説明

グラフェンシート系材料の形成方法およびグラフェンシート系材料

【課題】 グラフェンシート層内を所望の化学構造とすることによって、所望の電気的性質を有するグラフェンシート系材料の形成が容易な処理技術を提供する。
【解決手段】
グラフェンシート系材料の表面に、電子供与性を有する官能基を発生する特定物質が含まれる雰囲気中で紫外線を照射することにより該特定物質を活性化し、グラフェンシート系材料に含まれるグラフェンシートの端部を電子供与性の官能基で修飾する工程を含むことを特徴とするグラフェンシート系材料の処理方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフェンシート系材料の形成方法およびグラフェンシート系材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置やプリント配線基板等を含む半導体集積回路装置において、導電体の性質を持った電子部材として、いわゆるグラフェンシート系材料を用いる検討が行われている。グラフェンシート系材料とは、グラファイトの水平層(グラフェンシート)が1〜10層程度の薄膜状グラフェン、並びにその化学修飾されたものなど派生材料一般を指すものである。その極薄で細長い形状などからグラフェンナノリボンなどとも呼ばれる。グラフェンシート系材料は、化学的安定性に優れている一方、特異な物理的・電気的性質など種々の魅力的な特性を有しており、半導体装置の形成材料として注目されている。
【0003】
具体的には、半導体装置の配線及びビア構造部材や半導体素子の部品、例えばグラフェンチャネルトランジスタ、LSI(Large Scale Integration )用のグラフェン配線等への適用が検討されている。
【0004】
従来、グラフェンシート系材料の形成には、粘着テープ等の粘着性の部材を用いてバルク状のグラファイトから転写する方法や、CVD(Chemical Vapor Deposition )法などの真空成膜プロセスを用いる方法等が用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−098357号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Y.B.Zhang et al., Nature, Vol. 438, pp.201 (2005)
【非特許文献2】K.S.Novoselov et al., Science, Vol. 306, pp.666 (2004)
【非特許文献3】A.C.Ferrari et al., Physical Review Letters, Vol. 97, pp.187401 (2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、グラフェンシート系材料を半導体素子等の微細なデバイスに適用するためには、所望の層数のグラフェンシートを有するグラフェンシート系材料の形成が必要であり、同時に、グラフェンシートの電気的特性を制御することが必要である。そのためには、グラフェンシートの化学構造を制御することが必要となる。これに対して、従来技術では、所望の化学構造のグラフェンシートを有するグラフェンシート系材料を容易に形成することができなかった。
【0008】
そこで、本発明では、所望の化学構造のグラフェンシートを有するグラフェンシート系材料の形成が容易な処理技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の一つの態様は、グラフェンシート系材料の表面に、電子供与性(または電子吸引性)を有する官能基を発生する特定物質が含まれる雰囲気中で紫外線を照射することにより該特定物質を活性化し、前記グラフェンシート系材料に含まれるグラフェンシートの端部または欠陥部の一部を前記電子供与性(または電子吸引性)の官能基で修飾する工程を含むことを特徴とするグラフェンシート系材料の形成方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
上記グラフェンシート系材料の形成方法によれば、グラフェンシート系材料の端部を官能基で修飾することによって、グラフェンシート層内を所望の化学構造とすることにより所望の電気的性質を有するグラフェンシート系材料を容易に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態になるグラフェンシート系材料形成の原理を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態になるグラフェンシート系材料の処理装置の一基本構成を示す図(斜視図)である。
【図3】本発明の実施形態になるグラフェンシート系材料の処理装置における主要部構成を示す図(図2の断面図)である。
【図4】本発明の実施形態になるグラフェンシート系材料の処理装置の他の構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態になるグラフェンシート系材料の処理方法によって形成したグラフェンチャネルトランジスタの構造を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態になるグラフェンチャンネル層形成時におけるVUV(真空紫外線)照射時間とソース/ドレイン電流の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態につき、図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明のグラフェンシート層形成の原理を説明する図である。基板上にグラフェンシートの層を積層して形成させたグラフェンシート系材料の形成方法は、予め末端基を安定化させるための初期化を行う第一の工程と、末端基に官能基を導入する第二の工程を有する。
【0014】
具体的に、第一の工程では、グラフェンシート系材料の端部などを電気的に安定化させるため、真空、還元性ガス、反応性ガスなどの雰囲気中で熱アニールを行う。また、第二の工程では、真空紫外線(VUV:Vacuum Ultra Violet rays)を含む紫外線(UV:Ultra Violet rays )を照射し、当該UVと組合せて、グラフェンシートを改質し得る物質を供給することにより、グラフェンシート系材料の改質処理を行う。
【0015】
グラフェンシート系材料を改質し得る物質には、UVとの組合せによってグラフェンシート系材料の端部を不活性化し得る物質と、UVとの組合せによってグラフェンシート系材料の末端官能基に付加、またはこれを置換し得る物質とが含まれる。
【0016】
本発明は、グラフェンシート系材料に作用する特定物質を含む雰囲気中で紫外線を照射することにより特定物質を活性化し、グラフェンシート系材料の端部を電子供与性または電子吸引性の官能基で化学修飾(または置換)することによって、基板上に所望の化学構造のグラフェンシートの層を形成するものである。
【0017】
なお、ここで言う電子供与性あるいは電子吸引性とは、例えば、有機電子論の分野で研究されてきた、官能基間の化学結合における電子の偏りに関して、各官能基の電子的性質から導き出されるものである(例えば、http://ja.wikipedia.org/wiki/ 有機電子論、参照、2010.6.16)。本発明においては、官能基が実際に導入されたことによるグラフェンシートを含むデバイスの電気的特性の変化によって、電子供与性あるいは吸引性の官能基の効果を確認している。
【0018】
電子供与性の官能基としては、−NR(アミノ基、Rは飽和系炭化水素基)、−C(フェニル基)、−C10(ナフチル基)等があり、また、電子吸引性の官能基としては、−OH(ヒドロキシル基)、−COOH(カルボキシル基)、−CN(シアノ基)、=C=O(キノン基)、>C=O(カルボニル基)、−NO(ニトロ基)等がある。
【0019】
ここで、グラフェンシート系材料とは、グラフェンシート、あるいはグラフェンシートが何らかの化学処理をされた材料を意味する。グラフェンシートは、単にグラフェンと呼ばれたり、グラフェンナノリボンとも呼ばれ、その厚さは、例えば、0.335nm〜2nm程度である。
【0020】
グラフェンシートはシート状で、炭素がミツバチ巣形状の各六角形の頂点にある、単層又は複数の層により形成されている。また、グラフェンシート系材料は、どのような方法で作製されてもよい。最も簡易な方法として、グラファイトの劈開による方法があるが、CVD(Chemical Vapor Deposition )法などカーボンナノチューブと同様の手法によっても成長させることができる。
【0021】
CVD法等によって基板上にグラフェンシート系材料を生成する場合、基板1を形成する材料には特に制限はなく、公知のものから適宜選択することができる。グラフェンシート系材料の導電性を利用する場合にあっては導電性を有する基板を、グラフェンシート系材料の熱導電性を利用する場合にあっては熱導電性の良好な基板を、それぞれ選択することが望ましい。グラフェンシート系材料が基板上に生成すること自体は本発明の必須要件ではないが、グラフェンシート系材料が基板上に生成している場合には、先述したごとく、UVの直接照射がし易く、また、基板との密着性が良好であるため、好ましい場合が多い。
【0022】
グラフェンシート系材料、特にグラフェンシートは、その形状により性質を変えるが、導電性、半導体性、導電性や半導体性における異方性等の点で独特の性質を有している。グラフェンシート系材料は、層数が大きすぎるとグラファイト構造に近づき、グラフェンシートに特徴的な異方性が小さくなる。一般的には、厚さ方向の層数が1〜数層程度のものがグラフェンシートと呼ばれることが多い。厚さに対する長さおよび幅のサイズについては特に制限はなく、用途に応じて適宜選択することができるが、一般的には、おおよそ0.1nm〜1mmの範囲である。
【0023】
なお、UVとの組合せによってグラフェンシート系材料の端部を活性化し得る物質は、以後の説明において「特定物質」と表現する。また、「端部」とは、グラフェン骨格の終端部を表すものであり、グラフェンシート系材料の外縁部のみならず、グラフェンシート系材料の欠陥部分など、窪んだ表面部分をも含んでいる。
【0024】
図1に示すように、まずは、グラフェンシート系材料に対し、所定の環境下にて熱処理を施すことで、グラフェンシート系材料の端部の欠陥を修復し、不純物となる物質や官能基を予め排除して安定化する。つぎに、端部を安定化したグラフェンシート系材料に対し、UV(またはVUV)を照射するとともに、特定物質を供給することで、末端官能基に付加、またはこれを置換し得る物質を反応させることによって、端部における化学構造の制御を可能としている。
【0025】
このように、グラフェンシート系材料の端部が他の官能基によって置換されるメカニズムの詳細は明らかではないが、例えば、以下のように推察される。
【0026】
すなわち、UV照射を受けて、グラフェンシート系材料の近傍に浮遊した状態の特定物質の結合が開裂し、アルキルラジカル等の活性な化学種が発生する。これらのラジカルは不安定で反応性が高いため、近傍のグラフェンシート系材料上の比較的反応性の高い欠陥部分(分子末端部分、あるいは末端以外の分子構造的に欠陥を有する部分)の末端基と置換し、共有結合を形成すると考えられる。
【0027】
または、グラフェンシート系材料には直接化学結合せず、ラジカル等の化学的に活性な種同士が反応し再結合するなどしてより高沸点(低揮発性)の生成物となり、それがグラフェンシート系材料の端部に吸着するというメカニズムである。
【0028】
この他、特定物質又はその一部が、グラフェンシート系材料の表面上に吸着し、UVによってラジカル等の化学的に活性な種を経ないでグラフェンシート系材料の表面に作用するなどのメカニズムも考えられる。上記作用としてはおそらく化学結合が主体と考えられるが、物理的吸着等も存在している可能性もある。
【0029】
但し、上述したメカニズムや作用形態は、本実施形態によるグラフェンシート系材料の処理方法の本質と関係するものではない。
【0030】
また、特定物質であるか否かは、UVの照射後に何らかの意味でグラフェンシート系材料の端部が改質されたことで確認することができる。また、UVを使用しないで特定物質をグラフェンシート系材料と接触させたときにもグラフェンシート系材料の端部の改質が起こる場合には、その端部の改質の程度がより大きくなることで知ることができる。
【0031】
具体的には、グラフェンシート系材料の端部上への特定の基(例えばアルキル基)の導入による電気的特性の変化あるいは特定の条件における端部のエッチング特性の変化等によって確認することができる。
【0032】
なお、UVによってラジカル等の化学的に活性な種を発生し得る物質が特定物質に該当する場合が多いため、上記のような具体的変化によらず、UVによってラジカル等の化学的に活性な種を発生しうる物質を特定物質と考えてもよい。
これは、ラジカル等の化学的に活性な種が発生すれば、何らかの物性の変化がグラフェンシート系材料の表面に生じているはずであるからである。
【0033】
以上のようなラジカル等の化学的に活性な種としては、本発明の作用後には、本質的には化学的に不活性な化学種、または官能基であることが好ましい。これには、結合の反応性自体が低い、または導入された官能基が(例えば、3級アルキル基のように)「嵩高い」ために結果的に反応性が低いことが含まれる。
【0034】
特定物質としては、UVによってラジカル等の化学的に活性な種を発生し得る物質であれば特に限定されるものではないが、反応処理後に化学的に、あるいは物理的に安定、かつグラフェンシート2に電子を供与する性質、あるいは電子を吸引する性質を持つ官能基が形成されることが肝要である。その中で、この反応処理によって、電子供与性の官能基を供出し結合する、あるいは電子吸引性の官能基を供出し結合する化学物質が特定物質として使用される。
【0035】
より具体的には、特定物質は、酸素、水(水蒸気)、二酸化炭素などの含酸素物質、飽和炭化水素類、芳香族系炭化水素類、アミン類などの塩基性物質、ハロゲン化アルキル類、又はこれらの混合物を含む郡から選択された少なくとも一の物質を含むものであることが望ましい。これら物質を使用することにより、一般的には、グラフェンシート系材料3の電気的性質を変えることが可能となる。
【0036】
飽和炭化水素類としては、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等、又はこれらの派生化学構造物が挙げられる。派生化学構造物としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、キノン基等を含む上記飽和炭化水素類が挙げられる。
【0037】
また、芳香族系炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、又はこれらの派生化学構造物が挙げられる。派生化学構造物としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、キノン基、フェニル基等を含む上記芳香族系炭化水素類が挙げられる。
【0038】
なお、フェニル基に代表される芳香族系炭化水素類については、有する官能基の性質およびその位置によって電子吸引性または電子供与性のどちらにもなり得る。例えば、オルト位あるいはパラ位に電子供与性のメチル基が付いた構造の場合、全体として電子供与性となり、また、オルト位あるいはパラ位に電子吸引性のニトロ基が付いた構造の場合、全体として電子吸引性となる。
【0039】
さらに、アミン類としては、脂肪族アルキル基を有する、1級、2級、および3級アミン類が挙げられる。また、ハロゲン化アルキル類としては、フッ化アルキル、塩化アルキ ル、臭化アルキル、ヨウ化アルキル等があげられる。
【0040】
特定物質の供給は、特定物質をグラフェンシート系材料と接触させるために行う。この供給は気相で行われる。特定物質を蒸気として供給する場合、常圧、室温下では蒸気圧が低く、または蒸発しにくいものもあるので、後述のごとく減圧を採用したり、後述の不活性物質で希釈することによりこの不活性物質に同伴させたり、特定物質を加熱したりすることが好ましい場合もある。
【0041】
但し、特定物質自体は必ずしも蒸気になっている必要はない。例えば、噴霧により特定物質が他の気体中に浮遊している状態で供給することでもよい。この場合、浮遊した特定物質が液状のままグラフェンシート系材料3のエッチングに寄与することもある。
【0042】
さらに、紫外線(UV)は、波長が315nmを超え、400nm以下の範囲のUV−A、波長が280nmを超え、315nm以下の範囲のUV−B、波長が200nmを超え、280nm以下の範囲のUV−C、および波長が10〜200nmの範囲のVUVに分類される。
【0043】
グラフェンシート系材料は、一般的に表面の安定性(化学安定性等)が高いため、UV−A〜UV−Bの紫外線の照射では、十分に表面の改質ができず、または、十分に化学修飾反応ができない、若しくは十分な反応速度が得られない。UV−CまたはVUVと上記特定物質との組み合わせが、本発明のグラフェンシートの処理方法においてとくに有効となる。
【0044】
さらに、UVまたはVUVを得る手段には特に制限はない。幅が狭く中心波長が172nmのXeエキシマUVランプ、又は193nmのArFエキシマランプを好ましく例示できる。172nmでは通例、160〜200nm程度の波長分布を示すXe封入エキシマUVランプ、あるいは水銀ランプ(254nm)が好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0045】
なお、有機化合物の結合の切断エネルギーはUVまたはVUVの波長に直接関係するので、特に化学修飾を精密に制御したい場合には、UVまたはVUVの使用波長範囲を目的に応じて狭く制限することも有用である。例えば、グラフェンシート系材料の端部に当初形成されている結合エネルギーの低い結合を切断し、特定物質から発生した官能基で修飾するには、より波長の長いUV光を用いるのが好適である。
【0046】
また、VUVの出力についても制限はなく、市販の数十mW/cm2 程度の出力のものを好ましく使用できる。ただし、VUVを発生しうる装置(エキシマUVランプ等)の冷却や配置に問題なければ、より高出力の装置を用いるか、あるいはUVランプを近接して複数個並べて、実際の面あたり照射量を増やすことは、生産性の向上につながることもあり得る。
【0047】
なお、VUVは、その名前が示すように、真空中または減圧下で使用されるのが一般的であるが、本発明においては必ずしもその必要はなく、常圧下においても可能である。すなわち、本発明におけるVUV照射は、減圧または常圧の雰囲気中におかれたグラフェンシート系材料に対して行われる。
【0048】
UVまたはVUVの照射条件は、照射される光の面照度が照射距離の2乗に反比例すること、特にVUVについては特性物質の吸光係数が大きいため照射強度がランベルト・ベール(Lambert-Beer)の法則により大きく減衰することを考慮して決定される。すなわち、光強度が強ければ光源−試料間距離を大きくし、さらにその距離での特定物質の吸光の度合いを考慮して、その希釈濃度を決める。
【0049】
なお、ランベルト・ベールの法則とは、透過率をT、モル吸光係数をε、媒質透過長さをb、溶液濃度をcとして、吸光度Aが、
A=−log(T)=log(1/T)=εbcで表される法則をいう。
【0050】
すなわち、UVまたはVUVと特定物質との組合せ作用をコントルールする意味やUVまたはVUVとグラフェンシート系材料との間の距離を大きくできるという実用上の意味からは、グラフェンシート系材料を取り囲む雰囲気中の特定物質の濃度をコントロールすることが有用である場合が多い。
【0051】
例えば、酸素を20体積%含む空気中ではVUVが1cm以内でほぼすべて吸収されるというように、特定物質は吸光係数が大きいことが多く、何らかの手段で特定物質の濃度(又は蒸気圧や分圧でもよい)を低下させることが好ましい場合が多いからである。これは、雰囲気の減圧度を調整することによって行うこともできるが、VUVを照射してもグラフェンシート系材料を化学修飾しない物質である不活性物質で希釈した特定物質を使用することも好ましい場合が多い。
【0052】
具体的には、常圧状態で、特定物質を0.0005〜50体積%の間に希釈することが好ましく、0.001〜30体積%の間に希釈することがより好ましい場合が多い。なお、この不活性物質については特に制限はないが、本発明の環境が気相であるので、一般的に、気体物質または揮発性の物質が適切である。ネオン、アルゴン等の不活性ガスや窒素ガスを好ましく例示できる。これらガスのVUVに対する吸光係数は小さいため、特定物質を希釈するに好適である。
【0053】
紫外線の照射対象であるグラフェンシート系材料とVUV照射源との間の距離については、VUVが吸収されやすいので、小さい方が好ましい場合が多い。グラフェンシート系材料とVUV照射源との間に存在する物質の種類及び濃度(又は蒸気圧或いは分圧)にもよるが、一般的には、この距離は、例えば、0.1〜1000mmが好ましい。さらに言えば、多くの場合、0.5mmから500mm程度が好ましい場合が多い。
【0054】
また、UVまたはVUV照射の仕方には特に制限はない。特定物質の供給とは必ずしも同時である必要はない場合もあり得る。グラフェンシート系材料に対し特定物質を連続的に供給し、UVまたはVUV照射を連続的に行う方法、グラフェンシート系材料に対し特定物質を断続的に供給し、その供給時に合わせてUVまたはVUV照射を断続的に行う方法、グラフェンシート系材料に対し特定物質を断続的に供給し、その供給時に合わせかつその後ある時間継続するようにUVまたはVUV照射を断続的に行う方法等を例示することができる。
【0055】
グラフェンシート系材料の端部の化学修飾や改質が、UVまたはVUVに直接照射されている箇所のみに生じているのかどうかは不明である。例えば、生じたラジカル等の化学的に活性な種の寿命が長い場合には、VUVに直接照射されていない箇所も化学修飾や改質が生じ得ると考えられる。したがって、グラフェンシート系材料が全体としてUVまたはVUVに照射され、結果として化学修飾或いは改質されていれば、本発明の趣旨に合致するが、一般的には、グラフェンシート系材料ができるだけ直接UVまたはVUVに照射されるようになっていることが好ましい。その意味では、グラフェンシート系材料が基板上に平行に配置された状態が好ましい。
【0056】
なお、従来のリソグラフィー技術等を応用して、グラフェンシート系材料の表面の一部を覆った状態で上記処理を行うことで化学修飾や改質を行う箇所を限定することも可能である。更には、この操作を繰り返して行い、場所によって異なった程度の化学修飾や改質を行うことも可能である。化学修飾や改質を行う箇所を限定する場合は、フォトレジスト材料の含酸素物質に対する耐性が低いことを考慮して、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などのハードマスクを用いることが望ましい場合もある。
【0057】
本実施形態によるグラフェンシート系材料の処理装置は、グラフェンシート系材料に対し、UVまたはVUVを照射し、特定物質を供給できるものであれば特に制限はない。以下、図2〜図4に示すような装置を例示することができる。
【0058】
図2は、本発明のグラフェンシート系材料の処理装置の一基本構成(斜視図)を示し、また、図3は、図2の処理装置の主要部の構成の断面図を示している。
【0059】
ステンレス製のチャンバ10内部には、石英ガラス製の活性化反応容器12が収納されている。活性化反応容器12の天井部には、XeエキシマUVランプ16を収容した収容部14が設けられている。なお、図においては、内部の構成が理解しやすいように活性化反応容器12の両端部が開放されているように図示しているが、実際には両端部は閉鎖されており、以下同様である。
【0060】
XeエキシマUVランプとしては、例えば、長軸方向の発光長が400mmで発生中心波長λがλ=172nmの真空紫外線を発生し、光出力が30mW/cm2 のXeエキシマUVランプを用いることができる。
【0061】
また、XeエキシマUVランプ16以外にも、Kr(クリプトン)、Ar(アルゴン)、KrCl(塩化クリプトン)を封入したエキシマUVランプ(それぞれ発光中心波長が146nm、126nm、222nm)を用いることもできる。
【0062】
また、活性化反応容器12には、XeエキシマUVランプ16の長さに応じて複数本に分岐したガス導入管18が設けられているとともに、下側に、XeエキシマUVランプ16の形状に応じた長方形のガス噴出口20が設けられている。なお、ここでは、ガス導入管18が収容部14の左右に3本ずつ設けられている。
【0063】
さらに、XeエキシマUVランプ16には、冷媒ダクト24を備えた金属ブロック22により形成された冷却機構26が設けられており、この金属ブロック22を介して収容部14に固定・保持されている。冷媒としては、例えば、ガス状の冷媒物質を用いることができる。また、チャンバ10内にはX−Y方向に移動可能な基板載置ステージ28が設けられている。基板載置ステージ28は、被処理基板30の温度を制御するための温度調節器(図示せず)が内蔵するとともに、X−Y方向に移動するための移動機構32を備えている。
【0064】
つぎに、図2及び図3に示す処理装置の動作について説明する。
【0065】
表面にグラフェンシート系材料40が形成された被処理基板30は、基板載置ステージ28上に載置され、図示しない温度調節器によって所定の処理温度に保持される。
【0066】
この状態で、ガス導入管18から、特定物質をN2等のVUVに不活性なガス又はガス状物質で希釈した混合ガス34を導入する。同時に、XeエキシマUVランプ16を点灯して波長が172nmのVUV光36を発生させ、VUV光36によっての特定物質を活性化する。
【0067】
特定物質の活性化により発生した活性化種38は、ガス噴出口20から被処理基板30に噴射される。これにより、活性化種38が被処理基板の表面に形成されたグラフェンシート系材料40に作用し、グラフェンシート系材料40の端部を活性化する。
【0068】
あるいは、特定物質の活性化により発生した一重項酸素(1Δg O2 *)等の活性化された活性化種38は、ガス噴出口から被処理基板に噴射される。これにより、活性化された活性化種38が被処理基板30の表面に形成されたグラフェンシート系材料40に作用し、グラフェンシート系材料が機能化される。この際、グラフェンシート系材料40の化学修飾は、該グラフェンシートの端部あるいは欠陥部になされると考えられる。
【0069】
また、反応ガスとして特定物質をN2 等の真空紫外線に不活性なガスまたはガス状物質で希釈した混合ガス34を用いることにより、光吸収距離を長くすることができ、それによって、光吸収による活性化効率を高めることができる。また、活性化反応容器12の形状を変えることができるので、設計自由度を高めることができる。
【0070】
被処理基板30がガス噴出口20に対して無視できないほど大きいなど、被処理基板30の全面を一括して均一に処理できないような場合には、基板載置ステージ28を移動しながら処理を行う。例えば、被処理基板30がXeエキシマUVランプ16の発光長より小さい場合には、基板載置ステージ28をガス噴出口20の長軸方向と直交する方向(x方向)へ走査しながら処理を行う。被処理基板30のy方向の長さが、XeエキシマUVランプ16の発光長より長い場合には、y方向にも走査しながら処理を行う。これにより、被処理基板30の全面に渡って均一に処理を行うことができる。基板載置ステージ28の走査は、移動速度を一定にして連続的に走査するようにしてもよいし、移動と停止を繰り返して断続的に走査するようにしてもよい。
【0071】
この際、VUV強度、特定物質濃度、ガス噴出口20と被処理基板30との距離などのグラフェンシート系材料40の反応速度に関係する処理パラメータと基板載置ステージ28の移動速度とを関連づけるデータベースを用意し、このデータベースに基づいて基板載置ステージ28を制御する制御機構を設けることが有効である。この場合、基板載置ステージ28の移動速度は、1回の走査でグラフェンシートにおいて所望の程度の化学修飾がなされるように、グラフェンシート系材料40の反応速度との関係から規定することが好ましい。
【0072】
また、ガス噴出口20と被処理基板30との間に、図3に示すようなスリット44を有する遮蔽板42を設けることも有効である。スリット44は、例えば被処理基板30を移動しなくても均一な処理を行うことが可能な領域に設けられている。こうすることで、より均一な処理が可能となる。
【0073】
なお、UV−Cについても、VUVに準じて取り扱うことができるが、VUVよりは酸素等による吸収の効果はかなり少ないので、例えば、既知のHgランプ(波長254nm)を等を用いて、上記のような特別な構成の装置を使うことなく、より簡易な装置で発明を実施できる。
【0074】
図4は、本発明のグラフェンシート系材料の処理装置の他の構成例(主要部の断面図)を示す。図4は、処理装置の主要部だけを示したもので、他の構成部分については、図2に示す構成例と同様である。図4に示す処理装置は、活性化反応容器12のガス導入管18及びXeエキシマUVランプ16の冷媒ダクト24が側方から導入される構成となっている他は、図2及び図3に示す処理装置の構成と同様である。
【0075】
つぎに、本発明の本実施形態によるグラフェンシート系材料の形成方法の具体的な手順を、グラフェンチャンネルトランジスタの構造体の一部としてのグラフェンに適用した例について、図5および図6を用いて説明する。
【0076】
図5は、本発明のグラフェンシート系材料の処理方法によって形成したグラフェンチャネルトランジスタの構造を示す。
【0077】
基板104(p型Si、厚さ600μm)上に、グラフェンチャネル層100を形成し、グラフェンを部材の一部として用いたトランジスタを作製した。基板104は、特に限定されるものではないが、あらゆる絶縁膜層を積層したシリコンウェーハなど、グラフェンシートの成長が可能な種々の基板を用いることが可能である。実施例では、基板104としては、例えば、p型シリコンウェーハ上にシリコン酸化膜103を形成したものを用いるものとする。
【0078】
グラフェンチャネル層100としてのグラフェンシート系材料層の形成方法は、特に限定されるものではないが、粘着テープ等の粘着性の部材を用いてバルク状のグラファイトから転写する方法や、CVD法などの成膜装置を用いる方法など、種々の方法を用いることができる。グラフェンシート系材料層に含まれるグラフェンシートの層数は何層でもよいが、トランジスタ部材として機能することが求められる。ここでは、例えば、CVD法により、アセチレンガスを原料として、1000℃にてグラフェンシート系材料層を形成するものとする。
【0079】
ちなみに、基板104上に形成したグラフェンシート系材料層に含まれるグラフェンシートの層数は、AFM(Atomic Force Microscope :原子間力顕微鏡)やラマン分光法を用いることによって測定できる。
【0080】
グラフェンシートの一層あたりの膜厚が0.335nm程度であることと、AFM測定で得られたグラフェンシート系材料層の膜厚とから、含まれるグラフェンシートの層数が算出できる。例えば、AFMを用いた測定において、グラフェンシート系材料層の膜厚が6.7nmであったと仮定すると、グラフェンシート系材料層が20層のグラフェンシートを有していることが判る。
【0081】
また、ラマン分光法による測定では、グラフェンシートの層数に応じてラマンシフトが変化する。例えば、測定したラマンシフトの2700cm-1付近のD2バンドのピーク位置を調べることによって、グラフェンシートの層数を測定することができる。
【0082】
つぎに、必要に応じて、例えば、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、グラフェンシート系材料層をパターニングする。そして、グラフェンシート系材料層が形成された基板を、清浄な乾燥空気中で、例えば300℃で5分ベークし、グラフェンシート系材料層表面の、グラフェンシート以外の可燃性不純物を取り除く。
【0083】
さらに、パターニングしたグラフェンシート系材料層が形成された基板104上にフォトリソグラフィなどの通常の半導体製造法によって、ドレイン電極101(Ti/Au))及びソース電極102(Ti/Au)を形成し、基板104裏面にゲート電極105としてメタル層(Ti/Au)を作製し、グラフェンシートをチャネルとするグラフェンチャネルトランジスタを作製する。これを図2〜図4に示すような本実施形態の処理装置内に搬入する。
【0084】
なお、上述のグラフェンシート系材料層に含まれるグラフェンシートの層数の測定は、処理装置に搬入する前のどの段階で行ってもよい。
【0085】
つぎに、図3で述べたのと同様の手順により、グラフェンシート系材料層の端部の改質処理を行う。
【0086】
グラフェンシート系材料層の処理条件は、VUVの強度を、例えば、1mW/cm2 〜200mW/cm2 (好ましくは、5mW/cm2 〜50mW/cm2 )、混合ガス中の特定物質の濃度を、例えば、0.001体積%〜50体積%(好ましくは、0.01体積%〜10体積%)、ガス噴出口20と被処理基板30との距離を、例えば、0.1〜100mm(好ましくは、0.2mm〜十数mm)、基板載置ステージ28の移動速度を、例えば、0.1〜1000mm/秒(好ましくは、1mm/秒〜300mm/秒)に設定する。
【0087】
例えば、特定物質としてのトリエチルアミンN(CHを温め、その蒸気圧が常温より高くなるようにし、純窒素で希釈混合した混合ガスを、そのガスの流量を毎分1Lとして、グラフェンチャネルトランジスタ上へ吹き付け容器を密閉する。次いで、吹き付け開始後、速やかに、発生中心波長λが172nm、発光長400mmのエキシマUVランプを30mW/cm2 の出力で石英ガラス窓を通して照射する。
【0088】
あるいは、特定物質としてトリエチルアミンN(CHを容器にとり、40℃まで加温してその蒸気を発生し、これを純窒素で希釈混合した混合ガスをグラフェンシート系材料層上へ吹き付ける。次いで、吹き付け開始後、速やかに、発生中心波長λが172nm、発光長400mmのエキシマUVランプを、30mW/cm2 の出力で試料から3cmの距離から20秒間にわたり照射する。
【0089】
これにより、グラフェンシート系材料層の端部に活性化種が作用し、グラフェンシート系材料層の端部がアミノ基、メチル基をはじめとする電子供与性基で化学修飾される。そして、こうした処理によって形成されたグラフェンシート系材料層よりなるトランジスタの電気的特性について紫外線の照射時間をパラメータに測定する。
【0090】
図6は、本発明のグラフェンチャンネル層形成時におけるVUV(真空紫外線)照射時間とソース/ドレイン電流の関係を示す。図6は、このVUV照射時間をパラメータにグラフェンチャネルトランジスタの電気的特性の変化を示したものである。図中のグラフは、照射時間を(1)0秒、(2)3秒、(3)6秒、および(4)18秒とした場合について、ゲート電圧(V)に対するソース/ドレイン電流(μA)を示している。
【0091】
ドレイン電極101に0.2Vのバイアスをかけた状態でのソース電極102/ドレイン電極101間の電流値を、VUV無処理の状態から18秒まで照射すると、そのピーク値がプラス側からマイナス側にシフトする。これは、グラフェンに付加または置換して導入されたアミノ基またはアルキル基がグラフェン分子に電子を供与することにより、p型トランジスタがn型に転換したと考えられる。
【0092】
また、別な実施例として、特定物質に酸素ガスを用いる場合、これを予め純窒素にて酸素1対窒素100で希釈混合し作製した混合ガスを、そのガスの流量を毎分5Lとして、グラフェンチャネルトランジスタ上へ吹き付け吹き付ながら、発生中心波長λが172nm、発光長400mmのエキシマUVランプを、30mW/cm2 の出力で試料から3.5cmの距離から3秒間にわたり照射した。
【0093】
これにより、グラフェンシート系材料層の端部に活性化種が作用し、グラフェンシート系材料層の端部がヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)をはじめとする電子吸引性基で化学修飾される。そして、紫外線照射時間とそのトランジスタの電気的特性を測定する。
【0094】
その結果、前述した実施例(図6)とは逆に、ドレイン電極101に0.2Vのバイアスをかけた状態でのソース電極102ドレイン電極101間の電流値は、VUV無処理の状態前から照射後には、そのピーク値が、よりプラス側にシフトした。これは、グラフェンに付加または置換して導入されたヒトロキシル基またはカルボキシル基が、グラフェン分子に電子を供与することにより、p型トランジスタのp型特性がより強まったものと考えられる。
【0095】
以上、本発明の実施形態によれば、グラフェンシート系材料の端部の化学構造を積極的に制御し、グラフェンシート系材料の電気的性質を制御することが可能となる。
【0096】
なお、本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、グラフェンシート系材料の端部を特定の性質を持った化学修飾する方法について示したが、必ずしもグラフェンシートが均一に修飾される必要はない。例えば、最表面のグラフェンシートの一部が修飾されることにより電気的特性が大きく変化することがあることも考えられる。
【0097】
また、上述してきた実施形態に記載したグラフェンシート系材料の処理条件は、本願発明者が用いた装置において最適化した例であり、これに限定されるものではない。処理条件の最適値は、使用する装置や対象物質の組成などが変化することにより変化するものであり、適宜設定することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、グラフェンシート系材料を用いる電子部品の内、グラフェンシート系材料を改質する精密加工処理技術に関する。
【符号の説明】
【0099】
10 チャンバ
12 活性化反応容器
14 収容部
16 XeエキシマUVランプ
18 ガス導入管
20 ガス噴出口
22 金属ブロック
24 冷媒ダクト
26 冷却機構
28 基板載置ステージ
30 被処理基板
32 移動機構
34 混合ガス
36 VUV(真空紫外)光
38 活性化種
40 グラフェンシート系材料
42 遮蔽板
44 スリット
100 グラフェンチャネル層
101 ドレイン電極(TiAu)
102 ソース電極(TiAu)
103 絶縁層(SiO2
104 基板(p型Si)
105 ゲート電極(TiAu)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフェンシート系材料の表面において、
電子供与性を有する官能基を発生する特定物質が含まれる雰囲気中で紫外線を照射することにより該特定物質を活性化する工程と、
活性化された前記電子供与性の官能基で前記グラフェンシート系材料に含まれるグラフェンシートの端部を化学修飾または物理修飾する工程と、
を有することを特徴とするグラフェンシート系材料の形成方法。
【請求項2】
前記電子供与性の官能基は、F−、CF−、CFCF−、(CFCH−、(CHC−、CH−、CHCH−、(CHCH−、(CHC−、3級アミノ基、およびそれらの誘導体を含むことを特徴とする請求項1に記載のグラフェンシート系材料の形成方法。
【請求項3】
グラフェンシート系材料の表面において、
電子吸引性を有する官能基を発生する特定物質が含まれる雰囲気中で紫外線を照射することにより該特定物質を活性化する工程と、
活性化された前記電子供与性の官能基で前記グラフェンシート系材料に含まれるグラフェンシートの端部を化学修飾する工程と、
を有することを特徴とするグラフェンシート系材料の形成方法。
【請求項4】
前記電子吸引性の官能基は、OH−、COOH−、COOR−、スルホン酸基、シアノ基、カルボニル基、キノン基、フェニル基、およびそれらの誘導体であることを特徴とする請求項3に記載のグラフェンシート系材料の形成方法。
【請求項5】
前記グラフェンシート系材料の端部に結合された末端基を、前記特定物質から生成するより安定な官能基に置換して前記端部を安定化する工程を、さらに有することを特徴とする請求項1または3に記載のグラフェンシート系材料の形成方法。
【請求項6】
前記特定物質は、飽和炭化水素類、芳香族系炭化水素類、ハロゲン化アルキル類、又はこれらの混合物を含む郡から選択された少なくとも一の物質を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のグラフェンシート系材料の形成方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の形成方法によって形成されたグラフェンシート系材料であって、グラフェンシートまたはその一部が化学修飾された該シート、またはその積層体であることを特徴とするグラフェンシート系材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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