53との連結部において折返して折畳み状態の裏面片52と保持片55との間の隙間に差込み係止するとともに、表面片53の蓋部53aを折れ戻らないように接着テープ60により止着してクラッカー本体50を形成することにより、クラッカー本体50内に火薬体20が包まれて収容されたクラッカーDが製造される。このクラッカーDにおいては、火薬体20を台紙51の保持片55の係合孔59に係合させていることにより、クラッカー本体50内で引き紐21の引張り時にその引張り方向に移動しないように保持されている。尚、接着テープ60は、火薬体20の爆発時に容易に剥がれるようになっている。
【0051】
クラッカーDは前述の如く構成されており、クラッカー本体50の引き紐21が導出される側と反対側の下側の角部付近を片手で把持した状態で、他方の手で引き紐21を掴んで引張り操作すると、火薬体20が引き紐21との摺動摩擦によって爆発し、この火薬体20の爆発による圧力がクラッカー本体50の中間片54の開口部58を介して表面片53の蓋部53aに作用し、蓋部53aに火薬体20の爆発による圧力が作用することで、蓋部53aを止着していた接着テープ60が外れて蓋部53aが勢いよく開き、爆発音が放出される。
【0052】
尚、クラッカーDでは、火薬体20を引き紐21の引張り時にその引張り方向に移動しないように保持するため、クラッカー本体50の保持片55の係合孔59に火薬体20を係合して保持させているが、火薬体20を保持片55の係合孔59に係合して保持させる以外にも例えば火薬体20を接着テープや接着剤により保持片55の内面側に取付けてもよい。
【0053】
また、クラッカーDでは、クラッカー本体50に中間片54を設けているが、必ずしもクラッカー本体50には中間片54を設ける必要はない。クラッカー本体50に中間片54を設けない場合は、クラッカー本体50の台紙51において表面片52の傾斜側縁に保持片55を折畳み自在に連結し、保持片55を表面片52と裏面片53との挟むようにして折畳む。
【0054】
以上説明したクラッカーB,C,DもクラッカーAと同様に、扁平形態に形成したクラッカー本体30,40,50がコンパクト形状で嵩張ることがないので、製造後、保管箱内に収納する際に、保管箱内に収納できるクラッカーの数を大幅に増やすことができ、保管時及び輸送時のスペースが少なくて済み、保管効率及び輸送効率を向上することができて経済的である。また、クラッカー本体30,40,50を形成する際に、同時に火薬体20をクラッカー本体30,40,50の内部に収容させることができるので、クラッカーの製造工数を削減してクラッカーの製造における作業性や生産性の向上並びに製造コストの低減を可能にする。更に、使用後、クラッカー本体30,40,50を容易に展開することができるので、使用後もクラッカー本体30,40,50を展開して台紙31,41,51の内面に描かれているマンガの人気キャラクター等のイラストや動物、風景等の絵や宣伝等のメッセージ等を眺めて楽しむことができる。
【0055】
図15に示す実施形態のクラッカーEは、火薬体20を二つ折りの紙製の間座部材60に係止し、この間座部材60を三角形状の扁平な巻き袋状のクラッカー本体70の内部に収納するとともに、火薬体20に連設された引き紐21がクラッカー本体70の下端部から外部に導出されたものである。
【0056】
間座部材60は、例えば厚紙をU字形状に二つ折りして二つの折曲片を有するとともに、その折曲部中央に火薬体20に連設された引き紐21を挿通し得る挿通孔(図示せず)を設けており、二つの折曲片の間に火薬体20を介在させて引き紐21を挿通孔に挿通するようになっている。
【0057】
クラッカー本体70は、厚紙で形成された円錐筒体を押し畳むことにより三角形状の扁平な巻き袋状に形成している。クラッカー本体70は上端縁に蓋片71を連設し、この蓋片71で上端開口を閉塞させるようになっている。
【0058】
クラッカーEは、火薬体20を係止させた間座部材60をクラッカー本体70の内部に収容し、火薬体20に連設された引き紐21をクラッカー本体70の下端部から外部に導出させた後、クラッカー本体70の上端開口を蓋片で閉塞するとともに、蓋片71をクラッカー本体70に接着テープ72で止着することにより製造される。その際、クラッカー本体70の内部に収納された間座部材60は、クラッカー本体70の下端側に向かって徐々に狭くなる内壁面により下端側への移動が規制される。これにより、間座部材60に係止された火薬体20は、引き紐21の引張り時にクラッカー本体70に対して引き紐21の引張り方向への移動しないようになっている。
【0059】
クラッカーEは前述の如く構成されており、次にその使用要領について説明する。クラッカー本体70の下端部を片手で把持した状態で、他方の手で引き紐21を掴んで引張り操作すると、クラッカー本体70の収容された間座部材60に係止されて移動が規制されている火薬体20に対して引き紐21に引張り力が作用し、この引き紐21の摺動摩擦によって火薬体20が爆発し、火薬体20の爆発による圧力は蓋片71に作用し、蓋片71に火薬体20の爆発による圧力が作用することで、蓋片71をクラッカー本体70に止着していた接着テープ72が外れて蓋片71が勢いよく開き、爆発音が放出される。
【0060】
以上説明したクラッカーEもクラッカーA,B,C,Dと同様に、扁平形態に形成したクラッカー本体70がコンパクト形状で嵩張ることがないので、製造後、保管箱内に収納する際に、保管箱内に収納できるクラッカーの数を大幅に増やすことができ、保管時及び輸送時のスペースが少なくて済み、保管効率及び輸送効率を向上することができて経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態におけるクラッカーの正面図である。
【図2】本発明の実施形態におけるクラッカーの背面図である。
【図3】本発明の実施形態におけるクラッカーの側面図である。
【図4】図1のZ−Z線における断面図である。
【図5】図1に示すクラッカーのクラッカー本体の展開図である。
【図6】図5に示すクラッカー本体の成形順序を説明する図面である。
【図7】火薬体の別の保持手段を示すクラッカー本体の展開図である。
【図8】本発明の他の実施形態のクラッカーを示す図面で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【図9】図8に示すクラッカーのクラッカー本体の展開図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態のクラッカーを示す図面で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
【図11】図10に示すクラッカーのクラッカー本体の展開図である。
【図12】本発明の更にまた他の実施形態のクラッカーを示す図面で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図、(d)は平面図である。
【図13】図12に示すクラッカーのクラッカー本体の展開図である。
【図14】図13に示すクラッカー本体の成形順序を説明する図面である。
【図15】本発明のまた更にまた他の実施形態のクラッカーを示す図面で、(a)は正面図、(b)は縦断側面図、(c)は背面図である。
【符号の説明】
【0062】
A…クラッカー、10…クラッカー本体、11…台紙、12…表面片、13…裏面片、14…中間片、15…保持片、16…蓋片、17…差込口、18…切欠き、19…接着テープ、20…火薬体、21…引き紐、B…クラッカー、30…クラッカー本体、31…台紙、32…本体片、33…蓋片、34…差込口、35…挿通孔、36…接着テープ、C…クラッカー、40…クラッカー本体、41…台紙、42…裏面片、43…表面片、44…蓋片、45…切込み、46…挿通孔、47…接着テープ、48…接着テープ、D…クラッカー、50…クラッカー本体、51…台紙、52…裏面片、53…表面片、53a…蓋部、54…中間片、55…保持片、56…差込片、57…切込み、58…開口部、59…係合孔、60…接着テープ、E…クラッカー、60…間座部材、70…クラッカー本体、71…蓋片、72…接着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在な蓋片を有するクラッカー本体と、このクラッカー本体内に配置された火薬体と、クラッカー本体から導出され、その引張り操作により火薬体を爆発させる引き紐とを備え、
クラッカー本体は、扁平に形成されていることを特徴とするクラッカー。
【請求項2】
クラッカー本体は、台紙を該台紙から引き紐を導出させた状態で該台紙によって火薬体を包むようにして折畳んで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のクラッカー。
【請求項3】
火薬体は、引き紐の引張り操作時にその引張り方向に移動しないように台紙の内側に保持されていることを特徴とする請求項2に記載のクラッカー。
【請求項4】
火薬体を保持するための手段として、台紙に切り欠きが形成され、該切欠きに火薬体を係合させて切欠きにおける台紙の縁部によって引き紐の引張り操作時に火薬体を係止することを特徴とする請求項3に記載のクラッカー。
【請求項5】
クラッカー本体は、側縁部で互いに折畳み自在に連結された下端部を頂点とする三角形状の複数の本体片と、これらの本体片のいずれか1つの上端部に連結された蓋片とを備え、複数の本体片は、火薬体を包むようにして折畳まれ、蓋片は、折畳み状態の複数の本体片に重なるようにして折畳まれてこの状態において対峙する本体片に止着され、該蓋片によりクラッカー本体の折畳み状態が保持されていることを特徴とする請求項2に記載のクラッカー。
【請求項6】
本体片の側縁部に火薬体を保持するための切欠きを有する保持片が連結され、該切欠きに火薬体を係合させて切欠きにおける台紙の縁部によって引き紐の引張り操作時に火薬体を係止することを特徴とする請求項5に記載のクラッカー。
【請求項7】
蓋片が、折畳み状態の複数の本体片に重なるようにして折畳まれた状態において対峙する本体片に設けられた差込口に抜差し自在に差込み係止されていることを特徴とする請求項5に記載のクラッカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−342986(P2006−342986A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166543(P2005−166543)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000136365)株式会社フジカ (13)
【Fターム(参考)】