説明

クロージャーカバー

【課題】光ファイバ心線の挟込みを防止できるクロージャーカバーを提供する。
【解決手段】クロージャーカバー10は、光ファイバ心線挟込み防止手段として、上部本体11aの接合面12aの第1の凸条部131と第2の凸条部132との間にクロージャーカバー10の長手方向に沿って形成された、かつ、一端が上部本体11aの接合面に固定された蛇腹状部材21と、下部本体11bの接合面12bの第1の凹条部131と第2の凹条部132との間の位置に形成された、かつ、クロージャーカバー10を閉じたときに蛇腹状部材21を収容するための蛇腹状部材収容溝22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ心線を挟み込むことなく閉じるのに好適なクロージャーカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電柱上などで光ファイバケーブルを接続する際には、光ファイバケーブル用クロージャー(以下、「クロージャー」と称する。)が用いられている。
このようなクロージャーは、両端部に端面板を備えた内部ユニット内に光ファイバケーブルを導入し、導入した光ファイバケーブルから光ファイバ心線を引き出して相互に接続して収納する構造を有する。
また、クロージャーの内部ユニットは、クロージャーの外周をクロージャーカバーで覆うことにより風雨や障害物などから保護されている。
【0003】
ここで、クロージャーカバーは、クロージャーカバーを開放して光ファイバ心線の接続作業が行えるように開閉可能な構造となっており、2つ割りの筒状形状の本体を備えている。
【0004】
たとえば、図3(a)に示すようなクロージャーカバー110は、2つ割りの円筒状形状の本体を構成する上部本体111aおよび下部本体111bと、上部本体111aおよび下部本体111bの左側端面部にそれぞれ取り付けられた、かつ、クロージャーカバー110を閉じたときに円板状の左側端面板を構成する上部左側端面板115aLおよび下部左側端面板115bLと、上部本体111aおよび下部本体111bの右側端面部にそれぞれ取り付けられた、かつ、クロージャーカバー110を閉じたときに円板状の右側端面板を構成する上部右側端面板115aRおよび下部右側端面板115bRとを備える。
【0005】
ここで、上部左側端面板115aLおよび下部左側端面板115bLの中央部には、クロージャーカバー110を閉じたときに光ファイバケーブルの左側導入口を形成するための半円状の切欠きが設けられている。
同様に、上部右側端面板115aRおよび下部右側端面板115bRの中央部には、クロージャーカバー110を閉じたときに光ファイバケーブルの右側導入口を形成するための半円状の切欠きが設けられている。
【0006】
また、クロージャーカバー110を閉じたときの密封性および耐水性を図るために、図1(a),(b)に示すように、上部本体111aの接合面112a(クロージャーカバー110を閉じたときに下部本体111bの接合面と接合する面。以下、「上部接合面112a」と称する。)には、凸条部113がクロージャーカバー110の長手方向に沿って左端から右端まで形成されているとともに、図1(a),(c)に示すように、下部本体111bの接合面112b(クロージャーカバー10を閉じたときに上部接合面112aと接合する面。以下、「下部接合面112b」と称する。)には、クロージャーカバー110を閉じたときに凸条部113が嵌合する凹条部114がクロージャーカバー110の長手方向に沿って左端から右端まで形成されている。
【0007】
なお、本出願人は、下記の特許文献1において、複数の光ファイバ心線を接続する接続部を保持するベース板にカバーを設け、カバーおよびベース板によって接続部を開放可能な状態で収納する収納空間を形成するようにし、伸長した状態において収納空間を形成するとともに収縮した状態において接続部を外部に開放するようにカバーを所定方向に沿って伸縮可能とすることによって、ベース板とカバーとの間に光ファイバケーブルが挟まってもカバーを収縮させて光ファイバケーブルを回避することができ、光ファイバケーブルの変形や損傷を防止できるようにしたクロージャーを開示している。
また、下記の特許文献2には、内部で光ファイバ心線を接続するクロージャー本体と、クロージャー本体1の内部を閉じる蓋体からなり、クロージャー本体の合せ縁の内側に隙間をあけて連結棒を設けたケーブルクロージャーにおいて、隙間に心線挟み込み防止シートを差し込んで、接続した光ファイバ心線がクロージャー本体と蓋体との合せ目に挟み込まれるのを防止するようにしたクロージャーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−139689号公報
【特許文献2】登録実用新案第3100305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したように、クロージャーカバー110の本体は2つ割りの円筒状形状とされているため、作業員が光ファイバ心線1の接続作業を終了してクロージャーカバー110を閉じる際に光ファイバ心線1がクロージャーカバー110からはみ出していない場合には、図4(a)に示すように光ファイバ心線1を挟み込むことなく凸条部113を凹条部114に嵌合することができるが、クロージャーカバーを閉じる際に光ファイバ心線1がクロージャーカバー110からはみ出している場合には、はみ出した光ファイバ心線1が図4(b)に示すように凸条部113と凹条部114との間の隙間に入り込み、凸条部113と凹条部114とで光ファイバ心線1を挟み込んでしまうため、回線障害を起こす可能性が生じる。
【0010】
そのため、光ファイバ心線1がクロージャーカバー110からはみ出していないことを作業者は確認することになっているが、光ファイバ心線1の接続作業は電柱上での作業であるため、クロージャーカバー110を閉じたときに光ファイバ心線1がクロージャーカバー110に挟まった状態にしていることに作業者が気づかない場合があるという問題があった。
【0011】
このような問題を解決するために、警報や点灯ランプなどの光ファイバ心線挟込み検知手段をクロージャーに設けて作業者に知らせる方法も考えられるが、クロージャーは電柱上に設置されるために光ファイバ心線挟込み検知手段への電源供給が困難であり、また、保守メンテナンス、安全および経済面からも光ファイバ心線挟込み検知手段への電源供給は難しいという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、光ファイバ心線の挟込みを防止することができるクロージャーカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のクロージャーカバーは、光ファイバケーブル用クロージャーの外周を覆うためのクロージャーカバー(10)であって、2つ割りの筒状形状の本体を構成する上部本体(11a)および下部本体(11b)と、前記上部本体の接合面(12a)に所定の間隔をもって前記クロージャーカバーの長手方向に沿って形成された第1および第2の凸条部(131,132)と、前記下部本体の接合面(12b)に前記クロージャーカバーの長手方向に沿って形成された、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときに前記第1および第2の凸条部がそれぞれ嵌合する第1および第2の凹条部(141,142)と、前記上部本体の接合面および前記下部本体の接合面に形成された、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときの光ファイバ心線(1)の挟込みを防止するための光ファイバ心線挟込み防止手段とを具備することを特徴とする。
ここで、前記光ファイバ心線挟込み防止手段が、前記上部本体の接合面の前記第1の凸条部と前記第2の凸条部との間に前記クロージャーカバーの長手方向に沿って形成された、かつ、一端が該上部本体の接合面に固定された蛇腹状部材(21)と、前記下部本体の接合面の前記第1の凹条部と前記第2の凹条部との間の位置に形成された、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときに前記蛇腹状部材を収容するための蛇腹状部材収容溝(22)とを備えてもよい。
前記蛇腹状部材が、前記上部本体の接合面の前記第1の凸条部と前記第2の凸条部との中間の位置に形成されており、前記蛇腹状部材収容溝が、前記下部本体の接合面の前記第1の凹条部と前記第2の凹条部との中間の位置に形成されていてもよい。
前記蛇腹状部材の長さ(L)が、該蛇腹状部材の前記上部本体の接合面への取付点から前記第1の凸条部の前記第2の凸条部と対向する面の下端までの距離を“A”とし、該蛇腹状部材収容溝の開口面の幅を“B”とすると、
L>A+B
とされていてもよい。
前記蛇腹状部材収容溝の深さが前記蛇腹状部材の長さよりも小さくてもよい。
前記蛇腹状部材収容溝の深さが前記第1および第2の凹条部の深さと同じであってもよい。
前記上部本体および前記下部本体の左側端面部にそれぞれ取り付けられた、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときに左側端面板を構成する上部左側端面板(15aL)および下部左側端面板(15bL)と、前記上部本体および前記下部本体の右側端面部にそれぞれ取り付けられた、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときに右側端面板を構成する上部右側端面板(15aR)および下部右側端面板(15bR)と、前記上部左側端面板の接合面に所定の間隔をもって該上部左側端面板の接合面の長手方向に沿って形成された第1および第2の左側凸条部と、前記上部右側端面板の接合面に前記所定の間隔をもって該上部右側端面板の接合面の長手方向に沿って形成された第1および第2の右側凸条部と、前記下部左側端面板の接合面に該下部左側端面板の接合面の長手方向に沿って形成された、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときに前記第1および第2の左側凸条部がそれぞれ嵌合する第1および第2の左側凹条部と、前記下部右側端面板の接合面に該下部右側端面板の接合面の長手方向に沿って形成された、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときに前記第1および第2の右側凸条部がそれぞれ嵌合する第1および第2の右側凹条部と、前記上部左側端面板、前記下部左側端面板、前記上部右側端面板および前記下部右側端面板の接合面に形成された、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときの前記光ファイバ心線の挟込みを防止するための他の光ファイバ心線挟込み防止手段とをさらに具備してもよい。
前記他の光ファイバ心線挟込み防止手段が、前記上部左側端面板の接合面の前記第1の左側凸条部と前記第2の左側凸条部との間に該上部左側端面板の接合面の長手方向に沿って形成された、かつ、一端が該上部左側端面板の接合面に固定された左側蛇腹状部材と、前記上部右側端面板の接合面の前記第1の右側凸条部と前記第2の右側凸条部との間に該上部右側端面板の接合面の長手方向に沿って形成された、かつ、一端が該上部右側端面板の接合面に固定された右側蛇腹状部材と、前記下部左側端面板の接合面の前記第1の左側凹条部と前記第2の左凹条部との間の位置に形成された、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときに前記左側蛇腹状部材を収容するための左側蛇腹状部材収容溝と、前記下部右側端面板の接合面の前記第1の右側凹条部と前記第2の右凹条部との間の位置に形成された、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときに前記右側蛇腹状部材を収容するための右側蛇腹状部材収容溝とを備えてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のクロージャーカバーは、以下の効果を奏する。
(1)クロージャーカバーを閉じたときの光ファイバ心線の挟込みを防止するための光ファイバ心線挟込み防止手段を上部本体の接合面および下部本体の接合面に形成することにより、光ファイバ心線がクロージャーカバーに挟み込まれることにより生じる回線障害をなくすことができる。
(2)作業員は光ファイバ心線がクロージャーカバーに挟み込まれているか否かを事前に気付くことができるため、無理やりクロージャーカバーを閉じることによる光ファイバ心線の損傷などを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例によるクロージャーカバー10の構成を示す図であり、(a)はクロージャーカバー10を開いたときの上から見た図、(b)は上部接合面12aに形成された蛇腹状部材21について説明するための図、(c)は下部接合面12bに形成された蛇腹状部材収容溝22について説明するための図である。
【図2】図1に示したクロージャーカバー10の効果について説明するための図であり、(a)は光ファイバ心線1のはみ出しがない場合のクロージャーカバー10を閉じたときの蛇腹状部材21の状態を示す図、(b)および(c)は光ファイバ心線1のはみ出しがある場合のクロージャーカバー10を閉じたときの蛇腹状部材21の状態を示す図である。
【図3】従来のクロージャーカバー110の構成を示す図であり、(a)はクロージャーカバー110を開いたときの上から見た図、(b)は上部接合面112aに形成された凸条部材113について説明するための図、(c)は下部接合面112bに形成された凹状部材114について説明するための図である。
【図4】図3に示したクロージャーカバー110の問題点について説明するための図であり、(a)は光ファイバ心線1のはみ出しがない場合のクロージャーカバー110を閉じたときの状態を示す図、(b)は光ファイバ心線1のはみ出しがある場合のクロージャーカバー10を閉じたときの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記の目的を、一端が上部本体の接合面に固定された蛇腹状部材を上部本体の接合面の第1の凸条部と第2の凸条部との間にクロージャーカバーの長手方向に沿って形成するとともに、クロージャーカバーを閉じたときに蛇腹状部材を収容するための蛇腹状部材収容溝を下部本体の接合面の第1の凹条部と第2の凹条部との間の位置に形成することにより実現した。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明のクロージャーカバーの実施例について図面を参照して説明する。
本発明の一実施例によるクロージャーカバー10は、図1(a)に示すように、2つ割りの円筒状形状の本体を構成する上部本体11aおよび下部本体11bと、上部本体11aおよび下部本体11bの左側端面部にそれぞれ取り付けられた、かつ、クロージャーカバー10を閉じたときに円板状の左側端面板を構成する上部左側端面板15aLおよび下部左側端面板15bLと、上部本体11aおよび下部本体11bの右側端面部にそれぞれ取り付けられた、かつ、クロージャーカバー10を閉じたときに円板状の右側端面板を構成する上部右側端面板15aRおよび下部右側端面板15bRとを備える。
【0018】
ここで、上部左側端面板15aLおよび下部左側端面板15bLの中央部には、クロージャーカバー10を閉じたときに光ファイバケーブルの左側導入口を形成するための半円状の切欠きが設けられている。
同様に、上部右側端面板15aRおよび下部右側端面板15bRの中央部には、クロージャーカバー10を閉じたときに光ファイバケーブルの右側導入口を形成するための半円状の切欠きが設けられている。
【0019】
また、クロージャーカバー10を閉じたときの密封性および耐水性を図るために、図1(a),(b)に示すように、上部本体11aの接合面12a(クロージャーカバー10を閉じたときに下部本体11bの接合面と接合する面。以下、「上部接合面12a」と称する。)には、第1および第2の凸条部131,132が所定の間隔をもってクロージャーカバー10の長手方向に沿って左端から右端まで形成されているとともに、図1(a),(c)に示すように、下部本体11bの接合面12b(クロージャーカバー10を閉じたときに上部接合面12aと接合する面。以下、「下部接合面12b」と称する。)には、クロージャーカバー10を閉じたときに第1および第2の凸条部131,132がそれぞれ嵌合する第1および第2の凹条部141,142がクロージャーカバー10の長手方向に沿って左端から右端まで形成されている。
【0020】
さらに、クロージャーカバー10を閉じたときの光ファイバ心線1の挟込みを防止するための光ファイバ心線挟込み防止手段として、図1(a),(b)に示すように、1枚の板状部材をその長手方向に対して垂直方向に沿って山折りと谷折りとが繰り返される蛇腹状にした蛇腹状部材21が、上部接合面12aの第1の凸条部131と第2の凸条部132との中間の位置にクロージャーカバー10の長手方向に沿って左端から右端まで形成されているとともに、図1(a),(c)に示すように、クロージャーカバー10を閉じたときに蛇腹状部材21を収容するための蛇腹状部材収容溝22が下部接合面11bの第1の凹条部141と第2の凹条部142との中間の位置に形成されている。
【0021】
ここで、蛇腹状部材21の一端は上部接合面12aに固定されており、蛇腹状部材21の他端は自由端とされている。
また、蛇腹状部材21の長さLは、蛇腹状部材21の上部接合面12aへの取付点から第1の凸条部131の第2の凸条部132と対向する面の下端までの距離を“A”とし、蛇腹状部材収容溝22の開口面の幅(クロージャーカバー10を閉じたときのクロージャーカバー10の本体の径方向に沿った長さ)を“B”とすると、
L>A+B
とされている。
【0022】
なお、クロージャーカバー10を閉じる際に光ファイバ心線1がクロージャーカバー110からはみ出している部分の蛇腹状部材21のみが曲がるようにするために、蛇腹状部材21に多数本の縦スリットを蛇腹状部材21の長手方向に沿って所定の間隔で設けてもよい。
【0023】
蛇腹状部材収容溝22の深さは、第1および第2の凹条部141,142の深さと同じにされている。
【0024】
このように構成されたクロージャーカバー10では、作業員が光ファイバ心線1の接続作業を終了してクロージャーカバー10を閉じる際に光ファイバ心線1がクロージャーカバー10からはみ出していない場合には、図2(a)に示すように、蛇腹状部材21は蛇腹状部材収容溝22の底面に他端(自由端)が接触したのちは縮んでいき最終的に蛇腹状部材収容溝22に収納することができるので、第1および第2の凸条部131,132を第1および第2の凹条部141,142にそれぞれ嵌合することができる。
【0025】
また、作業員が光ファイバ心線1の接続作業を終了してクロージャーカバー10を閉じる際に光ファイバ心線1がクロージャーカバー110からはみ出している場合には、この部分の蛇腹状部材21は、はみ出した光ファイバ心線1によって他端(自由端)部が曲げられて、図2(b)に示すように第1の凸条部131が第1の凹条部141に嵌合するのを防ぐ蓋または図2(c)に示すように第2の凸条部132が第2の凹条部142に嵌合するのを防ぐ蓋として機能する。
そのため、作業員は、クロージャーカバー10を閉じる際に普段と異なる抵抗感を覚えるため、光ファイバ心線1がクロージャーカバー110からはみ出していることを知ることができる。
【0026】
このとき、蛇腹状部材21の代わりに、可撓性の板状部材を用いると、クロージャーカバー10を閉じる際に光ファイバ心線1がクロージャーカバー110からはみ出している場合に、光ファイバ心線1によって蛇腹状部材21と同様に板状部材を曲げることはできるが、その後、板状部材の上面が第1または第2の凸条部131,132によって下方に向かって押されて曲げられるため、第1または第2の凸条部131,132が第1または第2の凹条部141,142に嵌合するのを防ぐ蓋として十分に機能しない。
一方、蛇腹状部材21は、その上面が第1または第2の凸条部131,132によって下方に向かって押されても、押された部分が伸びるため、第1または第2の凸条部131,132が第1または第2の凹条部141,142に嵌合するのを防ぐ蓋として十分に機能するという利点がある。
【0027】
また、蛇腹状部材21の代わりに可撓性の板状部材を用いると、板状部材を蛇腹状部材収容溝22のような板状部材収容溝に収容するためには、板状部材収容溝の深さを板状部材の長さL(L>A+Bのため、Lは第1および第2の凹条部141,142の深さよりも大きくなる。)以上にしなければならないが、蛇腹状部材21とすることにより、図2(a)に示すように蛇腹状部材21を縮めて蛇腹状部材収容溝22に収納することができるため、蛇腹状部材収容溝22の深さを蛇腹状部材21の長さL(>A+B)以下にすることができる(たとえば、図1(c)に示したように蛇腹状部材収容溝22の深さを第1および第2の凹条部141,142の深さと同じにすることができる)。
【0028】
以上の説明では、蛇腹状部材21は、第1の凸条部131側および第2の凸条部132側のどちらにも蛇腹状部材21が曲げられても同じように第1の凹条部141および第2の凹条部142を蓋できるように(図2(b),(c)参照)、上部接合面12aの第1の凸条部131と第2の凸条部132との中間の位置に取り付けたが、上部接合面12aの第1の凸条部131と第2の凸条部132との間の位置に取り付ければよい。この場合には、蛇腹状部材21を上部接合面12aの第1の凸条部131と第2の凸条部132との中間の位置に取り付ける場合に比べて、蛇腹状部材21の長さLを長くすればよい。
【0029】
また、光ファイバ心線挟込み防止手段を上部本体11aの接合面12aおよび下部本体11bの接合面12bにのみ形成したが、上部左側端面板15aL、下部左側端面板15bL、上部右側端面板15aRおよび下部右側端面板15bRの接合面にも形成してもよい。
【0030】
この場合には、第1および第2の左側凸条部を上部左側端面板15aLの接合面に所定の間隔をもって上部左側端面板15aLの接合面の長手方向に沿って形成し、第1および第2の右側凸条部を上部右側端面板15aRの接合面に所定の間隔をもって上部右側端面板15aLの接合面の長手方向に沿って形成し、クロージャーカバー10を閉じたときに第1および第2の左側凸条部がそれぞれ嵌合する第1および第2の左側凹条部を下部左側端面板15bLの接合面に下部左側端面板15bRの接合面の長手方向に沿って形成するとともに、クロージャーカバー10を閉じたときに第1および第2の右側凸条部がそれぞれ嵌合する第1および第2の右側凹条部を下部右側端面板15bRの接合面に下部右側端面板15bRの接合面の長手方向に沿って形成する。
また、光ファイバ心線挟込み防止手段として、一端が上部左側端面板15aLの接合面に固定された左側蛇腹状部材を上部左側端面板15aLの接合面の第1の左側凸条部と第2の左側凸条部との間に上部左側端面板15aLの接合面の長手方向に沿って形成し、一端が上部右側端面板15aRの接合面に固定された右側蛇腹状部材を上部右側端面板15aRの接合面の第1の右側凸条部と第2の右側凸条部との間に上部右側端面板15aRの接合面の長手方向に沿って形成し、クロージャーカバー10を閉じたときに左側蛇腹状部材を収容するための左側蛇腹状部材収容溝を下部左側端面板15bLの接合面の第1の左側凹条部と第2の左凹条部との間の位置に形成し、クロージャーカバー10を閉じたときに右側蛇腹状部材を収容するための右側蛇腹状部材収容溝を下部右側端面板15bRの接合面の第1の右側凹条部と第2の右凹条部との間の位置に形成する。
【符号の説明】
【0031】
1 光ファイバ心線
10,110 クロージャーカバー
11a,111a 上部本体
11b,111b 下部本体
12a,112a 上部接合面
12b,112b 下部接合面
131,132 第1および第2の凸条部
141,142 第1および第2の凹条部
15aL,115aL 上部左側端面板
15bL,115bL 下部左側端面板
15aR,115aR 上部左側端面板
15bR,115bR 下部右側端面板
21 蛇腹状部材
22 蛇腹状部材収容溝
113 凸条部
114 凹条部
L 長さ
A 距離
B 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバケーブル用クロージャーの外周を覆うためのクロージャーカバー(10)であって、
2つ割りの筒状形状の本体を構成する上部本体(11a)および下部本体(11b)と、
前記上部本体の接合面(12a)に所定の間隔をもって前記クロージャーカバーの長手方向に沿って形成された第1および第2の凸条部(131,132)と、
前記下部本体の接合面(12b)に前記クロージャーカバーの長手方向に沿って形成された、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときに前記第1および第2の凸条部がそれぞれ嵌合する第1および第2の凹条部(141,142)と、
前記上部本体の接合面および前記下部本体の接合面に形成された、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときの光ファイバ心線(1)の挟込みを防止するための光ファイバ心線挟込み防止手段と、
を具備することを特徴とする、クロージャーカバー。
【請求項2】
前記光ファイバ心線挟込み防止手段が、
前記上部本体の接合面の前記第1の凸条部と前記第2の凸条部との間に前記クロージャーカバーの長手方向に沿って形成された、かつ、一端が該上部本体の接合面に固定された蛇腹状部材(21)と、
前記下部本体の接合面の前記第1の凹条部と前記第2の凹条部との間の位置に形成された、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときに前記蛇腹状部材を収容するための蛇腹状部材収容溝(22)と、
を備えることを特徴とする、請求項1記載のクロージャーカバー。
【請求項3】
前記蛇腹状部材が、前記上部本体の接合面の前記第1の凸条部と前記第2の凸条部との中間の位置に形成されており、
前記蛇腹状部材収容溝が、前記下部本体の接合面の前記第1の凹条部と前記第2の凹条部との中間の位置に形成されている、
ことを特徴とする、請求項2記載のクロージャーカバー。
【請求項4】
前記蛇腹状部材の長さ(L)が、該蛇腹状部材の前記上部本体の接合面への取付点から前記第1の凸条部の前記第2の凸条部と対向する面の下端までの距離を“A”とし、該蛇腹状部材収容溝の開口面の幅を“B”とすると、
L>A+B
とされていることを特徴とする、請求項2または3記載のクロージャーカバー。
【請求項5】
前記蛇腹状部材収容溝の深さが前記蛇腹状部材の長さよりも小さいことを特徴とする、請求項2乃至4いずれかに記載のクロージャーカバー。
【請求項6】
前記蛇腹状部材収容溝の深さが前記第1および第2の凹条部の深さと同じであることを特徴とする、請求項5記載のクロージャーカバー。
【請求項7】
前記上部本体および前記下部本体の左側端面部にそれぞれ取り付けられた、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときに左側端面板を構成する上部左側端面板(15aL)および下部左側端面板(15bL)と、
前記上部本体および前記下部本体の右側端面部にそれぞれ取り付けられた、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときに右側端面板を構成する上部右側端面板(15aR)および下部右側端面板(15bR)と、
前記上部左側端面板の接合面に所定の間隔をもって該上部左側端面板の接合面の長手方向に沿って形成された第1および第2の左側凸条部と、
前記上部右側端面板の接合面に前記所定の間隔をもって該上部右側端面板の接合面の長手方向に沿って形成された第1および第2の右側凸条部と、
前記下部左側端面板の接合面に該下部左側端面板の接合面の長手方向に沿って形成された、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときに前記第1および第2の左側凸条部がそれぞれ嵌合する第1および第2の左側凹条部と、
前記下部右側端面板の接合面に該下部右側端面板の接合面の長手方向に沿って形成された、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときに前記第1および第2の右側凸条部がそれぞれ嵌合する第1および第2の右側凹条部と、
前記上部左側端面板、前記下部左側端面板、前記上部右側端面板および前記下部右側端面板の接合面に形成された、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときの前記光ファイバ心線の挟込みを防止するための他の光ファイバ心線挟込み防止手段と、
をさらに具備することを特徴とする、請求項1乃至6いずれかに記載のクロージャーカバー。
【請求項8】
前記他の光ファイバ心線挟込み防止手段が、
前記上部左側端面板の接合面の前記第1の左側凸条部と前記第2の左側凸条部との間に該上部左側端面板の接合面の長手方向に沿って形成された、かつ、一端が該上部左側端面板の接合面に固定された左側蛇腹状部材と、
前記上部右側端面板の接合面の前記第1の右側凸条部と前記第2の右側凸条部との間に該上部右側端面板の接合面の長手方向に沿って形成された、かつ、一端が該上部右側端面板の接合面に固定された右側蛇腹状部材と、
前記下部左側端面板の接合面の前記第1の左側凹条部と前記第2の左凹条部との間の位置に形成された、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときに前記左側蛇腹状部材を収容するための左側蛇腹状部材収容溝と、
前記下部右側端面板の接合面の前記第1の右側凹条部と前記第2の右凹条部との間の位置に形成された、かつ、前記クロージャーカバーを閉じたときに前記右側蛇腹状部材を収容するための右側蛇腹状部材収容溝と、
を備えることを特徴とする、請求項7記載のクロージャーカバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−155281(P2012−155281A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16663(P2011−16663)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(503320061)株式会社エネルギア・コミュニケーションズ (92)
【出願人】(591080678)株式会社中電工 (64)
【Fターム(参考)】