説明

クラッチ駆動フライトを有するコンベヤおよびベルト

非常に低いトルク動作用のクラッチ駆動フライト36を有するベルトコンベヤである。フライトは、制限された角度の範囲にわたって軸周りを回転する回動部材44を有する。クラッチ機構は、クラッチホイール32を回動部材に押しつけるばね58を具えている。クラッチホイールは、コンベヤベルトが進行すると回転するように配置されている。回転ホイールと回動部材との間の摩擦接触がフライト上にモーメントを付与して、フライトを伸展位置まで起こす。軽量荷重であってもフライトが妨げられている場合、低トルク機構は自動的に空転して、フライトが伸展位置まで上がるのを妨げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、動力駆動コンベヤに関し、より具体的には、可倒式フライト部材を有するモジュール式ベルトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの輸送用途では、被搬送物体はコンベヤベルト上で間隔をあける必要がある。例えば、2またはそれ以上の物体の流れが衝突せずに1列に合流することは、一般的な必要条件である。ベルトの速度を落とすか、複雑なセンサおよび外付け間隔バーを使用することなく、これを達成するために用いられるコンベヤが、本出願の出願人によって同時係属中の2006年12月14日出願の米国特許出願第11/610,737号に記載されている。このコンベヤは、コンベヤベルトと、ベルトローラと、フライト(flights)とを具えている。ローラの下面は、ベルトの下でローラ係合面と係合する。ローラの上面は、ベルトの上に平面を規定する。ベルトが進行すると、ローラがローラ係合面上を転がって回転し、平面に沿ってローラ上に支持されている物体を前方に移動させる。ベルトの長手方向に沿って間隔をおいて配置されたフライトは、ベルトの下でカム面と係合してフライトにモーメントを付与するカムと、格納位置から前方に進む物体が更に前進するのを妨げる伸展位置まで回転することによるモーメントに反応する突出部とを具える。カム作動フライトを物体加速ローラと併用すると、被搬送物体が適切に合流するようにベルト上の既知の位置に載せられる。フライトは、カム面と接触する前、復路から戻るときに格納位置となる。フライトが伸展位置まで起きる前に格納されたフライト上に被搬送物体が静止すると、物体がローラによって押されてフライトから離れるまで、カム動作によってフライトが持ち上がらないようになる。その後、カムは、妨げがなくなったフライトを伸展位置まで飛び出させる。フライトに重みがかかっている場合、カムは単にカム面に沿って摺動する。
【0003】
この装置は、多くの用途において上手く作動する。しかし、封筒のような軽量の物体の場合、例えば、カム作動フライトは、上に載っている軽量の物体と共に格納されたフライトを伸展位置まで回転させるのに十分なトルクを有している。軽量の物体は、フライトから物体が離れるようなベルトローラとの十分な摩擦接触がなく、フライトの上部にもたれて、動けない状態になることがある。その結果、ベルト上の物体を確実に合流させる規則的な位置調整、あるいは均等に製品の間隔をあける必要がある他の適用が乱れてしまう。
【発明の概要】
【0004】
この欠点は、本発明の機能を具現化するコンベヤによって克服される。コンベヤは、ベルトの移動方向に進行するように配置されたコンベヤベルトを具える。回動部材と突出部とを有するフライトは、コンベヤベルトに連結される。回動部材は、ベルトの移動方向を横切る軸の周りを制限された範囲の角度で回転可能である。回動部材が回転することによって、突出部は、ベルトの上外面と通常は平行な格納位置から、上外面から直立した伸展位置まで回転する。クラッチ機構は、フライトと機械的に連結している。コンベヤベルトがベルトの移動方向に進行すると、クラッチ機構が係合面と接触することによって回転する。この回転は、軸周りのフライトにかかるモーメントを誘発する。このモーメントは、突出部が格納位置から伸展位置まで軸の周りを回転するように方向付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明における、これらの機能および態様ならびにその利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および添付図面を参照することによってさらに理解される。
【図1】図1は、本発明の機能を具現化した、伸展位置にあるクラッチ駆動フライトを具えるコンベヤの一部の斜視図である。
【図2】図2は、格納位置にあるフライトを示す、図1におけるコンベヤと少し異なる斜視図である。
【図3A】図3Aは、図1のコンベヤの側面図である。
【図3B】図3Bは、図2のコンベヤの側面図である。
【図4】図4は、図1のコンベヤベルトにおけるクラッチ駆動フライトの部分分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の機能を具現化するコンベヤの一部を、図1、図2、図3A、および図3Bに示している。コンベヤ10は、上係合面17を有する支持プレート16を具える搬送路に沿って、ベルトの移動方向14に駆動するコンベヤベルト12を具えている。コンベヤベルトは平らなベルトでもよいが、1またはそれ以上の隣り合った射出成形の熱可塑性モジュール20の一連の列18で構成されたモジュール式プラスチックコンベヤベルトが好ましく、熱可塑性モジュール20は各列の先頭端部および後方端部に沿って交互に配置されたヒンジ要素24を貫通するヒンジロッド22によって互いに連結されている。ベルトの厚さは、上外面26から反対側の内面27にまでわたっている。
【0007】
いくつかのベルトモジュールの一端に沿って一部のヒンジ要素が欠けており、物体加速ローラ30またはクラッチホイール32用の開口部28を設けている。支持プレート16は搬送路上のコンベヤベルトを支持し、係合面17を提供しており、コンベヤベルトが進行すると物体加速ローラは係合面17上を転がることができる。ローラ30上に支持されている物体34は、図1および図3Aのように、物体が伸展位置にあるフライト36と接触して更に進行するのを妨げられるまで、ローラの回転によってベルトに沿って前方に加速する。ベルト上のフライトの位置は、ベルトの長手方向に沿って相対的な指示位置を規定し、合流する物体間の衝突を防ぐために用いられる予め合流するコンベヤのように、連続する被搬送物体間に正確な間隔を設けるために用いることができる。
【0008】
フライト36は、図2および図3Bに示す格納位置から、伸展位置(図1および図3A)まで回転する。格納位置では、フライトはベルトの外側搬送面26上に静止しており、通常はベルトの移動方向14と平行である。この非ブロック位置では、係合面17上を転がるベルトローラ30の回転によって物体が前方に進む。伸展位置では、フライトが外側ベルト面から、位置決め面として機能するフライトの後方縁部40で物体をブロックする位置に立ち上がる。ベルトモジュール内の中間構造42は止め具(stop)を形成し、フライトはそれを超えて回転することができない。この実施例では、フライトは、格納位置と伸展位置との間で約90°に制限された角度の範囲にわたって回転することができる。しかし、他の用途では、中間構造およびフライトは、90°未満の範囲または最大180°程度の範囲までフライトが回転できるように構成されてもよい。
【0009】
フライトの細部を、より詳細に図4に示している。フライト36は、一直線の穴部46を有する4つの回動部材44を具えている。突出部48は、フライトから上縁部50まで外側に延在している。この突出部は、薄く、通常は矩形構造を示しており、その後縁部40がベルト上の位置決め位置を規定する。フライトは、プラスチックのような軽量材料で作ることが好ましい。回動部材は、フライトにおいて向かい合った横方向半分の2組に分けられる。隙間52は、各組の回動部材の間に形成される。軸受またはスリーブ54は好適にはステンレス鋼で作られており、外側の回動部材の穴部内に挿入され、ホイール32の一方の穴部56を通り、コイルばね58の中心を通り、別のホイールの穴部を通り、内側の回動部材の穴部内に挿入される。スリーブの外径は、回動部材の穴部の呼び内径よりもわずかに大きく、その結果、スリーブは圧入によって回動部材の各端部に固く保持される。ホイールの穴部内径はスリーブの外径よりもわずかに大きく、その結果、スリーブ上を回転することができる。コイルばねは、対応する回動部材に対してホイールにバイアスをかける一手段として機能する。この実施例の駆動軸では、ベルトのヒンジロッド22の一方はスリーブ内に収容され、ベルトの移動方向に対して好適には直角に横切る回転軸60を規定する。回動部材、ホイール、およびコイルばねは総て、この軸に沿って同軸に配置される。
【0010】
ばね荷重ホイールは、クラッチ装置内の回動部材と係合する。ホイールは、スプリングと反対側のホイールの側面上に平らな駆動面62を有している。駆動面は、対応する回動部材の向かい合った側面上の被動面64に押しつけられる。ベルトが搬送路上を進むと、回動部材と擦れ合うホイール65の回転が、回動部材上の回転軸の周りにモーメント66を付与し、被搬送物体または止め具42によって妨げられていないフライトを伸展位置まで回転させる。フライトに被搬送物体による重みがかかっているか、フライトが止め具に達して、回転を妨げている場合、回動部材の被動面上でクラッチホイールの駆動面が空転する。ホイールと回動部材間の合計摩擦は、スプリングの張力を調整する、駆動面と被動面との間の接触部を変更する、あるいはホイールおよびフライトを作る材料を変更して摩擦係数を調整することにより増減しうる。
【0011】
好適な動作モードでは、アイドルスプロケット(図示せず)の周りを回ってフライトが搬送路に戻ると、復路に沿って逆さに進む間、フライトは重力によって収納状態に戻る。クラッチホイール32が係合面17に達するまで、フライトは格納されたままである。物体34が、たとえ軽量の物体であっても、係合面の上のフライト上にある場合、クラッチ機構によって生成された低トルクが荷重を越えてフライトを回転させるには不十分であるため、フライトは飛び出さない。(当然ながら、前述のように、トルク量を予め決められたレベルに設定して、他の動作要求を満たしてもよい。)物体が回転ローラ30およびクラッチホイール32と接触することによってフライトを越えて前方に進むまで、ホイールはフライトの回動部材上を空転する。窓68がフライト突出部に設けられ、フライトを格納する場合にベルトローラと接触しなくなる。ベルトの上下に延在している凸部が、ベルトの搬送面に平行な共通平面、つまり上部の物体支持面70および搬送路に沿った係合面17を含む面を規定するため、クラッチホイールおよびローラの直径は等しいことが好ましい。クラッチホイールの直径は回動部材の直径より大きく、これにより、ホイールは所定の位置に格納されたフライトの高さよりも上側に延在し、被搬送物体を加速させる。従って、ローラおよびクラッチホイールの双方は、同一の係合面と接触することにより作動することができ、被搬送物体を前方に進めるために用いてもよい。
【0012】
好適な実施形態に関して、本発明が詳細に記載されてきたが、他の実施形態も可能である。例えば、クラッチホイールとベルトローラの双方は、ヒンジロッド上を回転するように示されている。しかし、ヒンジロッドとして機能しないベルト内の他の駆動軸上を回転してもよい。他の実施例として、フライトは、格納位置と伸展位置との間を90°以外の角度の範囲にわたって回転してもよい。さらに、クラッチ駆動フライトは、異なる目的の機能をしてもよく、記載されたものと異なる形状をしていてもよい。さらに、クラッチ駆動フライトは、物体加速ローラがないベルト上で機能してもよい。つまり、これらの幾つかの実施例が示すように、特許請求の範囲は好適な実施形態に限定されない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上外面および下外面と;
ベルトの移動方向を横切る軸の周りを制限された角度の範囲にわたって回転可能な回動部材と、前記角度の範囲にわたって前記回動部材が回転することにより、前記上外面と通常は平行な格納位置から前記上外面から直立する伸展位置まで回転する突出部とを有するフライトと;
コンベヤベルトが前記ベルトの移動方向に進行すると、前記格納位置から前記伸展位置まで前記突出部が回転するよう方向付けられた前記軸の周りの前記フライト上にモーメントを誘発するように、前記フライトと機械的に連結したクラッチ機構と;
を具えるコンベヤベルト。
【請求項2】
請求項1に記載のコンベヤベルトにおいて、前記クラッチ機構が:
前記回動部材と同軸に配置されたクラッチホイールと;
前記回動部材と接触するように前記クラッチホイールを押しつけるバイアス手段と;
を具えることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項3】
請求項2に記載のコンベヤベルトにおいて、前記バイアス手段が、前記クラッチホイールおよび前記回動部材と同軸に配置されたコイルばねを具えることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項4】
請求項2に記載のコンベヤベルトにおいて、被搬送物体が格納された前記フライト上に載っていない場合のみ、前記バイアス手段が、前記クラッチホイールにとって前記フライトを前記格納位置から前記伸展位置まで回転させるのに十分な力で前記クラッチホイールを前記回動部材に押しつけることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れか一項に記載のコンベヤベルトにおいて、前記クラッチホイールが駆動面を有し、前記回動部材が前記駆動面に面する被動面を有し、前記バイアス手段が前記被動面と接触するように前記駆動面を押しつけることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項6】
請求項5に記載のコンベヤベルトにおいて、前記駆動面の部分が、前記被動面の部分よりも大きいことを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項7】
請求項2乃至6の何れか一項に記載のコンベヤベルトにおいて、前記回動部材および前記クラッチホイールがそれぞれ一列の穴部を有しており、前記コンベヤベルトがさらに、前記ベルトの移動方向に対して垂直に配置され、前記穴部内に収容される前記軸を規定する駆動軸を具えることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項8】
請求項2乃至7の何れか一項に記載のコンベヤベルトにおいて、前記フライトが、隙間と同軸かつ当該隙間にわたって互いに間隔があいた穴部をそれぞれ有する1組の回動部材を具えており、前記コンベヤベルトがさらに前記穴部内に収容されて前記隙間に架かるスリーブを具えており、前記クラッチホイールが前記スリーブ上に回転可能に装着されることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項9】
請求項8に記載のコンベヤベルトにおいて、前記隙間内の前記スリーブ上に回転可能に装着された1組のクラッチホイールを具えており、前記バイアス手段が前記1組のクラッチホイール間の前記スリーブ上に装着されたコイルばねを具え、前記回動部材と接触するように互いから離れて前記クラッチホイールにバイアスをかけることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項10】
請求項8乃至9に記載のコンベヤベルトがさらに、前記スリーブ内に収容され、前記フライトおよび前記クラッチホイールが周りを回転する前記軸を規定する駆動軸を具えることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項11】
請求項2乃至10の何れか一項に記載のコンベヤベルトにおいて、前記クラッチホイールの凸部が、前記コンベヤベルトの厚さを貫通して前記ベルトの前記上外面および前記下外面を超えて延在することを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項12】
請求項2乃至11の何れか一項に記載のコンベヤベルトがさらに、連続する列間のヒンジジョイントにおいてヒンジロットによって連結された一連のベルトモジュールの列を具えており、前記フライトおよび前記クラッチホイールが前記ヒンジロッドのうちの1つの周りで回転することを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項13】
請求項2乃至12の何れか一項に記載のコンベヤベルトがさらに、前記ベルトの移動方向を横切る軸上を回転するように配列した前記ベルト内に配置されたローラを具えており、当該ローラおよび前記クラッチホイールが同じ直径を有することを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項14】
請求項13に記載のコンベヤベルトにおいて、前記フライトが前記格納位置にある場合、前記突出部が、前記ローラを収容して接触を避けるように貫通する窓を有することを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載のコンベヤベルトにおいて、主要な前記ホイールの直径が、主要な前記回動部材よりも大きいことを特徴とするコンベヤベルト。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−515304(P2011−515304A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501948(P2011−501948)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/037957
【国際公開番号】WO2009/120628
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(508181663)レイトラム,エル.エル.シー. (43)
【Fターム(参考)】