説明

グラップル付バケット装置

【課題】グラップルの強度及び開閉耐久性に優れ、簡単な構造からなり設計自由度が高いグラップル付バケット装置の提供を目的とする。
【解決手段】土木・建設機械の上下に回動するアームの先端部に回動自在に取り付けたバケットと、バケットのアーム側基端部に回動自在に枢着したグラップルを備え、前記グラップルの開放端側がバケットの内側に回動する範囲を規制する内ストッパを当該バケットの内側に有し、前記グラップルが前記バケット開口部から開く方向に回動する範囲を規制する回動ストッパを当該グラップルの回動軸に取り付けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木及び建設機械のアーム先端部に取り付け、土砂の掘削と木材等のグラップルとの両方に用いることができるグラップル付バケット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上下方向に回動する土木・建設機械のアームの先端部に取り付けたグラップル付バケット装置は特許文献1,2に開示するように公知である。
しかし、特許文献1,2に開示するグラップル付バケット装置は、グラップルをバケット側に入り込むのをストッパで規制しているものの、グラップルがバケットの開口部から開く方向の回動範囲を規制するものではない。
また、特許文献1,2に開示するグラップルの開閉機構はグラップルの回動軸に連結した作動アームの先端部をシリンダーロッドに連結した構造であるが、同公報における左右のグラップル部材にて木材等をグラップルする際に、木材等の太さが均一でなく、左右のグラップル間にねじれが生じた場合に、そのねじれ変形がそのまま回動軸に負荷されることになる。
このように回動軸に直接的にねじれ変形が加わる機構であってはグラップルの開閉に支障が生じる恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3567961号公報
【特許文献2】特開平11−181817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、グラップルの強度及び開閉耐久性に優れ、簡単な構造からなり設計自由度が高いグラップル付バケット装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るグラップル付バケット装置は、土木・建設機械の上下に回動するアームの先端部に回動自在に取り付けたバケットと、バケットのアーム側基端部に回動自在に枢着したグラップルを備え、前記グラップルの開放端側がバケットの内側に回動する範囲を規制する内ストッパを当該バケットの内側に有し、前記グラップルが前記バケット開口部から開く方向に回動する範囲を規制する回動ストッパを当該グラップルの回動軸に取り付けたことを特徴とする。
ここで、左右方向とはバケット装置を建設機械のアーム先端部に取り付けた状態でバケットの幅方向をいい、前後方向とはバケットの先端側を前方、バケットの取り付け基端側を後方と表現する。
【0006】
本発明で、グラップルは、左右のグラップルアームと、当該左右のグラップルアームの開放端側を連結した連結板と、当該左右のグラップルアームの基端側であって、前記回動軸よりも前方部分を連結した左右方向の連結部とを有し、当該連結部はグラップルの開閉シリンダーのピストンロッドと前後方向に連結されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るグラップル付バケット装置は、グラップルがバケットの内側に入り込む位置を内ストッパにて規制し、バケットの開口部から外側に回動する位置をグラップルの回動軸側に連結した回動ストッパにて規制したので、グラップルを開閉するシリンダーのピストンロッドのストロークのみに頼ることなく、このグラップルの回動範囲を制御でき、安定性が向上する。
【0008】
また、左右のグラップルアームの基端部付近を回動軸の前方側に位置する左右方向の連結部で連結したことにより、左右のグラップルアームのねじれを抑えることができ、回動ストッパをグラップルの回動軸に連結させることで、シリンダーのピストンロッドに連結した連結部の破損を防止する作用もある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】グラップル付バケット装置の斜視図を示し、(a)はグラップルの先端がバケットの内側に入り込んだ状態、(b)は部グラップルが開いた状態を示す。
【図2】グラップル付バケット装置の側面断面図を示し、(a)はグラップルの先端部がバケット内側の内ストッパ(12a,12b)に当接した状態、、(b)はグラップルが開き、回動軸側に設けた回動ストッパ(27,28)がバケットの基端側フランジに設けたストッパ(31a,31b)に当接した状態を示す。
【図3】ストッパ機構部の拡大図を示し、(a)はグラップルが閉じた状態、(b)はグラップルが開いた状態を示す。
【図4】グラップルアームとバケットとで木材(W)をグラップルした状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るグラップル付バケット装置の構造例を以下図面に基づいて説明するが、本発明の趣旨の範囲にて適宜設計変更できる。
【0011】
グラップル付バケット装置は図4に示すように、建設機械等のアーム2及びフロントリンク3の先端部にブラケット1を介して取り付けることで、アーム2が上下方向に回動するとともにフロントリンク3の操作によりバケット10も上下方向(前後方向)に回動する。
【0012】
図1及び図2に示すようにバケット10の先端側に複数の掘削爪11a,11b,11c・・・・を有し、バケット10の基端側にグラップル20の基端側を回動軸26にて回動自在に連結してある。
グラップル20は左右の弓形形状のグラップルアーム21,22の先端部を左右方向の連結板23にて連結し、このグラップルアーム21,22の基端側であって、回動軸26の前方側の位置においてパイプ状の連結部24で左右方向に連結してある。
連結部24は回動軸26よりも後方側に先端部が位置するように立設した作動アーム25を有し、作動アーム25の先端部はシリンダー40のピストンロッド41に枢着軸25aで枢着され、このピストンロッド41の前進、後退によりグラップル20が開閉する。
【0013】
図1(a)、図2(b)に示すようにグラップル20の先端側連結板23がバケット10の内側に入り込んだ状態で掘削可能になり、それ以上内側に押されないように内ストッパ12a,12bをバケット10の内側に設けた。
一方、ピストンロッド41が後退し、作動アーム25が回動軸26を中心にして後方に旋回すると、図1(b)、図2(b)に示すようにグラップル20が開く。
グラップル20の回動軸26からストッパ取付板27a,28aを立設し、その先端部側に回動ストッパ27,28を取り付け、この回動ストッパ27,28の位置に対応するようにバケット10の基端側からフランジ30a,30bを立設し、その先端部側にストッパ31a,31bを設けた。
これにより、グラップル20はグラップルの回動軸の回動により旋回する回動ストッパ27,28とバケット10側のストッパ31a,31bと当接した状態でグラップル20の開放状態が規制されるので安定する。
また、回動ストッパ27,28の衝撃が連結部24に直接伝達されないように回動ストッパ27,28は回動軸26側に連結してあり、ストッパ取付板27a,28aの強度をバケット10側のストッパ31a,31bよりも強く設定してあり、グラップル20の開閉機構が破損するのを防止した設計になっている。
【符号の説明】
【0014】
10 バケット
12a 内ストッパ
20 グラップル
21 グラップルアーム
22 グラップルアーム
23 連結板
24 連結部
25 作動アーム
25a 枢着軸
26 回動軸
27 回動ストッパ
28 回動ストッパ
30a フランジ
30b フランジ
31a ストッパ
31b ストッパ
40 シリンダー
41 ピストンロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土木・建設機械の上下に回動するアームの先端部に回動自在に取り付けたバケットと、バケットのアーム側基端部に回動自在に枢着したグラップルを備え、
前記グラップルの開放端側がバケットの内側に回動する範囲を規制する内ストッパを当該バケットの内側に有し、
前記グラップルが前記バケット開口部から開く方向に回動する範囲を規制する回動ストッパを当該グラップルの回動軸に取り付けたことを特徴とするグラップル付バケット装置。
【請求項2】
前記グラップルは、左右のグラップルアームと、当該左右のグラップルアームの開放端側を連結した連結板と、当該左右のグラップルアームの基端側であって、前記回動軸よりも前方部分を連結した左右方向の連結部とを有し、
当該連結部はグラップルの開閉シリンダーのピストンロッドと前後方向に連結されていることを特徴とする請求項1記載のグラップル付きバケット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−172331(P2012−172331A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33216(P2011−33216)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(591117402)株式会社室戸鉄工所 (16)
【Fターム(参考)】