説明

クリーニング装置及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】クリーニングローラーのうち現像幅の外側領域にも残留トナーを付着させ、クリーニングブレードの捲れや鳴きを防止できるクリーニング装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体(18)の表面に当接し、この表面から残留トナーを除去するクリーニングブレード(52)と、像担持体の回転方向でみてこの表面とクリーニングブレードとの当接位置よりも上流側にてこの表面に圧接しており、残留トナーを用いてこの表面を研磨するクリーニングローラー(56)と、このクリーニングローラーに当接して回転し、そのトナー層厚を調整できるトナー層規制部材(66)とを具備し、このトナー層規制部材は、クリーニングローラーのうち像担持体の回転軸線方向でみた現像幅の外側領域では、残留トナーをクリーニングローラーに供給している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写の際に像担持体の表面に残った残留トナー等を除去するクリーニング装置及びこれを搭載した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置では電子写真方式が用いられており、帯電器が像担持体、例えば感光体ドラムを予め帯電し、露光部が感光体ドラムの表面に光を照射すると、この感光体ドラムの表面には静電潜像が形成される。また、現像器はトナーを担持しており、トナーが静電潜像に付着して感光体ドラムの表面にはトナー像が現像される。そして、この可視化されたトナー像を用紙に、或いは中間転写体を介して用紙に転写して定着させる。
【0003】
ここで、感光体ドラムの表面には、トナーが用紙に転写されずに残ることがあり、次回の画像形成までに除去する必要がある。そこで、この感光体ドラムの表面を清掃する構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
詳しくは、クリーニングブレード及びクリーニングローラーが感光体ドラムの表面に接触し、クリーニングブレードが感光体ドラムの表面に残った残留トナーを除去する。
【0004】
また、この残留トナーには微量の研磨剤が含まれている。クリーニングブレードで除去した残留トナーはトナー受け部材に一時的に溜められ、クリーニングローラーに付着する。そして、クリーニングローラーは感光体ドラムの表面に付着した放電生成物などを除去する。なお、このトナー受け部材の軸方向長さはクリーニングローラーの軸方向長さよりも短く形成される。多量の残留トナーがクリーニングローラーに付着しないようにするためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−108269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、クリーニングブレードの捲れや鳴きが発生するという問題がある。
なぜならば、現像器がトナーを供給する現像幅は、帯電器が電流を付与する帯電幅よりも狭いため、現像器からのトナーは、感光体ドラムのうちその回転軸線方向でみた現像幅の外側領域には供給され難く、クリーニングローラーのうち現像幅の外側領域にも供給され難くなるからである。
【0007】
また、上記トナー受け部材を用いても、残留トナーをクリーニングローラーに付着できる範囲は現像幅の内側領域であり、上記トナー受け部材に対峙していない現像幅の外側領域には、残留トナーをクリーニングローラーに付着できないのである。
そして、これでは、感光体ドラムの表面摩擦係数を低く抑えられず、クリーニングブレードへの負荷が高くなってしまう。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、クリーニングローラーのうち現像幅の外側領域にも残留トナーを付着させ、クリーニングブレードの捲れや鳴きを防止できるクリーニング装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための第1の発明は、トナー像が形成された像担持体の表面を清掃するクリーニング装置であって、像担持体表面に当接し、この像担持体表面から残留トナーを除去するクリーニングブレードと、像担持体の回転方向でみて像担持体表面とクリーニングブレードとの当接位置よりも上流側にてこの像担持体表面に圧接しており、残留トナーを用いて像担持体表面を研磨するクリーニングローラーと、このクリーニングローラーに当接して回転し、そのトナー層厚を調整できるトナー層規制部材とを具備し、このトナー層規制部材は、クリーニングローラーのうち像担持体の回転軸線方向でみた現像幅の外側領域では、残留トナーをクリーニングローラーに供給している。
【0010】
第1の発明によれば、クリーニング装置は、像担持体表面に圧接するクリーニングブレードやクリーニングローラーを有する。クリーニングブレードは、転写の際に像担持体表面に残った残留トナーを除去し、この除去された残留トナーはクリーニングローラーに付着する。クリーニングローラーは、この残留トナーを用いて像担持体表面を研磨し、この像担持体表面に付着した放電生成物などを除去できる。
【0011】
ここで、クリーニングローラーに付着した残留トナーの厚さが変動すると、像担持体表面を良好に研磨できなくなる。厚さの大きな箇所だけが像担持体表面に接触して研磨し、厚さの小さな箇所は像担持体表面に接触できないからである。そのため、残留トナーの厚さにムラが生じないように調整する必要がある。
【0012】
一方、現像幅は帯電幅よりも狭いため、現像時のトナーは像担持体の端部分には供給され難く、ひいてはクリーニングローラーの端部分にも供給され難いことが分かる。
そこで、この現像幅の外側領域では、上述のトナー層規制部材が、像担持体表面から除去した残留トナーをクリーニングローラーに改めて付着させており、この付着した残留トナーにて当該領域の像担持体表面も十分に研磨できる。
したがって、像担持体の表面摩擦係数は低く抑えられ、クリーニングブレードへの負荷を軽減でき、このクリーニングブレードの捲れや鳴きを防止できる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明の構成において、トナー層規制部材は、現像幅の内側領域では、そのトナー層厚を均一に規制していることを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、現像幅の内側領域では、残留トナーの掻き取りと供給とが同時に行われてそのトナー層厚を均一に規制しており、像担持体表面を良好に研磨可能になる。
【0014】
第3の発明は、第1や第2の発明の構成において、像担持体表面から除去した残留トナーを貯留して回収させるトナー回収室と、このトナー回収室に貯留した残留トナーをクリーニング装置外部の回収容器に向けて搬送可能なスクリューとをさらに具備し、現像幅の外側領域では、このスクリューが残留トナーをトナー層規制部材に供給していることを特徴とする。
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、現像幅の外側領域では、トナー回収室に貯留した残留トナーがスクリュー、そして、トナー層規制部材を介してクリーニングローラーに供給される。よって、残留トナーがクリーニングローラーに容易に付着できる。
【0015】
第4の発明は、第3の発明の構成において、スクリューは、トナー回収室に貯留した残留トナーを回収容器に向けて所定の軸方向送り速度で搬送しており、現像幅の外側領域の軸方向送り速度は、現像幅の内側領域の軸方向送り速度よりも遅く設定されていることを特徴とする。
第4の発明によれば、第3の発明の作用に加えてさらに、軸方向送り速度を遅く設定した現像幅の外側領域には、現像幅の内側領域によりも多くの残留トナーが溜まることから、残留トナーをトナー層規制部材を介してクリーニングローラーの現像幅の外側領域に効率良く供給できる。
【0016】
第5の発明は、第1から第4の発明の構成において、像担持体表面から除去した残留トナーを一時的に貯留でき、この残留トナーをクリーニングローラーに供給するトナー受け部材をさらに具備することを特徴とする。
第5の発明によれば、第1から第4の発明の作用に加えてさらに、クリーニングローラーは、トナー受け部材に一時的に貯留された残留トナーも供給可能であるため、仮に、残留トナーが少なくなる運転状況になったとしても、像担持体表面の研磨に必要なトナー量をクリーニングローラーに容易に確保できる。
【0017】
第6の発明は、第5の発明の構成において、トナー受け部材は、像担持体の回転軸線方向でみて現像幅の外側領域にも設けられていることを特徴とする。
第6の発明によれば、第5の発明の作用に加えてさらに、トナー受け部材を現像幅の内側領域のみならず、現像幅の外側領域にも設けられていれば、像担持体表面の研磨に必要なトナー量をクリーニングローラーの現像幅の外側領域により確実に確保できる。また、トナー受け部材から外側にこぼれた箇所が現像幅の外側領域に相当するので、残留トナーを現像幅の外側領域により一層効率良く貯留できる。
【0018】
第7の発明は、第1から第6の発明のクリーニング装置を搭載した画像形成装置であることを特徴とする。
第7の発明によれば、上記のクリーニング装置によって像担持体表面への研磨剤の付着も回避できるので、研磨剤が像担持体からすり抜けて付着することによる例えば帯電器の汚染も回避できる。しかも、良好な画像形成が長期間に亘って行われることから、画像形成装置の信頼性向上に寄与する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、トナー層規制部材が残留トナーをクリーニングローラーに付着させるため、像担持体の表面摩擦係数を低く抑えてクリーニングブレードの捲れや鳴きを防止できるクリーニング装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施例のプリンターの概略構成図である。
【図2】図1のドラムユニット周辺の断面図である。
【図3】図2の感光体ドラム、帯電ローラー、現像ローラーの幅の説明図である。
【図4】図2のクリーニングブレード、クリーニングローラー、層規制ローラーの幅の説明図である。
【図5】図2のクリーニング装置にて、現像幅の内側領域における残留トナーの高さを説明する図である。
【図6】図2のクリーニング装置にて、現像幅の外側領域における残留トナーの高さを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、画像形成装置の一例であるカラー印刷可能なプリンター1の構造が概略的に示されている。この図1に示す断面はプリンター1の左側面からみたものである。このため、プリンター1の前面は図1の右側に、プリンター1の背面は左側にそれぞれ位置する。
【0022】
このプリンター1は装置本体2を有し、この装置本体2の上方には排紙トレイ36が設けられる。
また、この排紙トレイ36の近傍には、ユーザの各種操作に供される複数の操作キーや、各種情報を表示する画面を有したフロントカバー5が配置されている。
【0023】
一方、この装置本体2の下方には給紙カセット4が配置され、その収容部40には、枚葉の用紙が積層された状態で収納されている。
この図1でみて収容部40の右上方には給紙ローラー46が設置される。そして、用紙は図1でみて給紙カセット4の右上方に向けて送出され、この送出された用紙は、装置本体2の内部でプリンター1の前面に沿って上方に向けて搬送される。
【0024】
また、給紙カセット4は、プリンター1の前面側、つまり、図1の右方向に向けて引き出し可能に構成されており、この引き出した状態にて、収容部40に新たな用紙を補充したり、用紙を別の種類の用紙に入れ替え可能となる。
装置本体2の内部には、給紙カセット4からの用紙搬送方向でみて下流側に、搬送ローラー10、レジストローラー14、画像形成部16及び2次転写部30が順番に配置されている。
【0025】
本実施例の画像形成部16には4個のドラムユニット17が並設され、各ドラムユニット17には感光体ドラム(像担持体)18がそれぞれ設けられている(図1や図2)。
各感光体ドラム18は回転自在に設置され、図示しない駆動モーターによって図1や図2の時計回りにそれぞれ駆動する。
【0026】
本実施例の感光体ドラム18は、例えばφ30mm程度の直径で形成され、その表面に非晶質シリコン系の層を有したa−Siドラムである。
また、この感光体ドラム18と給紙カセット4との間には露光部15が備えられており(図1)、この露光部15からは、レーザー光が各感光体ドラム18に向けてそれぞれ照射される。
【0027】
さらに、これら図1や図2に示されるように、各感光体ドラム18の周囲の適宜位置には、帯電器20、現像器24、中間転写ローラー13、クリーニング装置50がそれぞれ設けられている。
この帯電器20は、図2にも示される如く感光体ドラム18の下方に位置しており、感光体ドラム18の表面を帯電させる。
【0028】
詳しくは、本実施例の帯電器20は、感光体ドラム18に直接に接する帯電ローラー21、及びこの帯電ローラー21の表面を摺擦して清掃するクリーニングブラシ22を有している。なお、本実施例の帯電ローラー21は例えばエピクロルヒドリンゴム製である。
現像器24は図2でみてドラムユニット17の左方に配置され、感光体ドラム18に対峙する現像ローラー25を有する。この現像ローラー25は図示しない駆動モーターによって図2の反時計回りに駆動する。
【0029】
なお、この図2の参照符号26はギャップ規制コロである。当該ギャップ規制コロ26は、現像ローラー25の両端に設けられており、感光体ドラム18に連れ回って現像ローラー25と感光体ドラム18とのギャップを設定する(図3)。
画像形成部16はゴム製の中間転写ベルト12を有し、当該中間転写ベルト12は各感光体ドラム18の上方に配置されている。中間転写ローラー13は中間転写ベルト12を上方から押圧し、感光体ドラム18と中間転写ベルト12とを圧接させる。
【0030】
図1に戻り、中間転写ベルト12と排紙トレイ36との間には4個のトナーコンテナ23が配設されている。これら各トナーコンテナ23は、プリンター1の背面側から前面側に向けて、マゼンタ用、シアン用、イエロー用、そして、ブラック用の順に配設され、このブラック用のトナーコンテナの容量が最も大きく構成される。
【0031】
2次転写部30には2次転写ローラー31が備えられ、この2次転写ローラー31は中間転写ベルト12に対して斜め下方から圧接可能に構成されている。これら中間転写ベルト12と2次転写ローラー31とは、トナー像を用紙に転写するためのニップ部を形成する。
また、用紙搬送方向でみて2次転写部30の下流側には、定着部32、排出分岐部34及び排出ローラー35の順に配置されている。
【0032】
さらに、2次転写部30と手差しトレイ3との間には両面印刷搬送路38が形成される。この両面印刷搬送路38は、排出分岐部34から装置本体2の前面側で分岐して下方に向けて延び、レジストローラー14の上流側に連結する。
ここで、本実施例のトナーには、微量の研磨剤(酸化チタン、シリカ、アルミナなど)が含まれており、クリーニング装置50にて感光体ドラム18の表面の清掃に利用される。
【0033】
詳しくは、クリーニング装置50は、図2に示されるように、感光体ドラム18の回転方向でみて中間転写ベルト12との転写位置の下流側にて、この感光体ドラム18に向けて開口したハウジング51を備えており、このハウジング51の適宜位置に、クリーニングローラー56、クリーニングブレード52やトナー回収室80を有している。
【0034】
具体的には、クリーニングローラー56は、ハウジング51の開口にて感光体ドラム18に圧接しており、感光体ドラム18の回転軸線方向に沿って延びている。また、クリーニングローラー56は、例えば導電性発泡EPDM等のエチレンゴム製であり、図示しない駆動モーターによって図2の反時計回りに駆動し、トナー像が転写された後の感光体ドラム18の表面をトレール方向で摺擦研磨する。
【0035】
これにより、クリーニングローラー56は、感光体ドラム18の非晶質シリコン系の層に付着する放電生成物などを除去する。
次に、クリーニングブレード52は、ハウジング51の下端に固定される亜鉛鋼板製の本体や、この本体に溶着されたポリウレタンゴム製のブレード部分からなり、このブレード部分のエッジが感光体ドラム18の回転方向でみてクリーニングローラー56の下流側に配置され、感光体ドラム18の回転軸線に沿って延びている。
【0036】
そして、このエッジが感光体ドラム18の回転軸線よりも低い位置にてカウンター方向で接し、感光体ドラム18の表面に付着した研磨剤を含む残留トナーなどを掻き取っている。
これらクリーニングブレード52やクリーニングローラー56によって感光体ドラム18の表面から掻き取られた残留トナーなどは、トナー受け部材58に一時的に溜められる。
【0037】
本実施例のトナー受け部材58は、図2の断面視で逆L字状に形成され、その垂直面がクリーニングブレード52に沿って上方に向けて延び、この垂直面の上端が水平面の左端に連なる。そして、この水平面がクリーニングローラー56の下側を覆い、且つ、感光体ドラム18の回転軸線に沿って配置されており、クリーニングローラー56との間に所定の空間を形成する。
【0038】
この結果、これらクリーニングローラー56及びクリーニングブレード52の双方で感光体ドラム18から除去された残留トナーは、トナー受け部材58に一時的に溜められた後、クリーニングローラー56に供給されて付着することができる。
一方、トナー受け部材58から溢れた残留トナー等はトナー回収室80から回収される。
【0039】
詳しくは、トナー回収室80は、ハウジング51の底近傍にスクリュー88を有する。このスクリュー88は、図2でみてトナー受け部材58の垂直面の右側に設置されており、感光体ドラム18の回転軸線方向に沿って延び、その先端が図示しない駆動モーターに連結されている。そして、この駆動モーターが駆動すると、トナー受け部材58から下方に排出された残留トナー等は、スクリュー88を経由して回収容器(図示しない)に集められる。
【0040】
ところで、図2に示した現像ローラー25、帯電ローラー21、及び感光体ドラム18などの各回転軸線を並べてみると、これらの各幅(軸方向の長さ)は同じではない。
具体的には、これら各構成の幅の関係を説明した図3に示される如く、この図3に破線で示された感光体ドラム18の感光層の幅(ドラム幅)は、図3に2点鎖線で示された帯電幅よりも広く設定される。なお、上述した中間転写ベルト12の幅は、ドラム幅と帯電幅の間、或いはこの帯電幅と同等に設定される。
【0041】
また、この帯電幅は、図3に実線で示された現像幅よりも広く設定される。仮に帯電幅が現像幅よりも狭いと、この帯電幅の外側領域にトナーが付着し続けるからである。
なお、この現像幅は、図3に1点鎖線で示された通紙幅よりも常に広く設定される。用紙の左右両端にもトナー像を形成可能にするためである。
【0042】
すなわち、感光体ドラム18の表面において、この感光体ドラム18の回転軸線方向でみた現像幅の外側領域は、この現像幅の内側領域に比してトナーが付着し難い範囲であることが分かる。
そこで、本実施例では、層規制ローラー(トナー層規制部材)66を用いて図3に斜線で示された領域90,90にトナーを与えている。
【0043】
詳しくは、層規制ローラー66は、図2でみてクリーニングローラー56の斜め右下側、つまり、クリーニングローラー56と感光体ドラム18との当接位置とは反対側であって、トナー受け部材58の水平面の右端近傍に設置されている。
より具体的には、この層規制ローラー66は、クリーニングブレード52やクリーニングローラー56と同様に、感光体ドラム18の回転軸線方向に沿って延び(図4)、クリーニングローラー56に当接して従動回転する。
【0044】
よって、クリーニングローラー56が図2に示されるように反時計回りに回転すると、層規制ローラー66は時計回りに回転し(図5,6)、ハウジング51内においてクリーニングローラー56に対してトレール方向で回転して接触する。すなわち、感光体ドラム18の研磨に必要な量がクリーニングローラー56のゴム部分に向けて押し込まれ、残留トナーの厚さを均一に調整できる。
【0045】
ここで、上述したトナー受け部材58及び層規制ローラー66などの各幅(軸方向の長さ)は、図4に示される如く、クリーニングブレード52等と同様に、いずれも現像幅の内側領域よりも長く形成されている。
これにより、本実施例のトナー受け部材58は、一時的に溜めた残留トナーを、クリーニングローラー56のうち感光体ドラム18の回転軸線方向でみた現像幅の内側領域の他、この現像幅の外側領域にも供給できる。
【0046】
さらに、本実施例の層規制ローラー66もまた、ハウジング51内の残留トナーを現像幅の外側領域に供給できるのである。それは、スクリュー88がトナー回収室80に貯留した残留トナーを層規制ローラー66に供給しているからである。
具体的には、本実施例のスクリュー88は、図4に示されるように、現像幅の外側領域のピッチが現像幅の内側領域のピッチよりも狭く、例えば現像幅の内側領域におけるピッチの3/4〜1/2程度のピッチに設定されている。
【0047】
このため、スクリュー88は、現像幅の外側領域の軸方向送り速度(トナー搬送速度)が現像幅の内側領域の軸方向送り速度よりも遅くなり、同じトナー回収室80に貯留した残留トナーであっても、現像幅の外側領域に位置する残留トナーが現像幅の内側領域よりも多く留まることになる。
つまり、現像幅の内側領域の断面図に相当する図5のように、層規制ローラー66は、トナー回収室80に貯留した残留トナーには接触せず、クリーニングローラー56のトナー層厚を減らすように規制する。
【0048】
これに対し、現像幅の外側領域の断面図に相当する図6の如く、層規制ローラー66は、トナー回収室80に貯留した残留トナーに浸っているので、クリーニングローラー56のトナー層厚を増やすことができる。
なお、本実施例では、現像幅の内側領域と外側領域とでスクリュー88のピッチを変更したが、スクリュー88の向きを変更しても良い。
【0049】
詳しくは、図4では、現像幅の外側領域のスクリュー88が現像幅の内側領域と同様に、左斜め下から右斜め上に向けて延びて示されていたが、この現像幅の外側領域におけるスクリュー88の向きを図4でみて例えば右斜め下から左斜め上に向けて延ばしても、現像幅の外側領域の残留トナーを現像幅の内側領域よりも多く留めることが可能になる。
【0050】
若しくは、可撓性を有した板状部材をスクリュー88のうち現像幅の外側領域の位置に設置しても良い。この板状部材がトナー回収室80に貯留した残留トナーを層規制ローラー66に向けてすくい上げることができるからである。
或いは、ハウジング51に設けられた排出口を考慮することもできる。
この点については、残留トナーの排出口が仮に図4でみてスクリュー88の右端側に形成されている場合を想定する。
【0051】
この想定した場合において、排出口を有したスクリュー88の右端側や、当該排出口の反対側、つまり、スクリュー88の左端側は、いずれも現像幅の外側領域に該当しているが、トナー回収室80に貯留した残留トナーは常に排出口に向けて搬送されていることから、スクリュー88の右端側がスクリュー88の左端側よりも当然に多く集まる。
【0052】
この残留トナーが排出口に向かう回収方向を鑑み、例えばスクリュー88のピッチや向きの変更などにより、スクリュー88の左端側の軸方向送り速度をスクリュー88の右端側の軸方向送り速度よりも遅く設定する。これにより、残留トナーがスクリュー88の左端側に溜まり易くなり、スクリュー88の右端側と左端側とにそれぞれ位置する現像幅の外側領域でみて、クリーニングローラー56への付着量の均衡をとることができる。
【0053】
再び図1に戻り、上記プリンター1が印刷を行う際は、給紙ローラー46によって給紙カセット4から用紙が1枚ずつ分離して送出される。送出された用紙はレジストローラー14に到達する。このレジストローラー14は、用紙の斜め送りを矯正しつつ、画像形成部16で形成されるトナー像との画像転写タイミングを計りながら、用紙を所定の給紙タイミングにて2次転写部30へと送出する。
【0054】
一方、図示しないコントローラーには、印刷の元になる画像データが外部から受信可能に構成されている。この画像データは、文字や符号、図形、記号、線図、模様等の各種の画像がデータ化されたものである。このコントローラーでは、このデータに基づいて光の照射などを制御する。詳しくは、各感光体ドラム18に対し、図2のイレーサ19が除電し、次いで、帯電器20が感光体ドラム18の表面をそれぞれ帯電する。
【0055】
次いで、露光部15が感光体ドラム18の表面にレーザー光をそれぞれ照射すると、各感光体ドラム18の表面には静電潜像が作られ、現像バイアス電圧の印加によりこの静電潜像から各色のトナー像が形成される。
これら各トナー像は中間転写ベルト12に重ね合わされ(1次転写)、2次転写部30にて用紙に2次転写される。なお、感光体ドラム18の表面に残留したトナーはクリーニング装置50で除去される。
【0056】
続いて、用紙は未定着トナー像を担持した状態で定着部32に向けて送られて加熱及び加圧され、トナー像が定着される。その後、定着部32から送出された用紙は排出ローラー35を介して排紙トレイ36に排出され、高さ方向に積層される。
両面印刷を行う場合には、片面に印刷された用紙は、排出分岐部34で装置本体2内に引き戻され、両面印刷搬送路38に搬送される。この用紙はレジストローラー14の上流側に向けて送出され、2次転写部30に向けて再び送られる。これにより、用紙の未だ印刷がされていない面にトナー像が転写される。
【0057】
以上のように、本実施例によれば、クリーニング装置50は、感光体ドラム18の表面に圧接するクリーニングブレード52やクリーニングローラー56を有する。クリーニングブレード52は、転写の際に感光体ドラム18の表面に残った残留トナーを除去し、この除去された残留トナーはクリーニングローラー56に付着する。クリーニングローラー56は、この残留トナーを用いて感光体ドラム18の表面を研磨し、この感光体ドラム18の表面に付着した放電生成物などを除去できる。
【0058】
ここで、クリーニングローラー56に付着した残留トナーの厚さが変動すると、感光体ドラム18の表面を良好に研磨できなくなる。厚さの大きな箇所だけが感光体ドラム18の表面に接触して研磨し、厚さの小さな箇所は感光体ドラム18の表面に接触できないからである。そのため、残留トナーの厚さにムラが生じないように調整する必要がある。そこで、層規制ローラー66は、クリーニングローラー56のうち感光体ドラム18の回転軸線方向でみた現像幅の内側領域では、そのトナー層厚を均一に規制している。
【0059】
一方、この現像器24がトナーを供給する現像幅は、帯電ローラー21が電流を付与する帯電幅よりも狭いため、現像器24からのトナーは感光体ドラム18の端部分には供給され難く、ひいてはクリーニングローラー56の端部分にも供給され難いことが分かる。
そこで、この現像幅の外側領域では、上述の層規制ローラー66が、感光体ドラム18の表面から除去した残留トナーをクリーニングローラー56に改めて付着させており、この付着した残留トナーにて当該領域の感光体ドラム18の表面も十分に研磨できる。
【0060】
したがって、感光体ドラム18の表面摩擦係数は低く抑えられ、クリーニングブレード52への負荷を軽減でき、このクリーニングブレード52の捲れや鳴きを防止できる。
また、現像幅の外側領域では、トナー回収室80に貯留した残留トナーがスクリュー88、そして、層規制ローラー66を介してクリーニングローラー56に供給される。よって、残留トナーをクリーニングローラー56に容易に付着できる。
【0061】
さらに、軸方向送り速度を遅く設定した現像幅の外側領域には、現像幅の内側領域によりも多くの残留トナーが溜まることから、残留トナーをクリーニングローラー56の現像幅の外側領域に効率良く供給できる。
さらにまた、クリーニングローラー56は、トナー受け部材58に一時的に貯留された残留トナーも供給可能であるため、仮に、残留トナーが少なくなる運転状況(例えば低濃度印字のパターンを連続印字する場合など)になったとしても、感光体ドラム18の表面の研磨に必要なトナー量をクリーニングローラー56に容易に確保できる。
【0062】
また、トナー受け部材58を現像幅の内側領域のみならず、現像幅の外側領域にも設ければ、感光体ドラム18の表面の研磨に必要なトナー量をクリーニングローラー56の現像幅の外側領域により確実に確保できる。また、トナー受け部材58から外側にこぼれ落ちた箇所が現像幅の外側領域に相当するので、残留トナーを現像幅の外側領域により一層効率良く貯留できる。
【0063】
さらに、上記のクリーニング装置50によって感光体ドラム18の表面への研磨剤の付着も回避できるので、研磨剤が感光体ドラム18からすり抜けて付着することによる例えば帯電ローラー21の汚染も回避できる。しかも、良好な画像形成が長期間に亘って行われることから、プリンター1の信頼性向上に寄与する。
【0064】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施例では、トナー像が感光体ドラムの上方で中間転写ベルトに転写しているが、この感光体ドラムの下方でベルトに転写しても良い。また、上記実施例では、中間転写ベルトを採用したプリンター1で説明されている。しかし、本発明は、感光体ドラム18のトナー像を用紙に直接に転写する場合にも適用可能である。
【0065】
また、上記実施例では層規制ローラー66の例で説明し、また、トナー回収室80に貯留された残留トナーがスクリュー88から層規制ローラー66に送られている。
しかし、本発明のトナー層規制部材はブラシ構造でも良く、さらに、ハウジング51の形状、詳しくは、ハウジング51の底面のうち、現像幅の外側領域に相当する箇所を底上げしても良い。
【0066】
さらに、この実施例では画像形成装置としてプリンターに具現化した例を示しているものの、本発明の画像形成装置は、複合機、複写機やファクシミリ等にも当然に適用可能である。
そして、これらいずれの場合にも上記と同様に、クリーニングローラーのうち現像幅の外側領域にも残留トナーを付着させ、クリーニングブレードの捲れや鳴きを防止できるとの効果を奏する。
【符号の説明】
【0067】
1 プリンター(画像形成装置)
18 感光体ドラム(像担持体)
50 クリーニング装置
52 クリーニングブレード
56 クリーニングローラー
58 トナー受け部材
66 層規制ローラー(トナー層規制部材)
80 トナー回収室
88 スクリュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成された像担持体の表面を清掃するクリーニング装置であって、
前記表面に当接し、この表面から残留トナーを除去するクリーニングブレードと、
前記像担持体の回転方向でみて前記表面と前記クリーニングブレードとの当接位置よりも上流側にてこの表面に圧接しており、前記残留トナーを用いて前記表面を研磨するクリーニングローラーと、
このクリーニングローラーに当接して回転し、そのトナー層厚を調整できるトナー層規制部材と
を具備し、
このトナー層規制部材は、前記クリーニングローラーのうち前記像担持体の回転軸線方向でみた現像幅の外側領域では、前記残留トナーを前記クリーニングローラーに供給していることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のクリーニング装置であって、
前記トナー層規制部材は、前記現像幅の内側領域では、そのトナー層厚を均一に規制していることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のクリーニング装置であって、
前記表面から除去した残留トナーを貯留して回収させるトナー回収室と、
このトナー回収室に貯留した残留トナーを前記クリーニング装置外部の回収容器に向けて搬送可能なスクリューとをさらに具備し、
前記現像幅の外側領域では、このスクリューが前記残留トナーを前記トナー層規制部材に供給していることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項4】
請求項3に記載のクリーニング装置であって、
前記スクリューは、前記トナー回収室に貯留した残留トナーを前記回収容器に向けて所定の軸方向送り速度で搬送しており、
前記現像幅の外側領域の軸方向送り速度は、前記現像幅の内側領域の軸方向送り速度よりも遅く設定されていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のクリーニング装置であって、
前記表面から除去した残留トナーを一時的に貯留でき、この残留トナーを前記クリーニングローラーに供給するトナー受け部材をさらに具備することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項6】
請求項5に記載のクリーニング装置であって、
前記トナー受け部材は、前記像担持体の回転軸線方向でみて前記現像幅の外側領域にも設けられていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のクリーニング装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−226124(P2012−226124A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93803(P2011−93803)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】