説明

クリーニング装置、並びに、これを備える画像形成装置、プロセスカートリッジ、中間転写ユニット及び記録体搬送ユニット

【課題】積層構造のブレード部材を用いた構成で、初期のクリーニング性能を十分に維持することができるクリーニング装置、並びに、これを備える画像形成装置、プロセスカートリッジ、中間転写ユニット及び記録体搬送ユニットを提供する。
【解決手段】エッジ層1及びバックアップ層2からなる積層構造のブレード部材5と、ブレード部材5を保持するブレードホルダ3とを有し、ブレード部材5の先端稜線部であるエッジ部1eを表面移動する感光体10の表面に当接させて、感光体10の表面をクリーニングするクリーニング装置30で、ブレード部材5を感光体10に当接させた状態で所定の方法で測定する線圧低下率が90[%]となるように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面移動部材の表面上の付着物を除去するクリーニング装置、並びに、これを備える複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置、プロセスカートリッジ、中間転写ユニット及び記録体搬送ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置としては、電子写真方式のものやインクジェット方式のものなど種々のものが知られており、表面移動部材を備えているものが多い。例えば、電子写真方式の画像形成装置では、感光体ドラム等の潜像担持体(像担持体)、中間転写ベルト等の中間転写体(像担持体)、紙搬送ベルト等の記録体搬送部材などの表面移動部材を備えたものが知られている。また、インクジェット方式の画像形成装置では、紙搬送ベルト等の記録体搬送部材などの表面移動部材を備えたものが知られている。一般に、このような表面移動部材の表面に不要な付着物が付着すると種々の不具合を引き起こすことから、表面移動部材を被清掃体としてその表面から不要な付着物を除去するクリーニング手段が必要となる。被清掃体の表面をクリーニングするクリーニング手段としては、板状に成型したウレタンゴム等の弾性部材からなるブレード部材を用いたブレードクリーニング方式(特許文献1乃至3等)のものがある。
【0003】
ブレードクリーニング方式のクリーニング装置では、装置の枠体に固定された金属等の剛性の高い材料からなる保持部材によってブレード部材を保持し、ブレード部材の一端を被清掃体の表面に押しつけてこの表面上の付着物を除去する。このようなブレードクリーニング方式のクリーニング装置は、構成が簡単でコストが安価であり、かつ付着物の除去性能にも優れていることから、広く利用されている。
【0004】
ブレードクリーニング方式のクリーニング装置では、高い除去性能を得るためにブレード部材が被清掃体の表面に対して高い当接圧力で当接することが求められ、経時で安定した除去性能を得るために初期の当接状態を維持するが求められる。
しかし、ブレード部材全体が一様な弾性材料から構成される単層構造のブレード部材では、当接圧力を高くすることと、初期の当接状態を維持するととを両立することが困難である。これは、以下の理由による。
すなわち、比較的硬度の高い弾性材料からなる単層構造のブレード部材を用いると、被清掃体と当接するエッジ部における変形が小さく、当接面積が広くなることを抑制できるため、当接圧力を高く設定することができ、クリーニング性能の向上を図ることが出来る。しかし、硬度が高い弾性材料は一般的に永久伸びの値が大きくなる。ブレード部材はその一端を被清掃体の表面に押しつけられ撓んだ状態で被清掃体に当接している。このとき、永久伸びの値が大きい弾性材料からなるブレード部材を長期に渡って被清掃体に当接させ続けると、ブレード部材が撓んだ形状に永久変形する、所謂ヘタリが発生し、初期の当接状態と異なる当接状態になり、クリーニング不良の原因となる。
一方、比較的硬度の低い弾性材料からなる単層構造のブレード部材を用いた場合、硬度が低い弾性材料は一般的に永久伸びの値が小さいため、ブレード部材を長期に渡って被清掃体に当接させ続けてもヘタリが生じ難く、初期の当接状態を維持することができる。しかし、硬度が低い単層構造のブレード部材を用いると、被清掃体と当接するエッジ部における変形が大きく、当接面積が広くなるため当接圧力が低くなり、除去性能が不十分となる。
このように、単層構造のブレード部材では、当接圧力を高くすることと、初期の当接状態を維持することとを両立することが困難であり、高い除去性能を経時で安定して得ることは困難である。
【0005】
特許文献3には、それぞれ硬度が異なる弾性材料からなる二層の積層構造のブレード部材を用いるクリーニング装置が記載されている。このクリーニング装置のブレード部材は、被清掃体と接触するエッジ部を備えるエッジ層を硬度が高い材質によって形成させ、被清掃体と接触しないバックアップ層を硬度が低い材質によって形成されている。エッジ層の硬度が高いことで、上述した比較的硬度の高い弾性材料からなる単層構造のブレード部材と同様に、当接するエッジ部における変形が小さく、当接面積が広くなることを抑制できるため、当接圧力を高く設定することができる。さらに、被清掃体と接触しないバックアップ層は硬度が低く、永久伸びの値が小さいため、硬度の高い単層構造のブレード部材よりもヘタリが生じ難く、初期の当接状態を維持することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3のクリーニング装置が備えるブレード部材の概略図を図8に示す。図8は、硬度が高い弾性材料からなるエッジ層1及び硬度が低い弾性材料からなるバックアップ層2からなる二層の積層構造のブレード部材5と、ブレード部材5を保持するブレードホルダ3との説明図である。
図8に示すブレード部材5では、ブレードホルダ3によって保持される保持位置5aからエッジ部1e側のブレード部材5の先端までの全域に渡って永久伸びの値が大きいエッジ層1が存在する。このため、ブレード部材5が被清掃体に押しつけられ撓んだ状態では、ヘタリが生じ難いバックアップ層2だけでなく、ヘタリが生じ易いエッジ層1も撓んだ状態となり、ブレード部材5を長期に渡って被清掃体に当接させ続けると、エッジ層1のみに大きなヘタリが生じることがある。
エッジ層1にヘタリが生じるとエッジ層1は撓んだ状態の形状で形を維持しようとするため、ヘタリが生じていない、または、ヘタリが小さいバックアップ層2に対して撓む方向の力が働き、バックアップ層2と同じ材質のみからなる単層構造のブレード部材よりも経時での当接状態の変化が生じ易い。
このため、硬度が高いエッジ層1と硬度が低いバックアップ層2とからなる二層の積層構造のブレード部材5を用いた構成であっても、エッジ層1とバックアップ層2の材料の組合せによっては、初期のクリーニング性能を十分に維持することができない場合があった。
【0007】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、複数の層によって構成される積層構造のブレード部材を用いた構成で、初期のクリーニング性能を十分に維持することができるクリーニング装置、並びに、これを備える画像形成装置、プロセスカートリッジ、中間転写ユニット及び記録体搬送ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、互いに永久伸びの値が異なる材質からなる複数の層によって構成される積層構造のブレード部材と、該ブレード部材の一端を保持する保持部材とを有し、該ブレード部材の他端の先端稜線部であるエッジ部を表面移動する被清掃体の表面に当接させて、該被清掃体の表面をクリーニングするクリーニング装置において、上記ブレード部材を上記被清掃体に当接させた状態で所定の方法で測定する線圧低下率が90[%]以上であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のクリーニング装置において、上記ブレード部材の複数の層のうち上記エッジ部を備えるエッジ層は、他の層に比べて永久伸びの値が大きい材質によって形成されることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2のクリーニング装置において、上記ブレード部材の複数の層のうち上記エッジ部を備えるエッジ層を形成する材料の、23[℃]における100%モジュラスの値が6[MPa]〜12[MPa]であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクリーニング装置において、上記ブレード部材の複数の層のうち上記エッジ部を備えるエッジ層を形成する材料の、0[℃]〜50[℃]の範囲の温度変化における反発弾性率の最大値と最小値との差が30[%]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4のクリーニング装置において、上記エッジ層を形成する材料の、tanδピーク温度が10[℃]未満であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のクリーニング装置において、上記ブレード部材の複数の層のうち上記エッジ部を備えるエッジ層以外の層であるバックアップ層を形成する材料の、0[℃]〜50[℃]の範囲の温度変化における反発弾性係数の最大値と最小値との差が30[%]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のクリーニング装置において、上記ブレード部材の複数の層のうち上記エッジ部を備えるエッジ層以外の層であるバックアップ層を形成する材料の、tanδピーク温度が10[℃]未満であることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のクリーニング装置において、上記被清掃体の表面に潤滑剤を付与する潤滑剤付与手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、表面移動する潜像担持体上に形成した画像を最終的に記録媒体に転移させる画像形成装置の本体に着脱自在に構成され、該潜像担持体を上記被清掃体としてその表面上に付着した不要な付着物を除去するクリーニング手段と、該潜像担持体とを一体に支持したプロセスカートリッジにおいて、上記クリーニング手段として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、表面移動する像担持体上に形成した画像を中間転写体に転写し、この画像を最終的に記録媒体に転移させる画像形成装置の本体に着脱自在に構成され、該中間転写体を上記被清掃体としてその表面上に付着した不要な付着物を除去するクリーニング手段と、該中間転写体とを一体に支持した中間転写ユニットにおいて、上記クリーニング手段として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、表面移動部材である像担持体上に形成した画像を最終的に記録体に転移させる画像形成装置において、上記像担持体上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング手段として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11の画像形成装置において、上記画像を形成するトナーの形状係数SF1が100以上150以下であることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、表面移動部材する記録体搬送部材の表面に担持された記録体上に画像を形成する画像形成装置の本体に着脱自在に構成され、該記録体搬送部材を上記被清掃体としてその表面上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング手段と、該記録体搬送部材とを一体に支持した記録体搬送ユニットにおいて、上記クリーニング手段として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
【0009】
表1及び表2を用いて後述する本発明者らの実験の結果、被清掃体に当接させた状態で所定の時間経過したときの線圧低下率が90[%]以上となるブレード部材であれば、初期のクリーニング性能を十分に維持することが出来ることを確認した。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ブレード部材を被清掃体に当接させた状態での線圧低下率が90[%]以上となるように各層を形成する材料や層厚を選択することにより、複数の層によって構成される積層構造のブレード部材を用いた構成で、初期のクリーニング性能を十分に維持することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係るクリーニング装置のブレード部材が感光体に当接する部分の説明図。
【図2】実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図3】同プリンタに設けられるプロセスカートリッジを示す概略構成図。
【図4】実施形態に係るクリーニング装置が備えるブレード部材とブレードホルダとの説明図。
【図5】測定器の斜視説明図。
【図6】測定器の側方説明図。
【図7】反発弾性係数の温度変化のプロファイルのグラフ。
【図8】従来の二層の積層構造のブレード部材とブレードホルダとの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を、画像形成装置としてのプリンタに適用した一実施形態について説明する。
図2は、本実施形態における画像形成装置であるプリンタ100を示す概略構成図である。
プリンタ100は、フルカラー画像を形成するものであって、画像形成部120、二次転写装置160及び給紙部130から主として構成されている。なお、以下の説明において、添え字Y,C,M,Bkは、それぞれ、イエロー用、シアン用、マゼンタ用、ブラック用の部材であることを示すものである。
【0013】
画像形成部120には、図中左側から順に、イエロートナー用のプロセスカートリッジ121Y、シアントナー用のプロセスカートリッジ121C、マゼンタトナー用のプロセスカートリッジ121M、ブラックトナー用のプロセスカートリッジ121Bkが設けられている。これらのプロセスカートリッジ121(Y,C,M,Bk)は、略水平方向に並べて配置されている。
【0014】
二次転写装置160には、複数の支持ローラに掛け渡された中間転写体である無端状の中間転写ベルト162と、一次転写ローラ161(Y,C,M,Bk)と、二次転写ローラ165とから主に構成されている。中間転写ベルト162は、各プロセスカートリッジ121(Y,C,M,Bk)の上方で、各プロセスカートリッジに設けられた表面移動する像担持体である潜像担持体としてのドラム状の感光体10(Y,C,M,Bk)の表面移動方向に沿って配置されている。中間転写ベルト162は、感光体10(Y,C,M,Bk)の表面移動に同期して表面移動する。また、各一次転写ローラ161(Y,C,M,Bk)は、中間転写ベルト162の内周面側に配置されており、これらの一次転写ローラ161(Y,C,M,Bk)により中間転写ベルト162の下側に位置する外周面(表面)が各感光体10(Y,C,M,Bk)の外周面(表面)に弱圧接している。
【0015】
各感光体10(Y,C,M,Bk)上にトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト162に転写する構成及び動作は、各プロセスカートリッジ121(Y,C,M,Bk)について実質的に同一である。ただし、カラー用の3つのプロセスカートリッジ121(Y,C,M)に対応した一次転写ローラ161(Y,C,M)についてはこれらを上下に揺動させる図示しない揺動機構が設けられている。揺動機構は、カラー画像が形成されないときに感光体10(Y,C,M)に中間転写ベルト162を接触させないように動作する。
【0016】
中間転写ユニットである二次転写装置160は、プリンタ100の本体から着脱自在に構成されている。具体的には、プリンタ100の画像形成部120を覆っている図2中の紙面手前側の前カバー(不図示)を開き、二次転写装置160を図2中の紙面奥側から手前側へスライドさせることで、プリンタ100の本体から二次転写装置160を取り外すことができる。二次転写装置160をプリンタ100の本体に装着する場合には、取り外し作業とは逆の作業をすればよい。
なお、中間転写ベルト162における二次転写ローラ165よりも表面移動方向下流側であってプロセスカートリッジ121Yの上流側には、二次転写後の残留トナー等の中間転写ベルト162上に付着した付着物を除去するための中間転写ベルトクリーニング装置167を設けている。中間転写ベルトクリーニング装置167は、中間転写ベルト162と一体に支持された状態で二次転写装置160として、プリンタ100本体に対して着脱自在に構成されている。
【0017】
二次転写装置160の上方には、各プロセスカートリッジ121(Y,C,M,Bk)に対応したトナーカートリッジ159(Y,C,M,Bk)が略水平方向に並べて配置されている。
また、プロセスカートリッジ121(Y,C,M,Bk)の下方には、帯電された感光体10(Y,C,M,Bk)の表面にレーザー光を照射して静電潜像を形成する露光装置140が配置されている。
また、露光装置140の下方には、給紙部130が配置されている。給紙部130には、記録材としての転写紙を収容する給紙カセット131及び給紙ローラ132が設けられており、レジストローラ対133を経て中間転写ベルト162と二次転写ローラ165との間の二次転写ニップ部に向けて所定のタイミングで転写紙を給送する。
また、二次転写ニップ部の転写紙搬送方向下流側には定着装置90が配置されており、この定着装置90の転写紙搬送方向下流側には、排紙ローラ及び排紙された転写紙を収納する排紙収納部135が配置されている。
【0018】
図3は、プリンタ100が備えるプロセスカートリッジ121を示す概略構成図である。
ここで、各プロセスカートリッジ121の構成はほぼ同様であるので、以下の説明では色分け用の添え字Y、C、M、Bkを省略して、プロセスカートリッジ121の構成及び動作について説明する。
プロセスカートリッジ121は、感光体10と、感光体10の周りに配置されたクリーニング装置30、帯電装置40及び現像装置50とを備えている。
【0019】
クリーニング装置30は、感光体10の回転軸方向に長尺な弾性部材であるブレード部材(以下、ブレード部材5という。)におけるその長尺方向に延びる一辺(当接辺)をエッジ部として感光体10の表面に押しつけて、感光体10表面上の転写残トナー等の不要な付着物を引き離し除去する。そして、ブラシローラ29によってブレード部材5の当接位置の感光体10の表面移動方向上流側から排出スクリュ43に向けて跳ね飛ばし、排出スクリュ43によってクリーニング装置30の外に排出する。本実施形態において、ブラシローラ29の繊維材質は導電性のPETを使用している。クリーニング装置30についての詳細な説明は後述する。
【0020】
なお、クリーニング装置30には潤滑剤塗布装置を設けてもよい。潤滑剤塗布装置としては、固形潤滑剤と、固形潤滑剤を支持する潤滑剤支持部材と、固形潤滑剤及び感光体10の両方に接触して回転するブラシローラ29とで構成されたものを利用できる。このような潤滑剤塗布装置では、ブラシローラ29により固形潤滑剤から削り取った粉末状の潤滑剤をブラシローラ29により感光体10の表面に塗布する。また、ブラシローラ29によって感光体10の表面に潤滑材を塗布する構成の場合、ブラシローラ29よりも感光体10の表面移動方向下流側に、感光体10の表面に当接するように塗布ブレードを配置してもよい。この塗布ブレードは、その先端部が感光体10の表面に当接する状態で塗布ブレードホルダに支持され、感光体10の表面に塗布された潤滑剤を均してその厚さを均一にするためのものである。
【0021】
帯電装置40は、感光体10に当接するように配置された帯電ローラ41と、この帯電ローラ41に当接して回転する帯電ローラクリーナ42とから主として構成されている。
現像装置50は、感光体10の表面にトナーを供給して静電潜像を可視像化するものであり、現像剤を表面に担持する現像剤担持体としての現像ローラ51を備える。現像装置50は、この現像ローラ51と、現像剤収容部に収容された現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌スクリュ52と、攪拌された現像剤を現像ローラ51に供給しながら搬送する供給スクリュ53と、から主として構成されている。
【0022】
以上のような構成を有する4つのプロセスカートリッジ121は、それぞれ単独でサービスマンやユーザにより着脱・交換が可能となっている。また、プリンタ100から取り外した状態のプロセスカートリッジ121については、感光体10、帯電装置40、現像装置50、クリーニング装置30が、それぞれ単独で新しい装置との交換が可能に構成されている。なお、プロセスカートリッジ121は、クリーニング装置30で回収した転写残トナーを回収する廃トナータンクを備えていてもよい。この場合、更に、プロセスカートリッジ121において廃トナータンクが単独で着脱・交換が可能な構成とすれば利便性が向上する。
【0023】
次に、プリンタ100の動作について説明する。
プリンタ100では、不図示のオペレーションパネルやパーソナルコンピュータ等の外部機器からプリント命令を受け付けると、まず、感光体10を図中矢印Aの方向に回転させ、帯電装置40の帯電ローラ41によって感光体10の表面を所定の極性に一様帯電させる。帯電後の感光体10に対し、露光装置140は、入力されたカラー画像データに対応して光変調された例えばレーザービーム光を色ごとに照射し、これによって各感光体10の表面にそれぞれ各色の静電潜像を形成する。各静電潜像に対し、各色の現像装置50の現像ローラ51から各色の現像剤を供給し、各色の静電潜像を各色の現像剤で現像し、各色に対応したトナー像を形成して可視像化する。次いで、一次転写ローラ161にトナー像と逆極性の転写電圧を印加することによって、中間転写ベルト162を挟んで感光体10と一次転写ローラ161との間に一次転写電界を形成し、一次転写ローラ161で中間転写ベルト162を弱圧接することで一次転写ニップを形成する。これらの作用により、各感光体10上のトナー像は中間転写ベルト162上に効率よく一次転写される。中間転写ベルト162上には、各感光体10で形成された各色のトナー像が互いに重なり合うように転写され、積層トナー像が形成される。
【0024】
中間転写ベルト162上に一次転写された積層トナー像は、給紙カセット131内に収容されている転写紙が給紙ローラ132やレジストローラ対133等を経て所定のタイミングで給送される。そして、二次転写ローラ165にトナー像と逆極性の転写電圧を印加することにより、転写紙を挟んで中間転写ベルト162と二次転写ローラ165との間に二次転写電界を形成し、転写紙上に積層トナー像が転写される。積層トナー像が転写された転写紙は定着装置90に送られ、熱及び圧力で定着される。トナー像が定着された転写紙は、排紙ローラによって排紙収納部135に排出、載置される。一方、一次転写後の各感光体10上に残留する転写残トナーは、各クリーニング装置30のブレード部材5によって掻き取られ、除去される。
【0025】
次に、本発明の特徴部分であるクリーニング装置30について詳しく説明する。
図1は、クリーニング装置30のブレード部材5が感光体10に当接する部分を感光体10の回転軸方向から見たときの説明図である。
【0026】
クリーニング装置30は、複数の層から構成される弾性体をクリーニングブレードとして使用した積層構造のブレード部材5と、ブレード部材5の一端を保持するブレードホルダ3とを有する。ブレード部材5は、複数層として互いに永久伸びの値が異なる材質からなるエッジ層1及びバックアップ層2の二つの層によって構成されており、被清掃体である感光体10と当接する層がエッジ層1であり、エッジ層1の背面の層がバックアップ層2である。そして、クリーニング装置30は、ブレード部材5のブレードホルダ3によって保持される保持位置5a側とは反対側の端部のエッジ部1eを図1中の矢印A方向に表面移動する感光体10の表面に当接させて、感光体10の表面をクリーニングする構成である。エッジ部1eを備えるエッジ層1はバックアップ層2に比べて永久伸びの値が大きい材質によって形成されている。
【0027】
図4は、図1に示すブレード部材5とブレードホルダ3との説明図である。
図4中のEはエッジ層1の層厚、Bはバックアップ層2の層厚、L0は自由長の長さを示しており、L1は、ブレード部材5全体の厚さを示している。
エッジ層1には、永久伸びが大きく、100%モジュラスの値が大きい材料を用い、バックアップ層2にはエッジ層1に比べて永久伸びが小さく、100%モジュラスの値が小さい材料を用いる。
そして、エッジ層1とバックアップ層2とをあわせた積層構造のブレード部材5は、クリーニング装置30に組み付けた状態での、線圧低下率が90[%]以上となるように適宜エッジ層1及びバックアップ層2の厚さを調整する。
また、感光体10に対するブレード部材5の食込み量d[mm]や当接圧f[g/cm]、当接角度α[°]などの設定は、エッジ層1とバックアップ層2と合わせたブレード部材5の材料物性を測定し、それに応じて設定すればよい。
例えば、dは0<d<1.5、fは10≦f≦80、αは5≦α≦25の範囲で適宜設定すればよい。
具体的な二層構造のブレード部材5の実施例としては、後述する実験例に示したブレード(6)〜(9)及び(12)〜(14)を挙げることができる。
【0028】
上述のように、感光体10と当接するエッジ層1には、高硬度で、100%モジュラスの値が高い材料を用いる。これは、感光体10と当接させたときに、ニップ幅が不必要に大きくなることがなく、近年の小粒径で円形度の高いトナーを阻止するのに必要な高いピーク圧力を得ることが出来るからである。また、画像パターンが異なることによって発生するブレードと感光体との間の摩擦力の変動に対しても、高硬度で100%モジュラスの値が高い材料を用いることで、ニップ幅の変動が小さく、当接圧力、ピーク圧力の変動を抑制することが出来る。このため、クリーニング性能の変動を抑え、安定したクリーニング性能を維持することが出来る。
【0029】
一方、バックアップ層2には、エッジ層1に比べて低硬度で、100%モジュラスの値が小さく、永久伸び値が小さな材料を用いる。
エッジ層1に用いるのに適した高硬度で、100%モジュラスの値が大きく、永久伸びの値が大きい材質のみからなるブレード部材では、そのヘタリによって経過時間や環境の変化によって安定した線圧を維持できなかった。これに対して、バックアップ層2に低硬度で、100%モジュラスの値が小さく、永久伸びの値が小さい材質を用いることで、ブレード全体のヘタリを抑制する構成である。
感光体10と当接するエッジ層1には永久伸びが2[%]以上で100%モジュラスの値が高い材料を用い、バックアップ層2には永久伸びが2[%]以下の材料を用いることにより、小粒径、球形の重合トナーに対しても、ヘタリの発生がなく、初期から長期にわたって良好なクリーニング性能を維持することが出来る。
【0030】
〔実験例〕
本実験では、構成が異なる複数のブレード部材を用意し、各ブレード部材を感光体に当接させた状態で、長時間放置し、初期線圧に対して経時の線圧がどの程度低下するかについて検討した。
実験に用いた14種類のブレード部材であるブレード(1)〜(14)の構成を表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
表1における単層構造(ブレード全体でゴム材料の組成が一様)のブレード部材であるブレード(1)〜(5)としては、厚さが1.8[mm]、自由長が7.2[mm]のものを用いた。
また、本実験に用いた二層構造のブレード部材であるブレード(6)〜(14)は、図4に示すように、エッジ層の層厚Eが0.5[mm]、バックアップ層の層厚Bが1.3[mm]で、ブレード部材5全体の厚さL1が1.8[mm]、自由長L0が7.2[mm]のものを用いた。
【0033】
ブレード(1)は、円形度が0.96程度で低く、粒径が5〜6[μm]程度の異形トナーをクリーニングするときに使用されてきた従来のブレード部材である。
ブレード(2)〜(5)はブレード(1)に比べて、小粒径で円形度の高いトナーに対するクリーニング性能を高めるために、ブレード部材と感光体との間の当接部の当接圧力、ピーク圧力を高めるために有効な高硬度で100%モジュラスの値が大きい材料B、C、D、Eを単層で用いたブレード部材である。
ブレード(6)〜(11)は二層構造のブレード部材で、エッジ層に高硬度で100%モジュラスの値が大きい材料C、D、E、Fを用い、バックアップ層にエッジ層より低硬度で100%モジュラスの値が小さく、永久伸びが小さい材料を用いている。
【0034】
ここで、100%モジュラスの値が大きいほど、ブレード先端稜線(エッジ部)が感光体との間に働く摩擦力によって変形する量が少なく、不必要にニップ幅が広がることがなく、当接圧力UP、ピーク圧力UPに有効である。また、画像パターン変動によって発生するブレードと感光体との間の摩擦力の変動に対しても、ニップ幅が変動し難く、当接圧力、ピーク圧力を安定して維持することが出来るメリットもある。
一方、永久伸びが大きい材料ほど、ブレード部材のヘタリが大きくなり、経時の圧力低下の原因となる。
【0035】
上記表1の線圧低下率[%]は、各ブレード(1)〜(14)をブレード部材5として、プロセスカートリッジ121(感光体ユニット:AIO)に組み付けた状態(実際に画像形成動作可能なAIO)で、組付け直後からの線圧を160時間連続して測定し、組付け直後の線圧に対して、160時間後の線圧がどの程度変化しているかの割合を示している。
具体的には、(160時間放置後の線圧)/(初期線圧)×100で求まる値である。
なお、ブレード部材の線圧低下率の測定は、そのブレード部材を用いる感光体ユニットに組み付けて測定を行う。このため、本実施形態とは異なる構成の感光体ユニットであっても、その感光体ユニットにブレード部材を組み付けることで、同様の評価を行うことができる。
【0036】
また、従来使用されているブレード(1)では、組付け直後から160時間放置すると、線圧の低下が十分に飽和しており、実際のオフィス環境下での使用にあたってもヘタリによるクリーニング不良等の問題発生がない。従って、ブレード(2)〜(14)について、160時間放置後の線圧低下率がブレード(1)と同等であれば、ヘタリによるクリーニング不良の発生はなく、実際のオフィス環境下で使用したときにも、ヘタリによる圧力低下、クリーニング性能の低下は発生しないと判断することが出来る。
【0037】
図5及び図6は、線圧を測定する測定器200の説明図である。
組み付け状態におけるブレードの当接による線圧を測定する測定器200は、感光体10に相当する径で、ブレード部材5のエッジ層1が接する場所に設けた受け台102を備える。受け台102は、長手方向に三分割された構成であり、ロードセル101にブレード部材5の作用力を伝える。ロードセル101は三つの受け台102のそれぞれに接触するように配置されており、ロードセル101としては、例えば、KYOWA製LMA−A-1〇Nを用いることが出来る。また、測定器200は、ロードセル101に作用する力を表示するためのパネル103を備える。パネル103としては、例えばKYOWA製計装パネルWGA−650を用いることが出来る。さらに、ロードセル101で測定される測定値を時系列に記録するためのロガー104(パーソナルコンピュータでのロギング)を用意し、実際の使用に即したレイアウトでブレード部材を組み付ける。そして、記録された測定値について、ブレード組み付け時を初期値として、その値と所定の経過時間時の測定値とを比較することで、線圧の低下率を算出する。
図示の例では、測定に用いる受け台102を3分割しているが、受け台102の分割数は任意で良い。
【0038】
表1に示すブレード(1)〜(14)の異形トナーと球形トナーに対するクリーニング性能を評価した。この評価結果を表2に示す。
【0039】
【表2】

【0040】
表2に示す異形トナーとは、円形度0.96程度で、粒径約6[μm]の重合トナーであり、球形トナーとは円形度0.98以上で、粒径約4[μm]の重合トナーである。
【0041】
または、本実験では、感光体上に潤滑剤を塗布しており、感光体上に形成される画像のトナーの量が多いほど潤滑剤がトナーに取られて、ブレード部材と感光体との間の摩擦係数μが大きくなり、感光体上のトナーの量が少ないと潤滑剤があまり減少しないため、摩擦係数μがあまり大きくならない。
そして、表2中の「低μ」は、5%チャートの画像を連続入力した条件である。トナーの入力量は通常であるため、ブレード部材と感光体との間の摩擦力は通常となる、長手方向での摩擦力変動はほとんどない。
一方、表2中の「高μ」は、縦帯20%チャートの画像を連続入力した条件である。トナーの入力量が多いため、ブレード部材と感光体との間の摩擦力は大きくなり、長手方向での摩擦力変動が大きく、クリーニング性が低下し易い条件である。
【0042】
表1に示す各ブレードの100%モジュラスの値、永久伸び値、及び線圧低下率と、表2のクリーニング性結果について以下に説明する。
表2に示すクリーニング性評価では、5%チャートを連続入力した低μ条件と、縦帯20%チャートを連続入力した高μ条件とについて、初期から80K(8万枚)まで通紙を行い、紙上に発生したクリーニング不良、及び感光体表面上の在留トナー量の程度により「◎」、「○」、「×」に分類した。また、トナー種類については、異形トナーと球形トナーに2種類について実施した。
ここで、クリーニング性能について、初期とは、通紙枚数1枚目〜1000枚目までの1000枚のサンプルについて以下の判定を行った。また、80Kとは、8万枚通紙を行い、79001枚目〜80000枚目の1000枚のサンプルについて以下の判定を行った。
「◎」:紙上に顕在化したクリーニング不良なし、感光体表面上の残留トナーなし
「○」:紙上に顕在化したクリーニング不良なし、感光体表面上に残留トナーあり
「×」:紙上に顕在化したクリーニング不良あり、感光体表面上に残留トナーあり
【0043】
<単層ブレード>
ブレード(1)は、円形度が0.96以下、粒径約5〜6[μm]の所謂異形トナー用に従来から採用されているブレード部材で、単層材料Aの100%モジュラスの値の値は3.5[MPa]程度、永久伸びは0.95[%]であり、線圧低下率は93.7[%]となった。
表2に示すように、異形トナーに対して低μ条件では初期から80Kまでクリーニング性能良好で、「◎」である。また、高μ条件では、初期、80Kのいずれも「○」となった。高μ条件で「○」となった理由は、高μ条件下ではピーク圧力が低下し、クリーニング性能が低下したと考えられる。
しかし、球形トナーに対しては低μ初期でクリーニング不良が発生し、「×」である。これは、100%モジュラスの値が低く、球形トナーをクリーニングするために必要なピーク圧力を得られないためである。
【0044】
ブレード(2)は、単層材料Bで、100%モジュラスの値は5.3[MPa]程度、永久伸びは2.1[%]であり、線圧低下率が91[%]となった。ブレード(1)に比べて、永久伸びが悪化しているため、線圧低下率が悪化している。しかし、表2に示すように、異形トナーに対して低μ初期から80Kまでクリーニング性能は良好で、「◎」であり、高μ初期も「◎」となっている。100%モジュラスの値を大きくしたことにより、ブレード(1)に比べて高μ初期時にもピーク圧力が高く維持されているためである。
しかし、ブレード(1)同様に、球形トナーに対しては初期でクリーニング不良が発生し、「×」である。
【0045】
ブレード(3)は、単層材料Cで、100%モジュラスの値は5.9[MPa]程度、永久伸びは2.3[%]であり、線圧低下率が88[%]となった。ブレード(1)及び(2)に比べて100%モジュラスの値を大きくしており、低μ初期、高μ初期では球形トナーに対して画像上は問題のないクリーニング性が得られており、「○」である。これは、100%モジュラスの値を5.9[MPa]程度とすることにより、球形トナーをクリーニングするために必要なピーク圧力が得られた結果である。一方、80Kでは球形トナーのクリーニング性が「×」となっている。これは、線圧低下率が88[%]に低下していることから判るように、100%モジュラスの値を高めた結果、永久伸び値が悪化し、所謂ヘタリにより、初期のピーク圧力維持できなくなった結果である。
一方、異形トナーに対しては線圧低下率88[%]であっても、80Kでクリーニング性が「◎」であり、ヘタリによってピーク圧力が低下した場合でも、十分クリーニング出来ることがわかる。
【0046】
ブレード(4)は、単層材料Dで、100%モジュラスの値は7.5[MPa]程度、永久伸びは2.86[%]であり、線圧低下率が84[%]となった。ブレード(3)に比べて永久伸び値が大きい分、線圧低下率は84[%]に悪化している。球形トナーに対するクリーニング性は、低μ初期で「◎」、高μ初期で「○」、低μ80Kではヘタリの影響で「×」となっている。
【0047】
ブレード(5)は、単層材料Eで、100%モジュラスの値は12[MPa]程度、永久伸びは4.9[%]であり、線圧低下率が75[%]となった。初期では低μ、高μの両条件で良好なクリーニング性であり、「◎」となった。これは、100%モジュラスの値が大きい材料を用いることで、高μ条件においてもニップ幅が広くならず、高いピーク圧力を維持出来るからである。
一方、単層であるため、ヘタリの影響によって線圧低下率が75[%]と著しく悪化している。その結果、低μ80Kでもクリーニングが「×」となった。
【0048】
以上、ブレード(1)〜(5)の結果から、初期的に球形トナーに対して、紙上に顕在化しない程度にクリーニング性を確保するためには、感光体と当接する部分のゴム材料としては、ピーク圧力を高められる100%モジュラスの値が5.9〜12[MPa]の材料を用いる必要があることがわかる。一方、線圧低下率がいずれも88[%]を下回っており、単層では経時でピーク圧力を維持できないことがわかる。
【0049】
<二層ブレード>
ブレード(6)は、エッジ層のゴム材料C(100%モジュラスの値は5.9[MPa]、永久伸びは2.3[%])、バックアップ層にはブレード(3)における線圧低下率の改善目的でゴム材料G(100%モジュラスの値は3.5[MPa]、永久伸びは1.2[%])を設けている。線圧低下率は91.1[%]となり、ブレード(3)に比べて大幅に改善している。また、低μ80Kで「◎」、高μ80Kで「○」となり、ヘタリによるクリーニング性低下は改善されている。
【0050】
ブレード(7)は、エッジ層のゴム材料D(100%モジュラスの値は7.5[MPa]、永久伸びは2.86[%])、バックアップ層にはブレード(4)における線圧低下率の改善目的でゴム材料G(100%モジュラスの値は3.5[MPa]、永久伸びは1.2[%])を設けている。線圧低下率は90.1[%]となり、ブレード(4)に比べて大幅に改善している。また、低μ80Kで「◎」、高μ80Kで「○」となり、ヘタリによるクリーニング性低下は改善されている。
【0051】
ブレード(8)及び(9)は共に、エッジ層にゴム材料F(100%モジュラスの値は10[MPa]、永久伸びは4.3[%])を用いている。そして、バックアップ層にはブレード(8)では、ゴム材料J(100%モジュラスの値は4.3[MPa]、永久伸びは0.92[%])を用い、ブレード(9)では、ゴム材料H(100%モジュラスの値は2.3[MPa]、永久伸びは0.32[%])を用いている。
線圧低下率は各々90.2[%]及び90.7[%]で、ブレード(8)及び(9)共に低μ80K、高μ80Kでクリーニング性「◎」となっており、ヘタリによる線圧低下は解消されている。ブレード(6)に比べてエッジ層に100%モジュラスの値が大きい材料を設けることで、高μ条件でもピーク圧力が十分維持されている。
【0052】
ブレード(10)、(11)、(12)、(13)及び(14)は、エッジ層にゴム材料E(100%モジュラスの値は12[MPa]、永久伸びは4.9[%])を用いている。そして、バックアップ層には100%モジュラスの値、永久伸びが異なる5種類のゴム材料I、J、H、K及びLを設けた。そして、5種類のブレード部材について、各々、線圧低下率、及び球形トナーのクリーニング性能を評価した。
ブレード(10)及び(11)では、バックアップ層の永久伸びが1.59[%]及び0.92[%]、線圧低下率が80.5[%]及び81.9[%]で大幅に90[%]を下回っており、低μ80K、高μ80Kではヘタリによる圧力低下によってクリーニング不良が発生し、「×」となっている。
ブレード(12)は線圧低下率が89.7[%]、低μ80K、高μ80Kでクリーニング性能が「○」となった。
ブレード(13)及び(14)では線圧低下率が90.5[%]、91.2[%]、低μ80K、高μ80Kでクリーニング性能が「◎」となった。
【0053】
以上、二層構成ブレード(6)〜(14)の検討結果から、初期から経時に渡って球形トナーに対して良好なクリーニング性を得られる構成をまとめる。
ブレード(6)及び(7)の検討結果から、球形トナーに対して初期、80K時にクリーニング性能「○」以上を得るには、エッジ層に100%モジュラスの値が5.9[MPa]以上のゴム材料を用いる。また、エッジ層の100%モジュラスの値を7.5[MPa]に高め、低μ初期、低μ80K時のクリーニング性能を「◎」に改善した場合にも、線圧低下率を90.1[%](90[%])以上となるようにバックアップ層を構成すれば、80K時にもクリーニング性能「○」以上を得ることが出来る。
すなわち、球形トナーに対して初期、80K時にクリーニング性能「○」以上を得るには、エッジ層に100%モジュラスの値が5.9[MPa]以上のゴム材料を用い、線圧低下率を90[%]以上となるようにバックアップ層を構成する。
【0054】
ブレード(8)及び(9)の検討結果から、球形トナーに対して、低μ初期、高μ初期、低μ80K、高μ80Kの何れの条件でもクリーニング性能「◎」を得るには、エッジ層に100%モジュラスの値が10[MPa]以上のゴム材料を用い、線圧低下率が90[%]以上となるようにバックアップ層を構成する。
すなわち、エッジ層の100%モジュラスの値をブレード(6)及び(7)に比べて高めた分、バックアップ層の100%モジュラスの値を低め、また永久伸び値のより小さな材料(実験例では0.92[%]以下)を用いることにより、線圧低下率が90[%]以上となるように構成する。
【0055】
ブレード(13)及び(14)の検討結果から、エッジ層に100%モジュラスの値が12[MPa]のゴム材料を用いた場合にも、線圧低下率が90[%]以上となるようにバックアップ層を構成することにより、低μ初期、高μ初期、低μ80K、高μ80Kの何れの条件でもクリーニング性能「◎」を得ることが出来る。具体的には、永久伸びが0.2[%]以下の材料をバックアップ層に用いている。
また、ブレード(12)の検討結果から、100%モジュラスの値が12[MPa]のゴム材料をエッジ層に用いた、バックアップ層に永久伸び0.32[%]の材料を用いると、線圧低下率は89.7[%]で、90[%]をわずかに下回るが、低μ80K、高μ80Kでクリーニング性能「○」以上が得られている。
【0056】
以上から、少なくとも初期、経時に渡ってクリーニング性能「○」以上を得るには、エッジ層に100%モジュラスの値が5.9[MPa](約6.0[MPa])以上のゴム材料を用い、線圧低下率が89.7[%](約90[%])以上となるようにバックアップ層の100%モジュラスの値、永久伸びの値を選択する。
また、初期のクリーニング性能「◎」、経時のクリーニング性能「○」を得るには、エッジ層に100%モジュラスの値が10[MPa]以上のゴム材料を用い、線圧低下率が90[%]以上となるようにバックアップ層の100%モジュラスの値、永久伸び値を選択する。
【0057】
以上、二層構成のブレード(6)〜(9)及び(12)〜(14)の検討結果から、球形トナーに対しては、エッジ層として100%モジュラスの値が7.5[MPa]以上の材料を用い、バックアップ層には線圧低下率が89.7[%](約90[%])以上となるように低永久伸びの材料を組み合わせることにより、ヘタリを防ぎ、初期から経時に渡って球形トナーに対する良好なクリーニング性能を得ることが出来る。
【0058】
以上、少なくとも二層以上の層から構成されるゴム材料を用いたブレード部材において、感光体と当接するエッジ層に永久伸びの大きなゴム材料を用いた場合に、バックアップ層にエッジ層よりも永久伸び値が小さなゴム材料を用い、線圧低下率が90[%]以上となるように構成することにより、ヘタリによる当接圧力の低下なく、初期から経時に渡って良好なクリーニング性を維持することが出来る。
【0059】
また、本実施形態のブレード部材5としては、エッジ層1の粘弾性特性の環境変動を抑えることが望ましい。
このため、エッジ層1に用いるゴム材料は、反発弾性係数の変動が小さいゴム材料とする。
図7は、従来のブレード部材に使用されて来たゴム材料(実線)と、本実施形態のブレード部材5のエッジ層1に用いるゴム材料(破線)について、反発弾性係数の温度変化のプロファイルを模式的に示している。実線で示されるゴム材料では、0[℃]から50[℃]の間で反発弾性が約60[%]変化している。一方、破線で示す本実施形態のエッジ層1に用いるゴム材料では、0[℃]から50[℃]の間で反発弾性係数が約30[%]の変化に抑えられている。
【0060】
トナーの除去性能やブレード磨耗に起因する耐久性能はエッジに使用されるゴム材料の反発弾性係数に大きく影響される。実線で示す従来のブレード部材で使用されてきたゴム材料の場合には、温度変化によって大きく反発弾性係数が異なるため、温度変化によるトナー除去性能の変動、低下が大きく、また、使用温度環境によって耐久性能、寿命が大きく変動してしまうという不具合が発生しやすい。
使用温度環境によってブレード部材の耐久性能、寿命が変動すると、次のような問題が生じる。すなわち、プロセスカートリッジ121のように、感光体ユニットとしてブレード部材と他の部材とを一体的に交換可能とした構成で、使用温度環境によってブレード部材の耐久性能、寿命が低下すると、他の部材は寿命に到達していないにも係わらず、感光体ユニットを交換する必要がある。一方、使用温度環境によってブレード部材の耐久性能、寿命が向上すると、ブレード部材はまだ使える状態でも他の部材の寿命に合わせて感光体ユニットを交換する必要がある。
【0061】
一方、破線で示すように、エッジ層1に使用するゴム材料として、反発弾性係数の温度変化の小さい材料を用いることにより、環境変動に対して安定したトナー除去性能が得られ、また使用温度環境による耐久性能の変動も発生し難い。
これにより、ブレード部材5の部材寿命を感光体ユニットを構成する他の部材に合わせ易くなる。
【0062】
このように、エッジ層1の反発弾性係数の温度変化が小さくすることに加え、バックアップ層にもエッジ層同様(100%モジュラスの値、永久伸び値はエッジ層よりも小さく設定する)に、反発弾性係数の温度変化が小さい材料を用いることにより、環境変動に対する安定したトナー除去性能や、安定した耐久性能を得ることが出来る。
すなわち、反発弾性係数の温度依存性が低ければ、温度依存に寄らず安定したクリーニングが行えるため、経時に渡って安定したクリーニング性を維持することが出来る。
【0063】
また、エッジ層1及びバックアップ層2に用いるゴム材料としては、tanδピーク温度が10[℃]未満のものを用いる。これにより、10[℃]という低温環境でも、エッジ層1及びバックアップ層2がゴム材料として機能し、所望のクリーニング性を得ることが出来る。また、tanδピーク温度が10[℃]未満のゴム材料としては、tanδピーク温度が5[℃]未満の材料であれば5[℃]以上の環境下、tanδピーク温度が−20[℃]未満の材料であれば−20[℃]以上の環境下、でエッジ層1及びバックアップ層2がゴム材料として機能し、所望のクリーニング性を得ることが出来る。すなわち、エッジ層1及びバックアップ層2に用いるゴム材料のtanδピーク温度の値が低ければ低いほどより低温環境下での使用が可能になる。
【0064】
上述した実施形態では、永久伸びの値が大きいエッジ層1と永久伸びの値が小さいバックアップ層2からなる積層構造のブレード部材5を備えるクリーニング装置30は、感光体10を被清掃体としてその表面の付着物を除去する構成である。本実施形態と同様のブレード部材を備えたクリーニング装置の被清掃体としては、感光体に限るものではない。例えば、中間転写ベルト162を被清掃体として、中間転写ベルトクリーニング装置167のクリーニング部材として、ブレード部材5と同様のものを用いることが出来る。さらに、被清掃体としては感光体10や中間転写ベルト162のようなトナー像担持体に限るものではなく、未転写のトナー像が形成された記録媒体を搬送する記録媒体搬送ベルトを清掃体として、記録媒体搬送ベルトのクリーニング装置のクリーニング部材としてもブレード部材5と同様のものを用いることが出来る。また、記録媒体搬送ベルトを備える画像形成装置としては、電子写真方式のものに限らず、インクジェット方式のものであって、記録媒体搬送ベルトのクリーニング装置のクリーニング部材としてもブレード部材5と同様のものを用いることが出来る。
さらに、ブレード部材5はカウンター方式で感光体10に当接する構成であるが、当接方式としては、トレーリング方式でも適用可能である。
【0065】
以上、本実施形態のクリーニング装置30は、互いに永久伸びの値が異なる材質からなる複数の層によって構成される積層構造のブレード部材5と、ブレード部材5の一端を保持する保持部材であるブレードホルダ3とを有する。クリーニング装置30は、ブレード部材5の他端の先端稜線部であるエッジ部1eを表面移動する被清掃体である感光体10の表面に当接させて、感光体10の表面をクリーニングする構成である。このようなクリーニング装置30で、ブレード部材5を感光体10に当接させた状態で所定の方法で測定する線圧低下率が90[%]となるように各層を形成する材料や層厚を選択することにより、複数の層によって構成される積層構造のブレード部材5を用いた構成で、初期のクリーニング性能を十分に維持することができる。
【0066】
また、クリーニング装置30は、ブレード部材5の複数の層のうちエッジ部1eを備えるエッジ層1は、他の層であるバックアップ層2に比べて永久伸びの値が大きい材質によって形成される。
このように、少なくとも二層以上の層から構成される弾性体をブレード部材5として用いる積層ブレードにおいて、像坦持体である感光体10と当接するエッジ層1に高硬度で、100%モジュラスの値が大きい材料を用いる。そして、少なくとも一層以上の層から構成されるバックアップ層2に、エッジ層1よりも低硬度で、100%モジュラスの値が小さく、永久伸び値が小さな材料を用い、ブレード部材5の線圧低下率を90[%]以上となるように構成することにより、初期から長期に渡ってヘタリによる当接条件、当接圧力の変動がなく、小粒径で円形度の高いトナーに対する良好なクリーニング性能を長期に渡って維持することが出来る。
【0067】
また、従来、粉砕トナーや円形度が低く、粒径が約6[μm]以上の重合トナーをクリーニングするために用いられるブレード部材では、単層のゴム材料を用い、その100%モジュラスの値は約5[MPa]以下で、永久伸びは約1.5[%]以下であることが一般的であった。
一方、硬度が高く、100%モジュラスの値の大きいウレタンゴム材料をもちいることで、感光体等の像坦持体との当接領域における当接圧力を上げることが出来、小粒径、球形の重合トナーをクリーニングすることができる。しかし、100%モジュラスの値が大きいウレタンゴム材料は、一般的に永久伸びが大きくなる傾向がある。
そのため、従来から使用されてきた自由長を有し、単層のウレタンゴム材料を保持部材である金属製の支持板で支持するタイプのブレード部材に、100%モジュラスの値が大きい材料を用いた場合には、所謂ヘタリが発生しやすく、初期のクリーニング性能が維持できず、長期に渡るクリーニング性能の維持が困難な場合があった。
【0068】
一方、本実施形態のクリーニング装置30では、小粒径、球形の重合トナーをクリーニングするために、被清掃体との当接領域における当接圧力を上げる目的で、被清掃体と当接する部分(エッジ層1)に高硬度で、100%モジュラスの値が大きい材料を使用している。ここで、エッジ層1は、100%モジュラスの値が6[MPa]以上のゴム材料であることが望ましい。
100%モジュラスの値の高い材料を使用した際に課題となるヘタリを防止するため、エッジ層1の背面(被清掃体とは反対側)にゴム材料の組成が異なるバックアップ層2を設けている。このバックアップ層2に用いる材料には、エッジ層1に比べて低硬度で、100%モジュラスの値が小さく、永久伸びが小さい材料を使用する。
【0069】
このような、エッジ層1に比べてバックアップ層2が低硬度、低100%モジュラスの値、低永久伸びとなる組合せに加えて、線圧低下率が90[%]以上となるようにバックアップ層2の材料を適宜選択する。
これにより、ヘタリによるクリーニング性能の低下を抑制し、エッジ層1に永久伸びが大きく、100%モジュラスの値の高い材料を用いた場合にも、初期から長期に渡って小粒径、球形の重合トナーに対して、良好なクリーニング性能を維持することが出来る。
【0070】
また、クリーニング装置30では、ブレード部材5のエッジ層1を形成する材料として、23[℃]における100%モジュラスの値が6[MPa]〜12[MPa]となるゴム材料を用いている。これにより、感光体10に対するブレード部材5の当接圧力を上げることが出来、小粒径、球形の重合トナーをクリーニングすることができる。
【0071】
また、クリーニング装置30では、ブレード部材5のエッジ層1を形成する材料として、0[℃]〜50[℃]の範囲の温度変化における反発弾性率の最大値と最小値との差が30[%]以下となるゴム材料を用いている。このように、エッジ層1の反発弾性の温度依存性を小さくすることにより、使用環境によるトナー除去性能の変化、低下を防ぎ、安定したトナー除去性能、及び安定した耐久性能を得ることが出来る。
【0072】
また、クリーニング装置30では、ブレード部材5のエッジ層1を形成する材料として、tanδピーク温度が10[℃]未満となるゴム材料を用いている。これにより、10[℃]という低温環境でも、エッジ層1がゴム材料として機能し、所望のクリーニング性を得ることが出来る。
【0073】
また、クリーニング装置30では、ブレード部材5のバックアップ層2を形成する材料として、0[℃]〜50[℃]の範囲の温度変化における反発弾性係数の最大値と最小値との差が30[%]以下となるゴム材料を用いている。さらに、バックアップ層2を形成する材料として、tanδピーク温度が10[℃]未満となるゴム材料を用いている。このように、エッジ層1の温度依存性を小さくすると共に、バックアップ層2の温度依存性を小さくすることにより、さらに安定したトナー除去性能、及び安定した耐久性能を得ることが出来る。
【0074】
また、クリーニング装置30としては、被清掃体である感光体10の表面に潤滑剤を付与する潤滑剤付与手段を配置することが望ましい。被清掃体に潤滑剤を塗布することにより、ブレード部材5によるクリーニング性能を補助することが出来る。さらに、潤滑剤を塗布する対象が感光体10であることにより、帯電装置40による帯電工程のときに感光体10の表面が潤滑剤によって保護された状態となり、帯電による感光体10表面の劣化を抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態のプリンタ100は、表面移動する潜像担持体である感光体10上に形成した画像を最終的に記録媒体である転写紙に転移させるものであり、このプリンタ100本体に着脱自在に構成され、感光体10を上記被清掃体としてその表面上に付着した不要な付着物を除去するクリーニング手段と、感光体10とを一体に支持したプロセスカートリッジ121を備える。そして、このプロセスカートリッジ121のクリーニング手段として、本実施形態のクリーニング装置30を用いることにより、従来よりも初期の当接状態を維持することができ、感光体10に対して長期に渡って安定したクリーニングを行うプロセスカートリッジ121を実現できる。
【0076】
また、プリンタ100は、表面移動する像担持体である感光体10上に形成したトナー像を中間転写体である中間転写ベルト162に転写し、このトナー像を最終的に記録媒体である転写紙に転移させるものであり、このプリンタ100本体に着脱自在に構成され、中間転写ベルト162を被清掃体としてその表面上に付着した不要な付着物を除去するクリーニング手段である中間転写ベルトクリーニング装置167と、中間転写ベルト162とを一体に支持した中間転写ユニットである二次転写装置160を備える。そして、中間転写ベルトクリーニング装置167として、クリーニング装置30と同様のブレード部材を備えるクリーニング装置を用いることにより、長期に渡って中間転写ベルト162のクリーニングを良好に行うことが出来る二次転写装置160を実現できる。
【0077】
また、プリンタ100は、表面移動部材である感光体10上に形成したトナー像を最終的に転写紙に転移させる画像形成装置であり、感光体10上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング手段として、クリーニング装置30を用いることにより、長期に渡って感光体10のクリーニングを良好に行うことができ、良好な画像形成を行うことが出来る。
【0078】
また、プリンタ100では、トナー像を形成するトナーは、形状係数SF1が100以上150以下の重合トナーである。重合トナーによっては球形に近く、より高画質なトナー像を形成することが出来るものがあるが、このような球形トナーは高い除去性能を要する。クリーニング装置30は、当接圧力を高くすることと、初期の当接状態を維持するととを両立することができるため、高い除去性能を要する球形トナーであっても良好にクリーニングを行うことができ、プリンタ100は、安定して高画質な画像形成を行うことができる。
【0079】
また、画像形成装置としては、表面移動部材する記録体搬送部材である記録体搬送ベルトの表面に担持された記録体上に画像を形成する本体に着脱自在に構成され、記録体搬送ベルトを被清掃体としてその表面上に付着した不要な付着物を除去するための搬送ベルトクリーニング手段と、記録体搬送ベルトとを一体に支持した記録体搬送ユニットを備えるものがある。このような構成の画像形成装置における搬送ベルトクリーニング手段として、クリーニング装置30と同様のブレード部材を備えるクリーニング装置を用いることにより、長期に渡って記録体搬送ベルトのクリーニングを良好に行うことが出来る記録体搬送ユニットを実現できる。
【符号の説明】
【0080】
1 エッジ層
1e エッジ部
2 バックアップ層
3 ブレードホルダ
5 ブレード部材
5a 保持位置
10 感光体
30 クリーニング装置
51 現像ローラ
90 定着装置
100 プリンタ
120 画像形成部
121 プロセスカートリッジ
140 露光装置
160 二次転写装置
162 中間転写ベルト
167 中間転写ベルトクリーニング装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】特許3276462号公報
【特許文献2】特開2007−248737号公報
【特許文献3】特開2007−086202号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに永久伸びの値が異なる材質からなる複数の層によって構成される積層構造のブレード部材と、
該ブレード部材の一端を保持する保持部材とを有し、
該ブレード部材の他端の先端稜線部であるエッジ部を表面移動する被清掃体の表面に当接させて、該被清掃体の表面をクリーニングするクリーニング装置において、
上記ブレード部材を上記被清掃体に当接させた状態で所定の方法で測定する線圧低下率が90[%]以上であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1のクリーニング装置において、
上記ブレード部材の複数の層のうち上記エッジ部を備えるエッジ層は、他の層に比べて永久伸びの値が大きい材質によって形成されることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1または2のクリーニング装置において、
上記ブレード部材の複数の層のうち上記エッジ部を備えるエッジ層を形成する材料の、23[℃]における100%モジュラスの値が6[MPa]〜12[MPa]であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のクリーニング装置において、
上記ブレード部材の複数の層のうち上記エッジ部を備えるエッジ層を形成する材料の、0[℃]〜50[℃]の範囲の温度変化における反発弾性率の最大値と最小値との差が30[%]以下であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項4のクリーニング装置において、
上記エッジ層を形成する材料の、tanδピーク温度が10[℃]未満であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のクリーニング装置において、
上記ブレード部材の複数の層のうち上記エッジ部を備えるエッジ層以外の層であるバックアップ層を形成する材料の、0[℃]〜50[℃]の範囲の温度変化における反発弾性係数の最大値と最小値との差が30[%]以下であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のクリーニング装置において、
上記ブレード部材の複数の層のうち上記エッジ部を備えるエッジ層以外の層であるバックアップ層を形成する材料の、tanδピーク温度が10[℃]未満であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のクリーニング装置において、
上記被清掃体の表面に潤滑剤を付与する潤滑剤付与手段を有することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項9】
表面移動する潜像担持体上に形成した画像を最終的に記録媒体に転移させる画像形成装置の本体に着脱自在に構成され、
該潜像担持体を上記被清掃体としてその表面上に付着した不要な付着物を除去するクリーニング手段と、該潜像担持体とを一体に支持したプロセスカートリッジにおいて、
上記クリーニング手段として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のクリーニング装置を用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
表面移動する像担持体上に形成した画像を中間転写体に転写し、この画像を最終的に記録媒体に転移させる画像形成装置の本体に着脱自在に構成され、
該中間転写体を上記被清掃体としてその表面上に付着した不要な付着物を除去するクリーニング手段と、該中間転写体とを一体に支持した中間転写ユニットにおいて、
上記クリーニング手段として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のクリーニング装置を用いることを特徴とする中間転写ユニット。
【請求項11】
表面移動部材である像担持体上に形成した画像を最終的に記録体に転移させる画像形成装置において、
上記像担持体上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング手段として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のクリーニング装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11の画像形成装置において、
上記画像を形成するトナーの形状係数SF1が100以上150以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
表面移動部材する記録体搬送部材の表面に担持された記録体上に画像を形成する画像形成装置の本体に着脱自在に構成され、
該記録体搬送部材を上記被清掃体としてその表面上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニング手段と、該記録体搬送部材とを一体に支持した記録体搬送ユニットにおいて、
上記クリーニング手段として、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のクリーニング装置を用いることを特徴とする記録体搬送ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−197309(P2011−197309A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63175(P2010−63175)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】