説明

クリップ付き筆記具用キャップ及び筆記具

【課題】 使用時にクリップからキャップ本体が脱落するのを確実に防止し、クリップを好みに応じたものに容易に交換することのできるクリップ付き筆記具用キャップを提供する。
【解決手段】 クリップは、キャップ本体に沿うように配置されるクリップ本体と、クリップ本体の基端部から延出する延出部と、延出部からクリップ本体と同方向に延出した嵌入部と、クリップ本体又は延出部からクリップ本体の先端側に向けて延出した弾性変形可能な弾性片と、弾性片から延出部の延出側に突出する抜止用凸部とを備え、キャップ本体は、他端部に該キャップ本体の軸線方向で嵌入部を嵌脱可能に形成された被嵌入部と、軸線方向と交差する方向で抜止用凸部を嵌脱可能に形成された抜止用貫通穴とを備え、抜止用凸部の先端部がキャップ本体の内面から内側に突出するように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具用キャップ及びこれを備えた筆記具に関し、特には、ペン先部を覆うキャップ本体にクリップが取り付けられたクリップ付き筆記具用キャップ及びこれを備えた筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、筆記具には、種々タイプのものが提供されているが、筆ペンや、ボールペン、サインペン、万年筆等の筆記具は、何れにおいてもインクが内部に収容された軸状の筆記具本体を備えており、該筆記具本体の少なくとも何れか一方の端部に設けられたペン先部の先端(ペンポイント)にインクを供給できるようになっている。
【0003】
そして、この種の筆記具には、筆記具本体に対して着脱可能なキャップ(筆記具用キャップ)を備えたものがある。
【0004】
前記キャップは、一端が開口した筒状のキャップ本体を備えており、該キャップ本体の開口から筆記具本体のペン先部側を挿入することで、キャップ本体が筆記具本体のペン先部を含む先端側をカバーしてペン先部の保護や周辺に対するインクの付着の防止を図るようになっている。
【0005】
そして、この種の筆記具には、姿勢や配置を維持させるためにクリップを備えたものがあるが、長期に亘ってペン先部を下方に向けた姿勢にすると、ペン先部(ペンポイント)にインクが過剰に供給される虞がある(ペンポイントからインクが垂れる虞がある)ことから、一般的に、キャップを備えた筆記具は、キャップ本体にクリップが取り付けられている。
【0006】
具体的に説明すると、クリップは、一方向に長手をなすクリップ本体と、該クリップ本体の一端部に連設された連結部とを備えており、クリップ本体がキャップ本体に沿って配置された状態で連結部がキャップ本体の他端部外面に固着されている。
【0007】
これにより、この種の筆記具は、キャップ本体とクリップ本体との間に挿入した支持対象物(例えば、衣類のポケット等)にクリップ本体の一端側が掛止され、ペン先部が上方に向いた状態で維持できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
そして、クリップは、支持対象物に掛止された状態で、筆記具全体を支える必要があるため、キャップ本体が脱落することのないように、クリップ本体及び連結部がキャップ本体とともに一体成型されたり、連結部がキャップ本体に対して強固に固定されたりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−289384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、市場で流通する一般的な筆記具は、キャップ等の形状や色彩に特徴を持たせることでデザイン性が高められているが、何れも量産されるものであるため、必ずしも使用者の好みにあった態様であるとは言えない。
【0011】
そのような状況から、筆記具の形態を使用者の好みにあったものに変更したいとの市場の要求がある。特に、キャップに設けられたクリップは、衣類のポケット等に掛止させた状態(筆記具をポケットに入れた状態)で、略全体が外部に露出する(視認可能な状態になる)ものであるため、使用者の好みにあった特徴のあるものに交換したいとの要求が多い。
【0012】
しかしながら、クリップは、上述の如く、衣類のポケット等の支持対象物に掛止された状態で筆記具全体を支える必要があるため、使用時にキャップ本体が脱落しないようにキャップ本体に対して強固に固定することが必須の要件となる。すなわち、クリップを交換したいとの要求に応じるには、クリップを容易に着脱できるようにする必要があるが、使用時には着脱時とは相反してクリップを強固に固定できる必要がある。
【0013】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、使用時にクリップからキャップ本体が脱落するのを確実に防止できるようにした上で、クリップを好みに応じたものに容易に交換することのできるクリップ付き筆記具用キャップ及びこれを備えた筆記具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るクリップ付き筆記具用キャップは、筆記具本体の先細りしたペン先部を挿入するために一端が開口した筒状のキャップ本体と、該キャップ本体に取り付けられたクリップとを備え、該クリップは、キャップ本体に沿うように配置されて基端側が該キャップ本体の他端部に固定されるクリップ本体を備えたクリップ付き筆記具用キャップにおいて、前記クリップは、前記クリップ本体の基端部から該クリップ本体と交差する方向に延出する延出部と、該延出部から前記クリップ本体と同方向又は略同方向に延出した嵌入部と、前記クリップ本体の基端部又は前記延出部から前記クリップ本体の先端側に向けて延出し、前記延出部の延出側で前記クリップ本体に対して間隔をあけて対向する弾性変形可能な弾性片と、該弾性片から前記延出部の延出側で前記嵌入部の延出する方向と交差する方向に突出する抜止用凸部とを備え、前記キャップ本体は、他端部に該キャップ本体の軸線方向で前記嵌入部を嵌脱可能に形成された凹部又は穴からなる被嵌入部と、筆記具本体のペン先部が収容される領域又は該ペン先部が収容される領域よりも他端側の領域を包囲する部位に前記軸線方向と交差する方向で前記抜止用凸部を嵌脱可能に形成された抜止用貫通穴とを備え、前記嵌入部が前記被嵌入部に嵌入された状態で前記抜止用凸部が前記抜止用貫通穴に嵌入し、該抜止用凸部の先端部が前記キャップ本体の内面から内側に突出するように構成されていることを特徴とする。なお、ここで「ペン先部」とは、筆記具本体の先端を含む先細りに形成された部分を意味する。
【0015】
上記構成のクリップ付き筆記具用キャップによれば、嵌入部が被嵌入部に嵌入された状態で、抜止用凸部が抜止用貫通穴に嵌入するように構成されているため、クリップをキャップ本体に対して強固に固定することができる。
【0016】
具体的には、前記クリップは、延出部からクリップ本体と同方向又は略同方向に延出する嵌入部をキャップ本体の軸線方向で該キャップ本体の被嵌入部に嵌入させることで、被嵌入部に対する嵌入部の嵌脱(嵌入)方向と直交する方向に移動することが規制される。また、前記クリップは、弾性片から前記延出部の延出側で嵌入部の延出する方向と交差する方向に突出する抜止用凸部がキャップ本体の抜止用貫通穴に嵌入することで、被嵌入部に嵌入された嵌入部が外部に抜ける方向に移動することも規制される。これにより、クリップは、キャップ本体の軸線方向の移動が規制されつつ該軸線方向と直交する方向の移動も規制されるため、キャップ本体に対して強固に固定されることになる。
【0017】
そして、上記構成のクリップ付き筆記具用キャップは、キャップ本体に筆記具本体のペン先部側を挿入したときに、抜止用凸部の先端部が筆記具本体(ペン先部)と干渉することなく筆記具本体のペン先部側を覆うことができる。具体的には、筆記具本体のペン先部が収容される領域を包囲する部位に抜止用貫通穴を形成した場合、該抜止用貫通穴に嵌入した抜止用凸部の先端部はペン先部の収容される空間内に突出することになるが、筆記具本体のペン先部は先細りに形成されているため、キャップ本体に挿入した筆記具本体(ペン先部側)とキャップ本体の内面との間に空間が形成され、該空間内に抜止用凸部の先端部が位置することになる。従って、キャップ本体に対して筆記具本体のペン先部側を挿入しても、抜止用貫通穴に嵌入した抜止用凸部の先端部が筆記具本体に干渉することがないため、抜止用凸部が抜止用貫通穴に嵌入した状態で維持することになる。
【0018】
また、筆記具本体のペン先部が収容される領域よりも他端側の領域を包囲する部位に抜止用貫通穴を形成した場合、該抜止用貫通穴に嵌入した抜止用凸部の先端部は、ペン先部の収容されない空間内に突出することになるため、キャップ本体に対して筆記具本体のペン先部側を挿入しても、抜止用貫通穴に嵌入した抜止用凸部の先端部が筆記具本体に干渉することがなく、抜止用凸部が抜止用貫通穴に嵌入した状態で維持することになる。
【0019】
従って、当該クリップ付き筆記具用キャップを筆記具本体に装着した状態でも、クリップがキャップ本体に対して強固に固定された状態で維持することになるため、クリップを支持対象物に掛止させても該クリップからキャップ本体(キャップ本体に装着された筆記具本体)が脱落することはない。
【0020】
そして、クリップをキャップ本体から取り外す場合、例えば、筆記具本体(ペン先部の形成されていない端部)や棒材等をキャップ本体に挿入し、該キャップ本体の内面から突出する抜止用凸部の先端を挿入した筆記具本体等で外方に押したり、弾性片を外方に向けて引き上げたりすることで、抜止用凸部が外方に向けて移動させる。なお、キャップ本体に挿入した筆記具本体等で抜止用凸部の先端を外方に押す場合、筆記具本体の外周がキャップ本体の内面と干渉するため、抜止用凸部の先端部又は該先端部の一部が抜止用貫通穴内に残ることがあるが、このような場合、キャップ本体の外側にある弾性片を外方に引き上げることで抜止用貫通穴から抜止用凸部が完全に抜けることになる。
【0021】
このように抜止用凸部が抜止用貫通穴から抜けると、被嵌入部に対する嵌入部の嵌脱方向(嵌入部の延出方向)でのキャップ本体の移動が許容されることになるため、クリップ全体を被嵌入部に対する嵌入部の嵌脱方向(嵌入部の延出方向)に移動させることで、嵌入部が被嵌入部から抜けてクリップ全体がキャップ本体から取り外されることになる。
【0022】
そして、使用者の好みに応じた新たなクリップをキャップ本体に取り付ける場合、新たなクリップの嵌入部をキャップ本体の被嵌入部に嵌入させるとともに、該クリップの抜止用凸部をキャップ本体の抜止用貫通穴に嵌入させる。すなわち、新たなクリップをキャップ本体に取り付ける際に、弾性片の引き上げ又は抜止用凸部とキャップ本体との干渉で弾性片を弾性変形させた状態で嵌入部を被嵌入部に嵌入させる。そして、抜止用凸部が抜止用貫通穴と対応した配置になったときに、弾性片に対する引き上げを解除するか、或いは、抜止用凸部とキャップ本体との干渉の解除により、弾性片の弾性力(復元力)の作用で抜止用凸部が抜止用貫通穴に嵌入する(押し込まれる)ことになる。これにより、新たなクリップは、被嵌入部に対する嵌入部の嵌入によって該嵌入部の嵌脱方向と直交する方向へ移動することが規制され、抜止用貫通穴に対する抜止用凸部の嵌入によって嵌入部が被嵌入部から抜ける方向に移動することも規制される。
【0023】
従って、新たなクリップも先のクリップと同様にキャップ本体に対して強固に固定されることになる。そして、新たなクリップにおいても、抜止用貫通穴に嵌入した抜止用凸部の先端部がキャップ本体の内面から内側に突出するが、先のクリップと同様にキャップ本体に筆記具本体のペン先部側を挿入したときに、抜止用凸部の先端部が筆記具本体(ペン先部)と干渉することない。従って、新たなクリップを取り付けたキャップ本体(クリップ付き筆記具用キャップ)を筆記具本体に装着した状態でも、クリップがキャップ本体に対して強固に固定された状態で維持することになるため、クリップを支持対象物に掛止させても該クリップからキャップ本体(キャップ本体に装着された筆記具本体)が脱落することはない。また、上述の工程を得ることでキャップ本体に取り付けた新たなクリップを別のクリップに交換することもできる。
【0024】
本発明の一態様として、前記キャップ本体は、抜止用貫通穴の周縁部の少なくとも当該キャップ本体の他端側の外面が他端側から抜止用貫通穴に向けて先下りに傾斜した傾斜面で構成されるとともに、前記クリップは、前記抜止用凸部の先端部が球状または半球状に形成されていることが好ましい。このようにすれば、クリップをキャップ本体から取り外す際に、キャップ本体に挿入した筆記具本体(ペン先部の形成されていない端部)や棒材等で抜止用凸部の先端を外方に押しながら嵌入部を被嵌入部から抜くことで、クリップ全体をキャップ本体から取り外すことができる。
【0025】
具体的には、キャップ本体の内面から突出した抜止用凸部を外方に押した状態で、キャップ本体の他端側の傾斜面が抜止用貫通穴内に残る抜止用凸部の球状又は半球状の先端と接線方向に延びた状態になるため、抜止用凸部の先端を外方に押した状態でクリップ全体を被嵌入部に対する嵌入部の抜き方向に移動させると、抜止用凸部の先端が傾斜面(キャップ本体の内部側にある最も低い位置)に乗り移って該傾斜面上を摺動して外部に出ることになり、これに併せて嵌合部が被嵌合部から抜けることになる。これにより、抜止用凸部を抜止用貫通穴から抜くために弾性体を引き上げるといった作業を行うことなくクリップを簡単に取り外すことができる。
【0026】
そして、本発明に係る筆記具は、先細りしたペン先部を一端部に有する軸状の筆記具本体と、筆記具本体のペン先部を覆う筆記具用キャップとを備えた筆記具において、前記筆記具用キャップは、上記何れかのクリップ付き筆記具用キャップで構成され、前記筆記具本体は、他端側がキャップ本体に挿入可能に構成されるとともに、キャップ本体内に突出する前記抜止用凸部の先端部を外方に押し出し可能に形成されていることを特徴とする。かかる筆記具によれば、上記何れかのクリップ付き筆記具用キャップを備えているため、使用時にクリップからキャップ本体及び該キャップ本体が装着された筆記具本体が脱落するのを確実に防止できる上に、クリップを好みに応じたものに容易に交換することができる。また、クリップを取り外すための棒材等の道具を別途用意しなくても、筆記具本体でクリップを取り外すことができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明の筆記具用クリップ付きキャップによれば、使用時にクリップからキャップ本体が脱落するのを確実に防止できるようにした上で、クリップを好みに応じたものに容易に交換することができるという優れた効果を奏し得る。
【0028】
また、本発明の筆記具によれば、使用時にクリップからキャップ本体が脱落するのを確実に防止できるようにした上で、クリップを好みに応じたものに容易に交換することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る筆記具の全体斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係る筆記具の説明図であって、(a)は正面図を示し、(b)は、側面図を示す。
【図3】同実施形態に係る筆記具の断面図を示す。
【図4】同実施形態に係るキャップの分解斜視図を示す。
【図5】同実施形態に係るキャップの部分拡大断面図を示す。
【図6】同実施形態に係るキャップの部分拡大図であって、(a)は、キャップ本体にクリップ取外部を挿入する状態を示し、(b)は、クリップ取外部でキャップ本体内に突出した抜止用凸部を外方に押し出す状態を示す。
【図7】本発明の他実施形態に係る筆記具の説明図であって、(a)は、他実施形態に係る筆記具の全体断面図を示し、(b)は、(a)に示す筆記具のキャップからクリップを取り外す際に用いられるクリップ取外具の断面図を示す。
【図8】本発明のさらに別の実施形態に係るキャップの部分拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0031】
本実施形態に係る筆記具は、図1、図2(a)、図2(b)及び図3に示す如く、先細りしたペン先部212(図3参照)を一端部に有する軸状の筆記具本体2と、筆記具本体2のペン先部212を覆う筆記具用キャップ(以下、単にキャップという)3とを備えている。
【0032】
前記筆記具本体2は、内部にインクが収容されており、該インクをペン先部212の先端(図3に示すペンポイントP)に供給できるようになっている。具体的に説明すると、前記筆記具本体2は、図3に示す如く、筒状の胴軸20と、該胴軸20に挿入されるリフィル21とで構成されている。
【0033】
前記胴軸20は、一端側が開口し、他端側が閉塞している。そして、該胴軸20は、一端側の内周面に雌ねじ200が形成されている。また、該胴軸20は、一端部の外周に周方向に延びて無端環状をなす凹条又は凸条の何れか一方(本実施形態においては、凸条201)が形成されている。
【0034】
前記リフィル21は、インクを収容したインクタンク部210と、該インクタンク部210の一端に連設されたインク量調整部211と、該インク量調整部211に連設されたペン先部212とを備えている。
【0035】
前記インクタンク部210及びインク量調整部211は、同心をなして連続して形成されている。すなわち、リフィル21は、インクタンク部210とインク量調整部211とが一本の軸状をなすように形成されている。これに対し、ペン先部212は、先細りに形成されており、インク量調整部211と同心をなすように大径側(基端側)がインク量調整部211に接続されている。これにより、該リフィル21は、インクタンク部210内のインクを適量でペン先部212(ペンポイントP)に供給できるようになっている。そして、該リフィル21は、インクタンク部210の外周に雄ねじ213が形成されており、該雄ねじ213を胴軸20の内周に形成された雌ねじ200と螺合させることで、胴軸20と連結できるようになっている。
【0036】
本実施形態に係る筆記具本体2は、上述の如く、リフィル21のインクタンク部210の外周に形成された雄ねじ213と胴軸20の一端側の内周面に形成された雌ねじ200とを螺合させるため、ペン先部212及びインク量調整部211が胴軸20の一端から外方に延出した態様になっている。
【0037】
そして、本実施形態に係る筆記具本体2は、他端側がキャップ3の後述するキャップ本体30に挿入可能に形成されており、キャップ3が備える後述のクリップ31を取り外すためのクリップ取外部214が他端部に設けられている。
【0038】
かかるクリップ取外部214は、胴軸20の他端側と同径又は略同径に形成されており、該胴軸20の他端に同心で連設されている。本実施形態に係るクリップ取外部214は、筒状のキャップ本体30と該キャップ本体30内に設けられた後述のペン先保護筒部305との間に形成される環状の隙間に挿入可能に形成されている。すなわち、本実施形態に係るクリップ取外部214は、筒状に形成されており、外径がキャップ本体30の内径よりも僅かに小さく設定され、キャップ本体30とペン先保護筒部305との間に挿入できる肉厚に設定されている。
【0039】
そして、クリップ取外部214は、キャップ本体30の内面から内側に突出する後述の抜止用凸部314に干渉して該抜止用凸部314を外方に押し出せるように外径が設定されている。なお、クリップ取外部214の先端の外周縁部は全周に亘って丸みが付けられるか面取りされ(本実施形態においては丸みが付けられている)、前記抜止用凸部314に対して横方向(該抜止用凸部314の突出方向に対して交差方向)から接触したときに、抜止用凸部314の突出方向に対して交差方向に該抜止用凸部314を持ち上げる力が作用するようになっている。
【0040】
前記キャップ3は、図1乃至図3に示す如く、筆記具本体2の先細りしたペン先部212を挿入するために一端が開口した筒状のキャップ本体30と、該キャップ本体30に取り付けられたクリップ31とを備えており、図4に示す如く、該クリップ31が交換可能に構成されている。
【0041】
前記キャップ本体30は、上述の如く、一端が開口するのに対し、他端部が閉塞しており、該他端部の外面が球面状に形成されている。そして、該キャップ本体30は、図3に示す如く、一端部の内周面に周方向に延びて無端環状をなす凹条又は凸条の何れか他方(本実施形態においては凹条300)が形成されている。これにより、本実施形態に係る筆記具1は、筆記具本体2のペン先部212側をキャップ本体30に挿入したときに、筆記具本体2(胴軸20)の凹条又は凸条の何れか一方(本実施形態においては凸条201)とキャップ本体30の凹条又は凸条の何れか他方(本実施形態においては凹条300)とが嵌合するようになっている。すなわち、本実施形態に係る筆記具1は、キャップ3と筆記具本体2とをクリック接続できるようになっている。
【0042】
そして、該キャップ本体30は、図4及び図5に示す如く、他端から一端側に窪んだ凹部からなる被嵌入部301,301が形成されている。本実施形態にキャップ本体30は、前記被嵌入部301,301が当該キャップ本体30の軸線(中心線)を挟んで一対形成されている。一対の被嵌入部301,301は、キャップ本体30の軸線方向から見てそれぞれ円弧状をなしており、キャップ本体30の軸線上に曲率中心が設定されている。
【0043】
本実施形態に係るキャップ本体30は、図4に示す如く、外面に他端部から周壁にまで延びる帯状溝302が形成されている。これに伴い、前記一対の被嵌入部301,301は帯状溝302の長手方向に間隔をあけて帯状溝302内に位置するように形成されている。本実施形態に係るキャップ本体30は、他端部にある帯状溝302にクリップ31の後述する延出部311が嵌入され、周壁に延びた帯状溝302に後述する弾性片313が嵌入されるようになっている(図1参照)。
【0044】
また、本実施形態に係るキャップ本体30は、図4及び図5に示す如く、筆記具本体2のペン先部212が収容される領域を包囲する部位に該キャップ本体30の軸線方向と交差(本実施形態においては直交)する方向で貫通した抜止用貫通穴303を備えている。該抜止用貫通穴303は、後述する抜止用凸部314を嵌脱可能に形成されている。
【0045】
そして、キャップ本体30は、抜止用貫通穴303の周縁部の少なくとも当該キャップ本体30の他端側の外面が前記他端側から抜止用貫通穴303に向けて先下りに傾斜した傾斜面304で構成される。本実施形態においては、抜止用貫通穴303の穴径に対応した幅でキャップ本体30の他端側から抜止用貫通穴303に向けてスロープ状に形成されている。本実施形態に係るキャップ本体30は、上述の如く、帯状溝302内に抜止用貫通穴303が形成されているため、前記傾斜面304が帯状溝302の底面上に形成されている。
【0046】
本実施形態に係るキャップ本体30は、図3に示す如く、筆記具本体2のインク量調整部211とペン先部212とを収容できるように形成されている。これに伴い、キャップ本体30は、インク量調整部211を収容する一端側の内径がペン先部212を収容する他端側の内径よりも大径に設定されている。すなわち、本実施形態に係るキャップ本体30は、一端側で大径穴H1を画定し、他端側で小径穴H2を画定している。
【0047】
そして、該キャップ本体30は、図5に示す如く、大径穴H1と小径穴H2との間に形成される境界面(段差)に対して小径穴H2と同径の内径に設定されたペン先保護筒部305が連設されている。該ペン先保護筒部305は、筆記具本体2のペン先部212側をキャップ本体30に挿入した状態で、先細りしたペン先部212のテーパー状の外周に先端が当接するように形成されている。これにより、本実施形態に係るキャップ本体30は、小径穴H2を画定する内周面及びペン先保護筒部305の内周面によって、ペン先部212を収容するための空間(ペン先部収容空間)PAを形成し、ペン先保護筒部305に対するペン先部212の接触で筆記具本体2を位置決めした状態でペン先部収容空間PA内にペン先部212を収容できるようになっている。
【0048】
前記ペン先保護筒部305は、外径がキャップ本体30の内径よりも小さく設定されている。これにより、ペン先保護筒部305の外周面とキャップ本体30の内周面との間に環状の空間が形成されている。そして、本実施形態に係るキャップ本体30は、上述の如く、ペン先保護筒部305が設けられているため、前記抜止用貫通穴303はペン先保護筒部305の存在する位置に設けられている。すなわち、抜止用貫通穴303は、ペン先保護筒部305の外周面とキャップ本体30の内周面との間に環状の空間に連通するように形成されている。
【0049】
前記クリップ31は、キャップ本体30に沿うように配置されて基端側が該キャップ本体30の他端部に固定されるクリップ本体310を備えている。そして、本実施形態に係るクリップ31は、クリップ本体310に加え、該クリップ本体310の基端部から該クリップ本体310と交差する方向に延出する延出部311と、該延出部311からクリップ本体310と同方向又は略同方向に延出する嵌入部312,312と、クリップ本体310の基端部又は延出部311からクリップ本体310の先端側に向けて延出し、前記延出部311の延出側でクリップ本体310に対して間隔をあけて対向する弾性変形可能な弾性片313と、該弾性片313から延出部311の延出側で嵌入部312,312の延出する方向と交差(本実施形態においては直交)する方向に突出する抜止用凸部314とを備えている。
【0050】
本実施形態に係るクリップ31は、樹脂成型品であり、上記構成が一体成型されている。該クリップ31は、キャップ本体30に取り付けられた状態で、クリップ本体310が基端側よりも先端側でキャップ本体30の外面に接近するように形成されている。
【0051】
本実施形態に係る延出部311は、クリップ本体310の基端部に連続して形成されており、キャップ本体30の帯状溝302に嵌入可能に形成されている。そして、本実施形態に係る延出部311は、帯状溝302に嵌入した状態で外部に露呈する面がキャップ本体30の他端部の外面と連続する(球面の一部を構成する)ように形成されている(図1参照)。
【0052】
前記嵌入部312,312は、キャップ本体30の被嵌入部301,301に対して嵌入可能に形成されている。そして、本実施形態に係る嵌入部312,312は、上述の如く、キャップ本体30に対して一対の被嵌入部301,301が形成されているため、これに対応するように互いに間隔をあけて一対設けられている。また、一対の嵌入部312,312のそれぞれは、延出方向から見た断面形状が被嵌入部301,301と対応して円弧状に形成されている(図4参照)。そして、各嵌入部312,312は、被嵌入部301,301に嵌入できるように、共通の一点が曲率中心に設定されており、被嵌入部301,301の曲率半径と同一の曲率半径に設定されている。
【0053】
本実施形態に係る弾性片313は、延出部311に延設されている。すなわち、弾性片313は、延出部311におけるクリップ本体310に対する接続位置と嵌入部312,312の突設位置との間から延出している。該弾性片313は、前記延出部311をキャップ本体30の他端部にある帯状溝302に嵌入した状態でキャップ本体30の周壁上にある帯状溝302に嵌入可能に形成されている。弾性片313は、薄板状に形成され、厚み方向に弾性変形可能になっている。これにより、弾性片313は、前記帯状溝302に嵌入した状態で厚み方向に弾性変形することで先端側がキャップ本体30から離間できるようになっている。
【0054】
前記抜止用凸部314は、キャップ本体30の抜止用貫通穴303に嵌入可能に形成されている。そして、本実施形態に係る抜止用凸部314は、前記抜止用貫通穴303に嵌入した状態で先端部がキャップ本体30の内面から内側に突出するように形成されている。そして、該抜止用凸部314は、キャップ本体30の内面から内部側に突出する先端部が半球状に形成されている。すなわち、抜止用凸部314は、先端部が丸みをもって形成されている。
【0055】
なお、前記クリップ31は、キャップ3に取り付けられた標準のものであるが、交換の対象とされるクリップ31においても上記構成を備えており、例えば、クリップ31全体の色彩、クリップ本体310の形態がデザイン化されたり、クリップ31の外面にキャラクター等の装飾体が取り付けられたりしている。
【0056】
本実施形態に係る筆記具1は、以上の構成からなり、前記キャップ3において、延出部311からクリップ本体310と同方向又は略同方向に延出する嵌入部312,312を被嵌入部301,301に嵌入した状態で、弾性片313から延出部311の延出側で嵌入部312,312の延出する方向と交差する方向に突出する抜止用凸部314が抜止用貫通穴303に嵌入するように構成されている。これにより、本実施形態に係る筆記具1(キャップ3)は、クリップ31をキャップ本体30に対して強固に固定することができるようになっている。
【0057】
具体的には、前記クリップ31は、延出部311からクリップ本体310と同方向又は略同方向に延出する嵌入部312,312を、キャップ本体30の軸線方向で被嵌入部301,301に嵌入させるため、クリップ31が被嵌入部301,301の嵌脱方向と直交する方向へ移動することが規制される。
【0058】
また、この状態において、弾性片313から延出部311の延出側で嵌入部312,312の延出する方向と交差する方向に突出する抜止用凸部314が抜止用貫通穴303に嵌入されるため、クリップ31は、嵌入部312,312が被嵌入部301,301から抜ける方向に移動することも規制される。これにより、クリップ31は、キャップ本体30に対して強固に固定されることになる。
【0059】
そして、本実施形態に係るキャップ3は、抜止用貫通穴303に嵌入した抜止用凸部314の先端部がキャップ本体30の内面から内側に突出するように構成されているため、キャップ本体30に筆記具本体2のペン先部212側を挿入したときに、抜止用凸部314の先端部が筆記具本体2(ペン先部212)と干渉することなくペン先部212を覆うことができる。すなわち、筆記具本体2のペン先部212は先細りに形成されるため、キャップ本体30に挿入した筆記具本体2(ペン先部212側)とキャップ本体30の内面との間に空間が形成されることになる。
【0060】
従って、キャップ本体30に対して筆記具本体2のペン先部212を挿入しても、抜止用貫通穴303に嵌入した抜止用凸部314の先端部が筆記具本体2に干渉することがないため、抜止用凸部314が抜止用貫通穴303に嵌入した状態で維持することになる。これにより、本実施形態に係る筆記具1は、キャップ3を筆記具本体2に装着した状態でも、クリップ31がキャップ本体30に対して強固に固定された状態で維持することになるため、クリップ31を支持対象物(図示しない)に掛止させても該クリップ31からキャップ本体30及び該キャップ本体30を装着した筆記具本体2が脱落することはない。
【0061】
そして、クリップ31をキャップ本体30から取り外す場合、図6(a)に示す如く、筆記具本体2の他端側をキャップ本体30に挿入する。そうすると、筆記具本体2の他端部に設けられたクリップ取外部214がキャップ本体30の内面とペン先保護筒部305との間に進入する。そうすると、図6(b)に示す如く、クリップ取外部214がキャップ本体30の内面から突出した抜止用凸部314と干渉し、その干渉力の作用で抜止用凸部314が外方に押し出される。このとき、抜止用凸部314の先端部が抜止用貫通穴303内に残ることになるが、本実施形態に係るキャップ本体30は、他端側から抜止用貫通穴303に向かって先下りした傾斜面304が形成されているため、抜止用凸部314を外方に押した状態で、クリップ31全体をキャップ本体30の軸線方向に移動させることで、図4に示す如く、クリップ31全体を取り外すことができる。
【0062】
具体的には、図6(b)に示す如く、クリップ取外部214でキャップ本体30の内面から突出した抜止用凸部314を外方に押した状態で、キャップ本体30の他端側の傾斜面304が抜止用貫通穴303内に残る抜止用凸部314の半球状の先端と接線方向に延びた状態になるため、抜止用凸部314の先端を外方に押した状態で嵌入部312,312を被嵌入部301,301から抜こうとする(クリップ31全体を移動させようとする)と、抜止用凸部314の先端が傾斜面304(キャップ本体30の内部側にある最も低い位置)に乗り移り、抜止用貫通穴303から抜止用凸部314が完全に出た状態になって抜止用貫通穴303に対する抜止用凸部314の嵌入が解除される。
【0063】
このように抜止用貫通穴303に対する抜止用凸部314の嵌入が解除されることで、被嵌入部301,301に対する嵌入部312,312の嵌入方向へのキャップ本体30の移動が許容されることになる。
【0064】
そして、引き続きクリップ31全体を移動させると、抜止用凸部314の先端が弾性片313の弾性力の作用で傾斜面304に押しつけられた状態で該傾斜面304上を摺動する。このとき、抜止用凸部314の先端が傾斜面304の傾斜に対応して徐々に外側に移動することになるが、その移動に対応して弾性片313が弾性変形することで抜止用凸部314の変位が許容される。そして、クリップ31全体を移動させ続けることで、嵌入部312,312が被嵌入部301,301から完全に抜け、クリップ31がキャップ本体30から完全に取り外されることになる(図4参照)。
【0065】
そして、使用者の好みに応じた新たなクリップ31(例えば、クリップ31の色彩が異なるものや、クリップ本体310が特徴的な形態にデザイン化されたもの等)をキャップ本体30に取り付ける場合、新たなクリップ31の嵌入部312,312をキャップ本体30の被嵌入部301,301に嵌入しつつ、該クリップ31の抜止用凸部314をキャップ本体30の抜止用貫通穴303に嵌入する。このように新たなクリップ31の嵌入部312,312をキャップ本体30の被嵌入部301,301に嵌入させる際(クリップ31全体をキャップ本体30側に移動させる際)、抜止用凸部314とキャップ本体30との干渉で弾性片313が弾性変形し、その弾性力で抜止用凸部314がキャップ本体30の外面(帯状溝302の底面)に押さえ付けられながら移動する。
【0066】
そして、抜止用凸部314が抜止用貫通穴303と対応した配置になったときに、抜止用凸部314とキャップ本体30との干渉の解除により、図5に示す如く、弾性片313の弾性力(復元力)の作用で抜止用凸部314が抜止用貫通穴303に嵌入する(押し込まれる)ことになる。これにより、新たなクリップ31は、被嵌入部301,301に対する嵌入部312,312の嵌入で、嵌入部312,312の嵌脱方向と直交する方向への移動が規制されるとともに、抜止用貫通穴303に対する抜止用凸部314の嵌入で、嵌入部312,312の嵌脱方向への移動も規制されることになる。
【0067】
これにより、新たなクリップ31もキャップ本体30に対して強固に固定されることになる。そして、新たなクリップ31においても、抜止用貫通穴303に嵌入した抜止用凸部314の先端部がキャップ本体30の内面から内側に突出するが、筆記具本体2のペン先部212は先細りに形成され、キャップ本体30に挿入した筆記具本体2(ペン先部212側)とキャップ本体30の内面との間に空間が形成されることになるため、キャップ本体30に筆記具本体2のペン先部212側を挿入したときに、抜止用凸部314の先端部が筆記具本体2(ペン先部212)と干渉することがない。
【0068】
従って、新たなクリップ31を取り付けたキャップ本体30(キャップ3)を筆記具本体2に装着した状態でも、クリップ31がキャップ本体30に対して強固に固定された状態で維持することになるため、クリップ31を支持対象物に掛止させても該クリップ31からキャップ本体30(キャップ本体30に装着された筆記具本体31)が脱落することはない。また、上述の工程を得ることでキャップ本体30に取り付けた新たなクリップ31を別のクリップ31に交換することもできる。
【0069】
以上のように、本実施形態に係る筆記具1が備えるキャップ3は、使用時にクリップ31からキャップ本体30(及び筆記具本体2)が脱落するのを確実に防止できるようにした上で、クリップ31を好みに応じたものに容易に交換することができるという優れた効果を奏し得る。
【0070】
また、本実施形態に係る筆記具1は、クリップ31を取り外すための部材を別途用意しなくても、筆記具本体2を用いてキャップ3のクリップ31を容易に取り外すことができる。
【0071】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは勿論のことである。
【0072】
上記実施形態において、筆記具本体2及びキャップ3を備えた筆記具1について説明したが、これに限定されるものではなく、キャップ3のみを交換部品として独立したものにしても勿論よい。この場合、色彩や形態を異にするキャップ本体30を用意しておくことで、クリップ31のみならず、キャップ3全体を使用者の好みに応じたものにすることができる。
【0073】
上記実施形態において、筆記具本体2の胴軸20の他端部を閉塞し、該他端部にクリップ取外部214を連設したが、これに限定されるものではなく、例えば、筆記具本体2にクリップ取外部214を設けることなく、図7に示す如く、別途用意した道具(クリップ取外具)Tを用意してもよい。従って、筆記具本体2の胴軸20は、他端部が閉塞したものに限定されるものではなく、同図に示す如く、胴軸20の他端を開口させ、挿入したリフィル21を胴軸20の他端から延出させたものであってもよい。
【0074】
上記実施形態において、クリップ31に一対の嵌入部312,312を設けるとともにキャップ本体30に一対の被嵌入部301,301を設けたがこれに限定されるものではなく、嵌入部312,312及び被嵌入部301,301は、一つ以上あればよい。また、嵌入部312,312は延出方向から見た断面形状が円弧状に形成されたものに限定されるものではなく、例えば、嵌入部312,312は、延出方向から見た断面形状を円形状、円環状、多角形状等の種々の形状にしてもよい。そして、被嵌入部301,301は、嵌入部312,312の断面形状に対応させることを前提に、断面形状を円形状、円環状、多角形状等の種々の形状にしてもよい。
【0075】
上記実施形態において、被嵌入部301,301を凹部で構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、被嵌入部301,301を貫通穴で構成してもよい。このようにしてもクリップ31が取り付けられることで、被嵌入部301,301が閉塞されるため、キャップ本体30に挿入したペン先部212(ペンポイントP)のインクが乾燥することはない。
【0076】
上記実施形態において、キャップ本体30内にペン先保護筒部305を設け、挿入した筆記具本体2のペン先部212にペン先保護筒部305の先端に当接させることで、筆記具本体2に対する位置決めをするようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示す如く、キャップ本体30の内部に小径穴H2と大径穴H1とを形成し、小径穴H2と大径穴H1との間の段差(小径穴H2の開口縁)を先細りしたペン先部212のテーパー状の外周に当接させるようにしてもよい。この場合、上記実施形態におけるペン先保護筒部305がないため、クリップ31を取り外すためのクリップ取外部214(クリップ取外具T)は、キャップ本体30に挿入可能で且つキャップ本体30内に突出した抜止用凸部314を押し出し可能な外径であれば、中実であっても環状(筒状)であっても何れでもよい。
【0077】
上記実施形態において、クリップ31の弾性片313を延出部311に延設したが、これに限定されるものではなく、例えば、クリップ本体310に弾性片313を延設してもよい。この場合、弾性片313は、基端側をクリップ本体310から徐々に離間するように傾斜させ、その傾斜した部分よりも先端側をクリップ本体310と所定の間隔をあけてまっすぐ延びるように形成し、このまっすぐ延びた部分に抜止用凸部314を凸設すればよい。
【0078】
上記実施形態において、キャップ本体30の他端側から抜止用貫通穴303に向けて該抜止用貫通穴303の穴径に対応する幅で傾斜面を形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、抜止用貫通穴303の周囲全周に傾斜面(テーパー面)を形成してもよい。
【0079】
また、抜止用貫通穴303の周囲に傾斜面304を形成したものに限定されるものではなく、例えば、キャップ本体30に対して単に抜止用貫通穴303を穿設しただけのものであってもよい。この場合、キャップ本体30の内面から突出する抜止用凸部314の先端を外方に押したときに、抜止用凸部314の先端部が抜止用貫通穴303内に残ることになるが、このような場合、キャップ本体30の外側にある弾性片313を外方に引き上げることで抜止用貫通穴303から抜止用凸部314が完全に抜くことができ、クリップ31全体を移動させてキャップ本体30から取り外すことができる。このように、傾斜面304を設けなくてもクリップ31を取り外すことができるが、上述の如く、クリップ31の取り外し作業を行う際に弾性片313を引き上げる必要があるため、取り外しのし易さを考慮すれば、上記実施形態と同様に傾斜面304を設けることが好ましいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0080】
1…筆記具、2…筆記具本体、3…キャップ(クリップ付き筆記具用キャップ)、20…胴軸、21…リフィル、30…キャップ本体、31…クリップ、200…雌ねじ、201…凸条、210…インクタンク部、211…インク量調整部、212…ペン先部、213…雄ねじ、214…クリップ取外部、300…凹条、301…被嵌入部、302…帯状溝、303…抜止用貫通穴、304…傾斜面、305…ペン先保護筒部、310…クリップ本体、311…延出部、312…嵌入部、313…弾性片、314…抜止用凸部、H1…大径穴、H2…小径穴、P…ペンポイント、PA…ペン先部収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記具本体の先細りしたペン先部を挿入するために一端が開口した筒状のキャップ本体と、該キャップ本体に取り付けられたクリップとを備え、該クリップは、キャップ本体に沿うように配置されて基端側が該キャップ本体の他端部に固定されるクリップ本体を備えたクリップ付き筆記具用キャップにおいて、前記クリップは、前記クリップ本体の基端部から該クリップ本体と交差する方向に延出する延出部と、該延出部から前記クリップ本体と同方向又は略同方向に延出した嵌入部と、前記クリップ本体の基端部又は前記延出部から前記クリップ本体の先端側に向けて延出し、前記延出部の延出側で前記クリップ本体に対して間隔をあけて対向する弾性変形可能な弾性片と、該弾性片から前記延出部の延出側で前記嵌入部の延出する方向と交差する方向に突出する抜止用凸部とを備え、前記キャップ本体は、他端部に該キャップ本体の軸線方向で前記嵌入部を嵌脱可能に形成された凹部又は穴からなる被嵌入部と、筆記具本体のペン先部が収容される領域又は該ペン先部が収容される領域よりも他端側の領域を包囲する部位に前記軸線方向と交差する方向で前記抜止用凸部を嵌脱可能に形成された抜止用貫通穴とを備え、前記嵌入部が前記被嵌入部に嵌入された状態で前記抜止用凸部が前記抜止用貫通穴に嵌入し、該抜止用凸部の先端部が前記キャップ本体の内面から内側に突出するように構成されていることを特徴とするクリップ付き筆記具用キャップ。
【請求項2】
前記キャップ本体は、抜止用貫通穴の周縁部の少なくとも当該キャップ本体の他端側の外面が他端側から抜止用貫通穴に向けて先下りに傾斜した傾斜面で構成されるとともに、前記クリップは、前記抜止用凸部の先端部が球状または半球状に形成されている請求項1に記載のクリップ付き筆記具用キャップ。
【請求項3】
先細りしたペン先部を一端部に有する軸状の筆記具本体と、筆記具本体のペン先部を覆う筆記具用キャップとを備えた筆記具において、前記筆記具用キャップは、請求項1又は2に記載のクリップ付き筆記具用キャップで構成され、前記筆記具本体は、他端側がキャップ本体に挿入可能に構成されるとともにキャップ本体内に突出する前記抜止用凸部の先端部を外方に押し出し可能に形成されていることを特徴とする筆記具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−6355(P2012−6355A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146737(P2010−146737)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000142920)株式会社呉竹 (24)
【Fターム(参考)】