説明

クランプ装置及びその金型、並びにその製造方法

本発明は、被クランプ部材を弾性的にクランプ可能なクランプ装置に関する。このクランプ装置は、被クランプ部材をクランプするために弾性力を与えるW状の金属部材及び前記金属部材が埋め込まれている筐体部材を備える。前記クランプ部材は、金属部材の腐食を防ぐと共に、クランプ装置の外観を向上させるために、射出成形によって高分子化合物材料で形成されている。本発明は、前記クランプ装置用の金型及びその製造方法にも関する。弾性を与える金属部材が筐体部材に埋め込まれることから、前記クランプ装置は単品として容易に製造することが可能になり、結果として、製造コストを大幅に削減することができる。また、前記金属部材は腐食から保護され、これにより、前記クランプ装置は、その耐久性が大幅に向上し、コンパクトな構造を有する他、高品質なものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の物品(書類、毛髪などのクランプ対象物をいい、以下では、「被クランプ部材」と称する。)を弾性的にクランプ可能なクランプ装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、製造が容易であり、耐久性に優れ、外観が美麗であり、金属部材の腐食が防止可能である他、構造がコンパクトであり、しかも高品質なクランプ装置とその製造方法、及びクランプ装置の金型に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、事務用の書類留め具、理容院で用いられる髪止め具、若しくは、工業用のクランプなどのように弾性体の弾性力により被クランプ部材をクランプするような種々のクランプ装置が種々の形状で提案されている。例えば、大韓民国実用新案登録第0332526号には、物干しハンガー用の洗濯バサミが開示されており、大韓民国実用新案登録第0352859号には、髪止め具が開示されている。
【0003】
大韓民国実用新案登録第0332526号に記載の物干しハンガー用の洗濯バサミは、図1及び実用新案登録請求範囲に示すように、1対の挟持竿10A、10A’を互いに対向させ、回転軸11Aを中心としてバネ12Aにより弾動するように設けた洗濯バサミにおいて、一方の挟持竿10Aの上端が延びて他方の挟持竿10Bに向かって湾曲された鉤状部13Aを形成するが、前記鉤状部13Aの端部と他方の挟持竿10Bの上端との間の距離を物干し棒20Aの直径よりも小さくして、把持部15A’の押圧の際に鉤状部13Aによって物干し棒20Aが容易に通過できることを特徴とする。
【0004】
このような大韓民国実用新案登録第0332526号に記載の物干しハンガー用の洗濯バサミは、鉤状部13Aが挟持竿10A、10A’の一方に設けられるので、洗濯バサミが物干し棒から離脱しなくなり、結果として、被乾燥物が底面に落下することがなく、被乾燥物が汚れないという効果がある。
【0005】
しかしながら、上述したように、大韓民国実用新案登録第0332526号に記載の物干しハンガー用の洗濯バサミは、1対の挟持竿10A、10A’と、前記1対の挟持竿10A、10A’が被乾燥物をクランプ可能に弾性力を生じさせるバネ12Aの部材とを備えてなるものであって、少なくとも3点の部品を組み合わせてはじめて成立するために製造時における製造コストが上がり、しかも、バネ12Aが金属製であるために腐食が起き、結果として、耐久性が徐々に低下するという問題点があった。
【0006】
大韓民国実用新案登録第0352859号に記載の髪止め具は、図1及び実用新案登録請求範囲に示すように、金属または合成樹脂製であり、毛髪がすり抜けないようにしっかりと押さえつける固定突起と固定溝が両側に設けられた挟持部と把持部がそれぞれ一体に形成された上側及び下側プレートと、上側と下側の髪止めプレートを連結するヒンジピンと、上側と下側の髪止めプレートの間でヒンジピン上に配設されたバネとを備えている。この実用新案では、前記髪止め具1Bは、把持部4B、4Baがそれぞれ一体に形成された上側及び下側プレート2B、3Bの間の距離が、挟持片5B、5Baの尻尾に進むにつれて次第に狭まるようになっていることを特徴とする。その代わりに、前記挟持片5B、5Baの両側に設けられて相互噛合する複数の固定突起6B、6Baは、小さく密になるようになっている。
【0007】
このように、大韓民国実用新案登録第0352859号に記載の髪止め具は、より多量の毛髪が挟めると共に、毛髪のすり抜けが防止可能になるという効果がある。
【0008】
しかしながら、上述したような髪止め具では、上側及び下側プレート2B、3Bとバネ9Bといった少なくとも3点の部品を組み合わせてはじめて成立するものであり、しかも、前記バネ12Aが金属製であるために腐食が起きて耐久性が徐々に低下するという問題点があった。
【0009】
すなわち、従来の被クランプ部材をクランプするためのクランプ装置は、少なくとも3点の部品を組み合わせてはじめて成立するために製造コストが上がり、しかも、弾性力を生じさせるバネが金属製であるために腐食が起き、結果として、耐久性が低下するなどの種々の問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述の如き諸問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、弾性体を成形材料にインサートして単品として形成することにより、製造時における製造コストを削減することができ、弾性体の腐食を防ぐことにより、耐久性をなお一層向上させることができると共に、外観を一層美麗にできる高品質なクランプ装置及びその製造方法、並びにその金型を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の如き目的を達成するために、本発明の1態様によるクランプ装置は、被クランプ部材をクランプするための弾性力を与えるW状の金属部材と、金属部材が埋め込まれており、且つ、前記金属部材の腐食を防ぐと共にクランプ装置の外観を向上させるために高分子化合物材料を射出成形して得られる筐体部材と、を備える。ここで、前記金属部材は、前記筐体部材を射出成形する際に、アンクランプの状態で前記筐体部材の内部にインサートされてもよい。
【0012】
前記高分子化合物材料は、ポリアミド及びポリプロピレンのうちどちらか一方であってもよい。
【0013】
前記金属部材は、両側に補強部が曲げ形成された支持部と、前記支持部と一体に形成され、弾性力を生じさせるためにそれぞれが前記支持部のどちらかの側部から分岐されてU字状に折り曲げられた第1及び第2の弾性部と、前記第1及び第2の弾性部から一体にそれぞれ延びる第1及び第2の延在部と、を備え、前記筐体部材は、前記金属部材の支持部が埋め込まれているヒンジ部と、前記ヒンジ部と一体に射出成形され、前記金属部材の第1及び第2の弾性部が埋め込まれている第1及び第2の射出弾性部と、前記第1及び第2の射出弾性部と一体に射出成形され、前記ヒンジ部をヒンジ点として被クランプ部材をアンクランプするために力をかける把持部として機能する第1及び第2の押圧部と、前記第1及び第2の押圧部と一体に射出成形され、前記ヒンジ部をヒンジ点として被クランプ部材をクランプするための挟持具として機能する第1及び第2のクランプ部と、を備えてもよい。
【0014】
前記金属部材の第1及び第2の延在部には、前記筐体部材をアンクランプの状態で射出成形可能にする保持溝が刻設されてもよい。また、前記金属部材の第1及び第2の延在部の末端部には、前記筐体部材をアンクランプの状態で射出成形可能にするリング状の止め孔が穿設されてもよい。前記止め孔には、溶融高分子化合物材料を通過させて当該溶融高分子化合物材料を容易に浸透させるようにする貫通孔が穿設されてもよい。
【0015】
前記金属部材の支持部、第1及び第2の弾性部、及び第1及び第2の延在部には、溶融高分子化合物材料を通過させて当該溶融高分子化合物材料を容易に浸透させるようにする貫通孔がそれぞれ穿設されていてもよい。
【0016】
前記ヒンジ部には、前記第1及び第2の押圧部が押され過ぎることを防ぐために、ヒンジ部の幅を広げてなる規制部が設けられていてもよい。前記ヒンジ部には、前記クランプ装置を釘若しくは紐にかけた状態で保管するために、射出成形により一体に形成されたリング状の止め部が設けられていてもよい。
【0017】
前記第1及び第2の押圧部には、当該押圧部を押圧する際に指が滑ることを防ぐための滑り止め爪がそれぞれ突設され、前記第1及び第2のクランプ部には、被クランプ部材を強固にクランプするためのクランプ爪がそれぞれ突設されていてもよい。
【0018】
本発明の他の態様によれば、クランプ装置を製造するための金型が与えられる。この金型は、ヒンジ部、第1及び第2の射出成形弾性部、第1及び第2の押圧部、並びに第1及び第2のクランプ部が一体に設けられた筐体部材を射出成形により形成するための第1及び第2の成形部をそれぞれ有する第1及び第2の金型部材と、第1及び第2の成形部に設けられ、被クランプ部材を弾性的にクランプするための金属部材がアンクランプの状態で第1及び第2の成形部にインサートされるように、前記金属部材の第1及び第2の弾性部に刻設された保持溝に嵌合する受け溝を有する固定突起と、を備える。
【0019】
本発明のさらに他の態様によれば、被クランプ部材を弾性的にクランプするための金属部材と、ヒンジ部、第1及び第2の射出成形弾性部、第1及び第2の押圧部、並びに第1及び第2のクランプ部が一体に設けられた筐体部材とを有するクランプ装置を製造するための方法が与えられる。この方法は、金属部材が埋め込まれている筐体部材を射出成形により形成するために、第1及び第2の成形部が埋め込まれている第1及び第2の金型部材をそれぞれ分離する段階と、前記金属部材の保持溝が前記第1及び第2の金型部材の固定突起の受け溝に収容されて前記筐体部材がアンクランプ状態となるように、前記金属部材を押圧して当該金属部材を前記第1及び第2の金型部材にインサートする段階と、前記第1及び第2の金型部材を閉じた後、前記第1及び第2の金型部材の第1及び第2の成形部に溶融高分子化合物材料を射出することにより所定の形状をなす筐体部材を射出成形する段階と、前記筐体部材を前記第1及び第2の金型部材から取り出す段階と、を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるクランプ装置は、弾性を与える金属部材が射出成形により筐体部材に埋め込まれることから、単品としての製造が容易であり、製造コストを大幅に削減することが可能になる。また、前記金属部材が筐体部材に埋め込まれることから、金属部材は腐食しなくなり、その結果、本発明によるクランプ装置は、コンパクトな構造及び高品質を有し、しかも、耐久性が大幅に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明による上記の目的及びそれ以外の目的、形態及びその他のメリットは、添付図面に基づいて後述する説明から一層明らかになる。
【0022】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0023】
図3は、本発明の第1の実施形態によるクランプ装置を示す斜視図であり、図4は、本発明の第1の実施形態によるクランプ装置のクランプ及びアンクランプの状態を示す動作状態図であり、図5は、本発明の第1の実施形態によるクランプ装置の他のクランプ及びアンクランプの状態を示す動作状態図であり、図6は、本発明の第2の実施形態によるクランプ装置を示す斜視図であり、図7は、本発明の第3の実施形態によるクランプ装置を示す斜視図であり、そして図8は、本発明によるクランプ装置の製造方法を示す概略工程図である。
【0024】
図3から図8中、符号10は、書類などの被クランプ部材を弾性的にクランプ可能に実質的にW状をなし、鋼などの金属材質製の金属部材を言う。前記金属部材10は、その中央に補強部111を備えた支持部11を有する。前記補強部111は、後述する第1及び第2の弾性部12、13が弾性を生じさせるようにこれらを支えると共に、変形を防ぐために両側が折り曲げられている。前記第1及び第2の弾性部12、13は支持部11と一体に形成されて前記支持部11の両側部から分岐され、弾性を生じさせるために実際にU字状に折り曲げられている。第1及び第2の延在部14、15は、第1及び第2の弾性部12、13からそれぞれ一体に延びている。
【0025】
すなわち、前記金属部材10は、被クランプ部材をクランプするための弾性力を生じさせる役割を果たし、補強部111を有する支持部11と、前記支持部11からそれぞれ折り曲げられて弾性力を生じさせる第1及び第2の弾性部12、13と、前記第1及び第2の弾性部12、13からそれぞれ延びる第1及び第2の延在部14、15と、を備える。前記金属部材10は、射出成形により後述する筐体部材に埋め込まれる。
【0026】
前記第1及び第2の延在部14、15のそれぞれには、アンクランプの状態で筐体部材を射出成形できるように、金型の内側において金属部材10の関連する弾性部をアンクランプの状態で保持可能な保持溝16が刻設されている。
【0027】
すなわち、前記保持溝16は、金属部材10の第1及び第2の延在部14、15に刻設されている。これにより、前記金属部材10が埋め込まれて前記筐体部材が射出成形により形成されるとき、図8に示すように、前記金属部材10が被クランプ部材をアンクランプする状態で、前記金属部材10が前記筐体部材内に保持される。
【0028】
符号20は、前記金属部材10の腐食を防ぐと共に、外観を美麗にするために、金属部材10が埋め込まれて射出成形により形成される筐体部材を言う。前記筐体部材20は、金属部材10の弾性力により被クランプ部材をクランプするクランプ装置の外観を呈し、且つ、耐摩耗性、熱的成形性などの機械的な性質に優れた高分子化合物材質、例えば、ポリアミドまたはポリプロピレンなどから形成される。
【0029】
前記筐体部材20は、前記金属部材10の支持部11が埋め込まれているヒンジ部21と、前記ヒンジ部21と一体に射出成形され、金属部材10の第1及び第2の弾性部12、13が埋め込まれている第1及び第2の射出弾性部22、23と、前記第1及び第2の射出弾性部22、23と一体に射出成形され、第1及び第2の射出弾性部22、23がヒンジ部21をヒンジ点として被クランプ部材をアンクランプするために使用者が力を入れるための把持部として機能する第1及び第2の押圧部24、25と、前記第1及び第2の押圧部24、25と一体に射出成形され、ヒンジ部21をヒンジ点として被クランプ部材をクランプするための挟持具として機能する第1及び第2のクランプ部26、27と、を備える。
【0030】
好ましくは、本発明によれば、前記ヒンジ部21は3mm以上の厚さを有し、前記第1及び第2の弾性部22、23は、柔軟性を確保するために、1〜2mmの厚さを有する。好ましくは、第1及び第2の押圧部24、25と第1及び第2のクランプ部26、27は、硬さを確保するために、3mm以上の厚さを有する。
【0031】
一方、図5に示すように、前記第1及び第2の押圧部24、25の長さL1が第1及び第2のクランプ部26、27の長さL2よりも短くなっている本発明の第2の実施形態によるクランプ装置において、前記ヒンジ部21には、第1及び第2の押圧部24、25に力を加える場合、第1及び第2の押圧部24、25が押され過ぎて金属部材10の第1及び第2の弾性部12、13の弾性力が低下することを防ぐために規制部28が設けられている。前記規制部28は、第1及び第2の押圧部24、25の押圧幅を規制するためのものであり、ヒンジ部21の幅Tを広げてなる。
【0032】
前記第1及び第2の押圧部24、25には、使用者が手で力を加える場合に指が滑ることを防ぐために、滑り止め爪241、251がそれぞれ突設されている。前記第1及び第2のクランプ部26、27には、クランプ部26、27によって被クランプ部材が強固にクランプされるようにするクランプ爪261、271がそれぞれ突設されている。
【0033】
前記筐体部材20の第1及び第2の押圧部24、25には、前記筐体部材20を釘若しくは紐にかけた状態で保管するための貫通孔40が穿設されている。
【0034】
一方、図8中、符号30は、前記金属部材10を埋め込んだ状態で前記筐体部材20を射出成形により形成するための金型を言う。前記金型30は、筐体部材20をアンクランプの状態で射出成形するための第1の成形部33及び第2の成形部34をそれぞれ有する第1及び第2の金型部材31、32を備える。
【0035】
前記第1及び第2の金型部材31、32の第1及び第2の成形部33、34のそれぞれには、その上面に受け溝51が刻設された固定突起50が突設されている。前記第1及び第2の成形部33、34の固定突起50は、金属部材10の第1及び第2の弾性部12、13を矢印の方向に付勢した状態で保持させ、これにより、前記筐体部材20は、射出成形後に、金属部材10の弾性力によりクランプの状態で保持される。
【0036】
これにより、前記第1及び第2の金型部材31、32を用いて筐体部材20の射出成形を完了するとき、前記筐体部材20の第1及び第2のクランプ部26、27は、クランプ装置が被クランプ部材をクランプする上で使用できるように、図3に示すように、クランプの状態で保持される。
【0037】
一方、図6及び図7は、本発明の第3及び第4の実施形態による別のクランプ装置を示している。図6及び図7に示すように、本発明によるクランプ装置は、弾性を生じさせるための金属部材10と、前記金属部材10が埋め込まれており、ヒンジ部21、第1及び第2の弾性部22、23、第1及び第2の押圧部24、25、並びに第1及び第2のクランプ部26、27が一体に設けられ、射出成形により形成される筐体部材20と、を備えている限りは、種々の形状に変更可能である。
【0038】
例えば、図7に示す実施形態によるクランプ装置では、金属部材10の保持溝16に代えて、リング状の止め孔17が金属部材10の第1及び第2の延在部14、15の末端部に穿設されており、これにより、前記金属部材10がアンクランプの状態で筐体部材20に保持される。また、前記金属部材10の支持部11、第1及び第2の弾性部12、13、並びに第1及び第2の延在部14、15のうちいずれか1つには、少なくとも1つの貫通孔18が形成される。好ましくは、貫通孔18は、第1及び第2の弾性部12、13の支持部11寄りに形成して、図7に示すように、高分子化合物材料と金属材料10とを緊密に結合させる。この場合、前記止め孔17には、溶融高分子化合物材料を射出し易くするための貫通孔19が穿設される。
【0039】
以下、前記クランプ装置の作動と共に、金型を用いて本発明によるクランプ装置を製造する方法を説明する。
【0040】
先ず、図8に基づき、上述した金型を用いて本発明によるクランプ装置を製造する方法について説明する。
【0041】
先ず、前記金属部材20の埋め込まれた筐体部材20を射出成形するために、第1及び第2の金型部材31、32にそれぞれ設けられた第1及び第2の成形部33、34のうちどちらか一方に金属部材10をインサートするために、第1の金型部材31と第2の金型部材32を分離させる。
【0042】
次いで、前記金属部材10を矢印の方向に付勢した状態(前記筐体部材20が被クランプ部材をアンクランプしている状態)で、前記金属部材10を第1の金型部材31にインサートする。すなわち、第1の金型部材31の固定突起50の受け溝51に金属部材10の保持溝16が収められるように金属部材10を押圧して、前記金属部材10をアンクランプの状態にして第1の金型部材31に保持する。
【0043】
その後、前記第1の金型部材31と第2の金型部材32を連結し、ポリアミドまたはポリプロピレンよりなる溶融高分子化合物材料を第1及び第2の成形部33、34に射出する。
【0044】
前記第1及び第2の成形部33、34に溶融材料が射出された後には、第1及び第2の成形部33、34内において筐体部材20が所定の形状に成形されるまで、溶融高分子化合物材料に所定の圧力を加えた後、前記高分子化合物材料を冷却させる。最後に、第1の金型部材31と第2の金型部材32を開き、前記筐体部材20を第1及び第2の金型部材31、32から取り出す。
【0045】
前記筐体部材20を第1及び第2の金型部材31、32から取り出すとき、第1のクランプ部26と第2のクランプ部27は、互いに当接し、金属部材10の弾性の効力によってクランプの状態になる。
【0046】
本発明によるクランプ装置において、前記金属部材10の第1及び第2の弾性部12、13の外側には、有軟性を確保するために、その厚さが1〜2mmとなる第1及び第2の射出成形弾性部22、23が形成される。このため、金型を用いて筐体部材20の射出成形を完了するとき、第1のクランプ部26と第2のクランプ部27がこれらによって被クランプ部材がクランプされるように互いに弾性接触する状態になる。
【0047】
また、本発明によるクランプ装置において、前記筐体部材20のヒンジ部21、第1及び第2の押圧部24、25、並びに第1及び第2のクランプ部26、27は、クランプ装置の硬さを確保するために、3mm以上の厚さに射出成形されている。その結果、前記第1及び第2の押圧部24、25を押圧するとき、第1のクランプ部26と第2のクランプ部27は、第1及び第2の弾性部12、13の弾性の効力によりヒンジ部21回りに分離して、アンクランプの状態になる。
【0048】
さらに、本発明によるクランプ装置は、金属部材10をアンクランプの状態に保持した状態で、筐体部材20を射出成形して製造することにより、製造コストが安いだけではなく、優れた外観を有する。
【0049】
さらに、前記金属部材10が筐体部材20に埋め込まれていることから、前記金属部材10の腐食が防がれ、その結果、耐久性が大幅に向上する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、弾性を与えるための金属部材が射出成形により筐体部材に埋め込まれることから、本発明によるクランプ装置を単品として容易に製造することができ、その結果、製造コストが大幅に削減できる。また、前記金属部材が筐体部材に埋め込まれることから、金属部材の腐食が防止でき、その結果、本発明によるクランプ装置は、その耐久性が大幅に向上し、コンパクトな構造を有する他、高品質なものとなる。
【0051】
以上、本発明による好適な実施形態を説明した。しかし、請求項に記載された発明の趣旨及び範囲内であれば、種々の変更、追加、置換を可能とするように従来技術を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】従来の物干しハンガー用の洗濯バサミの構成を示す概略斜視図である。
【図2】従来の髪止め具の構成を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態によるクランプ装置を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態によるクランプ装置のクランプ及びアンクランプの状態を示す動作状態図である。
【図5】本発明の第2の実施形態によるクランプ装置のクランプ及びアンクランプの状態を示す動作状態図である。
【図6】本発明の第3の実施形態によるクランプ装置を示す斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施形態によるクランプ装置を示す斜視図である。
【図8】本発明によるクランプ装置の製造方法を示す概略工程図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被クランプ部材をクランプするための弾性力を与えるW状の金属部材と、
前記金属部材が埋め込まれており、且つ、前記金属部材の腐食を防ぐと共にクランプ装置の外観を向上させるために高分子化合物材料を射出成形して得られる筐体部材と、を備えることを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
前記金属部材は、前記筐体部材を射出成形する際に、アンクランプの状態で前記筐体部材の内部にインサートされることを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
前記高分子化合物材料は、ポリアミド及びポリプロピレンのうちどちらか一方であることを特徴とする請求項1または2に記載のクランプ装置。
【請求項4】
前記金属部材は、
両側に補強部が曲げ形成された支持部と、前記支持部と一体に形成され、弾性力を生じさせるためにそれぞれが前記支持部のどちらかの側部から分岐されてU字状に折り曲げられた第1及び第2の弾性部と、前記第1及び第2の弾性部から一体にそれぞれ延びる第1及び第2の延在部と、を備え、
前記筐体部材は、
前記金属部材の支持部が埋め込まれているヒンジ部と、前記ヒンジ部と一体に射出成形され、前記金属部材の第1及び第2の弾性部が埋め込まれている第1及び第2の射出弾性部と、前記第1及び第2の射出弾性部と一体に射出成形され、前記ヒンジ部をヒンジ点として被クランプ部材をアンクランプするために力をかけるための把持部として機能する第1及び第2の押圧部と、前記第1及び第2の押圧部と一体に射出成形され、前記ヒンジ部をヒンジ点として被クランプ部材をクランプするための挟持具として機能する第1及び第2のクランプ部と、を備えることを特徴とする請求項3に記載のクランプ装置。
【請求項5】
前記金属部材の第1及び第2の延在部には、前記筐体部材をアンクランプの状態で射出成形可能にする保持溝が刻設されていることを特徴とする請求項4に記載のクランプ装置。
【請求項6】
前記金属部材の第1及び第2の延在部の末端部には、前記筐体部材をアンクランプの状態で射出成形可能にするリング状の止め孔が穿設されていることを特徴とする請求項4に記載のクランプ装置。
【請求項7】
前記止め孔には、溶融高分子化合物材料を通過させて当該溶融高分子化合物材料を容易に浸透させるようにする貫通孔が穿設されていることを特徴とする請求項6に記載のクランプ装置。
【請求項8】
前記金属部材の支持部、第1及び第2の弾性部、及び第1及び第2の延在部には、溶融高分子化合物材料を通過させて当該溶融高分子化合物材料を容易に浸透させるようにする貫通孔がそれぞれ穿設されていることを特徴とする請求項4に記載のクランプ装置。
【請求項9】
前記ヒンジ部には、前記第1及び第2の押圧部が押され過ぎることを防ぐために、ヒンジ部の幅を広げてなる規制部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のクランプ装置。
【請求項10】
前記ヒンジ部には、前記クランプ装置を釘若しくは紐にかけた状態で保管するために、射出成形により一体に形成されたリング状の止め部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のクランプ装置。
【請求項11】
前記第1及び第2の押圧部には、当該押圧部を押圧する際に指が滑ることを防ぐための滑り止め爪がそれぞれ突設されていることを特徴とする請求項4に記載のクランプ装置。
【請求項12】
前記第1及び第2のクランプ部には、被クランプ部材を強固にクランプするためのクランプ爪がそれぞれ突設されていることを特徴とする請求項4に記載のクランプ装置。
【請求項13】
ヒンジ部、第1及び第2の射出成形弾性部、第1及び第2の押圧部、並びに第1及び第2のクランプ部が一体に設けられた筐体部材を射出成形により形成するための第1及び第2の成形部をそれぞれ有する第1及び第2の金型部材と、
第1及び第2の成形部に設けられ、被クランプ部材を弾性的にクランプするための金属部材がアンクランプの状態で第1及び第2の成形部にインサートされるように、前記金属部材の第1及び第2の弾性部に刻設された保持溝に嵌合する受け溝を有する固定突起と、を備えることを特徴とするクランプ装置用の金型。
【請求項14】
被クランプ部材を弾性的にクランプするための金属部材と、ヒンジ部、第1及び第2の射出成形弾性部、第1及び第2の押圧部、並びに第1及び第2のクランプ部が一体に設けられた筐体部材とを有するクランプ装置を製造するための方法において、
金属部材が埋め込まれている筐体部材を射出成形により形成するために、第1及び第2の成形部が形成されている第1及び第2の金型部材をそれぞれ分離する段階と、
前記金属部材の保持溝が前記第1及び第2の金型部材の固定突起の受け溝に収容されて前記筐体部材がアンクランプ状態となるように、前記金属部材を押圧して当該金属部材を前記第1及び第2の金型部材にインサートする段階と、
前記第1及び第2の金型部材を閉じた後、前記第1及び第2の金型部材の第1及び第2の成形部に溶融高分子化合物材料を射出することにより所定の形状をなす筐体部材を射出成形する段階と、
前記筐体部材を前記第1及び第2の金型部材から取り出す段階と、を含むことを特徴とするクランプ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−510945(P2008−510945A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529688(P2007−529688)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【国際出願番号】PCT/KR2005/002767
【国際公開番号】WO2006/022504
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(507059587)
【Fターム(参考)】