説明

グリコシド化多価アルコールの製造方法

【課題】α―アミラーゼを活性化し、メイラード反応性が低く、非う蝕性を有するグリコシド化多価アルコールの新規な製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】還元糖と多価アルコールを触媒下で反応させて製造するグリコシド化多価アルコールの製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はα−アミラーゼを活性化し、メイラード反応性が低く、非う蝕性を有するグリコシド化多価アルコールの新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書中のグリコシド化多価アルコールとは還元糖と多価アルコールがグリコシド結合した化合物のことを言う。
また、本明細書中で使用するう蝕性とは口腔内の細菌によって糖から酸が産生され、産生された酸が歯質を脱灰することをいう。
【0003】
多価アルコールであるグリセロールに還元糖のガラクトースのアノマー炭素がα結合したグリセロールガラクトシドはフロリドシドと呼ばれ、ノリ、ツノマタ、ダルス等の紅藻類に広く分布している。また、本願発明者らはテングサからも抽出されることを見出している。
フロリドシドはα−アミラーゼを活性化するという特徴を有し、消化酵素によって消化されず、腸管からも吸収されないため、腸内細菌の増殖促進能を有し、プレバイオテクスとしての利用が期待されている。また、フロリドシドはメイラード反応性が低いため食品に混合しても食品のアミノ酸と反応し難く、着色し難いという特性も有する。更に、非う蝕性を有するため、歯を溶解する酸を作りにくく、虫歯にもなりにくい。従って食品の甘味料としても期待されている。
加えて、フロリドシドはウイルス感染症や腫瘍性疾患や免疫疾患にも有用であることが報告されている。
【0004】
また、グリセロールにグルコースのアノマー炭素がα結合したα―グルコシルグリセロールは清酒、味噌、味醂といった日本の伝統的な発酵食品に含まれる成分で、フロリシドと同じく小腸で消化されず、プレバイオテクスとしての利用が期待されている。また、保湿性も高いため、化粧品原料としても期待されている。
【0005】
これらの多価アルコールに還元糖がグリコシド結合したグリコシド化多価アルコールの有用な特徴を食品、化粧品、医薬品に利用するために、簡便で大量に生産することが求められている。しかしながら、グリコシド化多価アルコールの一種であるフロリドシドは紅藻類に属する海藻類から抽出、生成する方法が報告されており(特許文献1)、α―グルコシルグリセロールはマルトオリゴ糖とグリセリンから酵素合成反応により合成する方法は提案されている(特許文献2)ものの、その量は少なく、簡便で大量に製造できる方法の確立が望まれている。
また、ガラクトースやグルコース以外の還元糖とグリセロール以外の多価アルコールがグリコシド結合したグリコシド化多価アルコールで、メイラード反応性が低く、非う蝕性を示すものの甘味料としての利用も期待されているためその合成方法の確立も望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−290971号公報
【特許文献2】特開2006−8703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、α―アミラーゼを活性化し、メイラード反応性が低く、非う蝕性を有するグリコシド化多価アルコールの新規な製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、還元糖と多価アルコールを触媒下で反応させて製造するグリコシド化多価アルコールの製造方法に関する。
請求項2に係る発明は、前記還元糖がガラクトース、グルコース、マンノース、ラムノース、キシロースのいずれか一つである請求項1に記載のグリコシド化多価アルコールの製造方法に関する。
請求項3に係る発明は、前記多価アルコールがグリセロールまたはエチレングリコールであることを特徴とする請求項1又は2に記載のグリコシド化多価アルコールの製造方法に関する。
請求項4に係る発明は、前記触媒がリン酸である請求項1乃至3いずれかに記載のグリコシド化多価アルコールの製造方法に関する。
請求項5に係る発明は、ガラクトースとグリセロールをリン酸存在下で反応させて製造するフロリドシドの製造方法に関する。
請求項6に係る発明は、グルコースとグリセロールをリン酸存在下で反応させて製造するグルコシルグリセロールの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、還元糖と多価アルコールを触媒下で反応させて製造するため、グリコシド化多価アルコールを簡便にかつ大量に製造することができる。
請求項2に係る発明によれば、前記還元糖がガラクトース、グルコース、マンノース、ラムノース、キシロースであることにより、これらの糖が多価アルコールに容易に溶けるため、反応性が高く、より収率を上げることができる。
請求項3に係る発明によれば、多価アルコールがグリセロールまたはエチレングリコールであることにより、生体に安全なグリコシド化多価アルコールを製造することができる。
請求項4に係る発明によれば、触媒がリン酸であることにより、高温で反応させたとしても反応液が着色しないようにすることができる。
請求項5係る発明によれば、α―アミラーゼを活性化し、メイラード反応性が低く、う蝕性が低い天然フロリドシドと同じ性質を有する合成フロリドシドを簡便に大量に製造することができる。
請求項6に係る発明によれば、α―アミラーゼを活性化し、う蝕性が低い天然のグルコシルグリセロールと同じ性質を有する合成グルコシルグリセロールを簡便に大量に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ガラクトースとグリセロールを、温度を変化させて反応させた場合の反応生成物の生成量の経時変化を表わした図である。
【図2】ガラクトースとグリセロールを、触媒であるリン酸の量を変化させて反応させた場合の反応生成物の生成量の経時変化を表わした図である。
【図3】ガラクトースとグリセロールを反応させた反応生成物のHPLCクロマトグラムである。
【図4】ガラクトースとグリセロールを反応させた反応生成物のLC−MSを表した図である。
【図5】ガラクトースとグリセロールを反応させた反応生成物とテングサから抽出したフロリドシドのH−NMRのスペクトルを示した図である。
【図6】反応生成物を塩酸によって加水分解したときの反応生成物、還元糖、ガラクトースのそれぞれの量の経時変化を表わした図である。
【図7】α―アミラーゼの活性化を活性化率で表したものである。
【図8】α―アミラーゼの活性化を還元糖量で表したものである。
【図9】合成フロリドシド、天然フロリドシド及びその他の還元糖で、メイラード反応性を測定した図である。
【図10】唾液のpH変化を表わしたもので、う蝕性を表したものである。
【図11】還元糖と合成フロリドシドを加熱した時の着色性を表したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の方法によれば、α―アミラーゼを活性化し、メイラード反応性が低く、非う蝕性を有するグリコシド化多価アルコールを簡便で大量に製造することができる。
以下本発明の一例を詳述する。
【0012】
本発明のグリコシド化多価アルコールは、加温した多価アルコールに還元糖を溶解し、触媒を加え、撹拌することによって多価アルコールをグリコシド化することで製造される。
【0013】
本発明において原料として用いられる糖類は、還元糖であれば特に限定されないが、ガラクトース、グルコース、マンノース、ラムノース、キシロースが挙げられ、特にガラクトースはフロリドシドを合成する際に使用し、及びグルコースはグルコシルグリセロールを合成する際に使用するため好適に用いられる。
【0014】
また、グリコシド化するアルコールとしては多価アルコールであれば限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの水酸基を2個有する多価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミンなどの水酸基を3個有する多価アルコールなどが挙げられ、特にグリセロール、エチレングリコールが好適に用いられる。
尚、高温でも溶けない場合には少量のDMSOに溶かして用いても良い。
【0015】
本発明において還元糖と多価アルコールのモル比は1〜100倍の範囲であり、好ましくは25〜50倍である。多価アルコールの量がモル比で25倍より少量であると十分にグリコシド化が行えず、50倍より多く入れた場合生成されるグリコシド化多価アルコールに未反応原料が付加された付加物が生成されるためいずれの場合も好ましくないからである。
【0016】
グリコシド化工程において使用される触媒としては、脱水反応に用いられるものであれば特に限定されず公知のものが用いられる。例えば、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。その中でも、特にリン酸が好ましい。高温の反応溶液中に添加しても反応液が着色しないためである。
使用される触媒の量は、多価アルコール100mL(または100g)に対して10〜100μL、さらに好ましくは50〜100μLである。10μLより少なければ、長時間の反応時間を必要とし、また100μLより多くてもそれ以上の反応時間の短縮が望めず、いずれの場合も好ましくないからである。
【0017】
本発明において反応温度は触媒の添加量により調節が可能であるが80℃〜160℃さらに好ましくは100℃〜140℃である。80℃未満では原料の還元糖が溶解し難く、160℃を超えると還元糖が褐変する虞があるため、いずれの場合も好ましくないからである。
【0018】
反応途中に副生する水は、シリカゲルで取り除くことが好ましい。製造されるグリコシド化多価アルコールの純度を上げるためである。また、シリカゲルで取り除く以外にも窒素等を吹き込んで乾燥させることもできる。
【0019】
本発明においては、グリコシド化多価アルコールの原料となる多価アルコールを反応溶媒として用いることができるが、反応系の濃度を調整するために補助溶媒を用いることもできる。但し、補助溶媒はグリコシド化多価アルコールの反応条件下であっても沸騰しない程度の高い沸点を持っており、かつ反応に全く影響を与えないものであることが好ましい。
【0020】
反応時間は反応温度及び触媒の量によって左右されるため、一概には決定できないが、10分〜240分、さらに好ましくは30分〜180分である。10分未満であると反応が十分ではなく、未反応の原料が残り、240分より長ければ、生成したグリコシド化多価アルコールに未反応物が付着する虞があり、いずれの場合も好ましくないからである。
【0021】
反応は、原料や生成物の生成量を追跡し反応終了時を測定して、反応が終了した時点で止めることが好ましい。未反応の還元糖が生成したグリコシド化多価アルコールに付加することを抑制するためである。
反応は、反応溶液に水を大量に入れることによって終了させる。
尚、塩基性物質を添加して触媒を中和することもできる。中和に用いられる塩基性物質としては特に制限はないが、NaOH、KOH、Na2CO3、NaHCO3、NH3等を挙げることができる。これらの中では、溶解性、取り扱いの観点からNaOH、KOHが好ましい。
【0022】
反応終了後水を添加し、反応生成物を活性炭に吸着させることによって未反応の還元糖や多価アルコール等の不純物を除くことができる。これにより、合成されたグリコシド化多価アルコールのみを分離、精製することができる。
【0023】
精製した合成グリコシド化多価アルコールは高速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと表記する)分析によって、純度を測定することができる。
【0024】
純度が確認されたグリコシド化多価アルコールを質量分析(以下LC-MSと称する)や、HNMRで分析して分子構造を推定することができる。
【実施例】
【0025】
以下実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0026】
(フロリドシド(ガラクトシルグリセロール)の合成方法)
ホットプレートスターラー上で、グリセロール100mLを116℃に加温し、これにガラクトース5gを溶解した。これは、ガラクトース1モルに対して50倍モルのグリセロールの量に相当する。
ガラクトースがすべて溶解したことを確認した後、触媒としてリン酸10μLを添加して、116℃で3時間撹拌しながら開放で反応を行った。
【0027】
反応溶液に水を添加した後、活性炭のカラムに1回〜数回かけることによって未反応原料等の不純物を取り除き、反応生成物の分離、精製を行った。
【0028】
(反応温度について)
グリセロールとガラクトースの反応温度と反応時間との関係を図1に示した。横軸は時間(min)、縦軸は反応生成物をHPLCで測定した際の面積を表わしている。HPLCの面積は500000で約5g/Lであり、グリセロール100mL水を加えて1Lにした後に、ガラクトースを5g溶解した場合には500000の時に略100%合成されたことを表わしている。これより反応温度は100℃〜140℃のときに反応性が良いことが分かる。
【0029】
(触媒量について)
グリセロールとガラクトースの反応を触媒するリン酸の量と反応時間との関係を図2に表わした。図1と同じく、横軸は時間(min)、縦軸は反応生成物をHPLCで測定した際の面積を表わしており、面積が500000の時に略100%合成されたことが分かる。これによると触媒が10〜100μL特に50〜100μLの時に反応性が良いことが分かる。
【0030】
(純度の評価)
純度の評価はHPLCを用いて行った。
HPLCの装置はD−7000,Hitachiを用い、検出にはL−7490,Hitachi(RI検出器)を用いた。カラムはShodex社製のカラムSugar KS−802(GPCカラム)を用い、カラム温度50℃、移動相として水を使用し、流速は0.8mL/分、注入量5μLにて分析を行った。 HPLCのクロマトグラムを図3に示す。
図3は反応前、反応後30分、反応後120分のそれぞれのHPLCのクロマトグラムを示したものである。
それぞれ保持時間12.6分、13.6分において、ガラクトースおよびグリセロールが検出される。図3より、原料であるガラクトースのピークがなくなり、代わりに新たなピークが11.5分の位置に表れているため、ガラクトースとグリセロールが反応した反応生成物が合成されていることを示している。
また、精製後、合成された反応生成物の純度は90%以上であった。
【0031】
(分子構造の推定)
合成された反応生成物の分子構造の推定を行うために LC−MSによる分析を行った。LC−MSの装置はFinniganLCQ Duo systemを用いた。移動相は0.05%NHOH/acetonitrile(25%/75%)、流量は0.2mL/minで行った。カラムはGL Science社のInertsil NH2を用いた。
これにより天然のフロリドシドと同じ分子量をもつ物質が確認された(図4)。
【0032】
合成された反応生成物とテングサから抽出した天然フロリドシドをHNMRにかけて分析した。装置はVarianUNITY INOVA400を用いた。HNMRは399.1MHzで測定し、内部標準としてはDOを用いた(図5)。
これにより、テングサはガラクトースの2位の位置にグリセロールが結合しているが、合成された反応生成物はガラクトースの1位又は3位の位置にグリセロールが結合していることが分かった。
【0033】
そこで、ガラクトースのどの水酸基とグリセロールが反応したかどうかを確かめるために以下の実験を行った。
合成された反応生成物を塩酸により加水分解し、反応生成物、還元糖、ガラクトースの量を測定した。反応生成物はHPLC法で測定し、還元糖はフェリシアナイド法で測定し、ガラクトースは酵素法にて測定した。測定した結果を図6に示す。
この結果より、反応生成物は塩酸で加水分解する前は還元性を示さないのに対して、反応生成物の加水分解が進むとともに還元糖及びガラクトースの量が増加していることが分かる。つまり、還元性のあるガラクトースが増加していることになる。
反応生成物自体は還元性を示さないが、塩酸で加水分解すると還元性のあるガラクトースが増加することは、ガラクトースの還元性に関わる位置にグリセロールが結合していることを示しており、ガラクトース還元性に関わる位置即ちガラクトースの1位の位置に結合していることが分かった。
従って反応生成物はガラクトースの1位にグリセロールが結合している合成フロリドシドであることが示された。
以下に本発明の方法で合成したフロリドシド及び合成グルコシルグリセロールの性質について検討した。
【0034】
(α―アミラーゼの活性化について)
本発明の方法によって合成したフロリドシド及びグルコシルグリセロールのα―アミラーゼの活性化の測定を行った。
0.25Mリン酸緩衝液(pH7.0)で希釈した合成フロリドシド又は合成グルコシルグリセロール0.7mLと可溶性デンプン(5mg/mL)0.3mLを混合し、37℃で5分間プレインキュベートを行った。これに緩衝液で希釈したブタ膵臓由来α-アミラーゼ(1unit/mL)25μLを添加して10分間反応後、沸騰水で5分間加熱して反応を停止させた。反応液125μLを採取して0.01Mヨウ素溶液2mLと混合し、660nmにおける吸光度を測定した。酵素活性化率は、対照群(試料無添加)との比較で算出した。
合成フロリドシドと合成グルコシルグリセロールのα―アミラーゼの活性化率の結果を図7に示す。
これにより、本発明の方法によって合成されたフロリドシドと合成グルコシルグリセロールは天然のフロリドシドと同様にα―アミラーゼを活性化することが分かる。
また、ヨウ素による比色法のみでなく、還元糖量の増加を経時的にフェリシアナイド法を用いて定量することでα-アミラーゼ活性化を確認した(図8)。この結果からも、合成フロリドシドがα―アミラーゼを活性化することが分かる。
【0035】
(メイラード反応性)
メイラード反応の測定は以下のようにして行った。
0.5%のグリシンと1%糖類(グルコース(Glu)、ガラクトース(Gal)、スクロース(Suc)と天然フロリドシド(Flo)又は合成フロリドシド(Flo))を含む20mM、pH8.0のリン酸緩衝液1mLを、容器に入れ、密栓して100℃で60分間加熱した。その後、450nmにおける吸光度を測定した。結果を図9に示す。
これによりpH8におけるメイラード反応性はグルコース(Glu)、ガラクトース(Gal)で高いが、天然フロリドシド(Flo)と同様に合成フロリドシド(Flo)もメイラード反応性が低いことが分かる。
【0036】
(う蝕性について)
う蝕性の測定は以下のようにして行った。
被験者の口腔内を水道水でゆすぎ、蒸留水でうがいした後、唾液を回収した。
1%の合成フロリドシドもしくは合成グルコシルガラクトシド1mLに、採取した唾液3mLとブレインハートインフュージョン培地(Fluka社製)1mLを加えた。反応液は、37℃で加温し、経時的にpH変化を測定した。反応液のpHが下がり酸性となるものをう蝕性があるとした。結果を図10に示す。これにより、グルコース、ガラクトースはpHが下がったが、合成フロリドシド及び合成グルコシルグリセロールのpHの変化は少なく、う蝕性が少ないことが分かる。
【0037】
(加熱着色性)
以下の方法で加熱着色性を測定した。
1%糖類(グルコース(Glu)、ガラクトース(Gal)、スクロース(Suc)、合成フロリドシド(Flo))を含む、pH4及びpH7の20mMクエン酸―リン酸緩衝液(Mcllvaine緩衝液を密栓して、160℃で60分間加熱した。その後、蒸留水で希釈し420nmの吸光度を測定することによって着色性をみた。その結果合成フロリドシドはほとんど加熱による着色が見られなかった(図11)。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る還元糖と多価アルコールをグリコシド結合した化合物は、消化酵素によって分解されず腸管からも吸収されないので、腸においてα―アミラーゼを活性化し、腸内細菌を増殖させるため、プレバイオテクスにおいて優れた化合物である。また、メイラード反応性が低く、非う蝕性を示すため、食品に用いる甘味料としても適しており、更にウイルス感染症や腫瘍性疾患や免疫疾患にも有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元糖と多価アルコールを触媒下で反応させて製造するグリコシド化多価アルコールの製造方法。
【請求項2】
前記還元糖がガラクトース、グルコース、マンノース、ラムノース、キシロースのいずれか一つである請求項1に記載のグリコシド化多価アルコールの製造方法。
【請求項3】
前記多価アルコールがグリセロールまたはエチレングリコールであることを特徴とする請求項1又は2に記載のグリコシド化多価アルコールの製造方法。
【請求項4】
前記触媒がリン酸である請求項1乃至3いずれかに記載のグリコシド化多価アルコールの製造方法。
【請求項5】
ガラクトースとグリセロールをリン酸存在下で反応させて製造するフロリドシドの製造方法。
【請求項6】
グルコースとグリセロールをリン酸存在下で反応させて製造するグルコシルグリセロールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−57610(P2011−57610A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208650(P2009−208650)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者名 社団法人化学工学会 刊行物名 化学工学会第41回秋季大会研究発表講演要旨集 発行年月日 平成21年8月16日
【出願人】(509093026)公立大学法人高知工科大学 (95)
【Fターム(参考)】