説明

クリーニング装置及び画像形成装置

【課題】 クリーニングローラに供給されるトナー量が変化してもクリーニングローラ表面に形成されるトナー層の厚さを調節して感光体ドラム表面を安定的に研磨することができ、クリーニング装置を構成する部材が摩耗することなく、長期間に亘って安定的に感光体ドラムの研磨が可能なクリーニング装置及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 感光体ドラムに当接して配設されるクリーニングローラと、該クリーニングローラ表面に付着したトナー層厚を規制するトナー層厚規制部材を備えるクリーニング装置であって、前記トナー層厚規制部材が前記クリーニングローラに当接して回転するトナー層厚規制ローラからなることを特徴とするクリーニング装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置に用いられるクリーニング装置及びこのクリーニング装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置において、画像形成部には感光体ドラムが備えられており、この感光体ドラム表面には静電潜像が形成された後に、トナーが付着してトナー像が形成される。
トナー像は紙等の被転写体に転写されるが、トナーが完全に転写されずに感光体ドラム表面に残留したり、また、静電潜像形成の際に生成する放電生成物が感光体ドラム表面に付着したままとなる。このような残留トナーや放電生成物は、新たな画像形成の妨げとなり、良好な転写画像を得られない原因となる。そのため、画像形成装置には感光体ドラム表面の付着物(トナー、放電生成物等)を除去するためのクリーニング装置が備えられている。
【0003】
図5は、従来のクリーニング装置の概略断面図である。
クリーニング装置(a)には、感光体ドラム(b)表面の付着物を掻き取るクリーニングブレード(c)と、感光体ドラム(b)に当接して回転するクリーニングローラ(d)と、除去された付着物を回収する回収スクリュー(e)とが備えられている。
感光体ドラム(b)に当接するクリーニングローラ(d)は、トナーを除去する機能に加えて、トナーを保持してクリーニングローラ(d)表面にトナー層を形成し、感光体ドラム(b)表面を研磨する機能も有している。
しかしながら、従来のクリーニング装置(a)では、クリーニングローラ(d)に保持されるトナー量が一定ではないため、クリーニングローラ(d)表面に形成されるトナー層の厚さを均一にすることは困難であった。従って、上記した構成のクリーニング装置(a)では、安定的に感光体ドラムを研磨することはできなかった。
【0004】
上記の問題を解決するために、特許文献1には、クリーニングブレードにより感光体ドラムから除去されたトナーを、クリーニングローラ下方に設けたトナー受け部材に貯留するクリーニング装置が開示されている。
特許文献1の開示技術は、感光体ドラム表面に残留したトナーをクリーニングブレードにより掻き取り、掻き取ったトナーをクリーニングローラの下方に設けたトナー受け部材に貯留し、貯留されたトナーをクリーニングローラに保持させて感光体ドラム表面を研磨するものである。
クリーニングローラの下方にトナー受け部材を設けることによって、十分な量のトナーをクリーニングローラに供給し保持させることができ、研磨効果を高めることができる。
【0005】
しかし、感光体ドラム表面に付着するトナー量が過多であると、トナー受け部材に貯留されるトナー量も過多となり、クリーニングローラに保持されるトナー量が多くなって感光体ドラムに再付着する虞があった。また、トナー量が過少であると、十分な研磨が行われないため、トナーを供給する必要があった。
従って、特許文献1に記載の技術では、トナー量の増減によって研磨効果が変化するため、安定的な研磨が困難であった。
【0006】
一方、特許文献2には、クリーニングローラ下方に設けられたトナー受け部材と、クリーニングローラに保持されたトナーを掻き取るためのスクレーパとを備えたクリーニング装置が開示されている。
特許文献2の開示技術は、トナー受け部材に貯留されたトナーをクリーニングローラに保持させ、そのトナー量を調節するためにスクレーパを用いてトナーを掻き取るものである。
この特許文献2の開示技術を用いると、クリーニングローラに十分な量のトナーを供給できるとともに、トナーを掻き落としてトナー量を調節することができるため、クリーニングローラに保持されるトナー量が印字率に影響されず、研磨効果が変化しにくいものである。
【0007】
しかしながら、特許文献2の開示技術では、クリーニングローラに保持されたトナーを過剰に除去する虞があり、また、クリーニングローラとスクレーパとの摩擦によりトナーが夫々の部材に融着するという問題があった。
更に、長期間に亘って使用することにより、スクレーパが部分的に摩耗して均一な研磨ができなくなるという問題があった。即ち、スクレーパが部分的に摩耗することでクリーニングローラ上のトナー量を調節することができなくなり、クリーニングローラのトナー層厚が厚くなる。そのため、感光体ドラム表面の研磨が過剰となるものであった。
また、スクレーパの磨耗部分以外が当接するトナー層は、摩耗部分に相当する箇所よりもトナー層が薄くなるため、クリーニングローラの感光体ドラムへの押し当て力は小さくなり研磨が十分にできないものであった。従って、特許文献2の開示技術を用いても、長期間に亘って安定的に感光体ドラムを研磨することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−108269号公報
【特許文献2】特開2009−104007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、クリーニングローラに供給されるトナー量が変化してもクリーニングローラ表面に形成されるトナー層の厚さを調節して感光体ドラム表面を安定的に研磨することができ、クリーニング装置を構成する部材が摩耗することなく、長期間に亘って安定的に感光体ドラムの研磨が可能なクリーニング装置及び画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、感光体ドラムに当接して配設されるクリーニングローラと、該クリーニングローラ表面に付着したトナー層厚を規制するトナー層厚規制部材を備えるクリーニング装置であって、前記トナー層厚規制部材が前記クリーニングローラに当接して回転するトナー層厚規制ローラからなることを特徴とするクリーニング装置に関する。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記トナー層厚規制ローラと前記クリーニングローラの回転方向が当接部において同方向であることを特徴とする請求項1記載のクリーニング装置に関する。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記クリーニングローラに対する前記トナー層厚規制ローラの線速が0.8〜1.2倍であることを特徴とする請求項2記載のクリーニング装置に関する。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記クリーニングローラに対する前記トナー層厚規制ローラの食い込み深さが0.2〜0.6mmであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のクリーニング装置に関する。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記トナー層厚規制ローラの外径が前記クリーニングローラの外径の整数倍でないことを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のクリーニング装置に関する。
【0015】
請求項6に係る発明は、前記トナー層厚規制ローラの外径が前記クリーニングローラの外径よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のクリーニング装置に関する。
【0016】
請求項7に係る発明は、前記感光体ドラムの最外層がアモルファスシリコンであることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載のクリーニング装置に関する。
【0017】
請求項8に係る発明は、前記トナー層厚規制ローラが発泡体ローラ又はブラシローラであることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載のクリーニング装置に関する。
【0018】
請求項9に係る発明は、前記トナー層厚規制ローラが発泡体ローラであって、前記発泡体ローラの硬度が前記クリーニングローラよりも小さいことを特徴とする請求項8記載のクリーニング装置に関する。
【0019】
請求項10に係る発明は、請求項1乃至9いずれかに記載のクリーニング装置を備えることを特徴とする画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明によれば、感光体ドラムに当接して配設されるクリーニングローラと、該クリーニングローラ表面に付着したトナー層厚を規制するトナー層厚規制部材を備えるクリーニング装置であって、前記トナー層厚規制部材が前記クリーニングローラに当接して回転するトナー層厚規制ローラからなることにより、クリーニングローラに供給されるトナー量が変化してもクリーニングローラ表面に保持されるトナー量を調節するとともに、形成されるトナー層の厚さを調節することができる。つまり、クリーニングローラの周方向及び軸方向のいずれにおいても一定量のトナーを保持させることができ、且つ均一な厚さのトナー層を形成することができる。従って、感光体ドラム表面を均一に研磨することが可能なクリーニング装置とすることができる。
また、トナー層厚規制ローラや、該ローラが当接するクリーニングローラの両方にトナーが保持されており、表層がトナーに覆われたローラ同士の摺擦となるため、トナー層厚規制ローラ及びクリーニングローラの摩耗を防止することができ、長期間の使用においてもローラが摩耗劣化することなく、安定的に感光体ドラムの研磨を行うことができる。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、前記トナー層厚規制ローラと前記クリーニングローラの回転方向が当接部において同方向であることにより、回転方向が逆方向の場合に比して、クリーニングローラとトナー層厚規制ローラの摩耗を防止することができる。
【0022】
請求項3に係る発明によれば、前記クリーニングローラに対する前記トナー層厚規制ローラの線速が0.8〜1.2倍であることにより、より効果的にローラの摩耗を防止することができて、長期間の使用においても安定的にトナー層の厚さを調節することができる。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、前記クリーニングローラに対する前記トナー層厚規制ローラの食い込み深さが0.2〜0.6mmであることにより、クリーニングローラとトナー層厚規制ローラの位置が変動しても常に接触回転させることができ、安定してトナー層を形成することができる。
【0024】
請求項5に係る発明によれば、前記トナー層厚規制ローラの外径が前記クリーニングローラの外径の整数倍でないことにより、クリーニングローラとトナー層厚規制ローラの接触箇所が同じではなくなり、クリーニングローラの周方向において均一な厚さのトナー層を形成することができる。
【0025】
請求項6に係る発明によれば、前記トナー層厚規制ローラの外径が前記クリーニングローラの外径よりも小さいことにより、トナー層厚規制ローラとクリーニングローラとの接触面積が小さくなり、当接部における圧力が高くなるため、クリーニングローラへの追従性を向上させることができるとともに、クリーニングローラの周方向及び軸方向全体に亘って均一な厚さのトナー層を形成することが可能となる。
【0026】
請求項7に係る発明によれば、均一なトナー層厚を有するクリーニングローラにより、アモルファスシリコン層を損傷することなく安定的に研磨可能なクリーニング装置を得ることができる。
【0027】
請求項8に係る発明によれば、前記トナー層厚規制ローラが発泡体ローラ又はブラシローラであることにより、効率的に該ローラにトナーを保持させることができ、クリーニングローラのトナー量を調節することができる。
【0028】
請求項9に係る発明によれば、前記トナー層厚規制ローラが発泡体ローラであって、前記発泡体ローラの硬度が前記クリーニングローラよりも小さいことにより、トナー層厚規制ローラとクリーニングローラが当接した際にトナー層厚規制ローラが変形することとなり、クリーニングローラへの追従性を向上させることができる。従って、クリーニングローラ表面に凹凸がある場合にもトナー層厚規制ローラが追従して均一な厚さのトナー層を形成することができる。
【0029】
請求項10に係る発明によれば、請求項1乃至9いずれかに記載のクリーニング装置を備えることにより、長期間の使用においてもクリーニングローラが摩耗することなく、安定的に感光体ドラム表面が研磨され、ピンホール等の欠陥が生じることのない画像形成装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るクリーニング装置の概略断面図である。
【図2】本発明に係るクリーニング装置に使用されるトナー層厚規制ローラの斜視図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置を示す概略断面図である。
【図4】クリーニングローラ表面に形成されるトナー層の厚さの測定結果を示す図である。
【図5】従来のクリーニング装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るクリーニング装置の概略断面図である。
クリーニング装置(1)は感光体ドラム(2)に対向して設けられており、感光体ドラム(2)に当接して回転するクリーニングローラ(3)と、クリーニングローラ(3)に当接して回転するトナー層厚規制ローラ(4)と、感光体ドラム(2)表面の付着物(トナー、放電生成物等)を掻き取るクリーニングブレード(5)と、感光体ドラム(2)から除去された付着物を回収する回収スクリュー(6)とを備えている。
尚、図1において、感光体ドラム(2)、クリーニングローラ(3)、トナー層厚規制ローラ(4)のローラ内部の矢印は回転方向を示している。
【0032】
トナー層厚規制ローラ(4)の配設位置は、図1のようにクリーニングローラ(3)のやや下方とすると、クリーニング装置(1)を小型化することができるため好ましいが、クリーニングローラ(3)に当接して設けられていればよく、これに限定されない。
【0033】
トナー層厚規制ローラ(4)を、クリーニングローラ(3)に当接して回転させることで、クリーニングローラ(3)に供給されるトナー量が変化してもクリーニングローラ(3)の周方向及び軸方向のいずれにおいても一定量のトナーを保持させることができ、且つ均一な厚さのトナー層を形成することができる。即ち、クリーニングローラ(3)、トナー層厚規制ローラ(4)ともにトナーを保持し、表層がトナーに覆われたローラ同士の摺擦となる。
従って、クリーニングローラ(3)及びトナー層厚規制ローラ(4)の摩耗が防止され、長期間の使用においてもローラの摩耗劣化を防ぐことができる。
【0034】
トナー層厚規制ローラ(4)はクリーニングローラ(3)との当接部において、クリーニングローラ(3)と同方向に回転することが好ましい(図1参照)。そうすることで、逆回転の場合に比して、クリーニングローラ(3)に対するトナー層厚規制ローラ(4)の負荷を低減することができ、ローラの摩耗を防止することができる。
【0035】
クリーニングローラ(3)に対するトナー層厚規制ローラ(4)の線速は0.8〜1.2倍に設定されることが好ましい。
クリーニングローラ(3)に対するトナー層厚規制ローラ(4)の線速が0.8〜1.2倍の範囲から外れると相対的な線速差が大きくなりローラ同士の研磨力が大きくなるため、ローラの摩耗が大きくなる虞があり、好ましくない。
【0036】
トナー層厚規制ローラ(4)はクリーニングローラ(3)に食い込むように押圧されていることが好ましい。その食い込み深さは0.2〜0.6mmである。
0.2mm未満であると、クリーニングローラ(3)とトナー層厚規制ローラ(4)との摺擦が不十分となるため、クリーニングローラ(3)表面に形成されるトナー層の厚さを調節することができず、一方、0.6mmを超えると、クリーニングローラ(3)に付着しているトナーをトナー層厚規制ローラ(4)が強く押圧することとなり、クリーニングローラ(3)の駆動トルクや軸方向の撓みが大きくなるため、いずれの場合も好ましくない。
【0037】
トナー層厚規制ローラ(4)のサイズは特に限定されないが、軸方向の長さはクリーニングローラ(3)と略同じ長さであることが好ましい。そうすることで、クリーニングローラ(3)の軸方向全長に亘ってトナー層厚規制ローラ(4)が当接し、効率的にクリーニングローラ(3)表面を摺擦することができる。
【0038】
また、トナー層厚規制ローラ(4)の外径は、クリーニングローラ(3)の外径の整数倍でないように設定されることが好ましい。
トナー層厚規制ローラ(4)の外径がクリーニングローラ(3)の外径の整数倍でないことにより、回転の際に接触箇所が同じにならず、クリーニングローラ(3)の周方向においてトナー層の厚さのムラを防ぎ、トナー層厚を均一にすることができる。
【0039】
トナー層厚規制ローラ(4)の外径は、クリーニングローラ(3)の外径よりも小さく設定されることが好ましい。
トナー層厚規制ローラ(4)の外径がクリーニングローラ(3)の外径よりも小さいことにより、トナー層厚規制ローラ(4)の曲率半径が小さくなるのでローラ同士の接触面積が小さくなり、当接部(接触部分)における圧力が高くなる。そのため、クリーニングローラ(3)への追従性が向上してクリーニングローラ(3)の周方向及び軸方向の全体に亘って均一な厚さのトナー層を形成することが可能となる。
トナー層厚規制ローラ(4)とクリーニングローラ(3)の外径が同じ、あるいはトナー層厚規制ローラ(4)の外径がクリーニングローラ(3)の外径よりも大きいと、接触面積が大きくなるためローラの追従性が向上せず、クリーニングローラ(3)の全体に亘って均一なトナー層を形成することが困難となる。
【0040】
クリーニングローラ(3)の表面に形成されるトナー層の厚さは、5〜60μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。
5μm未満であると感光体ドラム(2)を十分に研磨することができず、一方、60μmを超えるとピンホール等の欠陥が生じ、またトナーが感光体ドラム(2)に再付着するため、いずれの場合も好ましくない。
【0041】
トナーには酸化チタン(TiO)等の研磨剤を添加してもよい。
研磨剤を添加すると、研磨剤を含んだトナーがクリーニングローラ(3)に保持されてトナー層を形成し、トナー層厚規制ローラ(4)によって均一な厚さに調節される。このクリーニングローラ(3)により感光体ドラム(2)表面が均一に研磨されることとなる。
【0042】
図2は、本発明に係るクリーニング装置に使用されるトナー層厚規制ローラ(4)の斜視図である。
トナー層厚規制ローラ(4)は、回転軸(41)と回転軸(41)の周囲に設けられるトナー保持部材(42)とから構成される。
トナー保持部材(42)は、トナーを保持することができる材質であれば特に限定されないが、発泡体又はブラシが好適に使用される。図示例のトナー層厚規制ローラ(4)は発泡体を使用した場合の発泡体ローラの模式図であるが、シャフトに繊維状合成樹脂を植設し、これを回転軸(41)の周方向及び軸方向全体に亘って設けることでブラシローラが形成される。
発泡体の材質は、例えばエチレンプロピレンム(EPDM)、ブタジエンアクリロニトリル共重合体(NBR)、ウレタン、シリコンゴム等である。
また、ブラシの材質は、例えばナイロン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、レーヨン等である。
トナー保持部材(42)に上記した材質を用いローラ状にすることで、トナーを保持することができるとともに、クリーニングローラ(3)表面を摺擦し、トナー層厚を調節することが可能となる。
【0043】
トナー保持部材(42)として発泡体を使用し発泡体ローラとする場合、クリーニングローラ(3)よりも硬度の小さいものが使用される。
トナー層厚規制ローラ(4)の硬度がクリーニングローラ(3)の硬度よりも小さいことにより、クリーニングローラ(3)に当接させて、押圧するとトナー層厚規制ローラ(4)が変形することとなる。従って、クリーニングローラ(3)に対する追従性が向上し、クリーニングローラ(3)表面にトナーや放電生成物等の付着により凹凸が形成されていても、その形状に対応して摺擦し、トナー層厚を調節することが可能となる。
【0044】
クリーニングローラ(3)が当接する感光体ドラム(2)の最外層の材質は特に限定されず、アモルファスシリコンや有機感光体(OPC)等を用いることができる。
本発明に係るクリーニング装置(1)を使用すると、アモルファスシリコンからなる最外層を備えた感光体ドラム(2)であっても安定的且つ十分に研磨を行うことができ、画像形成時に不良(画像流れやダッシュマーク等)を生じる虞がない。
【0045】
図3は、本発明に係る画像形成装置を示す概略断面図である。
図示例の画像形成装置はプリンタであるが、複写機やファクシミリであってもよい。
本発明に係る画像形成装置は、上記したクリーニング装置(1)を備えているものである。
【0046】
図示例の画像形成装置は、プリンタ本体(11)の内部に格納された給紙カセット(12)と、給紙カセット(12)の収納空間(13)内に収納された用紙(図示せず)を取り出す給紙部(14)と、プリンタ本体(11)の正面に設置された手差しトレイ(15)と、手差しトレイ(15)にセットされた用紙(図示せず)を取り出す手差し給紙部(16)と、各給紙部(14),(16)から供給された用紙が搬送される搬送経路(17)と、各給紙部(14),(16)の合流部よりも用紙搬送方向下流側に配置されたレジストローラ対(18)と、レジストローラ対(18)よりも用紙搬送方向下流側に配置された画像形成部(19)と、画像形成部(19)よりも用紙搬送方向下流側に配置された画像(トナー画像)を定着する定着装置(20)と、用紙搬送方向上流側に用紙を引き戻す反転経路(21)と、搬送経路(17)の終端部に設けられた排紙部(22)とを備えている。
【0047】
画像形成部(19)は、感光体ドラム(2)と、感光体ドラム(2)の周囲に配置されたクリーニング装置(1)、帯電装置(23)、転写装置(24)、現像装置(25)、露光装置(26)を備えている。
これにより、画像形成部(19)は、感光体ドラム(2)が駆動手段(図示せず)によって所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動され、その表面が帯電装置(23)によって所定の極性・電位に均一に帯電される。
【0048】
帯電後の感光体ドラム(2)表面には、露光装置(26)によって静電潜像が形成される。露光装置(26)は、感光体ドラム(2)の表面にレーザー光(図示せず)を照射し、感光体ドラム(2)の表面のレーザー光照射部分の電荷を除去して画像情報に応じた静電潜像を形成する。
【0049】
感光体ドラム(2)の表面に形成された静電潜像は、現像装置(25)によってトナーコンテナ(27)から供給された電荷を有するトナーが静電的に付着されてトナー像として現像される。さらに、そのトナー像は、転写装置(24)によって用紙に転写像として転写される。この際、用紙にトナー像を転写した感光体ドラム(2)は、クリーニング装置(1)によって残留トナーや放電生成物等が除去され、更に除電装置(図示せず)によって次の画像形成時の帯電のための除電処理が施される。
【0050】
本発明に係る画像形成装置は、長期間の使用においてもクリーニングローラ(3)が摩耗することなく、安定的に感光体ドラム(2)表面が研磨されるため、ピンホール等の欠陥が生じず、また画像不良(画像流れやダッシュマーク等)が発生しない画像形成装置となる。
【実施例】
【0051】
以下、本発明に係るクリーニング装置に関する実施例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとする。
但し、本発明は下記実施例には限定されない。
【0052】
(実験例1)
本発明に係るクリーニング装置を画像形成装置(TASKalfa 500ci)に搭載し、印字後のクリーニングローラに形成されたトナー層の厚さを評価した。
図1に示す構成を備えたクリーニング装置を使用し、クリーニングローラに発泡ウレタンゴム(外径15.5mm、肉厚1.75mm)、クリーニングブレードに板状ウレタンゴム(厚さ2.2mm)、トナー層厚規制ローラにスポンジローラ(ウレタン、外径11mm、肉厚1.5mm)を用いた。また、感光体ドラムの最外層をアモルファスシリコンとし、トナーには酸化チタン(TiO)を外添した。
また、感光体ドラムの線速を210mm/sec、クリーニングローラの線速を168mm/secとした。
クリーニングローラ及びトナー層厚規制ローラの回転方向は、当接部において同方向とし、A4版の用紙(転写紙)に印字率2%で1万枚の連続印字を行い、クリーニングローラの軸方向5箇所でトナー層の厚さを計測し、その平均値を算出した。トナー層厚の測定にはレーザー外径測定器を使用し、トナーが付着した状態のローラ外径と、トナーをエア除去した状態のローラ外径夫々を測定し、その差をトナー層厚とした。
クリーニングローラに対するトナー層厚規制ローラの食い込み深さを0.2mm,0.4mm,0.6mmに設定し、夫々実施例1〜3とした。
また、トナー層厚規制ローラを設置せずに上記の印字動作を行ったものを比較例1、トナー層厚規制ローラに替えてスクレーパを設置し上記の印字動作を行ったものを比較例2とした。
結果を表1及び図4に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
トナー層厚規制ローラやスクレーパ等のトナー層の厚さを調節する部材を備えていない比較例1では、平均のトナー層厚が約38μmと厚いことがわかった。またクリーニングローラの軸方向において、10〜100μmと厚さのばらつきが見られた。
また、トナー層厚規制ローラに替えてスクレーパを用いた比較例2では、平均のトナー層厚が約6μmと非常に薄いものであった。
これに対して実施例1〜3では、クリーニングローラの軸方向において厚さのばらつきも略なく、平均のトナー層厚も10μm前後と略一定であることがわかった。
【0055】
比較例1のようにクリーニングローラのトナー層厚のばらつきが大きいと感光体ドラムの研磨ムラが生じるとともに、ピンホールが発生しやすくなる。また、トナーが感光体ドラムに再付着する虞もある。
比較例2では、クリーニングローラの軸方向でトナー層厚のばらつきは略見られなかったものの、トナー層厚が薄いためにクリーニングローラに保持されるトナー量は少なく、そのため感光体ドラムを十分に研磨することができず、画像不良が起こりやすくなる。
比較例1、2に比して、実施例1〜3では適度なトナー層厚を有するとともに、クリーニングローラの軸方向全長に亘って略均一な厚さであるため、感光体ドラム表面を効果的に研磨することができる。
【0056】
(実験例2)
<クリーニングローラへのトナー層の形成>
図1に示す構成を備えたクリーニング装置を使用し、クリーニングローラに形成されたトナー層の厚さを評価した。クリーニングローラにEPDM発泡体(外径15mm、肉厚2mm)、クリーニングブレードに板状ウレタンゴム(厚さ2.2mm)、トナー層厚規制ローラにブラシローラ(導電ナイロン、120KF/inch2、330T/48F、シャフト6mm、毛長さ3mm)を用いた。また、感光体ドラムの最外層をアモルファスシリコンとし、トナーには酸化チタン(TiO)を外添した。
クリーニングローラ及びトナー層厚規制ローラの回転方向は、当接部において同方向とし、感光体ドラムの周方向に50mm幅のベタの現像を500回行ってクリーニングローラにトナーを供給した。
【0057】
上記条件において、クリーニングローラとトナー層厚規制ローラを等速で回転させた。
トナー層厚規制ローラを設置してトナー層を形成したものを実施例4とし、トナー層厚規制ローラを設置せずにトナー層を形成したものを比較例3とした。
尚、トナー層厚は、トナー層厚規制ローラの一端を0とし、軸方向に30mm、60mm、90mm、120mm、150mmの距離において計測した。
結果を表2に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
トナー層厚規制ローラを備えていない比較例3では、クリーニングローラの軸方向においてトナー層厚にばらつきが生じることがわかる。
これに対して、トナー層厚規制ローラを用いた実施例4では、クリーニングローラの軸方向において均一なトナー層が形成されることが確認された。
【0060】
(実験例3)
実験例2と同様の方法でクリーニングローラにトナー層を形成し、クリーニングローラとトナー層厚規制ローラに速度差をつけて回転させた後に、トナー層厚を計測した。トナー層の厚さはクリーニングローラの軸方向5箇所で測定し、その平均値を算出した。
感光体ドラムの線速を210mm/sec、クリーニングローラの線速を168mm/secとし、クリーニングローラに対して0.6倍、0.8倍、1倍(従動)、1.2倍、1.4倍の線速でトナー層厚規制ローラを回転させた。
結果を表3に示す。
【0061】
【表3】

【0062】
表3より、クリーニングローラに対して速度差が大きくなると、トナー層厚が薄くなることがわかる。このことから、速度差をつけることでトナー層厚を調節することが可能であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等のクリーニング装置を備えた画像形成装置に対して好適に利用される。
【符号の説明】
【0064】
1 クリーニング装置
2 感光体ドラム
3 クリーニングローラ
4 トナー層厚規制ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムに当接して配設されるクリーニングローラと、該クリーニングローラ表面に付着したトナー層厚を規制するトナー層厚規制部材を備えるクリーニング装置であって、
前記トナー層厚規制部材が前記クリーニングローラに当接して回転するトナー層厚規制ローラからなることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記トナー層厚規制ローラと前記クリーニングローラの回転方向が当接部において同方向であることを特徴とする請求項1記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記クリーニングローラに対する前記トナー層厚規制ローラの線速が0.8〜1.2倍であることを特徴とする請求項2記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記クリーニングローラに対する前記トナー層厚規制ローラの食い込み深さが0.2〜0.6mmであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記トナー層厚規制ローラの外径が前記クリーニングローラの外径の整数倍でないことを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記トナー層厚規制ローラの外径が前記クリーニングローラの外径よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記感光体ドラムの最外層がアモルファスシリコンであることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記トナー層厚規制ローラが発泡体ローラ又はブラシローラであることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記トナー層厚規制ローラが発泡体ローラであって、前記発泡体ローラの硬度が前記クリーニングローラよりも小さいことを特徴とする請求項8記載のクリーニング装置。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれかに記載のクリーニング装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−137859(P2011−137859A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295800(P2009−295800)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】