説明

クリプトスポリジウム排出に対応した砂ろ過装置と逆洗方法

【課題】 浄水に用いた砂ろ過装置で逆洗を行う際に、ろ層中にあるクリプトスポリジウムが十分に除去されて残留することがないようにする。
【解決手段】 クリプトスポリジウムを含む原水を下向流でろ過を行う砂ろ過装置において、通常のろ過方向と逆向きにろ過水を逆洗速度0.6〜0.9m/minでろ層に通水し、ろ砂を流動状態にして水逆流洗浄を行う第1逆洗工程を行い、続いて同様の向きに逆洗速度0.10〜0.2m/minとして水逆流洗浄を行う第2逆洗工程を行うことにより、ろ層中に滞留したクリプトスポリジウムを排出することを特徴とする砂ろ過装置の逆洗方法。第1逆洗工程と第2逆洗工程の間に、逆洗停止期間を10秒〜60秒間設けることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を目的とした被処理水から懸濁物質を固液分離する浄水処理における砂ろ過装置及びその逆洗方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、クリプトスポリジウム等の耐塩素性病原微生物による感染症が報告されるようになり、これを受けて原水にクリプトスポリジウム等の耐塩素性病原微生物が混入する恐れがある場合には、これらの除去可能な砂ろ過装置等の設置が必要となってきた。
浄水処理において使用される砂ろ過装置は、ろ層において原水中のクリプトスポリジウムやその他の懸濁物質を固液分離し清澄な処理水を得ている。その際ろ過を継続すると、ろ層中には懸濁物質が蓄積する。このため、一定のろ過を行うと、ろ層中に蓄積した物質を除去するための逆洗が必要となる。
【0003】
砂ろ過装置の逆洗方式は種々あるが、ろ過水を洗浄水として、洗浄用のろ過水をろ層下部からろ層上部へ流す逆流洗浄(通称、逆洗)する方法がある。
逆洗における逆洗速度は、0.6〜0.9m/minとすることが一般的であり、水道施設設計指針にも記載されている。0.6〜0.9m/minの洗浄中、洗浄水は膨張したろ層中を下部から上部へ流れ、この時に砂層に蓄積された濁質分やクリプトスポリジウム等の微生物を砂層から分離・排出する。しかし、ろ層中を微視的に観察すると、局所的に旋回流やうず流が形成されている。このため、水流の影響を大きく受けるクリプトスポリジウム等の一部は、この旋回流・うず流により、ろ層上部から排出されることなくろ層中に滞留する。
【0004】
このろ層中に滞留した物質を除去するために、洗浄終了直前に洗浄速度を段階的に減少させる、いわゆるスローダウン洗浄方式が対策として記載されている(非特許文献1)。
【非特許文献1】「水道施設設計指針2000」、日本水道協会。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このスローダウン洗浄方式は、具体的な方法、例えば、何段階で、どのような洗浄速度で、どれだけの時間を設定するのかについては明らかでない。さらに、スローダウン洗浄等の洗浄効果を判定する指標は、一般に濁質分を計測してその除去性から決定されており、本件で扱うクリプトスポリジウム等の微生物に直接着目して採用された方式ではない。
【0006】
また、旋回流でろ層中に滞留する濁質分やクリプトスポリジウムを除去するためには、早急に旋回流を消減させなくてはならないが、洗浄速度を0.6〜0.9m/minからろ層が膨張しない程度に低下させた直後には、慣性力により旋回流は残留しており、その後徐々に消えていくこととなる。旋回流が消減するまでは、洗浄水は無駄に排出されることになる。洗浄水はろ過水を用いることから、装置全体の水回収率は低下することになるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明者らはクリプトスポリジウムオーシストのトレーサーを用いて、ろ過実験を行い、最適な逆洗方法を行うためのろ過装置の運転方法を検討した。
そして、水逆流洗浄を行う逆洗工程の逆洗速度を、ろ材を流動化状態にする、及びすることのない強弱の水逆洗工程をこの順に組合わせること、さらに、ろ材を流動化状態にすることのない弱い水逆洗工程の洗浄時間を特定の時間に設定すれば、クリプトスポリジウムを十分排出することが可能となり、さらに全体として洗浄水量を少なく済ませることができることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の構成とすることにより上記の課題を解決することができた。
(1)クリプトスポリジウムを含む原水を下向流でろ過を行う砂ろ過装置において、通常のろ過方向と逆向きにろ過水を逆洗速度0.6〜0.9m/minでろ層に通水し、ろ砂を流動状態にして水逆流洗浄を行う第1逆洗工程を行い、続いて同様の向きに逆洗速度0.10〜0.2m/minとして水逆流洗浄を行う第2逆洗工程を行うことにより、ろ層中に滞留したクリプトスポリジウムを排出することを特徴とする砂ろ過装置の逆洗方法。
(2)第1逆洗工程と第2逆洗工程の間に、逆洗停止期間を10秒〜60秒間設けることを特徴とする前記(1)記載の砂ろ過装置の逆洗方法。
(3)クリプトスポリジウムを含む原水を、下向流でろ過を行う砂ろ過装置において、第2逆洗工程の洗浄時間(Tr)は、ろ層高さをL1、ろ層上部から逆洗排水越流部までの高さをL2、逆洗速度0.10〜0.20m/minの設定値をLV1とした場合に、Tr=(L1+L2)÷LV1以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の砂ろ過装置の逆洗方法。
【0009】
(4)上部に被処理原水の流入配管及び逆洗水の排出配管、中間部に支持体に支承されたろ層、底部にろ過水排出配管及び逆洗水量調整用バルブを具備した逆洗水流入配管を有するクリプトスポリジウムを排出するためのろ過塔を備えた砂ろ過装置において、請求項1〜3のいずれか1項に記載の逆洗方法を行うために、前記逆洗水流入配管中に逆洗水をろ層に流入させる水量を、逆洗速度0.6〜0.9m/minと0.10〜0.2m/minの2段階に調節可能とするバルブを配設したことを特徴とする砂ろ過装置。
【0010】
すなわち、本発明の骨子は、下記に示す事項から成るものである。
本発明で逆洗を行う装置では、上記間題を解決するために、逆洗速度を0.6〜0.9m/minで所定の時間逆洗を行った後、逆洗速度0.10〜0.2m/min、好ましくは0.15〜0.2m/minに低下させて洗浄を行う。または、洗浄水となるろ過水の使用量を減少させて装置全体の水回収率を向上させるため、逆洗速度0.6〜0.9m/minで所定の時間逆洗を行った後、逆洗を10秒〜60秒間停止し、再び逆洗速度0.10〜0.2m/minとして逆洗を行う。
逆洗速度0.10〜0.2m/minの洗浄時間は、ろ層の高さをL1、ろ層上部から逆洗排水越流部までの高さをL2とした場合、洗浄速度0.10〜0.2m/minのろ層高さの設定値LV1で除した時間Tr=(L1+L2)÷LV1以上とする。なお、逆洗速度0.6〜0.9m/minで所定の時間逆洗を行った後、逆洗を10秒〜60秒間停止する工程を設けた場合には、逆洗速度0.10〜0.2m/minの洗浄時間は(L1+L2)÷Lv1とするのが逆洗水量を低減できるため好ましい。
以上のように逆洗を行うろ過装置とすることで、ろ層中に滞留したクリプトスポリジウムを十分に排出し、安全で安定した水処理が可能となる。
【発明の効果】
【0011】
以上の結果から、クリプトスポリジウムを含む原水を処理する砂ろ過装置を逆洗する場合、逆洗速度0.6〜0.9m/minのろ層を流動化させる第1逆洗工程の後、逆洗速度が0.10〜0.20m/minの第2洗浄工程を行うことにより、ろ層内からクリプトスポリジウムを十分排出することが可能となり、安全なろ過水を得ることが可能となる。逆洗速度が0.10m/min未満の場合はろ層内のクリプトスポリジウムを十分排出できず、また、逆洗速度が0.2m/minより大きい場合はろ層内の一部に旋回流が生じクリプトスポリジウムを十分に排出することが困難となる。よって、逆洗速度を上記範囲に設定することで、安定した水処理が可能となる。また、逆洗速度0.6〜0.9m/minのろ層が流動化した状態から一旦洗浄を10秒〜60秒間停止し、第1逆洗工程でろ層内に生じた局所流を消減させて、その後に逆洗速度0.10〜0.20m/minの第2洗浄工程の洗浄を行うと、全体として洗浄水量を少なく済ませることができる。停止時間が10秒未満の場合は、第一逆洗工程で生じた局所流を消滅させることができず、また、停止時間が60秒より長い場合は、装置の待機工程が長くなるため適切でない。さらに、第2逆洗工程は、時間Tr(=ろ層とろ層上部から洗浄水排出口までの、洗浄水の滞留時間)の間、行うことにより、クリプトスポリジウムの排出を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の砂ろ過装置の逆洗方法について、図面を参照しつつ説明する。
図1は逆洗直前のろ過塔全体の模式図、図2は第1逆洗工程時にろ層が流動化した状態におけるろ過塔全体の模式図、図3は第1逆洗工程時の流動化した状態におけるろ層の一部を拡大した模式図、図4はろ層を流動化させない状態で逆洗中(第2逆洗工程の状態)の、ろ層の一部を拡大した模式図である。
【0013】
ろ過の継続とともに、図1に示すように、ろ層2では濁質分およびクリプトスポリジウム3の捕捉が顕著となり閉塞が生じる。このため、図2に示すように、ろ過塔1下部からろ過水を使用した洗浄水4をろ層2に通水し逆洗を行う。逆洗水4の逆洗速度は通常0.6m/min〜0.9m/minとして、ろ層2を膨張させ流動化状態にする。この時、ろ層2内の水流は乱流状態であり、ろ層部2全体としては下部から上部へ洗浄水4が流れているが、局所的には図3に示すように旋回流・うず流8が発生するため、ろ層2内に蓄積された濁質分6やクリプトスポリジウムの一部9はろ層2から排出されず滞留する。
【0014】
逆洗速度0.6〜0.9m/minのろ層2を流動化状態にさせた第1逆洗工程を継続してもほとんど濁質分6が排出されなくなると、バルブ7を調節して逆洗速度を0.10〜0.2m/minに低下させる。すると、ろ層2は流動化を停止し、ろ層2内の旋回流やうず流8も消減する。このため、ろ層2内の旋回流やうず流8に取り込まれて残留していたクリプトスポリジウム9は、0.10〜0.2m/minの逆洗水流によりろ層2上部に移動し、ろ層2から排出される。逆洗速度0.10〜0.2m/minの第2洗浄工程は、ろ層2とろ層2上部から洗浄排水排出部における洗浄水4の滞留時間を少なくともTr以上継続する。
【0015】
なお、逆洗速度を0.6〜0.9m/minから0.10〜0.2m/minに落とした直後は、慣性力でろ層2内の旋回流・うず流8は残留している。このため、逆洗速度0.6〜0.9m/minの状態から、バルブ7を一旦閉とし、10秒〜60秒経過後に再び逆洗速度0.15〜0.2m/minで逆洗を行うと、ろ層2内の旋回流・うず流8は消減しており、洗浄水量は比較的少なく済む。
【0016】
このようにして、クリプトスポリジウムを含む原水を処理する砂ろ過装置を逆洗する場合、逆洗速度0.6〜0.9m/minのろ層2を流動化させる第1逆洗工程から、時間Trの間、逆洗速度0.10〜0.2m/minの第2逆洗工程とすることで、ろ層2内からクリプトスポリジウム9を十分排出することが可能となり、安全なろ過水を得ることが可能となり、安定した水処理が可能となる。また、逆洗速度0.6〜0.9m/minのろ層2が流動化した状態から一旦洗浄を10秒〜60秒間停止し、ろ層2内に発生した旋回流・うず流8をその間に消滅させて、その後に逆洗速度0.10〜0.2m/minの第2逆洗工程の洗浄を行うと、全体として洗浄水量を少なく済ませることができる。
なお、ろ過工程及び洗浄工程の運転操作には該当する配管ラインのバルブ操作等、当然必要となる操作はあるが、ここでは説明を省略する。
【実施例】
【0017】
以下に本発明を実施例により具体的且つ詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何等制限されるものではない。
【0018】
実施例1
図5に、クリプトスポリジウムトレーサー添加実験のフローを示す。実験では比較検討用に、図5のトレーサーの注入設備以外は図5と同様の設備を別に1系列設置した。第1表にろ過塔の仕様、第2表に通水条件を示す。河川水を沈殿処理した沈殿水にクリプトスポリジウムの代替トレーサー(材質ポリメチルメタアクリレート、粒径5.0μm、比重1.19、日本光研工業株式会杜製)を原水槽で混合して実験原水とし、アクリル製の透明材質で製作したろ過塔を用いてろ過実験を行った。ろ砂の5%は予め緑色に着色し、ろ砂の流動状態がより明確になるようにした。実験は、クリプトスポリジウムトレーサーを添加して第1逆洗工程と第2逆洗工程を実施する本発明の実施例(実験A)、同様にクリプトスポリジウムトレーサーを添加し第1逆洗工程後に10秒〜60秒間逆洗を停止し、その後第2逆洗工程を行う本発明の別の実施例(実験B)、クリプトスポリジウムトレーサーを添加せず、第1逆洗工程だけを行う比較検討(実験C)の3種の実験を行った。
なお、図5において、10は沈殿水、11はクリプトスポリジウムトレーサー、12はこれらを混合する原水槽、13はポリ塩化アルミニウム(PAC)、14は処理水槽、15は排水処理槽、1は先に図1及び図2において説明した砂ろ過塔である。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】
注:旧建設省土木研究所資料第3533号(1998年1月)による調査結果で、河川水中のクリプトスポリジウムオーシスト数は0.05〜3.2個/L(リットル)で、最大値である3.2個/Lはクリプトスポリジウム集団感染直後の河川水の値。これを除くと0.1個/L以下。
【0022】
47時間30分のろ過運転後を行うと、図1に示すようにクリプトスポリジウムを含む濁質分3はろ層に捕捉され、ろ過抵抗の上昇が見られた。このため、ろ過水を洗浄水として、図2に示すようにバルブ7を開度調節して逆洗速度0.7m/minで逆洗を行った(第1逆洗工程)。すると、ろ層中に捕捉されていた濁質分が、ろ層上部へ浮上し、ろ過塔から排出されて行く様子が目視された。ろ砂の粒子は、ろ層全体的に垂直方向を主として旋回しており、局所的には垂直方向以外にも旋回している様子が見られた。この時、ろ砂表面に濁質分を付着させながら、ろ層を旋回しているろ砂も見られた。微細な濁質分に着目すると、ろ砂の間隙で局所的な水流により旋回している様子も観察された。
【0023】
第1逆洗工程の時間は、一般的にはろ層に捕捉された濁質量により異なるが、実験では10分間第1逆洗工程を実施した。その後、バルブ7の開度を調節して逆洗速度を0.15m/minに低下させた(第2逆洗工程)。第2逆洗工程は、ろ層とろ層上部における逆洗水の滞留時間である6分間実施した。逆洗速度を0.7m/minから0.15m/minに低下させると、ろ層内において砂の流動は目視で徐々に減少し、10秒〜60秒後には見られなくなった。
【0024】
次に、同様にろ過運転を行いろ過閉塞後、逆洗速度0.7m/minの第1逆洗工程を実施し、その後、逆洗を10秒〜60秒間停止した。すると、ろ層内のろ砂の旋回等の流動は数十秒で見られなくなった。その後、逆洗速度0.15m/minで逆洗(第2逆洗工程)を行った。この場合、洗浄水の所要量は、逆洗を停止しない場合に比して、1〜6Lだけ少なく済んだ。即ち、逆洗水量は0.63〜3.66%削減可能であった。
【0025】
第3表に、逆洗速度0.7m/minの第1逆洗工程が終了する直前の洗浄排水と、終了直後に装置を停止してろ層内から採水を行った際の、クリプトスポリジウムトレーサーの検出結果を示す。洗浄排水からはトレーサーは検出されなかったが、ろ層内から採水した試水からは検出された。このことから、逆洗速度0.7m/minの洗浄だけでは、ろ層内に滞留したクリプトスポリジウムを十分除去出来ないことがわかる。
【0026】
第4表に、逆洗終了後、ろ過再開直後の水質分析結果を示す。本発明による逆洗方法を採用すると、クリプトスポリジウムトレーサーは検出されなかった。ろ過水濁度はろ過開始直後から0.04度以下であり、清澄なろ過水をろ過初期から得ることが可能となった。一方、比較系ではクリプトスポリジウムが検出され、ろ過水濁度が0.1度以下となったのはろ過開始から20分経過後であった。このことから、本発明の逆洗方法を用いない場合、少なくとも20分以上、ろ過水は排水(捨水)する必要がある。
【0027】
【表3】

【0028】
【表4】

【0029】
図6にろ過再開直後の濁度の経過を示す。逆洗速度0.7m/minの第1逆洗工程と0.15m/minの第1逆洗工程の間で逆洗を10秒〜60秒間停止させると、10秒〜60秒間停止しない場合よりも、運転再開後のろ過水は比較的清澄になった。これは、目視観察でも見られたように、10秒〜60秒間の停止により、ろ層内の旋回・うず流が十分消滅し、第2逆洗工程により、クリプトスポリジウムを含む微粒子を効率的に除去できたことによる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のクリプトスポリジウム排出に対応した砂ろ過装置の逆洗方法によれば、ろ層内からクリプトスポリジウムを十分排出することが可能となり、安全なろ過水を得ることが可能となるとともに、全体として洗浄水量を少なく済ませることができるので、水道施設に広く利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】逆洗直前のろ過塔全体の模式図である。
【図2】逆洗時、ろ層が流動化した状態におけるろ過塔全体の模式図である。
【図3】逆洗時、ろ層が流動化した状態におけるろ層の一部を拡大した模式図である。
【図4】ろ層を流動化させない状態で逆洗中のろ層の一部を拡大した模式図である。
【図5】装置フローを示した図である。
【図6】実施例における濁度の測定結果を示した図で、本発明の効果を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 ろ過塔
2 ろ層(ろ砂)
3 ろ過の継続とともにろ層に蓄積した濁質分及びクリプトスポリジウム
4 逆洗水(洗浄水)全体の流れ
5 逆洗でろ層から排出された濁質分及びクリプトスポリジウム
6 逆洗時、ろ層内の局所流れによりろ層内に保持された濁質分及びクリプトスポリジウム
7 バルブ(逆洗水量調整用)
8 ろ層内に局所的に発生したうず流
9 クリプトスポリジウム
10 沈殿水
11 クリプトスポリジウムトレーサー
12 原水槽
13 PAC
14 処理水槽
15 排水処理槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリプトスポリジウムを含む原水を下向流でろ過を行う砂ろ過装置において、通常のろ過方向と逆向きにろ過水を逆洗速度0.6〜0.9m/minでろ層に通水し、ろ砂を流動状態にして水逆流洗浄を行う第1逆洗工程を行い、続いて同様の向きに逆洗速度0.10〜0.2m/minとして水逆流洗浄を行う第2逆洗工程を行うことにより、ろ層中に滞留したクリプトスポリジウムを排出することを特徴とする砂ろ過装置の逆洗方法。
【請求項2】
第1逆洗工程と第2逆洗工程の間に、逆洗停止期間を10秒〜60秒間設けることを特徴とする請求項1記載の砂ろ過装置の逆洗方法。
【請求項3】
クリプトスポリジウムを含む原水を、下向流でろ過を行う砂ろ過装置において、第2逆洗工程の洗浄時間(Tr)は、ろ層高さをL1、ろ層上部から逆洗排水越流部までの高さをL2、逆洗速度0.10〜0.20m/minの設定値をLV1とした場合に、Tr=(L1+L2)÷LV1以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の砂ろ過装置の逆洗方法。
【請求項4】
上部に被処理原水の流入配管及び逆洗水の排出配管、中間部に支持体に支承されたろ層、底部にろ過水排出配管及び逆洗水量調整用バルブを具備した逆洗水流入配管を有するクリプトスポリジウムを排出するためのろ過塔を備えた砂ろ過装置において、請求項1〜3のいずれか1項に記載の逆洗方法を行うために、前記逆洗水流入配管中に逆洗水をろ層に流入させる水量を、逆洗速度0.6〜0.9m/minと0.10〜0.2m/minの2段階に調節可能とするバルブを配設したことを特徴とする砂ろ過装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−167738(P2007−167738A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366857(P2005−366857)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】