説明

グラフィックシート

【課題】皺が寄ったりすることなく、容易に貼り付けることができ、また貼ったり剥がしたりして繰り返して使用するにあたって、反りが発生したり破損したりすることがないグラフィックシートを提供する。
【解決手段】加硫ゴムシート1の表面側に印刷シート2を積層すると共に、加硫ゴムシート1の背面側に粘着層3を設けて、グラフィックシートAを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁や床等に脱着自在に貼って使用されるグラフィックシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
広告などを目的として、紙や樹脂シートなどの表面に文字、図、写真等を印刷したグラフィックシートを壁面に貼ることが行なわれている。このような紙や樹脂シートなどで形成されるグラフィックシートは、一般に、画鋲や糊(接着剤)を用いて壁面に固定されているが、画鋲を用いる場合、壁面に穴があくという問題があり、糊を用いる場合、壁面に糊が残って壁面が汚されるという問題があり、さらに繰り返して使用することができないという問題もある。
【0003】
そこで例えば特許文献1には、紙や樹脂シートなどの壁紙の裏面にマイクロポーラスな連続気泡構造を有する粘着シートを設けた簡易着脱壁紙が提案されている。このものでは粘着シートによって壁面に貼り付けるため、壁面に穴があいたり、糊で壁面が汚されたりすることがなくなり、また粘着シートで貼っているため、簡単に剥がしてまた貼り付けることができ、繰り返して使用することも可能になるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3018809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上記の特許文献1のものにあって、簡易着脱壁紙には腰がないため、皺が寄ったりして壁面に貼り付ける作業が困難になり、また貼ったり剥がしたりすることを繰り返すと、反りが発生したり破損したりするという問題を有するものであった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、皺が寄ったりすることなく、容易に貼り付けることができ、また貼ったり剥がしたりして繰り返して使用するにあたって、反りが発生したり破損したりすることがないグラフィックシートを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るグラフィックシートは、加硫ゴムシート1の表面側に印刷シート2を積層すると共に、加硫ゴムシート1の背面側に粘着層3を設けて成ることを特徴とするものである。
【0008】
このように、背面側に粘着層3を有することによって、簡単に剥がしてまた貼り付けることができ、繰り返して使用することも可能になるものである。そして加硫ゴムシート1によって厚みを確保できると共に腰が強くなり、皺が寄ったりするようなことがなくなって、貼り付けの作業性が向上し、また貼ったり剥がしたりして繰り返して使用するにあたって、反りや破損が発生することを防ぐことができるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、背面側に粘着層3を有するので、簡単に剥がしてまた貼り付けることができ、繰り返して使用することも可能になるものである。そして加硫ゴムシート1によって厚みを確保できると共に腰が強くなるので、皺が寄ったりするようなことがなくなって、貼り付けの作業性が向上し、また貼ったり剥がしたりして繰り返して使用するにあたって、反りや破損が発生することを防ぐことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
加硫ゴムシート1は、ゴム組成物をシート状に成形して加硫することによって作製されるものである。ゴムとしては、特に限定されるものではないが、エチレン・プロピレン・ジエン・モノマーゴム(EPDM)やブチルゴム(IIR)などを用いることができ、EPDMとIIRのブレンド物を主成分とするものであってもよい。加硫ゴムシート1の厚みは、特に限定されるものではないが、0.5〜3.5mm程度が好ましい。加硫ゴムシート1の厚みが薄すぎると、グラフィックシートAの腰を強くする効果が不十分になり、また厚みが厚すぎると、グラフィックシートAの重量が重くなって、壁面に貼ったりする際の作業性が悪くなる。
【0013】
印刷シート2は、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の合成樹脂のシートやフィルム、合成紙など、任意のシート材で作製したものを用いることができるものである。この印刷シート2の表面には、宣伝広告の情報など、文字や図、写真等が印刷してある。印刷シート2の厚みは、特に制限されるものではないが、10〜300μm程度が好ましい。印刷シート2の厚みが10μm未満であると、厚みが不足して破損し易くなり、逆に厚みが300μmを超えると、加硫ゴムシート1との間の熱伸縮の差が影響してグラフィックシートAに反り変形が発生するおそれがある。
【0014】
この印刷シート2は加硫ゴムシート1の表側の表面に接着して積層してある。この接着は、加硫ゴムシート1の片面に塗布した接着剤と、印刷シート2の片面に塗布した接着剤とを接着することによって行なうことができるものである。加硫ゴムシート1に塗布する接着剤としては、クロロプレン系やアクリル系のものを用いることができ、溶剤系と水系のいずれでもよいが、溶剤系であると残留溶剤の臭いや健康上の問題があるので、水系のほうが好ましい。また印刷シート2に塗布する接着剤としては、アクリル系のものを用いることができる。
【0015】
また、加硫ゴムシート1の背面側には粘着剤を塗布して粘着層3が形成してある。粘着層3を形成する粘着剤としては、特に限定されるものではないが、例えばIIRを主成分とする未加硫ゴム系の粘着剤を用いることができる。この粘着層3の厚みは特に限定されるものではないが、0.1〜1.0mmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜0.5mmである。粘着層3の厚みがこの範囲を下回って薄いと、グラフィックシートAを長期に亘って貼り付けて固定する粘着力が十分に得られないおそれがあり、また貼ったり剥がしたりする繰り返し使用の回数も制限されることになる。粘着層の厚みがこの範囲を超えて厚いと、粘着層3の粘着剤自身は柔らかいので、グラフィックシートAを剥がす際に、一部の粘着剤が剥がした面に残るおそれがある。この粘着層3の表面には離型シートなどを貼って保護するようにしてもよい。
【0016】
上記のようにして図1のようなグラフィックシートAを得ることができるものである。そしてこのグラフィックシートAは、背面側の粘着層3によって壁面などに貼って使用することができるものである。貼る箇所は、壁面に限られるものではなく、床面等であってもよい。グラフィックシートAを壁面や床面等に貼ることによって、表面側の印刷シート2によって、宣伝広告等を行なうことができるものである。ここで、このようにグラフィックシートAは粘着層3の粘着力で貼っているので、不要になれば容易に剥がすことができ、グラフィックシートAを剥がした跡に穴や汚れ等が残ることもないものである。またグラフィックシートAを一旦剥がしても、粘着層3で再度貼り付けを行なうことができるものであり、繰り返して使用することができるものである。粘着層3に埃や糸屑等が付着した場合、水や中性洗剤を含んだ水溶液にて洗浄することも可能であり、洗浄後乾燥すれば再度貼り付けを行なうことができるものである。
【0017】
また、グラフィックシートAは加硫ゴムシート1で厚みが確保されると共に強度が補強されているので、腰が強くなっている。このため、グラフィックシートAに皺が寄ったりすることがなくなり、グラフィックシートAを貼り付ける際の作業性が向上するものであり、またグラフィックシートAを貼ったり剥がしたりして繰り返して使用するにあたって、グラフィックシートAに反りや破損が発生することを防ぐことができるものである。さらに加硫ゴムシート1によってグラフィックシートAにクッション性を持たせることができるものであり、質感を向上することもできるものである。
【符号の説明】
【0018】
1 加硫ゴムシート
2 印刷シート
3 粘着層
A グラフィックシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加硫ゴムシートの表面側に印刷シートを積層すると共に、加硫ゴムシートの背面側に粘着層を設けて成ることを特徴とするグラフィックシート。

【図1】
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【公開番号】特開2010−224151(P2010−224151A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70453(P2009−70453)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【出願人】(508342013)株式会社シード (2)
【Fターム(参考)】