説明

クリーニング装置および画像形成装置

【課題】像担持体表面の残留付着物に起因する滑剤の塗布ムラを防止できる滑剤クリーニング部材を備えたクリーニング装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】本願発明にかかるクリーニング装置5は、像担持体1上に供給するための滑剤を円柱状に成形してなり、回転自在に保持された滑剤固形体51と、滑剤固形体51の外周面と当接して回転することにより、滑剤固形体51上の付着物を除去する滑剤クリーニング部材54と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置では、帯電、現像、転写等の工程を経た像担持体表面に各種の物質が残留している。帯電工程で生成されたイオンまたはオゾン等を含む放電成分や、現像および転写工程で使用されたトナー等の残留した残留付着物が挙げられる。このような残留付着物を像担持体表面から効果的に除去するようにクリーニングするために、クリーニングブレードが使用される。しかしながら、像担持体と当該クリーニングブレードとの間には大きい摩擦力が発生し、クリーニングブレードが摩耗することによる耐久性の低下、摩擦力が像担持体の負荷変動として作用し、像担持体の速度変動を発生することによる画像品質の低下等の問題を有する。このため、像担持体とクリーニングブレードとの間の大きい摩擦力を低減するために滑剤が使用される。
【0003】
滑剤を使用することによって、像担持体と当該クリーニングブレードとの間の摩擦力が低減され、前述した問題をある程度は解消できる。また、滑剤は、滑剤の塊である滑剤固形体を塗布ブラシにより引っ掻くことで得られ、塗布ブラシにより像担持体上に塗布される。供給された滑剤は、像担持体上に均一に塗布する必要があり、滑剤の塗布ムラがあると、クリーニングブレードへの負荷の増加や、帯電および現像への悪影響により、画像品質を低下させてしまう。
【0004】
滑剤の塗布ムラに関連して、塗布ブラシの巻き目の隙間(植毛されていない部分)による滑剤の塗布ムラを回避するために、滑剤と塗布ブラシを相対的に軸方向に揺動させる技術がある(たとえば、特許文献1)。この技術によれば、滑剤と塗布ブラシを相対的に揺動することにより、塗布ブラシが像担持体に当たるときに、巻き目近傍のブラシが巻き目の植毛されていない部分の塗布領域をカバーするように広げられる。したがって、揺動により広げられたブラシによって、巻き目がある場合でも滑剤を塗布でき、滑剤の塗布ムラを防止できる。
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の発明でも、クリーニングブレードにより、像担持体表面をクリーニングしている。クリーニングブレードによって除去し切れずに残留してしまう像担持体表面上の残留付着物は、塗布ブラシにより滑剤を像担持体上に塗布する時に、この残留付着物が塗布ブラシに付着してしまう。付着した残留付着物は、塗布ブラシにより滑剤固形体から滑剤を掻き取る時に、滑剤固形体に付着してしまう。滑剤固形体上の残留付着物は、滑剤固形体上にそのまま残留したり、塗布ブラシに再度付着し、更に像担持体に再付着してしまう。その結果、残留付着物に阻害されて滑剤が像担持体上に均一に塗布できなくなり、滑剤の塗布ムラが発生してしまう。滑剤の塗布ムラが発生すると、クリーニングブレードへの負荷増加や、帯電および現像に悪影響により、画像品質を低下させてしまう。
【0006】
以上のように、特許文献1に記載の技術では、塗布ブラシの巻き目による滑剤の塗布ムラを防止できるものの、像担持体表面の残留付着物に起因する滑剤の塗布ムラを防止することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−40312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明は、上記課題に基づいてなされたものであり、像担持体表面の残留付着物に起因する滑剤の塗布ムラを防止できる滑剤クリーニング部材を備えたクリーニング装置および画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0010】
(1)像担持体上をクリーニングするクリーニングブレードと、像担持体上に滑剤を塗布する塗布ブラシと、前記塗布ブラシに滑剤を供給するため、回転自在に保持された円柱状の滑剤固形体と、前記滑剤固形体の外周面と当接して回転することにより、前記滑剤固形体上をクリ―ニングする滑剤クリーニング部材と、を備えるクリーニング装置。
【0011】
(2)前記滑剤クリーニング部材に当接して、当該滑剤クリーニング部材上の付着物を除去するスクレーパーをさらに備える上記(1)に記載のクリーニング装置。
【0012】
(3)前記滑剤クリーニング部材は、回転軸方向に揺動する上記(1)または(2)に記載の体クリーニング装置。
【0013】
(4)前記滑剤クリーニング部材は、最大揺動時に、少なくとも一方の端部が前記滑剤固形体の回転軸方向の一端よりも外側に位置する上記(3)に記載のクリーニング装置。
【0014】
(5)前記滑剤クリーニング部材は、外周部が毛状または発泡状に形成された弾性部材である上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載のクリーニング装置。
【0015】
(6)用紙の面積に対する印字された面積の割合である印字率、外部環境、前記像担持体をクリーニングするためのクリーニングブレードの磨耗度、または前記像担持体の磨耗度のうち、少なくとも一つの条件に基づいて、前記滑剤クリーニング部材の前記回転軸方向の揺動が開始される、上記(3)〜(5)のいずれか一つに記載のクリーニング装置。
【0016】
(7)前記滑剤クリーニング部材が前記回転軸方向に揺動する速度は、前記条件に基づいて変更可能に設定される上記(6)に記載のクリーニング装置。
【0017】
(8)上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載のクリーニング装置を備える画像形成装置。
【0018】
(9)前記滑剤クリーニング部材の前記回転軸方向の揺動は、前記画像形成装置の電源投入後、または前記画像形成装置が異常停止された後に実行される、上記(8)に記載のクリーニング装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、滑剤固形体上の残留付着物を取り除くために滑剤クリーニング部材を設けることにより、滑剤固形体上の残留付着物を除去し、滑剤の像担持体における塗布ムラを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る滑剤クリーニング部材およびその周辺機構を概略的に示す断面図である。
【図4】本実施形態に係る滑剤クリーニング部材が残留付着物を除去する様子を概略的に示す図である。
【図5】本実施形態に係る滑剤クリーニング部材を軸方向に揺動駆動する機構を概略的に示す図である。
【図6】印字率に従って滑剤クリーニング部材を揺動させる処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図6に示される処理に、外部環境に従って滑剤クリーニング部材を揺動させる処理を加えた処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図7に示される処理に、クリーニングブレードおよび感光体ドラムの耐久度に従って滑剤クリーニング部材を揺動させる処理を加えた処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図6に示される処理に、検出された印字率に従って滑剤クリーニング部材をより速く揺動させる処理を加えた処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】画像形成装置Aに電源投入された後に、滑剤クリーニング部材54を揺動駆動させるための処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】画像形成装置Aのトラブル発生後に、滑剤クリーニング部材54を揺動駆動させるための処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の記載は、特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0022】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0023】
図1に示される画像形成装置Aは、タンデム型カラー画像形成装置とも称されるもので、4組の画像形成部によりカラー画像形成を行う。画像形成装置Aは、電子写真方式の作像プロセスを用いて画像データを画像形成用紙等の用紙上に画像形成する。
【0024】
画像形成装置Aは、4組の画像形成部によりカラー画像形成を行う。4組の画像形成部は、イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成部10Y、マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成部10M、シアン(C)色の画像を形成する画像形成部10C、ブラック(K)色の画像を形成する画像形成部10Kである。
【0025】
画像形成部10Yは、像担持体としての感光体ドラム1Yと、その周囲に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Yおよびクリーニング装置5Yとを有する。同様に、画像形成部10Mは、像担持体としての感光体ドラム1Mと、その周囲に配置された帯電部2M、光書込部3M、現像装置4Mおよびクリーニング装置5Mとを有する。画像形成部10Cは、像担持体としての感光体ドラム1Cと、その周囲に配置された帯電部2C、光書込部3C、現像装置4Cおよびクリーニング装置5Cとを有する。画像形成部10Kは、像担持体としての感光体ドラム1Kと、その周囲に配置された帯電部2K、光書込部3K、現像装置4Kおよびクリーニング装置5Kとを有する。なお、画像形成部10Y、10M、10Cおよび10Kのそれぞれの感光体ドラム1Y、1M、1Cおよび1K、帯電部2Y、2M、2Cおよび2K、書込部3Y、3M、3Cおよび3K、並びにクリーニング装置5Y、5M、5Cおよび5Kは、それぞれ同様の機能を有する構成である。したがって、以下では、特に区別がある場合を除き、符号Y、M、CまたはKを付さずに表記する。
【0026】
クリーニング装置5は、像担持体としての感光体ドラム1の下方に位置し、感光体ドラム1上の残留付着物を除去してクリーニングする。その後に感光体ドラム1上に滑剤を塗布する。クリーニング装置5は、感光体ドラム1に押圧されて残留付着物を除去してクリーニングするためのクリーニングブレード56、感光体ドラム1の表面に供給するための滑剤を円柱状に成形してなる滑剤固形体51、滑剤固形体51から感光体ドラム1に滑剤を供給する塗布ブラシ52、感光体ドラム1表面上の滑剤を均す均しブレード53、滑剤固形体51に付着した残留付着物を除去するための滑剤クリーニング部材54および滑剤クリーニング部材表面上の残留付着物を除去するためのスクレーパー55を備える。詳細は後述する。
【0027】
なお、感光体ドラム1とクリーニングブレード56とは押圧されて当接されるため、感光体ドラム1の回転駆動に伴い磨耗する。これらの磨耗によって、クリーニングブレード56による感光体ドラム1のクリーニング性能が低下する。感光体ドラム1におけるクリーニング性能が低下してしまうと、画像形成工程で発生した放電生成物やトナーの外添剤等の残留付着物が、より多く滑剤固形体51に転移してしまう。したがって、上記の各部材が画像品質を低下することなく使用できる枚数、すなわち画像形成枚数に上限が設けられる。この上限は、耐久枚数として、感光体ドラム1またはクリーニングブレード56のそれぞれについて指定可能である。
【0028】
次に、画像形成装置Aにより用紙に画像形成する電子写真プロセスについて説明する。
【0029】
まず、スリットSLを有する原稿台に原稿が載置され、載置された原稿は、画像読取り装置SCの走査露光装置の光学系により画像が走査露光され、原稿からの反射光がミラーを介してラインイメージセンサーによって読み込まれ光電変換される。光電変換されて生成された色毎の画像情報信号は、画像処理部(不図示)によりアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が施された後、対応する色の画像形成部10の光書込部3にそれぞれ入力される。
【0030】
画像形成部10の光書込部3は、画像情報信号を感光体ドラム1に書き込み、感光体ドラム1上に画像情報信号に基づく潜像を形成する。具体的には、感光体ドラム1は、有機光導電体(Organic Photo Conductor:OPC)を含むポリカーボネイト等の樹脂からなる感光層を金属基体上に有している。感光体ドラム1の表面は、スコロトロンタイプ等のコロナ放電極からなる帯電部2により生成されるイオンにより帯電され、光書込部3は画像情報信号に基づいて感光体ドラム1上を走査露光する。帯電された感光体ドラム1の露光された部分は電位が低下し、画像情報信号に対応する静電潜像が感光体ドラム1上に形成される。現像装置4は、静電力を利用して感光体ドラム1上に形成された静電潜像をトナーで現像し、各色に対応するトナー像が形成される。
【0031】
なお、温度や湿度等の外部環境によっては、感光体ドラム1の感度に著しい差異が生じる。この感光体ドラム1の感度の差異に起因する静電潜像の精度の低下を防止するために、本実施形態に係る画像形成装置Aは、温度や湿度を監視するための温度センサーおよび湿度センサー(いずれも不図示)を備える。後述するように、温度センサーおよび湿度センサーによる計測値は制御部90によって受信され、計測値に従って制御部90が滑剤固形体のクリーニングを指示することによって、外部環境による感光体ドラム1の感度の差異に起因する静電潜像の精度低下を防止できる。
【0032】
本実施の形態の画像形成部においては、像担持体として、感光体ドラム5および中間転写ベルト6が用いられる。
【0033】
中間転写ベルト6は、無端ベルトであり、複数のローラーにより巻回され、走行可能に支持される。画像形成部10Y、10M、10Cおよび10Kに形成された各色のトナー像は、一次転写部7Y、7M、7Cおよび7Kにより走行する中間転写ベルト6上に逐次転写され、各色(Y、M、C、K)の層が重畳したカラー画像(トナー像)が中間転写ベルト6上に形成される。
【0034】
用紙搬送部20は、用紙Sを搬送する。用紙Sは、給紙トレイ291、292および293に収容されており、第1給紙部21により給紙され、ループ形成ローラー対22およびレジストローラー対23を経て、二次転写部7Aに搬送される。二次転写部7Aにおいて、中間転写ベルト6上に形成されたカラー画像が用紙S上に転写される。カラー画像が転写された用紙Sは、定着装置30のニップ部Nにおいて熱と圧力とが加えられることにより、用紙S上のトナー像が溶融定着される。そして、用紙Sは、排紙ローラー25により装置外に排紙される。
【0035】
また、画像形成装置Aは、用紙Sの両面に画像形成するための、両面搬送路24を有している。定着装置30で用紙Sの一面にトナー像が定着された後、用紙Sは、定着装置30から下方の両面搬送路に搬送され、スイッチバックされてから、レジストローラー対23まで再搬送される。なお、画像形成装置Aの上記各部は、配線(不図示)等を介して制御部90と接続されており、制御部90により適宜制御される。また、画像形成装置Aは、それぞれ上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上述した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の制御部の構成について詳細に説明する。
【0036】
図2は、画像形成装置Aの制御部90の構成を示すブロック図である。
【0037】
図2に示されるように、制御部90は、CPU(Central Processing Unit)91、メモリー92、HDD(Hard Disk Drive)93および通信I/F(Interface)部94を備える。これらはPCI Express(登録商標)等の内部バス95により、相互に通信可能に接続されている。
【0038】
CPU91は、プログラムに従って上記各部および画像形成装置Aの各部の制御や、各種演算処理(たとえば、ラスタライズ(Raster Image Processing:RIP)処理等)を実行する。また、CPU91は、画像形成された画像のピクセル数をカウントして積算する処理、画像形成処理された用紙の枚数をカウントして積算する処理、またはクリーニングブレード等の消耗品が交換されてからの累積使用時間をカウントする処理等を実行する。画像形成装置Aの各部の各機能は、CPU91が対応するプログラムを実行することにより発揮される。
【0039】
メモリー92は、各種プログラムや各種データを格納するためのROM(Read Only Memory)、ワークエリアとして一時的にプログラムやデータを記憶するためのRAM(Random Access Memory)等から構成される。
【0040】
HDD93は、OS(Operating System)を含む各種プログラムや各種データを格納する。たとえば、HDD93には、所定時間内に画像形成された画像の合計ピクセル数の、用紙の全ピクセル数に対する割合(印字率)を算出するためのプログラム、印字率に基づいて画像形成装置Aの各構成要素を駆動するためのプログラム等が格納されている。また、HDD93は、感光体ドラム1やクリーニングブレード56等の消耗品が磨耗に耐えられる耐久枚数を、たとえば画像形成できる用紙枚数に換算して記憶する。
【0041】
通信I/F部94は、ネットワーク100上の外部機器と通信するためのインターフェースであり、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber−Distributed Data Interface)等の規格によるネットワークインターフェース、USB、IEEE1394等のシリアルインターフェース、SCSI、IEEE1284等のパラレルインターフェース、BLUETOOTH(登録商標)、IEEE802.11、HomeRF、IrDA等の無線通信インターフェース等を利用することができる。
【0042】
ネットワーク100は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によりコンピュータやネットワーク機器同士を接続したLANや、LAN同士を専用線で接続したWAN等からなる。
【0043】
次に、図3および図4を参照して、本実施形態に係る、滑剤固形体をクリーニングするための滑剤クリーニング部材が残留付着物を除去する作用について詳細に説明する。
【0044】
図3は本実施形態に係る滑剤クリーニング部材およびその周辺機構を概略的に示す断面図、図4は本実施形態に係る滑剤クリーニング部材が残留付着物を除去する様子を概略的に示す図である。
【0045】
図3に示されるように、本実施形態に係る、クリーニング装置5は、クリーニングブレード56、滑剤固形体51、塗布ブラシ52、均しブレード53、滑剤クリーニング部材54およびスクレーパー55を備える。これらの構成要素は、感光体ドラム1の下方、ケーシング13の上方に配設される。
【0046】
滑剤固形体51は、感光体ドラム1とクリーニングブレード56との間の摩擦力を低減するための固形状の滑剤を円柱状に成形したものである。具体的には、滑剤は、感光体ドラム1上に塗布されることにより、トナーが感光体1に付着する力を低減し、感光体ドラム1上におけるクリーニングを良好とする機能を有する。その結果、滑剤は、感光体ドラム1の表面でフィルミングが発生することを防止する。また、滑剤は、感光体ドラム1上に塗布されることにより、感光体ドラム1とクリーニングブレード56との摩擦を低減し、クリーニングブレードの摩耗を抑える。滑剤の塗布される量をある程度多くすることによって、感光体ドラム1のクリーン度を向上させうる。本実施形態では、滑剤固形体51は、円柱の中心軸について回転駆動される。なお、滑剤は、たとえば、ステアリン酸亜鉛(ZnSt)やステアリン酸カルシウム(CaSt)等から形成されうる。また、滑剤固形体51は、回転自在に保持されている。
【0047】
塗布ブラシ52は、滑剤を感光体ドラム1に供給する。塗布ブラシ52の芯金の周りには、所望のパイル密度、パイル径およびパイル長のアクリルカーボン等からなるブラシ繊維が、巻き付けられている。塗布ブラシ52は、円柱状の滑剤固形体51に接触しつつ、芯金を回転軸として回転駆動されることにより、塗布ブラシにより固形の滑剤を掻き取り、掻き取った滑剤を感光体ドラム1に塗布して付着させる。この時、図3に示されるように、滑剤固形体51と塗布ブラシ52間のニップ部におけるそれぞれの外周面が相対的に同一方向に進むように、塗布ブラシ52が回転駆動される(この回転方向を、順転と称する)。反対に、2つの回転体のニップ部におけるそれぞれの外周面が相対的に反対方向に進むように、回転駆動されてもよい(この回転方向を、逆転と称する)。また、滑剤の感光体ドラム1への供給量を調節するために、塗布ブラシ52の滑剤固形体51との相対的な回転速度を変えたり、塗布ブラシ52の滑剤固形体51に対する押圧力を変えたりすることができる。
【0048】
均しブレード53は、滑剤を感光体ドラム1の表面上に均一に塗布する。具体的には、均しブレード53は、回転駆動される感光体ドラム1に対して押圧され、感光体ドラム1が回転駆動する間に、塗布ブラシ52により感光体ドラム1上に付着された滑剤を感光体ドラム1の表面上に均一に塗布する。滑剤が感光体ドラム1の表面上に均一に塗布されることによって塗布ムラが防止され、後続の帯電および現像工程等における精度が維持されうる。なお、均しブレード53は、ウレタンゴム等から形成され、その弾性力、感光体ドラム1の表面との当接角、または均しブレード53を支持する支持部材(不図示)からの自由長等は、適宜設定される。
【0049】
滑剤クリーニング部材54は、ブラシやローラーが用いられ、滑剤固形体51上の残留付着物を除去する。具体的には、滑剤クリーニング部材54は、滑剤固形体51と当接し、滑剤固形体51上の残留付着物を拾い上げる。詳細は後述する。滑剤クリーニング部材54の芯金の周りには、ブラシ繊維を所望のパイル密度、パイル径およびパイル長で植毛したシート状の織物が巻き付けられている。ブラシ繊維は、たとえば、アクリルカーボン、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン等から形成される。または、ブラシ繊維の代わりに、発泡ウレタン等を使用した弾性体ローラーを使用してもよい。滑剤クリーニング部材54の外周部には、いかなる毛状または発泡状の弾性体が使用されてもよい。また、滑剤クリーニング部材54は、そのクリーニング性能を向上するために、滑剤固形体51に対して、軸方向に揺動される。詳細は後述する。なお、滑剤クリーニング部材54の滑剤固形体51に対する当接力は、たとえばバネ部材(不図示)等を用いて、滑剤クリーニング部材54と滑剤固形体51間のニップ幅や、食い込み量を目安に調節されうる。
【0050】
スクレーパー55は、滑剤クリーニング部材54により拾い上げられた残留付着物を、滑剤クリーニング部材54から除去する。具体的には、スクレーパー55は、図3に示されるように、その端部が所定の押圧力で滑剤クリーニング部材54に当接し、当接された端部から残留付着物が下方に掃き取られる。詳細は後述する。スクレーパー55は、たとえば、SUS(ステンレス鋼)、PET、PAI(ポリアミドイミド(登録商標))等から形成され、シート状、板状等に成形される。スクレーパー55は、支持部材(不図示)により、滑剤クリーニング部材54に対して固定支持される。スクレーパー55の滑剤クリーニング部材54に対する当接力は、たとえば滑剤クリーニング部材54の外周部がブラシからなる場合、1mm程度食い込む程度に設定される。なお、スクレーパー55の弾性力、滑剤クリーニング部材54に対する当接角、支持部材からの自由長等は、適宜設定されうる。
【0051】
クリーニングブレード56は、感光体ドラム1表面上の残留付着物を除去する。具体的には、クリーニングブレード56は、感光体ドラム1上の転写されなかった残留トナーや、帯電により生じた放電生成等を除去する。また、クリーニングブレード56は、ウレタンゴム等から形成され、図3に示されるように、感光体ドラム1の表面と鋭角をなして固定支持される。クリーニングブレード56の弾性力、感光体ドラム1に当接する当接角や押圧力および長さ等は、任意に設定されうる。
【0052】
次に、滑剤クリーニング部材54により、滑剤固形体51上の残留付着物を除去する機能について詳細に説明する。
【0053】
図4は、滑剤クリーニング部材54が、滑剤固形体51上の残留付着物を除去する様子を示す、クリーニング装置5の断面を概略的に示す図である。なお、図4には、滑剤クリーニング部材54周囲の一部の構成についてのみ図示し、その他の構成については説明の便宜のため、省略している。また、感光体ドラム1については、その一部のみを点線により示している。
【0054】
図4に示されるように、感光体ドラム1上にある複数の残留付着物Gは、塗布ブラシ52を介して、滑剤固形体51上に転移される。滑剤固形体51上に転移された残留付着物Gが、塗布ブラシ52に戻って再び感光体ドラム1上に転移されないように、本実施形態に係る滑剤クリーニング部材54は、残留付着物Gを滑剤固形体51から拾い上げる。滑剤クリーニング部材54は、滑剤固形体51と相対的に回転駆動されることにより、残留付着物Gを滑剤固形体51から拾い上げることができる。また、滑剤クリーニング部材54は、滑剤固形体51に対して軸方向に揺動駆動されることにより、より効果的に残留付着物Gを滑剤固形体51から拾い上げることができる。詳細は後述する。滑剤クリーニング部材54により拾い上げられた残留付着物Gは、接点Tにおいてスクレーパー55により下方に掃い除かれる。
【0055】
なお、クリーニング装置5には、滑剤クリーニング部材54によって下方に掃い除かれた残留付着物Gを回収するためのスクリュー(不図示)が備えられてもよい。
【0056】
次に、図5を参照して、滑剤クリーニング部材を滑剤固形体51に対して軸方向に揺動駆動する機構について詳細に説明する。
【0057】
図5は、本実施形態に係る滑剤クリーニング部材を軸方向に揺動駆動する機構を概略的に示す図である。図5に示されるように、クリーニング装置5は、駆動モーターM1およびM2、歯車511、プーリー515、駆動ベルト516、歯車541、揺動カム542、付勢バネ543、滑剤クリーニング部材の回転軸544、プーリー545を備える。なお、説明の便宜のため、その他の構成については図示を省略している。
【0058】
駆動モーターM1は、滑剤固形体51を回転駆動する。滑剤固形体51の回転駆動と共に、歯車511が回転駆動される。歯車511の回転駆動力は、歯車511と歯合する歯車541に伝達され、歯車541の回転駆動に伴って、揺動カム542が回転駆動される。揺動カム542の回転駆動に伴って、クリーニング装置5の側壁等に取り付けられた付勢バネ543により滑剤クリーニング部材54の回転軸544の右側端部が揺動カム542に当接され、揺動カム542の回転に伴って滑剤クリーニング部材54の回転軸544が、軸方向(図の左右方向)に揺動される。
【0059】
具体的には、図5(A)に示されるように、揺動カム542の傾斜部の位置から判断して、この位置が、滑剤クリーニング部材54の最大揺動時における可動域左端となる。この位置では、滑剤クリーニング部材54のクリーニング部材として機能する部分の左端が、滑剤固形体51の左端よりも左側に位置するまで、揺動されていることがわかる。この状態からさらに揺動カム542が回転駆動されると、滑剤クリーニング部材54は右方向に揺動し始める。すなわち、図5(B)に示される位置まで滑剤クリーニング部材54が揺動される。この位置が、滑剤クリーニング部材54の最大揺動時における可動域右端となる。この位置では、滑剤クリーニング部材54のクリーニング部材として機能する部分の右端が、滑剤51の右端よりも右側に位置するまで、揺動されていることがわかる。そして、この状態からさらに駆動モーターM1による揺動カム542の回転駆動が継続されて、滑剤クリーニング部材54は左方向に駆動を開始する。したがって、最大揺動時では、滑剤クリーニング部材54の少なくとも一方の端部が、その揺動方向の滑剤固形体51の一端を通過して、滑剤固形体51の外側に位置するまで揺動駆動される。なお、図5(A)の位置から図5(B)の位置までの、滑剤クリーニング部材54の可動域の幅は、ΔLにより示されている。
【0060】
駆動モーターM2は、滑剤クリーニング部材54を回転駆動する。具体的には、駆動モーターM2は、プーリー515を回転駆動する。プーリー515の回転駆動力は、駆動ベルト516によりプーリー545に伝達され、滑剤クリーニング部材54の回転軸544が回転駆動される。
【0061】
このように、揺動カム542の回転駆動により、滑剤クリーニング部材54が軸方向に揺動されうる。滑剤クリーニング部材54と滑剤固形体51とは相互に当接され、それぞれの周速で回転駆動すると同時に、相対的に軸方向に揺動する。このような構成により、滑剤固形体51上にある残留付着物Gが滑剤固形体51に沈着することを防ぎ、残留付着物Gが滑剤固形体51の表面に留まった状態で残留付着物Gを拾い上げることができるので、より効果的に残留付着物Gを除去できる。したがって、滑剤クリーニング部材54を揺動駆動することによって、より確実に滑剤の塗布ムラを防止することができる。
【0062】
なお、滑剤固形体51および滑剤クリーニング部材54は、相互に逆転するように回転駆動されてもよい。また、駆動モーターM1およびM2の回転速度は、制御部90により適宜調整可能である。
【0063】
次に、図6〜図9を参照して、本実施形態に係る、滑剤クリーニング部材が揺動する動作を制御する処理の手順の態様1〜4について詳細に説明する。
【0064】
図6は印字率に従って滑剤クリーニング部材を揺動させる処理の手順を示すフローチャート、図7は図6に示される処理に、外部環境に従って滑剤クリーニング部材を揺動させる処理を加えた処理の手順を示すフローチャート、図8は図7に示される処理に、クリーニングブレードおよび感光体ドラムの耐久度に従って滑剤クリーニング部材を揺動させる処理を加えた処理の手順を示すフローチャート、図9は図6に示される処理に、検出された印字率に従って、滑剤クリーニング部材をより速く揺動させる処理を加えた処理の手順を示すフローチャートである。なお、図6〜図9に示される手順は、プログラムとしてメモリー92またはHDD93に記憶され、CPU91によって実行される。
【0065】
(態様1)
図6は、印字率に従って、滑剤クリーニング部材を揺動させる処理の手順を示すフローチャートである。図6に示されるように、まず、画像形成処理の開始が検出される(ステップS11)。このステップでは、図1に示されたスリットSLに載置された原稿に基づく画像情報信号、またはネットワーク100から通信I/F部94を介して受信された画像情報信号に基づいて、画像形成部10による画像形成処理の開始が検出される。
【0066】
続いて、印字率が20%以上であるか否かが判断される(ステップS12)。このステップでは、ステップS11で検出された画像形成処理における印字率が、20%以上であるか否かが判断される。具体的には、ステップS11で検出された画像形成処理の開始から、用紙に画像形成された画像のピクセル数がカウントされて積算され、印字率が算出される。印字率の算出は、画像形成処理が開始された後、所定時間毎、例えば15秒毎に実行される。印字率が20%以上ではないと判断される場合(ステップS12:NO)、印字率が20%以上であると判断されるまで、ステップS12が繰り返される。
【0067】
一方、印字率が20%以上であると判断される場合(ステップS12:YES)、滑剤クリーニング部材54の軸方向の揺動が実行される(ステップS13)。滑剤クリーニング部材54の揺動は、たとえば30秒ないし1分間、所定時間だけ実行される。したがって、滑剤クリーニング部材54が揺動されている最中に、滑剤クリーニング部材54の揺動が要請された場合(すなわち、ステップS12において“YES”と判断された場合)、揺動が要請された時点から30秒ないし1分を加算した時間まで、揺動が実行されうる。
【0068】
続いて、画像形成処理が終了されたか否かが判断される(ステップS14)。このステップでは、ステップS11で検出された画像形成処理が、終了されたか否かが判断される。画像形成処理が終了されたと判断される場合(ステップS14:YES)、印字率に基づいて滑剤クリーニング部材54を軸方向に揺動駆動させるための処理は終了される。
【0069】
一方、画像形成処理が終了されていないと判断される場合(ステップS14:NO)、ステップS12の印字率を監視する処理に戻り、印字率に基づいて滑剤クリーニング部材54を軸方向に揺動駆動させるための処理が継続される。
【0070】
以上のように、態様1によれば、印字率が20%以上の場合に、滑剤クリーニング部材54が揺動駆動される。印字率が高くなると、帯電や現像・転写工程を経て残留付着物Gがより滑剤固形体51に付着されやすくなるので、滑剤クリーニング部材54を軸方向に揺動することによってクリーニング性能を高め、滑剤固形体51に残留付着物が付着することを防止できる。
【0071】
(態様2)
図7は、図6に示される処理に、外部環境に従って滑剤クリーニング部材を揺動させる処理を加えた処理の手順を示すフローチャートである。なお、ステップS21およびS22については、図6のステップS11およびS12と同様であるので、その説明を省略する。
【0072】
図7に示されるように、印字率が20%以上であると判断された後(ステップS22:YES)、機内温度が10℃以下かつ湿度が20%以下であるか否かが判断される(ステップS23)。このステップでは、温度センサーおよび湿度センサーによって計測された温度および湿度についての測定値が制御部90によって受信され、制御部90は、温度が10℃以下かつ湿度が20%以下であるか否かを判断する。温度が10℃以下かつ湿度が20%以下ではないと判断される場合(ステップS23:NO)、ステップS21の処理に戻る。
【0073】
一方、温度が10℃以下かつ湿度が20%以下であると判断される場合(ステップS23:YES)、滑剤クリーニング部材54の揺動が実行される(ステップS24)。
【0074】
続いて、画像形成処理が終了されたか否かが判断される(ステップS25)。このステップS25における処理は、上述のステップS14の処理と同様である。
【0075】
以上のように、態様2によれば、印字率が20%以上の場合に加え、温度が10℃以下かつ湿度が20%以下の場合に、滑剤クリーニング部材54が揺動される。これは、温度が10℃以下かつ湿度が20%以下の場合、感光体ドラム1の感度が上がっている状態にあるとみなしているからである。つまり、この状態では、画像形成工程における滑剤の塗布ムラの影響を受け易い状態であると考えられる。したがって、滑剤クリーニング部材54を幅方向に揺動することにより、滑剤固形体51に残留付着物が付着することを防止して、感光体ドラム1の感度が上がっている状態における滑剤の塗布ムラによる画像形成精度の低下を防止できる。
【0076】
(態様3)
図8は、図7に示される処理に、クリーニングブレードおよび感光体ドラムの磨耗度に従って滑剤クリーニング部材を揺動させる処理を加えた処理の手順を示すフローチャートである。なお、ステップS31〜S33までの処理は、図7に示されたステップS21〜S23までの処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0077】
図8に示されるように、温度が10℃以下かつ湿度が20%以下であると判断された後(ステップS33:YES)、クリーニングブレード56の耐久枚数に対する累積画像形成枚数の割合(磨耗度)が算出される(ステップS34)。このステップでは、ステップS31で検出された画像形成処理中に、使用されているクリーニングブレード56の耐久枚数が到達されたか否かが判断される。具体的には、使用されているクリーニングブレード56により過去に画像形成処理された用紙の累積枚数が、当該クリーニングブレード56の耐久枚数により除算される。この除算の結果に基づいて、処理が継続される。
【0078】
累積枚数の耐久枚数に対する割合が、1/2未満である場合(ステップS34:1/2未満)、ステップS32の処理に戻る。または、累積枚数の耐久枚数に対する割合が、2/3以上である場合(ステップS34:2/3以上)、滑剤クリーニング部材54の揺動が実行される(ステップS36)。
【0079】
または、累積枚数の耐久枚数に対する割合が、1/2以上2/3未満である場合(ステップS34:1/2以上2/3未満)、累積枚数の感光体ドラム1の耐久枚数に対する割合が、算出される(ステップS35)。このステップでは、ステップS31で検出された画像形成処理中に、使用されている感光体ドラム1の耐久枚数に達したか否かが判断される。具体的には、上記クリーニングブレード56の磨耗度についての算出と同様に、感光体ドラム1により過去に画像形成処理された用紙の累積枚数が、当該感光体ドラム1の耐久枚数により除算される。除算の結果、累積枚数が耐久枚数の2/3以上であるか否かが判断される(ステップS35)。累積枚数が耐久枚数の2/3以上ではないと判断される場合(ステップS35:NO)、ステップS32の処理に戻る。
【0080】
一方、累積枚数が耐久枚数の2/3以上であると判断される場合(ステップS35:YES)、滑剤クリーニング部材54の揺動が実行される(ステップS36)。
【0081】
続いて、画像形成処理が終了したか否かが判断される(ステップS37)。このステップS37における処理は、上述のステップS25と同様である。
【0082】
以上のように、態様3によれば、態様1および態様2の条件に加えて、クリーニングブレード56または感光体ドラム1を使用した画像形成処理の累積枚数が耐久枚数の2/3以上である場合に、滑剤クリーニング部材54が揺動駆動される。したがって、クリーニングブレード56または感光体ドラム1の耐用できる画像形成処理の上限が近づいて、クリーニングブレード56または感光体ドラム1の老朽化による滑剤の塗布ムラが発生し易い状態となっていても、滑剤クリーニング部材54を揺動させることにより、残留付着物Gによる滑剤の塗布ムラの画像形成処理への悪影響を最小化できる。
【0083】
(態様4)
図9は、図6に示される処理に、検出された印字率に従って、滑剤クリーニング部材をより速く揺動させる処理を加えた処理の手順を示すフローチャートである。ステップS41およびS42の手順は、図6のステップS11およびS12の処理と同様である。
【0084】
図9に示されるように、ステップS42において印字率が20%以上であると判断された場合(ステップS42:YES)、続いて印字率が40%以上であるか否かが判断される(ステップS43)。このステップでは、ステップS42に続き、印字率が40%以上であるか否かを判断する。印字率が40%以上ではないと判断された場合(ステップS43:NO)、滑剤クリーニング部材54を通常速度で揺動駆動する(ステップS44)。
【0085】
一方、印字率が40%以上であると判断される場合(ステップS43:YES)、滑剤クリーニング部材54を、通常の倍速で揺動駆動する(ステップS45)。このステップでは、印字率が40%と判断されたことにより、より残留付着物Gが滑剤固形体51に付着され易いと予測される。したがって、滑剤クリーニング部材54の揺動速さを上昇させる。
【0086】
以上のように、態様4によれば、滑剤クリーニング部材54がより速く揺動されることにより、より多くの残留付着物Gが拾い上げられ、残留付着物Gに起因する滑剤の塗布ムラをより確実に防止することができる。
【0087】
次に、図10および図11を参照して、画像形成装置Aに電源投入された後、または画像形成装置Aのトラブル発生のため装置停止した後に、滑剤クリーニング部材54を揺動駆動させるための処理の手順について詳細に説明する。なお、図10および図11に示される手順は、プログラムとしてメモリー92またはHDD93に記憶され、CPU91によって実行される。
【0088】
(態様5)
図10は、画像形成装置Aに電源投入された後に、滑剤クリーニング部材54を揺動駆動させるための処理の手順を示すフローチャートである。
【0089】
図10に示されるように、まず、画像形成装置Aの起動が検出される(ステップS51)。このステップでは、画像形成装置Aの起動が、CPU91によって検出される。装置起動の代わりに、長時間待機となった後の起動が検出されてもよい。
【0090】
続いて、感光体ドラム1周辺の補正動作が開始される(ステップS52)。このステップでは、感光体ドラム1の周辺にある、光書込部3、画像形成部10、クリーニング装置5等が、位置または電位調整等、動作確認を含む画像形成精度に関連する補正動作を開始する。
【0091】
続いて、感光体ドラム1が回転駆動される(ステップS53)。このステップでは、その他の回転部材に先立って、感光体ドラム1の回転駆動が実行される。
【0092】
続いて、滑剤固形体51、塗布ブラシ52、滑剤クリーニング部材54が、それぞれ回転駆動される(ステップS54)。このステップでは、感光体ドラム1を除くその他の回転部材が回転駆動される。
【0093】
続いて、滑剤クリーニング部材54が揺動駆動される(ステップS55)。このステップでは、ステップS54で回転を始めた滑剤クリーニング部材54の軸方向の揺動駆動が開始される。この時、滑剤固形体51がクリーニングされる。
【0094】
続いて、補正動作が終了される(ステップS56)。このステップでは、回転または揺動駆動される部材が駆動された状態での、ステップS52で開始された補正動作が終了される。
【0095】
続いて、滑剤固形体51、塗布ブラシ52、滑剤クリーニング部材54それぞれの回転駆動が停止される(ステップS57)。このステップでは、感光体ドラム1を除くその他の回転部材の回転駆動が終了される。
【0096】
続いて、滑剤クリーニング部材54の揺動駆動が停止される(ステップS58)。このステップでは、ステップS55で開始された滑剤クリーニング部材54の揺動駆動が停止される。そして、画像形成装置Aの起動後に、滑剤クリーニング部材54を揺動駆動させる処理が終了される。
【0097】
以上のように、態様5によれば、補正動作と同時に回転駆動される滑剤固形体51に対して滑剤クリーニング部材54を軸方向に揺動することにより、装置停止時に装置内にごみが混入した場合等不測の事態が発生した場合でも、滑剤固形体51上の残留付着物を確実に取り除くことができる。
【0098】
(態様6)
図11は、画像形成装置Aのトラブル発生後に、滑剤クリーニング部材54を揺動駆動させるための処理の手順を示すフローチャートである。なお、上記図10で説明したステップと同様のステップについては、その説明を省略する。
【0099】
図11に示されるように、まず、トラブル発生後の画像形成処理が検出される(ステップS61)。このステップでは、紙詰まり(ジャム)やその他のトラブルにより画像形成装置Aが緊急停止された場合に発行されるサービス・コード(Service Code)についての情報がフラグ等としてメモリ92等に記憶され、その後の最初の画像形成処理が検出される。
【0100】
続くステップS62およびS63は、上述のステップS53およびS54と同様である。
【0101】
続いて、滑剤クリーニング部材54が揺動駆動される(ステップS64)。このステップでは、トラブル発生後における滑剤クリーニング部材54の揺動駆動が実行される。
【0102】
続くステップS65およびS66は、上述のステップS57およびS58と同様である。
【0103】
続いて、画像形成処理が開始される(ステップS67)。このステップでは、上述のステップS64で滑剤固形体51が滑剤クリーニング部材54の揺動によりクリーニングされた状態で、画像形成処理が開始される。その後、トラブル発生後に、滑剤クリーニング部材54を揺動駆動させるための処理の手順は、終了される。
【0104】
以上のように、態様6によれば、電源投入後またはトラブル発生後に滑剤クリーニング部材54を揺動駆動することにより、電源投入前またはトラブル発生時に感光体ドラム1周辺で残留付着物が混入していたりした場合等にも、滑剤固形体51をクリーンに維持できる。したがって、残留付着物による塗布ムラが防止され、画像品質を高度に維持することができる。
【0105】
以上説明してきた通り、本実施形態では、スクレーパー55を備える滑剤クリーニング部材54を設けることにより、感光体ドラム1から滑剤固形体51上に転移された残留付着物Gを取り除くことができる。したがって、残留付着物Gと共に滑剤が掻き取られて感光体ドラム1に付着されて、感光体ドラム1おいて滑剤の塗布ムラが発生することを防止することができる。また、本実施形態では、滑剤クリーニング部材54が、滑剤固形体51に対して軸方向に揺動することにより、残留付着物Gが滑剤固形体51に沈着することが防止され、より容易かつ確実に滑剤固形体51上の残留付着物Gを拾い上げることができる。また、印字率等の条件に従ってまたは起動後等においてのみ、滑剤クリーニング部材54を揺動させるので、余計に滑剤が掻き取られ、滑剤を無駄に浪費されることを防止すると同時に、滑剤の塗布ムラを回避できる。また、本実施形態では、印字率が高い場合等に、滑剤クリーニング部材54を揺動駆動する速度をより速くするので、感光体ドラム1上に残留付着物Gが付き易い状態でも、より適格に滑剤固形体51から残留付着物Gを取り除くことができる。
【0106】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0107】
たとえば、上記実施形態では、印字率が20%以上であるか否かを判断して、滑剤クリーニング部材54の揺動の実行の可否を判断した。しかし、これに限定されない。いかなる値の印字率により、滑剤クリーニング部材54が揺動駆動されてもよいし、印字率の値によって、揺動速度を変更可能に設定できるようにしてもよい。また、上記した条件に限らず、いかなる条件が使用されてもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、所定条件が満たされた場合に、滑剤クリーニング部材54を倍速で揺動駆動させたが、これに限定されない。たとえば、滑剤クリーニング部材54の回転速度を上げて回転駆動させてもよい。
【0109】
滑剤固形体51、塗布ブラシ52および滑剤クリーニング部材54は、それぞれバネ部材(不図示)等により相互に当接されうる。また、滑剤クリーニング部材54の回転軸544等の回転軸は、ボールベアリング等を介して付勢バネ543等と接続されてもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、図5において、滑剤固形体51と揺動カム542とが歯車511および541により連動してM1により駆動される形態が示された。しかし、これに限定されない。滑剤固形体51と揺動カム542とは、それぞれ別のモーターにより駆動されてもよい。
【0111】
また、印字率等の滑剤クリーニング部材54を揺動駆動させるための条件は、ネットワークを介して接続されたPC(Personal Computer)にインストールされたプリンタドライバー等のアプリケーションによって設定されてもよい。
【符号の説明】
【0112】
A 画像形成装置、
G 残留付着物、
M1,M2 モーター、
S 用紙、
SC 画像読取り装置
SL スリット、
1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム、
2Y、2M、2C、2K 帯電部、
3Y、3M、3C、3K 光書込部、
4Y、4M、4C、4K 現像装置、
5Y、5M、5C、5K クリーニング装置、
6 中間転写ベルト、
7A 二次転写部、
7Y、7M、7C、7K 一次転写部、
10Y、10M、10C、10K 画像形成部、
20 用紙搬送部、
21 給紙部、
22 ループ形成ローラー対、
23 レジストローラー対、
24 両面搬送路、
25 排紙ローラー、
291、292、293 給紙トレイ、
30 定着装置、
51 滑剤固形体、
52 塗布ブラシ、
53 均しブレード、
54 滑剤クリーニング部材、
55 スクレーパー、
56 クリーニングブレード、
511,541 歯車、
515,545 プーリー、
516 駆動ベルト、
542 揺動カム、
543 付勢バネ、
544 回転軸、
80 操作表示部、
90 制御部、
91 CPU、
92 メモリー、
93 HDD、
94 通信I/F部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上をクリーニングするクリーニングブレードと、
前記像担持体上に滑剤を塗布する塗布ブラシと、
前記塗布ブラシに滑剤を供給するため、回転自在に保持された円柱状の滑剤固形体と、
前記滑剤固形体の外周面と当接して回転することにより、前記滑剤固形体上をクリ―ニングする滑剤クリーニング部材と、
を備えるクリーニング装置。
【請求項2】
前記滑剤クリーニング部材に当接して、当該滑剤クリーニング部材上の付着物を除去するスクレーパーをさらに備える請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記滑剤クリーニング部材は、回転軸方向に揺動する請求項1または2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記滑剤クリーニング部材は、最大揺動時に、少なくとも一方の端部が前記滑剤固形体の回転軸方向の一端よりも外側に位置する請求項3に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記滑剤クリーニング部材は、外周部が毛状または発泡状に形成された弾性部材である請求項1〜4のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
用紙の面積に対する印字された面積の割合である印字率、外部環境、前記像担持体をクリーニングするためのクリーニングブレードの磨耗度、または前記像担持体の磨耗度のうち、少なくとも一つの条件に基づいて、前記滑剤クリーニング部材の前記回転軸方向の揺動が開始される、請求項3〜5のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記滑剤クリーニング部材が前記回転軸方向に揺動する速度は、前記条件に基づいて変更可能に設定される請求項6に記載の体クリーニング装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のクリーニング装置を備える画像形成装置。
【請求項9】
前記滑剤クリーニング部材の前記回転軸方向の揺動は、前記画像形成装置の電源投入後、または前記画像形成装置が異常停止された後に実行される、請求項8に記載のクリーニング装置を備える画像形成装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−3318(P2013−3318A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133665(P2011−133665)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】