説明

クロック発生回路

【課題】パイプライン処理などを行う画像処理装置において、不足分のクロックを内部的
に自動生成するクロック発生回路を提供する。
【解決手段】クロック発生回路は、入力クロック信号に対して追加クロック信号を生成す
るために使用される。1つの方法では、遅延回路により、必要なクロック数に対応する遅
延時間分入力クロック信号を遅延させて遅延クロック信号を生成し、入力クロック信号及
び遅延クロック信号を出力することにより、クロック数を増加させる。他の方法では、必
要なクロック数に応じた段数だけ追加クロックパルス生成部を設けることにより、追加の
クロックパルスを生成する。さらに他の方法では、入力クロック信号中にクロックパルス
が存在しなくなると、カウンタにより必要な追加クロック数に対応する期間がカウントさ
れ、その期間にわたって内部クロック信号が追加クロックとして出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロック発生回路に関し、特にパイプライン処理を行う画像処理装置などに
おいて不足するクロックパルスを内部で生成する回路に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルその他の表示パネルを備え、静止画や動画を表示する画像表示装置において
、入力画像データに対して自動画像補正処理や色変換処理などを行ってから画像を表示す
る手法が知られている。自動画像補正処理とは、入力される動画像の情報から自動的に画
像補正のための統計情報を取得し、現在入力さえている動画像に適した画像補正を自動で
行う手法である(特許文献1を参照)。また、色変換処理とは、液晶表示パネルなどの表
示デバイスの特性に応じて入力画像データの特性を調整する手法である(特許文献2を参
照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−274641号公報
【特許文献2】特開平9−271036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの処理は一般的にパイプライン処理により行われるため、処理の段数分のクロッ
クパルスが必要とされる。しかし、インタフェースによっては、処理の対象となる画像デ
ータの画素に対応する数のクロックパルスしか入力されないことがあり、そのような場合
には外部からダミークロック信号を供給する必要がある。
【0005】
本発明は、パイプライン処理を行う画像処理装置において、外部からのダミークロック
信号入力の必要なく、不足分のクロックパルスを内部的に自動生成するクロック生成回路
を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの観点では、クロック発生回路は、必要なクロック数に応じた遅延時間に
渡り入力クロック信号を遅延させて遅延クロック信号を生成する遅延回路と、前記入力ク
ロック信号と前記遅延クロック信号とに基づいて追加クロックパルスを出力する出力回路
と、を備え、前記出力回路は、前記入力クロック信号中にクロックパルスが存在する期間
を示すイネーブル信号に基づいて、前記クロックパルスが存在しない期間のみ前記遅延ク
ロック信号を前記追加クロックパルスとして出力する。
【0007】
上記のクロック発生回路は、入力クロック信号に対して追加クロック信号を生成するた
めに使用される。例えば、画像表示装置における自動画像補正回路や色変換回路などのパ
イプライン処理を行う構成において、入力画像データ分の入力クロックではクロックが不
足する場合に、追加クロック信号を生成するために好適に用いられる。遅延回路により、
必要なクロック数に対応する遅延時間分入力クロック信号を遅延させて遅延クロック信号
を生成し、入力クロック信号と遅延クロック信号とに基づいて追加クロックパルスを出力
することにより、クロック数を増加させる。
【0008】
具体的には、出力回路は、入力クロック信号中にクロックパルスが存在する間は入力ク
ロック信号を出力し、入力クロック信号中にクロックパルスが存在しない期間のみ遅延回
路により生成したクロック信号を出力する。これにより、遅延回路によりノイズや不要信
号が生成された場合に、その影響を最小限にとどめることができる。
【0009】
本発明の他の観点では、クロック発生回路は、入力クロック信号中のクロックパルスを
所定時間遅延させた追加クロックパルスを生成する複数段の追加クロックパルス生成部と
、前記複数の追加クロックパルス生成部から出力された追加クロックパルスを順に出力す
る出力回路と、を備え、第1段の前記追加クロックパルス生成部は、入力クロック信号に
含まれる最後のクロックパルスを示す最終クロック信号を入力信号とし、前記第1段に続
く第2段以降の前記追加クロックパルス生成部は、それぞれ前段の追加クロックパルス生
成部からの出力信号を入力信号とする。
【0010】
上記のクロック発生回路は、必要なクロック数に応じた段数だけ追加クロックパルス生
成部を設けることにより、追加のクロックパルスを生成する。追加クロックパルス生成部
の初段には、入力クロック信号の最後のクロックパルスを示す信号が入力され、それに基
づいて、各追加クロックパルス生成部毎に1つの追加クロックパルスを生成し、出力する

【0011】
上記のクロック発生回路の一態様は、前記入力クロック信号中にクロックパルスが存在
する期間を示すイネーブル信号に基づいて、前記クロックパルスが存在する期間には前記
入力クロック信号を出力し、前記クロックパルスが存在しない期間には前記出力回路から
の前記追加クロックパルスを出力する切替出力回路を備える。これにより、入力クロック
信号中にクロックパルスが存在する間は入力クロック信号が出力され、入力クロック信号
中にクロックパルスが存在しない期間には追加クロックパルスが出力される。
【0012】
本発明の他の観点では、クロック発生回路は、内部クロック信号を発生する内部クロッ
ク発生回路と、外部クロック信号中にクロックパルスが存在する期間を示すイネーブル信
号に基づいて、前記外部クロック信号中のクロックパルスが終了した後、前記内部クロッ
クパルスの数を計数するカウンタと、前記カウンタのカウント値が所定の追加クロック数
に到るまでの間、前記内部クロック信号のクロックパルスを追加クロックパルスとして出
力する追加クロックパルス発生回路と、を備える。
【0013】
上記のクロック発生回路では、入力クロック信号中にクロックパルスが存在しなくなる
と、カウンタにより必要な追加クロック数に対応する期間がカウントされ、その期間にわ
たって内部クロック信号が出力される。これにより、外部クロック信号中にクロックパル
スが存在しなくなった後に、追加クロックパルスを出力することができる。
【0014】
上記のクロック発生回路の一態様は、前記イネーブル信号に基づいて、前記外部クロッ
ク信号中にクロックパルスが存在する期間には前記外部クロック信号を出力し、前記外部
クロック信号中にクロックパルスが存在しない期間には前記追加クロックパルスを出力す
る切替出力回路を備える。これにより、入力クロック信号中にクロックパルスが存在する
間は入力クロック信号が出力され、入力クロック信号中にクロックパルスが存在しない期
間には追加クロックパルスが出力される。
【0015】
本発明の他の観点では、上記のクロック発生回路から供給される前記追加クロックパル
スと、画像データと、当該画像データの同期信号と、に基づいて画像補正を行う画像表示
装置は、前記画像表示装置に入力される外部クロック信号にクロックパルスが存在しない
場合、前記追加クロックパルスにより出力された前記追加クロックパルスを前記外部クロ
ック信号として供給する。
【0016】
上記の画像表示装置によれば、画像データ分の同期信号しか入力されない場合でも、ク
ロック発生回路が供給する追加クロックパルスを外部クロック信号として使用し、画像の
補正及び表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した画像表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】Xドライバの内部構成を示すブロック図である。
【図3】AME回路の内部構成を示すブロック図である。
【図4】パイプライン処理における必要クロック数を説明する図である。
【図5】第1実施例の追加クロック生成回路の概略構成を示す。
【図6】第1実施例の変形例に係る追加クロック生成回路の概略構成を示す。
【図7】第2実施例による追加クロック生成回路の概略構成を示す。
【図8】第2実施例による追加クロック生成回路のタイミングチャートである。
【図9】第3実施例による追加クロック生成回路の概略構成を示す。
【図10】色変換回路の一例の内部構成を示すブロック図である
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0019】
[画像表示装置]
図1に、本発明を適用した画像表示装置の概略構成を示す。画像表示装置1は、MPU
2、MPUバス3、LCD(Liquid Crystal Display)パネル4、Xドライバ5及びYド
ライバ6を備える。画像表示装置1は、例えば携帯電話、デジタルスチルカメラなどの電
子機器に、動画又は静止画の表示部として搭載される。
【0020】
MPUバス3は図示しない画像ソースなどに接続されており、画像ソースから画像デー
タ(例えばRGBデータ、以下「画像データRGB」と記す。)が入力される。また、M
PUバス3には、図示しないクロック発生回路により生成された外部クロック信号CLK
が入力されている。MPU2は、MPUバス3を介して各構成要素とコマンドの授受を行
うことにより、各構成要素を制御する。LCDパネル4は表示部として機能し、MPUバ
ス3に供給された画像データRGBが表示される。Xドライバ5は、表示すべき画像デー
タRGBに対応する表示電圧をLCDパネル4のセグメント電極に供給する。Yドライバ
6は、LCDパネル4のコモン電極に走査電圧を印加する。
【0021】
図2に、Xドライバ5の内部構成を示す。Xドライバ5は、MPUI/O12を介して
MPUバス3と接続されている。MPUI/O12はXドライバ5とMPUバス3との間
の入出力を行うものであり、MPUバス3及び内部バス10に接続されている。Xドライ
バ5内では、各構成要素が内部バス10を介して相互に接続されている。なお、Xドライ
バ5の外部にあるMPUバス3と、Xドライバ5内部にある内部バス10とを区別するた
め、MPUバス3を「外部バス」と呼ぶこともある。
【0022】
具体的には、内部バス10は、バスホルダ14、コマンドデコーダ15、MPU制御回
路20などに接続されている。バスホルダ14は、内部バス10上の情報を保持する役割
を有する。コマンドデコーダ15は、MPUI/O12から入力されたデータをデコード
し、Xドライバ5の内部にある各制御回路の制御パラメータを設定、変更する。コマンド
デコーダ15はEEPROM16に接続されている。EEPROM16は、電源立ち上が
り直後などに、外部から各制御回路のパラメータ設定を行うためのデータを保持する。
【0023】
MPU制御回路20は、Xドライバ5の内部のMPUであり、Xドライバ5の内部の各
制御回路の制御を行う。具体的には、画像データの表示タイミングの制御、データの変換
及び制御などを行う。また、MPU制御回路は、自動画像補正回路としてのAME(Auto
Movie Enhancement)回路22、色変換回路などを備える。LCDパネル4に表示される
画像データRGBは、外部のMPUバス3からMPUI/O12を介して内部バス10に
供給され、さらにMPU制御回路20へ供給される。MPUバス3上の外部クロック信号
CLKも同様にMPUI/O12、内部バス10を介してMPU制御回路20へ供給され
る。また、MPU制御回路20は、追加クロック生成回路24を有する。追加クロック生
成回路24は、AME回路22などで行われるパイプライン処理のために不足するクロッ
クパルスを生成する機能を有するが、詳細は後述する。
【0024】
内部バス10からMPU制御回路20へ入力された画像データRGBは、AME回路2
2などで処理された後、カラムアドレス制御回路31によるアドレス制御下でI/Oバッ
ファ33へ書き込まれ、I/Oバッファ33から表示データRAM35へ書き込まれる。
カラムアドレス制御回路31は、表示データRAM35のカラム(列)方向のアドレスを
制御する。具体的には、MPU制御回路20からI/Oバッファ33に入力された画像デ
ータRGBを、表示データRAM35内のどの位置に入力するかを制御する。ページアド
レス制御部32は、表示データRAM35のページアドレスを制御する。具体的には、表
示データRAM35のページアドレス線を選択し、画像データRGBの書き込み位置を制
御する。
【0025】
ラインアドレス制御部34は、ブロック40から供給されるライン選択信号SELに基づ
いて、表示データRAM35の読み出しラインを制御する。即ち、ラインアドレス制御部
34により指定されたラインの画像データが表示データRAM35からグレー制御デコー
ダ36へ読み出される。グレー制御デコーダ36は、画像データRGBの表示階調の制御
回路であり、表示データRAM35から読み出された1ライン分の画像データのグレーレ
ベルに基づいて、画像データの階調値に対応する電圧レベルを決定する。なお、グレー制
御デコーダ36は、PWM、FRCなどの制御も行う。LCDドライバ回路37は、グレ
ー制御デコーダ36により決定された電圧レベルを、LCDパネル4のセグメント電極に
接続された端子SEG1〜SEG720へ出力する。
【0026】
ブロック40内のXドライバ制御回路41はXドライバの制御回路であり、複数のXド
ライバを使用して表示を行う場合に、他のXドライバの制御を行う。Yドライバ制御回路
42はYドライバ6の制御を行う。また、Yドライバ6を制御することにより、画像デー
タのLCDパネル4上での表示位置の制御も行う。
【0027】
発振回路43はXドライバ5の内部の発振回路であり、内部クロック信号CLK_INを
発生する。表示制御が主目的であるため、内部クロック信号CLK_INは数百KHz程度
の低周波数である。これに対し、Xドライバ5外部のMPUバス3で使用する外部クロッ
ク信号CLKは通常数MHz程度である。内部クロック信号CLK_INはMPU制御回路
20へ供給される。また、ラインアドレス制御部34へ供給されるライン選択信号SELな
どは内部クロック信号CLK_INに基づいて生成される。
【0028】
[追加クロック生成回路]
次に、本発明の特徴点である追加クロック生成回路について説明する。まず、追加クロ
ックパルスの必要性について説明する。図4にAME処理などのパイプライン処理の様子
を模式的に示す。図示のように、入力データに対してP1〜Pnのn段のパイプライン処
理を実行するものとする。外部との入出力にMPUインタフェースを使用する場合、外部
のMPUバス3からの外部クロック信号CLKは入力データ分のクロックパルスしか含ま
ない。よって、追加のクロックパルスを生成しないとn段のパイプライン処理を実行する
ことができないという問題が生じる。そこで、本発明では、以下の方法により、追加クロ
ック生成回路24により追加クロックパルスを生成し、AME回路22などにおけるパイ
プライン処理に使用する。
【0029】
(第1実施例)
次に、追加クロック生成回路の第1実施例について説明する。第1の生成方法は、n段
分のディレイ(遅延回路)を設け、外部から供給される外部クロック信号CLKを遅延さ
せて追加クロックパルスを生成する。
【0030】
図5に、第1実施例の追加クロック生成回路の概略構成を示す。図5(a)は第1実施
例の追加クロック生成回路24の回路構成を示し、図5(b)はタイミングチャートを示
す。図5(a)に示すように、追加クロック生成回路24は、ディレイ(遅延回路)20
1と、OR回路202により構成される。外部クロック信号CLKはディレイ201及び
OR回路202へ入力される。ディレイ201の遅延時間は必要な追加クロックパルスの
数に応じて決定される。つまり、n段分のパイプライン処理のためにn個のクロックパル
スを生成する必要がある場合、ディレイ201の遅延時間はクロックパルスn個分に対応
する。図5(b)に示すようにディレイ201から出力される遅延クロック信号D_CLKは
外部クロック信号CLK中のクロックパルスが終了した後にクロックパルスを有している
。よって、OR回路202からの出力クロック信号O_CLKは外部クロック信号CLKにお
けるクロックパルスの終了後にもクロックパルスを有するようになる。外部クロック信号
CLKにおけるクロックパルスの終了後に出力されるクロックパルスが追加分のクロック
パルスに相当する。よって、上記の画像表示装置における外部クロック信号CLKに基づ
いて、パイプライン処理に必要な不足分の追加クロックパルスを生成することができる。
【0031】
図6に、第1実施例の変形例に係る追加クロック生成回路24aの概略構成を示す。こ
の変形例はノイズ除去機能を有するものである。図5に示す追加クロック生成回路24で
は、ディレイ201内でノイズや不要信号が発生するとそれがそのまま出力に現れてしま
う。そこで、変形例では、外部クロック信号CLK中にクロックパルスが存在する間はそ
れを出力し、外部クロック信号CLK中にクロックパルスが存在しなくなった後にのみデ
ィレイで生成したクロックパルスを出力する。
【0032】
具体的には、変形例による追加クロック生成回路24aは、ディレイ211と、AND
回路212と、OR回路213とを備える。外部クロック信号CLKはディレ211及び
OR回路213へ入力される。また、ディレイ211から出力される遅延クロック信号D_
CLKはAND回路212へ入力される。AND回路212の反転入力端子には、図6(
b)に示すように、外部クロック信号CLK中にクロックパルスが存在する期間を示すイ
ネーブル信号D_Enbが入力される。ディレイ211から出力される遅延クロック信号D_C
LKはAND回路212によりゲートされ、OR回路213へ出力される。これにより、外
部クロック信号CLK中にクロックパルスが存在する期間中は、ディレイ211から出力
される遅延クロック信号D_CLKの出力はAND回路212により停止され、外部クロック
信号CLKがOR回路213から出力クロック信号O_CLKとして出力される。一方、外部
クロック信号CLK中にクロックパルスが存在しなくなると、遅延クロック信号D_CLKは
AND回路212を通過し、OR回路213から出力クロック信号O_CLKとして出力され
る。このように、外部クロック信号CLKにクロックパルスが存在する間は遅延クロック
信号D_CLKを使用しないことにより、ノイズに強い回路とすることができる。
【0033】
(第2実施例)
次に、第2実施例による追加クロック生成回路の概略構成を図7に示す。第2実施例に
よる追加クロック回路は、イベントドリブンタイプの回路構成であり、3段の構成により
3個の追加クロックパルスを生成する。図7に示すように、追加クロック回路24bは、
3つのSRラッチ回路SR1〜SR3と、ディレイ221〜225と、OR回路226に
より構成される。SRラッチ回路とディレイの組み合わせを3段設けることにより、3個
の追加クロックパルスを生成する。具体的には、SRラッチ回路の出力を、ディレイを介
して入力へ戻す構成とする。SRラッチ回路の入出力を図8(b)に示す。
【0034】
図8(a)に追加クロック生成回路24bのタイミングチャートを示す。初段のSR回
路SR1の入力を、外部クロック信号CLKの最後のクロックパルスを示す信号(「最終
クロック信号」と呼ぶ。)とすることにより、ディレイ221の遅延時間だけ遅れた位置
にクロックパルスを有する追加クロック信号CLK_ADD1が得られる。追加クロック信号
CLK_ADD1を、ディレイ222を介して次段のSRラッチ回路SR2の入力とし、追加
クロック信号CLK_ADD2を生成する。さらに、追加クロック信号CLK_ADD2を次段のS
Rラッチ回路SR3の入力とし、追加クロック信号CLK_ADD3を生成する。OR回路2
26は、追加クロック信号CLK_ADD1〜CLK_ADD3に含まれる全てのクロックパルスを
含む追加クロック信号A_CLKを出力する。なお、図7では、SRラッチ回路の3段構成に
より3個の追加クロックパルスを生成する例を示したが、同様にSRラッチ回路をn段構
成とすれば、n個の追加クロックパルスが得られる。
【0035】
上記の追加クロック生成回路24bをMPU制御回路20に適用した場合、外部クロッ
ク信号CLKにクロックパルスが存在する期間を示すイネーブル信号D_Enbに基づいて最
終クロック信号を生成し、これを追加クロック生成回路24bへ入力し、追加クロック信
号A_CLKを得る。そして、MPU制御回路20は、イネーブル信号D_Enbに基づいて、外
部クロック信号CLKにクロックパルスが存在しなくなった時点で、追加クロック信号A
_CLKに出力を切り換えればよい。
【0036】
(第3実施例)
第3実施例による追加クロック生成回路の概略構成を図9に示す。第3実施例は、内部
クロック信号を用いて追加クロックパルスを生成するものである。前述のように、図2に
示すMPU制御回路20には、外部のMPUバス3から外部クロック信号CLKが入力さ
れるとともに、内部の発振回路40により生成された内部クロック信号CLK_INが入力
されている。よって、外部クロック信号CLK中にクロックパルスが存在しなくなった後
は、内部クロック信号CLK_INを利用して追加クロックパルスを生成する。
【0037】
図9(a)に示すように、第3実施例による追加クロック生成回路24cは、発振回路
231と、カウンタ232と、デコーダ233と、AND回路234とを備える。なお、
図2に示すXドライバ5に適用した場合、発振回路231は図2に示す内部発振回路43
により構成される。発振回路231が生成する内部クロック信号CLK_INはAND回路
234へ入力され、その反転信号がカウンタ232へ入力される。図9(b)のタイミン
グチャートに示すように、カウンタ232はイネーブル信号D_Enbを受けてカウントを開
始する。イネーブル信号D_Enbは外部クロック信号CLK中にクロックパルスが存在する
期間を示しているので、カウンタ232は、外部クロック信号CLKにクロックパルスが
存在しなくなったときに、内部クロック信号CLK_INの反転信号/CLK_INのカウント
を開始する。デコーダ233は、必要な追加クロック数nを予め記憶しており、カウンタ
232によるカウント値(Counter_Address)が追加クロック数n(図9(b)の例では
「4」)に達すると、カウンタ232のカウント動作を停止させるとともに、カウンタ2
32のカウント動作を行った期間を示すゲート信号GATE_CをAND回路234へ供給する
。よって、AND回路234は、外部クロック信号CLKにクロックパルスが無くなった
後、所定の追加クロック数nに対応する数だけ内部クロック信号CLK_INのクロックパ
ルスを含む追加クロック信号ADD_CLKを出力する。よって、MPU制御回路20は、外
部クロック信号CLKにクロックパルスが無くなった時点で、追加クロック信号ADD_C
LKに出力を切り換えればよい。
【0038】
[AME回路]
次に、図2に示すAME回路22の例を説明する。上記の追加クロック生成回路はAM
E回路22によるパイプライン処理で不足するn個のクロックパルスを生成するものであ
り、生成された追加クロックパルスはAME回路22内で使用される。
【0039】
図3にAME回路22の内部構成を示す。AME回路22は、レジスタ部113と、統
計値算出部117と、画像補正ブロック150a、150bと、マルチプレクサ(Multip
lexer)121と、を備えている。AME回路22は、静止画や動画などの画像データを
取得し、これらの画像データをフレームごとに自動的に画像補正する回路である。AME
回路22は、主に、表示される画像を強調(エンハンス)する画像補正を行う。
【0040】
AME回路22に対しては、MPU制御回路20からクロック信号CLK1が入力され
る。ここで、クロック信号CLK1は、上述の追加クロックパルスを含む信号である。即
ち、MPU制御回路20は、外部クロック信号CLKにクロックパルスが存在する期間中
はそのクロックパルスをクロック信号CLK1としてAME回路22へ供給し、外部クロ
ック信号CLKにクロックパルスが存在しなくなると、追加クロック生成回路24により
生成した追加クロックパルスをクロック信号CLK1としてAME回路22へ供給する。
【0041】
また、AME回路22には、画像データd1及び当該画像データの同期信号SY1(垂
直同期信号と水平同期信号を含む)も入力される。AME回路22内の処理部は、基本的
に同期信号SY1に対応するタイミングにて処理を行う。なお、入力される画像データd
1はRGB形式のデータであり、例えば24ビット/画素のデータであるものとする。
【0042】
入力された画像データd1は、画像データd2aと画像データd2bに分割され、それ
ぞれ画像補正ブロック150aと画像補正ブロック150bに供給される。また、クロッ
ク信号CLK1はクロック信号CLK2aとクロック信号CLK2bに分配され、画像補
正ブロック150a、150bに供給される。
【0043】
レジスタ部113は、レジスタを有しており、レジスタ内に画像補正量を設定値として
記憶している。そして、レジスタ部113は、供給される同期信号SY1のタイミングに
て、画像補正ブロック150a、50b内の複数の処理部、及びマルチプレクサ121に
、画像補正量に対応する設定値を出力する。
【0044】
AME回路22は、2グループに分割された画像データd2a、d2bを画像補正ブロ
ック150aと画像補正ブロック150bの2ブロックにて画像補正する。具体的には、
画像補正ブロック150aと画像補正ブロック150bは、入力された画像データd2a
、d2bの各々に対して階調値のヒストグラム、輝度総和、及び彩度総和(即ち、「総和
データ」)を算出し、総和データを統計値算出部117に供給する。統計値算出部117
は、総和データから画像データの統計値を算出し、算出した統計値を画像補正ブロック1
50a、150bのそれぞれに供給する。そして、画像補正ブロック150aと画像補正
ブロック150bは、統計値算出部117から供給された統計値に基づいて画像補正量を
求め、この画像補正量を用いて画像データに対して画像補正を行う。画像補正ブロック1
50aと画像補正ブロック150bにて画像補正された画像データd6a、d6bは、マ
ルチプレクサ121に供給される。
【0045】
マルチプレクサ121は、2つの画像データd6a、d6bを1つにまとめた画像デー
タS2を生成し、生成した画像データS2を出力する。この画像データS2はMPU制御
回路20内で必要な処理を施された後、I/Oバッファ33へ供給される。
【0046】
次に、画像補正ブロック150a、50b、及び統計値算出部17にて実行される画像
処理を詳細に説明する。
【0047】
画像補正ブロック150aは、YUV変換部115aと、総和データ算出部116aと
、補正量算出部118aと、画像補正部119aと、RGB変換部120aと、を備えて
いる。同様に、画像補正ブロック150bは、YUV変換部115bと、総和データ算出
部116bと、補正量算出部118bと、画像補正部119bと、RGB変換部120b
と、を備えている。
【0048】
YUV変換部115a、115bには、それぞれ画像データd2a、d2bと、クロッ
ク信号CLK2a、CLK2bと、が入力される。YUV変換部115a、115bは、
RGB形式の画像データd2a、d2bをYUV形式に変換する(YUV変換)。YUV
変換部115a、115bは、YUV変換した画像データd3a、d3bを画像補正部1
19a、119bに供給すると共に、YUV変換した画像データd4a、d4bを総和デ
ータ算出部116a、116bに供給する。なお、YUV変換部115a、115bは、
画面の一部の領域(サンプリングエリアとも呼ぶ。)を抽出したデータを画像データd4
a、d4bとして総和データ算出部116a、116bに供給することができる。
【0049】
総和データ算出部116a、116bは、取得した画像データd4a、d4bに係る総
和データを算出する。具体的には、総和データ算出部116a、116bは、階調値のヒ
ストグラムを生成すると共に、輝度総和と彩度総和を算出する。また、総和データ算出部
116a、116bは、供給される同期信号SY3a、SY3bのタイミングにてフレー
ム期間中に上記の処理を行う。このように算出された総和データSum_a、Sum_b
は、統計値算出部117に出力される。
【0050】
統計値算出部117は、取得した総和データSum_a、Sum_bに基づいて、画像
データd4a、d4bの輝度及び彩度に係る統計値を算出する。具体的には、統計値算出
部117は統計値として、輝度の最大値/最小値と、輝度及び彩度の平均値と、輝度の標
準偏差と、を算出する。統計値算出部117は、供給される同期信号SY4のタイミング
にて上記の処理を行うと共に、総和データ算出部116a、116bによる1つのフレー
ムの処理が終了した後に処理を行う。
【0051】
また、統計値算出部117は、レジスタ部113から供給される信号Set1に基づい
て、総和データSum_a、Sum_bから統計値Sta_a、Sta_bを算出する。
具体的には、信号Set1は、統計値算出部117が総和データ算出部116a及び11
6bから出力された総和データSum_a及びSum_bの各々を、後段の画像補正部1
19a、119bにおいて使用する統計値とする(以下、「統計値独立モード」とも呼ぶ
。)か、それらの総計を画像補正部119a、119bにおいて使用する統計値とする(
以下、「統計値総計モード」とも呼ぶ。)か、を示すモード情報を含んでいる。信号Se
t1が統計値総計モードを示している場合、統計値算出部117は、総和データSum_
a、Sum_bの各々から算出した統計値を総計した値を統計値として出力する。この場
合、統計値算出部117から出力される統計値Sta_aと統計値Sta_bは同一の値
となる。
【0052】
一方、信号Set1が統計値独立モードを示している場合、統計値算出部117は、総
和データSum_a、Sum_bの各々から算出された統計値をそれぞれ画像補正部11
9a及び119bへ出力する。即ち、統計値算出部117は、総和データSum_a及び
Sum_bの各統計値を総計しない。よって、統計値算出部117から出力される統計値
Sta_aと統計値Sta_bは異なる値となる。
【0053】
以上のように算出された統計値Sta_a、Sta_bは、補正量算出部118a、1
18bに供給される。補正量算出部118a、118bは、取得した統計値Sta_a、
Sta_bに基づいて画像データに対して補正する強さ(即ち、画像補正量)を算出する
。具体的には、補正量算出部118a、118bは、レベル補正係数と、ガンマ補正量と
、コントラスト補正量と、彩度補正量と、を算出する。この際、補正量算出部118a、
118bは、レジスタ部113から供給される設定値Set2a、2bに基づいて画像補
正量を調整する。即ち、コントラスト補正などの各画像補正は、レジスタ部113に設定
された設定値に応じた強度で実行されることになる。こうして算出された画像補正量に対
応する信号Corr_a、Corr_bは、画像補正部119a、119bに出力される

【0054】
画像補正部119a、119bには、レジスタ部113から供給される設定値Set3
a、Set3bと、補正量算出部118a、118bから供給される補正量Corr_a
、Corr_bと、YUV変換部115a、115bにてYUV変換された画像データd
3a、d3bと、が供給される。画像補正部119a、119bは、画像データd3a、
d3bに対して、補正量Corr_a、Corr_b及び設定値Set3a、Set3b
に基づいて画像補正を行う。具体的には、画像補正部119a、119bは、レベル補正
と、ガンマ補正と、コントラスト補正と、彩度補正と、を画像データd3a、d3bに対
して行う。こうして画像補正された画像データd5a、d5bは、RGB変換部120a
、120bに出力される。
【0055】
RGB変換部120a、120bは、供給されたYUV形式の画像データd5a、d5
bをRGB形式のデータに変換する(即ち、「RGB変換」)。RGB変換部120a、
120bは、RGB変換した画像データd6a、d6bをマルチプレクサ121に供給す
る。そして、マルチプレクサ121は、2つの画像データd6a、d6bを1つにまとめ
た画像データd7を出力する。
【0056】
[他の適用例]
上記の実施形態では、本発明による追加クロック生成回路24を用いてクロックパルス
が追加されたクロック信号をAME回路22に供給している。これ以外に、MPU制御回
路20が色変換回路を備える場合、クロックパルスが追加されたクロック信号を色変換回
路におけるパイプライン処理に使用することもできる。
【0057】
図10(a)は、色変換回路300の一例の内部構成を示すブロック図である。図示の
ように、色変換回路300は、色変換演算部310と、階調補正部320と、減色処理部
330とを備える。色変換回路300へは、クロック信号CLK2と、画像データD1と
、レジスタ制御信号Scとが入力されている。ここで、クロック信号CLK2としては、
本発明の追加クロック生成回路によりクロックパルスが追加されたクロック信号が入力さ
れる。
【0058】
色変換演算部310は、外部から入力される画像データD1に対して所望の色特性への
色変換処理を施し、色変換後の画像データD2を階調補正部320へ供給する。入力され
る画像データD1は例えばRGB各色8ビットのデジタルデータであり、色変換演算部3
10は図10(b)に示す3×3のマトリクス演算により色変換処理を行う。
【0059】
階調補正部320は、色変換後の画像データD2に対して階調特性補正としてのガンマ
補正を行い、補正後の画像データD3を減色処理部330へ供給する。なお、階調補正部
20へは、レジスタ制御信号Scが入力されている。
【0060】
減色処理部330は、ガンマ補正後の画像データD3に対して減色処理を行う。ガンマ
補正後の画像データD3はRGB各色8ビットのデータであり、減色処理部30は例えば
その上位6ビットをビットスライスすることによりRGB各色6ビットのデータとし、下
位2ビットのデータに基づいてディザ処理を適用してRGB各色6ビット(ディザ処理に
より各色8ビット相当となっている)の画像データD10を画像表示装置102へ供給す
る。
【符号の説明】
【0061】
10 表示装置、 12 画像処理部、 14 液晶表示パネル、 16 ドライバ、
18 液晶表示部、20 RGB信号、 22 4色信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部クロック信号を発生する内部クロック発生回路と、
外部クロック信号中にクロックパルスが存在する期間を示すイネーブル信号に基づいて
、前記外部クロック信号中のクロックパルスが終了した後、前記内部クロックパルスの数
を計数するカウンタと、
前記カウンタのカウント値が所定の追加クロック数に到るまでの間、前記内部クロック
信号のクロックパルスを追加クロックパルスとして出力する追加クロックパルス発生回路
と、を備えることを特徴とするクロック発生回路。
【請求項2】
前記イネーブル信号に基づいて、前記外部クロック信号中にクロックパルスが存在する
期間には前記外部クロック信号を出力し、前記外部クロック信号中にクロックパルスが存
在しない期間には前記追加クロックパルスを出力する切替出力回路を備えることを特徴と
する請求項1に記載のクロック発生回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のクロック発生回路から供給される前記追加クロックパ
ルスと、画像データと、当該画像データの同期信号と、に基づいて画像補正を行う画像表
示装置であって、
前記画像表示装置に入力される外部クロック信号にクロックパルスが存在しない場合、
前記追加クロックパルスにより出力された前記追加クロックパルスを前記外部クロック信
号として供給することを特徴とする画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−35225(P2010−35225A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256827(P2009−256827)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【分割の表示】特願2005−85563(P2005−85563)の分割
【原出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】