グリップにリマインダーリブを成形する装置および方法
【課題】リマインダーリブ付きのグリップを成形する方法および装置を提供する。
【解決手段】改良したコアバーを利用してハンドグリップにリマインダーリブを成形する装置と方法であり、改良したコアバー40は、ハンドグリップの内側表面にリブを成形するために、コアバー40の成形型部46に軸方向に延在する溝42を有している。ハンドグリップをシャフトまたはハンドルに装着すると、内側リブにより、ハンドグリップの外側にリマインダーリブが形成される。
【解決手段】改良したコアバーを利用してハンドグリップにリマインダーリブを成形する装置と方法であり、改良したコアバー40は、ハンドグリップの内側表面にリブを成形するために、コアバー40の成形型部46に軸方向に延在する溝42を有している。ハンドグリップをシャフトまたはハンドルに装着すると、内側リブにより、ハンドグリップの外側にリマインダーリブが形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリップにリマインダーリブを成形する装置および方法に関するものであり、特に、ゴルフクラブのグリップにリマインダーリブを成形する装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
単に丸い、すなわち、円形断面のグリップを好むゴルファーやクラブ製造業者がいる一方、リマインダーリブ(バックライン)を備えたグリップを好む人もいる。ゴルフグリップの製造業者や供給者は、両方の形態のグリップモデルを製造したり、仕入れたりして、両方の市場の顧客に供給しようとしている。一つの形態では、丸いコア部、すなわち、壁部を有している。他の形態では、リブ付きのコア、すなわち、グリップをクラブシャフトに装着した際に、わずかに隆起して突出するように、一側を平坦にした内壁で成形されたコアを有している。このような二つの異なるグリップモデルの在庫を製造して維持することは、ゴルフグリップの製造業者や供給者のビジネスが複雑となり、また、コスト負担となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、リマインダーリブ付きのグリップを成形する方法を提供する。グリップは、所定の深さと長さを有する軸方向の溝を備えたコアバーすなわちマンドレルで成形される。エラストマー材料がコアバーの周囲で成形される際に、グリップの内側に軸方向に延在するリブが形成される。
【0004】
また、本発明は、リマインダーリブを備えたグリップを成形する装置を提供する。圧縮成形型のコアバーにフィットするように構成されたスリーブは、スリーブの軸方向に配置された所定の深さと長さを有する軸方向の溝を有する。スリーブがコアバーに配置され、そこでエラストマー材料が成形されると、グリップの内側に軸方向に配設されたリマインダーリブを有するグリップが完成する。
【0005】
さらに、本発明は、所定の深さと長さを有する軸方向の溝を有し、成形型内で使用されるように構成された改良コアバーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のグリップの成形方法に係る発明は、グリップ用の成形型を準備するステップと、前記成形型で使用するコアバーに、所定の深さと長さを有する軸方向溝を形成するステップと、前記溝付きのコアバーを前記成形型に配置するステップと、前記コアバーの周囲にエラストマー材料が位置するように、前記成形型内にエラストマー材料をセットするステップと、グリップの裏側部分のために、グリップの内表面に軸方法に延在する内側リブを備えたグリップを成形するステップと、を特徴とする。
【0007】
また、請求項11のグリップに係る発明は、請求項2の成形方法に従って製造されることを特徴とし、請求項12のグリップに係る発明は、請求項3の成形方法に従って製造されることを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項13の改良したコアバーに係る発明は、ハンドル部と成形型部を有する円筒構造体と、所定の長さと深さを有し、前記成形型部に軸方向に延在する溝とからなり、該溝は、エラストマー成形工程で、ハンドグリップ用の内側リブを成形するように配置されていることを特徴とする。
本発明の特徴とする新規な点は、本明細書に添付され本明細書の一部を構成する請求の範囲に示されている。より一層理解するために、また、使用することにより得られる利点は、図面と共に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、シャフト上のゴルフクラブグリップの断面図である。
【図2】図2は、図1の2−2線に沿ったグリップの断面図である。
【図3】図3は、リマインダーリブを形成するために使用される従来のグリップの断面図である。
【図4】図4は、本発明により成形されたゴルフクラブグリップをシャフトに装着した断面図である。
【図5】図5は、本発明により成形されたゴルフクラブグリップの断面図である。
【図6】図6は、本発明により成形されたゴルフクラブグリップの一部の軸方向断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態のコアバーの斜視図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態のコアバーの断面図である。
【図9】図9は、本発明で使用する圧縮成形型をコアバーと共に示す図である。
【図10】図10は、本発明の他の実施の形態を示す図7と同様の図である。
【図11】図11は、本発明の他の実施の形態を示す図8と同様の図である。
【図12】図12は、本発明の成形工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を限定しようとするものではなく、また、同様の符号は同様の或いは相当する特徴を示す図面を参照すると、まず図1には、ゴルフクラブシャフト12に装着されたゴルフクラブグリップ10の断面が示されている。本発明は、特に、ゴルフクラブグリップに適用し、それに関連して説明しているが、本発明は、ゴルフクラブグリップのみに制限されるように解釈されるべきではないことを理解すべきである。本発明は、いかなるハンドグリップにも等しく適用することができる。
ゴルフクラブグリップ10は、従来周知のスリップ−オンタイプのゴルフクラブグリップである。ここで使用している「スリップ−オン」という用語は、ハンドルまたはシャフト12上でスライドするようにデザインされ、両面接着テープや他の適宜の方法で固定されるグリップを参照しようとするものである。図2を参照すると、グリップ10は実質的に円形であり、その内壁が円形形状を維持するように隣接するシャフト12に装着されている。
【0011】
所定の動作のために、なじみのある方法でグリップをすばやく握ることができる場所をグリップの基準とすることが好まれる。ゴルファーにとっては、リブは、グリップの下側、すなわち、裏側に配置されている。米国ゴルフ協会(U.S.G.A.)および現在のゴルフ規則は、パター以外のあらゆるゴルフクラブのグリップは断面円形であることを要求している。この規則では、グリップの裏側の連続して、真っ直ぐで、やや隆起したリブは、グリップの実質的に長さ全体に沿って組み込むことができることを特例としている。このリブは、「リマインダー」リブとして参照されている。このリマインダーリブは、ゴルファーが、グリップのハンドポジションと適当な手の位置をすばやく確認できるようにアシストする。ゴルフの規則では、用語「やや隆起した」を、この形式のグリップでは、グリップのあらゆる位置の断面の最大径と最小径が、約0.04インチ、すなわち、1ミリメータ(mm)を越えてはならないという意味に解釈する。ゴルフの規則に規定されているように、この計測は、測径器、レーザマイクロメータ、或いは、他の同様の機器を用いて実施される。ゴルフグリップの標準的な長は、ほぼ254mmであり、「グリップの長さ全体」という用語は、リブはティップ(グリップの細い部分)のほぼ76mm以内に延在していなければならないという意味に解釈される。この部分は、クラブフェースに最も近いゴルフグリップの部分である。これは、グリップ上のゴルファーの手の範囲をカバーするには十分であると考えられる。
【0012】
図3には、リマインダーリブ16を形成するために使用される従来のグリップ14の断面が示されている。従来のグリップ14は、平坦部分18がグリップ14内に形成されていた。グリップ14がシャフト12に取り付けられると、平坦部18は、リマインダーリブ16を形成する部分を膨らませる。
【0013】
グリップ材料のデュロメータとグリップの断面の厚さにもよるが、グリップが先細になるにしたがってリマインダーリブの高さに影響を及ぼす可能性がある。リマインダーリブの高さは変化すると共に、リマインダーリブの両側の表面の膨らみの幅も変化する。このことは、ベースが広くなるほど、リマインダーリブは高くなるが、膨らみ部の幅も広くなることを意味する。その結果、ゴルファーには、リマインダーリブの感覚を減少させてしまうおそれがある。
【0014】
リマインダーリブを正確に機能させるためには、常にシャフトの軸に平行で、かつ、シャフトとグリップの背部の中心に垂直でなければならないが、ほぼ5度から10度のプラスまたはマイナスは、ゴルファーによっては許容される。それゆえに、リマインダーリブの配置は、グリップを製造する際に、また、グリップをシャフトに正確に配置する際に、素早くかつ確実に調整することを困難としている。
【0015】
図4〜図6を参照すると、グリップ20の内表面24に延在するリブ22を有する本発明のグリップ20が示されている。図4に示すように、グリップ20がシャフト12に装着されると、内側のリブ22は、グリップの外表面28を外側に膨らますことによってリマインダーリブ26を形成する。上述したように、リマインダーリブの高さは、U.S.G.A.の規則に従うと、ほぼ1ミリメータに等しいか、或いは、それよりも小さくなければならない。したがって、内側リブ22の高さは、グリップ20がシャフト12に装着された場合に、リマインダーリブ26の高さは1mmを超えてはならない。
【0016】
図5に示すリブ22は、平坦な底部23を有するV形状リブとして示されているが、リブ22は、山のようなもっと丸い形状、或いは、平坦な底部がない鋭いV形状とすることができることを理解すべきである。グリップ20が、ゴルフクラブシャフト12に正しく装着されると、内側リブ22は、リマインダーリブ26を形成させる。図6に示すように、内側リブ22は、グリップの一部の内表面に、軸方向に直線状に延在している。外表面は、グリップ20の下側表面、すなわち、裏側表面29として使用される。
【0017】
内側リブ22を有するグリップ20を成形するために、改良したコアバー40は、図7および図8に示すように、コアバー40の外表面44の実質的な長さに、軸方向のスロット、すなわち、溝42を備えている。コアバー40は円筒構造であり、成形型部46とハンドル部48を有している。図7に示すように、コアバー40の成形型部46は実質的に円筒形状であるが、ゴルフクラブグリップ用の成形型部46は、わずかにテーパー形状とすることができることを理解すべきである。溝42は、ゴルフの規則に従って、クラブフェースに最も近いグリップの端部であるグリップのティップのほぼ76mm以内に延びていなければならない。一般に、ゴルフグリップはほぼ254mmの長さであるので、溝42は、ほぼ178mmからほぼ254mmの長さの範囲とすることができる。当然、この範囲は図示を目的とするものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0018】
コアバー40の成形型部46は、図9に示すように圧縮成形型32内の中心に配置される。他の実施の形態では、コアバー40は射出成形型で用いることができる。エラストマー材料が型内にセットされ、例えば、台形形状の細長いエラストマー材料が、圧縮成形型32の上側および下側キャビティ部34,36にセットされ、次に、内側リブ22を有するグリップ20を成形するために、エラストマー材料を接合および加硫処理するのに十分な圧縮力を有する温度で加熱される。コアバーが成形型内に定置されているので、グリップ20の下側すなわち裏側29に内側リブ22が形成される。ここで使用する「エラストマー」材料という用語は、天然ゴムや合成ゴム、シリコーン、エラストマー、或いは、それらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。コアバー40はハンドル部48を備えており、成形型への挿入および取り出しを容易としている。射出成型工程では、エラストマー材料は、液体、ペレット、或いは、細長い部材の形態で成形型内に導入される。
【0019】
図8に戻ると、溝42の寸法は、選択したエラストマー材料やグリップの断面の厚さに左右される。図示を目的とするゴルフクラブグリップは、溝42は、ほぼ0.75mmからほぼ4.70mmの範囲の幅Wと、ほぼ0.75mmからほぼ2.54mmの範囲の深さdを有している。図7に示すように、溝42は平坦な底部43を有しており、内側リブ22の平坦な底部23を形成する。上述したように、他の実施の形態では、内側リブ22の形状に合わせて、適宜の形状の溝42を含む。溝42を備えた改良コアバー40は、内側リブの成形をさらに調整することができるので、グリップ20をシャフト12に装着する場合に、リマインダーリブ26のデザインや構造をさらに調整することができる。
【0020】
図10および図11を参照すると、本発明の他の実施の形態に係るコアバー50が示されている。コアバー50は、コアバー40と構造的に同じであるが、成形部56は、コアバー40の成形部の外径よりも小さい外径d1である。コアバー50の縮径部d1は、スリーブ52に切り込まれたスロット、すなわち、溝54を有するスリーブ52を受け入れる。スリーブ52は、例えば、一つ以上のねじ開口60を介して、位置決めねじのような締結部材でコアバー50の成形部56に着脱自在に取り付けられるように構成されている。この他の実施の形態に係るスリーブ52は、螺旋状の破線62で示すように、コアバー50の成形部56にねじ込まれる。コアバー50はハンドル部58を備えており、コアバー40を参照して説明したように成形工程で使用される。着脱自在のねじ込みスリーブ52を使用することにより、図1および図2に示すような通常の形式のグリップ10を成形するためにコアバー50を使用することができ、また、コアバー52を利用して、本発明のグリップ20を成形することができる。スリーブ52に切りこまれた溝54は、コアバー40を参照して説明したように形成される。
【0021】
図12には、本発明のステップを示す工程のフローチャートである。工程は、ステップ70で開始され、グリップ用の適宜の成形型を準備する。前述したように、成形型は、圧縮成形型或いは射出成形型である。次のステップ72で、成形型で使用されるコアバーに軸方向の溝が形成される。コアバーは、次に、ステップ74で成形型内に配置される。ステップ76で、エラストマー材料が成形型にセットされる。このステップ76は、全部または一部が、ステップ74に先立って実行される。例えば、圧縮成形工程では、エラストマー材料の一部が、圧縮成形型32の下型部36にセットされ、続いて、コアバー40,50が配置される。次に、追加のエラストマー材料がコアバー40,50の上にセットされ、続いて、成形型は、上型部34で密封される。エラストマー材料は、また、射出成形型では、ペレットまたは液体の形態のエラストマー材料が成形型にセットされ、グリップの所定の下側部分29に沿って軸方向にリマインダーリブ22を有するグリップ20を製造する。ステップ78では、内側リブ22を有するグリップ20が成形されるので、グリップ20がシャフト12に装着されると、リマインダーリブ26が形成される。
【0022】
本発明の原理の適用例を詳細に示して本発明の特定の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの原理から離れることなく別な方法で具体化できることを理解されたい。
【符号の説明】
【0023】
12 シャフト
20 グリップ
22 内側リブ
23 平坦な底部
24 内表面
26 リマインダーリブ
28 外表面
29 グリップの下側(裏側)
32 圧縮成形型
34 上側キャビティ部
36 下側キャビティ部
40,50 コアバー
42,54 溝
43 平坦な底部
44 外表面
46,56 成形型部
48,58 ハンドル部
52 スリーブ
60 ねじ開口
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリップにリマインダーリブを成形する装置および方法に関するものであり、特に、ゴルフクラブのグリップにリマインダーリブを成形する装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
単に丸い、すなわち、円形断面のグリップを好むゴルファーやクラブ製造業者がいる一方、リマインダーリブ(バックライン)を備えたグリップを好む人もいる。ゴルフグリップの製造業者や供給者は、両方の形態のグリップモデルを製造したり、仕入れたりして、両方の市場の顧客に供給しようとしている。一つの形態では、丸いコア部、すなわち、壁部を有している。他の形態では、リブ付きのコア、すなわち、グリップをクラブシャフトに装着した際に、わずかに隆起して突出するように、一側を平坦にした内壁で成形されたコアを有している。このような二つの異なるグリップモデルの在庫を製造して維持することは、ゴルフグリップの製造業者や供給者のビジネスが複雑となり、また、コスト負担となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、リマインダーリブ付きのグリップを成形する方法を提供する。グリップは、所定の深さと長さを有する軸方向の溝を備えたコアバーすなわちマンドレルで成形される。エラストマー材料がコアバーの周囲で成形される際に、グリップの内側に軸方向に延在するリブが形成される。
【0004】
また、本発明は、リマインダーリブを備えたグリップを成形する装置を提供する。圧縮成形型のコアバーにフィットするように構成されたスリーブは、スリーブの軸方向に配置された所定の深さと長さを有する軸方向の溝を有する。スリーブがコアバーに配置され、そこでエラストマー材料が成形されると、グリップの内側に軸方向に配設されたリマインダーリブを有するグリップが完成する。
【0005】
さらに、本発明は、所定の深さと長さを有する軸方向の溝を有し、成形型内で使用されるように構成された改良コアバーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のグリップの成形方法に係る発明は、グリップ用の成形型を準備するステップと、前記成形型で使用するコアバーに、所定の深さと長さを有する軸方向溝を形成するステップと、前記溝付きのコアバーを前記成形型に配置するステップと、前記コアバーの周囲にエラストマー材料が位置するように、前記成形型内にエラストマー材料をセットするステップと、グリップの裏側部分のために、グリップの内表面に軸方法に延在する内側リブを備えたグリップを成形するステップと、を特徴とする。
【0007】
また、請求項11のグリップに係る発明は、請求項2の成形方法に従って製造されることを特徴とし、請求項12のグリップに係る発明は、請求項3の成形方法に従って製造されることを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項13の改良したコアバーに係る発明は、ハンドル部と成形型部を有する円筒構造体と、所定の長さと深さを有し、前記成形型部に軸方向に延在する溝とからなり、該溝は、エラストマー成形工程で、ハンドグリップ用の内側リブを成形するように配置されていることを特徴とする。
本発明の特徴とする新規な点は、本明細書に添付され本明細書の一部を構成する請求の範囲に示されている。より一層理解するために、また、使用することにより得られる利点は、図面と共に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、シャフト上のゴルフクラブグリップの断面図である。
【図2】図2は、図1の2−2線に沿ったグリップの断面図である。
【図3】図3は、リマインダーリブを形成するために使用される従来のグリップの断面図である。
【図4】図4は、本発明により成形されたゴルフクラブグリップをシャフトに装着した断面図である。
【図5】図5は、本発明により成形されたゴルフクラブグリップの断面図である。
【図6】図6は、本発明により成形されたゴルフクラブグリップの一部の軸方向断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態のコアバーの斜視図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態のコアバーの断面図である。
【図9】図9は、本発明で使用する圧縮成形型をコアバーと共に示す図である。
【図10】図10は、本発明の他の実施の形態を示す図7と同様の図である。
【図11】図11は、本発明の他の実施の形態を示す図8と同様の図である。
【図12】図12は、本発明の成形工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を限定しようとするものではなく、また、同様の符号は同様の或いは相当する特徴を示す図面を参照すると、まず図1には、ゴルフクラブシャフト12に装着されたゴルフクラブグリップ10の断面が示されている。本発明は、特に、ゴルフクラブグリップに適用し、それに関連して説明しているが、本発明は、ゴルフクラブグリップのみに制限されるように解釈されるべきではないことを理解すべきである。本発明は、いかなるハンドグリップにも等しく適用することができる。
ゴルフクラブグリップ10は、従来周知のスリップ−オンタイプのゴルフクラブグリップである。ここで使用している「スリップ−オン」という用語は、ハンドルまたはシャフト12上でスライドするようにデザインされ、両面接着テープや他の適宜の方法で固定されるグリップを参照しようとするものである。図2を参照すると、グリップ10は実質的に円形であり、その内壁が円形形状を維持するように隣接するシャフト12に装着されている。
【0011】
所定の動作のために、なじみのある方法でグリップをすばやく握ることができる場所をグリップの基準とすることが好まれる。ゴルファーにとっては、リブは、グリップの下側、すなわち、裏側に配置されている。米国ゴルフ協会(U.S.G.A.)および現在のゴルフ規則は、パター以外のあらゆるゴルフクラブのグリップは断面円形であることを要求している。この規則では、グリップの裏側の連続して、真っ直ぐで、やや隆起したリブは、グリップの実質的に長さ全体に沿って組み込むことができることを特例としている。このリブは、「リマインダー」リブとして参照されている。このリマインダーリブは、ゴルファーが、グリップのハンドポジションと適当な手の位置をすばやく確認できるようにアシストする。ゴルフの規則では、用語「やや隆起した」を、この形式のグリップでは、グリップのあらゆる位置の断面の最大径と最小径が、約0.04インチ、すなわち、1ミリメータ(mm)を越えてはならないという意味に解釈する。ゴルフの規則に規定されているように、この計測は、測径器、レーザマイクロメータ、或いは、他の同様の機器を用いて実施される。ゴルフグリップの標準的な長は、ほぼ254mmであり、「グリップの長さ全体」という用語は、リブはティップ(グリップの細い部分)のほぼ76mm以内に延在していなければならないという意味に解釈される。この部分は、クラブフェースに最も近いゴルフグリップの部分である。これは、グリップ上のゴルファーの手の範囲をカバーするには十分であると考えられる。
【0012】
図3には、リマインダーリブ16を形成するために使用される従来のグリップ14の断面が示されている。従来のグリップ14は、平坦部分18がグリップ14内に形成されていた。グリップ14がシャフト12に取り付けられると、平坦部18は、リマインダーリブ16を形成する部分を膨らませる。
【0013】
グリップ材料のデュロメータとグリップの断面の厚さにもよるが、グリップが先細になるにしたがってリマインダーリブの高さに影響を及ぼす可能性がある。リマインダーリブの高さは変化すると共に、リマインダーリブの両側の表面の膨らみの幅も変化する。このことは、ベースが広くなるほど、リマインダーリブは高くなるが、膨らみ部の幅も広くなることを意味する。その結果、ゴルファーには、リマインダーリブの感覚を減少させてしまうおそれがある。
【0014】
リマインダーリブを正確に機能させるためには、常にシャフトの軸に平行で、かつ、シャフトとグリップの背部の中心に垂直でなければならないが、ほぼ5度から10度のプラスまたはマイナスは、ゴルファーによっては許容される。それゆえに、リマインダーリブの配置は、グリップを製造する際に、また、グリップをシャフトに正確に配置する際に、素早くかつ確実に調整することを困難としている。
【0015】
図4〜図6を参照すると、グリップ20の内表面24に延在するリブ22を有する本発明のグリップ20が示されている。図4に示すように、グリップ20がシャフト12に装着されると、内側のリブ22は、グリップの外表面28を外側に膨らますことによってリマインダーリブ26を形成する。上述したように、リマインダーリブの高さは、U.S.G.A.の規則に従うと、ほぼ1ミリメータに等しいか、或いは、それよりも小さくなければならない。したがって、内側リブ22の高さは、グリップ20がシャフト12に装着された場合に、リマインダーリブ26の高さは1mmを超えてはならない。
【0016】
図5に示すリブ22は、平坦な底部23を有するV形状リブとして示されているが、リブ22は、山のようなもっと丸い形状、或いは、平坦な底部がない鋭いV形状とすることができることを理解すべきである。グリップ20が、ゴルフクラブシャフト12に正しく装着されると、内側リブ22は、リマインダーリブ26を形成させる。図6に示すように、内側リブ22は、グリップの一部の内表面に、軸方向に直線状に延在している。外表面は、グリップ20の下側表面、すなわち、裏側表面29として使用される。
【0017】
内側リブ22を有するグリップ20を成形するために、改良したコアバー40は、図7および図8に示すように、コアバー40の外表面44の実質的な長さに、軸方向のスロット、すなわち、溝42を備えている。コアバー40は円筒構造であり、成形型部46とハンドル部48を有している。図7に示すように、コアバー40の成形型部46は実質的に円筒形状であるが、ゴルフクラブグリップ用の成形型部46は、わずかにテーパー形状とすることができることを理解すべきである。溝42は、ゴルフの規則に従って、クラブフェースに最も近いグリップの端部であるグリップのティップのほぼ76mm以内に延びていなければならない。一般に、ゴルフグリップはほぼ254mmの長さであるので、溝42は、ほぼ178mmからほぼ254mmの長さの範囲とすることができる。当然、この範囲は図示を目的とするものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0018】
コアバー40の成形型部46は、図9に示すように圧縮成形型32内の中心に配置される。他の実施の形態では、コアバー40は射出成形型で用いることができる。エラストマー材料が型内にセットされ、例えば、台形形状の細長いエラストマー材料が、圧縮成形型32の上側および下側キャビティ部34,36にセットされ、次に、内側リブ22を有するグリップ20を成形するために、エラストマー材料を接合および加硫処理するのに十分な圧縮力を有する温度で加熱される。コアバーが成形型内に定置されているので、グリップ20の下側すなわち裏側29に内側リブ22が形成される。ここで使用する「エラストマー」材料という用語は、天然ゴムや合成ゴム、シリコーン、エラストマー、或いは、それらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。コアバー40はハンドル部48を備えており、成形型への挿入および取り出しを容易としている。射出成型工程では、エラストマー材料は、液体、ペレット、或いは、細長い部材の形態で成形型内に導入される。
【0019】
図8に戻ると、溝42の寸法は、選択したエラストマー材料やグリップの断面の厚さに左右される。図示を目的とするゴルフクラブグリップは、溝42は、ほぼ0.75mmからほぼ4.70mmの範囲の幅Wと、ほぼ0.75mmからほぼ2.54mmの範囲の深さdを有している。図7に示すように、溝42は平坦な底部43を有しており、内側リブ22の平坦な底部23を形成する。上述したように、他の実施の形態では、内側リブ22の形状に合わせて、適宜の形状の溝42を含む。溝42を備えた改良コアバー40は、内側リブの成形をさらに調整することができるので、グリップ20をシャフト12に装着する場合に、リマインダーリブ26のデザインや構造をさらに調整することができる。
【0020】
図10および図11を参照すると、本発明の他の実施の形態に係るコアバー50が示されている。コアバー50は、コアバー40と構造的に同じであるが、成形部56は、コアバー40の成形部の外径よりも小さい外径d1である。コアバー50の縮径部d1は、スリーブ52に切り込まれたスロット、すなわち、溝54を有するスリーブ52を受け入れる。スリーブ52は、例えば、一つ以上のねじ開口60を介して、位置決めねじのような締結部材でコアバー50の成形部56に着脱自在に取り付けられるように構成されている。この他の実施の形態に係るスリーブ52は、螺旋状の破線62で示すように、コアバー50の成形部56にねじ込まれる。コアバー50はハンドル部58を備えており、コアバー40を参照して説明したように成形工程で使用される。着脱自在のねじ込みスリーブ52を使用することにより、図1および図2に示すような通常の形式のグリップ10を成形するためにコアバー50を使用することができ、また、コアバー52を利用して、本発明のグリップ20を成形することができる。スリーブ52に切りこまれた溝54は、コアバー40を参照して説明したように形成される。
【0021】
図12には、本発明のステップを示す工程のフローチャートである。工程は、ステップ70で開始され、グリップ用の適宜の成形型を準備する。前述したように、成形型は、圧縮成形型或いは射出成形型である。次のステップ72で、成形型で使用されるコアバーに軸方向の溝が形成される。コアバーは、次に、ステップ74で成形型内に配置される。ステップ76で、エラストマー材料が成形型にセットされる。このステップ76は、全部または一部が、ステップ74に先立って実行される。例えば、圧縮成形工程では、エラストマー材料の一部が、圧縮成形型32の下型部36にセットされ、続いて、コアバー40,50が配置される。次に、追加のエラストマー材料がコアバー40,50の上にセットされ、続いて、成形型は、上型部34で密封される。エラストマー材料は、また、射出成形型では、ペレットまたは液体の形態のエラストマー材料が成形型にセットされ、グリップの所定の下側部分29に沿って軸方向にリマインダーリブ22を有するグリップ20を製造する。ステップ78では、内側リブ22を有するグリップ20が成形されるので、グリップ20がシャフト12に装着されると、リマインダーリブ26が形成される。
【0022】
本発明の原理の適用例を詳細に示して本発明の特定の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの原理から離れることなく別な方法で具体化できることを理解されたい。
【符号の説明】
【0023】
12 シャフト
20 グリップ
22 内側リブ
23 平坦な底部
24 内表面
26 リマインダーリブ
28 外表面
29 グリップの下側(裏側)
32 圧縮成形型
34 上側キャビティ部
36 下側キャビティ部
40,50 コアバー
42,54 溝
43 平坦な底部
44 外表面
46,56 成形型部
48,58 ハンドル部
52 スリーブ
60 ねじ開口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップ用の成形型を準備するステップと、
前記成形型で使用するコアバーに、所定の深さと長さを有する軸方向の溝を形成するステップと、
前記溝付きのコアバーを前記成形型に配置するステップと、
前記コアバーの周囲にエラストマー材料が位置するように、前記成形型内にエラストマー材料をセットするステップと、
グリップの裏側部分のために、グリップの内表面に軸方法に延在する内側リブを備えたグリップを成形するステップと、を特徴とするグリップの成形方法。
【請求項2】
成形型を準備する前記ステップは、上側部分と下側部分とからなる圧縮成形型を準備するステップからなることを特徴とする請求項1に記載の成形方法。
【請求項3】
成形型を準備する前記ステップは、射出成形型を準備するステップからなり、また、グリップを成形する前記ステップは、グリップを射出成形するステップからなることを特徴とする請求項1に記載の成形方法。
【請求項4】
成形型内にエラストマー材料をセットする前記ステップは、前記圧縮成形型の上側部分と下側部分にエラストマー材料の細長い部材をセットするステップからなることを特徴とする請求項2に記載の成形方法。
【請求項5】
コアバーに軸方向の溝を形成する前記ステップは、ほぼ0.75mmからほぼ4.70mmの範囲の幅で、かつ、ほぼ0.75mmからほぼ2.54mmの範囲の深さの溝を、コアバーの軸方向に切削するステップからなることを特徴とする請求項1に記載の成形方法。
【請求項6】
コアバーに軸方向の溝を切削する前記ステップは、少なくともほぼ178mmよりは長いが、ほぼ254mmよりは短い長さの溝を切削するステップからなることを特徴とする請求項5に記載の成形方法。
【請求項7】
軸方向の溝を切削する前記ステップは、実質的に平坦な底部分を備えた溝を切削するステップからなることを特徴とする請求項6に記載の成形方法。
【請求項8】
軸方向の溝を切削する前記ステップは、コアバーにスライド自在に支持されるように構成されたスリーブに軸方向の溝を切削するステップからなることを特徴とする請求項1に記載の成形方法。
【請求項9】
軸方向の溝を切削する前記ステップは、V形状の溝を形成するステップからなることを特徴とする請求項6に記載の成形方法。
【請求項10】
グリップを成形する前記ステップは、グリップを成形するような圧縮力で圧縮成形型を加熱するステップからなることを特徴とする請求項2に記載の成形方法。
【請求項11】
請求項2の成形方法により製造されたグリップ。
【請求項12】
請求項3の成形方法により製造されたグリップ。
【請求項13】
ハンドル部と成形型部を有する円筒構造体と、所定の長さと深さを有し、前記成形型部に軸方向に延在する溝とからなり、該溝は、エラストマー成形プロセスで、ハンドグリップ用の内側リブを成形するように配置されていることを特徴とする改良コアバー。
【請求項14】
前記コアバーは、前記溝を有する着脱自在のスリーブを含むことを特徴とする請求項13に記載の改良コアバー。
【請求項15】
前記溝は、幅Wが、ほぼ0.75mmからほぼ4.70mmで、かつ、深さdが、ほぼ0.75mmからほぼ2.54mmの範囲であることを特徴とする請求項13に記載の改良コアバー。
【請求項1】
グリップ用の成形型を準備するステップと、
前記成形型で使用するコアバーに、所定の深さと長さを有する軸方向の溝を形成するステップと、
前記溝付きのコアバーを前記成形型に配置するステップと、
前記コアバーの周囲にエラストマー材料が位置するように、前記成形型内にエラストマー材料をセットするステップと、
グリップの裏側部分のために、グリップの内表面に軸方法に延在する内側リブを備えたグリップを成形するステップと、を特徴とするグリップの成形方法。
【請求項2】
成形型を準備する前記ステップは、上側部分と下側部分とからなる圧縮成形型を準備するステップからなることを特徴とする請求項1に記載の成形方法。
【請求項3】
成形型を準備する前記ステップは、射出成形型を準備するステップからなり、また、グリップを成形する前記ステップは、グリップを射出成形するステップからなることを特徴とする請求項1に記載の成形方法。
【請求項4】
成形型内にエラストマー材料をセットする前記ステップは、前記圧縮成形型の上側部分と下側部分にエラストマー材料の細長い部材をセットするステップからなることを特徴とする請求項2に記載の成形方法。
【請求項5】
コアバーに軸方向の溝を形成する前記ステップは、ほぼ0.75mmからほぼ4.70mmの範囲の幅で、かつ、ほぼ0.75mmからほぼ2.54mmの範囲の深さの溝を、コアバーの軸方向に切削するステップからなることを特徴とする請求項1に記載の成形方法。
【請求項6】
コアバーに軸方向の溝を切削する前記ステップは、少なくともほぼ178mmよりは長いが、ほぼ254mmよりは短い長さの溝を切削するステップからなることを特徴とする請求項5に記載の成形方法。
【請求項7】
軸方向の溝を切削する前記ステップは、実質的に平坦な底部分を備えた溝を切削するステップからなることを特徴とする請求項6に記載の成形方法。
【請求項8】
軸方向の溝を切削する前記ステップは、コアバーにスライド自在に支持されるように構成されたスリーブに軸方向の溝を切削するステップからなることを特徴とする請求項1に記載の成形方法。
【請求項9】
軸方向の溝を切削する前記ステップは、V形状の溝を形成するステップからなることを特徴とする請求項6に記載の成形方法。
【請求項10】
グリップを成形する前記ステップは、グリップを成形するような圧縮力で圧縮成形型を加熱するステップからなることを特徴とする請求項2に記載の成形方法。
【請求項11】
請求項2の成形方法により製造されたグリップ。
【請求項12】
請求項3の成形方法により製造されたグリップ。
【請求項13】
ハンドル部と成形型部を有する円筒構造体と、所定の長さと深さを有し、前記成形型部に軸方向に延在する溝とからなり、該溝は、エラストマー成形プロセスで、ハンドグリップ用の内側リブを成形するように配置されていることを特徴とする改良コアバー。
【請求項14】
前記コアバーは、前記溝を有する着脱自在のスリーブを含むことを特徴とする請求項13に記載の改良コアバー。
【請求項15】
前記溝は、幅Wが、ほぼ0.75mmからほぼ4.70mmで、かつ、深さdが、ほぼ0.75mmからほぼ2.54mmの範囲であることを特徴とする請求項13に記載の改良コアバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−269149(P2010−269149A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118428(P2010−118428)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]