グリスの塗布治具
【課題】安価で構造が簡単で、グリスの塗布量を定量化できるグリスの塗布治具を提供すること。
【解決手段】塗布治具7中央部の開口8とスプロケット1の開口4とを一致させるように、軸棒を両開口8、4に挿通する。この状態で、塗布治具7の塗布用開口9、10を上方に向けた塗布用治具7及びスプロケット1の平面部が水平となるようにして、塗布用開口9、10にグリスGRを注入する。この場合、注入後に、スクレーパで前記塗布用開口9、10よりはみ出たグリスGRをふき取り、前記スプロケット1から前記軸棒及び塗布治具7を外す。
【解決手段】塗布治具7中央部の開口8とスプロケット1の開口4とを一致させるように、軸棒を両開口8、4に挿通する。この状態で、塗布治具7の塗布用開口9、10を上方に向けた塗布用治具7及びスプロケット1の平面部が水平となるようにして、塗布用開口9、10にグリスGRを注入する。この場合、注入後に、スクレーパで前記塗布用開口9、10よりはみ出たグリスGRをふき取り、前記スプロケット1から前記軸棒及び塗布治具7を外す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被塗布材にグリスを塗布するための塗布治具に関する。詳述すれば、平面を有する被塗布材上にグリスを塗布するための塗布治具や、円筒部を有する被塗布材上にグリスを塗布するための塗布治具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開平2−248799号公報(特許文献1)には、基台上の所定位置に被充填部品を係止して、注入孔が穿設された治具板を当該注入孔がグリス充填部に臨むように位置決めして、注入孔からグリス充填部にグリスを充填する技術が開示されている。
【0003】
そして、グリスの塗布量を定量化するためには、通常はディスペンサを使用して塗布量をコントロールするか、サンプルを作ってこれを作業見本として運用する方法がある。
【特許文献1】特開平2−248799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者のディスペンサを使用して塗布量をコントロールする場合には、塗布量のコントロールの信頼性が高いが、高価な装置が必要であり、また後者の方法では、安価であるが、作業者によってバラつきが生じるという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、安価で構造が簡単で、グリスの塗布量を定量化できるグリスの塗布治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため第1の発明は、平面を有する被塗布材上にグリスを塗布するための塗布治具であって、前記被塗布材上に重合されて、開設された開口を介して前記被塗布材の平面上に前記グリスを塗布することを特徴とする。
【0007】
また第2の発明は、円筒部を有する被塗布材上にグリスを塗布するための塗布治具であって、前記被塗布材の円筒部の外周の一部を露出するように凹部内に収納すると共にこの収納凹部を形成する壁と被塗布材との間に空間を形成して、前記露出した前記被塗布材の円筒部に前記グリスを塗布することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、安価で構造が簡単で、グリスの塗布量を定量化できるグリスの塗布治具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の塗布治具の第1の実施形態について、図1乃至図6に基づき説明する。図1はある程度の粘性を有するグリスGRの被塗布材であるスプロケット1の平面図、図2は同じくスプロケット1の縦断正面図である。このスプロケット1は電子部品を収納するキャリアテープの部品収納部が所定間隔を存して形成された収納テープからカバーテープを剥離して部品取出位置まで部品収納部内に収納された電子部品を間欠送りして前記部品取出口から電子部品の取り出しを可能とする部品供給装置(図示せず)の構成部品である。
【0010】
前記部品供給装置は、電子部品を等間隔に収納する収納テープを巻回したテープリールから収納テープを繰り出すテープ送出装置と、収納テープを構成するキャリアテープからカバーテープを巻き取るカバーテープ巻取装置とから構成される。
【0011】
そして、前記収納テープは、等間隔ピッチで形成された部品収納部内に電子部品を収納すると共に等間隔ピッチでテープ送り孔が形成されたキャリアテープと、部品収納部の上面開口を覆うカバーテープとから構成される。
【0012】
前記テープ送出装置は、キャリアテープを繰り出すために中央部に開設された開口4に挿通された支軸を支点として回転可能で前記キャリアテープのテープ送り孔に嵌合する複数のテープ送り歯2が周部に形成されると共に前記支軸を中心に形成された段差面に内歯3が形成されたスプロケット1と、前記支軸を支点として回転可能で前記内歯3に係合する送り爪(図示せず)により前記スプロケット1を回転させる揺動体と、この揺動体の当接部と係止して回転角度位置を規制するストッパと、前記揺動体を駆動する揺動体駆動機構とを備えている。
【0013】
また、前記スプロケットの平面部には、前記開口4と同心円状に平面視円形状の一定幅の凹溝5が形成されている。
【0014】
図3において、7は平面を有する前記スプロケット1上にグリスGRを塗布するための円板状の塗布治具で、中央部には前記スプロケット1の開口4と一致する開口8が開設されると共に、前記スプロケット1の環状の凹溝5にグリスGRを塗布するために6個の長孔形状の塗布用開口9が一定間隔を存して開設され、更に前記スプロケット1の開口4と凹溝5との間の平面部6にグリスGRを塗布するために6個の円形状の塗布用開口10が一定間隔を存して開設される。
【0015】
しかも、前記塗布用開口9を介して凹溝5に塗布したグリスGRが前記スプロケット1のテープ送り歯2及び内歯3にまで届かないように、長孔形状の塗布用開口9の中心側寄りの開口端部は前記スプロケット1の平面部6上にまで伸びて、僅か塗布用開口9が平面部6にかかるように開設されており、また塗布用開口9の外側寄りの開口端部は前記凹溝5の中間部まで伸びている。
【0016】
このように形成しないと、前記塗布用開口9を介して凹溝5に塗布したグリスGRが前記スプロケット1のテープ送り歯2及び内歯3にまで届くことがあり、このグリスGRのためにホコリがテープ送り歯2及び内歯3に付きやすくなって、ときに間欠送りに支障が起こることがあるが、このような問題は解消できることとなる。
【0017】
そして、塗布する量を定量とすべく、塗布治具7の厚みと各塗布用開口9、10の面積とが所定の大きさに決定される。即ち、塗布量を多くしたい場合には、塗布治具7の厚みを変更しないならば、各塗布用開口9、10のサイズを大きくし、塗布量を少なくしたい場合には、各塗布用開口9、10のサイズを小さく設定する。
【0018】
次に、以上のような構成にして、以下塗布治具7を使用してスプロケット1上にグリスGRを塗布する動作について説明する。先ず、このように形成した円板状の塗布治具7を前記スプロケット1上に重合させる(図4及び図5参照)。この場合、例えば塗布治具7中央部の開口8と前記スプロケット1の開口4とを一致させるように、軸棒(図示せず)を両開口8、4に挿通させて重合させる。
【0019】
なお、前記軸棒を使用して、スプロケット1に塗布治具7を重合させたが、必ずしも軸棒を使用せずに、作業者が肉眼で見て合わせてもよい。
【0020】
このようにした状態で、塗布治具7の塗布用開口9、10を上方に向けた塗布用治具7及びスプロケット1の平面部が水平となるようにして、塗布用開口9、10にグリスGRを注入する。
【0021】
この場合、注入後に、スクレーパ(図示せず)で前記塗布用開口9、10よりはみ出たグリスGRをふき取り、前記スプロケット1から前記軸棒及び塗布治具7を外す(図6及び図7参照)。これにより、確実に定量のグリスGRをスプロケット1に塗布することができる。また、塗布用開口9を介して凹溝5に塗布したグリスGRが前記スプロケット1のテープ送り歯2及び内歯3にまで届くことがなくなり、ホコリがテープ送り歯2及び内歯3に付きにくくなって、収納テープの間欠送りに際してトラブルが減少する。
【0022】
次に、図8乃至図11に基づき、グリスGRの塗布治具の第2の実施形態について、説明する。図8に被塗布材としての段付きピン20を示すが、この段付きピン20は円板状の基板20Aと、この基板20Aの中央部に立設した徐々に外径が小さくなる複数段の円筒部20B、20C及び20Dとを備えている。
【0023】
次に、図9及び図10は前記段付きピン20にグリスGRを塗布するための塗布治具21を示すが、この塗布治具21は前記段付きピン20の円筒部20Dが貫通する開口21Dと、段付きピン20の円筒部20C及び20Bの外周の一部を露出するように収納する凹部21C及び21Bとが形成されている。
【0024】
そして、塗布治具21の開口21Dに段付きピン20の円筒部20Dを貫通させて、段付きピン20を塗布治具21内に収納するように両者を嵌合させる。この場合、両者が嵌合した状態では円筒部20Cの上面20X上に塗布治具21が載置した状態となり、円筒部20Cと塗布治具21との間、円筒部20Bと塗布治具21との間及び段付きピン20の基板20Aの上面20Yと塗布治具21の下面21Yとの間に空間S1、S2、S3ができる。
【0025】
この空間S1、S2、S3に前記グリスGRが充填されることとなるので、段付きピン20への塗布量を定量とすべく、前記空間S1、S2、S3の体積が所定のものとなるように決定される。即ち、塗布量を多くしたい場合には、塗布治具21の凹部21C及び21Bの内径を大きくすると共に凹部21Bの高さ(深さ)を小さくして空間S1、S2、S3の体積を多くし、塗布量を少なくしたい場合には、塗布治具21の凹部21C及び21Bの内径を小さくすると共に凹部21Bの高さ(深さ)を大きくして空間S1、S2、S3の体積を少なくする。
【0026】
次に、以上のような構成にして、以下塗布治具21を使用して段付きピン20にグリスGRを塗布する動作について説明する。先ず、被塗布材としての段付きピン20の円筒部20C及び20Bの外周側面と基板20Aの上面20Y上にグリスGRを塗布する。
【0027】
次いで、塗布治具21の開口21Dに段付きピン20の円筒部20Dを貫通させて、段付きピン20を塗布治具21内に収納するように両者を嵌合させて、円筒部20Cの上面20X上に塗布治具21が載置した状態となる。
【0028】
この状態で、段付きピン20を固定した状態で塗布治具21を回転させるか、塗布治具21を固定して段付きピン20を回転させることにより、グリスGRが段付きピン20の円筒部20C及び20Bの外周側面と基板20Aの上面20Y上に満遍なく均されながら塗布されることとなる。
【0029】
そして、前記回転により、余分のグリスGRは空間S3の開口端部、即ち段付きピン20の基板20Aの上面20Yと塗布治具21の下面21Yとの空間の外端部から外方へはみ出す。従って、このはみ出したグリスGRをふき取った後に、塗布治具21の開口21Dから段付きピン20の円筒部20Dを抜くようにして、段塗布治具21を段付きピン20から外す。これにより、確実に定量のグリスGRを段付きピン20に塗布することができる。
【0030】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】スプロケットの平面図である。
【図2】スプロケットの縦断正面図である。
【図3】第1の実施形態の塗布治具の平面図である。
【図4】スプロケットに塗布治具を重合させた状態の平面図である。
【図5】スプロケットに塗布治具を重合させた状態の縦断正面図である。
【図6】グリスが塗布された状態のスプロケットの平面図である。
【図7】グリスが塗布された状態のスプロケットの縦断正面図である。
【図8】段付きピンの正面図である。
【図9】第2の実施形態の塗布治具の平面図である。
【図10】同じく塗布治具の縦断正面図である。
【図11】段付きピンと塗布治具とを嵌合させた状態の縦断正面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 スプロケット
5 凹溝
7 塗布治具
9、10 塗布用開口
20 段付きピン
20A 基板
20B、C、D 円筒部
21 塗布治具
21B、C 凹部
S1、2、3 空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、被塗布材にグリスを塗布するための塗布治具に関する。詳述すれば、平面を有する被塗布材上にグリスを塗布するための塗布治具や、円筒部を有する被塗布材上にグリスを塗布するための塗布治具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開平2−248799号公報(特許文献1)には、基台上の所定位置に被充填部品を係止して、注入孔が穿設された治具板を当該注入孔がグリス充填部に臨むように位置決めして、注入孔からグリス充填部にグリスを充填する技術が開示されている。
【0003】
そして、グリスの塗布量を定量化するためには、通常はディスペンサを使用して塗布量をコントロールするか、サンプルを作ってこれを作業見本として運用する方法がある。
【特許文献1】特開平2−248799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者のディスペンサを使用して塗布量をコントロールする場合には、塗布量のコントロールの信頼性が高いが、高価な装置が必要であり、また後者の方法では、安価であるが、作業者によってバラつきが生じるという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、安価で構造が簡単で、グリスの塗布量を定量化できるグリスの塗布治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため第1の発明は、平面を有する被塗布材上にグリスを塗布するための塗布治具であって、前記被塗布材上に重合されて、開設された開口を介して前記被塗布材の平面上に前記グリスを塗布することを特徴とする。
【0007】
また第2の発明は、円筒部を有する被塗布材上にグリスを塗布するための塗布治具であって、前記被塗布材の円筒部の外周の一部を露出するように凹部内に収納すると共にこの収納凹部を形成する壁と被塗布材との間に空間を形成して、前記露出した前記被塗布材の円筒部に前記グリスを塗布することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、安価で構造が簡単で、グリスの塗布量を定量化できるグリスの塗布治具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の塗布治具の第1の実施形態について、図1乃至図6に基づき説明する。図1はある程度の粘性を有するグリスGRの被塗布材であるスプロケット1の平面図、図2は同じくスプロケット1の縦断正面図である。このスプロケット1は電子部品を収納するキャリアテープの部品収納部が所定間隔を存して形成された収納テープからカバーテープを剥離して部品取出位置まで部品収納部内に収納された電子部品を間欠送りして前記部品取出口から電子部品の取り出しを可能とする部品供給装置(図示せず)の構成部品である。
【0010】
前記部品供給装置は、電子部品を等間隔に収納する収納テープを巻回したテープリールから収納テープを繰り出すテープ送出装置と、収納テープを構成するキャリアテープからカバーテープを巻き取るカバーテープ巻取装置とから構成される。
【0011】
そして、前記収納テープは、等間隔ピッチで形成された部品収納部内に電子部品を収納すると共に等間隔ピッチでテープ送り孔が形成されたキャリアテープと、部品収納部の上面開口を覆うカバーテープとから構成される。
【0012】
前記テープ送出装置は、キャリアテープを繰り出すために中央部に開設された開口4に挿通された支軸を支点として回転可能で前記キャリアテープのテープ送り孔に嵌合する複数のテープ送り歯2が周部に形成されると共に前記支軸を中心に形成された段差面に内歯3が形成されたスプロケット1と、前記支軸を支点として回転可能で前記内歯3に係合する送り爪(図示せず)により前記スプロケット1を回転させる揺動体と、この揺動体の当接部と係止して回転角度位置を規制するストッパと、前記揺動体を駆動する揺動体駆動機構とを備えている。
【0013】
また、前記スプロケットの平面部には、前記開口4と同心円状に平面視円形状の一定幅の凹溝5が形成されている。
【0014】
図3において、7は平面を有する前記スプロケット1上にグリスGRを塗布するための円板状の塗布治具で、中央部には前記スプロケット1の開口4と一致する開口8が開設されると共に、前記スプロケット1の環状の凹溝5にグリスGRを塗布するために6個の長孔形状の塗布用開口9が一定間隔を存して開設され、更に前記スプロケット1の開口4と凹溝5との間の平面部6にグリスGRを塗布するために6個の円形状の塗布用開口10が一定間隔を存して開設される。
【0015】
しかも、前記塗布用開口9を介して凹溝5に塗布したグリスGRが前記スプロケット1のテープ送り歯2及び内歯3にまで届かないように、長孔形状の塗布用開口9の中心側寄りの開口端部は前記スプロケット1の平面部6上にまで伸びて、僅か塗布用開口9が平面部6にかかるように開設されており、また塗布用開口9の外側寄りの開口端部は前記凹溝5の中間部まで伸びている。
【0016】
このように形成しないと、前記塗布用開口9を介して凹溝5に塗布したグリスGRが前記スプロケット1のテープ送り歯2及び内歯3にまで届くことがあり、このグリスGRのためにホコリがテープ送り歯2及び内歯3に付きやすくなって、ときに間欠送りに支障が起こることがあるが、このような問題は解消できることとなる。
【0017】
そして、塗布する量を定量とすべく、塗布治具7の厚みと各塗布用開口9、10の面積とが所定の大きさに決定される。即ち、塗布量を多くしたい場合には、塗布治具7の厚みを変更しないならば、各塗布用開口9、10のサイズを大きくし、塗布量を少なくしたい場合には、各塗布用開口9、10のサイズを小さく設定する。
【0018】
次に、以上のような構成にして、以下塗布治具7を使用してスプロケット1上にグリスGRを塗布する動作について説明する。先ず、このように形成した円板状の塗布治具7を前記スプロケット1上に重合させる(図4及び図5参照)。この場合、例えば塗布治具7中央部の開口8と前記スプロケット1の開口4とを一致させるように、軸棒(図示せず)を両開口8、4に挿通させて重合させる。
【0019】
なお、前記軸棒を使用して、スプロケット1に塗布治具7を重合させたが、必ずしも軸棒を使用せずに、作業者が肉眼で見て合わせてもよい。
【0020】
このようにした状態で、塗布治具7の塗布用開口9、10を上方に向けた塗布用治具7及びスプロケット1の平面部が水平となるようにして、塗布用開口9、10にグリスGRを注入する。
【0021】
この場合、注入後に、スクレーパ(図示せず)で前記塗布用開口9、10よりはみ出たグリスGRをふき取り、前記スプロケット1から前記軸棒及び塗布治具7を外す(図6及び図7参照)。これにより、確実に定量のグリスGRをスプロケット1に塗布することができる。また、塗布用開口9を介して凹溝5に塗布したグリスGRが前記スプロケット1のテープ送り歯2及び内歯3にまで届くことがなくなり、ホコリがテープ送り歯2及び内歯3に付きにくくなって、収納テープの間欠送りに際してトラブルが減少する。
【0022】
次に、図8乃至図11に基づき、グリスGRの塗布治具の第2の実施形態について、説明する。図8に被塗布材としての段付きピン20を示すが、この段付きピン20は円板状の基板20Aと、この基板20Aの中央部に立設した徐々に外径が小さくなる複数段の円筒部20B、20C及び20Dとを備えている。
【0023】
次に、図9及び図10は前記段付きピン20にグリスGRを塗布するための塗布治具21を示すが、この塗布治具21は前記段付きピン20の円筒部20Dが貫通する開口21Dと、段付きピン20の円筒部20C及び20Bの外周の一部を露出するように収納する凹部21C及び21Bとが形成されている。
【0024】
そして、塗布治具21の開口21Dに段付きピン20の円筒部20Dを貫通させて、段付きピン20を塗布治具21内に収納するように両者を嵌合させる。この場合、両者が嵌合した状態では円筒部20Cの上面20X上に塗布治具21が載置した状態となり、円筒部20Cと塗布治具21との間、円筒部20Bと塗布治具21との間及び段付きピン20の基板20Aの上面20Yと塗布治具21の下面21Yとの間に空間S1、S2、S3ができる。
【0025】
この空間S1、S2、S3に前記グリスGRが充填されることとなるので、段付きピン20への塗布量を定量とすべく、前記空間S1、S2、S3の体積が所定のものとなるように決定される。即ち、塗布量を多くしたい場合には、塗布治具21の凹部21C及び21Bの内径を大きくすると共に凹部21Bの高さ(深さ)を小さくして空間S1、S2、S3の体積を多くし、塗布量を少なくしたい場合には、塗布治具21の凹部21C及び21Bの内径を小さくすると共に凹部21Bの高さ(深さ)を大きくして空間S1、S2、S3の体積を少なくする。
【0026】
次に、以上のような構成にして、以下塗布治具21を使用して段付きピン20にグリスGRを塗布する動作について説明する。先ず、被塗布材としての段付きピン20の円筒部20C及び20Bの外周側面と基板20Aの上面20Y上にグリスGRを塗布する。
【0027】
次いで、塗布治具21の開口21Dに段付きピン20の円筒部20Dを貫通させて、段付きピン20を塗布治具21内に収納するように両者を嵌合させて、円筒部20Cの上面20X上に塗布治具21が載置した状態となる。
【0028】
この状態で、段付きピン20を固定した状態で塗布治具21を回転させるか、塗布治具21を固定して段付きピン20を回転させることにより、グリスGRが段付きピン20の円筒部20C及び20Bの外周側面と基板20Aの上面20Y上に満遍なく均されながら塗布されることとなる。
【0029】
そして、前記回転により、余分のグリスGRは空間S3の開口端部、即ち段付きピン20の基板20Aの上面20Yと塗布治具21の下面21Yとの空間の外端部から外方へはみ出す。従って、このはみ出したグリスGRをふき取った後に、塗布治具21の開口21Dから段付きピン20の円筒部20Dを抜くようにして、段塗布治具21を段付きピン20から外す。これにより、確実に定量のグリスGRを段付きピン20に塗布することができる。
【0030】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】スプロケットの平面図である。
【図2】スプロケットの縦断正面図である。
【図3】第1の実施形態の塗布治具の平面図である。
【図4】スプロケットに塗布治具を重合させた状態の平面図である。
【図5】スプロケットに塗布治具を重合させた状態の縦断正面図である。
【図6】グリスが塗布された状態のスプロケットの平面図である。
【図7】グリスが塗布された状態のスプロケットの縦断正面図である。
【図8】段付きピンの正面図である。
【図9】第2の実施形態の塗布治具の平面図である。
【図10】同じく塗布治具の縦断正面図である。
【図11】段付きピンと塗布治具とを嵌合させた状態の縦断正面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 スプロケット
5 凹溝
7 塗布治具
9、10 塗布用開口
20 段付きピン
20A 基板
20B、C、D 円筒部
21 塗布治具
21B、C 凹部
S1、2、3 空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面を有する被塗布材上にグリスを塗布するための塗布治具であって、前記被塗布材上に重合されて、開設された開口を介して前記被塗布材の平面上に前記グリスを塗布することを特徴とするグリスの塗布治具。
【請求項2】
円筒部を有する被塗布材上にグリスを塗布するための塗布治具であって、前記被塗布材の円筒部の外周の一部を露出するように凹部内に収納すると共にこの収納凹部を形成する壁と被塗布材との間に空間を形成して、前記露出した前記被塗布材の円筒部に前記グリスを塗布することを特徴とするグリスの塗布治具。
【請求項1】
平面を有する被塗布材上にグリスを塗布するための塗布治具であって、前記被塗布材上に重合されて、開設された開口を介して前記被塗布材の平面上に前記グリスを塗布することを特徴とするグリスの塗布治具。
【請求項2】
円筒部を有する被塗布材上にグリスを塗布するための塗布治具であって、前記被塗布材の円筒部の外周の一部を露出するように凹部内に収納すると共にこの収納凹部を形成する壁と被塗布材との間に空間を形成して、前記露出した前記被塗布材の円筒部に前記グリスを塗布することを特徴とするグリスの塗布治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−240933(P2008−240933A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83788(P2007−83788)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】
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