クロマトグラフィカラムの充填方法および装置
【課題】軸圧縮充填方法および部品によって製造可能なさらに小型の使い捨て可能なカラムを提供する。
【解決手段】スラリーチャンバをVバンドによりクロマトグラフィカラム122aと同軸上に固締および保持する。カラム122aの一方端はエンドキャップ48とフリット42とを有する。流体とクロマトグラフィ媒体のスラリーをカラム122aおよびチャンバに入れる。ピストン40を液圧ラムによってチャンバを介してカラム122a内に付勢して、流体を排除してカラム122a内に媒体ベッドを形成する。スラリーチャンバを取り外し、分割エンドキャップ48をカラム122aに固締する。分割エンドキャップ48内のネジ付き凹部135bが、分割ネジ付きコレット144を受ける。コレット144は、該コレット144がラムと同じ力でピストン40を押すまで締め付けられ、その時点で、ラムは解除されてカラム122aが使用のために取り外される。
【解決手段】スラリーチャンバをVバンドによりクロマトグラフィカラム122aと同軸上に固締および保持する。カラム122aの一方端はエンドキャップ48とフリット42とを有する。流体とクロマトグラフィ媒体のスラリーをカラム122aおよびチャンバに入れる。ピストン40を液圧ラムによってチャンバを介してカラム122a内に付勢して、流体を排除してカラム122a内に媒体ベッドを形成する。スラリーチャンバを取り外し、分割エンドキャップ48をカラム122aに固締する。分割エンドキャップ48内のネジ付き凹部135bが、分割ネジ付きコレット144を受ける。コレット144は、該コレット144がラムと同じ力でピストン40を押すまで締め付けられ、その時点で、ラムは解除されてカラム122aが使用のために取り外される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HPLCカラムに媒体を充填するなど、管状カラムに粒子を充填する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフィは、カラムの固定相中の固体粒子と、カラムを通過させられる液相との間の分配の差を助長することにより、混合物から化合物を分離する方法である。カラム充填材料は、分離を起こさせるためのむらのない面を与えるように、よく充填され均一に充填されなければならない。個々の化合物に応じて、カラムを通過する液体に対する親和性と比較した場合のカラム充填材料に対する親和性が、当該化合物がカラム内に滞在する時間の差を決める。化合物はカラムを出た後、検出されるか(分析液体クロマトグラフィ)、個々に回収される(調製液体クロマトグラフィ)。クロマトグラフィ分離が効率的に行われるためには、分離された化合物の再混合を起こしうるような流路または空隙または媒体の層化なく、カラム充填材料ベッドがカラム中に均一かつ高密度で分散されていなければならない。
【0003】
この高い性能を達成するために、液体クロマトグラフィカラムは、一般には、スラリーを形成する適切な溶媒中に球状または不規則なクロマトグラフィ粒子を分散または懸濁させることによって形成される。スラリーをカラム管の内部に入れ、スラリー上またはスラリーを介して力をかけることにより、粒子を沈殿させてカラムベッドを形成する。この力が粒子をカラム管内に堆積または「充填」させる。充填工程のあいだ、スラリー溶媒は、液体を排出させるには十分な多孔性を持ちながらも、クロマトグラフィ粒子は保持する「フリット」と呼ばれる多孔性円盤を通して排出される。スラリー溶媒が排出されると、クロマトグラフィ粒子は均一かつ高密度な「ベッド」に圧縮されて、カラムは使用準備完了となる。
【0004】
カラムベッドの圧縮と充填は、次の2つの方法のいずれか一方によって行われる。クロマトグラフィベッドを作成する広く知られた技術の一つは、カラム内部でスラリーを作り、カラムを通る高溶媒流を用いて粒子をカラムの出口に向けて押す。スラリー技術を用いてこれらのカラムを作成するには、充填工程のあいだ、クロマトグラフィカラムは上部が開いており、この端部がスラリーチャンバの一方端に取り付けられる。クロマトグラフィ媒体スラリーが、スラリーチャンバとカラム管を満たす。カラムの出口端は、クロマトグラフィ媒体を保持しながらも液体はカラムから排出させるフリットを有する。スラリーチャンバの入口端は、チャンバ内に液体を押し込む高圧、高容量ポンプに取付けられている。大流量液体は、粒子をカラムの出口に向けて移動させ、クロマトグラフィ媒体は均一かつ高密度のベッドへとゆっくりと圧縮される。
【0005】
スラリー技術では、ベッドが充填されるまで液体流を提供するために高圧ポンプが必要であり、これには1時間もの時間がかかることがある。この高流速での相当に長い充填時間は、大量の溶媒を必要とするために最終カラムのコストを著しくさせるとともに、製造スループットを低下させる。一旦クロマトグラフィベッドが形成されると、充填されたカラム管がスラリーチャンバから取り外され、永久エンド嵌合がカラムに配置される。この高圧高流速スラリー充填技術によるもう一つの主たる欠点は、圧縮されたクロマトグラフィベッドを形成するためにクロマトグラフィ媒体が充填プロセスの間に非常に高い圧力下におかれるが、スラリーチャンバからカラムが取り外される際に、この圧力を解放しなければいけないことである。圧力がカラムから取り除かれる際に、圧縮されたクロマトグラフィ媒体が減圧または弛緩されて、クロマトグラフィ媒体が膨張してカラム管内を移動することになる。カラムを閉じるためには、過剰の媒体をカラムの上部から除去し、別のフリットおよびエンドキャップをカラム管上に配置して、充填ベッドのそれ以上の移動または膨張を防止する。ベッドの移動およびこれに続く過剰媒体の除去は、特にカラムの頭部において、ベッド密度の変動または幾分の減少をもたらす。このベッド密度における変化および減少は、とりわけカラムが高流速下で操作させられる際に、ベッドの沈降または空隙化などの性能上の問題を生み出す。この減少は、25未満の比較的低いアスペクト比(長さ/内径)を有するカラム上で最も顕著である。現在では、高スループット、高容量調製用途において、使用者は、特に低密度のベッドのためにカラムの長さが短い場合に、このスラリー技術を用いて準備したカラムについて寿命の減少を経験する。
【0006】
代替のカラム充填技術としては、米国特許第5,893,971号に一般的に記載されているように、軸圧縮を用いるものがある。しかしながら、軸圧縮によって充填された大半のクロマトグラフィカラムは、カラムと充填装置の両方を含む単一のシステムに統合されている。カラム自体はシステム自体から取り外すことができず、このことはカラムがシステムの一部として動作することを意味する。また、管容積の大半がスラリーチャンバとして用いられるので、カラム管は、一部しかクロマトグラフィ媒体で満たされていないことになる。さらに、充填システムとカラムとが単一ユニットに統合されているので、コストと複雑性も高い。
【0007】
軸圧縮充填の新しい変形が米国特許第5,951,873号及び米国特許第6,036,755号に記載されている。カラムベッド上に能動圧を維持する取り外し可能なスプリングロッドとピストンを組み込むことにより、カラムは充填システムから取り外し可能である。しかしながら、このシステムでも、必要とされるベッド長がカラム全長のわずか1/3〜1/4であるにせよ、相当に長いカラム管が必要である。その理由は、カラム管の全長の有意な部分が、単に圧縮および/またはスプリング組立の前の圧縮されていないスラリーを収容するためだけに必要とされるからである。この設計には、長く、ときには非常に重いカラム組立体が含まれ、これは操作者が典型的な実験室または精製実験室において使用するには不便で、非実用的で困難を伴う。
【0008】
これらの設計は、4〜8本のカラムが平行して走るか、および/またはスペースの限られている高スループット精製実験室においては特に非実用的である。さらに、この長くより複雑な設計のカラムハードウェアの高いコストが、利用頻度の高い、または高スループット環境におけるそれらの受入に歯止めをかけるが、これは、多数で動作する場合にコストがかかりすぎるためである。
【0009】
軸充填されたカラムのさらに別の欠点は、フリット径がカラム径よりもはるかに小さいことである。この小さくされた径は、軸圧縮のあいだにカラムに高圧力がかけられた場合に、溶媒または媒体の漏れを防ぐために、カラム壁に対して押圧するシールまたはシール組立体に対して必要とされるスペースのためである。この小さくされた径は、フリットがクロマトグラフィベッドを覆わない外壁付近の不使用のカラム領域を残し、この領域にはサンプルが加えられない。短いベッドカラムの場合、ベッド長が非常に短く、サンプルは表面に迅速かつ均一に分散する必要があるため、サンプルを全表面に分配されることは非常に重要である。スラリー充填カラムにおいて、フリット径は一般には、カラム径と同じであるか大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,893,971号
【特許文献2】米国特許第5,951,873号
【特許文献3】米国特許第6,036,755号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、寿命を改善し、化学者が使用する際の扱いにくさを無くした、軸圧縮充填方法および部品によって製造可能なさらに小型の使い捨て可能なカラムの設計が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
スラリーチャンバ(管)を、Vバンドによってクロマトグラフィカラムと同軸上に固締して保持する。カラムの一方端部はエンドキャップとフリット(frit)を有する。流体とクロマトグラフィ媒体のスラリーをカラムおよびスラリーチャンバに入れる。ピストンとフリットがチャンバを介して液圧式ラム(ram)によってカラム中に付勢されて流体を排出し、カラム中に媒体ベッドを形成した状態で、ピストンが段付き径フリットに当接する。スラリーチャンバを取り外し、分割エンドキャップまたは分割保持具をカラムの周りに配置し、スリーブ(1部品または2部品)によって定位置に保持する。分割エンドキャップまたは分割保持具内のネジ付き凹部は、ネジ付きコレット(collet)を受ける。コレットを、該コレットがラムと同じ力でピストンを押すまで締め、この時点でラムは解放されて、使用のためにカラムが取り外される。フリットは、好ましくは、フリットの小径と隣接するカラム壁の間に介在されたシールを有する。同様に、ピストンは、段付き径を有し、ピストンの小径と隣接するカラム壁の間にはシールが介在されており、小径は好ましくはフリットに当接している。
【0013】
本発明の一態様は、軸圧縮によって経済的かつ堅牢な液体クロマトグラフィカラムを作成するための改善された方法に関する。本発明の別の態様は、ベッド上の軸圧縮を維持しながら、スラリーチャンバを取り外し、ベッドの長さの変化を吸収する柔軟性を保ちながらも、従来の軸充填されたカラムに比べて短くかつ複雑さが少ないカラムを得る方法に関する。本発明のさらなる態様は、スラリー充填技術に比べて、カラムベッドの充填に必要な溶媒量と生産時間を著しく低減する。
【0014】
取り外し可能なスラリー/前圧縮チャンバが有益に提供される。分断されたカラムまたはチャンバアセンブリを用いるが、これには、スラリー前圧縮チャンバである第1の断片と、カラムチャンバである第2の断片が含まれる。第1の断片は、充填前、および圧縮の初期段階のあいだに、クロマトグラフィスラリーを収容するためのスラリーおよび前圧縮チャンバとしての役割を果たす。ピストンロッドまたはピストンスリーブ組立体によって駆動されるピストンは、ピストンをカラムチャンバ(第2の断片)の固定端に向けて動かす。ピストン自体は第1の断片を通過して第2の断片に入る。ピストンは、媒体が十分に圧縮されて固定ベッドを形成するまで第2の断片内に短い距離移動する。この設計は、ピストンロッドまたはピストンスリーブがピストンに力をかけてベッド圧縮を維持した状態で、スラリー前圧縮チャンバ(第1の断片)を取り外すことを可能にする。ピストンを定位置に固定するために、固定機構を取り付けて、ピストンロッドをピストンから引離して取り外しできるようにしてもよい。軸圧縮によって充填を行い、ピストンを定位置に維持したまままスラリーチャンバを取り外すことができることは非常に有益である。
【0015】
この設計は、最終カラムベッドの長さのばらつきを小さくすることができるという点でも有益である。ベッド圧縮スクリュおよびVバンドクランプの設計は、媒体がカラムに充填された際に達成される最終ベッドの高さに基づいて、ピストン位置の精密な調整を提供する。変動するベッド高さを吸収できることで、カラム内に充填された媒体の量の変動(好ましくは小さな変動)を吸収しながら、設定された圧縮力が保証される。約1インチ(25mm)までのベッド高さの変動が、所与のカラム長によって達成可能であると考える。
【0016】
2段階のハット状のフリット設計も有益に提供される。フリット設計は、フリットによって覆われるカラムベッドの表面積の量を増大させ、カラムベッド全体へのサンプルのより迅速な分散を可能にする。古い軸圧縮設計では、カラム壁と係合するピストンシールを用い、フリットはカラムベッドよりも小径であった。より古い設計では、ピストン組立体と壁との間に分離のために利用できない領域を残している。2段階のハット状フリット設計は、サンプルができるだけ迅速に媒体全体に分散されなければならない短いベッド長カラムに対しては非常に有用である。このフリット設計は、より長い長さのカラムに対しても有益であると考える。
【0017】
スラリーチャンバを取り外し、スクリュなどのベッド圧縮機構に交換するあいだに、カラム上の軸圧縮を維持するための機構および方法も提供される。カラムベッドは充填後に弛緩または膨張を許されないようにされていることが有益である。圧縮されたベッドは、充填プロセスの間に一度圧縮され、入口エンド嵌合いの取り付け時にもこの圧力が保たれる。これにより、ベッド圧縮を維持するためのバネが要らなくなる。
【0018】
本発明の一態様において、それぞれ第1および第2のエンドキャップで覆われた第1および第2の端部を有する内径を有する管状本体を有する携帯可能な管状クロマトグラフィカラムが提供される。カラムは、すべて本体内側に位置する第1および第2のフリット間に配置されたクロマトグラフィ媒体のベッドを有する。ピストンが第1のフリットに当接し、ベッドに所定の圧力を及ぼす。調節可能な錠止機構は、本体に固締された支持体を有するとともに、ネジ付きアジャスタの回転がピストンがベッドに及ぼす力を増加または減少させるように、支持体とピストンとの間に介在されたネジ付きアジャスタを有する。
【0019】
上記本実施形態のさらなる変形において、支持体は、本体の外側に挟着し、好ましくはVバンドクランプを形成する。さらに、ネジ付きアジャスタは随意で、ピストンに当接する1つの端部を有するコレットを含む。コレットが複数のリードネジを有すると有益であるが、2つのリードが好ましい。さらなる変形において、支持体は、本体に挟着される分割エンドキャップを含む。分割エンドキャップは、管またはチャンバの一方端を随意で包囲し、環状構造によって随意で一緒に保持される。好ましくは、分割エンドキャップは、調節可能な固締具を受けるためにネジ付き凹部を有する。凹部は好ましくは複数のリードネジを有する。さらに、コレットは好ましくはレンチ面を有する。
【0020】
さらなる変形において、フリットは、フリットとカラム壁の間にいかなるシールも介在させずに、カラム本体の内径に隣接して延びる。フリットは好ましくは、内壁とほぼ同じであるがわずかに小さい第1の径を有し、フリットと内壁の間にはシールを有しない。フリットは第1および第2の同心円状の径を有し、媒体に当接するフリットの径は第1の径であり、第2の径よりも大きいことが有益である。好ましくは、ピストンは、ピストンと内壁の間に介在された少なくとも1つのシールを有し、少なくとも1つのシールは数千psi(poundper inch)の流体圧でのシールを与えるように選ばれる。さらに、ピストンの一部は、好ましくは管状本体の端部の外側に延びる。
【0021】
本発明のさらなる態様において、新しいフリットが設けられる。このフリットは、随意ではあるが好ましくは、第1の径を有する円筒状内部を有する管状本体を有するクロマトグラフィカラムとともに使用される。フリットは、カラムの第1の径とほぼ同じであるがわずかに小さい径を有する第1の円筒状部分を有する。フリットは、より小さい径を有する第2の円筒状部分を有し、第1と第2の部分は同心円上にある。さらなる変形において、フリットは一体材料から一体的かつ単一的に形成されるか、あるいは、フリットは異なる径の2つの当接するフリットから形成されるフリットである。
【0022】
本発明のさらなる態様において、第1の長さを規定する第1および第2の対向端部を有し、カラムの第1の端部上にエンドキャップを有する管状クロマトグラフィカラムの充填方法が提供される。カラムは、内径を有する。本方法は、スラリーチャンバをカラムの第2の端部にカラムと同軸状に当接させ、スラリーチャンバとカラムの第2の端部の間に流体密シールを形成することを含む。スラリーをカラム管およびスラリーチャンバに入れるが、このスラリーに流体とクロマトグラフィ媒体とが含まれる。ピストンをスラリーチャンバに入れるが、このピストンは、ピストンとスラリーチャンバの間に介在されたシールと、ピストンとスラリーの間に介在されたフリットとを有する。ピストンをスラリーチャンバ内で進行させ、少なくとも一部がカラムに入るようにする。ピストンの進行は、スラリー内の媒体が所望の圧力または長さに圧縮されるベッドを形成したときに停止される。
【0023】
好ましい形態において、本方法は、ピストンをカラムに錠止することを含む。より好ましくは、本方法は、ベッド上の圧力を解放することなく、スラリーチャンバを取り外すことと、ピストンをカラムに錠止することとを含む。有益には、フリットは第1および第2の同心円上の異なる径を有する段付き円盤を含み、その大きい方の径がスラリーと当接する。より好ましくは、シールを小さい方の径とカラムの内径の間に介在させて、大きい方の径とカラムの内径との間にはシールを介在させない。さらに、好ましくは、面取り部をカラムの第2の端部の内縁上に形成するが、この面取り部は随意選択可能であり、相嵌部分が十分に同心円上にある場合には特に省略可能である。
【0024】
さらなる好ましい変形において、本方法は、ピストンの位置を保持しながら、スラリーチャンバを取り外すことと、分割エンドキャップの2つの部分をカラムの第2の端部の上に配置することとを含み、エンドキャップのそれぞれは、その内部に形成されたネジ付き凹部の部分を有する。分割されたネジ付きコレットまたはネジ付き凹部を有した分割ピストン保持リングが、カラムの第2の端部に固締される。外側鍔部をピストン保持リングの上に配置し、定位置に保持する。最後に、ネジ付きコレットを、該コレットがピストンを定位置に保持するまで、凹部内に進める。
【0025】
この後の好ましい方法に対する好ましい変形において、ピストンを進行させることには、液圧式ラムをピストン上の肩部と接触させて配置することと、液圧式ラムを進めることとを含む。スラリーチャンバは、ラムを定位置においたままカラムから取り外すことができ、その後、スラリーチャンバがカラムとの接触状態から取り外され、ピストンが定位置に錠止されるまで、ラム位置が維持された状態で、ピストンが定位置に錠止される。充填とピストンの定位置への錠止が完了した後、カラムをラムから取り外し、カラムの第1および第2の端部の出口に栓をする。上記方法のさらなる変形において、流体密シールの形成には、Vバンドクランプをスラリーチャンバとカラムの接合点上に配置することを含む。錠止工程は、Vバンドクランプをカラムの第2の端部の周りに配置することを含んでいてもよい。
【0026】
本発明のさらなる態様において、複数の断片からなるクロマトグラフィ組立体が提供される。組立体は、第1および第2の開放端を有し直径Dの内筒を画成する壁を有するスラリーチャンバと、第1および第2の対向する開放端と第2の端部上のエンドキャップとを有するクロマトグラフィカラムとを有する。スラリーチャンバの第2の端部は、カラムの第1の端部と当接する。カラムは、直径Dの内筒を画成する壁を有する。一部がカラムの第1の端部の外面に形成され、一部がチャンバの第2の端部の外面によって形成される凹部内に、環状のシールを配置する。Vバンドクランプがシールを包囲し、チャンバおよびカラムの外側の少なくとも1つの凹部または凸部と協働して、チャンバおよびカラムを同軸上に位置合わせして保持する。
【0027】
この装置のさらなる変形において、カラムの第1の端部の内縁上に面取り部が形成される。好ましくは、スラリーチャンバの第1の端部の内縁上にも面取り部を形成する。流体とクロマトグラフィ媒体のスラリーをチャンバおよびカラムに入れる。ピストンをチャンバまたはカラムのいずれか一方内に配置する。ピストンは、ピストンと、ピストンが配置されるチャンバまたはカラムの円筒壁の間に介在された少なくとも1つのシールを有する。好ましくは、ピストンは少なくとも一部がカラム内に延び、ピストンは直径がおよそDの第1の径と、より小さい第2の径とを有するフリットを有する。
【0028】
本発明のこれらおよび他の利点および特徴は、同様の番号は同様の部材を示す以下の図面および説明に照らしてより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図2の1−1に沿った断面図。
【図2】クロマトグラフィカラムの側面図。
【図3a】ピストンおよびフリットの一実施形態の断面図。
【図3b】図1のピストンおよびフリットにおけるピストンおよびフリットの第2の実施形態の断面図。
【図3c】図1および図3bのピストンおよびフリットを示す分解斜視図。
【図4】充填済みカラム内の図3bのピストンを示す部分断面図。
【図5】カラム充填前のチャックおよび凹状支持板に保持される図1のカラムの構成を示す断面図。
【図6】図1〜9のカラムを用いて動的かつ液圧を利用して充填を行う際に、媒体のベッド上への圧力がどのように増加するかを示したグラフ。
【図7】図8の7−7に沿った断面図。
【図8】さらなる実施形態のカラムの斜視図。
【図9a】Vバンドによって保持される図7〜8のカラムおよびスラリーチャンバの断面図。
【図9b】図9aの断面図の部分拡大図。
【図10】媒体が充填され、定位置に錠止されたピストンによって保持された図8のカラムの断面図。
【図11】カラムの充填前に凹状支持板内に保持された図7および9のカラムの構成を示す断面図。
【図12】図13の12−12に沿った断面図。
【図13】図10のカラムに対する錠止機構のさらなる実施形態の分解斜視図。
【図14a】充填済みカラムのさらなる実施形態の平面図。
【図14b】図14aの14b−14bに沿った断面図。
【図15】ピストンをカラムに錠止するためのさらなる実施形態の分解斜視図。
【図16】図17の16−17に沿った断面図。
【図17】図15のカラムの側面図。
【図18】媒体を充填する前の図9の組立体を保持するプレスの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
2つの主たる実施形態、すなわち、単一部品の長い本体を用いた第1の実施形態と、2部品の分断された本体を用いた第2の実施形態とを示す。
図1〜4を参照して、好ましくは円筒状であり対向する端部21a,21bを有する管状本体22を有するクロマトグラフィカラム20が設けられている。下流エンドキャップ24は、第1の下流端21a、好ましくは下流または出口端の上に固締されている。エンドキャップ24は随意ではあるが好ましくは、カップ形状であり、略平坦な端部を有し、該端部は、本体22の外側の雄ねじと係合してエンドキャップ24を本体に固締する雌ねじを有する。出口26は、キャップ24の略平坦な端部内に形成されており、ねじ込み栓28は、出口経路上の相嵌ネジと係合して出口26を解放可能に阻止する。
【0031】
第1のフリット30は、第1の端部21aの内側または上側に配置され、第1のエンドキャップ24によって定位置に保持される。随意ではあるが好ましくは、カップ状フリット保持部32が、第1のフリット30および第1のエンドキャップ24の間に配置される。フリット保持部32は、使用時にフリットが着座する第1の小径凹部34を形成するとともに、本体22の段付き端部21を受ける第2の大径凹部36を形成する、2段スカートを有した略平坦な端部を有する。端部21aの先端部分上のリップは、凹部34,36の異なる径の間に形成される肩部と当接してシールを形成し、大径凹部36は段付き端部21aと重なってさらなるシールを形成する。エンドキャップ24は、フリット保持部32およびフリット30を定位置にかつ、本体22の第1の端部21aとの封止係合状態に保持する。フリット保持部32は、出口26と同一線上に出口を有する。
【0032】
管状本体22の内部は、好ましくはその中をピストン38が摺動する円筒状空洞38を有し、随意ではあるが好ましくは第2のフリット42と当接する下流端を有する。フリット30,42間は、典型的にはクロマトグラフィ分析のための固定相を形成する媒体44である。媒体は、典型的にはクロマトグラフィ分析に適した様々な化学物質でコーティングされたシリカまたはポリマー粒子からなる。
【0033】
ピストン40は、後でより詳細に説明する第2のエンドキャップ48およびスラスト座金50によって定位置に保持されるピストンスリーブ46によって、フリット42および媒体44に対して付勢される。カラム20は、好ましくはピストン40の中心を通って延びる長手軸52を有する。本願において下流端または方向とは、充填時に使用される軸52に沿った方向のことをいい、図示した実施形態において、この方向はエンドキャップ48からエンドキャップ24に向かう方向であり、上流方向はその逆の方向である。実際の使用において、移動相は好ましくは同じ方向を通るが、いずれかの方向でカラムを通過できるようにして、実際の使用時に上流と下流を反転できるようにしてもよい。
【0034】
図1および図3b〜3cを参照して、ピストン40および第2のフリット42について説明する。ピストン40の下流端は、下流エンドキャップ24に向けて下流方向に、長手軸48に沿って延びる壁54を有する。壁54は、フリット42の一部を受けるような大きさにされた円筒状凹部を形成する。フリット42は、フランジ56を形成する第1の円盤状部分を有する略ハット形状を有し、該フランジは、壁38の内径よりもわずかに小さい、好ましくは径が約0.625mm(0.001インチ)小さい環状外周を有する。円盤状フランジ56は、軸48から、フランジ56の上流側に位置する小径円筒状ボス58を超えて外側に径方向に延びる。したがって、フリット42は、フランジ56とボス58とを含み、これらには好ましくはフランジ56の下流面に均一に流体を分配するための内部経路が形成される。
【0035】
ピストン40上の壁54によって形成される凹部は、壁54の下流端が好ましくはフリット42のフランジ56と当接した状態で、円筒状ボス58を受ける。
第1のシール60は、随意ではあるが好ましくは、壁54の外側と、本体22の隣接する内壁38との間に配置される。第1のシール60は、長手軸52に沿ってより長い寸法を有する矩形の断面を有し、シール60の下流端は好ましくはフランジ56に当接していることが有益である。第1のシール56は、好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレンまたはポリテトラフルオロエチレンまたはゴムなどのエラストマーまたはポリマーである。St.Gobain#450151883シールが適切であると考えられる。第1のシールは、媒体44および液体が、ピストン42と内壁38の間を通過することを制限するのを助ける。
【0036】
随意の第2のシール62は、第1のシール60の上流端と当接する。第2のシール62は、好ましくはピストン40内の対応する溝64内に配置されたエラストマーシールである。第2のシール62は、好ましくは、ポリエチレンまたはポリプロピレンまたはポリテトラフルオロエチレンまたはゴムなどのエラストマーまたはポリマーである。第2のシール62は、Oリングシールであってもよい。第2のシール62は、第1のシール60が、軸52に沿って上流に動かないようにすることを助ける。また随意で、ピストン40と内壁38の間を通過する媒体44および液体に対する封止を助けることもある。
【0037】
摩耗リング66は、ピストン40上の2つの軸方向の離間したフランジ68a,68bの間に配置される。リング66は、随意でさらなるシール面を提供してもよい。フランジ68a,68bは、軸52から径方向外方に延び、内壁38の内径よりもわずかに小さい環状外周を形成する。摩耗リング66は好ましくは、矩形の断面を有し、ピストン40が軸52に沿って動く際の、円筒状壁38内のピストンの揺動を低減するのに十分な内壁38に当接する軸方向長さを有する。摩耗リング66は、ポリエチレンまたはポリプロピレンまたはポリテトラフルオロエチレンであってよい。Oリング構造または他の構造を有するものであってよい。
【0038】
ピストン40の上流端上には、上方に延びる小径の上流ボス70を有する肩部69が形成される。肩部69は、好ましくは上流に面する連続する環状面であるが、間欠面を使用してもよい。ボス70は好ましくは、その上にネジを有した円筒状外観を有する。流体路72は、ピストン40内を、好ましくは軸52と一致して延びる。流体路72は、フリット42と流体連通する下流端を有し、好ましくは、フリット42のボス58上に開放する。
【0039】
壁54は、長手軸52に略直交する上部または上流面71を有する凹部を形成する。しかしながら、好ましくは、図面にみられるように、面71は長手軸に向けて上方にわずかに傾斜して、面71と隣接するフリット42の間に浅い円錐状の凹部を形成する。この円錐空間が、試料が何らかの粒子を含む場合の目詰まりを防ぐとともに、試料がフリット全体に拡散することを助ける。約3°の傾斜角がこの円錐空間を形成するのに適切と考えられる。
【0040】
ピストンスリーブ46は好ましくは、肩部69と当接するように構成された下流端を有する管状軸を含み、その内側はボス70に外嵌するような大きさにされる。随意ではあるが好ましくは、ピストンスリーブ46の下流端の上の内部にはネジが切られ、ボス70上のネジに螺合するように構成される。ピストンスリーブ46の上流部分上の肩部75は、エンドキャップ48またはスラスト座金50のうちの一方に当接する。スラスト座金50は、ピストンの位置を正確に維持するために、好ましくは、相対的に厚いステンレス鋼である。ピストンスリーブ46は好ましくは上流エンドキャップ48の端部内の開口部76を通って延びる。管78はピストンスリーブ46内を好ましくは軸52と一致して延びる。管78の上流端78aは、クロマトグラフィ装置と流体連通して配置されて移動層をカラム20内に導入するように構成される。管78の下流端78bは、ピストン40の上流端およびその流体路72と流体連通して固締されるように構成されている。キャップ80は入口端78aを遮断する。
【0041】
ピストンスリーブ46の上流端に隣接して戻り止め82が配置される。ピストンスリーブ46の外周の周りに延設される環状凹部が、戻り止めを形成するのに最適であると考える。ピストンスリーブ46の上流端が駆動面84を形成し、必要に応じて、上流に面するピストンスリーブ46上に追加の駆動肩部を形成して、後述するような駆動面84の目的を果たすようにしてもよい。錠止面75をスリーブ46に形成する。好ましくは錠止面75は、スリーブ上の肩部の形状をもち、好ましくは、間欠面ではなく環状の肩部を含む。
【0042】
本体22の上流端21aには、好ましくは本体22の内面上に長手軸52から外方に角度をつけた面取り部86が形成されている。面取り部86は、上流に面する本体22の平坦化または曲線化されたリップに延びる。
【0043】
図1および5を参照して、カラム20の充填について説明する。下流エンドキャップ24を本体20上に配置して、下流フリット30を定位置に保持する。カラム20を、上流端21が覆われることなく開放された状態で、保持部内に配置する。随意ではあるが好ましくは、カラム20をチャック87内に配置するが、該チャック87は、本体22に当接して、中心線52がチャックの中心線と一直線上にくるようにカラムを保持するように締められる。3部分チャック87が好ましい。キャップ24の下流端は、図示したように支持面88に当接できるか、チャック87が以下の充填のために十分なように本体22を把持することができる。
【0044】
所定量の媒体44をビーカーに入れ、流体と混合してスラリーを作成する。このスラリーを好ましくは超音波処理して空気を除去し、媒体44と流体をさらに混合する。次にスラリーを本体22の内部に注入する。フラスコを流体で好ましくは2回リンスし、流体を本体22内に注いで、確実にすべての媒体が本体22内に収容されるようにする。液面を面取り部86まで満たすために必要であれば、さらに流体を加える。カラムに強制通気を行うことは好ましくないため、液面を、空気の捕捉を回避するのに十分な高さにするか、排気弁を設ける。あるいは、スラリーをチューブからくみ上げるか、他の充填方法を用いてもよい。好ましくは、出口経路26はこの段階では遮断されておらず、流体は重力によって出口26から流出することができる。
【0045】
スリーブの端部がピストン肩部69に当接するように、ピストン40をピストンスリーブ46上に配置する。好ましくは、ボス70上の相嵌ネジが、スリーブ46の内面上の相嵌ネジと係合して、スリーブとピストンの相対軸移動を阻止するネジ係合を形成する。金属キャップをスリーブ46の端の上に配置して、管78の上流端78aから流体が流出することを阻止するようにすることが有益である。ハット状フリット42をピストン内に配置して、上流エンドキャップ48およびスラスト座金50をピストンスリーブ46上に配置する。必要に応じて、ピストンスリーブ46の上に錠止機構を配置してもよい。
【0046】
プレス90内にピストンスリーブ46を配置する。プレス90は随意ではあるが好ましくは、液圧式ラムを含み、そのようなものとして後述する。戻り止めは、プレス90内の相嵌する解除可能な戻り止めピンと係合して、スリーブに取り付けられた任意の錠止機構およびピストン40とともに、ピストンスリーブ46を定位置に保持することができる。ピストンスリーブ46は、スリーブの長手軸が本体22の長手軸52と一致するようにラム90内に配置する。
【0047】
次に、ラム90はピストンを本体22の開放端の方へ進めるが、この際には、面取り部86が、相嵌部分を案内し、わずかなずれを吸収するのを助ける。好ましくは、フリット42と流体の間に空気が捕捉されることがないようにするために、少量の過剰流体が面取りされたリップ86から押し出される。ラム90およびピストン40はこの初期係合部分のあいだはゆっくりと進行する。ラム90は、摩耗リング66が内壁38に当接するまで本体22中に進行し、この当接した時点で、必要に応じてラムの速度を上げることができる。進行するピストン40が出口通路26から流体を押し出す一方で、フリット30は、媒体を本体22内に保持する。流体が大幅に本体から排出された場合、ピストン40は媒体44を圧縮し、この時点で圧力は迅速に増大する。
【0048】
ラム90は、所望の圧力が達成されるまでピストン40を進行させ、この時点で、ピストン40の移動が停止される。この時点で流体は経路26を介して大幅に押し出され、媒体44が圧縮されて所与の用途のための、好ましくはクロマトグラフィ分析のための固定相を形成する。その後、本体22に対するピストン40および軸46の相対移動は固定さる。このことは、随意ではあるが好ましくは、スラスト座金50を錠止肩部75と当接するまで移動させることによって達成されるか、あるいは、スラスト座金を用いない場合には、キャップ48をキャップの一部が錠止面75と当接するまで進めることによって達成される。随意ではあるが好ましくは、錠止肩部75は、キャップ48内の開口部76に隣接して延び、結果としてスラスト座金50は、キャップ58と肩部75の間に延びる有意な支持されていない、すなわち自由な長さを有しない。キャップ48は、本体22の外側上流端上の相嵌ネジと係合する内部ネジを有する。スリーブ46の長さおよび錠止肩部75の位置は、ネジが座金50を軸52に沿って錠止面75と当接するように付勢できるように、本体22の長さと、これらの相嵌ネジの位置に対して選ばれる。
【0049】
キャップ48を、スラスト座金50を肩部75およびスリーブ46に対して押しつけさせて、媒体44をさらに圧縮するまで締め付ける。ラム90と連通する直線移動ゲージ92は、ピストン移動をわずかに増大させる。直線移動92は、随意ではあるが好ましくは、小数第2位または第3位までの移動として読むことができる。媒体44が、直線移動ゲージ上で0.01または0.001または好ましくは0.0001の少量にまで圧縮された後、ラム90が解放され、キャップ48と、スラスト座金と錠止面75がスリーブ46およびピストン40を定位置に保持する。カラム20をチャック87から取り外す。栓28は出口経路26を遮断する。必要に応じて上流端78a上の金属キャップを除去し、プラスチックキャップおよび/またはユニオンと交換する。こうして充填されたカートリッジは輸送および/または使用に適している。直線移動ゲージの代わりに、または加えて、力ゲージを使用してもよい。
【0050】
図6は、左縦グラフ上に示したラム90によってもたらされる圧力に対する、ピストン40の位置を水平方向グラフに示した説明図である。ピストン移動は時間で示してある。ピストン40が本体22および出口26から過剰な流体を追放すると、ラム90にかかる圧力は媒体44が圧縮されるにつれて相当に直線的に増加し、ベッドを介して付勢されている流体が流れ抵抗の増大を受けることになる。流体が出口26を介して大幅に追放されると、ピストン40のさらなる移動が残りの流体内の媒体44をさらに圧縮するにつれ、圧力が著しく増大する。圧力が増加しすぎると、媒体40が変形するか、潰れて細かくなり、そのそれぞれが媒体ベッド44内の流れを低下させることになる。望ましい圧縮圧力は、使用される個々の媒体によって異なる。圧力が所望の圧力に達したところで、ピストン40の移動が止められる。
【0051】
この第1の実施形態は、ピストン40による媒体44の均一な液圧充填を達成し、これは、圧縮された媒体44によって形成される固定ベッドを通る移動相の均一な流れにとって望ましい。しかしながら、この実施形態は長い本体22と長いスリーブ46とを必要とするため、エンドカラムが重くなり、望まれるより多くの材料を必要とする。本体22、スリーブ、エンドキャップ24,48は、金属、典型的にはステンレス鋼からなり、この材料は重いだけでなく高価である。したがって、本体22の長さを短くし、可能であればピストンスリーブ46を無くすことが望ましい。
【0052】
図7〜10を参照して、上述したのと同じピストン40を使用するが、分断された本体122を有する、第2の実施形態を説明する。変更のない部分については符号は変えず、説明は繰り返さない。
【0053】
本体122は2つの部分、すなわち取り外し可能な上流管122aと残りの下流管122bとからなる。どちらの部分122a,122bも充填のために用いられ、取り外し可能な管122aは、後でより詳細に説明するように、使用のために取り外される。上流管122aはスラリーチャンバを構成し、下流管122bはカラムを構成する。管122a,122bは除去可能なVバンドクランプによって着脱可能に連結されている。本体122の外側に、随意でレンチ面133を設けてもよい。
【0054】
スラリー管122bは、媒体が充填する前に、所望のスラリー媒体44を保持するのに十分な長さを有する。随意ではあるが好ましくは、この長さはピストン40の少なくとも一部を収容するのに十分な長さである。カラム122bの上流端124は、スラリーチャンバ122aの下流端126に対して封止するように構成される。シールは、典型的には約13800〜41400kPa(2000〜6000psi)の範囲の液圧充填圧力に耐えるように設計されるが、個々のカラムおよび媒体によってこれより大きくても小さくてもよい。シールは好ましくは本体122a,122bの当接面間の面シールである。しかしながら、このシールは、長手軸52の長さに沿って延びる軸シールであってもよいし、面シールと軸シールの両方であってもよい。
【0055】
1つの図示のシールについて説明する。本体122a,122bの嵌合端部のそれぞれは、軸52と平行に延びる管状本体122a,122bの内側に壁128a,128bを有する。各壁128a,128bは、短い円筒を形成する。各壁128a,128bは、壁の外観に凹部132a,132bも形成する。壁128a,128bの端部が互いに当接する場合、凹部132a,132bは互いに対向し、Oリング134のためのOリングシールなどのリングシールを収容するのに十分な大きさの単一の環状凹部を形成する。壁128bの内部隅は面取り部130を有する。各凹部132a,132bに隣接し、かつ各壁128a,128bから離れたところに、先細凹部135a,135bがある。各先細凹部は台形の断面を有する。
【0056】
端部128a,128bが互いに当接する場合、Vバンドクランプ136は凹部135と係合して、部分122a,122bを互いに保持する。Vバンドクランプは2つの半円形またはクラムシェル断片136a,136bを有し、そのそれぞれが2つの突起140a,140bを有し、先細になった側が凹部135a,135bのうちの一方と嵌合するように構成されている。クラムシェル断片136a,136bは、例えば、スクリュなどのネジ式固締部材142によって、ともに固締されており、このとき、突起140a,140bは、嵌合凹部134a,134b内に楔入して断片122a,122bをともに固締する。シール134は、単独またはVバンドクランプ136と協働して、流体密シールを維持する。Vバンドクランプ136は、スラリーチャンバ122aおよびカラム122bを同軸線上にも維持する。
【0057】
取り外し可能なスラリーチャンバ122aは、チャンバの端部上のリップの内側に面取り部86に有した上流端124を有する。
図9a,9bおよび11を参照して、組み立てられた場合、初期の使用については図5の第1実施形態のものと同様である。スラリーチャンバ122aおよびカラム122bは、Vバンド136によって接合されている。下流エンドキャップ24がカラム122b上に置かれて、下流フリット30を定位置に保持する。接合されたスラリーチャンバ122aおよびカラム122bを、上流管122aの上流端が覆われずに開いた状態で、保持部内に配置する。随意ではあるが好ましくは、チャック87(図5)、または接合されたチャンバ122aとカラム122bとは、該接合されたカラムを中心線52がチャックの中心線と一直線上にくるように保持する支持体88内の凹部17内に配置される。キャップ24の下流端は、図示されるように支持面88と当接するか、または、チャック87が単独で用いられる場合には、該チャックは、続く充填に十分なように、接合された本体122a,122bを把持する。カラムを支持体88に当接させることが好ましい。
【0058】
所定量の媒体44をビーカーに入れ、流体と混合してスラリーを形成する。スラリーは好ましくは超音波処理して、空気を除去し、さらに媒体44と流体を混合する。次にスラリーをスラリーチャンバ122aの開口部に注入する。スラリーチャンバ122aは、第2の実施形態における取り外し可能な前圧縮チャンバの目的を果たす。すべての媒体が接合された本体122a,122b中に確実に入れられるようにするために、フラスコを流体で好ましくは2回リンスして、スラリーチャンバ122aに注ぎ入れる。スラリーチャンバ122a上の面取り部86にまで液面を満たすために必要であれば、追加の流体を加える。カラムに強制通気を行うことは好ましくないため、液面を、空気の捕捉を回避するのに十分な高さにするか、排気弁を設ける。好ましくは、出口経路26はこの段階では遮断されておらず、流体は重力によって出口26から流出することができる。
【0059】
ピストン40を、スリーブの端部がピストン40上の肩部69に当接するように、ピストンスリーブ46上に配置する。好ましくは、ボス70の相嵌ネジがスリーブ46の内側の相嵌ネジと係合して、スリーブとピストンの相対軸移動を阻止するネジ係合を形成する。金属キャップをスリーブ46の端の上に配置して、管78の上流端78aから流体が流出することを阻止するようにすることが有益である。ハット状フリット42をピストン内に配置して、上流エンドキャップ48およびスラスト座金50をピストンスリーブ46上に配置する。必要に応じて、ピストンスリーブ46の上に錠止機構を配置する。プレス90内にピストンスリーブ46を配置する(図18)。戻り止めは、プレス90内の相嵌する解除可能な戻り止めピンと係合して、スリーブに取り付けられた任意の錠止機構およびピストン40とともに、ピストンスリーブ46を定位置に保持することができる。ピストンスリーブ46は、スリーブの長手軸が本体22の長手軸52と一致するようにラム90内に配置する。
【0060】
次に、ラム90(図5および18)はピストンを本体122aの開放端の方へ進めるが、この際には、面取り部86が、相嵌部分を案内し、わずかなずれを吸収するのを助ける。ラム90およびピストン40はこの初期係合部分のあいだはゆっくりと進行する。好ましくは、アライメントを確認するために、第1のシール60が本体122aに係合する前に、ピストン40の移動を一時停止する。好ましくは、フリット42と流体の間に空気が捕捉されることがないようにするために、少量の過剰流体が面取りされたリップ86から押し出される。
【0061】
ラム90はピストン40を接合された本体122a,122b内に進める。圧力は直線的に、かつ、ピストン40が上流スラリーチャンバ122a中にある場合にはゆっくりと増加するが、これは、媒体44が固定ベッド中に圧縮されていない状態では十分な流体が存在するためである。このようにして管状チャンバ122aは効果的に予備圧縮チャンバを形成する。本体122a,122bの接合部における、壁128b上の面取り部130は、シール60,62および封止用摩耗リング66が捕まることを防ぐのを助ける。媒体44が面取り部において集まることがあるので、面取り部130は小さい方が好ましい。
【0062】
進行するピストン40は、出口経路26から流体を押し出す一方で、フリット30は媒体を下流本体122bの内部に保持する。流体が大幅に下流カラム122bから追い出されると、ピストン40は媒体44を圧縮し始め、この時点で圧力は図6に示すように急速に増加する。
【0063】
ラム90は、所望の圧力に達するまでピストン40を進め、この時点で、ピストン40の移動が停止され、定位置に維持される。この時点で流体は経路26を介して大幅に押し出され、媒体44が圧縮されて所与の用途のための、好ましくはクロマトグラフィ分析のための固定相を形成する。この時点で充填済みの管をクロマトグラフィ分析のために用いてもよいが、ラム90は圧力を維持しなければならない可能性があり、これは望ましくない。というのもこれが充填済みカラム122bの移動性を制限し、ラム90の使用を制限してしまうからである。
【0064】
下流カラム122bの長さは、媒体44および随意ではあるが好ましくはピストン40の少なくとも一部が、カラム122b内にあるように選択される。シール60および62がカラム122の壁38に係合し、好ましくは摩耗リング66はカラムの壁にも係合して、ピストンの実質的な部分がカラム122b内にあることが有益である。次にVバンド136を解放し、取り外し可能なスラリーチャンバ122aをカラム122bとの接触状態から動かすことができるようにするとともに、ピストンをカラム122bに固締し、媒体44上の圧力はスリーブ46とラム90によって維持したままにしておく。このように、スラリーチャンバ122aによって形成された圧縮チャンバは、取り外し可能であり、本実施形態における最終組立カラム20の一部を構成することはない。
【0065】
ピストン40は、様々な様式でカラム122bに固締することができる。概念的に好ましい機構としては、フランジまたはカラム122b上の凹部と係合するとともに、カラム122bに対するピストン40の相対移動を阻止するために、ピストン40の一部とも係合するクラムシェルまたは分割リング装置を含む。ピストンをカラム122bに対して定位置に錠止する1つのやり方が、図10に示されている。ピストン40は、好ましくはカラム122bの内壁38と当接する摩耗リング66およびリッジ68a,68bによって、少なくとも途中までカラム122b内に押圧されている。錠止コレット144は、好ましくは上流リッジ78aと当接するピストン40の一部の周りに配置される。コレット144は、ピストン圧縮スクリュとして作用する。有益には、だが随意で、コレット144の外側には、ネジ付き部分146を有し、好ましくはコレットの上流端に、レンチ面144も設けられている。したがって、コレット144は、有益には、外面上にネジを有する円筒管を含み、管は好ましくはカラム122bの長手軸に沿って分割されている。2部分からなる錠止スリーブ150が、錠止コレット144の一部とカラム122bを包囲する。錠止スリーブ150は、ピストン保持具としての役割を果たし、そのように呼ぶこともある。随意ではあるが好ましくは、錠止スリーブ150は、カラム122b内の凹部135bと嵌合するように構成された凸部152を有するクラムシェルまたは割リング構造である。随意で、錠止スリーブ150は、好ましくはカラム122bの上流端の外形と嵌合するように構成される。さらに、錠止スリーブ150は随意で、コレット144上のネジ146と螺合するように配置されたネジ付き部分154を有する。ネジ146,154は、随意ではあるが好ましくは、多重リードネジであり、二重リードネジが好ましい。コレット144は、分割された錠止スリーブ150を互いに接合する前または後に、凹部154中にねじ込むことができる。
【0066】
使用時において、上流スラリー管またはスラリーチャンバ122aをピストンスリーブ46上方に摺動させることによって除去した後、錠止スリーブ150の2つの半部を、たとえば、錠止スリーブ150内の穴156を通るスクリュなどのネジ付き固締具によって互いに固締する。あるいは、スリーブ150の外部を取り囲むフープ固締具、たとえばホースクランプ、ワイヤ、リング、またはシリンダなどを用いてもよい。
【0067】
錠止スリーブ150を構成する2つの部品を接合した後、コレット144の下流端がピストン40上のリッジ78aに押しつけられて、ラム90によって検出される力をわずかに増加させるまで、コレット144をスリーブ150内にねじ込むか締め付ける。次に、コレット144と錠止スリーブ150とがラム90によって与えられるのと実質的に同じ前負荷を維持した状態で、ラムと肩部69とが係脱される。その後、充填済みカラム122bをチャック87または凹部174から取り外し、下流端を栓28(図1)によって塞ぎ、必要に応じて上流端の金属キャップを交換する。
【0068】
コレット144は、長手軸52に沿ったピストン40の位置の変化を吸収する軸方向に配置可能または調節可能な装置を提供する。コレット144は好ましくは単一の部材であるか、随意で2つまたはそれ以上の部分に分割されていてもよい。分割錠止スリーブ150は、コレットを軸52に対して径方向に係合して、長手軸52に沿ったコレット144の移動を阻止する径方向錠止装置を提供する。コレット144および複数部分からなる錠止スリーブ150を提供することにより、ラム90およびピストンスリーブ46は、媒体44上の圧縮圧力を維持することができるが、この圧力を維持するために必要とされる力は、圧力を実質的に解放することなく、錠止スリーブ150およびカラム122bに機械的に伝送される。単一部品コレット144および2部品スリーブ150について説明したが、それぞれに3つ以上の部品を使用してもよいし、コレットを2部品とすることもできる。
【0069】
軸52から外方にカラム122bの壁38の内径よりも大きい距離で径方向に延びるフランジの上に配置された、コレット144上のレンチ面148が示されている。レンチ面148はカラム122bの内壁38の直径よりもわずかに小さいため、コレット144は上流スラリーチャンバ122aの内側に嵌合することができる。したがって、単一部品コレット144をスリーブ46上に配置し、上流管またはチャンバ122aを通過して、Vバンドクランプ136が解放された後に錠止スリーブ150に固締されることができると考える。
【0070】
図12〜13を参照して、代替の錠止機構が示されている。カラム122bは、下流エンドキャップ24と、本体レンチ面23と、上述したような、Vバンドクランプ136の一部を受けるための凹部135bを有する上流端とを有する。ピストン40は、圧縮スクリュとして作用するコレット144に沿って示される。この実施形態において、錠止スリーブ150aは、カラム122bの上流端の外部の少なくとも一部と適合するように構成された内部を有し、好ましくは、カラム122b内の凹部135bに少なくとも係合するように構成された凸部152を有する。端部150aもまた、コレット144上のネジ146と係合するように構成されたネジ付き部分154を有する。
【0071】
2つの錠止スリーブ150aのそれぞれの外部は、実質的に円筒状の下側部分158と、それより小さい円筒状上側部分160とを有する。2つの半部150aは、ピストン40およびカラム122bの上流端と係合するように嵌合される。次に保持部品162を2つの部分150aの外側の上を滑らせて、それらが径方向外方に移動することを阻止する。保持部品162は、部品150aの外形に嵌合するような形状の内形を有する。保持部品162は、下側部分158の外側の上を通過するのに十分な大きさの下流端を有し、スラリーチャンバ122aの上を通過するのに十分な大きさの上流端を有する。保持部品162の内部には、錠止スリーブ150aの外部が入れ子にされる。
【0072】
コレット144は、ネジ154にねじ込まれ、リッジ78a上の肩部に対して付勢され、部品150aが軸52から遠ざかるように径方向外方に動いて、保持部品156の内側を押す。分割された端部150aの外方への移動により保持部品へ割り込み、錠止スリーブ150aと保持部品162の間の摩擦係合が、部分150a,162の軸方向の移動を制限し、上側および下側の部分158,160での径の違いによって形成される肩部もまた、一方向における軸方向移動を制限する。保持部品158は、ラム90がピストン40を上流スラリーチャンバ122aに押し込む前には、ピストンスリーブ46の上に配置しておくことができる。チャンバ122aを解離し、保持部品156がチャンバ122aの上を通って端部品150aに外嵌してこれを定位置に保持する。
【0073】
図14aおよび14bを参照して、さらなる実施形態を示す。この実施形態は上記に概説した通りであるが、圧縮スクリュまたはコレット144を囲む、2つまたはそれ以上の部品に分断された錠止または保持スリーブ150を有する。保持部品162もまた、好ましくは2断片に分断されている。断片は、コレット144と、カラム122bの上端124とを包囲して、それらの相対位置に保持する。保持部品162の断片は、スクリュ、ボルトまたはピン142によって互いに固締されている。
【0074】
この構成では、スリーブ46(図5)を充填済みカラム20とともに残しておく必要を無くすとともに、スリーブ46の長さを収容するのに十分な長さの管の必要性を無くす。得られるカラム20は、より短く、より軽く、より簡単で、少なくハードウェアしか使用せず、より安価である。さらに、媒体44の動的、液圧式充填がより正確かつ繰り返し可能になり、固定相がより均一に形成され、ベッド密度が増大しながらも、ベッドが破砕されて微粒子ができることが回避される。カラム性能が向上する。
【0075】
さらに、媒体44の液圧式充填に要する時間が著しく少なくなり、管の充填のために管にスラリーを連続的に通す従来の充填方法によって達成されるものよりも、約10〜100倍も速くなる。管22,122は、約25mm(1インチ)未満の管径および数インチ未満の長さにつき、1分未満で所望の圧力に充填することができる。
【0076】
さらに、使用する媒体44が少なくなり、その媒体の値段は高い。従来の連続流(スラリー)充填技術は、充填装置によって使用される管またはチャンバ内に約40%もの媒体が残ることもあった。
【0077】
さらに、ピストン40による動的液圧式充填は、媒体44を圧縮して、圧縮された媒体の固定ベッドを形成し、この媒体の圧縮されたベッドは弛緩または膨張を許容せずに定位置に錠止される。ベッドを所望の圧縮状態に錠止することは、第1の実施形態においては、ピストン40を定位置に保持するために、ピストンスリーブ46を定位置に錠止することで達成される。第2の実施形態においては、ピストン40が定位置に錠止されてから、ピストンスリーブ46を取り外す。いずれの実施形態においても、媒体44のベッドにピストン40からかけられる圧力は、好ましくは実質的に不変に保たれる。実際には、いずれの例においても錠止機構は、ピストン移動またはわずかな圧力増加がラム90によって検出されるまで作動されるので、錠止圧力は好ましくはわずかに高く、psiの分数より高いことが好ましく、これよりは好ましくないが、ラム90が移動を停止する充填圧力よりも数psiまたは数十psi高い範囲にある(1psi=6.89kPa)。ピストン40上の圧力がラム90によって電気的に監視されるので(たとえば、ひずみゲージ、圧力変換器などを介して)、好ましくはないものの、ラム90が圧縮を最初に停止する圧力より大きいまたは小さい圧力にピストン40を錠止することもできる。
【0078】
ピストンと、ピストン40と充填された媒体44のベッドを圧縮状態に保持する錠止端部48および錠止スリーブ150の間には、バネを介在させないことが有益である。
フリット30,42は、焼結金属または重合PEEKからなる。2径フリット42は、充填された媒体44によって提供される固定相全体に流体を分散させる。フリット42の外径は、壁38の内径よりも小さく、フリット42がプレス90およびピストン40によって壁に沿って移動される際のひっかきを回避する。ハット状フリット42は、フリットが管22,122bの内径の実質的に全体に広がるとともに、媒体44から形成される固定ベッド全体に広がることができるようにする。それにより媒体44全体にわたって固定相および試料をより均一に分散でき、カラム20が短い場合には特に有用である。さらに、ボス58は、フリットの実質的な部分を約70〜80%厚くして、充填圧力に対してより良く耐え、より薄い材料のより薄い周囲リムを提供する。フリット42は、好ましくは、製造時にハット状構造に形成される単一のフリットである。あるいは、好ましさは低いが、フリット42は、より小径のフリットに当接する大径フリットを配置することから形成してもよい。約21mmのフランジ径および約18mmのボス径に対しては、約1.3mmの軸厚を有するフランジ56を有した、約3.5mmの軸厚を有するボス58を有するステンレス鋼フリット47が約2マイクロメートルの多孔率に対しては適切であると考えられる。フリットは、クロマトグラフィ媒体中の固体粒子を通過させずに、分離対象の溶液中に物質を含んだ流体を通過させるようにする。理想的には、フリットの内側またはフリットの上流面上の放射状溝が、溶液が嵌合面全体により均等に広がることを許容して、クロマトグラフィ媒体44のベッド全体に流体がより均等に広がることを助ける。
【0079】
段付き径フリット42は、所望の最大厚みと径を有する円盤をとり、小径ボス58を回転させることによって作成することができる。この部分は、金属を成形または焼結したものであってよく、セラミックからなるものであってもよい。好ましくは、ボス58の上流側およびフランジ56の下流に面する側は多孔性であり、ボス58とより大きいフランジ56の周囲の間の縁および環状空間は、流体流に対して実質的に不透性である。
【0080】
シール60、および任意の追加シールは、チャンバ22,122a,122bの長さに沿ってあらゆる媒体を一掃するのに十分に流体密である。シール60、および随意のさらなるシールは、典型的には約6900〜41400kPa(1000〜6000psi)の範囲から約69,000kPa(10,000psi)より高い可能性もある、所望の充填および動作圧力に対して構成される。特定のシール構成について示したが、他のシール構成、シール配列、およびシール材料を本発明の精神と範囲内で用いることができる。
【0081】
下流管122bが、シール60またはシール60,62および66が、管122bの面取り部130を通過した後に最大圧力の増加が起こるような寸法にされている場合には、チャンバ122aと管122bの端部間のシールは大幅に簡略化することができる。これにより、チャンバ122aおよび管122bの構造、組立および解体が簡単になる。面取り部130は、ピストンが面取り部130を通過する際に、媒体がチャンバ122aと管122bの間の接合部に押し込まれることを防ぐために、好ましくは下流管122b上にだけ設けられる。図9aおよび9bを参照して、さらなる実施形態を示す。上流管またはチャンバ122aが、分割保持具によって下流管またはカラム122bに接合される。カラム122bの上部または上流端124は、上部端凹部135bを有し、上流管またはチャンバ122aの下部または下流端は、下部端凹部135aを有する。ネジ付きコレットまたはベッド圧縮スクリュ144は、カラム122bの上流端の内側上の相嵌ネジと螺合する。ピストン40(図13)は、圧縮スクリュ144によって媒体ベッドに対して付勢される。
【0082】
錠止スリーブ150(図13または図10)は、ネジ付き上流端を有し、ベッド圧縮スクリュ144またはコレット144上の雄ネジと嵌合する。スリーブ150は、凹部135b、または凹部135bを形成するリムと嵌合して、スリーブ150の軸移動を抑制するように構成された下流端を有する。このようにスリーブ150は、長手軸52に沿ったカラム122bに対するコレット144の移動を抑制する。外側スリーブまたは保持部品162は、分割スリーブ150を径方向への拡大から保持する。外側スリーブ162もまた、外側スリーブ162の相嵌部分内の整列穴を介して延びるネジ付き固締具142によって互いに保持された、2つまたはそれ以上の部品を有する分割またはクラムシェルデザインのものである。外側スリーブ162は、分割錠止スリーブ150またはコレットの外部と略適合するように構成される。外側スリーブ162は、スリーブ150の部分同士を保持する。
【0083】
上述の最初の使用は、ピストン40(図示せず)が媒体を圧縮してクロマトグラフィベッドを形成する注入および充填のあいだに、Vバンドクランプ136が上流スラリー管122aと下流カラム122bを一直線上に保持しておくものである。Vバンドクランプは取り外される。
【0084】
図14を参照して、分割鍔部150をカラム122bの周りに配置して、凹部135bと係合させる。分割鍔部150は、ピストンを定位置に保持する役割を果たし、理解を容易にするために、鍔部150は、図14の動作の説明においてはピストン保持具と呼ぶことにする。次にベッド圧縮スクリュまたはスリーブ144を、そのネジがピストン保持具150上のネジと係合するように下方に摺動させる。ベッド圧縮スクリュまたはスリーブ144を、ピストンが定位置に錠止されるまで締める。ベッド圧縮スクリュが締められると、該スクリュはピストン保持具150および凹部135bに対して上方または下流方向に押す。凹部135b上の傾斜面は、分割ピストン保持具150を軸52から外方に動くことを可能にし、外側スリーブ162はその動きを抑制して、あらゆるものを定位置に錠止する。その後、充填済みカラム122bは、プレス90から取り外すことができ、カラム内の流れは、栓28およびキャップ80によって遮断される。
【0085】
分割ピストン保持具150の外方への拡張を抑制するために分割外側スリーブ162および固締具142を使用する代わりに、ピストン保持具は、ワイヤによって、保持具150上を軸方向に摺動される輪状リングによって、あるいは、保持具150上を軸方向に摺動される円筒状スリーブによって、一緒に保持し、定位置に保持することができる。単一部材のリングまたはスリーブを使用することは、分割部分を一緒に保持するための分割部分または固締具の使用が避けられるので、より簡単である。しかしながら、単一部材のリングまたはスリーブの場合、ベッド圧縮が始まる前に長手軸52上にこれらを位置させておく必要があり、このことが、プレス90による圧縮を許容しながら軸上にすべての部品を配置することを複雑にする。
【0086】
図15〜17を参照して、さらなる実施形態を示す。下流エンドキャップ24は、充填用のカラム122aとプレス90との心合わせを行うために用いることのできる、複数の平面部166と隅部168を有する。随意ではあるが好ましくは、分割錠止スリーブ150をカラム122aの実質的な長さに沿って延びるように伸ばし、50mmよりも短いカラムに対しては、実質的な長さは約半分またはそれ以上である。それより長いカラムに対しては、長さはより短く、実質的な長さを含まない。錠止スリーブ150は、ピストン圧縮スクリュまたはコレット144上のネジと係合するように構成された雌ねじ154を有する。凸部152はカラム122a内の凹部135bと嵌合して、ピストン保持スリーブ150とカラム122aの相対軸移動を防止する。凸部152は好ましくは、凹部135bの形状と適合するような形状であり、より好ましくは、径方向に楔合するか軸移動を抑制する密嵌を形成する傾斜面を有する。錠止スリーブ150は好ましくは、カラム122aの先端部と適合し、スリーブ150とカラム122aの間の相対軸移動を抑制するさらなる係合面を提供する。錠止スリーブ150は、その長さに沿ってネジ154の付近で径が小さくなる円筒状の外観を有する。
【0087】
上流エンドキャップ48は随意ではあるが好ましくは、下流エンドキャップ24の場合と同様の平面部166および隅部168を有する。上流エンドキャップ48は、分割錠止スリーブ150の径方向拡張を限定するための保持部品162を形成する。このことは、錠止スリーブ150の外部と適合するように、または外部の実質的な部分と適合するように構成された内部凹部を有することによって達成される。図示したように、多数の相嵌する凸部および凹部を用いて、カラム122aに対する錠止スリーブ150の軸移動に対する抵抗を与えることができる。
【0088】
錠止スリーブ150の一部が、カラム122aと係合するように配置される場合、保持部分162は、錠止スリーブ150上に嵌合して径方向拡張を妨害するように軸方向に移動される。コレット144がネジ154と係合し、ピストン40と当接するように締められると、相嵌ネジの緊締が錠止スリーブ150の径方向移動をもたらし、該錠止スリーブ150は保持部品162に当接して部品同士を摩擦錠止する。
【0089】
コレット144が適切に緊締されると、プレス90が係脱して、カラム122aが取り外される。保持部品162内の大径凹部(エンドキャップ48を構成する)の上に随意でエンドカバー170を配してもよい。大径凹部は、コレット144上のレンチ面148bに接近しやすくする。必要に応じて、充填済みカラム122a内の流体流路を遮断するために適切な栓またはキャップが追加される。
【0090】
平面部166および/または隅部168は、カラム122aを支持体88内の凹部174内に配置できるようにするが、該支持体において、カラム122aの長手軸とプレス90の長手軸との心合わせを行えるようにするために、凹部は該平面部および/または隅部と適合するように構成されている。これにより、チャック87は必要なくなる。適切な心合わせが行われるのであれば、任意の適切な数の平面部および/または隅部を用いることができる。
【0091】
図15〜17の実施形態もまた、図3aおよび3bに示すような変形ピストン40を有する。ボス70は、ネジを有さず、その代わりに、ピストンスリーブ46内の戻り止めピンまたは戻り止めリング(図示せず)と嵌合して、使用中にピストンをプレス内に解放可能に保持する戻り止め溝172を有する。戻り止めリングおよび溝172は、図1および3aに示すようにピストンスリーブ46およびボス70上の相嵌ネジを使用するよりも簡単である。
【0092】
本願で用いる上流および下流という用語は、カラム20,122に対する初期充填方向に相対していうものである。相対方向は、第1および第2ということもでき、その方向自体は反転可能であり、参照される部分についても反転可能である。フリット30,42は、焼結金属(ステンレス鋼、チタンまたは他の適切な多孔性材料)からなる。
【0093】
要件どおり、本発明の詳細な実施形態を開示したが、開示される実施形態は、様々な形態で具現しうる本発明の例示にすぎない。したがって、ここに開示する特定の構造および機能の詳細は限定的なもの解釈すべきでなく、請求項に対する根拠として、および当業者に本発明を事実上任意の適切な詳細な構造で採用する際の教示のための代表的な根拠にすぎないと解釈すべきである。
【0094】
上記の説明は限定ではなく例示として与えられている。上記の開示に基づいて、当業者であれば、カラム20内の定位置にピストンを錠止する様々な方法、およびスラリーチャンバ122aをカラム122bに取り外し可能に接合する様々な方法を含めて、本発明の範囲および精神を逸脱しない変形を編み出すことができる。さらに、本発明の様々な特徴は単独で用いてもよいし、種々に組み合わせて用いてもよく、本明細書中に記載した特定の組み合わせには限定されない。このように、本発明は例示した実施形態によって限定されることはない。
【0095】
本願発明は、以下の態様を含む。
[1]それぞれ第1および第2のエンドキャップで覆われた第1および第2の端部を備えた内径を有する管状本体を含む携帯可能な管状クロマトグラフィカラムであって、すべて本体内側に位置する第1および第2のフリット間に配置されたクロマトグラフィ媒体のベッドと、第1のフリットに当接し、ベッドに所定の圧力を及ぼすピストンと、本体に固締された支持体を有するとともに、ピストンがベッドに及ぼす力がネジ付きアジャスタの回転によって増加または減少するように、支持体とピストンとの間に介在されたネジ付きアジャスタを有する、調節可能な錠止機構とを備えるカラムである。
[2]支持体は、本体の外部に挟着することを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[3]ネジ付きアジャスタは、ピストンに当接する一端部を有するコレットを含むことを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[4]コレットは、複数のリードネジを有することを特徴とする上記[3]に記載のカラムである。
[5]支持体は、本体に挟着された分割エンドキャップを含むことを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[6]支持体は、本体に挟着され、調節可能な固締具を受けるためのネジ付き凹部を有する分割エンドキャップを含むことを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[7]コレットおよび凹部は、複数のリードネジを有することを特徴とする上記[6]に記載のカラムである。
[8]コレットはレンチ面を有することを特徴とする上記[6]に記載のカラムである。
[9]フリットは、フリットと本体の間にいかなるシールも介さずに、本体の内径に隣接して延びることを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[10]フリットは、内壁とほぼ同じであるがわずかに小さい第1の径を有し、フリットと内壁の間にはシールを有さないことを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[11]フリットは、第1および第2の同心円状の径を有し、媒体に当接するフリットの径は第1の径であり、第2の径よりも大きいことを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[12]ピストンは、ピストンと内壁の間に介在された少なくとも1つのシールを有し、少なくとも1つのシールは数千psiの流体圧でのシールを与えるように選ばれることを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[13]ピストンの一部は、管状本体の端部の外側に延びることを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[14]支持体は、管状本体の一方端を囲み、包囲構造によって一緒に保持される分割エンドキャップを含むことを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[15]第1の径を有する円筒状内部を有する管状本体を含むクロマトグラフィカラムとともに使用されるフリットであって、カラムの第1の径とほぼ同じであるがわずかに小さい径を有する第1の円筒状部分と、より小さい径を有する第2の円筒状部分とを有し、第1と第2の部分は同心円上にあることを特徴とするフリットである。
[16]フリットは、一体材料から一体的かつ単一的に形成されることを特徴とする上記[15]に記載のフリットである。
[17]フリットは、異なる径の2つの当接するフリットから形成されることを特徴とする上記[15]に記載のフリットである。
[18]第1の長さを規定する第1および第2の対向端部を有し、カラムの第1の端部上にエンドキャップを有する管状クロマトグラフィカラムの充填方法であって、カラムは、内径を有し、該方法は、スラリーチャンバをカラムの第2の端部にカラムと同軸状に当接させる工程と、スラリーチャンバとカラムの第2の端部の間に流体密シールを形成する工程と、流体とクロマトグラフィ媒体のスラリーをカラム管およびスラリーチャンバに配置する工程と、ピストンとスラリーチャンバの間に介在されたシールと、ピストンとスラリーの間に介在されたフリットとを有するピストンを、スラリーチャンバに配置する工程と、ピストンをスラリーチャンバ内で進行させ、少なくとも一部がカラムに入るようにする工程と、スラリー内の媒体が所望の圧力または長さに圧縮されるベッドを形成したときにピストンの進行を停止する工程とを含む方法である。
[19]ピストンをカラムに錠止する工程をさらに含む上記[18]に記載の方法である。
[20]スラリーチャンバを取り外す工程と、ピストンをカラムに錠止する工程とをさらに含む上記[18]に記載の方法である。
[21]ベッド上の圧力を解放することなく、スラリーチャンバを取り外す工程と、ピストンをカラムに錠止する工程とをさらに含む上記[18]に記載の方法である。
[22]ベッド上の圧力をわずかに解放しながら、スラリーチャンバを取り外す工程と、ピストンをカラムに錠止する工程とをさらに含む上記[18]に記載の方法である。
[23]フリットは、第1および第2の同心円上で異なる径を有する段付き円盤を含み、スラリーには大きい方の径で当接することを特徴とする上記[18]に記載の方法である。
[24]小さい方の径とカラムの内径の間にシールが介在され、大きい方の径とカラムの内径の間にはシールが介在されないことを特徴とする上記[23]に記載の方法である。
[25]面取り部を、カラムの第2の端部の内縁上に形成する工程をさらに含む上記[18]に記載の方法である。
[26]ピストンの位置を維持しながらスラリーチャンバを取り外す工程と、それぞれがその内部に形成されたネジ付き凹部部分を有する、分割エンドキャップの2つの部分をカラムの第2の端部の上に配置する工程と、分割されたネジ付きコレットをネジ付き凹部と螺合させて配置する工程と、分割エンドキャップを、カラムの第2の端部に固締する工程と、コレットがピストンを定位置に保持するまで、コレットを凹部内に進める工程とをさらに含む上記[20]に記載の方法である。
[27]ピストンを進める工程は、液圧式ラムをピストン上の肩部と接触させて配置する工程と、液圧式ラムを進める工程とを含むことを特徴とする上記[18]に記載の方法である。
[28]スラリーチャンバをカラムから取り外す工程と、ピストンを定位置に錠止する工程とをさらに含み、ラム位置は、スラリーチャンバがカラムとの接触状態から脱離され、ピストンが定位置に錠止されるまでのあいだ維持されることを特徴とする上記[27]に記載の方法である。
[29]カラムをラムから取り外す工程と、カラムの第1の端部の出口に栓をする工程とをさらに含む上記[28]に記載の方法である。
[30]流体密シールの形成は、Vバンドクランプをスラリーチャンバとカラムの接合点上に配置することを含むことを特徴とする上記[18]に記載の方法である。
[31]錠止工程は、Vバンドクランプをカラムの第2の端部の周りに配置することを含むことを特徴とする上記[21]に記載の方法である。
[32]複数の断片を含むクロマトグラフィ組立体であって、第1および第2の開放端を有し、直径がDの内筒を画成する壁を有するスラリーチャンバと、第1および第2の対向する端部と第2の端部上のエンドキャップとを有するクロマトグラフィカラムであって、スラリーチャンバの第2の端部はカラムの第1の端部と当接し、カラムは、直径Dの内筒を画成する壁を有するクロマトグラフィカラムと、一部がカラムの第1の端部の外面に形成され、一部がチャンバの第2の端部の外面によって形成される凹部内に配置された環状のシールと、シールを包囲し、チャンバおよびカラムの外側の少なくとも1つの凹部または凸部と協働して、チャンバおよびカラムを同軸上に位置合わせして保持するVバンドクランプとを含む組立体である。
[33]カラムの第1の端部の内縁上に面取り部をさらに含む上記[32]に記載の装置(組立体)である。
[34]スラリーチャンバの第1の端部の内縁上に面取り部をさらに含む上記[32]に記載の装置(組立体)である。
[35]チャンバおよびカラム内に流体とクロマトグラフィ媒体のスラリーをさらに含む上記[32]に記載の装置(組立体)である。
[36]チャンバまたはカラムの一方内にピストンをさらに含み、ピストンは、該ピストンと該ピストンが配置されるチャンバまたはカラムの円筒壁との間に介在された少なくとも1つのシールを有することを特徴とする上記[35]に記載の装置(組立体)である。
[37]少なくとも一部がカラム内に延びるピストンをさらに含み、該ピストンは直径がおよそDの第1の径と、より小さい第2の径とを有するフリットを有することを特徴とする上記[35]に記載の装置(組立体)である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、HPLCカラムに媒体を充填するなど、管状カラムに粒子を充填する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフィは、カラムの固定相中の固体粒子と、カラムを通過させられる液相との間の分配の差を助長することにより、混合物から化合物を分離する方法である。カラム充填材料は、分離を起こさせるためのむらのない面を与えるように、よく充填され均一に充填されなければならない。個々の化合物に応じて、カラムを通過する液体に対する親和性と比較した場合のカラム充填材料に対する親和性が、当該化合物がカラム内に滞在する時間の差を決める。化合物はカラムを出た後、検出されるか(分析液体クロマトグラフィ)、個々に回収される(調製液体クロマトグラフィ)。クロマトグラフィ分離が効率的に行われるためには、分離された化合物の再混合を起こしうるような流路または空隙または媒体の層化なく、カラム充填材料ベッドがカラム中に均一かつ高密度で分散されていなければならない。
【0003】
この高い性能を達成するために、液体クロマトグラフィカラムは、一般には、スラリーを形成する適切な溶媒中に球状または不規則なクロマトグラフィ粒子を分散または懸濁させることによって形成される。スラリーをカラム管の内部に入れ、スラリー上またはスラリーを介して力をかけることにより、粒子を沈殿させてカラムベッドを形成する。この力が粒子をカラム管内に堆積または「充填」させる。充填工程のあいだ、スラリー溶媒は、液体を排出させるには十分な多孔性を持ちながらも、クロマトグラフィ粒子は保持する「フリット」と呼ばれる多孔性円盤を通して排出される。スラリー溶媒が排出されると、クロマトグラフィ粒子は均一かつ高密度な「ベッド」に圧縮されて、カラムは使用準備完了となる。
【0004】
カラムベッドの圧縮と充填は、次の2つの方法のいずれか一方によって行われる。クロマトグラフィベッドを作成する広く知られた技術の一つは、カラム内部でスラリーを作り、カラムを通る高溶媒流を用いて粒子をカラムの出口に向けて押す。スラリー技術を用いてこれらのカラムを作成するには、充填工程のあいだ、クロマトグラフィカラムは上部が開いており、この端部がスラリーチャンバの一方端に取り付けられる。クロマトグラフィ媒体スラリーが、スラリーチャンバとカラム管を満たす。カラムの出口端は、クロマトグラフィ媒体を保持しながらも液体はカラムから排出させるフリットを有する。スラリーチャンバの入口端は、チャンバ内に液体を押し込む高圧、高容量ポンプに取付けられている。大流量液体は、粒子をカラムの出口に向けて移動させ、クロマトグラフィ媒体は均一かつ高密度のベッドへとゆっくりと圧縮される。
【0005】
スラリー技術では、ベッドが充填されるまで液体流を提供するために高圧ポンプが必要であり、これには1時間もの時間がかかることがある。この高流速での相当に長い充填時間は、大量の溶媒を必要とするために最終カラムのコストを著しくさせるとともに、製造スループットを低下させる。一旦クロマトグラフィベッドが形成されると、充填されたカラム管がスラリーチャンバから取り外され、永久エンド嵌合がカラムに配置される。この高圧高流速スラリー充填技術によるもう一つの主たる欠点は、圧縮されたクロマトグラフィベッドを形成するためにクロマトグラフィ媒体が充填プロセスの間に非常に高い圧力下におかれるが、スラリーチャンバからカラムが取り外される際に、この圧力を解放しなければいけないことである。圧力がカラムから取り除かれる際に、圧縮されたクロマトグラフィ媒体が減圧または弛緩されて、クロマトグラフィ媒体が膨張してカラム管内を移動することになる。カラムを閉じるためには、過剰の媒体をカラムの上部から除去し、別のフリットおよびエンドキャップをカラム管上に配置して、充填ベッドのそれ以上の移動または膨張を防止する。ベッドの移動およびこれに続く過剰媒体の除去は、特にカラムの頭部において、ベッド密度の変動または幾分の減少をもたらす。このベッド密度における変化および減少は、とりわけカラムが高流速下で操作させられる際に、ベッドの沈降または空隙化などの性能上の問題を生み出す。この減少は、25未満の比較的低いアスペクト比(長さ/内径)を有するカラム上で最も顕著である。現在では、高スループット、高容量調製用途において、使用者は、特に低密度のベッドのためにカラムの長さが短い場合に、このスラリー技術を用いて準備したカラムについて寿命の減少を経験する。
【0006】
代替のカラム充填技術としては、米国特許第5,893,971号に一般的に記載されているように、軸圧縮を用いるものがある。しかしながら、軸圧縮によって充填された大半のクロマトグラフィカラムは、カラムと充填装置の両方を含む単一のシステムに統合されている。カラム自体はシステム自体から取り外すことができず、このことはカラムがシステムの一部として動作することを意味する。また、管容積の大半がスラリーチャンバとして用いられるので、カラム管は、一部しかクロマトグラフィ媒体で満たされていないことになる。さらに、充填システムとカラムとが単一ユニットに統合されているので、コストと複雑性も高い。
【0007】
軸圧縮充填の新しい変形が米国特許第5,951,873号及び米国特許第6,036,755号に記載されている。カラムベッド上に能動圧を維持する取り外し可能なスプリングロッドとピストンを組み込むことにより、カラムは充填システムから取り外し可能である。しかしながら、このシステムでも、必要とされるベッド長がカラム全長のわずか1/3〜1/4であるにせよ、相当に長いカラム管が必要である。その理由は、カラム管の全長の有意な部分が、単に圧縮および/またはスプリング組立の前の圧縮されていないスラリーを収容するためだけに必要とされるからである。この設計には、長く、ときには非常に重いカラム組立体が含まれ、これは操作者が典型的な実験室または精製実験室において使用するには不便で、非実用的で困難を伴う。
【0008】
これらの設計は、4〜8本のカラムが平行して走るか、および/またはスペースの限られている高スループット精製実験室においては特に非実用的である。さらに、この長くより複雑な設計のカラムハードウェアの高いコストが、利用頻度の高い、または高スループット環境におけるそれらの受入に歯止めをかけるが、これは、多数で動作する場合にコストがかかりすぎるためである。
【0009】
軸充填されたカラムのさらに別の欠点は、フリット径がカラム径よりもはるかに小さいことである。この小さくされた径は、軸圧縮のあいだにカラムに高圧力がかけられた場合に、溶媒または媒体の漏れを防ぐために、カラム壁に対して押圧するシールまたはシール組立体に対して必要とされるスペースのためである。この小さくされた径は、フリットがクロマトグラフィベッドを覆わない外壁付近の不使用のカラム領域を残し、この領域にはサンプルが加えられない。短いベッドカラムの場合、ベッド長が非常に短く、サンプルは表面に迅速かつ均一に分散する必要があるため、サンプルを全表面に分配されることは非常に重要である。スラリー充填カラムにおいて、フリット径は一般には、カラム径と同じであるか大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,893,971号
【特許文献2】米国特許第5,951,873号
【特許文献3】米国特許第6,036,755号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、寿命を改善し、化学者が使用する際の扱いにくさを無くした、軸圧縮充填方法および部品によって製造可能なさらに小型の使い捨て可能なカラムの設計が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
スラリーチャンバ(管)を、Vバンドによってクロマトグラフィカラムと同軸上に固締して保持する。カラムの一方端部はエンドキャップとフリット(frit)を有する。流体とクロマトグラフィ媒体のスラリーをカラムおよびスラリーチャンバに入れる。ピストンとフリットがチャンバを介して液圧式ラム(ram)によってカラム中に付勢されて流体を排出し、カラム中に媒体ベッドを形成した状態で、ピストンが段付き径フリットに当接する。スラリーチャンバを取り外し、分割エンドキャップまたは分割保持具をカラムの周りに配置し、スリーブ(1部品または2部品)によって定位置に保持する。分割エンドキャップまたは分割保持具内のネジ付き凹部は、ネジ付きコレット(collet)を受ける。コレットを、該コレットがラムと同じ力でピストンを押すまで締め、この時点でラムは解放されて、使用のためにカラムが取り外される。フリットは、好ましくは、フリットの小径と隣接するカラム壁の間に介在されたシールを有する。同様に、ピストンは、段付き径を有し、ピストンの小径と隣接するカラム壁の間にはシールが介在されており、小径は好ましくはフリットに当接している。
【0013】
本発明の一態様は、軸圧縮によって経済的かつ堅牢な液体クロマトグラフィカラムを作成するための改善された方法に関する。本発明の別の態様は、ベッド上の軸圧縮を維持しながら、スラリーチャンバを取り外し、ベッドの長さの変化を吸収する柔軟性を保ちながらも、従来の軸充填されたカラムに比べて短くかつ複雑さが少ないカラムを得る方法に関する。本発明のさらなる態様は、スラリー充填技術に比べて、カラムベッドの充填に必要な溶媒量と生産時間を著しく低減する。
【0014】
取り外し可能なスラリー/前圧縮チャンバが有益に提供される。分断されたカラムまたはチャンバアセンブリを用いるが、これには、スラリー前圧縮チャンバである第1の断片と、カラムチャンバである第2の断片が含まれる。第1の断片は、充填前、および圧縮の初期段階のあいだに、クロマトグラフィスラリーを収容するためのスラリーおよび前圧縮チャンバとしての役割を果たす。ピストンロッドまたはピストンスリーブ組立体によって駆動されるピストンは、ピストンをカラムチャンバ(第2の断片)の固定端に向けて動かす。ピストン自体は第1の断片を通過して第2の断片に入る。ピストンは、媒体が十分に圧縮されて固定ベッドを形成するまで第2の断片内に短い距離移動する。この設計は、ピストンロッドまたはピストンスリーブがピストンに力をかけてベッド圧縮を維持した状態で、スラリー前圧縮チャンバ(第1の断片)を取り外すことを可能にする。ピストンを定位置に固定するために、固定機構を取り付けて、ピストンロッドをピストンから引離して取り外しできるようにしてもよい。軸圧縮によって充填を行い、ピストンを定位置に維持したまままスラリーチャンバを取り外すことができることは非常に有益である。
【0015】
この設計は、最終カラムベッドの長さのばらつきを小さくすることができるという点でも有益である。ベッド圧縮スクリュおよびVバンドクランプの設計は、媒体がカラムに充填された際に達成される最終ベッドの高さに基づいて、ピストン位置の精密な調整を提供する。変動するベッド高さを吸収できることで、カラム内に充填された媒体の量の変動(好ましくは小さな変動)を吸収しながら、設定された圧縮力が保証される。約1インチ(25mm)までのベッド高さの変動が、所与のカラム長によって達成可能であると考える。
【0016】
2段階のハット状のフリット設計も有益に提供される。フリット設計は、フリットによって覆われるカラムベッドの表面積の量を増大させ、カラムベッド全体へのサンプルのより迅速な分散を可能にする。古い軸圧縮設計では、カラム壁と係合するピストンシールを用い、フリットはカラムベッドよりも小径であった。より古い設計では、ピストン組立体と壁との間に分離のために利用できない領域を残している。2段階のハット状フリット設計は、サンプルができるだけ迅速に媒体全体に分散されなければならない短いベッド長カラムに対しては非常に有用である。このフリット設計は、より長い長さのカラムに対しても有益であると考える。
【0017】
スラリーチャンバを取り外し、スクリュなどのベッド圧縮機構に交換するあいだに、カラム上の軸圧縮を維持するための機構および方法も提供される。カラムベッドは充填後に弛緩または膨張を許されないようにされていることが有益である。圧縮されたベッドは、充填プロセスの間に一度圧縮され、入口エンド嵌合いの取り付け時にもこの圧力が保たれる。これにより、ベッド圧縮を維持するためのバネが要らなくなる。
【0018】
本発明の一態様において、それぞれ第1および第2のエンドキャップで覆われた第1および第2の端部を有する内径を有する管状本体を有する携帯可能な管状クロマトグラフィカラムが提供される。カラムは、すべて本体内側に位置する第1および第2のフリット間に配置されたクロマトグラフィ媒体のベッドを有する。ピストンが第1のフリットに当接し、ベッドに所定の圧力を及ぼす。調節可能な錠止機構は、本体に固締された支持体を有するとともに、ネジ付きアジャスタの回転がピストンがベッドに及ぼす力を増加または減少させるように、支持体とピストンとの間に介在されたネジ付きアジャスタを有する。
【0019】
上記本実施形態のさらなる変形において、支持体は、本体の外側に挟着し、好ましくはVバンドクランプを形成する。さらに、ネジ付きアジャスタは随意で、ピストンに当接する1つの端部を有するコレットを含む。コレットが複数のリードネジを有すると有益であるが、2つのリードが好ましい。さらなる変形において、支持体は、本体に挟着される分割エンドキャップを含む。分割エンドキャップは、管またはチャンバの一方端を随意で包囲し、環状構造によって随意で一緒に保持される。好ましくは、分割エンドキャップは、調節可能な固締具を受けるためにネジ付き凹部を有する。凹部は好ましくは複数のリードネジを有する。さらに、コレットは好ましくはレンチ面を有する。
【0020】
さらなる変形において、フリットは、フリットとカラム壁の間にいかなるシールも介在させずに、カラム本体の内径に隣接して延びる。フリットは好ましくは、内壁とほぼ同じであるがわずかに小さい第1の径を有し、フリットと内壁の間にはシールを有しない。フリットは第1および第2の同心円状の径を有し、媒体に当接するフリットの径は第1の径であり、第2の径よりも大きいことが有益である。好ましくは、ピストンは、ピストンと内壁の間に介在された少なくとも1つのシールを有し、少なくとも1つのシールは数千psi(poundper inch)の流体圧でのシールを与えるように選ばれる。さらに、ピストンの一部は、好ましくは管状本体の端部の外側に延びる。
【0021】
本発明のさらなる態様において、新しいフリットが設けられる。このフリットは、随意ではあるが好ましくは、第1の径を有する円筒状内部を有する管状本体を有するクロマトグラフィカラムとともに使用される。フリットは、カラムの第1の径とほぼ同じであるがわずかに小さい径を有する第1の円筒状部分を有する。フリットは、より小さい径を有する第2の円筒状部分を有し、第1と第2の部分は同心円上にある。さらなる変形において、フリットは一体材料から一体的かつ単一的に形成されるか、あるいは、フリットは異なる径の2つの当接するフリットから形成されるフリットである。
【0022】
本発明のさらなる態様において、第1の長さを規定する第1および第2の対向端部を有し、カラムの第1の端部上にエンドキャップを有する管状クロマトグラフィカラムの充填方法が提供される。カラムは、内径を有する。本方法は、スラリーチャンバをカラムの第2の端部にカラムと同軸状に当接させ、スラリーチャンバとカラムの第2の端部の間に流体密シールを形成することを含む。スラリーをカラム管およびスラリーチャンバに入れるが、このスラリーに流体とクロマトグラフィ媒体とが含まれる。ピストンをスラリーチャンバに入れるが、このピストンは、ピストンとスラリーチャンバの間に介在されたシールと、ピストンとスラリーの間に介在されたフリットとを有する。ピストンをスラリーチャンバ内で進行させ、少なくとも一部がカラムに入るようにする。ピストンの進行は、スラリー内の媒体が所望の圧力または長さに圧縮されるベッドを形成したときに停止される。
【0023】
好ましい形態において、本方法は、ピストンをカラムに錠止することを含む。より好ましくは、本方法は、ベッド上の圧力を解放することなく、スラリーチャンバを取り外すことと、ピストンをカラムに錠止することとを含む。有益には、フリットは第1および第2の同心円上の異なる径を有する段付き円盤を含み、その大きい方の径がスラリーと当接する。より好ましくは、シールを小さい方の径とカラムの内径の間に介在させて、大きい方の径とカラムの内径との間にはシールを介在させない。さらに、好ましくは、面取り部をカラムの第2の端部の内縁上に形成するが、この面取り部は随意選択可能であり、相嵌部分が十分に同心円上にある場合には特に省略可能である。
【0024】
さらなる好ましい変形において、本方法は、ピストンの位置を保持しながら、スラリーチャンバを取り外すことと、分割エンドキャップの2つの部分をカラムの第2の端部の上に配置することとを含み、エンドキャップのそれぞれは、その内部に形成されたネジ付き凹部の部分を有する。分割されたネジ付きコレットまたはネジ付き凹部を有した分割ピストン保持リングが、カラムの第2の端部に固締される。外側鍔部をピストン保持リングの上に配置し、定位置に保持する。最後に、ネジ付きコレットを、該コレットがピストンを定位置に保持するまで、凹部内に進める。
【0025】
この後の好ましい方法に対する好ましい変形において、ピストンを進行させることには、液圧式ラムをピストン上の肩部と接触させて配置することと、液圧式ラムを進めることとを含む。スラリーチャンバは、ラムを定位置においたままカラムから取り外すことができ、その後、スラリーチャンバがカラムとの接触状態から取り外され、ピストンが定位置に錠止されるまで、ラム位置が維持された状態で、ピストンが定位置に錠止される。充填とピストンの定位置への錠止が完了した後、カラムをラムから取り外し、カラムの第1および第2の端部の出口に栓をする。上記方法のさらなる変形において、流体密シールの形成には、Vバンドクランプをスラリーチャンバとカラムの接合点上に配置することを含む。錠止工程は、Vバンドクランプをカラムの第2の端部の周りに配置することを含んでいてもよい。
【0026】
本発明のさらなる態様において、複数の断片からなるクロマトグラフィ組立体が提供される。組立体は、第1および第2の開放端を有し直径Dの内筒を画成する壁を有するスラリーチャンバと、第1および第2の対向する開放端と第2の端部上のエンドキャップとを有するクロマトグラフィカラムとを有する。スラリーチャンバの第2の端部は、カラムの第1の端部と当接する。カラムは、直径Dの内筒を画成する壁を有する。一部がカラムの第1の端部の外面に形成され、一部がチャンバの第2の端部の外面によって形成される凹部内に、環状のシールを配置する。Vバンドクランプがシールを包囲し、チャンバおよびカラムの外側の少なくとも1つの凹部または凸部と協働して、チャンバおよびカラムを同軸上に位置合わせして保持する。
【0027】
この装置のさらなる変形において、カラムの第1の端部の内縁上に面取り部が形成される。好ましくは、スラリーチャンバの第1の端部の内縁上にも面取り部を形成する。流体とクロマトグラフィ媒体のスラリーをチャンバおよびカラムに入れる。ピストンをチャンバまたはカラムのいずれか一方内に配置する。ピストンは、ピストンと、ピストンが配置されるチャンバまたはカラムの円筒壁の間に介在された少なくとも1つのシールを有する。好ましくは、ピストンは少なくとも一部がカラム内に延び、ピストンは直径がおよそDの第1の径と、より小さい第2の径とを有するフリットを有する。
【0028】
本発明のこれらおよび他の利点および特徴は、同様の番号は同様の部材を示す以下の図面および説明に照らしてより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図2の1−1に沿った断面図。
【図2】クロマトグラフィカラムの側面図。
【図3a】ピストンおよびフリットの一実施形態の断面図。
【図3b】図1のピストンおよびフリットにおけるピストンおよびフリットの第2の実施形態の断面図。
【図3c】図1および図3bのピストンおよびフリットを示す分解斜視図。
【図4】充填済みカラム内の図3bのピストンを示す部分断面図。
【図5】カラム充填前のチャックおよび凹状支持板に保持される図1のカラムの構成を示す断面図。
【図6】図1〜9のカラムを用いて動的かつ液圧を利用して充填を行う際に、媒体のベッド上への圧力がどのように増加するかを示したグラフ。
【図7】図8の7−7に沿った断面図。
【図8】さらなる実施形態のカラムの斜視図。
【図9a】Vバンドによって保持される図7〜8のカラムおよびスラリーチャンバの断面図。
【図9b】図9aの断面図の部分拡大図。
【図10】媒体が充填され、定位置に錠止されたピストンによって保持された図8のカラムの断面図。
【図11】カラムの充填前に凹状支持板内に保持された図7および9のカラムの構成を示す断面図。
【図12】図13の12−12に沿った断面図。
【図13】図10のカラムに対する錠止機構のさらなる実施形態の分解斜視図。
【図14a】充填済みカラムのさらなる実施形態の平面図。
【図14b】図14aの14b−14bに沿った断面図。
【図15】ピストンをカラムに錠止するためのさらなる実施形態の分解斜視図。
【図16】図17の16−17に沿った断面図。
【図17】図15のカラムの側面図。
【図18】媒体を充填する前の図9の組立体を保持するプレスの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
2つの主たる実施形態、すなわち、単一部品の長い本体を用いた第1の実施形態と、2部品の分断された本体を用いた第2の実施形態とを示す。
図1〜4を参照して、好ましくは円筒状であり対向する端部21a,21bを有する管状本体22を有するクロマトグラフィカラム20が設けられている。下流エンドキャップ24は、第1の下流端21a、好ましくは下流または出口端の上に固締されている。エンドキャップ24は随意ではあるが好ましくは、カップ形状であり、略平坦な端部を有し、該端部は、本体22の外側の雄ねじと係合してエンドキャップ24を本体に固締する雌ねじを有する。出口26は、キャップ24の略平坦な端部内に形成されており、ねじ込み栓28は、出口経路上の相嵌ネジと係合して出口26を解放可能に阻止する。
【0031】
第1のフリット30は、第1の端部21aの内側または上側に配置され、第1のエンドキャップ24によって定位置に保持される。随意ではあるが好ましくは、カップ状フリット保持部32が、第1のフリット30および第1のエンドキャップ24の間に配置される。フリット保持部32は、使用時にフリットが着座する第1の小径凹部34を形成するとともに、本体22の段付き端部21を受ける第2の大径凹部36を形成する、2段スカートを有した略平坦な端部を有する。端部21aの先端部分上のリップは、凹部34,36の異なる径の間に形成される肩部と当接してシールを形成し、大径凹部36は段付き端部21aと重なってさらなるシールを形成する。エンドキャップ24は、フリット保持部32およびフリット30を定位置にかつ、本体22の第1の端部21aとの封止係合状態に保持する。フリット保持部32は、出口26と同一線上に出口を有する。
【0032】
管状本体22の内部は、好ましくはその中をピストン38が摺動する円筒状空洞38を有し、随意ではあるが好ましくは第2のフリット42と当接する下流端を有する。フリット30,42間は、典型的にはクロマトグラフィ分析のための固定相を形成する媒体44である。媒体は、典型的にはクロマトグラフィ分析に適した様々な化学物質でコーティングされたシリカまたはポリマー粒子からなる。
【0033】
ピストン40は、後でより詳細に説明する第2のエンドキャップ48およびスラスト座金50によって定位置に保持されるピストンスリーブ46によって、フリット42および媒体44に対して付勢される。カラム20は、好ましくはピストン40の中心を通って延びる長手軸52を有する。本願において下流端または方向とは、充填時に使用される軸52に沿った方向のことをいい、図示した実施形態において、この方向はエンドキャップ48からエンドキャップ24に向かう方向であり、上流方向はその逆の方向である。実際の使用において、移動相は好ましくは同じ方向を通るが、いずれかの方向でカラムを通過できるようにして、実際の使用時に上流と下流を反転できるようにしてもよい。
【0034】
図1および図3b〜3cを参照して、ピストン40および第2のフリット42について説明する。ピストン40の下流端は、下流エンドキャップ24に向けて下流方向に、長手軸48に沿って延びる壁54を有する。壁54は、フリット42の一部を受けるような大きさにされた円筒状凹部を形成する。フリット42は、フランジ56を形成する第1の円盤状部分を有する略ハット形状を有し、該フランジは、壁38の内径よりもわずかに小さい、好ましくは径が約0.625mm(0.001インチ)小さい環状外周を有する。円盤状フランジ56は、軸48から、フランジ56の上流側に位置する小径円筒状ボス58を超えて外側に径方向に延びる。したがって、フリット42は、フランジ56とボス58とを含み、これらには好ましくはフランジ56の下流面に均一に流体を分配するための内部経路が形成される。
【0035】
ピストン40上の壁54によって形成される凹部は、壁54の下流端が好ましくはフリット42のフランジ56と当接した状態で、円筒状ボス58を受ける。
第1のシール60は、随意ではあるが好ましくは、壁54の外側と、本体22の隣接する内壁38との間に配置される。第1のシール60は、長手軸52に沿ってより長い寸法を有する矩形の断面を有し、シール60の下流端は好ましくはフランジ56に当接していることが有益である。第1のシール56は、好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレンまたはポリテトラフルオロエチレンまたはゴムなどのエラストマーまたはポリマーである。St.Gobain#450151883シールが適切であると考えられる。第1のシールは、媒体44および液体が、ピストン42と内壁38の間を通過することを制限するのを助ける。
【0036】
随意の第2のシール62は、第1のシール60の上流端と当接する。第2のシール62は、好ましくはピストン40内の対応する溝64内に配置されたエラストマーシールである。第2のシール62は、好ましくは、ポリエチレンまたはポリプロピレンまたはポリテトラフルオロエチレンまたはゴムなどのエラストマーまたはポリマーである。第2のシール62は、Oリングシールであってもよい。第2のシール62は、第1のシール60が、軸52に沿って上流に動かないようにすることを助ける。また随意で、ピストン40と内壁38の間を通過する媒体44および液体に対する封止を助けることもある。
【0037】
摩耗リング66は、ピストン40上の2つの軸方向の離間したフランジ68a,68bの間に配置される。リング66は、随意でさらなるシール面を提供してもよい。フランジ68a,68bは、軸52から径方向外方に延び、内壁38の内径よりもわずかに小さい環状外周を形成する。摩耗リング66は好ましくは、矩形の断面を有し、ピストン40が軸52に沿って動く際の、円筒状壁38内のピストンの揺動を低減するのに十分な内壁38に当接する軸方向長さを有する。摩耗リング66は、ポリエチレンまたはポリプロピレンまたはポリテトラフルオロエチレンであってよい。Oリング構造または他の構造を有するものであってよい。
【0038】
ピストン40の上流端上には、上方に延びる小径の上流ボス70を有する肩部69が形成される。肩部69は、好ましくは上流に面する連続する環状面であるが、間欠面を使用してもよい。ボス70は好ましくは、その上にネジを有した円筒状外観を有する。流体路72は、ピストン40内を、好ましくは軸52と一致して延びる。流体路72は、フリット42と流体連通する下流端を有し、好ましくは、フリット42のボス58上に開放する。
【0039】
壁54は、長手軸52に略直交する上部または上流面71を有する凹部を形成する。しかしながら、好ましくは、図面にみられるように、面71は長手軸に向けて上方にわずかに傾斜して、面71と隣接するフリット42の間に浅い円錐状の凹部を形成する。この円錐空間が、試料が何らかの粒子を含む場合の目詰まりを防ぐとともに、試料がフリット全体に拡散することを助ける。約3°の傾斜角がこの円錐空間を形成するのに適切と考えられる。
【0040】
ピストンスリーブ46は好ましくは、肩部69と当接するように構成された下流端を有する管状軸を含み、その内側はボス70に外嵌するような大きさにされる。随意ではあるが好ましくは、ピストンスリーブ46の下流端の上の内部にはネジが切られ、ボス70上のネジに螺合するように構成される。ピストンスリーブ46の上流部分上の肩部75は、エンドキャップ48またはスラスト座金50のうちの一方に当接する。スラスト座金50は、ピストンの位置を正確に維持するために、好ましくは、相対的に厚いステンレス鋼である。ピストンスリーブ46は好ましくは上流エンドキャップ48の端部内の開口部76を通って延びる。管78はピストンスリーブ46内を好ましくは軸52と一致して延びる。管78の上流端78aは、クロマトグラフィ装置と流体連通して配置されて移動層をカラム20内に導入するように構成される。管78の下流端78bは、ピストン40の上流端およびその流体路72と流体連通して固締されるように構成されている。キャップ80は入口端78aを遮断する。
【0041】
ピストンスリーブ46の上流端に隣接して戻り止め82が配置される。ピストンスリーブ46の外周の周りに延設される環状凹部が、戻り止めを形成するのに最適であると考える。ピストンスリーブ46の上流端が駆動面84を形成し、必要に応じて、上流に面するピストンスリーブ46上に追加の駆動肩部を形成して、後述するような駆動面84の目的を果たすようにしてもよい。錠止面75をスリーブ46に形成する。好ましくは錠止面75は、スリーブ上の肩部の形状をもち、好ましくは、間欠面ではなく環状の肩部を含む。
【0042】
本体22の上流端21aには、好ましくは本体22の内面上に長手軸52から外方に角度をつけた面取り部86が形成されている。面取り部86は、上流に面する本体22の平坦化または曲線化されたリップに延びる。
【0043】
図1および5を参照して、カラム20の充填について説明する。下流エンドキャップ24を本体20上に配置して、下流フリット30を定位置に保持する。カラム20を、上流端21が覆われることなく開放された状態で、保持部内に配置する。随意ではあるが好ましくは、カラム20をチャック87内に配置するが、該チャック87は、本体22に当接して、中心線52がチャックの中心線と一直線上にくるようにカラムを保持するように締められる。3部分チャック87が好ましい。キャップ24の下流端は、図示したように支持面88に当接できるか、チャック87が以下の充填のために十分なように本体22を把持することができる。
【0044】
所定量の媒体44をビーカーに入れ、流体と混合してスラリーを作成する。このスラリーを好ましくは超音波処理して空気を除去し、媒体44と流体をさらに混合する。次にスラリーを本体22の内部に注入する。フラスコを流体で好ましくは2回リンスし、流体を本体22内に注いで、確実にすべての媒体が本体22内に収容されるようにする。液面を面取り部86まで満たすために必要であれば、さらに流体を加える。カラムに強制通気を行うことは好ましくないため、液面を、空気の捕捉を回避するのに十分な高さにするか、排気弁を設ける。あるいは、スラリーをチューブからくみ上げるか、他の充填方法を用いてもよい。好ましくは、出口経路26はこの段階では遮断されておらず、流体は重力によって出口26から流出することができる。
【0045】
スリーブの端部がピストン肩部69に当接するように、ピストン40をピストンスリーブ46上に配置する。好ましくは、ボス70上の相嵌ネジが、スリーブ46の内面上の相嵌ネジと係合して、スリーブとピストンの相対軸移動を阻止するネジ係合を形成する。金属キャップをスリーブ46の端の上に配置して、管78の上流端78aから流体が流出することを阻止するようにすることが有益である。ハット状フリット42をピストン内に配置して、上流エンドキャップ48およびスラスト座金50をピストンスリーブ46上に配置する。必要に応じて、ピストンスリーブ46の上に錠止機構を配置してもよい。
【0046】
プレス90内にピストンスリーブ46を配置する。プレス90は随意ではあるが好ましくは、液圧式ラムを含み、そのようなものとして後述する。戻り止めは、プレス90内の相嵌する解除可能な戻り止めピンと係合して、スリーブに取り付けられた任意の錠止機構およびピストン40とともに、ピストンスリーブ46を定位置に保持することができる。ピストンスリーブ46は、スリーブの長手軸が本体22の長手軸52と一致するようにラム90内に配置する。
【0047】
次に、ラム90はピストンを本体22の開放端の方へ進めるが、この際には、面取り部86が、相嵌部分を案内し、わずかなずれを吸収するのを助ける。好ましくは、フリット42と流体の間に空気が捕捉されることがないようにするために、少量の過剰流体が面取りされたリップ86から押し出される。ラム90およびピストン40はこの初期係合部分のあいだはゆっくりと進行する。ラム90は、摩耗リング66が内壁38に当接するまで本体22中に進行し、この当接した時点で、必要に応じてラムの速度を上げることができる。進行するピストン40が出口通路26から流体を押し出す一方で、フリット30は、媒体を本体22内に保持する。流体が大幅に本体から排出された場合、ピストン40は媒体44を圧縮し、この時点で圧力は迅速に増大する。
【0048】
ラム90は、所望の圧力が達成されるまでピストン40を進行させ、この時点で、ピストン40の移動が停止される。この時点で流体は経路26を介して大幅に押し出され、媒体44が圧縮されて所与の用途のための、好ましくはクロマトグラフィ分析のための固定相を形成する。その後、本体22に対するピストン40および軸46の相対移動は固定さる。このことは、随意ではあるが好ましくは、スラスト座金50を錠止肩部75と当接するまで移動させることによって達成されるか、あるいは、スラスト座金を用いない場合には、キャップ48をキャップの一部が錠止面75と当接するまで進めることによって達成される。随意ではあるが好ましくは、錠止肩部75は、キャップ48内の開口部76に隣接して延び、結果としてスラスト座金50は、キャップ58と肩部75の間に延びる有意な支持されていない、すなわち自由な長さを有しない。キャップ48は、本体22の外側上流端上の相嵌ネジと係合する内部ネジを有する。スリーブ46の長さおよび錠止肩部75の位置は、ネジが座金50を軸52に沿って錠止面75と当接するように付勢できるように、本体22の長さと、これらの相嵌ネジの位置に対して選ばれる。
【0049】
キャップ48を、スラスト座金50を肩部75およびスリーブ46に対して押しつけさせて、媒体44をさらに圧縮するまで締め付ける。ラム90と連通する直線移動ゲージ92は、ピストン移動をわずかに増大させる。直線移動92は、随意ではあるが好ましくは、小数第2位または第3位までの移動として読むことができる。媒体44が、直線移動ゲージ上で0.01または0.001または好ましくは0.0001の少量にまで圧縮された後、ラム90が解放され、キャップ48と、スラスト座金と錠止面75がスリーブ46およびピストン40を定位置に保持する。カラム20をチャック87から取り外す。栓28は出口経路26を遮断する。必要に応じて上流端78a上の金属キャップを除去し、プラスチックキャップおよび/またはユニオンと交換する。こうして充填されたカートリッジは輸送および/または使用に適している。直線移動ゲージの代わりに、または加えて、力ゲージを使用してもよい。
【0050】
図6は、左縦グラフ上に示したラム90によってもたらされる圧力に対する、ピストン40の位置を水平方向グラフに示した説明図である。ピストン移動は時間で示してある。ピストン40が本体22および出口26から過剰な流体を追放すると、ラム90にかかる圧力は媒体44が圧縮されるにつれて相当に直線的に増加し、ベッドを介して付勢されている流体が流れ抵抗の増大を受けることになる。流体が出口26を介して大幅に追放されると、ピストン40のさらなる移動が残りの流体内の媒体44をさらに圧縮するにつれ、圧力が著しく増大する。圧力が増加しすぎると、媒体40が変形するか、潰れて細かくなり、そのそれぞれが媒体ベッド44内の流れを低下させることになる。望ましい圧縮圧力は、使用される個々の媒体によって異なる。圧力が所望の圧力に達したところで、ピストン40の移動が止められる。
【0051】
この第1の実施形態は、ピストン40による媒体44の均一な液圧充填を達成し、これは、圧縮された媒体44によって形成される固定ベッドを通る移動相の均一な流れにとって望ましい。しかしながら、この実施形態は長い本体22と長いスリーブ46とを必要とするため、エンドカラムが重くなり、望まれるより多くの材料を必要とする。本体22、スリーブ、エンドキャップ24,48は、金属、典型的にはステンレス鋼からなり、この材料は重いだけでなく高価である。したがって、本体22の長さを短くし、可能であればピストンスリーブ46を無くすことが望ましい。
【0052】
図7〜10を参照して、上述したのと同じピストン40を使用するが、分断された本体122を有する、第2の実施形態を説明する。変更のない部分については符号は変えず、説明は繰り返さない。
【0053】
本体122は2つの部分、すなわち取り外し可能な上流管122aと残りの下流管122bとからなる。どちらの部分122a,122bも充填のために用いられ、取り外し可能な管122aは、後でより詳細に説明するように、使用のために取り外される。上流管122aはスラリーチャンバを構成し、下流管122bはカラムを構成する。管122a,122bは除去可能なVバンドクランプによって着脱可能に連結されている。本体122の外側に、随意でレンチ面133を設けてもよい。
【0054】
スラリー管122bは、媒体が充填する前に、所望のスラリー媒体44を保持するのに十分な長さを有する。随意ではあるが好ましくは、この長さはピストン40の少なくとも一部を収容するのに十分な長さである。カラム122bの上流端124は、スラリーチャンバ122aの下流端126に対して封止するように構成される。シールは、典型的には約13800〜41400kPa(2000〜6000psi)の範囲の液圧充填圧力に耐えるように設計されるが、個々のカラムおよび媒体によってこれより大きくても小さくてもよい。シールは好ましくは本体122a,122bの当接面間の面シールである。しかしながら、このシールは、長手軸52の長さに沿って延びる軸シールであってもよいし、面シールと軸シールの両方であってもよい。
【0055】
1つの図示のシールについて説明する。本体122a,122bの嵌合端部のそれぞれは、軸52と平行に延びる管状本体122a,122bの内側に壁128a,128bを有する。各壁128a,128bは、短い円筒を形成する。各壁128a,128bは、壁の外観に凹部132a,132bも形成する。壁128a,128bの端部が互いに当接する場合、凹部132a,132bは互いに対向し、Oリング134のためのOリングシールなどのリングシールを収容するのに十分な大きさの単一の環状凹部を形成する。壁128bの内部隅は面取り部130を有する。各凹部132a,132bに隣接し、かつ各壁128a,128bから離れたところに、先細凹部135a,135bがある。各先細凹部は台形の断面を有する。
【0056】
端部128a,128bが互いに当接する場合、Vバンドクランプ136は凹部135と係合して、部分122a,122bを互いに保持する。Vバンドクランプは2つの半円形またはクラムシェル断片136a,136bを有し、そのそれぞれが2つの突起140a,140bを有し、先細になった側が凹部135a,135bのうちの一方と嵌合するように構成されている。クラムシェル断片136a,136bは、例えば、スクリュなどのネジ式固締部材142によって、ともに固締されており、このとき、突起140a,140bは、嵌合凹部134a,134b内に楔入して断片122a,122bをともに固締する。シール134は、単独またはVバンドクランプ136と協働して、流体密シールを維持する。Vバンドクランプ136は、スラリーチャンバ122aおよびカラム122bを同軸線上にも維持する。
【0057】
取り外し可能なスラリーチャンバ122aは、チャンバの端部上のリップの内側に面取り部86に有した上流端124を有する。
図9a,9bおよび11を参照して、組み立てられた場合、初期の使用については図5の第1実施形態のものと同様である。スラリーチャンバ122aおよびカラム122bは、Vバンド136によって接合されている。下流エンドキャップ24がカラム122b上に置かれて、下流フリット30を定位置に保持する。接合されたスラリーチャンバ122aおよびカラム122bを、上流管122aの上流端が覆われずに開いた状態で、保持部内に配置する。随意ではあるが好ましくは、チャック87(図5)、または接合されたチャンバ122aとカラム122bとは、該接合されたカラムを中心線52がチャックの中心線と一直線上にくるように保持する支持体88内の凹部17内に配置される。キャップ24の下流端は、図示されるように支持面88と当接するか、または、チャック87が単独で用いられる場合には、該チャックは、続く充填に十分なように、接合された本体122a,122bを把持する。カラムを支持体88に当接させることが好ましい。
【0058】
所定量の媒体44をビーカーに入れ、流体と混合してスラリーを形成する。スラリーは好ましくは超音波処理して、空気を除去し、さらに媒体44と流体を混合する。次にスラリーをスラリーチャンバ122aの開口部に注入する。スラリーチャンバ122aは、第2の実施形態における取り外し可能な前圧縮チャンバの目的を果たす。すべての媒体が接合された本体122a,122b中に確実に入れられるようにするために、フラスコを流体で好ましくは2回リンスして、スラリーチャンバ122aに注ぎ入れる。スラリーチャンバ122a上の面取り部86にまで液面を満たすために必要であれば、追加の流体を加える。カラムに強制通気を行うことは好ましくないため、液面を、空気の捕捉を回避するのに十分な高さにするか、排気弁を設ける。好ましくは、出口経路26はこの段階では遮断されておらず、流体は重力によって出口26から流出することができる。
【0059】
ピストン40を、スリーブの端部がピストン40上の肩部69に当接するように、ピストンスリーブ46上に配置する。好ましくは、ボス70の相嵌ネジがスリーブ46の内側の相嵌ネジと係合して、スリーブとピストンの相対軸移動を阻止するネジ係合を形成する。金属キャップをスリーブ46の端の上に配置して、管78の上流端78aから流体が流出することを阻止するようにすることが有益である。ハット状フリット42をピストン内に配置して、上流エンドキャップ48およびスラスト座金50をピストンスリーブ46上に配置する。必要に応じて、ピストンスリーブ46の上に錠止機構を配置する。プレス90内にピストンスリーブ46を配置する(図18)。戻り止めは、プレス90内の相嵌する解除可能な戻り止めピンと係合して、スリーブに取り付けられた任意の錠止機構およびピストン40とともに、ピストンスリーブ46を定位置に保持することができる。ピストンスリーブ46は、スリーブの長手軸が本体22の長手軸52と一致するようにラム90内に配置する。
【0060】
次に、ラム90(図5および18)はピストンを本体122aの開放端の方へ進めるが、この際には、面取り部86が、相嵌部分を案内し、わずかなずれを吸収するのを助ける。ラム90およびピストン40はこの初期係合部分のあいだはゆっくりと進行する。好ましくは、アライメントを確認するために、第1のシール60が本体122aに係合する前に、ピストン40の移動を一時停止する。好ましくは、フリット42と流体の間に空気が捕捉されることがないようにするために、少量の過剰流体が面取りされたリップ86から押し出される。
【0061】
ラム90はピストン40を接合された本体122a,122b内に進める。圧力は直線的に、かつ、ピストン40が上流スラリーチャンバ122a中にある場合にはゆっくりと増加するが、これは、媒体44が固定ベッド中に圧縮されていない状態では十分な流体が存在するためである。このようにして管状チャンバ122aは効果的に予備圧縮チャンバを形成する。本体122a,122bの接合部における、壁128b上の面取り部130は、シール60,62および封止用摩耗リング66が捕まることを防ぐのを助ける。媒体44が面取り部において集まることがあるので、面取り部130は小さい方が好ましい。
【0062】
進行するピストン40は、出口経路26から流体を押し出す一方で、フリット30は媒体を下流本体122bの内部に保持する。流体が大幅に下流カラム122bから追い出されると、ピストン40は媒体44を圧縮し始め、この時点で圧力は図6に示すように急速に増加する。
【0063】
ラム90は、所望の圧力に達するまでピストン40を進め、この時点で、ピストン40の移動が停止され、定位置に維持される。この時点で流体は経路26を介して大幅に押し出され、媒体44が圧縮されて所与の用途のための、好ましくはクロマトグラフィ分析のための固定相を形成する。この時点で充填済みの管をクロマトグラフィ分析のために用いてもよいが、ラム90は圧力を維持しなければならない可能性があり、これは望ましくない。というのもこれが充填済みカラム122bの移動性を制限し、ラム90の使用を制限してしまうからである。
【0064】
下流カラム122bの長さは、媒体44および随意ではあるが好ましくはピストン40の少なくとも一部が、カラム122b内にあるように選択される。シール60および62がカラム122の壁38に係合し、好ましくは摩耗リング66はカラムの壁にも係合して、ピストンの実質的な部分がカラム122b内にあることが有益である。次にVバンド136を解放し、取り外し可能なスラリーチャンバ122aをカラム122bとの接触状態から動かすことができるようにするとともに、ピストンをカラム122bに固締し、媒体44上の圧力はスリーブ46とラム90によって維持したままにしておく。このように、スラリーチャンバ122aによって形成された圧縮チャンバは、取り外し可能であり、本実施形態における最終組立カラム20の一部を構成することはない。
【0065】
ピストン40は、様々な様式でカラム122bに固締することができる。概念的に好ましい機構としては、フランジまたはカラム122b上の凹部と係合するとともに、カラム122bに対するピストン40の相対移動を阻止するために、ピストン40の一部とも係合するクラムシェルまたは分割リング装置を含む。ピストンをカラム122bに対して定位置に錠止する1つのやり方が、図10に示されている。ピストン40は、好ましくはカラム122bの内壁38と当接する摩耗リング66およびリッジ68a,68bによって、少なくとも途中までカラム122b内に押圧されている。錠止コレット144は、好ましくは上流リッジ78aと当接するピストン40の一部の周りに配置される。コレット144は、ピストン圧縮スクリュとして作用する。有益には、だが随意で、コレット144の外側には、ネジ付き部分146を有し、好ましくはコレットの上流端に、レンチ面144も設けられている。したがって、コレット144は、有益には、外面上にネジを有する円筒管を含み、管は好ましくはカラム122bの長手軸に沿って分割されている。2部分からなる錠止スリーブ150が、錠止コレット144の一部とカラム122bを包囲する。錠止スリーブ150は、ピストン保持具としての役割を果たし、そのように呼ぶこともある。随意ではあるが好ましくは、錠止スリーブ150は、カラム122b内の凹部135bと嵌合するように構成された凸部152を有するクラムシェルまたは割リング構造である。随意で、錠止スリーブ150は、好ましくはカラム122bの上流端の外形と嵌合するように構成される。さらに、錠止スリーブ150は随意で、コレット144上のネジ146と螺合するように配置されたネジ付き部分154を有する。ネジ146,154は、随意ではあるが好ましくは、多重リードネジであり、二重リードネジが好ましい。コレット144は、分割された錠止スリーブ150を互いに接合する前または後に、凹部154中にねじ込むことができる。
【0066】
使用時において、上流スラリー管またはスラリーチャンバ122aをピストンスリーブ46上方に摺動させることによって除去した後、錠止スリーブ150の2つの半部を、たとえば、錠止スリーブ150内の穴156を通るスクリュなどのネジ付き固締具によって互いに固締する。あるいは、スリーブ150の外部を取り囲むフープ固締具、たとえばホースクランプ、ワイヤ、リング、またはシリンダなどを用いてもよい。
【0067】
錠止スリーブ150を構成する2つの部品を接合した後、コレット144の下流端がピストン40上のリッジ78aに押しつけられて、ラム90によって検出される力をわずかに増加させるまで、コレット144をスリーブ150内にねじ込むか締め付ける。次に、コレット144と錠止スリーブ150とがラム90によって与えられるのと実質的に同じ前負荷を維持した状態で、ラムと肩部69とが係脱される。その後、充填済みカラム122bをチャック87または凹部174から取り外し、下流端を栓28(図1)によって塞ぎ、必要に応じて上流端の金属キャップを交換する。
【0068】
コレット144は、長手軸52に沿ったピストン40の位置の変化を吸収する軸方向に配置可能または調節可能な装置を提供する。コレット144は好ましくは単一の部材であるか、随意で2つまたはそれ以上の部分に分割されていてもよい。分割錠止スリーブ150は、コレットを軸52に対して径方向に係合して、長手軸52に沿ったコレット144の移動を阻止する径方向錠止装置を提供する。コレット144および複数部分からなる錠止スリーブ150を提供することにより、ラム90およびピストンスリーブ46は、媒体44上の圧縮圧力を維持することができるが、この圧力を維持するために必要とされる力は、圧力を実質的に解放することなく、錠止スリーブ150およびカラム122bに機械的に伝送される。単一部品コレット144および2部品スリーブ150について説明したが、それぞれに3つ以上の部品を使用してもよいし、コレットを2部品とすることもできる。
【0069】
軸52から外方にカラム122bの壁38の内径よりも大きい距離で径方向に延びるフランジの上に配置された、コレット144上のレンチ面148が示されている。レンチ面148はカラム122bの内壁38の直径よりもわずかに小さいため、コレット144は上流スラリーチャンバ122aの内側に嵌合することができる。したがって、単一部品コレット144をスリーブ46上に配置し、上流管またはチャンバ122aを通過して、Vバンドクランプ136が解放された後に錠止スリーブ150に固締されることができると考える。
【0070】
図12〜13を参照して、代替の錠止機構が示されている。カラム122bは、下流エンドキャップ24と、本体レンチ面23と、上述したような、Vバンドクランプ136の一部を受けるための凹部135bを有する上流端とを有する。ピストン40は、圧縮スクリュとして作用するコレット144に沿って示される。この実施形態において、錠止スリーブ150aは、カラム122bの上流端の外部の少なくとも一部と適合するように構成された内部を有し、好ましくは、カラム122b内の凹部135bに少なくとも係合するように構成された凸部152を有する。端部150aもまた、コレット144上のネジ146と係合するように構成されたネジ付き部分154を有する。
【0071】
2つの錠止スリーブ150aのそれぞれの外部は、実質的に円筒状の下側部分158と、それより小さい円筒状上側部分160とを有する。2つの半部150aは、ピストン40およびカラム122bの上流端と係合するように嵌合される。次に保持部品162を2つの部分150aの外側の上を滑らせて、それらが径方向外方に移動することを阻止する。保持部品162は、部品150aの外形に嵌合するような形状の内形を有する。保持部品162は、下側部分158の外側の上を通過するのに十分な大きさの下流端を有し、スラリーチャンバ122aの上を通過するのに十分な大きさの上流端を有する。保持部品162の内部には、錠止スリーブ150aの外部が入れ子にされる。
【0072】
コレット144は、ネジ154にねじ込まれ、リッジ78a上の肩部に対して付勢され、部品150aが軸52から遠ざかるように径方向外方に動いて、保持部品156の内側を押す。分割された端部150aの外方への移動により保持部品へ割り込み、錠止スリーブ150aと保持部品162の間の摩擦係合が、部分150a,162の軸方向の移動を制限し、上側および下側の部分158,160での径の違いによって形成される肩部もまた、一方向における軸方向移動を制限する。保持部品158は、ラム90がピストン40を上流スラリーチャンバ122aに押し込む前には、ピストンスリーブ46の上に配置しておくことができる。チャンバ122aを解離し、保持部品156がチャンバ122aの上を通って端部品150aに外嵌してこれを定位置に保持する。
【0073】
図14aおよび14bを参照して、さらなる実施形態を示す。この実施形態は上記に概説した通りであるが、圧縮スクリュまたはコレット144を囲む、2つまたはそれ以上の部品に分断された錠止または保持スリーブ150を有する。保持部品162もまた、好ましくは2断片に分断されている。断片は、コレット144と、カラム122bの上端124とを包囲して、それらの相対位置に保持する。保持部品162の断片は、スクリュ、ボルトまたはピン142によって互いに固締されている。
【0074】
この構成では、スリーブ46(図5)を充填済みカラム20とともに残しておく必要を無くすとともに、スリーブ46の長さを収容するのに十分な長さの管の必要性を無くす。得られるカラム20は、より短く、より軽く、より簡単で、少なくハードウェアしか使用せず、より安価である。さらに、媒体44の動的、液圧式充填がより正確かつ繰り返し可能になり、固定相がより均一に形成され、ベッド密度が増大しながらも、ベッドが破砕されて微粒子ができることが回避される。カラム性能が向上する。
【0075】
さらに、媒体44の液圧式充填に要する時間が著しく少なくなり、管の充填のために管にスラリーを連続的に通す従来の充填方法によって達成されるものよりも、約10〜100倍も速くなる。管22,122は、約25mm(1インチ)未満の管径および数インチ未満の長さにつき、1分未満で所望の圧力に充填することができる。
【0076】
さらに、使用する媒体44が少なくなり、その媒体の値段は高い。従来の連続流(スラリー)充填技術は、充填装置によって使用される管またはチャンバ内に約40%もの媒体が残ることもあった。
【0077】
さらに、ピストン40による動的液圧式充填は、媒体44を圧縮して、圧縮された媒体の固定ベッドを形成し、この媒体の圧縮されたベッドは弛緩または膨張を許容せずに定位置に錠止される。ベッドを所望の圧縮状態に錠止することは、第1の実施形態においては、ピストン40を定位置に保持するために、ピストンスリーブ46を定位置に錠止することで達成される。第2の実施形態においては、ピストン40が定位置に錠止されてから、ピストンスリーブ46を取り外す。いずれの実施形態においても、媒体44のベッドにピストン40からかけられる圧力は、好ましくは実質的に不変に保たれる。実際には、いずれの例においても錠止機構は、ピストン移動またはわずかな圧力増加がラム90によって検出されるまで作動されるので、錠止圧力は好ましくはわずかに高く、psiの分数より高いことが好ましく、これよりは好ましくないが、ラム90が移動を停止する充填圧力よりも数psiまたは数十psi高い範囲にある(1psi=6.89kPa)。ピストン40上の圧力がラム90によって電気的に監視されるので(たとえば、ひずみゲージ、圧力変換器などを介して)、好ましくはないものの、ラム90が圧縮を最初に停止する圧力より大きいまたは小さい圧力にピストン40を錠止することもできる。
【0078】
ピストンと、ピストン40と充填された媒体44のベッドを圧縮状態に保持する錠止端部48および錠止スリーブ150の間には、バネを介在させないことが有益である。
フリット30,42は、焼結金属または重合PEEKからなる。2径フリット42は、充填された媒体44によって提供される固定相全体に流体を分散させる。フリット42の外径は、壁38の内径よりも小さく、フリット42がプレス90およびピストン40によって壁に沿って移動される際のひっかきを回避する。ハット状フリット42は、フリットが管22,122bの内径の実質的に全体に広がるとともに、媒体44から形成される固定ベッド全体に広がることができるようにする。それにより媒体44全体にわたって固定相および試料をより均一に分散でき、カラム20が短い場合には特に有用である。さらに、ボス58は、フリットの実質的な部分を約70〜80%厚くして、充填圧力に対してより良く耐え、より薄い材料のより薄い周囲リムを提供する。フリット42は、好ましくは、製造時にハット状構造に形成される単一のフリットである。あるいは、好ましさは低いが、フリット42は、より小径のフリットに当接する大径フリットを配置することから形成してもよい。約21mmのフランジ径および約18mmのボス径に対しては、約1.3mmの軸厚を有するフランジ56を有した、約3.5mmの軸厚を有するボス58を有するステンレス鋼フリット47が約2マイクロメートルの多孔率に対しては適切であると考えられる。フリットは、クロマトグラフィ媒体中の固体粒子を通過させずに、分離対象の溶液中に物質を含んだ流体を通過させるようにする。理想的には、フリットの内側またはフリットの上流面上の放射状溝が、溶液が嵌合面全体により均等に広がることを許容して、クロマトグラフィ媒体44のベッド全体に流体がより均等に広がることを助ける。
【0079】
段付き径フリット42は、所望の最大厚みと径を有する円盤をとり、小径ボス58を回転させることによって作成することができる。この部分は、金属を成形または焼結したものであってよく、セラミックからなるものであってもよい。好ましくは、ボス58の上流側およびフランジ56の下流に面する側は多孔性であり、ボス58とより大きいフランジ56の周囲の間の縁および環状空間は、流体流に対して実質的に不透性である。
【0080】
シール60、および任意の追加シールは、チャンバ22,122a,122bの長さに沿ってあらゆる媒体を一掃するのに十分に流体密である。シール60、および随意のさらなるシールは、典型的には約6900〜41400kPa(1000〜6000psi)の範囲から約69,000kPa(10,000psi)より高い可能性もある、所望の充填および動作圧力に対して構成される。特定のシール構成について示したが、他のシール構成、シール配列、およびシール材料を本発明の精神と範囲内で用いることができる。
【0081】
下流管122bが、シール60またはシール60,62および66が、管122bの面取り部130を通過した後に最大圧力の増加が起こるような寸法にされている場合には、チャンバ122aと管122bの端部間のシールは大幅に簡略化することができる。これにより、チャンバ122aおよび管122bの構造、組立および解体が簡単になる。面取り部130は、ピストンが面取り部130を通過する際に、媒体がチャンバ122aと管122bの間の接合部に押し込まれることを防ぐために、好ましくは下流管122b上にだけ設けられる。図9aおよび9bを参照して、さらなる実施形態を示す。上流管またはチャンバ122aが、分割保持具によって下流管またはカラム122bに接合される。カラム122bの上部または上流端124は、上部端凹部135bを有し、上流管またはチャンバ122aの下部または下流端は、下部端凹部135aを有する。ネジ付きコレットまたはベッド圧縮スクリュ144は、カラム122bの上流端の内側上の相嵌ネジと螺合する。ピストン40(図13)は、圧縮スクリュ144によって媒体ベッドに対して付勢される。
【0082】
錠止スリーブ150(図13または図10)は、ネジ付き上流端を有し、ベッド圧縮スクリュ144またはコレット144上の雄ネジと嵌合する。スリーブ150は、凹部135b、または凹部135bを形成するリムと嵌合して、スリーブ150の軸移動を抑制するように構成された下流端を有する。このようにスリーブ150は、長手軸52に沿ったカラム122bに対するコレット144の移動を抑制する。外側スリーブまたは保持部品162は、分割スリーブ150を径方向への拡大から保持する。外側スリーブ162もまた、外側スリーブ162の相嵌部分内の整列穴を介して延びるネジ付き固締具142によって互いに保持された、2つまたはそれ以上の部品を有する分割またはクラムシェルデザインのものである。外側スリーブ162は、分割錠止スリーブ150またはコレットの外部と略適合するように構成される。外側スリーブ162は、スリーブ150の部分同士を保持する。
【0083】
上述の最初の使用は、ピストン40(図示せず)が媒体を圧縮してクロマトグラフィベッドを形成する注入および充填のあいだに、Vバンドクランプ136が上流スラリー管122aと下流カラム122bを一直線上に保持しておくものである。Vバンドクランプは取り外される。
【0084】
図14を参照して、分割鍔部150をカラム122bの周りに配置して、凹部135bと係合させる。分割鍔部150は、ピストンを定位置に保持する役割を果たし、理解を容易にするために、鍔部150は、図14の動作の説明においてはピストン保持具と呼ぶことにする。次にベッド圧縮スクリュまたはスリーブ144を、そのネジがピストン保持具150上のネジと係合するように下方に摺動させる。ベッド圧縮スクリュまたはスリーブ144を、ピストンが定位置に錠止されるまで締める。ベッド圧縮スクリュが締められると、該スクリュはピストン保持具150および凹部135bに対して上方または下流方向に押す。凹部135b上の傾斜面は、分割ピストン保持具150を軸52から外方に動くことを可能にし、外側スリーブ162はその動きを抑制して、あらゆるものを定位置に錠止する。その後、充填済みカラム122bは、プレス90から取り外すことができ、カラム内の流れは、栓28およびキャップ80によって遮断される。
【0085】
分割ピストン保持具150の外方への拡張を抑制するために分割外側スリーブ162および固締具142を使用する代わりに、ピストン保持具は、ワイヤによって、保持具150上を軸方向に摺動される輪状リングによって、あるいは、保持具150上を軸方向に摺動される円筒状スリーブによって、一緒に保持し、定位置に保持することができる。単一部材のリングまたはスリーブを使用することは、分割部分を一緒に保持するための分割部分または固締具の使用が避けられるので、より簡単である。しかしながら、単一部材のリングまたはスリーブの場合、ベッド圧縮が始まる前に長手軸52上にこれらを位置させておく必要があり、このことが、プレス90による圧縮を許容しながら軸上にすべての部品を配置することを複雑にする。
【0086】
図15〜17を参照して、さらなる実施形態を示す。下流エンドキャップ24は、充填用のカラム122aとプレス90との心合わせを行うために用いることのできる、複数の平面部166と隅部168を有する。随意ではあるが好ましくは、分割錠止スリーブ150をカラム122aの実質的な長さに沿って延びるように伸ばし、50mmよりも短いカラムに対しては、実質的な長さは約半分またはそれ以上である。それより長いカラムに対しては、長さはより短く、実質的な長さを含まない。錠止スリーブ150は、ピストン圧縮スクリュまたはコレット144上のネジと係合するように構成された雌ねじ154を有する。凸部152はカラム122a内の凹部135bと嵌合して、ピストン保持スリーブ150とカラム122aの相対軸移動を防止する。凸部152は好ましくは、凹部135bの形状と適合するような形状であり、より好ましくは、径方向に楔合するか軸移動を抑制する密嵌を形成する傾斜面を有する。錠止スリーブ150は好ましくは、カラム122aの先端部と適合し、スリーブ150とカラム122aの間の相対軸移動を抑制するさらなる係合面を提供する。錠止スリーブ150は、その長さに沿ってネジ154の付近で径が小さくなる円筒状の外観を有する。
【0087】
上流エンドキャップ48は随意ではあるが好ましくは、下流エンドキャップ24の場合と同様の平面部166および隅部168を有する。上流エンドキャップ48は、分割錠止スリーブ150の径方向拡張を限定するための保持部品162を形成する。このことは、錠止スリーブ150の外部と適合するように、または外部の実質的な部分と適合するように構成された内部凹部を有することによって達成される。図示したように、多数の相嵌する凸部および凹部を用いて、カラム122aに対する錠止スリーブ150の軸移動に対する抵抗を与えることができる。
【0088】
錠止スリーブ150の一部が、カラム122aと係合するように配置される場合、保持部分162は、錠止スリーブ150上に嵌合して径方向拡張を妨害するように軸方向に移動される。コレット144がネジ154と係合し、ピストン40と当接するように締められると、相嵌ネジの緊締が錠止スリーブ150の径方向移動をもたらし、該錠止スリーブ150は保持部品162に当接して部品同士を摩擦錠止する。
【0089】
コレット144が適切に緊締されると、プレス90が係脱して、カラム122aが取り外される。保持部品162内の大径凹部(エンドキャップ48を構成する)の上に随意でエンドカバー170を配してもよい。大径凹部は、コレット144上のレンチ面148bに接近しやすくする。必要に応じて、充填済みカラム122a内の流体流路を遮断するために適切な栓またはキャップが追加される。
【0090】
平面部166および/または隅部168は、カラム122aを支持体88内の凹部174内に配置できるようにするが、該支持体において、カラム122aの長手軸とプレス90の長手軸との心合わせを行えるようにするために、凹部は該平面部および/または隅部と適合するように構成されている。これにより、チャック87は必要なくなる。適切な心合わせが行われるのであれば、任意の適切な数の平面部および/または隅部を用いることができる。
【0091】
図15〜17の実施形態もまた、図3aおよび3bに示すような変形ピストン40を有する。ボス70は、ネジを有さず、その代わりに、ピストンスリーブ46内の戻り止めピンまたは戻り止めリング(図示せず)と嵌合して、使用中にピストンをプレス内に解放可能に保持する戻り止め溝172を有する。戻り止めリングおよび溝172は、図1および3aに示すようにピストンスリーブ46およびボス70上の相嵌ネジを使用するよりも簡単である。
【0092】
本願で用いる上流および下流という用語は、カラム20,122に対する初期充填方向に相対していうものである。相対方向は、第1および第2ということもでき、その方向自体は反転可能であり、参照される部分についても反転可能である。フリット30,42は、焼結金属(ステンレス鋼、チタンまたは他の適切な多孔性材料)からなる。
【0093】
要件どおり、本発明の詳細な実施形態を開示したが、開示される実施形態は、様々な形態で具現しうる本発明の例示にすぎない。したがって、ここに開示する特定の構造および機能の詳細は限定的なもの解釈すべきでなく、請求項に対する根拠として、および当業者に本発明を事実上任意の適切な詳細な構造で採用する際の教示のための代表的な根拠にすぎないと解釈すべきである。
【0094】
上記の説明は限定ではなく例示として与えられている。上記の開示に基づいて、当業者であれば、カラム20内の定位置にピストンを錠止する様々な方法、およびスラリーチャンバ122aをカラム122bに取り外し可能に接合する様々な方法を含めて、本発明の範囲および精神を逸脱しない変形を編み出すことができる。さらに、本発明の様々な特徴は単独で用いてもよいし、種々に組み合わせて用いてもよく、本明細書中に記載した特定の組み合わせには限定されない。このように、本発明は例示した実施形態によって限定されることはない。
【0095】
本願発明は、以下の態様を含む。
[1]それぞれ第1および第2のエンドキャップで覆われた第1および第2の端部を備えた内径を有する管状本体を含む携帯可能な管状クロマトグラフィカラムであって、すべて本体内側に位置する第1および第2のフリット間に配置されたクロマトグラフィ媒体のベッドと、第1のフリットに当接し、ベッドに所定の圧力を及ぼすピストンと、本体に固締された支持体を有するとともに、ピストンがベッドに及ぼす力がネジ付きアジャスタの回転によって増加または減少するように、支持体とピストンとの間に介在されたネジ付きアジャスタを有する、調節可能な錠止機構とを備えるカラムである。
[2]支持体は、本体の外部に挟着することを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[3]ネジ付きアジャスタは、ピストンに当接する一端部を有するコレットを含むことを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[4]コレットは、複数のリードネジを有することを特徴とする上記[3]に記載のカラムである。
[5]支持体は、本体に挟着された分割エンドキャップを含むことを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[6]支持体は、本体に挟着され、調節可能な固締具を受けるためのネジ付き凹部を有する分割エンドキャップを含むことを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[7]コレットおよび凹部は、複数のリードネジを有することを特徴とする上記[6]に記載のカラムである。
[8]コレットはレンチ面を有することを特徴とする上記[6]に記載のカラムである。
[9]フリットは、フリットと本体の間にいかなるシールも介さずに、本体の内径に隣接して延びることを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[10]フリットは、内壁とほぼ同じであるがわずかに小さい第1の径を有し、フリットと内壁の間にはシールを有さないことを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[11]フリットは、第1および第2の同心円状の径を有し、媒体に当接するフリットの径は第1の径であり、第2の径よりも大きいことを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[12]ピストンは、ピストンと内壁の間に介在された少なくとも1つのシールを有し、少なくとも1つのシールは数千psiの流体圧でのシールを与えるように選ばれることを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[13]ピストンの一部は、管状本体の端部の外側に延びることを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[14]支持体は、管状本体の一方端を囲み、包囲構造によって一緒に保持される分割エンドキャップを含むことを特徴とする上記[1]に記載のカラムである。
[15]第1の径を有する円筒状内部を有する管状本体を含むクロマトグラフィカラムとともに使用されるフリットであって、カラムの第1の径とほぼ同じであるがわずかに小さい径を有する第1の円筒状部分と、より小さい径を有する第2の円筒状部分とを有し、第1と第2の部分は同心円上にあることを特徴とするフリットである。
[16]フリットは、一体材料から一体的かつ単一的に形成されることを特徴とする上記[15]に記載のフリットである。
[17]フリットは、異なる径の2つの当接するフリットから形成されることを特徴とする上記[15]に記載のフリットである。
[18]第1の長さを規定する第1および第2の対向端部を有し、カラムの第1の端部上にエンドキャップを有する管状クロマトグラフィカラムの充填方法であって、カラムは、内径を有し、該方法は、スラリーチャンバをカラムの第2の端部にカラムと同軸状に当接させる工程と、スラリーチャンバとカラムの第2の端部の間に流体密シールを形成する工程と、流体とクロマトグラフィ媒体のスラリーをカラム管およびスラリーチャンバに配置する工程と、ピストンとスラリーチャンバの間に介在されたシールと、ピストンとスラリーの間に介在されたフリットとを有するピストンを、スラリーチャンバに配置する工程と、ピストンをスラリーチャンバ内で進行させ、少なくとも一部がカラムに入るようにする工程と、スラリー内の媒体が所望の圧力または長さに圧縮されるベッドを形成したときにピストンの進行を停止する工程とを含む方法である。
[19]ピストンをカラムに錠止する工程をさらに含む上記[18]に記載の方法である。
[20]スラリーチャンバを取り外す工程と、ピストンをカラムに錠止する工程とをさらに含む上記[18]に記載の方法である。
[21]ベッド上の圧力を解放することなく、スラリーチャンバを取り外す工程と、ピストンをカラムに錠止する工程とをさらに含む上記[18]に記載の方法である。
[22]ベッド上の圧力をわずかに解放しながら、スラリーチャンバを取り外す工程と、ピストンをカラムに錠止する工程とをさらに含む上記[18]に記載の方法である。
[23]フリットは、第1および第2の同心円上で異なる径を有する段付き円盤を含み、スラリーには大きい方の径で当接することを特徴とする上記[18]に記載の方法である。
[24]小さい方の径とカラムの内径の間にシールが介在され、大きい方の径とカラムの内径の間にはシールが介在されないことを特徴とする上記[23]に記載の方法である。
[25]面取り部を、カラムの第2の端部の内縁上に形成する工程をさらに含む上記[18]に記載の方法である。
[26]ピストンの位置を維持しながらスラリーチャンバを取り外す工程と、それぞれがその内部に形成されたネジ付き凹部部分を有する、分割エンドキャップの2つの部分をカラムの第2の端部の上に配置する工程と、分割されたネジ付きコレットをネジ付き凹部と螺合させて配置する工程と、分割エンドキャップを、カラムの第2の端部に固締する工程と、コレットがピストンを定位置に保持するまで、コレットを凹部内に進める工程とをさらに含む上記[20]に記載の方法である。
[27]ピストンを進める工程は、液圧式ラムをピストン上の肩部と接触させて配置する工程と、液圧式ラムを進める工程とを含むことを特徴とする上記[18]に記載の方法である。
[28]スラリーチャンバをカラムから取り外す工程と、ピストンを定位置に錠止する工程とをさらに含み、ラム位置は、スラリーチャンバがカラムとの接触状態から脱離され、ピストンが定位置に錠止されるまでのあいだ維持されることを特徴とする上記[27]に記載の方法である。
[29]カラムをラムから取り外す工程と、カラムの第1の端部の出口に栓をする工程とをさらに含む上記[28]に記載の方法である。
[30]流体密シールの形成は、Vバンドクランプをスラリーチャンバとカラムの接合点上に配置することを含むことを特徴とする上記[18]に記載の方法である。
[31]錠止工程は、Vバンドクランプをカラムの第2の端部の周りに配置することを含むことを特徴とする上記[21]に記載の方法である。
[32]複数の断片を含むクロマトグラフィ組立体であって、第1および第2の開放端を有し、直径がDの内筒を画成する壁を有するスラリーチャンバと、第1および第2の対向する端部と第2の端部上のエンドキャップとを有するクロマトグラフィカラムであって、スラリーチャンバの第2の端部はカラムの第1の端部と当接し、カラムは、直径Dの内筒を画成する壁を有するクロマトグラフィカラムと、一部がカラムの第1の端部の外面に形成され、一部がチャンバの第2の端部の外面によって形成される凹部内に配置された環状のシールと、シールを包囲し、チャンバおよびカラムの外側の少なくとも1つの凹部または凸部と協働して、チャンバおよびカラムを同軸上に位置合わせして保持するVバンドクランプとを含む組立体である。
[33]カラムの第1の端部の内縁上に面取り部をさらに含む上記[32]に記載の装置(組立体)である。
[34]スラリーチャンバの第1の端部の内縁上に面取り部をさらに含む上記[32]に記載の装置(組立体)である。
[35]チャンバおよびカラム内に流体とクロマトグラフィ媒体のスラリーをさらに含む上記[32]に記載の装置(組立体)である。
[36]チャンバまたはカラムの一方内にピストンをさらに含み、ピストンは、該ピストンと該ピストンが配置されるチャンバまたはカラムの円筒壁との間に介在された少なくとも1つのシールを有することを特徴とする上記[35]に記載の装置(組立体)である。
[37]少なくとも一部がカラム内に延びるピストンをさらに含み、該ピストンは直径がおよそDの第1の径と、より小さい第2の径とを有するフリットを有することを特徴とする上記[35]に記載の装置(組立体)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の長さを規定する第1および第2の対向端部を有し、カラムの第1の端部上にエンドキャップを有する管状クロマトグラフィカラムの充填方法であって、カラムは、内径を有し、該方法は、
スラリーチャンバをカラムの第2の端部にカラムと同軸状に当接させる工程と、
スラリーチャンバとカラムの第2の端部の間に流体密シールを形成する工程と、
流体とクロマトグラフィ媒体のスラリーをカラム管およびスラリーチャンバに配置する工程と、
ピストンとスラリーチャンバの間に介在されたシールと、ピストンとスラリーの間に介在されたフリットとを有するピストンを、スラリーチャンバに配置する工程と、
カラム内に配置されたクロマトグラフィ媒体上にピストンによって圧力がかかるように、ピストンをスラリーチャンバ内で進行させ、少なくとも一部がカラムに入るようにする工程と、
スラリー内の媒体が所望の圧力または長さに圧縮されるベッドを形成したときにピストンの進行を停止する工程と、
進行中のピストンによってカラム内に配置されたクロマトグラフィ媒体上にかかる圧力を実質的に維持しながら、カラムからスラリーチャンバを取り外す工程とを含む方法。
【請求項2】
ピストンをカラムに錠止する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ベッド上の圧力を解放することなく、ピストンをカラムに錠止する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ベッド上の圧力を解放しながら、ピストンをカラムに錠止する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フリットは、第1および第2の同心円上で異なる径を有する段付き円盤を含み、スラリーには大きい方の径で当接することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
小さい方の径とカラムの内径の間にシールが介在され、大きい方の径とカラムの内径の間にはシールが介在されないことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
面取り部を、カラムの第2の端部の内縁上に形成する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
それぞれがその内部に形成されたネジ付き凹部部分を有する、分割エンドキャップの2つの部分をカラムの第2の端部の上に配置する工程と、
分割されたネジ付きコレットをネジ付き凹部と螺合させて配置する工程と、
分割エンドキャップを、カラムの第2の端部に固締する工程と、
コレットがピストンを定位置に保持するまで、コレットを凹部内に進める工程とをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ピストンを進める工程は、液圧式ラムをピストン上の肩部と接触させて配置する工程と、液圧式ラムを進める工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ピストンを定位置に錠止する工程をさらに含み、ラム位置は、スラリーチャンバがカラムとの接触状態から脱離され、ピストンが定位置に錠止されるまで維持されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
カラムの第1の端部の出口に栓をする工程をさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
流体密シールの形成は、Vバンドクランプをスラリーチャンバとカラムの接合点上に配置することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
錠止工程は、Vバンドクランプをカラムの第2の端部の周りに配置することを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項1】
第1の長さを規定する第1および第2の対向端部を有し、カラムの第1の端部上にエンドキャップを有する管状クロマトグラフィカラムの充填方法であって、カラムは、内径を有し、該方法は、
スラリーチャンバをカラムの第2の端部にカラムと同軸状に当接させる工程と、
スラリーチャンバとカラムの第2の端部の間に流体密シールを形成する工程と、
流体とクロマトグラフィ媒体のスラリーをカラム管およびスラリーチャンバに配置する工程と、
ピストンとスラリーチャンバの間に介在されたシールと、ピストンとスラリーの間に介在されたフリットとを有するピストンを、スラリーチャンバに配置する工程と、
カラム内に配置されたクロマトグラフィ媒体上にピストンによって圧力がかかるように、ピストンをスラリーチャンバ内で進行させ、少なくとも一部がカラムに入るようにする工程と、
スラリー内の媒体が所望の圧力または長さに圧縮されるベッドを形成したときにピストンの進行を停止する工程と、
進行中のピストンによってカラム内に配置されたクロマトグラフィ媒体上にかかる圧力を実質的に維持しながら、カラムからスラリーチャンバを取り外す工程とを含む方法。
【請求項2】
ピストンをカラムに錠止する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ベッド上の圧力を解放することなく、ピストンをカラムに錠止する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ベッド上の圧力を解放しながら、ピストンをカラムに錠止する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フリットは、第1および第2の同心円上で異なる径を有する段付き円盤を含み、スラリーには大きい方の径で当接することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
小さい方の径とカラムの内径の間にシールが介在され、大きい方の径とカラムの内径の間にはシールが介在されないことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
面取り部を、カラムの第2の端部の内縁上に形成する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
それぞれがその内部に形成されたネジ付き凹部部分を有する、分割エンドキャップの2つの部分をカラムの第2の端部の上に配置する工程と、
分割されたネジ付きコレットをネジ付き凹部と螺合させて配置する工程と、
分割エンドキャップを、カラムの第2の端部に固締する工程と、
コレットがピストンを定位置に保持するまで、コレットを凹部内に進める工程とをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ピストンを進める工程は、液圧式ラムをピストン上の肩部と接触させて配置する工程と、液圧式ラムを進める工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ピストンを定位置に錠止する工程をさらに含み、ラム位置は、スラリーチャンバがカラムとの接触状態から脱離され、ピストンが定位置に錠止されるまで維持されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
カラムの第1の端部の出口に栓をする工程をさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
流体密シールの形成は、Vバンドクランプをスラリーチャンバとカラムの接合点上に配置することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
錠止工程は、Vバンドクランプをカラムの第2の端部の周りに配置することを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−154945(P2012−154945A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−89852(P2012−89852)
【出願日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【分割の表示】特願2008−537789(P2008−537789)の分割
【原出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(505071309)フェノメネクス インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Phenomenex, Inc.
【住所又は居所原語表記】411 Madrid Avenue, Torrance, California 90501, U.S.A.
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【分割の表示】特願2008−537789(P2008−537789)の分割
【原出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(505071309)フェノメネクス インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Phenomenex, Inc.
【住所又は居所原語表記】411 Madrid Avenue, Torrance, California 90501, U.S.A.
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