クリップ
【課題】枝における茎からの分岐基部側に簡単に留め付け可能で、且つこの留め付けによりこの分岐基部側を適切に湾曲させ得るクリップを提供する。
【解決手段】植物の枝Bを湾曲外側部1aをもって下方から支持する湾曲部1と、この湾曲部1の湾曲外側部1a上にあってこの湾曲外側部1aとの間に植物の枝Bの保持空間3を形成するクランプ部2とを備えている。クランプ部2は湾曲部1との連接側部2aとこの連接側部2aの上端から側方に張り出す上部2bとを有している。このクランプ部2の上部2bと湾曲部1との間を保持空間3に植物の枝Bを側方から受け入れさせる導入口4としてなる。
【解決手段】植物の枝Bを湾曲外側部1aをもって下方から支持する湾曲部1と、この湾曲部1の湾曲外側部1a上にあってこの湾曲外側部1aとの間に植物の枝Bの保持空間3を形成するクランプ部2とを備えている。クランプ部2は湾曲部1との連接側部2aとこの連接側部2aの上端から側方に張り出す上部2bとを有している。このクランプ部2の上部2bと湾曲部1との間を保持空間3に植物の枝Bを側方から受け入れさせる導入口4としてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
枝に実を作る植物のこの枝における茎からの分岐基部側に留め付けられて、この分岐基部を湾曲させるために用いられるクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
枝に実を作る植物の育成にあたっては、実の生育により枝が折れやすくなる。そこで、両端にリングを備えた保持具のこのリングの一方を枝に他方を茎に引っ掛けてこの保持具を介して枝を支えるようにしたものがある。(特許文献1参照)ここで、このような枝の折れは、この枝における茎からの分岐基部側を湾曲させるようにこの枝を生育させることで防ぎやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−9546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の主たる目的は、枝における茎からの分岐基部側に簡単に留め付け可能で、且つこの留め付けによりこの分岐基部側を適切に湾曲させ得るクリップを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、クリップを、植物の枝を湾曲外側部をもって下方から支持する湾曲部と、この湾曲部の湾曲外側部上にあってこの湾曲外側部との間に植物の枝の保持空間を形成するクランプ部とを備え、
クランプ部は前記湾曲部との連接側部とこの連接側部の上端から側方に張り出す上部とを有しており、
このクランプ部の上部と湾曲部との間を前記保持空間に植物の枝を側方から受け入れさせる導入口としてなるものとした。
【0006】
植物の枝をその側部より前記導入口を通じて保持空間内に受け入れさせることでクリップはこの枝に留め付く。受け入れられた枝は、湾曲部とクランプ部との間に保持されることからこの留め付け状態は安定的に維持される。そして、かかるクリップは、このように受け入れた枝を上方を湾曲外側とするように湾曲部をもって湾曲させる。
【0007】
前記湾曲部における導入口に臨んだ箇所に保持空間側に突き出す係止爪を備えさせておけば、保持空間に保持させた枝の側部にこの係止爪が引っかかるようにすることができ、保持空間内に枝を安定的に保持させることができる。
【0008】
前記湾曲部の中間位置に間隔を開けて左右にそれぞれクランプ部を備えさせると共に、左側のクランプ部と湾曲部とにより形成される導入口の開口側と反対となる側において、右側のクランプ部と湾曲部とにより形成される導入口が開口されるようにしておくことが、この発明の好適な形態の一つである。この場合には、さらに、前記湾曲部の下部に摘み部を形成させておくことが好ましい。
【0009】
左右のクランプ部間の間隔に湾曲部に枝が交叉するようにして上方から枝を通し、この状態から摘み部を利用して左側のクランプ部と湾曲部とにより形成される導入口と、右側のクランプ部と湾曲部とにより形成される導入口とにそれぞれ枝が入り込む向きにクリップを捻り回すと、左右のクランプ部と湾曲部との間にそれぞれ枝が入り込みクリップは枝にワンタッチで留め付けられる。
【0010】
クリップがさらに、フック端と湾曲部における植物の茎側に向けられる一端部との間をこの茎を側方から受け入れさせる導入口とするこの茎に対するフック部を一体に備えるようにしておくこともある。このようにすれば、枝側の荷重をクリップを介してこのクリップと茎との留め付け位置、つまり、フック部の引っ掛け位置においても茎側に支えさせることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明にかかるクリップは、枝における茎からの分岐基部側に簡単に留め付けることができる。それと共に、かかるクリップは、この留め付けによりこの分岐基部側を適切に湾曲させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は第一実施例のクリップの斜視図である。
【図2】図2は第一実施例のクリップの正面図である。
【図3】図3は第一実施例のクリップの右側面図である。
【図4】図4は第一実施例のクリップを構成する一対のクランプ部間の間隔に枝を通した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は図4の状態からクリップを略90度捻り回して枝にクリップを装着させた状態を示す斜視図である。
【図6】図6は第二実施例のクリップの斜視図である。
【図7】図7は第二実施例のクリップの斜視図であり、図6と反対の側からクリップを見て示している。
【図8】図8は第二実施例のクリップの平面図である。
【図9】図9は第二実施例のクリップの正面図である。
【図10】図10は第二実施例のクリップを構成するフック部を幹に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図11】図11は図10の状態からクリップを構成する湾曲部とクランプ部との間に枝を保持させた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1〜図11に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかるクリップは、枝Bに実を作る植物のこの枝Bにおける茎Sからの分岐基部Ba側に留め付けられて、この分岐基部Baを湾曲させるために用いられるものである。茎Sには蔓も含まれる。枝Bは基になる茎Sから分かれた茎Sである。より具体的には、かかるクリップは、トマトやブドウなどの植物の実を支える枝Bにおける茎Sからの分岐基部Baに留め付けられて用いられる。
【0014】
かかるクリップは、植物の枝Bを湾曲外側部1aをもって下方から支持する湾曲部1と、この湾曲部1の湾曲外側部1a上にあってこの湾曲外側部1aとの間に植物の枝Bの保持空間3を形成するクランプ部2とを備えている。それと共に、かかるクランプ部2は前記湾曲部1との連接側部2aとこの連接側部2aの上端から側方に張り出す上部2bとを有しており、このクランプ部2の上部2bと湾曲部1との間を前記保持空間3に植物の枝Bを側方から受け入れさせる導入口4としている。
【0015】
これにより、かかるクリップは、植物の枝Bをその側部より前記導入口4を通じて保持空間3内に受け入れてこの枝Bに留め付く。受け入れられた枝Bは、湾曲部1とクランプ部2との間に保持されることからこの留め付け状態は安定的に維持される。そして、かかるクリップは、このように受け入れた枝Bを上方を湾曲外側とするように湾曲部1をもって湾曲させる。
【0016】
すなわち、かかるクリップは、枝Bを内側に通す湾曲したチューブ状の保持空間3を前記湾曲部1とクランプ部2により形成させた態様となっている。
【0017】
かかるクリップにあっては、前記保持空間3への枝Bの受け入れを、導入口4を上下方向に拡大する向きの弾性変形をこの受け入れに際してクリップの一部に生じさせることで許容する構成としておくことが、好適である。このようにしておけば、保持空間3に枝Bを受け入れきった位置でのクリップの一部の弾性復帰により保持空間3内に枝Bを安定的に保持させることができる。クリップにこのような弾性変形特性を持たせることは、クリップを合成樹脂の成形品とすることで容易に実現することができる。
【0018】
また、この実施の形態にあっては、前記湾曲部1における導入口4に臨んだ箇所に上方に突き出す係止爪1cを設けさせている。このようにしておけば、保持空間3に保持させた枝Bの側部にこの係止爪1cが引っかかるようにすることができ、保持空間3内に枝Bを安定的に保持させることができる。
【0019】
(第一実施例)
図1〜図5に示される第一実施例にかかるクリップにあっては、前記湾曲部1の中間位置に間隔5を開けて左右にそれぞれクランプ部2が備えられていると共に、左側のクランプ部2と湾曲部1とにより形成される導入口4の開口側と反対となる側において、右側のクランプ部2と湾曲部1とにより形成される導入口4が開口されている。
【0020】
また、この第一実施例にかかるクリップにあっては、湾曲部1の下部、つまり、前記湾曲内側部1bに摘み部6が形成されている。
【0021】
この例にあっては、湾曲部1は、上部を湾曲外側部1aとし、下部を湾曲内側部1bとした細長い湾曲した板状を呈するように構成されている。左右のクランプ部2はそれぞれ、下端を湾曲部1の長さ方向に亘る一方の縁部に一体に連接させて上方に突き出す連接側部2aと、この連接側部2aの上端から湾曲部1の長さ方向に亘る他方の縁部上に向けて突き出す上部2bとを備えている。この上部2bは湾曲部1の湾曲に倣った湾曲を持つように構成されている。また、この例にあっては、連接側部2aには、その下端から上端に亘る肉抜き穴2cが形成されている。また、この例にあっては、クランプ部2の上部2bにおける前記導入口4に臨んだ箇所に下方に突き出す係止爪2dが形成されている。この例では、左側のクランプ部2の上部2bの係止爪2dの形成位置の直下と、右側のクランプ部2の上部2bの係止爪2dの形成位置の直下とにそれぞれ、前記湾曲部1の係止爪1cが形成されている。各係止爪1c、2dはそれぞれ、湾曲部1の長さ方向に沿った稜部1d、2eを備えると共に、この稜部1d、2eを挟んだ両側面をいずれも傾斜面としている。
【0022】
摘み部6は、湾曲部1の長さ方向略中程の位置において上部をこの湾曲部1の湾曲内側部1bに一体に連接させた板状をなすように構成されている。摘み部6の板面は湾曲部1の長さ方向に沿って配されるようになっている。また、摘み部6はその下部側に向かうに連れて次第に前記板面の幅を大きくする略扇状を呈するように構成されている。図中符号6aで示されるのは、摘み部6の肉抜き穴である。
【0023】
左右のクランプ部2の間隔5に湾曲部1に枝Bが交叉するようにして上方から枝Bを通す。(図4)この状態から摘み部6を利用して左側のクランプ部2と湾曲部1とにより形成される導入口4と、右側のクランプ部2と湾曲部1とにより形成される導入口4とにそれぞれ枝Bが入り込む向きに略90度クリップを捻り回すと、左右のクランプ部2と湾曲部1との間に枝Bがそれぞれ入り込みクリップは枝Bにワンタッチで留め付けられる。
【0024】
(第二実施例)
図6〜図11に示される第二実施例にかかるクリップにあっては、フック端と湾曲部1における植物の茎S側に向けられる一端部との間をこの茎Sを側方から受け入れさせる導入口8とするこの茎Sに対するフック部7を一体に備えている。
【0025】
この例にあっても、湾曲部1は、上部を湾曲外側部1aとし、下部を湾曲内側部1bとした細長い湾曲した板状を呈するように構成されている。クランプ部2は、下端を湾曲部1の長さ方向に亘る一方の縁部に一体に連接させて上方に突き出す連接側部2aと、この連接側部2aの上端から湾曲部1の長さ方向に亘る他方の縁部上に向けて突き出す上部2bとを備えている。この上部2bは湾曲部1の湾曲に倣った湾曲を持つように構成されている。また、図中符号1e、2cで示されるのは、かかる湾曲部1及び連接側部2aに形成された肉抜き穴である。また、この例にあっては、湾曲部1の長さ方向に二箇所の係止爪1cが両者の間に間隔を開けて形成されている。
【0026】
フック部7は、平面視の状態で、仮想の円の略270度分の範囲について、この円の円弧に倣うように形成された湾曲片状をなすように構成されている。フック部7の一端7aは、クランプ部2の上部2bに一体に連接されている。また、このフック部7の一端7aに対向する位置にある中間部には段部7bが形成され、この段部7bとフック部7の前記フック端となる他端7cとの間は、この一端7aと段部7bまでの箇所より下方に位置されるようになっている。この例では、フック部7の他端7cには操作摘み部7dが形成されている。
【0027】
また、この例にあっては、クランプ部2の上部2bであってフック部7との連接側と反対の端部であって前記導入口8に臨んだ箇所には、下方に突き出す突部2fが形成されている。保持空間3に枝Bを保持させた状態では、この突部2fはクランプ部2の連接側部2aとの間でこの枝Bを挟むようになっている。
【0028】
フック部7の導入口8を通じてこのフック部7内に茎Sを入れ込み通す。(図10)この例では、このときにはフック部7はその導入口8を広げる向きに弾性変形されるようになっている。この弾性変形は前記操作摘み部7dを利用してなすことができる。この状態から茎Sを軸にするようにして湾曲部1の側を移動させると、クランプ部2と湾曲部1とにより形成される導入口8を通じて保持空間3内に枝Bを入り込ませることができ、これによりクリップは枝Bに留め付けられる。(図11)この例では、枝B側の荷重をクリップを介してこのクリップと茎Sとの留め付け位置、つまり、フック部7の引っ掛け位置においても茎S側に支えさせることができる。
【符号の説明】
【0029】
B 枝
1 湾曲部
1a 湾曲外側部
2 クランプ部
2a 連接側部
2b 上部
3 保持空間
4 導入口
【技術分野】
【0001】
枝に実を作る植物のこの枝における茎からの分岐基部側に留め付けられて、この分岐基部を湾曲させるために用いられるクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
枝に実を作る植物の育成にあたっては、実の生育により枝が折れやすくなる。そこで、両端にリングを備えた保持具のこのリングの一方を枝に他方を茎に引っ掛けてこの保持具を介して枝を支えるようにしたものがある。(特許文献1参照)ここで、このような枝の折れは、この枝における茎からの分岐基部側を湾曲させるようにこの枝を生育させることで防ぎやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−9546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の主たる目的は、枝における茎からの分岐基部側に簡単に留め付け可能で、且つこの留め付けによりこの分岐基部側を適切に湾曲させ得るクリップを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、クリップを、植物の枝を湾曲外側部をもって下方から支持する湾曲部と、この湾曲部の湾曲外側部上にあってこの湾曲外側部との間に植物の枝の保持空間を形成するクランプ部とを備え、
クランプ部は前記湾曲部との連接側部とこの連接側部の上端から側方に張り出す上部とを有しており、
このクランプ部の上部と湾曲部との間を前記保持空間に植物の枝を側方から受け入れさせる導入口としてなるものとした。
【0006】
植物の枝をその側部より前記導入口を通じて保持空間内に受け入れさせることでクリップはこの枝に留め付く。受け入れられた枝は、湾曲部とクランプ部との間に保持されることからこの留め付け状態は安定的に維持される。そして、かかるクリップは、このように受け入れた枝を上方を湾曲外側とするように湾曲部をもって湾曲させる。
【0007】
前記湾曲部における導入口に臨んだ箇所に保持空間側に突き出す係止爪を備えさせておけば、保持空間に保持させた枝の側部にこの係止爪が引っかかるようにすることができ、保持空間内に枝を安定的に保持させることができる。
【0008】
前記湾曲部の中間位置に間隔を開けて左右にそれぞれクランプ部を備えさせると共に、左側のクランプ部と湾曲部とにより形成される導入口の開口側と反対となる側において、右側のクランプ部と湾曲部とにより形成される導入口が開口されるようにしておくことが、この発明の好適な形態の一つである。この場合には、さらに、前記湾曲部の下部に摘み部を形成させておくことが好ましい。
【0009】
左右のクランプ部間の間隔に湾曲部に枝が交叉するようにして上方から枝を通し、この状態から摘み部を利用して左側のクランプ部と湾曲部とにより形成される導入口と、右側のクランプ部と湾曲部とにより形成される導入口とにそれぞれ枝が入り込む向きにクリップを捻り回すと、左右のクランプ部と湾曲部との間にそれぞれ枝が入り込みクリップは枝にワンタッチで留め付けられる。
【0010】
クリップがさらに、フック端と湾曲部における植物の茎側に向けられる一端部との間をこの茎を側方から受け入れさせる導入口とするこの茎に対するフック部を一体に備えるようにしておくこともある。このようにすれば、枝側の荷重をクリップを介してこのクリップと茎との留め付け位置、つまり、フック部の引っ掛け位置においても茎側に支えさせることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明にかかるクリップは、枝における茎からの分岐基部側に簡単に留め付けることができる。それと共に、かかるクリップは、この留め付けによりこの分岐基部側を適切に湾曲させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は第一実施例のクリップの斜視図である。
【図2】図2は第一実施例のクリップの正面図である。
【図3】図3は第一実施例のクリップの右側面図である。
【図4】図4は第一実施例のクリップを構成する一対のクランプ部間の間隔に枝を通した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は図4の状態からクリップを略90度捻り回して枝にクリップを装着させた状態を示す斜視図である。
【図6】図6は第二実施例のクリップの斜視図である。
【図7】図7は第二実施例のクリップの斜視図であり、図6と反対の側からクリップを見て示している。
【図8】図8は第二実施例のクリップの平面図である。
【図9】図9は第二実施例のクリップの正面図である。
【図10】図10は第二実施例のクリップを構成するフック部を幹に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図11】図11は図10の状態からクリップを構成する湾曲部とクランプ部との間に枝を保持させた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1〜図11に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかるクリップは、枝Bに実を作る植物のこの枝Bにおける茎Sからの分岐基部Ba側に留め付けられて、この分岐基部Baを湾曲させるために用いられるものである。茎Sには蔓も含まれる。枝Bは基になる茎Sから分かれた茎Sである。より具体的には、かかるクリップは、トマトやブドウなどの植物の実を支える枝Bにおける茎Sからの分岐基部Baに留め付けられて用いられる。
【0014】
かかるクリップは、植物の枝Bを湾曲外側部1aをもって下方から支持する湾曲部1と、この湾曲部1の湾曲外側部1a上にあってこの湾曲外側部1aとの間に植物の枝Bの保持空間3を形成するクランプ部2とを備えている。それと共に、かかるクランプ部2は前記湾曲部1との連接側部2aとこの連接側部2aの上端から側方に張り出す上部2bとを有しており、このクランプ部2の上部2bと湾曲部1との間を前記保持空間3に植物の枝Bを側方から受け入れさせる導入口4としている。
【0015】
これにより、かかるクリップは、植物の枝Bをその側部より前記導入口4を通じて保持空間3内に受け入れてこの枝Bに留め付く。受け入れられた枝Bは、湾曲部1とクランプ部2との間に保持されることからこの留め付け状態は安定的に維持される。そして、かかるクリップは、このように受け入れた枝Bを上方を湾曲外側とするように湾曲部1をもって湾曲させる。
【0016】
すなわち、かかるクリップは、枝Bを内側に通す湾曲したチューブ状の保持空間3を前記湾曲部1とクランプ部2により形成させた態様となっている。
【0017】
かかるクリップにあっては、前記保持空間3への枝Bの受け入れを、導入口4を上下方向に拡大する向きの弾性変形をこの受け入れに際してクリップの一部に生じさせることで許容する構成としておくことが、好適である。このようにしておけば、保持空間3に枝Bを受け入れきった位置でのクリップの一部の弾性復帰により保持空間3内に枝Bを安定的に保持させることができる。クリップにこのような弾性変形特性を持たせることは、クリップを合成樹脂の成形品とすることで容易に実現することができる。
【0018】
また、この実施の形態にあっては、前記湾曲部1における導入口4に臨んだ箇所に上方に突き出す係止爪1cを設けさせている。このようにしておけば、保持空間3に保持させた枝Bの側部にこの係止爪1cが引っかかるようにすることができ、保持空間3内に枝Bを安定的に保持させることができる。
【0019】
(第一実施例)
図1〜図5に示される第一実施例にかかるクリップにあっては、前記湾曲部1の中間位置に間隔5を開けて左右にそれぞれクランプ部2が備えられていると共に、左側のクランプ部2と湾曲部1とにより形成される導入口4の開口側と反対となる側において、右側のクランプ部2と湾曲部1とにより形成される導入口4が開口されている。
【0020】
また、この第一実施例にかかるクリップにあっては、湾曲部1の下部、つまり、前記湾曲内側部1bに摘み部6が形成されている。
【0021】
この例にあっては、湾曲部1は、上部を湾曲外側部1aとし、下部を湾曲内側部1bとした細長い湾曲した板状を呈するように構成されている。左右のクランプ部2はそれぞれ、下端を湾曲部1の長さ方向に亘る一方の縁部に一体に連接させて上方に突き出す連接側部2aと、この連接側部2aの上端から湾曲部1の長さ方向に亘る他方の縁部上に向けて突き出す上部2bとを備えている。この上部2bは湾曲部1の湾曲に倣った湾曲を持つように構成されている。また、この例にあっては、連接側部2aには、その下端から上端に亘る肉抜き穴2cが形成されている。また、この例にあっては、クランプ部2の上部2bにおける前記導入口4に臨んだ箇所に下方に突き出す係止爪2dが形成されている。この例では、左側のクランプ部2の上部2bの係止爪2dの形成位置の直下と、右側のクランプ部2の上部2bの係止爪2dの形成位置の直下とにそれぞれ、前記湾曲部1の係止爪1cが形成されている。各係止爪1c、2dはそれぞれ、湾曲部1の長さ方向に沿った稜部1d、2eを備えると共に、この稜部1d、2eを挟んだ両側面をいずれも傾斜面としている。
【0022】
摘み部6は、湾曲部1の長さ方向略中程の位置において上部をこの湾曲部1の湾曲内側部1bに一体に連接させた板状をなすように構成されている。摘み部6の板面は湾曲部1の長さ方向に沿って配されるようになっている。また、摘み部6はその下部側に向かうに連れて次第に前記板面の幅を大きくする略扇状を呈するように構成されている。図中符号6aで示されるのは、摘み部6の肉抜き穴である。
【0023】
左右のクランプ部2の間隔5に湾曲部1に枝Bが交叉するようにして上方から枝Bを通す。(図4)この状態から摘み部6を利用して左側のクランプ部2と湾曲部1とにより形成される導入口4と、右側のクランプ部2と湾曲部1とにより形成される導入口4とにそれぞれ枝Bが入り込む向きに略90度クリップを捻り回すと、左右のクランプ部2と湾曲部1との間に枝Bがそれぞれ入り込みクリップは枝Bにワンタッチで留め付けられる。
【0024】
(第二実施例)
図6〜図11に示される第二実施例にかかるクリップにあっては、フック端と湾曲部1における植物の茎S側に向けられる一端部との間をこの茎Sを側方から受け入れさせる導入口8とするこの茎Sに対するフック部7を一体に備えている。
【0025】
この例にあっても、湾曲部1は、上部を湾曲外側部1aとし、下部を湾曲内側部1bとした細長い湾曲した板状を呈するように構成されている。クランプ部2は、下端を湾曲部1の長さ方向に亘る一方の縁部に一体に連接させて上方に突き出す連接側部2aと、この連接側部2aの上端から湾曲部1の長さ方向に亘る他方の縁部上に向けて突き出す上部2bとを備えている。この上部2bは湾曲部1の湾曲に倣った湾曲を持つように構成されている。また、図中符号1e、2cで示されるのは、かかる湾曲部1及び連接側部2aに形成された肉抜き穴である。また、この例にあっては、湾曲部1の長さ方向に二箇所の係止爪1cが両者の間に間隔を開けて形成されている。
【0026】
フック部7は、平面視の状態で、仮想の円の略270度分の範囲について、この円の円弧に倣うように形成された湾曲片状をなすように構成されている。フック部7の一端7aは、クランプ部2の上部2bに一体に連接されている。また、このフック部7の一端7aに対向する位置にある中間部には段部7bが形成され、この段部7bとフック部7の前記フック端となる他端7cとの間は、この一端7aと段部7bまでの箇所より下方に位置されるようになっている。この例では、フック部7の他端7cには操作摘み部7dが形成されている。
【0027】
また、この例にあっては、クランプ部2の上部2bであってフック部7との連接側と反対の端部であって前記導入口8に臨んだ箇所には、下方に突き出す突部2fが形成されている。保持空間3に枝Bを保持させた状態では、この突部2fはクランプ部2の連接側部2aとの間でこの枝Bを挟むようになっている。
【0028】
フック部7の導入口8を通じてこのフック部7内に茎Sを入れ込み通す。(図10)この例では、このときにはフック部7はその導入口8を広げる向きに弾性変形されるようになっている。この弾性変形は前記操作摘み部7dを利用してなすことができる。この状態から茎Sを軸にするようにして湾曲部1の側を移動させると、クランプ部2と湾曲部1とにより形成される導入口8を通じて保持空間3内に枝Bを入り込ませることができ、これによりクリップは枝Bに留め付けられる。(図11)この例では、枝B側の荷重をクリップを介してこのクリップと茎Sとの留め付け位置、つまり、フック部7の引っ掛け位置においても茎S側に支えさせることができる。
【符号の説明】
【0029】
B 枝
1 湾曲部
1a 湾曲外側部
2 クランプ部
2a 連接側部
2b 上部
3 保持空間
4 導入口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の枝を湾曲外側部をもって下方から支持する湾曲部と、この湾曲部の湾曲外側部上にあってこの湾曲外側部との間に植物の枝の保持空間を形成するクランプ部とを備え、
クランプ部は前記湾曲部との連接側部とこの連接側部の上端から側方に張り出す上部とを有しており、
このクランプ部の上部と湾曲部との間を前記保持空間に植物の枝を側方から受け入れさせる導入口としてなることを特徴とするクリップ。
【請求項2】
湾曲部における導入口に臨んだ箇所に保持空間側に突き出す係止爪が備えられていることを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
湾曲部の中間位置に間隔を開けて左右にそれぞれクランプ部が備えられていると共に、
左側のクランプ部と湾曲部とにより形成される導入口の開口側と反対となる側において、右側のクランプ部と湾曲部とにより形成される導入口が開口されていることを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
【請求項4】
湾曲部の下部に摘み部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のクリップ。
【請求項5】
フック端と湾曲部における植物の茎側に向けられる一端部との間をこの茎を側方から受け入れさせる導入口とするこの茎に対するフック部を一体に備えてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクリップ。
【請求項1】
植物の枝を湾曲外側部をもって下方から支持する湾曲部と、この湾曲部の湾曲外側部上にあってこの湾曲外側部との間に植物の枝の保持空間を形成するクランプ部とを備え、
クランプ部は前記湾曲部との連接側部とこの連接側部の上端から側方に張り出す上部とを有しており、
このクランプ部の上部と湾曲部との間を前記保持空間に植物の枝を側方から受け入れさせる導入口としてなることを特徴とするクリップ。
【請求項2】
湾曲部における導入口に臨んだ箇所に保持空間側に突き出す係止爪が備えられていることを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
湾曲部の中間位置に間隔を開けて左右にそれぞれクランプ部が備えられていると共に、
左側のクランプ部と湾曲部とにより形成される導入口の開口側と反対となる側において、右側のクランプ部と湾曲部とにより形成される導入口が開口されていることを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
【請求項4】
湾曲部の下部に摘み部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のクリップ。
【請求項5】
フック端と湾曲部における植物の茎側に向けられる一端部との間をこの茎を側方から受け入れさせる導入口とするこの茎に対するフック部を一体に備えてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクリップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−160774(P2011−160774A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30355(P2010−30355)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
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