説明

クレーンゲーム機

【課題】景品の重さの如何に関わらず運搬途中でごく自然にキャッチャーから落下させることが可能なクレーンゲーム機を提供すること。
【解決手段】ソレノイド装置20に対する通電をオン状態とすることによってコイル28を励磁し、オフ状態とすることによって消磁することで可動鉄心21を進退させ、同可動鉄心21の進退に連動させてキャチャーのアーム部を収斂及び拡開させるようにしたクレーンゲーム機において、景品のキャッチ位置でのアーム部の収斂動作から景品投入口での拡開動作に至るまでソレノイド装置20に対する通電をごく短いタイミングで入り切りさせるとともに通電時の印可電圧を徐々に下げるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は景品等の対象物をキャッチャーで獲得することを目的とするゲームセンター等に設置されるクレーンゲーム機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なクレーンゲーム機は水平方向及び上下方向に移動するキャッチャーを備えておりプレーヤの操作によって初期位置から水平方向に移動させられ、設定された所定の位置においてワイヤのような吊り下げ索に吊り下げたキャッチャーをワイヤを繰り出すことで下降させてキャッチャー下部のアームを収斂手段によって収斂させ所望の景品(対象物)を把持させるようになっている。キャッチャーのアームが把持動作を行うと実際に景品を掴んだかどうかの如何を問わず、一旦上昇させられ景品落下筒の上方に移動させられる。そして、その位置で今度はアームを拡開させ掴んだ景品を景品投入口に落下させ(実際に景品を掴んでいなければ動作のみ)、その後初期位置に復帰させられる。収斂手段としていくつかあるが代表的なのはキャッチャーに内蔵させたソレノイド装置のような電力で作動するアクチュエータを使用するクレーンゲーム機である。これはソレノイド装置に内蔵されたコイルへの通電のオン・オフに基づいて可動鉄心を進退させこれと連動したアームを収斂させ拡開させるものである。
このような構成のクレーンゲーム機の一例を特許文献1として示す。
ところで、特許文献1を含めこの種のクレーンゲーム機における景品は様々な大きさや重さのものが用意されている。つまり、プレーヤがキャッチャーで狙う景品は一律ではなく区々でありそのことがゲームの興趣をいや増すこととなっていた。
【特許文献1】特許第2656863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、ある重い景品を基準としてこの景品を持ち上げできるようにアームの収斂時の閉じる力(つまりアームの握力とする)を大きく設定すると、この景品よりも軽い景品であればうまく掴むことさえできればすべて獲得できることとなってしまう。しかし、ゲーム機を設置した側(ゲームセンター側)にとっては掴みさえすればいつも景品を獲得されてしまうのでは採算が合わないこととなる。そのため握力をあまり強く設定しないようにしたいと考えるものの、逆に握力が弱すぎるとせっかくうまく掴めているにも関わらず景品を獲得できないとして、プレーヤのゲームへの意欲を著しく阻害することとなってプレーヤーがクレーンゲーム機でのプレーを避けるようになってしまうのでかえって逆効果である。
このようなことから、始めに握力を強く設定し、景品投入口に至る途中で徐々に弱い状態へと変化させるようにアームの握力を制御することが考えられる。具体的にはソレノイド装置への印可電圧を徐々に小さくすることでコイルに発生する吸引力を下げ握力を段々弱くするという手段が想定される。そのような構成とすれば初めは重い景品であっても強い握力で持ち上げることが可能であるが握力が低下して支えられなくなればその景品は運搬途中で落下することとなる。
【0004】
しかし、このような制御では次のような課題が生じる。ソレノイド装置への通電がない場合にはアームは基本的に自重によって拡開されることとなるが、通電されていたとしても所定の吸引力が発生していなければやはり拡開されてしまうこととなる。キャッチャーで景品を運搬する途中で景品がキャッチャーのアームからずり落ちてしまうのであるならば不自然ではないが、景品投入口に至る前にアームが拡開されてしまうことは極めて不自然でありプレー上あってはならない。そのため、印可電圧は少なくともアームが拡開されない程度の吸引力をキープさせる強さを維持しなければならない。今、ここにアームが拡開されないレベルの最低電圧をアーム保持最低電圧Vuとする。
ところが、アーム保持最低電圧Vuでのアームの握力は一定であるため、このアーム保持最低電圧Vuでの握力で落とさずに運搬できる景品であれば必ず景品を獲得できることとなってしまうため、上記と同様の課題が生じてしまうこととなる。そのため、クレーンゲーム機において重量のある景品のみならず軽量の景品であっても同じように運搬途中で景品に落ちる可能性を与えることが望まれていた。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その主目的とするところは、景品の重さの如何に関わらず運搬途中でごく自然にキャッチャーから落下させることが可能なクレーンゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための第1の手段として、景品を把持するアーム部と同アーム部を収斂させる収斂手段を備えたキャッチャーとを備えるとともに、同キャッチャーを上下方向に移動させる第1の移動手段と同キャッチャーを水平方向に移動させる第2の移動手段を備え、プレーヤの操作に基づいて初期位置にある同キャッチャーを同第1及び第2の移動手段によって対象物の把持が可能なキャッチ位置に移動させ、移動したキャッチ位置で前記収斂手段によって同キャッチャーの前記アーム部を収斂させた後、対象物の獲得如何に関わらず同第1及び第2の移動手段によって同キャッチャーを景品投入口に移動させ同収斂手段によって同アーム部を拡開させるようにしたクレーンゲーム機において、
前記収斂手段はソレノイド装置であって、同ソレノイド装置に対する通電をオン状態とすることによって内蔵コイルを励磁し、オフ状態とすることによって消磁することで可動鉄心を進退させ、同可動鉄心の進退に連動させた前記アーム部を収斂及び拡開させるようにするとともに、少なくとも前記キャッチ位置での同アーム部の収斂動作から景品投入口での拡開動作に至るまでに同ソレノイド装置に対する通電をごく短いタイミングで入り切りさせるように制御したことをその要旨とする。
【0006】
このような構成ではキャッチ位置でアーム部を収斂させて景品を掴むとソレノイド装置は当初はアーム部に強い握力を発生させることができるためキャッチャーは重量の如何に関わらず十分持ち上げることが可能となる。一旦持ち上げられた運搬される景品は、通電オフとされた瞬間に握力は理論上0となるためアーム部から自重でずり落ちることとなるが、次の瞬間再び通電オンとされるためずり落ち作用は停止し、徐々にずり落ちながらもアーム部に掴まれながらキャッチャーとともに景品投入口へと運搬させられる。また、通電のオン・オフに伴ってソレノイド装置が振動するためその振動も景品のずり落ち作用に貢献する。ずり落ちはずり落ち量に違いはあるものの重量のある景品もそうでない景品も通電オフに伴って発生する。これによって景品の重量如何に関わらずキャッチャーによって運搬される途中で景品は外見上プレーヤからは不自然には見えずに少しずつずり落ちていくこととなる。
尚、ここで「景品」とはそれ自体プレーヤにとって使用価値がある賞品的なものでも使用価値があるものとの交換のできる賞品の代替品のようなものも意味するものとする。
【0007】
また、上記の目的を達成するための第2の手段として第1の手段に加え、前記ソレノイド装置に対する通電をごく短いタイミングで入り切りさせる際にはソレノイド装置に対する印可電圧を徐々に下げていくように制御することをその要旨とする。
このようにソレノイド装置に対する印可電圧を徐々に下げていくと、単位時間当たりの握力が徐々に弱まっていくこととなるため、落ち易さの調整をすることが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
上記各請求項の発明では、キャッチャーによって掴まれた景品を重量のあるなしに関わらず景品投入口へと運搬される途中でプレーヤに気づかれることなく徐々にアーム部からずり落ちさせることができ、不自然さを感じさせずに景品を途中で落下させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明におけるクレーンゲーム機を具体化した一実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、クレーンゲーム機の筐体1の上部位置には透明なガラスケース2が配設されている。ガラスケース2内には複数の景品3が収納されている。本実施例の景品3は同形状のカプセルに収容されているため外形形状はすべて同じとされ、収容された景品の種類によって重量が同じ場合と異なる場合が混在しているものとする。
筐体1の側面には操作パネル4が形成されている。操作パネル4上にはプレーヤが操作する操作ボタンB1,B2が配設されている。ガラスケース2内の角隅には景品投入口としての景品投入筒5が上方に向かって開口するように突設されている。ガラスケース2の上部位置には左右一対の案内レール6と同両案内レール6に案内される移動ビーム7が配設されている。移動ビーム7には移動プレート8が配設されている。移動ビーム7は案内レール6の長手方向に沿って移動可能とされ、移動プレート8は移動ビーム7の長手方向に沿って移動可能とされている。その結果、移動プレート8は初期位置(ホームポジション)から水平平面上の所望の位置に移動可能とされることとなる。尚、本実施例では景品投入筒5の上部位置が初期位置とされている。
【0010】
移動プレート8には第1のモータ9が配設されている。また、第1のモータ9には図示しないプーリ等で構成されるワイヤ繰り出し・巻き取り機構10が併設されており、第1のモータ9の駆動によってワイヤ繰り出し・巻き取り機構10が作動してワイヤ11を繰り出し及び巻き取り方向に進退させるようになっている。
移動プレート8にはリミットスイッチ12と同リミットスイッチ12の入力レバー13と干渉するパイプ材14が配設されている。図1〜図3に示すように、パイプ材14はワイヤ11に挿通された状態で移動プレート8に固着された支持フレーム15の長孔22内に配置されている。パイプ材14はフランジ16によって脱落不能に掛止されている。パイプ材14は長孔22の長手方向に移動可能に遊嵌されている。リミットスイッチ12の入力レバー13はワイヤ11に十分張力がある場合にはパイプ材14によって後退させられ(図2(b)の状態)、ワイヤ11の張力が所定値以下になった場合にはその付勢力でパイプ材14を長孔22に沿って押動して進出位置に配置される(図3(b)の状態)。尚、移動プレート8にはキャッチャー17の上死点を検出する検出手段が配設されるが、本実施の形態では詳しい説明は省略する。
【0011】
ワイヤ11の先端にはキャッチャー17が吊り下げ支持されている。図4示すように、キャッチャー17の笠状の本体19内部には収容フレーム18に支持されたソレノイド装置20が配設されている。ソレノイド装置20には励磁の入り切りによって進退する可動鉄心21が下方に向かって突出されている。可動鉄心21の下端寄り外周には3つのアーム23が上下動可能に軸支されている。アーム23基部とフレーム18間はそれぞれリンク装置22によって連結されている。
図5(a)及び(b)に示すように、リンク装置22は収容フレーム18から側方に延出された第1ブラケット22a、リンク部材22b、レバーとされるアーム23、可動鉄心21下部の重錘体27から側方に延出された第2ブラケット22cから構成されている。リンク部材22bの上端は第1ブラケット22a先端に回動自在に支持されるとともに下端側でアーム23基部寄りに回動自在に支持されている。アーム23の基部は第2ブラケット22cに対して回動自在に支持されている。
このような構成ではアーム23は図5(a)に示すように可動鉄心21が下動した際には拡開され、図5(b)に示すように上動した際には収斂する。
図6に基づいてソレノイド装置20の構成について説明する。ソレノイド装置20は本体フレーム25及び蓋フレーム26を備えている。本体フレーム25の中央の透孔25aと蓋フレーム26の透孔26aには上下動可能に前記可動鉄心21が挿通されている。可動鉄心21の下端には重錘体27が装着されている。本体フレーム25内であって可動鉄心21の外周にはコイル28が配設されている。ソレノイド装置20ではコイルに通電されることでコイルは励磁されて可動鉄心21に対する吸引力が発生し、可動鉄心21は上動し、コイルへの通電がなくなると消磁されて重錘体27の重量によって下動するようになっている。
【0012】
次に、このように構成されるクレーンゲーム機の電気的構成について図7に基づいて説明する。尚、本発明と直接関係のない電気的構成については説明を省略する。
所定のプログラムに基づいて各種制御を行う制御手段としてのコントローラCはCPU(中央処理装置)をメインにした制御部30と記憶手段としてのメモリ31及び時間を計測するためのタイマ回路32を備えている。コントローラCには前記操作パネル4(操作ボタンB1,B2)、第1のモータ9及びソレノイド装置20が接続されている。また、移動ビーム7及び移動プレート8を駆動させるための第2及び第3のモータ33,34が接続されている。更に、キャッチャー17の着地を検出するためのリミットスイッチ12が接続されている。
コントローラCは操作ボタンB1,B2の操作に基づいて第2及び第3のモータ33,34を駆動制御して初期位置から所定の水平位置に移動プレート8を移動させ、停止させるとともに、第1のモータ9を駆動させてワイヤ11を繰り出しさせキャッチャー17を下降させる。また、リミットスイッチ12の検出信号に基づいてソレノイド装置20を励磁させて常時は拡開状態のキャッチャー17のアーム23を収斂させるとともに、その収斂後に第1のモータ9を駆動させてワイヤ11を巻き戻しさせキャッチャー17を上昇させる。景品投入筒5の位置は前もってメモリ31に座標化して記憶されているため、コントローラCは第2及び第3のモータ33,34を再度駆動させてキャッチ位置からこの景品投入筒5の上部位置に移動プレート8を強制的に移動させる。移動プレート8(キャッチャー17)が景品投入筒5の上部位置に移動するとソレノイド装置20を消磁させてアーム23に開放動作をさせる。
本実施例ではコントローラCはアーム23の収斂から景品投入筒5の上部位置での開放に至るまでの電源のオン・オフと印可電圧を制御するプログラム(メモリ31内に格納)に基づいてキャッチャー17の動作に呼応させて経時的にソレノイド装置20の印可電圧と印可タイミングを制御する。
【0013】
次にこのように構成されるクレーンゲーム機の動作について特にソレノイド装置20の制御に基づく作用を中心に説明する。
プレーヤによる操作パネル4の操作(コイン投入及び操作ボタンB1,B2の操作)に基づいてコントローラCは第2及び第3のモータ33,34を駆動させる。これによって初期位置に停止状態のキャッチャー17は移動プレート8とともに移動を開始する。ゲーム開始前の停止状態のキャッチャー17のワイヤ11は巻き戻しされてガラスケース2内の上部位置に配置されている。
プレーヤの操作ボタンB1,B2の操作の結果としてコントローラCは第2及び第3のモータ33,34の駆動を停止させてキャッチャー17を所定の水平位置で停止させる。次いでコントローラCは第1のモータ9をワイヤ繰り出し方向に駆動させてキャッチャー17を下降させる。そして図3に示すようにアーム23が接地すると、ワイヤ11が緩んでリミットスイッチ12の入力レバー13が自身の付勢力によってパイプ材14を押動して進出するようになる。すると、リミットスイッチ12はオフ状態となり、その検出信号に基づいてコントローラCは第1のモータ9を停止させる。同時に、コントローラCはソレノイド装置20の励磁制御を開始する。
図8に基づいて制御内容を説明する。図8においては立ち上げが電源オンの状態で立ち下がりが電源オフの状態である。縦軸が印可電圧の強弱を示し、横軸は時間軸である。
【0014】
図8に示すように、まずコントローラCがリミットスイッチ12のオンを検出した時点をt0とする。t0〜t1においてコントローラCは500ミリセコンド(以下、msとする)経過するまでソレノイド装置20に18Vを印可し、次いでt1〜t2において電源オフ(印可電圧0)とする。このようにソレノイド装置20のオン・オフ制御の冒頭に高い電圧で比較的長いオン時間を設けることでアーム23を収斂させてしっかりと確実に景品3を掴ませることが可能となる。
コントローラCはt1のタイミングの経過と同時に第1のモータ9をワイヤ巻き取り方向に駆動させてキャッチャー17を上昇させる。ここでアーム23が景品を掴んでいれば景品3は持ち上げられることとなる。
【0015】
次いでコントローラCはt2〜t3において10msの等間隔で交互に電源のオン・オフを繰り返し電源オンの際に所定の電圧をソレノイド装置20に印可する。t2〜t3においてはコントローラCはまず最初の電源のオンのパルス信号でソレノイド装置20に8Vを印可する。ここで、その後に印可される電圧レベルより小さな8Vを1パルス印可するのは、可動鉄心21への吸引による上動が大きすぎて印可電圧を弱めても握力が十分に弱まらないことを防止するためである。つまり、所望の握力を創出するために印可当初に調整用の小さな電圧のパルスを与えるものである。
次いで2回目と3回目の電源のオンのパルス信号で18Vを印可し、その後は2つのパルス毎に段階的に印可電圧を弱くしながらオン・オフを繰り返す。つまりt2〜t3においては単位時間当たりの握力が徐々に弱まっていく握力降下期間とされる。本実施例ではt2〜t3は3.25セコンド(以下、sとする)に設定され、本実施例ではこの間に印可電圧は等レベルで13段階に低下させられることとなる。もちろん13段階以外の多数の段階に設定することも自由である。
t2〜t3の時間帯においてはアーム23は景品を掴んでいるいないに関わらず収斂された状態となり、キャッチャー17は景品投入筒5に向かって移動している途中とされる。アーム23が景品3を掴んでいれば電源オフの際には微妙に景品3はずり落ちることとなる。また、徐々に握力が弱まっていくためずり落ち量は時間とともに多くなる。更に、このような短い間隔の電源のオン・オフは同時にアーム23に振動を与えることとなり、プレーヤには非常に短い周期であるため分からないが景品3は(ずり落ち量の多寡はあるものの)確実にずり落ちていくこととなる。
【0016】
t3に達した段階(つまりt2から3.25s経過した段階)において段階的に低下してきた印可電圧は8Vとされ、この段階でコントローラCは印可電圧の段階的な低下(電圧の逓減)を停止させる。印可電圧がこれよりも低下すると重錘体27の重量が励磁によって発生する吸引力を上回るためである(アーム保持最低電圧)。
これ以後はコントローラCは印可電圧を低下させずに10ms間隔で交互に電源のオン・オフを繰り返しアーム保持最低電圧を維持させながらソレノイド装置20を制御していく。本実施例ではt3〜t4は4.0sに設定されている。これはもっとも景品投入筒5から離間した位置においてアーム23の収斂動作が行われた場合の景品投入筒5の上方に達する時間を考慮したものである。コントローラCはt4でソレノイド装置20に対する印可を終了する。但し、この印可終了前にキャッチャー17は初期位置である景品投入筒5に到達すると図示しない位置センサ(リミットスイッチ等)の入力に基づいてアーム23は拡開されることとなる。アーム23拡開によって1ゲームが終了する。
【0017】
このように構成することによって本実施の形態では次のような効果が奏される。
(1)景品3が運搬されている途中ではプレーヤにわからないくらいの短い間隔で電源のオン・オフが行われ、その結果、重い景品3でも軽い景品3でもいずれも運搬途中で景品3が微妙にずり落ちていくような所作となるため、しっかり掴んだ景品3であっても不自然さを感じさせることなく獲得できなくなるような制御が可能となる。
(2)ソレノイド装置20に対する印可電圧を逓減させることで景品3の運搬途中で徐々にアーム23の握力を弱くするような制御がバネ等の構成を採用することなく実現できるため、景品3の種類や重さに応じて景品3を獲得できる期待値等をゲーム機によって適宜変更することが容易となる。
(3)短い間隔の電源のオン・オフは同時にアーム23に振動を与えることとなり景品3のズレ落ちを助長することができる。
【0018】
・その他、本発明は以下のような態様で変更して実施することも可能である。
・上記実施例におけるソレノイド装置20の印可電圧の制御では徐々に印可電圧を低下させるようにしてアーム23の握力を景品3を運搬する途中で徐々に弱くするような手法を採用した。しかし、図9に示すように印可電圧は一定でオフ状態を徐々に長くするようにして単位時間当たりの握力を徐々に弱くするような制御手法を採用することも可能である。図9では交互に電源のオン・オフを繰り返すt2〜t3の時間帯においては初めの頃は5msを電源のオフ時間とし、徐々にオフ時間を長くし、最後には20msとしている。20msに止めたのはあまりオフ時間を長くするとアーム23に加わる振動が大きくなってプレーヤに電源のオン・オフを繰り返していることが分かりやすくなってしまうためである。このオフ時間の長さは印可電圧の大きさによって変動するものであり、図9は一例に過ぎない。また、図9の制御ではオフ時間を長くするとともにオン時間も長くするという制御としたが、オン時間は必ずしも長くしなくとも構わない。
・図8の制御は一例に過ぎない。例えば、印可電圧の逓減量や2つのパルス毎で同じ電圧を印可すること等は適宜変更することは自由である。
図8のように印可電圧を逓減させると同時に図9のようにオフ時間の長さを徐々に長くするような制御も可能である。
・上記実施例では非通電時においてアーム23は重錘体27の重量によって拡開されるようになっていたが、この手段の拡開手段、例えばバネによって可動鉄心21を下方に付勢させて拡開させるようにしても構わない。
・クレーンゲーム機の機種によって制御時間は区々である。
・アームの形状やキャッチャーの形状については上記は一例であり、他の態様で実施することは自由である。
・キャッチャー17の水平移動は上記実施の形態では移動プレート8の左右及び前後の移動によって実現されていたが、他の移動パターンであっても構わない。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更して実施することは自由である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態のクレーンゲーム機の概略斜視図。
【図2】(a)は同じクレーンゲーム機のキャッチャーを説明する説明図、(b)はリミットスイッチとパイプ材の関係を説明する説明図。
【図3】(a)は同じクレーンゲーム機のキャッチャーが接地した状態を説明する説明図、(b)はリミットスイッチとパイプ材の関係を説明する説明図。
【図4】同じクレーンゲーム機のキャッチャーの説明図。
【図5】(a)は同じクレーンゲーム機のアームが拡開されている際のリンク装置周辺の状態を説明する説明図、(b)はアームが収斂されている際のリンク装置周辺の状態を説明する説明図。
【図6】同じクレーンゲーム機のにおけるソレノイド装置の概略断面図。
【図7】同じクレーンゲーム機の電気的構成を説明するブロック図。
【図8】同じクレーンゲーム機のソレノイド装置に対する励磁制御を説明する説明図。
【図9】他の実施例におけるクレーンゲーム機のソレノイド装置に対する励磁制御を説明する説明図。
【符号の説明】
【0020】
5…景品投入口としての景品投入筒、9…第1の移動手段としての第1のモータ、17…キャッチャー、20…ソレノイド装置、21…可動鉄心、23…アーム部、25…コイル、33…第2の移動手段としての第2のモータ、34…第3の移動手段としての第3のモータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
景品を把持するアーム部と同アーム部を収斂させる収斂手段を備えたキャッチャーとを備えるとともに、同キャッチャーを上下方向に移動させる第1の移動手段と同キャッチャーを水平方向に移動させる第2の移動手段を備え、プレーヤの操作に基づいて初期位置にある同キャッチャーを同第1及び第2の移動手段によって対象物の把持が可能なキャッチ位置に移動させ、移動したキャッチ位置で前記収斂手段によって同キャッチャーの前記アーム部を収斂させた後、対象物の獲得如何に関わらず同第1及び第2の移動手段によって同キャッチャーを景品投入口に移動させ同収斂手段によって同アーム部を拡開させるようにしたクレーンゲーム機において、
前記収斂手段はソレノイド装置であって、同ソレノイド装置に対する通電をオン状態とすることによって内蔵コイルを励磁し、オフ状態とすることによって消磁することで可動鉄心を進退させ、同可動鉄心の進退に連動させた前記アーム部を収斂及び拡開させるようにするとともに、少なくとも前記キャッチ位置での同アーム部の収斂動作から景品投入口での拡開動作に至るまでに同ソレノイド装置に対する通電をごく短いタイミングで入り切りさせるように制御したことを特徴とするクレーンゲーム機。
【請求項2】
前記ソレノイド装置に対する通電をごく短いタイミングで入り切りさせる際にはソレノイド装置に対する印可電圧を徐々に下げていくように制御することを特徴とする請求項1に記載のクレーンゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−99926(P2008−99926A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285793(P2006−285793)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000207702)大平技研工業株式会社 (7)