説明

クリーニング装置および画像形成装置

【課題】本発明は、金属ローラー(トナー回収ローラー)を用いたクリーニング装置において、ブレードによって掻き落とされたトナーや紙粉などが漏れ出たり逆流したりすることがないように逆流防止機能を有し、常に安定したクリーニング性能を有するクリーニング装置およびそれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体に残留しているトナーを除去するファーブラシ2と、前記ファーブラシ2上のトナーを除去する回収ローラー6と、前記回収ローラー6に接触する第一シート4と、前記回収ローラーからトナーを除去するブレード1とを備え、前記第一シート4の回収ローラーに接する面の静止摩擦係数が、前記回収ローラー表面の静止摩擦係数よりも小さいことを特徴とする、クリーニング装置30。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機などの画像形成装置に使用されるクリーニング装置、並びにそのクリーニング装置を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式により用紙に画像を形成する複写機やプリンターあるいはデジタル複合機等の画像形成装置においては、像担持体である感光体ドラムの周面上に形成された静電荷像(静電潜像)が、現像装置によってトナーを用いて現像され、トナー像として顕像化される。そして、感光体ドラム上のトナー像は、転写装置によって用紙上に転写された後、定着装置によって加熱及び加圧され、用紙に定着される。トナー像が定着された用紙は、最終的に画像形成装置の機外に排出される。
【0003】
また、感光体ドラムや中間転写ベルト等の像担持体上のトナー像を用紙等に転写した後、前記像担持体上に残留したトナー、いわゆる残留トナーを除去するクリーニング装置を備えている。そうすることによって、転写されずに像担持体上に残留したトナーによって、形成される画像の画質低下を抑制することができる。また、転写後の像担持体上から除去した転写残留トナーには、通常、用紙等の記録媒体から発生する紙紛などの微小な異物が混入しているが、クリーニング装置には、こういった紙粉なども除去する働きを備えたものも存在する。
【0004】
このようなクリーニング装置としては、例えば、特許文献1に記載のような、像担持体面に当接し、像担持体表面の残留トナーを除去する板状のブレードを有するクリーニング装置が挙げられる。一般にこのような構成のクリーニング装置は、ブレードによって掻き落とされたトナー等の一部が回収されずにケーシングの外へ漏れ出たり、逆流してしまうという問題がある。
【0005】
この点、特許文献1では、像担持体回転方向上流側にシール部材を像担持体表面に当接配置して、トナー漏れが起きないようにしている。特許文献1には、このシール部材が像担持体表面と当接される第一部材とこれを保持する第二部材から構成され、第一部材の静止最大摩擦係数が第二部材の静止最大摩擦係数よりも大きくなっていることが開示されている(請求項7等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−96630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、クリーニング装置としては、像担持体に直接ブレードを当てて残留トナーを掻き落とすクリーニング装置とは別に、像担持体からファーブラシおよび回収(金属)ローラーを用いて残留トナーを除去し、該回収ローラーにトナーを除去するクリーニングブレードを当ててトナーを掻き落とすクリーニング装置も存在する。いずれの装置においても、残留トナーの漏れや逆流を防ぐために設けたシール又はシート部材によってトナーや紙粉を詰まらせたり、トナーの堆積を招いたりしないように、これらシール又はシート部材はトナーや紙粉の漏れや逆流は防ぎつつも、トナーや紙粉は通り抜けさせ、クリーニングブレードまで運ばなければならない。
【0008】
ここで、像担持体に直接ブレードを当てて残留トナーを掻き落とすクリーニング装置の場合、像担持体に静電気的な吸着力がありトナーや紙粉が帯電しているため、特許文献1に記載のようにシール部材が像担持体と接触していればトナーや紙粉はうまくシールをすり抜けさせやすい。しかしながら、ファーブラシおよび回収ローラーを用いるクリーニング装置のように、シールを像担持体ではなく回収ローラーに当接させる場合は、上記のような構成ではトナーおよび紙粉などをすり抜けさせることが難しい。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、どのようなクリーニング装置においても、ブレードによって掻き落とされたトナーや紙粉などが漏れ出たり逆流したりすることがないように逆流防止機能を有し、常に安定したクリーニング性能を有するクリーニング装置およびそれを用いた画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、鋭意検討した結果、下記構成を有するクリーニング装置を用いることにより前記課題が解決することを見出し、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることによって本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明の一態様に係るクリーニング装置は、像担持体に残留しているトナーを除去するファーブラシと、前記ファーブラシ上のトナーを除去する回収ローラーと、前記回収ローラーに接触する第一シートと、前記回収ローラーからトナーを除去するブレードとを備えており、前記第一シートの回収ローラーに接する面の静止摩擦係数が、前記回収ローラー表面の静止摩擦係数よりも小さいことを特徴とする。
【0012】
このような構成により、回収ローラーに保持されている残留トナーが逆流を防止するためのシートによってクリーニング装置のケーシングの外側等(ファーブラシ側)へ掻き落とされることなく、ブレードまで運ばれて回収スクリューの上に掻き落とされ、回収される。よって、優れたクリーニング性を安定して供給することができる。
【0013】
さらに、前記第一シートが超高分子ポリエチレン又はポリエチレンテレフタレートからなるシートであれば、第一シートの静止摩擦係数をより確実に回収ローラーより下げることができる。特に、超高分子ポリエチレンを用いる場合は、さらに耐摩擦性能に優れているので、長期にわたり安定して回収ローラー上のトナーや紙粉の通り抜けを邪魔することなくブレードまでトナーや紙粉を運ぶことができる。
【0014】
また、前記第一のシートが、前記第一シートよりも反発弾性率が大きい第二シートで裏打ちされていることが好ましい。第一シートが癖がつきやすい場合、回収ローラーと第一シートとの間に隙間が空いてしまい、ブレードで掻き落とされたトナー等がその隙間から漏れ出てしまう可能性がある。一方、それを防ぐために強い力で第一シートを回収ローラーに当てようとすると今度はトナーや紙粉が回収ローラーと第一シートとの間をすり抜けられないおそれがある。そこで、第一シートよりも反発弾性率が大きい第二シートで裏打ちすることにより、適切な力で確実に回収ローラーに第一シートを接触させることができると考えられる。
【0015】
さらに、前記第一のシートの表面抵抗率が10Ω/□以下であることが好ましい。このような構成により、第一シートが帯電してトナーや紙粉を引きつけてしまうことを防ぐことができる。
【0016】
また、前記像担持体が中間転写ベルトである場合に、上述したような効果が確実に達成できる。
【0017】
前記課題を解決するための本発明の他の局面は、前記クリーニング装置と像担持体とを備えることを特徴とする。上記構成の画像形成装置を用いることにより、長期にわたって安定した高画質な画像を形成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るクリーニング装置を用いることで、トナーの漏れ・防止を充分に抑制し、安定したクリーニング性能を長期にわたって提供できる。そして、このようなクリーニング装置を搭載することにより、安定した高品質画像が得られる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るクリーニング装置が適用された画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係るクリーニング装置の構成を示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るクリーニング装置の構成(第二シートあり)を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るクリーニング装置が適用された画像形成装置の画像形成部周辺を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
本発明の実施形態に係るクリーニング装置が適用された画像形成装置として、図1に示す画像形成装置10を例に挙げて説明する。なお、図1は、本発明の実施形態に係るクリーニング装置が適用された画像形成装置の全体構成を示す概略図である。本発明の実施形態に係る画像形成装置10としては、コンピュータ等の外部機器から伝送された画像情報に基づき画像形成処理を行うものであって、いわゆるタンデム方式の画像形成装置(カラープリンタ)10を例に挙げて説明する。
【0022】
ここで、画像形成装置として、タンデム方式の画像形成装置を例に挙げて説明するが、電子写真方式を利用した画像形成装置であればよく、タンデム方式の画像形成装置に限定されない。また、画像形成装置の種類としては、カラープリンターを例に挙げて説明するが、例えば、複写機、ファクシミリ装置、及び複合機等であってもよく、カラープリンターに限定されない。
【0023】
なお、本明細書において用いられる「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を表す用語は、単に説明の明瞭化を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0024】
この画像形成装置10は、図1に示すように、箱形を呈した装置本体11内に内装された、用紙Pを給紙する給紙部12と、この給紙部12から給紙された用紙Pを搬送しながら、この用紙P上に画像情報に基づくトナー像を形成する画像形成部13と、この画像形成部13で用紙P上に形成された未定着トナー像を用紙Pに定着する定着処理を施す定着部14とが設けられている。さらに、前記装置本体11の上部には、前記定着部14で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部15が形成されている。
【0025】
装置本体11の上面の適所には、用紙Pに対する出力条件等を入力操作するための図略の操作パネルが設けられている。この操作パネルには、電源キーや出力条件を入力するための各種のキー等が設けられている。
【0026】
また、装置本体11内には、図1に示す画像形成部13より右側位置に、上下方向に延びた用紙搬送路111が形成されている。用紙搬送路111には、適所に搬送ローラー対112が設けられている。そして、用紙搬送路111は、搬送ローラー対112によって、用紙Pを給紙部12から排紙部15まで搬送し、その搬送中の用紙Pが、画像形成部13の転写部や定着部14を通過するように形成されている。
【0027】
前記給紙部12は、給紙トレイ121、ピックアップローラー122、及び給紙ローラー対123を備えている。給紙トレイ121は、装置本体11内における画像形成部13より下方位置に挿脱可能に装着され、複数枚の用紙Pが積層された用紙束P1を貯留する。ピックアップローラー122は、給紙トレイ121の、用紙Pの搬送方向上流側で上方位置、具体的には、図1に示す右上方位置に設けられ、給紙トレイ121に貯留された用紙束P1の最上面の用紙Pを1枚ずつ取り出す。給紙ローラー対123は、ピックアップローラー122によって取り出された用紙Pを用紙搬送路111に送り出す。そうすることによって、前記給紙部12は、画像形成部13へ向けて用紙Pを給紙する。
【0028】
また、前記給紙部12は、装置本体11の、図1に示す左側側面に取り付けられる手差しトレイ124、ピックアップローラー125、及び給紙ローラー対126をさらに備えている。手差しトレイ124は、用紙Pを手差し操作で画像形成部13へ向けて供給するためのものである。手差しトレイ124は、装置本体11の側面に収納可能であり、手差しで用紙Pを給紙する際、図1に示すように、装置本体11の側面から引き出されて手差し給紙に供される。ピックアップローラー125は、手差しトレイ124に載置された用紙Pを取り出す。ピックアップローラー125によって取り出された用紙Pは、給紙ローラー対123,126によって用紙搬送路111に送り出す。そうすることによって、前記給紙部12は、画像形成部13へ向けて用紙Pを給紙する。
【0029】
前記画像形成部13は、所定の画像処理によって給紙部12から給紙された用紙Pにカラー画像等の画像を形成させるものである。画像形成部13は、複数の画像形成ユニット131と、中間転写ベルト(中間転写体)132と、1次転写ローラー133と、2次転写ローラー133とを備えている。
【0030】
前記画像形成ユニット131としては、本実施形態では、中間転写ベルト132の回転方向上流側から下流側へ(図1に示す左側から右側へ)向けて順次配設された、マゼンタ(M)色の現像剤を用いるマゼンタ用ユニット131M、シアン(C)色の現像剤を用いるシアン用ユニット131C、イエロー(Y)色の現像剤を用いるイエロー用ユニット131Y、及びブラック(K)色の現像剤を用いるブラック用ユニット131Kが備えられている。各ユニット131は、それぞれ像担持体である感光体ドラム135を備え、感光体ドラム135上に画像情報に基づいて各色に対応するトナー像を形成させ、中間転写ベルト132に1次転写する。
【0031】
前記画像形成ユニット131は、中央位置に像担持体としての感光体ドラム135が矢符(図1では時計回り)方向に回転可能に配置されている。そして、感光体ドラム135の周囲には、前記1次転写ローラー133による転写(1次転写)される位置を、感光体ドラム135の回転方向の最も上流側とした場合に、そこから下流側に向かって順に、除電される位置、帯電される位置、露光される位置、現像される位置となるように、除電装置24、帯電装置21、露光装置22、現像装置23等が各々配置されている。
【0032】
前記感光体ドラム135は、その周面上に、画像情報に基づいて各色に対応するトナー像を形成させるためのものである。前記帯電装置21は、矢符方向に回転されている感光体ドラム135の周面を帯電させるためのものである。前記露光装置22は、帯電装置21によって周面が帯電された感光体ドラム135の周面に、画像情報に基づくレーザ光を照射し、感光体ドラム135の周面上に画像情報に基づく静電潜像を形成させるためのものである。露光装置22としては、例えば、LEDヘッドユニットやレーザ走査ユニット(LSU)等が挙げられる。前記現像装置23は、感光体ドラム135の周面上に形成された静電潜像をトナー像に現像するためのものである。
【0033】
前記中間転写ベルト132は、複数の画像形成ユニット131によって、その周面(接触面)に画像情報に基づくトナー像が転写(1次転写)されるためのものである。すなわち、中間転写ベルト132は、本実施形態においては、感光体ドラム135と1次転写ローラー133とで狭持され、感光体ドラム135からトナー像が転写される周面を有する像担持体である。
【0034】
また、中間転写ベルト132は、無端状のベルト状回転体であって、その周面側が各感光体ドラム135の周面にそれぞれ当接するように、駆動ローラー136、及び従動ローラー137に架け渡されている。また、中間転写ベルト132は、中間転写ベルト132を介して各感光体ドラム135と対向する位置に配される各1次転写ローラー133によって各感光体ドラム135に押圧された状態で、駆動ローラー136の回転駆動によって、無端回転するように構成されている。駆動ローラー136は、ステッピングモータ等の駆動源によって回転駆動し、中間転写ベルト132を無端回転させるための駆動力を与える。従動ローラー137は、回転自在に設けられ、駆動ローラー136による中間転写ベルト132の無端回転に伴って従動回転する。
【0035】
また、中間転写ベルト132は、特には限定されないが、具体的には、例えば、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン等の樹脂製のシームレスベルトの表面に、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の合成ゴムのコーティング層を設けたものからなるベルト等が挙げられる。好ましい中間転写ベルト132の一例としては、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の下地層の上にCR(クロロプレン)ゴム層を設け、その上にPTFE(ポリ4フッ化エチレン)のコーティング層を形成してなるベルトである。なお、コーティング層には、導電性を付与するためにカーボンブラック等の導電性フィラーが添加される場合もある。
【0036】
1次転写ローラー133は、感光体ドラム135上に形成されたトナー像を、中間転写ベルト132に1次転写するためのものである。すなわち、1次転写ローラー133は、本実施形態においては、中間転写ベルト132を狭持して感光体ドラム135周面上のトナー像を中間転写ベルト132に1次転写させる転写部である。
【0037】
また、1次転写ローラー133は、中間転写ベルト132を介して各感光体ドラム135と対向する位置に配置される。1次転写ローラー133は、各画像形成ユニット131の感光体ドラム135に対して、それぞれ設けられる。また、1次転写ローラー133は、上述したように、中間転写ベルト132が感光体ドラム135に押圧された状態になるように、中間転写ベルト132に接触している。また、1次転写ローラー133は、中間転写ベルト132に接触したまま、中間転写ベルト132の無端回転に従属して回転する。その際、各1次転写ローラー133に、トナーの帯電極性とは逆極性である1次転写バイアス電圧を印加することによって、各感光体ドラム135上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム135とそれに対応する各1次転写ローラー133との間で、中間転写ベルト132に1次転写される。これにより、各感光体ドラム135上に形成されたトナー像が、矢符(図1では、反時計回り)方向に周回する中間転写ベルト132に重ね塗り状態で順次1次転写される。
【0038】
また、2次転写ローラー134は、中間転写ベルト132上のトナー像を給紙部12から給紙された用紙Pに転写(2次転写)させるためのものである。すなわち、2次転写ローラー134は、本実施形態においては、中間転写ベルト132の周面に接触してニップ部を形成し、そのニップ部を通過する記録媒体である用紙Pに、中間転写ベルト132の周面上のトナー像を2次転写させる2次転写部である。
【0039】
また、2次転写ローラー134は、中間転写ベルト132を介して、駆動ローラー136と対向する位置に配置される。また、2次転写ローラー134は、中間転写ベルト132に接触したまま、中間転写ベルト132の無端回転に従属して回転する。その際、2次転写ローラー134に、トナーの帯電極性とは逆極性である2次転写バイアス電圧を印加することによって、中間転写ベルト132上に1次転写されたトナー像が、2次転写ローラー134と駆動ローラー136との間で、給紙部12から給紙された用紙Pに2次転写される。これにより、用紙P上に、画像情報に基づくトナー像が未定着の状態で転写される。
【0040】
また、前記画像形成部13には、中間転写ベルト132の、2次転写位置より回転方向下流側で、1次転写位置より回転方向上流側の位置に、クリーニング装置30をさらに備えている。クリーニング装置30は、2次転写後、中間転写ベルト132の周面上に残存したトナーを除去して清浄化するためのものである。クリーニング装置30によって清浄化処理された中間転写ベルト132の周面は、新たな1次転写処理のために1次転写位置へ向かう。クリーニング装置30によって除去された廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収され、貯留される。なお、クリーニング装置30の構成については、後述する。
【0041】
前記定着部14は、画像形成部13で転写された用紙P上のトナー像に対し定着処理を施すものである。定着部14は、内部に加熱源である通電発熱体を備えた加熱ローラー141と、加熱ローラー141と配向配置された定着ローラー142と、定着ローラー142と加熱ローラー141との間に張架された定着ベルト143と、定着ベルト143を介して定着ローラー142と対向配置された加圧ローラー144とを備えている。
【0042】
定着部14へ供給された用紙Pは、定着ベルト143と加圧ローラー144との間に形成される定着ニップ部を通過することで、加熱加圧される。これにより、前記画像形成部13で用紙Pに転写されたトナー像は、用紙Pに定着される。定着処理の完了した用紙Pは、定着部14の上部から延設された用紙搬送路111を経由して、装置本体11の頂部に設けられた排紙部15の排紙トレイ151へ向けて排紙される。
【0043】
前記排紙部15は、装置本体11の頂部が凹没されることによって、形成され、この凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ151が形成されている。
【0044】
次に、前記クリーニング装置30について説明する。図2および図4は、本発明の実施形態に係るクリーニング装置30の構成を示す概略断面図であり(図2)、図1に示した画像形成装置10に備えたクリーニング装置30の周辺部を拡大して示したものである(図4)。
【0045】
前記クリーニング装置30は、図2に示すようにファーブラシ2、回収ローラー(金属ローラー)6、クリーニングブレード1、トナー回収スクリュー3、第一シート4等を備えている。これらは通常、所定のケーシング内に配置されている。
【0046】
前記ファーブラシ2は、図4に示すように、像担持体である中間転写ベルト132の表面と接触しながら回転することによって、中間転写ベルト132上の残留トナーを除去する。その際、2次転写時に、2次転写ローラー134によって中間転写ベルト132に用紙が圧接されること等によって、用紙から発生する紙粉等の、用紙由来の異物も、中間転写ベルト132から除去される。
【0047】
また、前記ファーブラシ2は、残留トナーや用紙由来の異物(紙粉)を中間転写ベルト132から除去することができれば、特に限定されない。このようにファーブラシを用いることによって、像担持体である中間転写ベルト132の損傷を抑制しつつ、中間転写ベルト132上の残留トナーや用紙由来の異物(紙粉)を除去することができる。また、ファーブラシの具体例としては、例えば、複数のフィラメント糸を束ねた束を織ってパイル状にしたものをロール状に巻いたファーブラシ状にしたブラシ等が挙げられる。
【0048】
前記回収ローラー6は、前記ファーブラシ2の表面と接触しながら回転することによって、前記ファーブラシ2で除去したトナー及び紙粉を回収する。回収ローラー6は、残留トナーや用紙由来の紙粉を前記ファーブラシ2から回収することができれば、特に限定されない。具体的には、金属ローラーであって、その金属ローラーに電圧を印加する電圧印加部を備えたものが挙げられる。金属ローラーに電圧をトナーと逆極性の電圧を印加することで、残留トナーや紙粉などを前記ファーブラシ2から回収することができる。
【0049】
前記クリーニングブレード1は、前記回収ローラー6の表面と接触して、前記回収ローラー6で回収したトナー及び紙粉を前記回収ローラー6から掻き落として分離させる。分離されたトナーや紙粉は、前記クリーニングブレード1の下方方向に位置されるトナー回収スクリュー3によって、図示されていない廃棄トナーボックスに運ばれる。
【0050】
また、前記クリーニングブレード1は、トナー及び紙粉を前記回収ローラー6から分離させることができれば、特に限定されない。例えば、樹脂製の板状部材等が挙げられる。この板状部材の一方の端部が、前記回収ローラー6の表面と接触している。そして、この板状部材は、他方の端部から、前記回収ローラー6の表面と接触している端部へ向かう方向が、前記回収ローラー6の回転方向とは反対の方向となるように接触している。そうすることによって、前記回収ローラー6で回収したトナー及び紙粉を、前記クリーニングブレード1で掻き取るように、前記回収ローラー6から分離させる。
【0051】
図2に示すように前記第一シート4は、前記ファーブラシ2と前記トナー回収スクリュー13との間に配設し、一方の端部を前記回収ローラー6の表面と接触させる。そして、第一シート4は、他方の端部から、回収ローラー6の表面と接触している端部へ向かう方向が、前記回収ローラー6の回転方向とは同じ方向となるように接触している。すなわち、前記クリーニングブレード1と向かいあうように設置され、前記第一シート4及び前記クリーニングブレード1によって、前記ファーブラシ2側と前記トナー回収スクリュー13側とを区画する。
【0052】
このような第一シート4がないと、前記クリーニングブレード1によって、前記回収ローラー6から分離されたトナーや紙粉は、自由落下に任せているので、クリーニングブレード1の下方に位置するトナー回収スクリュー13だけではなく、ファーブラシ2側にも逆流して、トナーおよび紙粉の飛散を発生させると考えられる。前記第一シート4は、このトナーおよび紙粉の逆流を抑制するためのものである。
【0053】
本実施形態においては、第一シート4の表面の静止摩擦係数が前記回収ローラー6(金属ローラー)の静止摩擦係数よりも小さくなっている。ここでいう静止摩擦係数とは、特に限定はされないが、例えば、PETに対する静止摩擦係数等を測定して、比較を行い、回収ローラーより係数が小さいシートを第一シート4として用いることができる。さらに、耐摩擦性も高いシートであれば、より好ましい。なお、静止摩擦係数については、公知の方法、例えば、回収ローラーの静止摩擦係数を測定する時は次のような測定器及び方法を使用することができる。株式会社昭和測器製のLOAD CELL TYPE WBU-10Nの先端(下)にアルミからなる回収ローラーに沿う形状の測定端子を取り付ける。そのアルミの下部にPETを取り付ける。その下に回収ローラーをセットする。LOAD CELLの上に重りを載せ、PETと回収ローラーの間に200gの荷重が掛かるようにする。そして、回収ローラーを100mm/secのスピードで動かし、LOAD CELLに繋いだ株式会社昭和測器製 DS-6000で値を読み取る。この時の最大値を静止摩擦係数とする。シートの静止摩擦係数を測定する時は回収ローラー上にシートをセットして測定する。
【0054】
シートを構成する材料としては、表面の静止摩擦係数が前記回収ローラー(金属ローラー)の静止摩擦係数よりも小さいものであれば特に限定はないが、例えば、超高分子ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが挙げられる。これらの中でも、特に、分子量100万以上の超高分子ポリエチレンが好ましい。このような超高分子ポリエチレンは、静止摩擦係数が小さく、かつ耐摩擦性能に優れているので、長期にわたって安定したクリーニング性能を維持することができると考えられる。
【0055】
また、本実施形態に係るクリーニング装置30において、第一シート4として上記シートに導電性を付与したものを用いるとより好ましい。具体的には、例えば、上記したような高分子ポリエチレンに導電性の材料(カーボンなど)を添加して用いることができる。このような導電性シートを用いることにより、帯電しているトナーや紙粉をさらに確実にすり抜けさせることができると考えられる。
【0056】
ここで、回収ローラーよりも静止摩擦係数が大きい材料で構成された第一シートを用いると、第一シート4と回収ローラー6とのニップ入り口で、第一シート4によりトナーや紙粉が止められ、ファーブラシ2の下の部分にトナーや紙粉が溜まってしまう。このトナーや紙粉をファーブラシ2が拾い上げ中間転写ベルト132に戻してしまうことにより、画像上にトナー汚れが発生する。
【0057】
さらに、本実施形態に係るクリーニング装置30において、前記第一シート4の表面抵抗率が10Ω/□以下であることがより好ましい。第一シート4が帯電すると、トナーや紙粉を引きつけてしまい、トナーや紙粉をうまくすり抜けさせてクリーニングブレード1まで運ぶことができなくなる。よって、第一シート4の表面抵抗は10Ω/□以下に調節することが好ましい。なお、10Ω/□以下であれば特に限定はなく、低ければ低いほど好ましい。
【0058】
また、本実施形態に係るクリーニング装置においては、図3に示すように、前記第一シート4が、前記第一シート4よりも反発弾性率の大きい第二シート5で裏打ちされていることがより好ましい。第一シート4が反発弾性率の小さく癖がつきやすいものである場合、回収ローラー6と第一シート4との間に隙間が空いてしまい、ブレード1で掻き落とされたトナー等がその隙間から漏れ出てしまう可能性がある。それを防ぐために強い力で第一シート4を回収ローラー6に当てようとすると今度はトナーや紙粉が回収ローラー6と第一シート4との間をすり抜けられないおそれがある。そこで、第一シート4よりも反発弾性率が大きく、癖のつきにくい第二シート5で裏打ちすることにより、適切な力で確実に回収ローラー6に第一シート4を接触させることができる。
【0059】
このような第二シートを構成する材料としては、例えば、ウレタンなどが挙げられる。特にウレタンシートを第二シート5として用いると、癖がつきにくく、また弾性もあるため、第一シート4を確実に適切な強さで回収ローラー6に接触させることができると考えられる。
【0060】
以上、説明したようなクリーニング装置は、長期にわたって安定したクリーニング性能を提供できる。よって、上記のようなクリーニング装置を備えた画像形成装置は、安定して高画質な画像を形成することができる。
【0061】
なお、上述した画像形成装置は、本実施形態に係るクリーニング装置が、現像装置によって現像されたトナー像が転写され、転写されたトナー像を用紙に転写するための中間転写体、具体的には、中間転写ベルト上の残留トナーや紙粉を除去するためのもの、すなわちベルトクリーニング装置として備えられたものである。しかしながら、本実施形態に係るクリーニング装置は、このようなベルトクリーニング装置として用いる場合に限定されず、トナーを除去するためであれば、どのような形態でも使用することができると考えられる。例えば、表面上に現像装置によって現像されたトナー像を形成する感光体、具体的には、感光体ドラム上の残留トナーや紙粉を除去するためのものとしても使用できる。
【実施例】
【0062】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
【0063】
本発明に係るクリーニング装置30の効果を確認するために、同一の複写機について、そのクリーニング装置に本発明に係る第一シートを採用した場合(実施例1)と、本発明に係る第一シートおよび第二シートを採用した場合(実施例2)と、第一シートを本発明の条件で採用しなかった場合(第一シートの静止摩擦係数の方が回収ローラー表面の静止摩擦係数よりも大きい場合)(比較例)とで、プリンターのクリーニング装置に紙粉のつまりが生じたか否かを調べた。
【0064】
なお、この試験で使用したプリンターは、京セラミタ株式会社製の「FS-C5250DN」である。 また、以下の試験において、PETに対する静止摩擦係数は、以下のようにして測定した。まず、株式会社昭和測器製のLOAD CELL TYPE WBU-10Nの先端(下)にアルミからなる回収ローラーに沿う形状の測定端子を取り付けた。そのアルミの下部にPETを取り付けた。その下に回収ローラーをセットした。LOAD CELLの上に重りを載せ、PETと回収ローラーの間に200gの荷重が掛かるようにした。そして、回収ローラーを100mm/secのスピードで動かし、LOAD CELLに繋いだ株式会社昭和測器製 DS-6000で値を読み取った。この時の最大値を静止摩擦係数とし、シートの静止摩擦係数を測定する時は回収ローラー上にシートをセットして測定した。
【0065】
実施例1.
(回収ローラー)
表面の材料として、SUM24Lに無電解ニッケルメッキを用いて、回収ローラーを作成した。得られた回収ローラーの表面のPETに対する静止摩擦係数は0.30であった。
【0066】
(第一シート)
材料として、ポリエチレンテレフタレート(「ルミラー」、東レ社製)を用いて第一シートを得た。第一シート表面のPETに対する静止摩擦係数は0.26、表面抵抗率は1E+13Ω/□以上であった。
【0067】
(評価)
実施例1のクリーニング装置を搭載したプリンターを上記条件に設定して、京セラミタブランド紙「VM-A4」を用いて実際に印刷処理を行い、5000枚印字後における紙粉のつまりを調べた。○は紙粉のつまりが生じなかったことを、×は紙粉のつまりが生じたことを示す。
【0068】
実施例1の結果を表1にまとめた。
【0069】
【表1】

【0070】
実施例2.
(回収ローラー)
実施例1と同じものを使用した。
【0071】
(第一シート)
材料として、超高分子ポリエチレン(「No.440(黒)」、日東電工社製)を用いて第一シートを得た。第一シート表面のPETに対する静止摩擦係数は0.18、表面抵抗率は約1E+6Ω/□以下であった。
【0072】
(第二シート)
材料としてウレタンシート(「クランジール」、クラボウ社製)を用いて第二シートを得た。この第二シートを用いて、上記第一シートを図3に示すように裏打ちした。
【0073】
(評価)
実施例2のクリーニング装置を搭載した複写機を用いた以外は実施例1と同様にして紙粉のつまりを調べた。実施例2の結果を表2にまとめた。
【0074】
【表2】

【0075】
比較例
(回収ローラー)
実施例1と同じものを使用した。
【0076】
(第一シート)
材料としてウレタンシート「クランジール」、クラボウ社製)を用いて第一シートを得た。第一シート表面のPETに対する静止摩擦係数は0.51、表面抵抗率は約1E+12Ω/□以上であった。
【0077】
(評価)
比較例のクリーニング装置を搭載した複写機を用いた以外は実施例1と同様にして紙粉のつまりを調べた。比較例の結果を表3にまとめた。
【0078】
【表3】

以上により、第一シートの静止摩擦係数が回収ローラーの静止摩擦係数よりも小さい場合は、紙粉のつまりが生じないことが明らかとなった。
【符号の説明】
【0079】
10 画像形成装置
132 中間転写ベルト(像担持体)
30 クリーニング装置
1 クリーニングブレード
2 ファーブラシ
3 トナー回収スクリュー
4 第一シート
5 第二シート
6 回収ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に残留しているトナーを除去するファーブラシと、前記ファーブラシ上のトナーを除去する回収ローラーと、前記回収ローラーに接触する第一シートと、前記回収ローラーからトナーを除去するブレードとを備え、
前記第一シートの回収ローラーに接する面の静止摩擦係数が、前記回収ローラー表面の静止摩擦係数よりも小さいことを特徴とする、クリーニング装置。
【請求項2】
前記第一シートが超高分子ポリエチレン又はポリエチレンテレフタレートからなる、請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記第一のシートが、前記第一シートよりも反発弾性率が大きい第二シートで裏打ちされている、請求項1または2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記第一のシートの表面抵抗率が10Ω/□以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記像担持体は中間転写ベルトである、請求項1〜4のいずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のクリーニング装置と像担持体とを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−203331(P2012−203331A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70198(P2011−70198)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】