説明

クリーンベンチ

【課題】 ワークに対する異物の付着を効果的に抑制するクリーンベンチを提供する。
【解決手段】 クリーンベンチ1は、作業面11aを有する作業台11と、作業面11a上の作業空間に向かって清浄気体を吹き出す清浄気体供給部12と、を備える。清浄気体供給部12は、清浄気体が垂直に吹き出す吹出面11cを有し、吹出面11cと作業面11aとが成す鋭角の角度が、0度より大きく90度より小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清浄な作業空間を確保するクリーンベンチに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置(例えば、集積回路や発光装置)に代表される精密な装置は、塵埃等の異物が付着すると、正常な動作を行うことができなくなる可能性がある。そのため、このような装置の製造や検査などの各種作業は、クリーンベンチを用いて行われることが多い。
【0003】
クリーンベンチは、異物を排除した清浄な気体(以下、清浄気体とする)を、作業の対象物(以下、ワークとする)が置かれる作業空間に向かって吹き出すことで、当該作業空間を清浄に保ち、ワークに異物が付着することを抑制する。なお、清浄気体は、例えば異物を除去するフィルタに空気を通過させることで得られる。
【0004】
また、清浄気体が吹き出す吹出面と作業面とは、平行または垂直である(例えば、特許文献1及び2参照)。即ち、吹出面と作業面とが成す角度が、0度または90度となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−75835号公報
【特許文献2】特開平6−178907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなクリーンベンチでは、ワークに付着する異物の数を十分に低減することができないため、問題となる。この問題について、図面を参照して説明する。図8は、吹出面と作業面とが平行(成す角度が0度)であるクリーンベンチの構造の一例を示す模式的な側面図である。また、図9は、吹出面と作業面とが垂直(成す角度が90度)であるクリーンベンチの構造の一例を示す模式的な側面図である。なお、図8及び図9中に示す黒い矢印は、清浄気体の流れを示すものである。
【0007】
図8に示すクリーンベンチ100は、ワークWが置かれる作業面101aを有するとともに貫通穴101bが設けられている作業台101と、空気を通過させることで清浄気体を生成するフィルタ102と、フィルタ102に空気を供給する気流発生部103と、清浄気体が垂直に吹き出す吹出面104と、を備える。また、吹出面104と作業面101aとが平行(成す角度が0度)であり、吹出面104から吹き出した清浄気体は、作業面101aに対して垂直な流れになる。
【0008】
図8に示すように、このようなクリーンベンチ100では、吹出面104とワークWとの間に作業者Hの手や腕が差し込まれることで乱流が生じ、例えば作業者Hに付着していた異物が剥離してワークWに付着し得るため、問題となる。
【0009】
一方、図9に示すクリーンベンチ200は、ワークWが置かれる作業面201aを有する作業台201と、空気を通過させることで清浄気体を生成するフィルタ202と、フィルタ202に空気を供給する気流発生部203と、清浄気体が垂直に吹き出す吹出面204と、を備える。また、吹出面204と作業面201aとが垂直(成す角度が90度)であり、吹出面204から吹き出した清浄気体は、作業面201aに対して平行な流れになる。
【0010】
図9に示すように、このようなクリーンベンチ200では、図8に示したクリーンベンチ100とは異なり、吹出面204とワークWとの間に作業者Hの手や腕が差し込まれることは抑制される。しかしながら、作業者Hが吹出面204と対向すると、作業者Hに清浄気体が正面衝突することで乱流が生じ、例えば作業者Hに付着していた異物が剥離してワークWに付着し得るため、問題となる。
【0011】
なお、特許文献1には、作業面と平行(成す角度が0度)になる吹出面と、作業面と垂直(成す角度が90度)になる吹出面と、の2つの吹出面を有するクリーンベンチが提案されている。しかしながら、このようなクリーンベンチでは、それぞれの吹出面から吹き出した清浄気体の2つの流れが衝突することで乱流が生じ、流れに巻き込まれた異物が排出され難くなるため、問題となる。
【0012】
そこで、本発明は、ワークに対する異物の付着を効果的に抑制するクリーンベンチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、作業面を有する作業台と、前記作業面上の作業空間に向かって清浄気体を吹き出す清浄気体供給部と、を備え、前記清浄気体供給部は、前記清浄気体が垂直に吹き出す吹出面を有し、前記吹出面と前記作業面とが成す鋭角の角度が、0度より大きく90度より小さいことを特徴とするクリーンベンチを提供する。当該クリーンベンチによれば、吹出面とワークとの間に作業者の手や腕が差し込まれて乱流が生じることや、作業者に清浄気体が正面衝突して乱流が生じることを、抑制することができ、ワークへの異物の付着を効果的に抑制することが可能になる。
【0014】
さらに、上記特徴のクリーンベンチにおいて、前記吹出面と前記作業面とが成す鋭角の角度が、60度以上80度以下であると、好ましい。この場合、特に効果的にワークへの異物の付着を抑制することができる。
【0015】
さらに、上記特徴のクリーンベンチにおいて、前記作業空間を囲う部材の少なくとも一部に貫通穴が形成され、前記清浄気体が前記貫通穴を介して前記作業空間から流出すると、好ましい。この場合、作業空間に吹き付けられた清浄気体が作業空間を囲う部材に衝突して乱流が発生することを、抑制することが可能になる。
【0016】
さらに、上記特徴のクリーンベンチにおいて、前記作業台が、複数の前記貫通穴が形成された穴あき平板であると、好ましい。作業面には、所定の角度から清浄気体が吹き付けられる。そのため、少なくとも作業台を穴あき平板にすると、乱流の発生を効果的に抑制することが可能になる。
【0017】
さらに、上記特徴のクリーンベンチにおいて、前記吹出面に対して垂直な天板を、さらに備え、前記天板は、前記吹出面の上端の直上領域と、前記作業面の直上領域の少なくとも一部と、を覆うように設けられると、好ましい。この場合、天板と作業面との間隔が、清浄気体の流れの下流ほど小さくなる。そのため、清浄気体の流れの下流において、清浄気体の流速を大きくすることが可能になる。したがって、作業空間中の異物を、効果的に排除することが可能になる。
【0018】
さらに、上記特徴のクリーンベンチにおいて、前記吹出面と前記作業面とが成す角度を変更する角度変更機構を、さらに備えると、好ましい。この場合、作業者が、自身の体格や作業のし易さ等に応じて、吹出面と作業面とが成す角度を変更することが可能になる。そのため、作業者の作業効率を、向上することが可能になる。
【0019】
さらに、上記特徴のクリーンベンチにおいて、前記作業面の高さを変更する高さ変更機構を、さらに備えると、好ましい。この場合、作業者が、自身の体格や作業のし易さ等に応じて、作業面の高さを変更することが可能になる、そのため、作業者の作業効率を、向上することが可能になる。
【0020】
さらに、上記特徴のクリーンベンチにおいて、前記清浄気体にイオンを含ませるイオナイザを、さらに備えると、好ましい。この場合、ワークが帯電して異物を引き寄せることを、抑制することが可能になる。
【0021】
さらに、上記特徴のクリーンベンチにおいて、前記清浄気体に接触する部材の少なくとも一部に、帯電防止処理が施されていると、好ましい。この場合、清浄気体が通過する領域に異物が引き寄せられることを、抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係るクリーンベンチの構造の一例を示す模式的な側面図。
【図2】本発明の実施形態に係るクリーンベンチの構造の一例を示す模式的な上面図。
【図3】各種クリーンベンチにおける、ワークへの異物の付着性について示すグラフ。
【図4】本発明の実施形態に係るクリーンベンチの構造の別例を示す模式的な側面図。
【図5】本発明の実施形態に係るクリーンベンチの構造の別例を示す模式的な上面図。
【図6】本発明の実施形態に係るクリーンベンチの構造の別例を示す模式的な側面図。
【図7】本発明の実施形態に係るクリーンベンチの構造の別例を示す模式的な側面図。
【図8】吹出面と作業面とが平行(成す角度が0度)であるクリーンベンチの構造の一例を示す模式的な側面図。
【図9】吹出面と作業面とが垂直(成す角度が90度)であるクリーンベンチの構造の一例を示す模式的な側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
最初に、本発明の実施形態に係るクリーンベンチの構造の一例について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係るクリーンベンチの構造の一例を示す模式的な側面図である。また、図2は、本発明の実施形態に係るクリーンベンチの構造の一例を示す模式的な上面図である。なお、図1及び図2に示す黒い矢印は、清浄気体の流れを示すものである。
【0024】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るクリーンベンチ1は、作業面11aを有する作業台11と、作業面11a上の作業空間に向かって清浄気体を吹き出す清浄気体供給部12と、清浄気体供給部12を支持する上流側支持部13と、清浄気体供給部12と作業台11との間に設けられるフレーム14と、作業台11を支持する下流側支持部15と、作業空間の上方に設けられる天板16と、作業空間の側方に設けられる側板17と、を備える。なお、図示の明確化のため、図1では側板17を省略し、図2では天板16を省略している。
【0025】
作業台11は、平板状であるとともに、その上面が作業面11aになっている。また、作業空間は、作業面11a上の空間であり、作業台11(作業面11a)、天板16及び側板17に囲まれている。作業者Hは、作業空間よりも清浄気体の流れの下流側に位置し、作業面11a上にワークWを置いて作業を行う。なお、図1及び図2では、ワークWの一例として、ウエハやウエハホルダ、ウエハカセットを示している。
【0026】
清浄気体供給部12は、空気を通過させることで清浄気体を生成するフィルタ12aと、フィルタ12aに空気を供給する気流発生部12bと、フィルタで生成された清浄気体が垂直に吹き出す吹出面12cと、を備える。フィルタ12aは、例えばHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタやULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタなどから成る。また、気流発生部12bは、例えば送風機や圧縮機から成る。また、吹出面12cから吹き出した清浄気体は、層流になり、作業空間に吹き付けられる。
【0027】
フレーム14は、吹出面12cと垂直になるように、その一方の端部が清浄気体供給部12に接続される。さらに、この接続部分が、上流側支持部13の上部に接続される。また、フレーム14の他方の端部には、作業台11の一方の端部が接続される。さらに、作業台11の他方の端部には、下流側支持部15の上部が接続される。
【0028】
天板16は、吹出面12cに対して垂直であるとともに、吹出面12cの直上領域と、作業面11aの直上領域の少なくとも一部と、を覆うように設けられる。そのため、吹出面12cから吹き出した清浄気体は、天板16の下方を流れて、作業空間に到達する。また、天板16の一方の端部は、清浄気体供給部12の上面に接続される。
【0029】
側板17は、作業空間の一方の側面側に設けられる。作業空間の他方の側面側には、クリーンベンチ1に隣接して、ウエハの処理装置P(一部のみ図示)が置かれている。ワークW(例えば、ウエハや、ウエハがセットされたウエハホルダ)は、作業空間から処理装置P内に自動または手動で搬入され、処理装置Pにおいて処理される。また、処理装置Pで処理された後のワークWは、処理装置Pから自動または手動で作業空間に搬出される。
【0030】
本実施形態のクリーンベンチ1では、上記の処理装置Pに対するワークWの搬入及び搬出を簡易化するために、作業空間の他方の側面側に、側板17を設けていない。ただし、この構造は一例に過ぎず、クリーンベンチ1の使用態様等に応じて、側板17などの部材をどのように設けてもよい。
【0031】
本実施形態のクリーンベンチ1では、吹出面12cと作業面11aとが成す鋭角の角度が、0度より大きく90度より小さくなる。そのため、吹出面12cから吹き出した清浄気体が、作業面11aに対して斜めに吹き付けられる。特に、本実施形態のクリーンベンチ1では、吹出面12cが、上側ほど作業面11aに近づくように傾斜する。そのため、吹出面12cから吹き出した清浄気体は、作業面11aに対して斜め上から吹き付けられる。
【0032】
以上より、図1及び図2に示すように、本実施形態のクリーンベンチ1では、吹出面12cとワークWとの間に作業者Hの手や腕が差し込まれることで乱流が生じることを、抑制することができる。さらに、本実施形態のクリーンベンチ1では、作業者Hに清浄気体が正面衝突することで乱流が生じることを、抑制することができる。したがって、本実施形態のクリーンベンチ1では、作業空間に乱流が生じることを抑制することができるため、ワークへの異物の付着を効果的に抑制することが可能になる。
【0033】
また、本実施形態のクリーンベンチ1では、天板16と作業面11aとの間隔が、清浄気体の流れの下流ほど小さくなる。そのため、清浄気体の流れの下流において、清浄気体の流速を大きくすることが可能になる。したがって、作業空間中の異物を、効果的に排除することが可能になる。
【0034】
また、本実施形態のクリーンベンチ1における、ワークWへの異物の付着の抑制効果について、図面を参照して説明する。図3は、各種クリーンベンチにおける、ワークへの異物の付着性について示すグラフである。なお、図3に示すグラフは、横軸が作業時間、縦軸がワークに付着した異物の数を示している。また、吹出面と作業面とが平行であるクリーンベンチ(図8参照)におけるワークWへの異物の付着性を破線で示し、吹出面と作業面とが垂直であるクリーンベンチ(図9参照)におけるワークWへの異物の付着性を一点鎖線で示し、本実施形態のクリーンベンチ1におけるワークWへの異物の付着性を太い実線で示す。ただし、図3では、本実施形態のクリーンベンチ1の吹出面12cと作業面11aとが成す鋭角の角度が、70度である場合を例示する。
【0035】
図3に示すように、吹出面と作業面とが平行であるクリーンベンチが、最もワークに異物が付着しやすく、吹出面と作業面とが垂直であるクリーンベンチが、これに次いでワークに異物が付着しやすくなっている。そして、本実施形態のクリーンベンチ1が、最もワークに異物が付着し難くなっている。
【0036】
このように、本実施形態のクリーンベンチ1では、他のクリーンベンチと比較して、ワークWへの異物の付着を効果的に抑制することができる。
【0037】
なお、吹出面12cと作業面11aとが成す鋭角の角度を、60度以上80度以下にすると、特に効果的にワークWへの異物の付着を抑制することができるため、好ましい。さらに、吹出面12cと作業面11aとが成す鋭角の角度を70度にすると、さらに効果的にワークWへの異物の付着を抑制することができるため、好ましい。
【0038】
<変形例>
本実施形態のクリーンベンチ1の変形例について、以下説明する。なお、それぞれの変形例は、単独で適用するだけでなく、組み合わせて適用することも可能である。
【0039】
[1] 上述のクリーンベンチ1において、作業空間を囲う部材の少なくとも一部に貫通穴を形成し、清浄気体が貫通穴を介して作業空間から流出する構造にしてもよい。この場合におけるクリーンベンチの構造の一例について、図面を参照して説明する。図4は、本発明の実施形態に係るクリーンベンチの構造の別例を示す模式的な側面図である。図5は、本発明の実施形態に係るクリーンベンチの構造の別例を示す模式的な上面図である。なお、図4は、図1と同様の方法で、本例のクリーンベンチ1Aについて図示したものであり、図5は、図2と同様の方法で、本例のクリーンベンチ1Aについて図示したものである。また、以下では、図4及び図5に示すクリーンベンチ1Aについて、図1及び図2に示すクリーンベンチ1と異なる部分を中心に説明し、同様となる部分は説明を省略する。
【0040】
図4及び図5に示すように、本例のクリーンベンチ1Aでは、作業台11A及び側板17Aに複数の貫通穴が設けられて、それぞれが穴あき平板になっている。また、清浄気体は、これらの貫通穴を介して、作業空間から流出する。
【0041】
このような構造にすると、作業空間に吹き付けられた清浄気体が作業空間を囲う部材に衝突して乱流が発生することを、抑制することが可能になる。
【0042】
特に、本例のクリーンベンチ1では、作業面11Aaに対して、所定の角度(例えば、10度以上30度以下)から清浄気体が吹き付けられる。そのため、少なくとも作業台11Aを穴あき平板にすることで、乱流の発生を効果的に抑制することが可能になる。
【0043】
[2] 上述のクリーンベンチ1において、吹出面12cから吹き出した清浄気体が、作業空間に対して斜め下から吹き付けられる構造としてもよい。この場合におけるクリーンベンチの構造の一例について、図面を参照して説明する。図6は、本発明の実施形態に係るクリーンベンチの構造の別例を示す模式的な側面図である。なお、図6は、図1と同様の方法で、クリーンベンチ1Bについて図示したものである。また、以下では、図6に示すクリーンベンチ1Bについて、図1に示すクリーンベンチ1と異なる部分を中心に説明し、同様となる部分は説明を省略する。
【0044】
図6に示すように、本例のクリーンベンチ1Bでは、吹出面12cが、上側ほど作業面11aから遠ざかるように傾斜する。そのため、吹出面12cから吹き出した清浄気体は、作業空間に対して斜め下から吹き付けられる。ただし、本例のクリーンベンチ1Bでも、吹出面12cと作業面11aとが成す鋭角の角度が、0度より大きく90度より小さくなるものとする。
【0045】
このような構造であっても、上述したクリーンベンチ1と同様に、吹出面12cとワークWとの間に作業者Hの手や腕が差し込まれることで乱流が生じることや、作業者Hに清浄気体が正面衝突することで乱流が生じることを、抑制することができる。したがって、本例のクリーンベンチ1Bでも、作業空間に乱流が生じることを抑制することができるため、ワークWへの異物の付着を効果的に抑制することが可能になる。
【0046】
なお、本例のクリーンベンチ1Bにおいても、吹出面12cと作業面11aとが成す鋭角の角度を、60度以上80度以下にすると、特に効果的にワークWへの異物の付着を抑制することができるため、好ましい。さらに、吹出面12cと作業面11aとが成す鋭角の角度を70度にすると、さらに効果的にワークWへの異物の付着を抑制することができるため、好ましい。
【0047】
[3] 上述のクリーンベンチ1において、作業面11aに対する吹出面12cの角度(作業空間への清浄気体の吹き付け角度)や、作業面11aの高さなどを、変更可能としてもよい。この場合におけるクリーンベンチの構造の一例について、図面を参照して説明する。図7は、本発明の実施形態に係るクリーンベンチの構造の別例を示す模式的な側面図である。なお、図7は、図1と同様の方法で、クリーンベンチ1Cについて図示したものである。また、以下では、図7に示すクリーンベンチ1Cについて、図1に示すクリーンベンチ1と異なる部分を中心に説明し、同様となる部分は説明を省略する。
【0048】
図7に示すように、本例のクリーンベンチ1Cは、清浄気体供給部12及びフレーム14と上流側支持部13との取り付け角度を変更可能にする上流側角度調整部18と、フレーム14と作業台11との取り付け角度を変更可能にする下流側角度調整部19と、上流側支持部13の長さを変更可能にする上流側高さ調整部20と、下流側支持部15の長さを変更可能にする下流側高さ調整部21と、を備える。
【0049】
上流側角度調整部18及び下流側角度調整部19は、それぞれ固定用のネジ18a,19aを備える。上流側角度調整部18のネジ18aが緩められていると、清浄気体供給部12及びフレーム14と、上流側支持部13の上部と、の取り付け角度が変更可能(回転可能)な状態になる。同様に、下流側角度調整部19のネジ19aが緩められていると、フレーム14と作業台11との取り付け角度が変更可能(回転可能)な状態となる。
【0050】
一方、上流側角度調整部18のネジ18aが締め込まれると、清浄気体供給部12及びフレーム14と、上流側支持部13の上部と、の取り付け角度が固定される。同様に、下流側角度調整部19のネジ19aが締め込まれると、フレーム14と作業台11との取り付け角度が固定される。
【0051】
また、上流側高さ調整部20及び下流側高さ調整部21は、それぞれ固定用のネジ20a,21aを備える。上流側高さ調整部20のネジ20aが緩められていると、上流側支持部13と上流側高さ調整部20とを併せた全体の長さが、変更可能な状態となる。同様に、下流側高さ調整部21のネジ21aが緩められていると、下流側支持部15と下流側高さ調整部21とを併せた全体の長さが、変更可能な状態となる。
【0052】
一方、上流側高さ調整部20のネジ20aが締め込まれると、上流側支持部13と上流側高さ調整部20とを併せた全体の長さが、固定される。同様に、下流側支持部15と下流側高さ調整部21とを併せた全体の長さが、固定される。
【0053】
作業者Hは、ネジ18a,19aを緩めて、作業面11aに対する吹出面12cの角度が所望の角度となるように各部(例えば、清浄気体供給部12、上流側支持部13、フレーム14)を動かした後、ネジ18a,19aを締め込む。これにより、作業面11aに対する吹出面12cの角度が、作業者Hの望む角度で固定される。
【0054】
また、作業者Hは、ネジ20a,21aを緩めて、作業面11aの高さが所望の高さとなるように各部(例えば、上流側高さ調整部20及び下流側高さ調整部21)を動かした後、ネジ20a,21aを締め込む。これにより、作業面11aの高さが、作業者Hの望む高さで固定される。
【0055】
このように、本例のクリーンベンチ1Cでは、吹出面12cと作業面11aとが成す角度や、作業面11aの高さを、作業者Hが変更することが可能になる。そのため、作業者Hが、自身の体格や作業のし易さ等に応じて、これらを変更することが可能になる。したがって、作業者Hの作業効率を、向上することが可能になる。
【0056】
なお、本例のクリーンベンチ1Cにおいて、吹出面12cと作業面11aとが成す角度を変更するための機構や、作業面11aの高さを変更するための機構は、上記の例に限られず、どのような機構であってもよい。また、本例のクリーンベンチ1Cにおいて、吹出面12cと作業面11aとが成す角度が60度以上80度以下の範囲内で変更可能となる機構を、適用してもよい。
【0057】
[4] 上述のクリーンベンチ1において、清浄気体にイオンを供給するイオナイザを、さらに備えてもよい。これにより、ワークWが帯電して異物を引き寄せることを、抑制することが可能になる。
【0058】
また、上述のクリーンベンチ1において、清浄気体が接触する部材(例えば、作業台11、フレーム14、天板16、側板17)の少なくとも一部に、帯電防止処理を施してもよい。これにより、清浄気体が通過する領域に異物が引き寄せられることを、抑制することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、例えば半導体装置の製造や検査などの各種作業を行う際に用いられるクリーンベンチに適用すると、好適である。
【符号の説明】
【0060】
1,1A〜1C : クリーンベンチ
11,11A : 作業台
11a,11Aa : 作業面
12 : 清浄気体供給部
12a : フィルタ
12b : 気流発生部
12c : 吹出面
13 : 上流側支持部
14 : フレーム
15 : 下流側支持部
16 : 天板
17,17A : 側板
18 : 上流側角度調整部
18a : ネジ
19 : 下流側角度調整部
19a : ネジ
20 : 上流高さ調整部
20a : ネジ
21 : 下流高さ調整部
21a : ネジ
W : ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業面を有する作業台と、
前記作業面上の作業空間に向かって清浄気体を吹き出す清浄気体供給部と、を備え、
前記清浄気体供給部は、前記清浄気体が垂直に吹き出す吹出面を有し、
前記吹出面と前記作業面とが成す鋭角の角度が、0度より大きく90度より小さいことを特徴とするクリーンベンチ。
【請求項2】
前記吹出面と前記作業面とが成す鋭角の角度が、60度以上80度以下であることを特徴とする請求項1に記載のクリーンベンチ。
【請求項3】
前記作業空間を囲う部材の少なくとも一部に貫通穴が形成され、前記清浄気体が前記貫通穴を介して前記作業空間から流出することを特徴とする請求項1または2に記載のクリーンベンチ。
【請求項4】
前記作業台が、複数の前記貫通穴が形成された穴あき平板であることを特徴とする請求項3に記載のクリーンベンチ。
【請求項5】
前記吹出面に対して垂直な天板を、さらに備え、
前記天板は、前記吹出面の上端の直上領域と、前記作業面の直上領域の少なくとも一部と、を覆うように設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のクリーンベンチ。
【請求項6】
前記吹出面と前記作業面とが成す角度を変更する角度変更機構を、
さらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のクリーンベンチ。
【請求項7】
前記作業面の高さを変更する高さ変更機構を、
さらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のクリーンベンチ。
【請求項8】
前記清浄気体にイオンを含ませるイオナイザを、
さらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のクリーンベンチ。
【請求項9】
前記清浄気体に接触する部材の少なくとも一部に、帯電防止処理が施されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のクリーンベンチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−57451(P2013−57451A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196106(P2011−196106)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】