説明

クリーニング媒体収納ユニット、および媒体処理装置

【課題】収納空間に収納しているクリーニング媒体を媒体搬送路に繰り出したり、媒体搬送路側からクリーニング媒体を収納空間に送り込んで収納するベルトやローラ等の繰出/収納部材の劣化速度を抑え、この駆動部材の交換にともなう保守コストを低減することができるクリーニング媒体収納ユニットを提供する。
【解決手段】クリーニング媒体収納部7は、通常時、第1のアーム71の一端に取り付けている繰出/収納ベルト74と、収納空間70aに収納されているクリーニング媒体7aとが離間している。ソレノイド73が、第2のアーム72を引くと、連結点72aに加わる力によって、第1のアーム71が回転軸71aを中心にして回動する。この回動により、第1のアーム71の一端に取り付けている繰出/収納ベルト74が、収納空間70aに収納されているクリーニング媒体7aの先端部を押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、媒体に対して磁気データを記録する磁気ヘッドや、印字を行う印字ヘッド等をクリーニングするクリーニング媒体を収納するクリーニング媒体収納ユニット、および、このクリーニング媒体収納ユニットを備える媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、媒体を発行する装置や、投入された媒体を処理する媒体処理装置は、媒体に対して磁気データの記録や読取を行う処理部や、媒体に対して印字を行う処理部等を備えている。この種の媒体処理装置には、乗車券を発券する発券装置や、取引内容を印字したレシートを発行する明細票発行装置等がある。
【0003】
この種の媒体処理装置は、媒体に対する処理を繰り返すことによって、磁気ヘッドや印字ヘッド等に汚れが付着する。また、媒体からでる紙粉が、媒体を搬送する搬送路に溜まる。この汚れや、紙粉が原因となって、媒体に対する磁気データの記録不良、印字不良、さらには搬送不良等を引き起こすことがある。
【0004】
そこで、適当なタイミングで、磁気ヘッド、印字ヘッド、搬送路等に付着している汚れをクリーニングすることが提案されている。例えば、特許文献1では、媒体処理装置本体内部に、磁気ヘッド、印字ヘッド、搬送路等をクリーニングするクリーニング媒体を格納する格納部を設け、適当なタイミングで、この格納部からクリーニング媒体を繰り出し、搬送路に沿って搬送する構成を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−341439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、格納部に格納しているクリーニング媒体を搬送路に繰り出したり、搬送路側からクリーニング媒体を格納部に送り込んで収納するために、ベルトやローラ等の駆動部材を、格納部におけるクリーニング媒体の出入口に設ける必要がある。
【0007】
また、上述のクリーニング媒体は、磁気ヘッド、印字ヘッド、搬送路等のクリーニングが十分に行えるように、アルコール等の洗浄液を染み込ませている。
【0008】
クリーニング媒体は、磁気ヘッド、印字ヘッド、搬送路等をクリーニングするときに、一時的に格納部から繰り出されるだけである。また、このクリーニング媒体を格納部から繰り出したり、格納部に収納するベルトやローラ等の駆動部材は、格納部に格納しているクリーニング媒体に当接している。したがって、このクリーニング媒体を格納部から繰り出したり、格納部に収納するベルトやローラ等の駆動部材は、アルコール等の洗浄液を染み込ませているクリーニング媒体に当接している時間が長く、化学反応により劣化しやすい。その結果、この駆動部材の交換にともなう保守コストを増大させる等の問題があった。
【0009】
この発明の目的は、収納空間に収納しているクリーニング媒体を媒体搬送路に繰り出したり、媒体搬送路側からクリーニング媒体を収納空間に送り込んで収納するベルトやローラ等の繰出/収納部材の劣化速度を抑えることで、この駆動部材の交換にともなう保守コストを低減するクリーニング媒体収納ユニットを提供することにある。
【0010】
また、この発明は、上述のクリーニング媒体収納ユニットを備えた媒体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明のクリーニング媒体収納ユニットは、媒体搬送路に沿って搬送されている処理対象媒体を処理する1または複数の媒体処理部を有する媒体処理装置に備えられる。ここで言う、媒体処理部は、磁気ヘッドを備え処理対象媒体に対して磁気データの記録や読取を行う磁気データ処理部や、印字ヘッドを備え処理対象媒体に対して文字や記号を印字する印字処理部等である。
【0012】
クリーニング媒体収納ユニットは、クリーニング媒体を収納する収納空間を、媒体搬送路から分岐させた分岐路に配置している。繰出/収納部材は、ベルトやローラ等であり、収納空間に収納しているクリーニング媒体を媒体搬送路へ繰り出したり、媒体搬送路側からクリーニング媒体を収納空間に送り込んで収納する。
【0013】
駆動制御部は、繰出/収納部材の駆動方向を制御し、クリーニング媒体の搬送方向を選択的に制御する。すなわち、駆動制御部は、繰出/収納部材の駆動方向を、収納空間に収納しているクリーニング媒体を媒体搬送路へ繰り出す方向、または媒体搬送路を搬送されているクリーニング媒体を収納空間に送り込んで収納する方向に、選択的に制御する。
【0014】
さらに、状態切替部は、繰出/収納部材を、収納空間に収納しているクリーニング媒体に押圧している第1の状態と、収納空間に収納しているクリーニング媒体から離間している第2の状態との間で、その状態を切り替える。
【0015】
これにより、収納空間に収納しているクリーニング媒体を媒体搬送路へ繰り出したり、媒体搬送路を搬送されているクリーニング媒体を収納空間に送り込んで収納するときに、繰出/収納部材をクリーニング媒体に当接させ、それ以外のときに、収納空間に収納しているクリーニング媒体から、繰出/収納部材を離間させておくことができる。したがって、収納空間に収納しているクリーニング媒体に、アルコール等の洗浄液を染み込ませていても、化学反応による繰出/収納部材の劣化速度が十分に抑えられる。
【0016】
また、この発明は、上述のクリーニング媒体収納ユニットを備える媒体処理装置である。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、収納空間に収納しているクリーニング媒体を媒体搬送路に繰り出したり、媒体搬送路側からクリーニング媒体を収納空間に送り込んで収納するベルトやローラ等の繰出/収納部材の劣化速度が抑えられるので、この繰出/収納部材の交換にともなう保守コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】発券装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】発券装置の内部を示す概略図である。
【図3】発券装置の外観を示す概略図である。
【図4】クリーニング媒体収納部の構成を示す概略図である。
【図5】クリーニング媒体収納部の構成を示す概略図である。
【図6】発券装置のクリーニング動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発券装置を例にして、この発明の実施形態を説明する。
【0020】
図1は、この発券装置の主要部の構成を示すブロック図である。図2は、この発券装置の内部を示す概略図である。図3は、この発券装置の外観を示す概略図である。この発券装置1は、制御部2と、搬送部3と、磁気データ処理部4と、印字処理部5と、カット部6と、クリーニング媒体収納部7と、操作部8と、表示部9と、を備えている。
【0021】
この発券装置1は、発券する乗車券に対して、乗車券情報を磁気データで記録するとともに、乗車券情報を印字する。
【0022】
制御部2は、発券装置1本体各部の動作を制御する。
【0023】
搬送部3は、媒体搬送路3aに沿って乗車券や、後述するクリーニング媒体7a等を搬送する。媒体搬送路3aは、図2に示すように、ロール紙10aを収納するロール紙収納部10と、装置本体前面の発券口11とを結んでいる。また、媒体搬送路3aには、装置本体前面の券挿入口12につながる分岐路や、後述するクリーニング媒体収納部7につながる分岐路等が形成されている。ロール紙10aは、一方の面(裏面)に磁気シートを貼付したものである。
【0024】
カット部6は、発行する券(乗車券)の長さに応じてロール紙10aをカットする。搬送部3は、カット部6がカットした券を媒体搬送路3aに沿って搬送する。
【0025】
印字処理部5は、媒体搬送路3aに沿って搬送されている券の表面(磁気シートを貼付していない面)に、発行する券に応じた文字や記号等(乗車券情報)を印字する。印字処理部5の印字ヘッド5aは、例えばサーマルヘッドであり、媒体搬送路3aに沿って搬送される券の表面に対向する位置に配置している。印字処理部5は、印字を行う際に、印字ヘッド5aを、搬送部3が媒体搬送路3aに沿って搬送している券の表面に押圧する。
【0026】
磁気データ処理部4は、媒体搬送路3aに沿って搬送されている券の裏面に貼付している磁気シートに対して、発行する券に応じた磁気データの記録や、記録されている磁気データの読取を行う。磁気データ処理部4は、媒体搬送路3aに沿って搬送される券の裏面に対向する位置に2つの磁気ヘッド4aを配置している。一方が、磁気データの記録に用いる記録用の磁気ヘッド4aであり、他方が磁気データの読取に用いる読取用の磁気ヘッド4aである。磁気データ処理部4は、磁気データを記録する際に、記録用の磁気ヘッド4aを搬送部3が媒体搬送路3aに沿って搬送している券の裏面(磁気シート)に押圧する。また、磁気データ処理部4は、磁気データを読み取る際に、読取用の磁気ヘッド4aを搬送部3が媒体搬送路3aに沿って搬送している券の裏面(磁気シート)に押圧する。
【0027】
クリーニング媒体収納部7は、クリーニング媒体7aを収納する収納空間70aを有している。この収納空間70aは、分岐路によって媒体搬送路3aに接続している。クリーニング媒体7aは、アルコール等の洗浄液を染み込ませたカード状の媒体である。搬送部3が、このクリーニング媒体7aを媒体搬送路3aに沿って搬送することで、磁気ヘッド4a、印字ヘッド5a、媒体搬送路3a等のクリーニングを行う。このクリーニング媒体収納部7が、この発明で言うクリーニング媒体収納ユニットに相当する。クリーニング媒体収納部7の詳細については後述する。
【0028】
操作部8は、発券装置1に対する入力操作を行うキーを有する。表示部9は、装置本体前面に設けた表示器9aにおける表示を制御する。
【0029】
なお、この発券装置1は、駅係員が操作する操作端末と接続され、当該操作端末からの指示にしたがって、乗車券を発券する。また、この発券装置1は、乗車券にパンチ孔を開けるパンチ部や、乗車券を回収する回収部等を備えることもある。
【0030】
ここで、この発券装置1の発券動作について簡単に説明しておく。
【0031】
発券装置1は、操作端末から乗車券の発券が指示されると、搬送部3がロール紙10aを引き出し、引き出したロール紙10aをカット部6で発券する乗車券に応じた長さにカットする。搬送部3は、カット部6でカットされた乗車券(ロール紙10a)を印字ヘッド5a、磁気ヘッド4aを経由して発券口11へ搬送する。印字処理部5は、カット部6でカットされた乗車券の表面に印字ヘッド5aを押圧し、乗車券情報にかかる文字や記号を発券する乗車券に印字する。また、磁気データ処理部4は、カット部6でカットされた乗車券の裏面に磁気ヘッド4aを押圧し、乗車券情報を発券する乗車券に磁気データで記録する。搬送部3は、印字処理部5が乗車券情報を印字し、磁気データ処理部4が乗車券情報を磁気データで記録した乗車券を発券口11に放出する。発券装置1は、搬送部3が乗車券を発券口11に放出すると、今回の乗車券の発券動作を終了する。
【0032】
なお、搬送部3は、ロール紙10aをカット部6で発券する乗車券に応じた長さにカットすると、ロール紙10aの引き出しを停止する。
【0033】
次に、クリーニング媒体収納部7について詳細に説明する。図4は、クリーニング媒体収納部の構成を示す概略図である。
【0034】
クリーニング媒体収納部7は、収納部材70と、第1のアーム71と、第2のアーム72と、ソレノイド73と、繰出/収納ベルト74とを有している。
【0035】
収納部材70には、カード状のクリーニング媒体7aを収納する収納空間70aが形成されている。収納空間70aは、上述したように、分岐路によって媒体搬送路3aに接続している。収納空間70aは、媒体搬送路3a側に位置する面が開口面である。収納空間70aの幅は、図4に示すように、クリーニング媒体7aの厚さよりも少し大きい。また、収納空間70aの深さは、クリーニング媒体7aの搬送方向の長さよりも短く、収納しているクリーニング媒体7aの先端部(媒体搬送路3a側の端部)が突出する。収納部材70は、発券装置本体のフレームや、他のアーム等に回転自在に取り付けている。図4に示す70bが、収納部材70を取り付けている回転軸である。
【0036】
第1のアーム71は、図4に示すように、略J字形状である。第1のアーム71の一端には、2つのローラ74a、74bを回転自在に取り付け、繰出/収納ベルト74を、これらのローラ74a、74bに張架している。繰出/収納ベルト74は、無端ベルトである。ローラ74a、74bの回転軸は平行である。また、一方のローラ74aは、図示していないモータ等の駆動原に接続している。駆動源は、ローラ74aの回転方向を、時計方向、または反時計方向に切り替えることができる。
【0037】
第1のアーム71は、図4に示すように、繰出/収納ベルト74が収納空間70aに収納されているクリーニング媒体7aの先端部に対向する位置に取り付けている。第1のアーム71は、他端が発券装置本体のフレームや、他のアーム等に回転自在に取り付けている。図4に示す71aが、収納部材70を取り付けている回転軸である。第1のアーム71が、回転軸71aで回動することにより、繰出/収納ベルト74が収納空間70aに収納されているクリーニング媒体7aの先端部に対して接離する方向に移動する。
【0038】
第2のアーム72は、一端を第1のアーム71に固定している。図4に示す72aが、第1のアーム71と、第2のアーム72との連結点である。また、第2のアーム72の他端には、ソレノイド73を取り付けている。
【0039】
また、図中に示すバネ80、81は、収納部材70、および第1のアーム71に付勢力を作用させる。バネ80は、収納部材70と、第1のアーム71とをつないでいる。バネ81は、第1のアーム71と、発券装置1本体とをつないでいる。
【0040】
また、図中に示すローラ82、83は、クリーニング媒体7aを挟持して、媒体搬送路3aへ繰り出す方向に搬送したり、収納空間70aに収納する方向に搬送する一対のローラである。一方のローラ82が駆動ローラであり、他方のローラが従動ローラである。ローラ82の回転制御は、搬送部3によって行われる。
【0041】
図4は、ソレノイド73が第2のアーム72を引いていない状態であり、図5は、ソレノイド73が第2のアーム72を図中に矢示する方向に引いた状態である。制御部2が、ソレノイド73を制御する。
【0042】
図4に示すように、ソレノイド73が第2のアーム72を引いていない状態であるとき、収納部材70の収納空間70aに収納されているクリーニング媒体7aと、第1のアーム71の一端に回転自在に取り付けているローラ74a、74bに張架した繰出/収納ベルト74と、は離間している。
【0043】
ソレノイド73が第2のアーム72を引くと、図5に示すように、連結点72aに加わる力によって、第1のアーム71が回転軸71aを中心にして回動し、収納部材70を押圧する。第1のアーム71は、繰出/収納ベルト74が直接、またはクリーニング媒体7aを介して収納部材70を押圧する。収納部材70は、回転軸70bを中心にして回動する。繰出/収納ベルト74は、バネ80、81の付勢力によって、クリーニング媒体7aを繰り出したり、収納するのに必用な押圧力が得られる。
【0044】
また、収納部材70が回動することにより、収納空間70aから繰り出されたクリーニング媒体7aは、一対のローラ82、83間に送り出される。また、一対のローラ82、83が挟持して収納部材70側に搬送されてきたクリーニング媒体7aは、収納空間70aへ収納される。
【0045】
また、図中に示すバネ80、81は、ソレノイド73が第2のアーム72を戻したときに、収納部材70、および第1のアーム71を図4に示す位置に戻す付勢力を作用させる。
【0046】
次に、この発券装置1におけるクリーニング動作について説明する。発券装置1は、例えば、操作部8に設けられたクリーニング動作開始指示ボタンが押下されたときや、予め定めた時刻になったときや、前回のクリーニング動作後に処理した乗車券の枚数が予め定めた枚数に達したとき、にクリーニング動作を開始する。
【0047】
図6は、クリーニング動作を示すフローチャートである。発券装置1は、クリーニング動作の開始タイミングであるかどうかを判断する(s1)。このとき、クリーニング媒体収納部7は、図4に示す状態である。すなわち、収納空間70aにクリーニング媒体7aが収納されていても、繰出/収納ベルト74が、クリーニング媒体7aから離間した状態である。
【0048】
発券装置1は、s1でクリーニング動作の開始タイミングであると判定すると、収納空間70aにクリーニング媒体7aが収納されているかどうかを判定する(s2)。
【0049】
発券装置1は、s2で収納空間70aにクリーニング媒体7aが収納されていないと判定すると、表示部9がクリーニング媒体7aを券挿入口12に挿入することを促すメッセージを表示器9aに表示する(s3)。発券装置1は、クリーニング媒体7aが券挿入口12に挿入されると(s4)、挿入されたクリーニング媒体7aを媒体搬送路3aに沿って収納空間70aへ搬送する(s5)。
【0050】
媒体搬送路3aに沿って券挿入口12から収納空間70aに搬送されているクリーニング媒体7aが、磁気ヘッド4aや、印字ヘッド5aに当接し、この磁気ヘッド4aや、印字ヘッド5aをクリーニングする。また、媒体搬送路3aに溜まっている紙粉等のクリーニングも同時に行う。
【0051】
また、発券装置1の制御部2は、ソレノイド73を制御し、第2のアーム72を引き(s6)、ローラ82、83によって挟持され、収納空間70a側に搬送されてきたクリーニング媒体7aを、繰出/収納ベルト74で収納空間70aに収納する。このとき、繰出/収納ベルト74は、クリーニング媒体7aを収納空間70aに収納する方向に回転している。
【0052】
発券装置1の制御部2は、クリーニング媒体7aを収納空間70aに収納すると(s7)、ソレノイド73を制御し、第2のアーム72を図4に示す状態に戻し(s8)、本処理を終了する。
【0053】
また、発券装置1は、s2で収納空間70aにクリーニング媒体7aが収納されていると判定すると、ソレノイド73を制御し、第2のアーム72を引き(s9)、収納空間70aに収納されているクリーニング媒体7aを、図5に示すように、繰出/収納ベルト74で押圧し、収納空間70aから、媒体搬送路3aに繰り出す(s10)。ローラ82、83が、収納空間70aから繰り出されたクリーニング媒体7aの先端部を挟持し、媒体搬送路3aに送り出す(s10)。このとき、繰出/収納ベルト74は、クリーニング媒体7aを収納空間70aから媒体搬送路3aに繰り出す方向に回転している。また、ローラ82、83は、クリーニング媒体7aを媒体搬送路3a側へ送り出す方向に回転している。また、媒体搬送路3aは、クリーニング媒体7aを発券口11へ搬送する方向に駆動している。
【0054】
発券装置1は、収納空間70aから媒体搬送路3aに繰り出したクリーニング媒体7aを発券口11の手前まで(磁気ヘッド4aよりも発券口11側まで)搬送すると(s11)、媒体搬送路3aにおけるクリーニング媒体7aの搬送方向を逆転する(s12)。すなわち、クリーニング媒体7aを収納空間70aに向けて搬送する。また、s12では、繰出/収納ベルト74も、クリーニング媒体7aを収納空間70aに収納する方向に逆転する。
【0055】
発券装置1は、媒体搬送路3aに沿って搬送されてきたクリーニング媒体7aであって、ローラ82、83によって挟持され、収納空間70a側に搬送されてきたクリーニング媒体7aを、繰出/収納ベルト74で収納空間70aに収納すると(s13)、ソレノイド73を制御し、第2のアーム72を図4に示す状態に戻し(s14)、本処理を終了する。
【0056】
このように、この発券装置1は、クリーニング媒体7aを収納空間70aに収納するとき、および、収納空間70aから媒体搬送路3aに繰り出すときに、繰出/収納ベルト74をクリーニング媒体7aに当接させ、それ以外のときには、繰出/収納ベルト74をクリーニング媒体7aから離間させる。これにより、繰出/収納ベルト74と、クリーニング媒体7aと、が長時間にわたって当接しつづけるのを防止できる。したがって、収納空間70aに収納しているクリーニング媒体7aに、アルコール等の洗浄液を染み込ませていても、化学反応による繰出/収納ベルト74の劣化速度を抑えることができる。
【0057】
なお、上記の例では、繰出/収納ベルト74を2つのローラ74a、74bに張架するとしたが、3つ以上のローラに張架する構成としてもよい。また、2つのローラ74a、74bに張架した繰出/収納ベルト74を、ゴムローラに置き換えてもよい。また、媒体搬送路3aも、媒体を挟持して搬送する構成であればよく、ベルト構成してもよいし、ローラで構成してもよい。
【0058】
また、上記の説明では、ソレノイド73で第2のアーム72を引くことにより、第1のアーム71を回動させて、繰出/収納ベルト74をクリーニング媒体7aに当接する構成としたが、収納空間70aに収納しているクリーニング媒体7aに対して繰出/収納ベルト74を接離する方向に駆動できる構成であれば他の構成であってもよい。例えば、ソレノイド73が第1のアーム71を直接回動させる構成であってもよいし、ソレノイド73に替えてモータ等の駆動源を用いてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…発券装置
2…制御部
3…搬送部
3a…媒体搬送路
4…磁気データ処理部
4a…磁気ヘッド
5…印字処理部
5a…印字ヘッド
6…カット部
7…クリーニング媒体収納部
7a…クリーニング媒体
10…ロール紙収納部
10a…ロール紙
11…発券口
12…券挿入口
70…収納部材
70a…収納空間
70b…回転軸
71…第1のアーム
71a…回転軸
72…第2のアーム
72a…連結点
73…ソレノイド
74…収納ベルト
74a、74b…ローラ
80…バネ
81…バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体搬送路に沿って搬送されている処理対象媒体を処理する1または複数の媒体処理部を有する媒体処理装置に設けるクリーニング媒体収納ユニットであって、
前記媒体搬送路から分岐させた分岐路にクリーニング媒体を収納する収納空間を配置し、
記媒体搬送路への前記収納空間に収納している前記クリーニング媒体の繰り出し、および前記媒体搬送路を搬送されている前記クリーニング媒体を前記収納空間に収納する繰出/収納部材と、
前記繰出/収納部材の駆動方向を制御し、前記クリーニング媒体の搬送方向を制御する駆動制御部と、
前記繰出/収納部材を、前記収納空間に収納している前記クリーニング媒体に押圧している第1の状態と、前記収納空間に収納している前記クリーニング媒体から離間している第2の状態との間で、その状態を切り替える状態切替部と、を備えたクリーニング媒体収納ユニット。
【請求項2】
前記状態切替部は、前記繰出/収納部材を取り付けたアームを駆動し、前記第1の状態と、前記第2の状態との間で、その状態を切り替える、請求項1に記載のクリーニング媒体収納ユニット。
【請求項3】
繰出/収納部材は、複数のローラに張架したベルトである、請求項1、または2に記載のクリーニング媒体収納ユニット。
【請求項4】
媒体搬送路に沿って搬送されている処理対象媒体を処理する1または複数の媒体処理部を有する媒体処理装置であって、
前記媒体搬送路から分岐させた分岐路にクリーニング媒体を収納する収納空間を配置し、
記媒体搬送路への前記収納空間に収納している前記クリーニング媒体の繰り出し、および前記媒体搬送路を搬送されている前記クリーニング媒体を前記収納空間に収納する繰出/収納部材と、
前記繰出/収納部材の駆動方向を制御し、前記クリーニング媒体の搬送方向を制御する駆動制御部と、
前記繰出/収納部材を、前記収納空間に収納している前記クリーニング媒体に押圧している第1の状態と、前記収納空間に収納している前記クリーニング媒体から離間している第2の状態との間で、その状態を切り替える状態切替部と、を備えた媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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