説明

クロマトグラフィ分画段階及び結晶化を用いた植物ベースのバイオマスに由来する溶液からガラクトースを回収するための方法。

【課題】クロマトグラフィ分画段階及び結晶化を用いた植物ベースのバイオマスに由来する溶液からガラクトースを回収するための方法を提供する。
【解決手段】本発明は植物ベースのバイオマスに由来する溶液からガラクトースを回収する方法に関する。本発明の方法において、出発溶液に、強塩基性陰イオン交換樹脂及び所望により強酸性陽イオン交換樹脂を用いて所望の順序で実行され得る、一つ以上のクロマトグラフィ分画を受けさせ、続いて少なくとも一つのガラクトースに富んだ画分を回収する。このように得られるガラクトース画分は結晶性ガラクトースを得るために結晶化によってさらに精製される。本発明はまた非−動物由来の結晶性D−ガラクトースに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラクトースを含有する溶液から、特に他の糖及び炭水化物との混合物としてガラクトースを含有する植物ベースのバイオマスに由来する溶液から、ガラクトースを回収する方法に関する。本発明はまた非−動物由来の結晶性ガラクトース、特に植物ベースの結晶性D−ガラクトースに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラクトースは主に乳糖すなわちラクトースにみられる単糖類であり、そこではガラクトースはグルコースと結合している。いくつの酸乳製品において、ラクトースはグルコース及びガラクトースに分解されている。
ガラクトースは医薬分野及び食品技術において多くの用途を持つ。医薬分野において、ガラクトースは例えばいくつかの薬のための医薬中間体として有用である。さらに、ガラクトースはまた医療用途のための静脈用溶液における安定剤としても有用である。食品技術において、ガラクトースは例えばスポ−ツドリンクにおける有望なエネルギ−源として有用なことが見出されている。ガラクトースは細胞培養媒体における栄養素として又は発酵における誘導因子としてもまた有用である。
ガラクトースは通例牛乳のような、乳製品において見られる、ラクトース(グルコース及びガラクトースからなる二糖)を加水分解することによって得られる。最近、例えばBSE病が原因で、非乳製品及び非動物由来のガラクトース生成への関心が増大している。
【0003】
特許文献1,ジョセフ ダナリ−(1963年5月8日発行)にはラクトース、メリビ
オ−ス及びラフィノ−スのような、オリゴ糖の分解によって生成される粗無水(D)(+)−ガラクトースの精製のための結晶化に基づく方法を開示している。前記精製方法はメチルアルコ−ル又はエチルアルコ−ル又はその水との混合物中に粗ガラクトースを溶解すること、溶解してない不純物を除去すること、結晶化によって溶液からガラクトースを回収すること、所望によりその後に再結晶化することを含む。ガラクトース生成物の純度は報告されていない。
【0004】
特許文献2,デヴァプロセッシングサ−ビスリミテッド(Deva Processing Service Ltd)(1999年10月21日発行)には加水分解及び酵素処理によって、ラクトースのような、ガラクトースを含有する二糖類又は多糖類からガラクトースを生成する方法を開示している。この方法によって得られるガラクトースは結晶化してない。上記文献には医薬品等級純度を有するガラクトースを得るためにガラクトースから混入物質を分離することは非常に難しいと説明されている。
【0005】
ガラクトースは植物ベースの物質においてかなり珍しいが、ガラクトースは他の糖及び炭水化物の多成分混合物として様々な植物においてあまり豊富な量ではないが見出されている。ガラクトースは例えば木材資源において見出され、そこでガラクトースは他の炭水化物及びリグニン成分との混合として存在する。
【0006】
例えば、木材資源は、従って植物ベースのガラクトース回収のための有望な供給源である。酸性の木材パルピング加工から得られるパルプ廃液、特に軟木パルピング加工からの液体は、ガラクトース回収のための有望な出発原料の例として述べられ得る。
【0007】
最先端技術において、結晶化を伴う、抽出、加水分解及び吸着剤及び陽イオン及び陰イオン交換体での処理から選ばれる方法を使用して様々な植物ベースの材料からガラクトー
スを回収することが知られている。植物ベースの材料からのガラクトース含有溶液の回収のためのクロマトグラフィ法がまた最先端技術において知られている。しかしながら、ガラクトース含有溶液の回収のためのそれらのクロマトグラフィ法は一般的に他の近縁種の糖との混合物としてガラクトースを提供する。ガラクトースは該糖混合物から回収されてはいない。
【0008】
特許文献3,カ−ギルB.V.(2000年10月25日発行)は微量糖、例えばアラビノース、ラムノース、フコ−ス及びマンノ−スはガラクトース配合物において望ましくないと説明されている、なぜならそれらの成分の存在は例えばガラクトース配合物が使用され得る食品用途範囲を限定するためである。前記欧州公報は、主にD−グルコース及び/又はD−フルクトースとの化学的組合せにおいてD−ガラクトースを含有するオリゴ糖含有マメ科植物組成物からD−ガラクトースを製造するための加水分解に基づく方法を開示する。オリゴ糖含有材料は典型的に大豆、菜種、ヒマワリの種又はそれらの混合物に由来する。実施例において、乾燥質量に基づき3ないし10%の量でD−ガラクトース含有のガラクトース配合物が回収された。前記文献の実施例4に従って、前記配合物のD−ガラクトース含有量はクロマトグラフィによって増加し得る。前記方法によって得られたガラクトース配合物は結晶化してない。
【0009】
特許文献4,サスカ,M.ルイジアナ州立農科及び機械科大学の大学管理委員会 (2
002年9月17日発行)はキシロース、マンノ−ス、ガラクトース、アラビノース、グルコース、キシリト−ル、アラビト−ル、ガラクチト−ル及びマンニト−ルから選ばれる炭水化物を含む水相から該炭水化物及び少なくとも一つの他の非同一成分(糖又は糖アルコ−ル)を分離する方法を開示する。炭水化物が分離される水相は例えば軟木液、硬木液又はその加水分解物であり得る。分離は、ヒドロキシル形態以外で、陰イオン形態において強塩基性陰イオン交換樹脂を使用し行われると記載されている。分離に使用される樹脂は十分な濃度のヒドロキシイオンにより調整される。前記方法の典型的な適用において、塩化物形態の樹脂が使用される。この方法において、ガラクトースは回収されない。
上記の特許文献4はカルエルH.等によって開示されたCa2+及びPb2+(2頁、表2
、65及び66行)から選ばれる強酸性陽イオンを用いたマンノ−ス/ガラクトース分離を言及する。
カルエルH.等は非特許文献1において炭水化物分離を研究している。炭水化物分離(
ヘキソ−ス、ペント−ス及び対応するポリオ−ル)は溶離液として水を用い強酸陽イオン交換樹脂カラム上で配位子交換を使用する液体クロマトグラフィによって研究されたと説明されている。7つの陽イオン(Ca2+,Sr2+,Ba2+,Pb2+,Y3+,La3+及びPr3+)が試験された。
【0010】
特許文献5,ラエボサンジセルシャフト(Laevosan−GeseLLschaft)ケミカルファームインダストリーズ フランク及びフル−ドル博士(1969年10月7日発行)は、異なる糖の混合物から該糖を分離する方法であって、ヒドラジンと陽イオン交換樹脂を反応すること、及びその後ヒドラジン含有陽イオン交換樹脂と前記糖の混合物の水性アルコ−ル溶液を接触すること、続いて糖を分画し及び異なる画分において前記糖の混合物中に存在する個々の糖を得るために糖含有樹脂を洗浄することを含む方法を開示する。前記陽イオン交換樹脂はスルフェート基、カルボキシル基又はフォスフィット基のような高い酸活性基を含有し得る。フルクトース及びガラクトースの分離は前記文献の実施例3において開示される。実施例3には又、グルコース画分は結晶化後純結晶性ガラクトースを与えたと説明されている。しかしながら、供給溶液はヘミセルロ−ス加水分解物でない。
【0011】
特許文献6,カルターリミテッド、ヘッキラ等(1992年1月28日発行)は硫酸塩形態の強塩基性陰イオン交換樹脂でのクロマトグラフィ分画を使用して、さらに他の単糖
類を含有するキシロースに富んだ溶液から高純度キシロース画分を生成する方法を開示する。ガラクトースはこの方法において回収されない。
【0012】
特許文献7,クレハ化学工業株式会社(1988年9月20日発行)はL−ラムノース、L−アラビノース及びD−ガラクトースを含む液体加水分解物を形成するために鉱酸でアラビアゴムを加水分解し、及びL−ラムノースからD−ガラクトース及びL−アラビノースに分離するために中和され及び浄化された加水分解物に溶離液として水及び有機溶媒の混合物を使用した強陽イオン性イオン交換クロマトグラフィを受けさせることによってアラビアゴムから高純度ラムノースを生成する方法を開示する。実施例においては、Na+形態樹脂が使用された。ガラクトースは回収されない。
【0013】
特許文献8,UOP(1989年8月15日発行)はアラビノース並びにアルド−ス及びケト−スからなる群からの少なくとも一つ他の単糖類を含有する水性供給混合物からアラビノースを分離する方法であって、前記供給混合物をアンモニウム陽イオンを含有するX−ゼオライト吸着剤と接触させることによる方法を開示する。前記他の単糖類は典型的にはグルコース、キシロース、ガラクトース及びマンノ−スから選択される。ガラクトースはX−ゼオライト吸着剤により選択的に吸収されると記載されている。ガラクトースは回収されない。
【0014】
非特許文献2はリグノスルホンサン塩の分離後亜硫酸水素塩液中のマンノ−ス、グルコース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、ヘキソ−ス及びペント−スを固定し及び測定している。前記液はエタノ−ルで処理され、沈殿物は遠心分離され、リグノスルホン酸塩は分離され、陽イオン及び陰イオン交換樹脂で精製され並びにガスクロマトグラフィ定量及び比色定量を受けさせる。
【0015】
非特許文献3はホウ酸複合体イオン交換クロマトグラフィを通じた木材多糖類の酸及び酵素加水分解物からの糖の分離及び定量測定のための単純な自動分析方法を記載する。このような方法で分離された糖はマンノ−ス、フルクトース、アラビノース、ガラクトース、キシロース、グルコース並びにキシロビオ−ス、セロビオ−ス及びスクロ−スのような二糖を含み得る。
【0016】
非特許文献4はAG50W−X8陽イオン交換剤を使用して他の乳糖からのラクトースの分離を開示する。ガラクトース、ラクトース及びラクツロースを含有するシロップを初めにNa+形態の樹脂上で溶離してガラクトース画分を除去する。ラクトース及びラクツ
ロースを含有する生成物はその後Ca2+形態の樹脂上で溶離されて事実上純粋な形態でラクトースを与える。ガラクトースはこの方法において回収されない。
【0017】
特許文献9,科学協議会及び産業調査(インド) (1987年2月21発行)はグリーンイーグルマーメラスフルーツガム(green Aegle marmelos fruit−gum)から純D−ガラクトースを調整する方法を開示する。この方法において、前記果実材料はH2SO4で段階2の加水分解を受けさせられ、続いてアンバ−ライトIR 120(H+)及びIR−4B(OH-)で脱イオン化処理をする。このようにして得られた生成物は活性炭素で精製され、そして溶液はシロップを与えるために減圧下で40℃未満の温度まで加熱された。前記シロップはD−ガラクトースを結晶化するために、100mLの
熱いMeOH及び8ないし10mLの水で処理される。
【0018】
非特許文献5はカシューナッツの殻からD−ガラクトースを分離する商業的な方法を開示する。この方法において、カシューナッツ殻材料は水性抽出、H2SO4での加水分解、シロップへの濃縮、抽出、活性炭での脱色、濃縮及び結晶化、続いて結晶性D−ガラクトースの乾燥及び粉化を受けさせる。
【0019】
非特許文献6は、ガラクトースを含む単糖類の濃縮溶液生成のための原料としてじゃが
いもを開示する。じゃがいも材料の3.5ないし4時間の98ないし100℃での3%H2SO4を用いた加水分解物はグルコース、ガラクトース及びアラビノースを含有する濃縮物を生成したことが説明される。
【0020】
加藤,Y.等は特許文献10,コスモ総合研究所Kk,コスモ石油株式会社(1994年7月22日発行)において炭水化物分離のための親和性クロマトグラフィ吸着剤を開示する。前記親和性クロマトグラフィ吸着剤はアルコールヒドロキシル基及びレクチンを含有する多孔質架橋共重合体であることが説明されている。前記吸着剤は炭水化物、特にマンノース及びガラクトースの分離のためにHPLCにおいて使用されることもまた説明されている。
【0021】
山田,T.等は非特許文献7において日本の甜菜糖工場における工場方法に適用される
酵素反応によるラフィノースの分解を開示する。ラフィノースはα−ガラクトシダーゼによってスクロース及びガラクトースに分解されることが説明される。
【0022】
ドュガル.H.等は非特許文献8においてイナゴマメ及びグアーガムの酵素変性を開示
する。発芽したグアー種から単離されたα−ガラクトシダ−ゼによるイナゴマメ及びグア−ガムの加水分解に対する時間、pH、温度及び酵素及び基質濃度の影響が研究されそして加水分解ガムはX線回折及び分子量側定により特徴付けられた。前記ガムの酵素加水分
解はガラクトース、アラビノース及びマンノ−スを遊離させたと説明されている。しかしながら、分離のために使用された材料中にキシロースの存在はない。
【0023】
非公開フィンランド特許出願20012605,ダニスコ スウィ−トナ−ズ オイは、少なくとも部分的にBa2+形態にある少なくとも一つのクロマトグラフィ分離樹脂及びBa2+以外の形態にある少なくとも一つのクロマトグラフィ分離樹脂を使用してバイオマスに由来する溶液にクロマトグラフィ分離方法を受けさせることによって前記溶液からマンノ−スを回収する方法を開示する。後者の樹脂は、陽イオンが好ましくはCa2+である陽イオン交換樹脂である。出発バイオマス由来溶液は典型的にはマンノースを、キシロース、ガラクトース、グルコース、ラムノース、アラビノース及びフルクトースのような他の糖との混合物で含有する。ガラクトースは回収されない。
【0024】
従来技術の上記記載からヘミセルロ−スに基づく原料からガラクトース含有溶液を調整することが知られているようである。しかしながら、純結晶性D−ガラクトースを生成することが難しいと考えられている、なぜならそれは出発溶液のガラクトース含有が低い場合、他の糖から、特にマンノ−ス及びキシロース、及び又アラビノース及びラムノースからも、ガラクトースを分離することが特に煩瑣であるためである。
【0025】
この問題は今や、植物ベースのヘミセルロ−ス原料から純結晶性ガラクトースを得るためにクロマトグラフィ分画及び結晶化の組み合わせを提供することによって本発明に従って解決されている。
【特許文献1】英国特許第925380号明細書
【特許文献2】国際公開第99/53088号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第1046719号明細書
【特許文献4】米国特許第6,451,123号明細書
【特許文献5】米国特許第3,471,329号明細書
【特許文献6】米国特許第5,084,104号明細書
【特許文献7】米国特許第4,772,334号明細書
【特許文献8】米国特許第4,857,642号明細書
【特許文献9】インド国特許第158940明細書
【特許文献10】特開平06−201671号公報
【非特許文献1】“配位子交換液体クロマトグラフィによる炭水化物分離:糖−陽イオン錯体の形成と溶出順序との相関関係” J.クロマトグラフィ 558(1),89〜104頁(1991)
【非特許文献2】ボリ−ニ,M及びガリ,R(“亜硫酸水素塩液の糖の分離及び測定” ,Stn.Sper.Cellul.,Carta Fibre Tess.Veg.Artif.,Milan,Italy.Ind.Carta(1975),13(10),392−4)
【非特許文献3】シンナ−,M,シマチュパン,M.H.及びディエトリヒ,M.H. (“ホウ酸複合体イオン交換クロマトグラフィによる木材炭水化物の自動定量分析”,WoodSience and Tecnology,1975,307〜322頁)
【非特許文献4】ジハ−ド,L,デンデン,K及びバリオウ,B.(“低圧力クロマトグラフィによる糖分離”,Lab.GPSA,ENSCR,Rennes Beaulieu,Fr Recent Progres en Genie des Procedes(1991),5(15,Procedes Sep.),167 −72)
【非特許文献5】イングル,T.K,クルカ−ニ,V.R,ヴァイドヤ.S.H.及びパイ,M.U.,ナショナル ケミカル ラボラトリーズ,プ−ナ,インド,リサーチ インダストリーズ(Natl.Chem.Lab,Poona,India,Res.Ind)(1976),21(4),243−6
【非特許文献6】セルドゥク,L.V,ダッドキン,M.S.,ゲルゾフ,A.F.,オデス テクノロジカル インスティテュート(Serdyuku,L.V,Dudkin,M.S.,Gerzhov,A.F.,Odess.Technol.Inst.)Pishch.Prom.im.Lomonosava,Odessa,USSR,Izv.Vyssh.Ucheb.Zaved.Pishch.TeknoL.(1974),(2),28−30
【非特許文献7】Sucr.Belge/Sugarind.Abser.(1971),90(7),345−348
【非特許文献8】IPPTA(1974),11(1),29−35
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
複合植物ベースのバイオマス由来の溶液からガラクトースを得るためのガラクトース回収方法が本発明の一つの目的である。本発明の目的は独立請求項に記載された事項によって特徴付けられる方法によって成し遂げられる。本発明の好ましい実施態様は従属請求項において開示される。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、ガラクトースを他の近縁種である糖との混合物として含む植物ベースのバイオマス由来の溶液からガラクトースを回収するためのクロマトグラフィ分画及び結晶化の組み合わせに基づいている。クロマトグラフィ分画はガラクトースに富んだ画分を提供し、該画分を次に純結晶性ガラクトースを得るために結晶化を受けさせる。本発明の一つの好ましい実施態様において、クロマトグラフィ分画は亜硫酸水素塩形態の強塩基性陰イオン交換樹脂を使用して連続する分離を含む。本発明のもう一つの好ましい実施態様において、クロマトグラフィ分画は強塩基性陰イオン交換樹脂での分離及び強酸性陽イオン交換樹脂での分離を含む。
【0028】
明細書及び実施例及び請求項の全てにわたり、下記の定義が使用されている:
SBAは強塩基性陰イオン交換樹脂を指す。
SACは強酸性陽イオン交換樹脂を指す。
DVBはジビニルベンゼンを指す。
ACNはアセトニトリルを指す。
DSは質量%として表す、カール フィッシャー(Karl Fischer) 適定によって測定された乾燥物質含有量を指す。
RDSは質量%として表す、屈折率乾燥物質含有量を指す。
SMBは擬似移動床方法を指す。
“ガラクトース分画”はクロマトグラフィ分画から得られる、ガラクトースに富んだ画分を指す。
“不純物プロフィル”は最終結晶性ガラクトース生成物における不純物及びその含有量を指す。
“非−動物由来のガラクトース”は、非−乳製品ガラクトース及び特にラクトース加水分解物に基づかないガラクトースを指す。
【0029】
下記の図面は本発明の説明的態様であり決して請求項において定義される本発明の範囲の限定を意味するものではない。
図1A及び1Bは実施例1及び2から得られる分離プロフィルのグラフによる提示である(亜硫酸塩廃液に基づき及び主にキシロース、ガラクトース及びマンノ−スを含有する溶液のSO42-形態の強塩基性陰イオン交換樹脂を使用したクロマトグラフィ分画)。
図2は実施例4から得られる分離プロフィルのグラフによる提示である(SO32-形態
の強塩基性陰イオン交換樹脂を使用する、主にキシロース、マンノ−ス、ガラクトース、グルコース及びアラビノースを含有する溶液のクロマトグラフィ分画)。
図3は実施例5から得られる分離プロフィルのグラフによる提示である(HSO3-形態の強塩基性陰イオン交換樹脂を使用する、主にキシロース、マンノ−ス、ガラクトース及びグルコースを含有する溶液のクロマトグラフィ分画)。
図4は実施例6から得られる分離プロフィルのグラフによる提示である(CH3COO-形態の強塩基性陰イオン交換樹脂を使用する、主にキシロース、マンノ−ス、ガラクトース、グルコース及びアラビノースを含有する溶液のクロマトグラフィ分画)。
図5は実施例7から得られる分離プロフィルのグラフによる提示である(Ba2+形態の強酸性陽イオン交換樹脂を使用する、主にキシロース、ガラクトース及びマンノ−スを含有する溶液のクロマトグラフィ分画)。
図6は実施例8から得られる分離プロフィルのグラフによる提示である(Pb2+形態の強酸性陽イオン交換樹脂を使用する、主にキシロース、ガラクトース及びマンノ−スを含有する溶液のクロマトグラフィ分画)。
図7は実施例9から得られる分離プロフィルのグラフによる提示である(Ba2+形態の強酸性陽イオン交換樹脂を使用した、SO42-形態の強酸性陰イオン交換樹脂での分離か
ら得られる亜硫酸塩廃液に基づくガラクトース含有溶液のクロマトグラフィ分画)。
図8は実施例12から得られる分離プロフィルのグラフによる提示である(H+形態の弱酸性陽イオン交換樹脂でのアラビアゴム加水分解物のクロマトグラフィ分画)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は植物ベースのバイオマスに由来する溶液からガラクトースを回収する方法に関する。本発明の方法は、
前記植物ベースのバイオマスに由来する溶液に一つ以上のクロマトグラフィ分画を受けさせること、
少なくとも一つのガラクトースに富んだ画分を回収すること、
前記少なくとも一つのガラクトースに富んだ画分に結晶化を受けさせること、及び
植物ベースの結晶性ガラクトース生成物を回収することを含む。
【0031】
本発明の一つの実施態様において、前記一つ以上のクロマトグラフィ分画は強塩基性陰イオン交換樹脂から選ばれるカラム充てん材を使用する一つ以上のクロマトグラフィ分画段階を含む。
前記強塩基性陰イオン交換樹脂は、例えば、SO42-形態,SO32-形態、HSO3-形態又はCH3COO-形態にあり得る。
本発明の一つの好ましい実施態様において、前記強塩基性陰イオン交換樹脂はHSO3-形態にある。
本発明の特に好ましい実施態様において、前記の一つ以上のクロマトグラフィ分画はHSO3-形態の強塩基性陰イオン交換樹脂から選ばれるカラム充てん材を使用する2つの連続するクロマトグラフィ分画段階を含む。
【0032】
本発明の他の実施態様において、前記の一つ以上のクロマトグラフィ分画は強酸性陽イオン交換樹脂から選ばれるカラム充てん材を使用する一つ以上のクロマトグラフィ分画段階を含む。
前記強酸性陽イオン交換樹脂は一価の金属形態又は二価の金属形態にあり得る。本発明の好ましい実施態様において、前記樹脂はBa2+、Pb2+、Ca2+又はSr2+形態にある。
【0033】
しかしながら、他のクロマトグラフィ分離樹脂、例えば弱酸性陽イオン交換樹脂であっても、酸性、中性又はわずかなアルカリ性条件で使用する、例えばガラクトースからのデオキシ糖の分離のための本発明において有用である。
【0034】
本発明の一つの実施態様において、前記の一つ以上のクロマトグラフィ分画は、強塩基性陰イオン交換樹脂から選ばれるカラム充てん材を使用する一つ以上のクロマトグラフィ分画段階及び強酸性陽イオン交換樹脂から選ばれるカラム充てん材を使用する一つ以上のクロマトグラフィ分画段階を含む。
【0035】
前記強塩基性陰イオン交換樹脂は、例えば、SO42-形態,SO32-形態、HSO3-形態又はCH3COO-形態にあり得る。
【0036】
前記強酸性陽イオン交換樹脂は、一価の金属形態又は二価の金属形態にあり得る。本発明の好ましい実施態様において、前記樹脂はBa2+、Pb2+、Ca2+又はSr2+形態にある。
【0037】
前記強塩基性陰イオン交換樹脂及び前記強酸性陽イオン交換樹脂はスチレン及びアクリル系骨格を有し得る。本発明の好ましい実施態様において、前記樹脂はポリスチレン−コ−ジビニルベンゼンである。アルキル置換したスチレンのような単量体に基づくもののような他のアルケニル芳香族重合体樹脂又はその混合物もまた適用できる。前記樹脂はまたジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、ジビニルベンゼンのような他の適した芳香族架橋性単量体、又はイソプレン、エチレン グリコ−ル ジアクリレ−ト、エチレン グリコ−ル ジメタクリレ−ト、N,N−メチレン ビスアクリルアミド又
はその混合物のような脂肪族架橋単量体と架橋し得る。樹脂の架橋度は、典型的にはジビニルベンゼンのような架橋剤の約1から約20%であり、好ましくは、約3から約8%で
ある。前記樹脂の平均粒径は通常10ないし2000μm、好ましくは100ないし40
0μmである。
【0038】
前記強酸性陽イオン交換樹脂は好ましくはスルホン化ポリスチレン−コ−ジビニルベンゼン樹脂である。
本発明の好ましい実施態様において、前記樹脂はゲル状樹脂である。
前記樹脂の製造者は例えばFinex,Dow,Bayer及びRoman&Haasである。
クロマトグラフィ分画操作において、樹脂の陽イオン/陰イオンは好ましくはその系の移動相の陽イオン/陰イオンと実質的に平衡状態にある。
クロマトグラフィ分画において使用される溶離液は好ましくは水であるが、塩及び水の溶液でさえ有用である。さらにエタノ−ルのようなアルコ−ル、及び水とエタノ−ルの混合物のような水とアルコ−ルの混合物は有用な溶離液である。
クロマトグラフィ分画の温度は典型的に20ないし90℃の範囲、好ましくは40ないし65℃にある。分画される溶液のpHは通常2ないし9の範囲にある。
クロマトグラフィ分画はバッチ方法又は擬似移動床方法(SMB方法)で行い得る。SMB方法は好ましくは遂次的な又は連続的な方法として行われる。
【0039】
擬似移動床方法において、クロマトグラフィ分画は通常は、直列に連結された3ないし14個のカラムを使用し行われる。カラムはパイプラインで繋がっている。カラムにおける流速は通常カラムの断面積の0.5ないし10m3/(hm2)である。カラムは上記樹脂から選ばれるカラム充てん材で充てんされる。カラムには、供給溶液及び溶離液がカラムに送り込まれそしてカラムから生成物画分が集められるために供給ライン及び生成物ラインが設けられている。生成物ラインには、製造フローの値/量が操作中監視できるようにオンライン機器が設けられている。
【0040】
クロマトグラフィSMB分離の間に、供給溶液はポンプを用いてカラムを通り循環される。溶離液が加えられ、そしてガラクトース画分、他の所望の生成物画分及び残留画分がカラムから集められる。
クロマトグラフィ分画前に、供給溶液はイオン交換処理又は炭酸塩化による軟化、希釈、濃縮例えば蒸発によるもの、pH調整及びろ過から選ばれる一つ以上の予備処理段階に付され得る。カラムに送り込む前に、供給溶液及び溶離液は上記で説明された分画温度まで加熱される(例として50ないし85℃の範囲)。
【0041】
クロマトグラフィ分画はガラクトースが溶液の形態にあるガラクトース画分を提供する。クロマトグラフィ分画から得られるガラクトース画分はRDSに基づき38%を超えるガラクトースの典型的な純度を持つ。本発明の一つの典型的な実施態様において、クロマトグラフィ分画はRDSに基づき38%ないし95%の純度を持つガラクトース画分を提供する。クロマトグラフィ分画におけるガラクトース収率は通常35ないし95%である。
【0042】
クロマトグラフィ分画から得られるガラクトース画分は通常不純物としてキシロース、アラビノース、ラムノース及びマンノ−スから選ばれる糖を含む。キシロースの量はRDSに基づき通常1ないし20%の範囲及びマンノ−スの量は通常2ないし40%の範囲で
ある。
【0043】
クロマトグラフィ分画の収率を改善するために、クロマトグラフィ分画の再利用画分もまた使用できる。
【0044】
本発明のクロマトグラフィ分画方法は膜ろ過(精密ろ過、限外ろ過、ナノろ過)、イオン交換、蒸発、後加水分解及びろ過から選ばれる一つ以上の精製段階をさらに含み得る。これらの精製段階は前記クロマトグラフィ分画の前、後又は間に行われ得る。
【0045】
クロマトグラフィ分画から得られたガラクトース画分をさらに結晶性ガラクトース生成物質を得るために結晶化を受けさせる。結晶化は通常水並びにエタノ−ルのようなアルコ−ル、並びに、水とエタノ−ルのようなアルコ−ルとの混合物から選ばれる溶媒を使用して行われる。本発明の好ましい実施態様では、結晶化は水で行われる。
【0046】
結晶化はクロマトグラフィ分画から得られたガラクトース溶液を適当な乾燥物質含有量(例えば、約70ないし80%のRDS)まで蒸発することによって行われる。ガラクト
ース溶液はガラクトース種晶で種晶添加され得る。種は、使用された場合、水、エタノ−ルのようなアルコ−ル、又はその混合物である、結晶化溶媒中に懸濁される。典型的な結晶化溶媒は水である。結晶塊の冷却後、エタノ−ルのような結晶化溶媒を加える。結晶塊は次に、一時期間、好ましくは1日ないし6日、通常室温で静置され、その後結晶をろ過
する。ろ過ケーキは結晶化溶媒で洗浄される。高純度のガラクトース結晶が得られる。
【0047】
結晶化は、DSに基づき90%を超え、好ましくは95%を超え及びさらに好ましくは98%を超え、もっとも好ましくは99.5%を超える純度を持つ結晶性ガラクトースを提供する。結晶性ガラクトース生成物は再結晶化段階を使用し99.9%の純度にまでさらに精製される。
【0048】
結晶化はRDSに基づき38%以上のガラクトース純度を持つガラクトース溶液から行われる。本発明の一つの典型的な実施態様において、結晶化はRDSに基づき38ないし95%のガラクトース純度を持つ溶液から行われる。結晶化に使用されるガラクトース溶液は通常クロマトグラフィ分画から得られるガラクトース画分を指す。
【0049】
本発明の一つの実施態様において、ガラクトースはRDSに基づき少なくとも50%の純度からDSに基づき98%以上の純度を持つ結晶性ガラクトースを得るために、一つの結晶化段階で結晶化され得る。
【0050】
結晶化は、DSに基づきグルコース最大含有量0.50%、好ましくはDSに基づき最大含有量0.30%を持つ結晶性ガラクトースを提供する。
結晶化は、キシロース、アラビノース、ラムノース及びマンノ−スから選ばれる少なくとも一つの糖を含む不純物プロフィルを持つ結晶性ガラクトースをまた提供する。本発明の一つの実施態様において、結晶化は、不純物プロフィルがDSに基づき0.03%以上の量で少なくとも一つの前記糖を含む結晶性ガラクトースを提供する。本発明の他の実施態様において、結晶化は、不純物プロフィルがDSに基づき0.03%以上のアラビノース及び/又はマンノ−スを含む結晶性ガラクトースを提供する。本発明のさらなる実施態様において、結晶化は、DSに基づき0.10%以上の量でキシロース、アラビノース、ラムノース及びマンノ−スから選ばれる少なくとも一つ前記糖を含む不純物プロフィルを持つ結晶性ガラクトースを提供する。
【0051】
前記ガラクトースは典型的なD−ガラクトースを指す。さらに、グルコースはD−グルコースを指し、キシロースはD−キシロースを指し、アラビノースはL−アラビノースを指し、マンノ−スはD−マンノ−スを指し及びラムノースはL−ラムノースを指す。
【0052】
本発明の方法は前記クロマトグラフィ分画段階の前、後、間に行われる膜ろ過、イオン交換、蒸発及びろ過から選ばれる精製段階もまた含み得る。
本発明の方法はキシロース、マンノ−ス及び任意でラムノースのような他の糖の部分回収もまた含み得る。他の糖の部分回収は典型的にガラクトース分離の前に行われる。
本発明の方法はさらに前記のクロマトグラフィ分画段階の間に一つ以上の結晶化段階を含み得る。前記一つ以上の結晶化段階は例えばキシロースの沈殿結晶化を含み得る。前記キシロースの沈殿結晶化は通常強塩基性陰イオン交換樹脂での前記クロマトグラフィ分画と強酸性陽イオン交換樹脂での前記クロマトグラフィ分画との間に行われる。
【0053】
ガラクトース回収のための出発原料は通常単糖類のような、炭水化物を含有する植物ベースの混合物である。本発明の典型的な実施態様において、前記単糖類は主にキシロース、ガラクトース、マンノ−ス、アラビノース、ラムノース及び所望によりグルコースを含む。その混合物は単糖類及び多糖類及びより高級な単糖類もまた含有し得る。特に、本発明はガラクトースと一緒にキシロース及び/又はマンノ−スをかなりの量含有する溶液か
らのガラクトースの生成に適用される。
【0054】
本発明に従うガラクトース回収のための出発原料は植物ベースのバイオマス、典型的には、軟木又は硬木から選ばれる木材材料、穀物のわら又は外皮、とうもろこしの皮、とうもろこしの穂軸、とうもろこしの繊維、バガス及び甜菜のようなヘミセルロ−スを含有する植物ベースの材料に由来する。軟木材料は特にガラクトースに富んでいる。トウヒ又はマツのような軟木由来のヘミセルロ−ス含有バイオマスは、このように本発明における出発原料として使用するために特に好ましい。
他の適した出発原料として例えばアラビアガム、トラガカントガム及びギャッティガム(gum ghatti)などのような浸出物ガムが述べられ得る。
【0055】
ガラクトース回収のための出発原料は通常、上記のヘミセルロ−ス含有バイオマスの加水分解物である。前記加水分解物は通常バイオマスの弱酸加水分解又は酵素加水分解から得られている。グルコースのような、ヘキソ−スは所望により発酵によって除去され得る。本発明の好ましい実施態様において、出発原料は植物ベースのヘミセルロ−ス加水分解物である。本発明の他の好ましい実施態様において、出発原料はガラクトース及びキシロースから選ばれる更なる糖を含んでいる植物ベースのヘミセルロ−ス加水分解物である。本発明の他の好ましい実施態様において、出発原料はガラクトース及びキシロース、アラビノース及びマンノ−スから選ばれる更なる糖を含む植物ベースのヘミセルロ−ス加水分解物である。アルカリ性抽出物のような、ヘミセルロ−ス濃縮物及び抽出物もまた本発明において有用な出発原料である。
【0056】
本発明に従うガラクトース回収のためのバイオマス加水分解物は通常パルピング加工から得られる廃液である。前記廃液は特に酸性、塩基性又は中性の亜硫酸パルピング、好ましくは酸性亜硫酸パルピングによって得られ得る亜硫酸パルピング廃液である。
本発明において有用である典型的な廃液は好ましくは酸性亜硫酸パルピングから得られる廃液である。前記廃液は亜硫酸パルピングから直接得られ得る。それはまた濃縮された亜硫酸パルピング廃液又は亜硫酸蒸煮から得られる複放出物でもあり得る。それはまた亜硫酸パルピング廃液からクロマトグラフで得られたガラクトース含有画分でもあり得る。
【0057】
ガラクトースを含有している出発溶液は例えばキシロース主要部の分離後回収された亜硫酸パルピング廃液であり得る。
【0058】
本発明の一つの実施態様において、出発原料はマンノ−ス主要部の分離後得られる副流であり得、前記副流はガラクトース及び残部のマンノ−ス及びキシロースを含む。マンノ−ス分離はキシロース及びラムノースの主要部回収後の亜硫酸パルプ廃液からマンノ−スを回収する方法を指す。
【0059】
前記植物ベースのバイオマス由来の溶液は通常ガラクトース並びにキシロース、アラビノース、マンノ−ス及びラムノースから選ばれる一つ以上の更なる糖を含有する。本発明の一つの実施態様において、前記植物ベースのバイオマス由来の溶液はガラクトース並びにアラビノース及びマンノ−スから選ばれる一つ以上の更なる糖を含有する。
【0060】
通常、ガラクトースの回収に使用される前記溶液は通常およそ等量のキシロース、ガラクトース及びマンノ−スを含む、植物ベースのヘミセルロ−スである。しかしながら、硬木ヘミセルロ−ス加水分解物は通常ガラクトース又はマンノ−スより多くのキシロースを含有する。植物ベースのヘミセルロース加水分解物において、ガラクトース含有量は通常最小5%、好ましくは20%及び最も好ましくは40%である。マンノ−ス含有量は通常40%以上、好ましくは20%及び最も好ましくは5%以上である。キシロース含有量は通常40%以上、好ましくは20%以上及び最も好ましくは5%以上である。
【0061】
本発明はまた本発明の方法によって得られる植物ベースの結晶性D−ガラクトースに関する。特に、本発明は非−動物由来の結晶性D−ガラクトースに関する。非−動物由来のD−ガラクトースは非−乳製品D−ガラクトース及び特にラクトース加水分解物に基づかないD−ガラクトースを指す。
【0062】
さらに、本発明は163ないし169℃の範囲の融点及び90%を超える純度を持つ植物ベースの結晶性D−ガラクトースに関する。本発明の一つの好ましい実施態様において、本発明は軟木又は硬木から選ばれる木材であり得、植物ベースのヘミセルロ−ス含有材料に由来する結晶性D−ガラクトースに関する。本発明はまたDSに基づき90%を超える、より好ましくはDSに基づき95%を超える、さらに好ましくはDSに基づき98%を超える及び最も好ましくはDSに基づき99.5%を超える純度を持つ植物ベースの結晶性ガラクトースに関する。
本発明はまたDSに基づき最大含有量0.50%のD−グルコース好ましくは最大含有量0.30%DSのD−グルコースを持つ植物ベースの結晶性D−ガラクトースに関する。
【0063】
さらに、本発明はD−キシロース、L−アラビノース、D−マンノ−ス及びL−ラムノースから選ばれる少なくとも一つの糖を含む不純物プロフィルを持つ非−動物由来の結晶性D−ガラクトースに関する。本発明のこの側面の一つの実施態様において、不純物プロフィルはDSに基づき0.03%以上の量で少なくとも一つの前記糖を含む(DSに基づき少なくとも0.03%)。本発明のこの側面の他の実施態様において、不純物プロフィルはDSに基づき0.03%以上の量でL−アラビノース及び/又はD−マンノ−スを含む。本発明のこの側面のさらなる実施態様において、不純物プロフィルはDSに基づき0.10%以上(少なくともDSに基づき0.10%)の量でD−キシロース、L−アラビノース、D−マンノ−ス及びL−ラムノースから選ばれる少なくとも一つの前記糖を含む。
【0064】
本発明はまた、DSに基づき0.50%未満、好ましくはDSに基づき0.30%未満の量でD−グルコースを含む不純物プロフィルを持つ結晶性非−動物由来のD−ガラクトースに関する。
本発明はまた、DSに基づき0.10%未満、好ましくはDSに基づき0.03%未満の量でラクトースを含む不純物プロフィルを持つ結晶性非−動物由来のD−ガラクトースに関する。
さらに、本発明はDSに基づき0.50%未満の量でD−グルコース、DSに基づき0.10%未満の量でラクトース及びD−キシロース、L−アラビノース、D−マンノ−ス及びL−ラムノースから選ばれる少なくとも一つの更なる糖を含む不純物プロフィルを持つ、非−動物由来のD−ガラクトースに関する。本発明のこの側面の一つの実施態様において、不純物プロフィルはDSに基づき0.03%以上の量で、D−キシロース、L−アラビノース、D−マンノ−ス、L−ラムノース及びD−リキソ−スから選ばれる少なくとも一つの前記糖、通常DSに基づき0.03%以上の量でL−アラビノース及び/又はDSに基づき0.03%以上の量でD−マンノ−スを含む。本発明の他の実施態様において、不純物プロフィルはDSに基づき0.10%以上の量で前記糖の少なくとも一つを含む。本発明のさらなる実施態様において、不純物プロフィルはDSに基づき0.30%未満の量でD−グルコース及び0.03%未満の量でラクトースを含む。
【0065】
本発明の結晶性D−ガラクトースにおいて、D−キシロース、L−アラビノース、D−マンノ−ス及びL−ラムノースから選ばれる個々の糖不純物の合計はガラクトース生成物の純度にもよるが、DSに基づき10%までになり得る。D−キシロース、L−アラビノース、D−マンノ−ス及びL−ラムノースから選ばれる個々の糖不純物の各々に対する上
限はDSに基づき5%まで、好ましくはDSに基づき2%まで、より好ましくはDSに基づき1%まで及びさらに好ましくはDSに基づき0.5%までになり得る。
前記糖不純物に対する下限値は請求項において定義される、すなわち、典型的にはDSに基づき0.03%である。しかしながら、例えばD−キシロースの下限はガラクトース生成物の純度度合いにもよるが、零にさえなり得る。
【0066】
本発明はまた、DSに基づき70%以上のガラクトース純度を持ち及びDSに基づき2ないし10%の量でキシロース、アラビノース、ラムノース及びマンノ−スから選ばれる更なる糖を含む結晶性ガラクトースの中間生成物に関する。
【0067】
本発明の結晶性D−ガラクトースは、好ましくは、植物ベースのヘミセルロ−ス加水分解物又は植物ベースのヘミセルロ−ス抽出物のような、植物ベースのバイオマスに由来する、植物ベースのD−ガラクトースである。本発明の好ましい一つの実施態様において、本発明の結晶性D−ガラクトースは木材に由来する。
本発明の結晶性D−ガラクトースはさらに163ないし169℃の範囲における融点によって特徴付けられる。
上記の不純物プロフィルを持つ本発明の結晶性D−ガラクトースは好ましくは上記のクロマトグラフィ分画及び結晶化の組み合わせによって植物ベースのバイオマスから得られる。
【0068】
本発明はまた医薬及び食品における本発明の結晶性D−ガラクトースの使用に関する。特に本発明は、例えば医療用途のための静脈用溶液における安定剤のような、医薬の中間体として及び医薬における成分としての植物ベースの結晶性D−ガラクトースの使用に関する。
本発明はまた医薬有効成分、例えば2−デオキシ−2−リボ−ス、L−デオキシチミジン、D−タガト−ス、フコ−ス及びカリウムD−リキソネ−トの調製のための中間体としての本発明の結晶性D−ガラクトースの使用に関する。
本発明はまた食品における食材成分として、例えば有望なエネルギ−源としてスポ−ツドリンクにおいての本発明の植物ベースの結晶性D−ガラクトースの使用に関する。
さらに、本発明は、D−ガラクトースが発酵において栄養素又は誘導因子として有用である、細胞培養媒体における成分としての本発明の植物ベースの結晶性D−ガラクトースの使用に関する。
本発明はまた本発明の結晶性D−ガラクトースを含む医薬、食品及び細胞培養媒体を包含する。
以下の実施例は決して本発明を制限せずに本発明の説明的実施態様を示している。
【0069】
実施例1
SO42-形態の強塩基性陰イオン交換樹脂(SBA樹脂)を用いたガラクトース含有溶
液のクロマトグラフィ分画
ガラクトースの分離に使用した出発液はキシロース回収のために使用した亜硫酸カルシウム廃液から分離したガラクトース含有の副流である。樺の木が亜硫酸塩パルピングのための原料として使用された。
ガラクトースを含有している溶液にクロマトグラフィ分離を受けさせた。分離はバッチ方法として試験的規模のクロマトグラフィ分離カラムにおいて行われた。0.225mの直径を有するカラムは強塩基性陰イオン交換樹脂(FinexAs532GC,3.5%
DVB))で充てんされた。樹脂床の高さは5.3mであった。樹脂の平均粒径は0.35mmであった。樹脂は硫酸塩(SO42-)形態に再生された。カラム及び供給溶液及び
溶離水の温度は65℃であった。カラムの流速は25L/hに調整された。供給溶液のpHは2.6であった。
供給溶液はDSに基づき以下の組成を持つ:
ガラクトース :23%
キシロース :40%
マンノ−ス :20%
その他 :17%
クロマトグラフィの分離は以下のように行われた:
段階1:供給溶液の乾燥物質は溶液の屈折率(RI)に従い100gの溶液において乾燥物質30gに調整された。
段階2:予熱された供給溶液の12.5Lは樹脂床の頂までポンプで汲み上げられた。
段階3:供給溶液は予熱されたイオン交換水をカラムの頂に送り込むことによってカラムにおいて下方に溶離された。
段階4:流出溶液の50mL試料は5分間隔で集められた。試料の組成はHPLC(アミノ
カラム)で分析され、そして水及びACNの混合物が溶離液として使用された。
【0070】
分離プロフィルは図1Aに、及び画分デ−タが表1に示される。キシロースが他の糖より遅く溶離を始めていることが分かる。このように硫酸塩−形態の強塩基性陰イオン交換樹脂を用いると、ガラクトースはキシロースから分離することができる。溶出液(例えば、流出溶液)のpHは3.3ないし3.6である。
表1.SO42-形態SBA樹脂でのクロマトグラフィ分離試験からの画分デ−タ
【表1】

収率はカラムから溶離した全ての成分から算出された。
【0071】
実施例2
工業規模におけるSO42-形態の強塩基性陰イオン交換樹脂(SBA樹脂)を用いたガ
ラクトース含有溶液のクロマトグラフィ分離
分離に使用した出発液はキシロース回収のために使用した亜硫酸カルシウム廃液から分離したガラクトース含有の副流である。樺の木が亜硫酸パルピングのための原料として使用された。
ガラクトースを含有している溶液にクロマトグラフィ分離を受けさせた。分離はバッチ方法として試験的規模のクロマトグラフィ分離カラムにおいて行われた。1.0mの直径を有するカラムは強塩基性陰イオン交換樹脂(Finex As 510GC,4.0%
DVB)で充てんされた。樹脂床の高さはおよそ5.8mであった。樹脂の平均粒径は0.27mmであった。樹脂は硫酸塩(SO42-)形態に再生された。カラム及び供給溶
液及び溶離水の温度は57℃であった。カラムの流速は495L/hに調整された。供給溶液のpHは2.6であった。
供給溶液はDSに基づき以下の組成を持つ:
ガラクトース :24%
キシロース :44%
マンノ−ス :10%
アラビノース :1.5%
その他 :20.5%
クロマトグラフィの分離は以下のように行われた:
段階1:供給溶液の乾燥物質は溶液の屈折率(RI)に従い100gの溶液において乾燥物質30gに調整された。
段階2:予熱された供給溶液の270Lは樹脂床の頂までポンプで汲み上げられた。
段階3:供給溶液は予熱されたイオン交換水をカラムの頂に送り込むことによってカラムにおいて下方に溶離された。
段階4:流出溶液の試料は5分間隔で集められた。試料の組成はHPLC(アミノカラム)
で分析され、そして水及びACNの混合物が溶離液として使用された。
【0072】
分離プロフィルは図1Bに、及び画分デ−タが表2に示される。キシロースが他の糖より遅く溶離を始めていることが分かる。このように硫酸塩−形態の強塩基性陰イオン交換樹脂を用いると、ガラクトースはキシロースから分離することができる。溶出液(例えば、流出溶液)のpHは3.3ないし3.6である。
表2.工業規模におけるSO42-形態のSBA樹脂を用いたクロマトグラフィ分離試験か
らの画分デ−タ
【表2】

収率はカラムから溶離した全ての成分から算出された。
【0073】
実施例3
SO42-形態の強塩基性陰イオン交換樹脂(SBA樹脂)を用いたガラクトース含有溶
液のクロマトグラフィ分離
分離に使用した出発液はキシロース回収のために使用した亜硫酸カルシウム廃液から分離したガラクトース含有の副流である。樺の木が亜硫酸パルピングのための原料として使用された。
ガラクトースを含有している溶液にクロマトグラフィ分離を受けさせた。分離はバッチ方法として工場規模のクロマトグラフィ分離カラムにおいて行われた。2.74mの直径を有するカラムは強塩基性陰イオン交換樹脂(Fines AS 510GC,4.0%DVB)で充てんされた。樹脂床の高さはおよそ6.4mであった。樹脂の平均粒径は0.27mmであった。樹脂は(SO42-)形態に再生された。カラム及び供給溶液及び溶
離水の温度は60℃であった。カラムの流速は770L/hに調整された。供給溶液のpHは2.5ないし2.8であった。
供給溶液はDSに基づき以下の組成を持つ:
ガラクトース :23%
キシロース :42%
マンノ−ス :8.5%
グルコース :7%
その他 :19.5%
クロマトグラフィの分離は以下のように行われた:
段階1:供給溶液の乾燥物質は溶液の屈折率(RI)に従い100gの溶液において乾燥物質39gに調整された。
段階2:予熱された供給溶液の1890Lは樹脂床の頂までポンプで汲み上げられた。
段階3:供給溶液は予熱されたイオン交換水をカラムの頂に送り込むことによってカラムにおいて下方に溶離された。
段階4:流出溶液の試料は5分間隔で集められた。試料の組成はHPLC(アミノカラム)
で分析され、そして水及びACNの混合物が溶離液として使用された。
【0074】
分離プロフィルは表3に示される。キシロースが他の糖より遅く溶離を始めていることが分かる。このように硫酸塩−形態の強塩基性陰イオン交換樹脂を用いると、ガラクトースはキシロースから分離することができる。溶出液(例えば、流出溶液)のpHは3.3ないし3.6である。
表3.SO42-形態のSBA樹脂を用いたクロマトグラフィ分離試験からの画分デ−タ
【表3】

【0075】
実施例4
SO32-形態の強塩基性陰イオン交換樹脂を用いたガラクトース含有溶液のクロマトグ
ラフィ分離
キシロース、マンノ−ス、ガラクトース、グルコース及びアラビノースを含有している溶液にクロマトグラフィ分離を受けさせた。分離はバッチ方法として予備的規模のクロマトグラフィ分離カラムにおいて行われた。0.044mの直径を有するカラムは強塩基性陰イオン交換樹脂(ZeroLite FF,7−9% DVB)で充てんされた。樹脂床の高さ
はおよそ84cmであった。樹脂の平均粒径は0.13mmであった。樹脂は亜硫酸塩(SO32-)形態に再生された。カラム及び供給溶液及び溶離水の温度は55℃であった。カ
ラムの流速は3mL/minに調整された。
供給溶液はDSに基づき以下の組成を持つ合成混合物であった(硬木ヘミセルロ−ス加水分解物における主要糖成分の組成にほぼ相当する):
ガラクトース :10%
キシロース :60%
マンロ−ス :10%
グルコース :10%
アラビノース :10%
クロマトグラフィの分離は以下のように行われた:
段階1:供給溶液の乾燥物質は100mLの溶液において乾燥物質40gに調整された。段階2:供給溶液50mLは樹脂床の頂まで送り込まれた。
段階3:供給溶液は予熱されたイオン交換水をカラムの頂に送り込むことによってカラムにおいて下方に溶離された。
段階4:流出溶液は15mL試料として集められた。試料の組成はGC機器を用いてアルジト−ル酢酸塩誘導体として分析された;充てんカラム及びFID−検出を使用。
【0076】
分離プロフィルは図2に示される。マンノ−ス、ガラクトース及びグルコースはキシロースの前にカラムから溶離した。アラビノースはマンノ−ス、ガラクトース及びグルコースの後、しかしキシロースの前に、溶離していた。このように亜硫酸塩−形態の強塩基性陰イオン交換樹脂を用いると、ガラクトースはキシロースからよく分離することができる。
【0077】
実施例5
HSO3-形態の強塩基性陰イオン交換樹脂を用いたガラクトース含有溶液のクロマトグラフィ分離
キシロース、マンノ−ス、ガラクトース及びグルコースを含有している溶液にクロマトグラフィ分離を受けさせた。分離はバッチ方法として予備的規模のクロマトグラフィ分離カラムにおいて行われた。0.044mの直径を有するカラムは強塩基性陰イオン交換樹脂(ZeroLite IP,3−4% DVB)で充てんされた。樹脂床の高さはおよそ20cmであった。樹脂の平均粒径は0.13mmであった。樹脂は亜硫酸水素塩(HSO3-)形態に再生された。カラム及び供給溶液及び溶離水の温度は50℃であった。カラムの流速は1.4ないし1.6mL/minに調整された。
供給溶液は他の糖と同様にキシロース68%、マンノ−ス8%、ガラクトース8%、グルコース8%を含有する合成混合物であった(硬木ヘミセルロ−ス加水分解物の組成にほぼ相当する)。
クロマトグラフィの分離は以下のように行われた:
段階1:供給溶液の乾燥物質は100gの溶液において乾燥物質35gに調整された。
段階2:供給溶液65mLは樹脂床の頂まで送り込まれた。
段階3:供給溶液は予熱されたイオン交換水をカラムの頂に送り込むことによってカラムにおいて下方に溶離された。
段階4:流出溶液は10.5mL試料として集められた。試料の組成物はGC機器を用いてシリル化誘導体として分析された;充てんカラム及びFID−検出を使用。
【0078】
分離プロフィルは図3に示される。キシロースの前に、まずグルコースが溶離しそしてそれからマンノ−ス及びガラクトースがカラムから溶離した。このように亜硫酸水素塩強塩基性陰イオン交換樹脂を用いると、ガラクトースはキシロース及びグルコースからよく分離することができる。
【0079】
実施例6
CH3COO-形態の強塩基性陰イオン交換樹脂を用いたガラクトース含有溶液のクロマトグラフィ分離
キシロース、マンノ−ス、ガラクトース、グルコース及びアラビノースを含有している溶液にクロマトグラフィ分離を受けさせた。分離はバッチ方法として予備的規模のクロマトグラフィ分離カラムにおいて行われた。0.044mの直径を有するカラムは強塩基性陰イオン交換樹脂(ZeroLite FF,3−5% DVB)で充てんされた。樹脂床の高さはおよそ84cmであった。樹脂の平均粒径は0.13mmであった。樹脂は酢酸塩(CH3COO-)形態に再生された。カラム及び供給溶液及び溶離水の温度は55℃
であった。カラムの流速は4.1mL/minに調整された。
供給溶液はDSに基づき以下の組成を持つ合成混合物であった(硬木ヘミセルロ−ス加水分解物の組成にほぼ相当する):
ガラクトース :10%
キシロース :60%
マンノ−ス :10%
グルコース :10%
アラビノース :10%
クロマトグラフィの分離は以下のように行われた:
段階1:供給溶液の乾燥物質は100mLの溶液において乾燥物質38.8gに調整された。
段階2:供給溶液51.5mLは樹脂床の頂まで送り込まれた。
段階3:供給溶液は予熱されたイオン交換水をカラムの頂に送り込むことによってカラムにおいて下方に溶離された。
段階4:流出溶液は20.5mL試料として集められた。試料の組成はGC機器を用いてアルジト−ル酢酸誘導体として分析された;充てんカラム及びFID−検出を使用
【0080】
分離プロフィルは図4に示される。キシロースの前に、まずグルコースが溶離しそしてそれからマンノ−ス、グルコース及びアラビノースがカラムから溶離した。このように酢酸塩−形態の強塩基性陰イオン交換樹脂を用いると、ガラクトースはキシロース及びグルコースからよく分離することができる。
【0081】
実施例7
Ba2+形態の強酸性陽イオン交換樹脂を用いたガラクトース含有溶液のクロマトグラフィ分離
ガラクトースを含有している溶液にクロマトグラフィ分離を受けさせた。分離はバッチ方法として工場設備規模のクロマトグラフィ分離カラムにおいて行われた。2.74mの直径を有するカラムはBa2+形態にある強酸性陽イオン交換樹脂(Finex CS08 GC,4.0% DVB)で充てんされた。樹脂床の高さはおよそ6.8mであった。樹脂の平均粒径は0.3mmであった。カラム及び供給溶液及び溶離水の温度は68ないし70℃であった。カラムの流速は0.69m/hに調整された。供給溶液のpHはおよそ3だった。
供給溶液はDSに基づき以下の組成を持つ:
ガラクトース :17%
キシロース :29%
マンノ−ス :22%
その他 :32%
クロマトグラフィの分離は以下のように行われた:
段階1:供給溶液の乾燥物質は溶液の屈折率(RI)に従い100gの溶液において乾燥物質35gに調整された。
段階2:予熱された供給溶液1890Lは樹脂床の頂までポンプで汲み上げられた。
段階3:供給溶液は予熱されたイオン交換水をカラムの頂に送り込むことによってカラムにおいて下方に溶離された。
段階4:流出溶液の試料は5分間隔で集められた。試料の組成はHPLC(アミノカラム)
で分析され、そして水及びACNの混合物が溶離液として使用された。
【0082】
分離プロフィルは図5に示される。マンノ−スが他の糖より遅く溶離し始めた。このようにバリウム−形態の強酸性陽イオン交換樹脂を用いると、ガラクトース及びキシロースはマンノ−スから分離することができる。
【0083】
実施例8
Pb2+形態の強酸性陽イオン交換樹脂用いたガラクトース含有溶液のクロマトグラフィ分離
ガラクトースを含有している溶液にクロマトグラフィ分離を受けさせた。分離はバッチ方法として試験的規模のクロマトグラフィ分離カラムにおいて行われた。0.1mの直径を有するカラムはPb2+形態にある強酸性陽イオン交換樹脂(Finex CA 16 GC,8.0%DVB)で充てんされた。樹脂床の高さはおよそ1.2mであった。樹脂の平均粒径は0.35mmであった。カラム及び供給溶液及び溶離水の温度は65℃であった。カラムの流速は50mL/minに調整された。供給溶液のpHはおよそ2.6だった。
供給溶液はDSに基づき以下の組成を持つ:
ガラクトース :23%
キシロース :40%
マンノ−ス :20%
その他 :17%
クロマトグラフィの分離は以下のように行われた:
段階1:供給溶液の乾燥物質は溶液の屈折率(RI)に従い100gの溶液において乾燥物質30gに調整された。
段階2:予熱された供給溶液800mLは樹脂床の頂までポンプで汲み上げられた。
段階3:供給溶液は予熱されたイオン交換水をカラムの頂に送り込むことによってカラムにおいて下方に溶離された。
段階4:流出溶液50mLの試料は3分間隔で集められた。試料の組成はHPLC(アミノ
カラム)で分析され、そして水及びACNの混合物が溶離液として使用された。
【0084】
分離プロフィルは図6に示される。マンノ−スが他の糖より遅く溶離し始めていた。このように鉛−形態強酸性陽イオン交換樹脂を用いると、ガラクトース及びキシロースはマンノ−スから分離することができる。溶出液(例えば、流出溶液)のpHは3ないし4であった。
【0085】
実施例9
Ba2+形態の強酸性陽イオン交換樹脂を用いたガラクトース含有溶液のクロマトグラフィ分離
ガラクトースの分離に使用した出発液は例1に従って作られた硫酸塩−形態のSBA
分離からのガラクトース含有の副流である。ガラクトースを含有している溶液にクロマトグラフィ分離を受けさせた。分離はバッチ方法として試験的規模のクロマトグラフィ分離カラムにおいて行われた。0.01mの直径を有するカラムはBa2+形態強酸性陽イオン交換樹脂(Korela V06,4% DVB)で充てんされた。樹脂床の高さはおよそ1.6mであった。樹脂の平均粒径は0.25mmであった。カラム及び供給溶液及び溶離水の温度は65℃であった。カラムの流速は50mL/minに調整された。供給溶液のpHはおよそ2.7であった。
供給溶液(SO42-形態のSBA樹脂での分離から)は以下の組成を持つ(DSに基づく
):
ガラクトース :58%
キシロース :1%
マンノ−ス :18%
クロマトグラフィの分離は以下のように行われた:
段階1:供給溶液の乾燥物質は溶液の屈折率(RI)に従い100gの溶液において乾燥物質25gに調整された。
段階2:600mLの予熱された溶液は樹脂床の頂までポンプで汲み上げられた。
段階3:供給溶液は予熱されたイオン交換水をカラムの頂に送り込むことによってカラム
において下方に溶離された。
段階4:流出溶液の試料は5分間隔で集められた。試料の組成はHPLC(アミノカラム)
で分析され、そして水及びACNの混合物が溶離液として使用された。
【0086】
分離プロフィルは図7に示される。マンノ−スが他の糖より遅く溶離を始めた。このようにBa2+形態の強酸性陽イオン交換樹脂を用いると、ガラクトース及びキシロースはマンノ−スから分離することができる。
【0087】
実施例10
Ba2+形態の強酸性陽イオン交換樹脂を用いたガラクトース含有溶液のクロマトグラフィ分離
分離に使用した出発液はキシロース回収のために使用したCa2+を基礎とした亜硫酸塩廃液から分離したガラクトース含有の副流である。樺の木が亜硫酸パルピングのための原料として使用された。
ガラクトースを含有している溶液にクロマトグラフィ分離を受けさせた。分離はバッチ方法として工場設備規模のクロマトグラフィ分離カラムにおいて行われた。2.74mの直径を有するカラムは強塩基性陰イオン交換樹脂(Finex CS 08GC,4.0%DVB)で充てんされた。樹脂床の高さはおよそ6.8mであった。樹脂の平均粒径は0.3mmであった。樹脂はバリウム(Ba2+)形態に再生された。カラム及び供給溶液及び溶離水の温度は68℃であった。カラムの流速は690L/hに調整された。供給溶液のpHは2.5ないし2.8であった。
供給溶液はDSに基づき以下の組成を持つ:
ガラクトース :47%
キシロース :3%
マンノ−ス :17%
グルコース :11%
その他 :22%
クロマトグラフィの分離は以下のように行われた:
段階1:供給溶液の乾燥物質は溶液の屈折率(RI)に従い100gの溶液において乾燥物質35gに調整された。
段階2:予熱された供給溶液1740Lは樹脂床の頂までポンプで汲み上げられた。
段階3:供給溶液は予熱されたイオン交換水をカラムの頂に送り込むことによってカラムにおいて下方に溶離された。
段階4:流出溶液の試料は画分カットに基づき集められた。試料の組成はHPLC(アミノ
カラム)で分析され、そして水及びACNの混合物が溶離液として使用された。
【0088】
分離プロフィルは表4に示される。マンノ−スが他の糖より遅く溶離を始めた。このようにバリウム形態の強酸性陽イオン交換樹脂を用いると、ガラクトース及びキシロースはマンノ−スから分離することができる。溶出液のpHは(例えば、流出溶液)3.3ないし3.6だった。
表4.Ba2+形態のSBA樹脂を用いたクロマトグラフィ分離試験からの画分デ−タ
【表4】

収率はカラムから溶離した全ての成分から算出された。
【0089】
実施例11
ガラクトースの結晶
(1)第一結晶群の結晶化
SAC(Ba2+)形態の樹脂を用いた1つのクロマトグラフィ分離及びSBA(SO
42-)形態の樹脂を用いた2つのクロマトグラフィ分離から得られ、35%のDS及び
純ガラクトースの屈折率乾燥固形物含有量(RDS)に基づく、DSに基づきガラクト
ース含有量53%を持つガラクトースシロップ32.0kgは72%のRDSまで蒸発に
よって濃縮され65℃の温度で10リットルの冷却晶析装置に移された。種晶添加はD
Sに基づき0.05%ガラクトース種晶を用いてガラクトースシロップにされた。
その塊は60℃の温度から20℃の温度まで冷却された。結晶ケーキは遠心分離により
種晶添加から40時間後に回収され、それによってDSに基づき92.1%のケーキ純
度が得られた。遠心分離された結果は29%の乾燥物質収率に相当した。結晶の大きさ
は200ないし300μmであった。
(2)精製結晶
第一群結晶化からのガラクトース結晶1873gが水に溶解された。18%のDSを
持つガラクトースシロップはRDSとして64%まで蒸発されそして60℃の温度で2
リットルの反応槽に移された。DSに基づき0.02%の種晶を用いてガラクトースシ
ロップに種晶添加を行った。
その塊は60℃の温度から20℃の温度まで冷却された。結晶ケーキは遠心分離によ
り種晶添加から40時間後に回収され、それによってDSに基づき99.5%を超える
ケーキ純度が得られた。遠心分離された結果は66%の乾燥物質収率に相当した。結晶
の大きさは300ないし500μmであった。結晶は12時間60℃の温度でオ−ブン
において乾燥された。結晶水含有量は0.1%と分析された。
(3)ガラクトースの生成結晶化
SAC(Ba2+)形態樹脂、SBA(SO42-)形態樹脂及びSAC(Ba2+)形態
樹脂を用いたクロマトグラフィ分離から得られ、30%のDS、並びにDSに基づきガ
ラクトース含有量64%を持つガラクトースシロップ5200kgは72%DSまで蒸
発されそして68℃で2000リットルの冷却晶析装置に移された。DSに基づき0.
05%のガラクトース種晶を用いて沸騰するシロップに種晶添加(68%にて、73%
のDS)を行った。
その塊は68℃の温度から28℃の温度まで冷却された。種晶添加から60時間後、
遠心分離がDSに基づき98.3%の結晶ケーキ純度を与えた。遠心分離された結果は
31%の乾燥物質収率に相当した。結晶の大きさは100ないし200μmであった。
結晶は12時間70℃の温度で回転真空乾燥機において乾燥された。結晶の含水率は0
.13%であると分析された。
【0090】
実施例12
+形態の弱酸性陽イオン交換樹脂(WAC樹脂)を用いたアラビアゴム加水分解物の
クロマトグラフィ分画及びガラクトース画分からのガラクトース結晶化
分離のための供給溶液はガムアラビックシヤル(Gum Arabic Seyal)から調製されたアラビアゴム加水分解物であった。主にアラビノース、ガラクトース及びラムノースを含有する、前記加水分解物はCa(OH)2及びNaOHで中和され珪藻土
でろ過された。
供給溶液は以下の組成を持つ(RDSに基づく%)
【表5】

上記で示した組成を持つ溶液にクロマトグラフィ分離を受けさせた。分離はバッチ方法として試験的規模のクロマトグラフィ分離カラムにおいて行われた。0.2mの直径を有するカラムは弱酸性陽イオン交換樹脂(Finex CA 16 GC,8% DVB)で充てんされた。樹脂床の高さはおよそ15.8mであった。樹脂の平均粒径は0.308mmであった。樹脂は5%のHCLで水素(H+)形態に再生された。カラム、供給溶液
及び溶離水の温度は60℃であった。カラムの流速は60L/hに調整された。供給溶液のpHは4であった。
クロマトグラフィの分離は以下のように行われた:
段階1:供給溶液の乾燥物質は溶液の屈折率(RI)に従い100gの溶液において乾燥物質45gに調整された。
段階2:予熱された供給溶液28Lは樹脂床の頂までポンプで汲み上げられた。
段階3:供給溶液は予熱されたイオン交換水をカラムの頂に送り込むことによってカラムにおいて下方に溶離された。
段階4:流出溶液の5mL試料は5分間隔で集められた。試料の組成物は屈折率検出器及
びNa+ SACカラムを設けたHPLC装置で分析された(水が溶離液として使用された)。
【0091】
分離プロフィルを図8に、及び画分デ−タは表5において示される。溶出は塩及びポリ−、オリゴ−及び二糖類で始まり、その後に単糖類の溶離がガラクトース、アラビノース及びラムノースの順で続く。ガラクトースは他よりはやく溶離するので、ガラクトース及びアラビノースはこのように酸性状態における弱酸性陽イオン交換樹脂を用いてアラビアゴムマトリックスから分離できる。例えば、残留画分に加え、以下の表で表されるガラクトース及びアラビノース画分が集められる。画分における成分の収率は溶離プロフィル試料の分析から算出される、全ての流出画分における該成分の総量に関して表される。
表5.H+形態WAC樹脂を用いたクロマトグラフィ分離試験からの画分デ−タ
【表6】

溶出液(すなわち流出溶液)のpHは2.7ないし4.6であった。
ガラクトースはDSに基づき66%のガラクトース含有量を持つガラクトース画分から以下のように結晶化された:
上記で得られたガラクトース画分は72%のRDSまで蒸発され70℃の温度で10リットルの冷却晶析装置に移された。種晶添加(70℃,72%のRDS)がDSに基づき0.05%のガラクトース種晶で沸騰シロップになされた。
その塊は70℃の温度から20℃の温度まで冷却された。ガラクトース結晶は遠心分離により種晶添加から50時間後に分離された。ガラクトースの収率は約65%であった。
このように得られた第一結晶群の結晶は18%のDSを持つガラクトースシロップを得るために水に溶解された。シロップは63%のRDSまで蒸発され70℃の温度で2リッ
トルの反応槽に移された。種晶添加(70℃,63%のRDS)はDSに基づき0.02%の種晶で沸騰シロップにされる。
その塊は70℃の温度から20℃の温度まで冷却される。ガラクトースの結晶は遠心分離により種晶添加から40時間後に分離される。このように得られたガラクトース結晶は12時間60℃の温度でオ−ブンにおいて乾燥された。ガラクトース収率は約65%であった。
【0092】
実施例13
本発明の結晶性D−ガラクトース及び商業用ガラクトース試料の単糖類(糖)不純物の比較分析
本発明の結晶性D−ガラクトース試料並びに比較の商業用マンノ−ス結晶に単糖類分析を受けさせた。単糖類(D−ガラクトース並びに不純物のD−キシロース、L−アラビノース、L−ラムノース及びD−マンノ−ス)はHPLC(Dionex)、陰イオン交換カラム(PA1)及び電気化学検出器(PED)によって測定された。D−グルコースはHPLC、鉛−カラム及び屈折率検出器によって測定された。分析結果は表6に示される。
表6において、試料1,2,3及び4が本発明の結晶性D−ガラクトースを表す。試料1は実施例2(SO42-形態のSBA樹脂)に従いクロマトグラフィ分画によって得られ続いて実施例11(3)に従い結晶化した。試料2は実施例2(SO42-形態のSBA樹脂
)に従いクロマトグラフィ分画によって得られ続いて実施例11(2)に従い結晶化した。試料3及び4は実施例3及び10(SO42-形態のSBA樹脂での分離及びBa2+形態
のSAC樹脂での分離)に従いクロマトグラフィ分画によって得られ続いて実施例11(2)に従い同じように結晶化した。
比較のガラクトース試料はSigma及びBDHによって製造された商業用のD−ガラクトースであった。
【0093】
さらに、本発明の追加の試料(試料5)にHPLC、アミノカラム及び屈折率検出器で単糖類試験を受けさせた。試料5は実施例3及び10(SO42-形態のSBA樹脂での分
離及びBa2+形態のSAC樹脂での分離)に従いクロマトグラフィ分画によって得られ続いて実施例11(1)に従い同じように結晶化した。その結果は表7に示される。
表6.ガラクトース結晶試料の単糖類不純物の含有量(DSに基づく%)
【表7】

表7.ガラクトース結晶試料の単糖類不純物の含有量(DSに基づく%)
【表8】

【0094】
技術が進歩するにつれて、本発明概念が様々な方法において実行され得ることは、当業者には明白であろう。本発明及びその実施態様は実施例に制限されず、請求項の範囲内で
変わり得る。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1A】実施例1から得られる分離プロフィルのグラフである。
【図1B】実施例2から得られる分離プロフィルのグラフである。
【図2】実施例4から得られる分離プロフィルのグラフである。
【図3】実施例5から得られる分離プロフィルのグラフである。
【図4】実施例6から得られる分離プロフィルのグラフである。
【図5】実施例7から得られる分離プロフィルのグラフである。
【図6】実施例8から得られる分離プロフィルのグラフである。
【図7】実施例9から得られる分離プロフィルのグラフである。
【図8】実施例12から得られる分離プロフィルのグラフである。
【符号の説明】
【0096】
図1A、1B、6及び7中のconは、溶液中の総乾燥物質の濃度を指し、図2、3、4、5、8中のConcもまた溶液中の総乾燥物質の濃度を指す。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物ベースのバイオマスに由来する溶液からガラクトースを回収する方法であって、
前記溶液に一つ以上のクロマトグラフィ分画を受けさせること、
少なくとも一つのガラクトースに富んだ画分を回収すること、
前記少なくとも一つのガラクトースに富んだ画分に結晶化を受けさせること、及び
植物ベースの結晶性ガラクトース生成物を回収することを含む方法。
【請求項2】
前記一つ以上のクロマトグラフィ分画が強塩基性陰イオン交換樹脂から選ばれるカラム充てん材を使用する一つ以上のクロマトグラフィ分画段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記強塩基性陰イオン交換樹脂のイオン形態がSO42-、SO32-,HSO3-及びCH3COO-から選ばれる、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記一つ以上のクロマトグラフィ分画がHSO3-形態の強塩基性陰イオン交換樹脂から選ばれるカラム充てん材を使用する一つ以上のクロマトグラフィ分画段階を含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記一つ以上のクロマトグラフィ分画がHSO3-形態の樹脂での二つのクロマトグラフィ分画段階を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記一つ以上のクロマトグラフィ分画が強酸性陽イオン交換樹脂から選ばれるカラム充てん材を使用する一つ以上のクロマトグラフィ分画段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記強酸性陽イオン交換樹脂のイオン形態がBa2+、Pb2+、Ca2+及びSr2+から選ばれる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記一つ以上のクロマトグラフィ分画が強塩基性陰イオン交換樹脂から選ばれるカラム充てん材を使用する一つ以上のクロマトグラフィ分画段階及び強酸性陽イオン交換樹脂から選ばれるカラム充てん材を使用する一つ以上のクロマトグラフィ分画段階を所望の順序で含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記クロマトグラフィ分画がRDS(屈折率乾燥物質含有量)に基づきガラクトース38%以上の純度を持つガラクトース画分を提供する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記クロマトグラフィ分画がRDSに基づきガラクトース38%ないし95%の純度を持つガラクトース画分を提供する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記クロマトグラフィ分画が35%ないし95%のガラクトース収率を提供する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記結晶化が結晶化溶媒として水並びに水及びアルコールの混合物から選ばれる溶媒を使用して行われる、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記結晶化溶媒がエタノール及び水の混合物である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記結晶化溶媒が水である、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記結晶化がRDSに基づき38%以上のガラクトース純度を持つガラクトース溶液から行われる、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記ガラクトースの結晶化は、RDSに基づき38%ないし95%のガラクトース純度を持つガラクトース溶液から行われる、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記結晶化がDS(乾燥物質含有量)に基づき90%以上のガラクトース純度を持つ結晶性ガラクトース生成物を提供する、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記結晶化がDSに基づき95%以上のガラクトース純度を持つ結晶性ガラクトースを提
供する、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記結晶化がDSに基づき98%以上のガラクトース純度を持つ結晶性ガラクトースを提供する、請求項1記載の方法。
【請求項20】
前記結晶化がDSに基づき99.5%以上のガラクトース純度を持つ結晶性ガラクトースを提供する、請求項1記載の方法。
【請求項21】
前記結晶化がDSに基づき0.50%のD−グルコース最大含有量を持つ結晶性ガラクトースを提供する、請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記結晶化が0.30%のD−グルコース最大含有量を持つ結晶性ガラクトースを提供する、請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記結晶化が、キシロース、アラビノース、ラムノース及びマンノースから選ばれる少なくとも一つの糖を含む不純物プロフィルを持つ結晶性ガラクトースを提供する、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記結晶化が、前記不純物プロフィルがDSに基づき0.03%以上の量で前記糖の少なくとも一つを含む結晶性ガラクトースを提供する、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記結晶化が、前記不純物プロフィルがDSに基づき0.03%以上の量でアラビノースを含む結晶性ガラクトースを提供する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記結晶化が、前記不純物プロフィルがDSに基づき0.03%以上の量でマンノースを含む結晶性ガラクトースを提供する、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記結晶化が、前記不純物プロフィルがDSに基づき0.10%以上の量で前記糖の少なくとも一つを含む結晶性ガラクトースを提供する、請求項23記載の方法。
【請求項28】
前記方法が、前記クロマトグラフィ分画の前、後又は間で行われる膜ろ過、イオン交換、蒸発及びろ過から選ばれる一つ以上の精製段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項29】
前記方法が前記クロマトグラフィ分画段階の間で結晶化をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項30】
前記結晶化がキシロースの析出結晶化を含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記植物ベースのバイオマスに由来する溶液が植物ベースのヘミセルロース加水分解物及び植物ベースのヘミセルロース抽出物から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項32】
前記植物ベースのヘミセルロース加水分解物が木材材料に由来する加水分解物である、請
求項31記載の方法。
【請求項33】
前記植物ベースのヘミセルロース加水分解物が軟木又は硬木に由来する加水分解物である、請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記植物ベースのバイオマスに由来する溶液がパルピング加工から得られる古液である、請求項1記載の方法。
【請求項35】
前記パルピング加工から得られる古液が亜硫酸パルピング廃液である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記亜硫酸パルピング廃液がキシロース主要部の分離後回収された亜硫酸パルピング廃液である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記植物ベースのバイオマスに由来する溶液がガラクトース並びにキシロース、アラビノース、ラムノース及びマンノースから選ばれる一つ以上の糖を含む、請求項1記載の方法。
【請求項38】
前記植物ベースのバイオマスに由来する溶液がガラクトース並びにアラビノース及びマンノースから選ばれる一つ以上の糖を含む、請求項1記載の方法。
【請求項39】
前記ガラクトースがD−ガラクトースである、請求項1記載の方法。
【請求項40】
前記キシロースがD−キシロース、前記アラビノースがL−アラビノース、前記マンノースがD−マンノース及び前記ラムノースがL−ラムノースである、請求項23又は37記載の方法。
【請求項41】
請求項1に従って得られる結晶性植物ベースのD−ガラクトース生成物。
【請求項42】
163℃ないし169℃の範囲の融点及びDSに基づき90%を超えるの純度を持つ結晶性植物ベースの非−動物由来のガラクトース。
【請求項43】
ガラクトース並びにキシロース、アラビノース、ラムノース及びマンノースから選ばれる一つ以上の糖を含有する植物ベースのバイオマスに由来する、請求項42記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項44】
ガラクトース並びにアラビノース及びマンノースから選ばれる一つ以上の糖を含む植物ベースのバイオマスに由来する、請求項43記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項45】
ヘミセルロース含有物質に由来する請求項42記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項46】
木材に由来する請求項45記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項47】
軟木又は硬木に由来する請求項46記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項48】
DSに基づき95%を超える純度を持つ請求項42記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項49】
DSに基づき98%を超える純度を持つ請求項48記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項50】
DSに基づき99.5%を超える純度を持つ請求項49記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項51】
D−キシロース、L−アラビノース、D−マンノース及びL−ラムノースから選ばれる少なくとも一つの糖を含む不純物プロフィルを持つ、結晶性非−動物由来のD−ガラクトース。
【請求項52】
前記不純物プロフィルがDSに基づき0.03%以上の量で前記糖を少なくとも一つ含む、請求項51記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項53】
前記不純物プロフィルがDSに基づき0.03%以上の量でL−アラビノースを含む、請求項52記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項54】
前記不純物プロフィルがDSに基づき0.03%以上の量でD−マンノースを含む、請求項52記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項55】
前記不純物プロフィルがDSに基づき0.10%以上の量でD−キシロース、L−アラビノース、D−マンノース及びL−ラムノースから選ばれる前記糖を少なくとも一つ含む、請求項51記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項56】
DSに基づき0.50%未満の量でD−グルコースを含む不純物プロフィルを持つ、結晶性非−動物由来のD−ガラクトース。
【請求項57】
前記不純物プロフィルがDSに基づき0.30%未満の量でD−グルコースを含む、請求項56記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項58】
DSに基づき0.10%未満の量でラクトースを含む不純物プロフィルを持つ、結晶性非−動物由来のD−ガラクトース。
【請求項59】
前記不純物プロフィルがDSに基づき0.03%未満の量でラクトースを含む、請求項58記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項60】
DSに基づき0.50%未満の量でD−グルコース、DSに基づき0.10%未満の量のラクトース並びにD−キシロース、L−アラビノース、D−マンノース及びL−ラムノースから選ばれる少なくとも一つの更なる糖を含む不純物プロフィルを持つ、結晶性非−動物由来のD−ガラクトース。
【請求項61】
前記不純物プロフィルがDSに基づき0.03%以上の量でD−キシロース、L−アラビノース、D−マンノース及びL−ラムノースから選ばれる少なくとも一つの前記糖を含む、請求項60記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項62】
前記不純物プロフィルがDSに基づき0.03%以上の量でL−アラビノースを含む、請求項60記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項63】
前記不純物プロフィルがDSに基づき0.03%以上の量でD−マンノースを含む、請求項60記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項64】
前記不純物プロフィルが0.30%未満の量でグルコースを含む、請求項60記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項65】
前記不純物プロフィルが0.03%未満の量でラクトースを含む、請求項60記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項66】
植物ベースのD−ガラクトースである、請求項51、56、58及び60のいずれか一つに記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項67】
植物ベースのバイオマスに由来する、請求項66記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項68】
植物ベースのヘミセルロース加水分解物に由来する、請求項66記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項69】
植物ベースのヘミセルロース抽出物に由来する、請求項66記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項70】
木材に由来する、請求項66記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項71】
前記木材が軟木及び硬木から選ばれる、請求項65記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項72】
163℃ないし169℃の範囲に融点をもつ、請求項51、56、58及び60のいずれか一つに記載の結晶性D−ガラクトース。
【請求項73】
医薬的に有効な成分の調整のための医薬の中間体としての請求項41、42、51、56、58及び60のいずれか一つに記載の結晶性D−ガラクトースの使用。
【請求項74】
医薬における成分としての請求項41、42、51、56、58及び60のいずれか一つに記載の結晶性D−ガラクトースの使用。
【請求項75】
医療用途のための静脈注射における成分としての請求項41、42、51、56、58及び60のいずれか一つに記載の結晶性D−ガラクトースの使用。
【請求項76】
食品における成分としての請求項41、42、51、56、58及び60のいずれか一つに記載の結晶性D−ガラクトースの使用。
【請求項77】
前記食品がスポーツドリンクから選ばれる、請求項76記載の使用。
【請求項78】
細胞培養媒体における成分としての請求項41、42、51、56、58及び60のいずれか一つに記載の結晶性D−ガラクトースの使用。
【請求項79】
DSに基づき70%を超えるガラクトース純度を持ち、並びにさらにDSに基づき2ないし10%の量のキシロース、アラビノース、ラムノース及びマンノースから選択された更なる糖を含む結晶性ガラクトース中間体生成物。


【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2007−520195(P2007−520195A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516234(P2006−516234)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【国際出願番号】PCT/FI2004/000388
【国際公開番号】WO2005/001145
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(505211640)
【Fターム(参考)】