説明

グリップエンド高さ測定器具

【課題】ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブのアドレス時におけるグリップエンドの高さを、適切に測定することができる装置を提供することを課題とする。
【解決手段】シャフト中心軸の鉛直又は水平に対する角度を測定する傾斜角センサーが設けられたゴルフクラブのグリップエンド近傍の地面からの高さを測定するグリップエンド高さ測定具として、レーザー照射方向が前記シャフト中心軸に対して常に一定の角度となるようにグリップエンド位置に固定されるレーザー距離計と、前記レーザー距離計を前記シャフト中心軸に回動可能に保持するとともに、使用者が前記クラブを持って構えた状態で、前記レーザー距離計から照射されるレーザーが地面に垂直な平面に存するように、前記レーザー距離計の方向を調節するレーザー距離計方向調節手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブのグリップエンド近傍の地面からの高さを測定する器具に関する。
【背景技術】
【0002】
本願の発明者らは、モーションセンサーをゴルフクラブのグリップエンドに固定することで、ゴルフスイングを測定する装置を発明した。モーションセンサーは、直交する3軸に関する傾斜角と加速度を検知することができるので、グリップエンドに固定し、時間経過とともに、状態を検知していくことで、クラブスイングの軌跡を算出することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなゴルフスイング測定装置においてゴルフクラブの空間的な軌跡を描くには、モーションセンサーの初期位置情報を設定しておく必要がある。初期位置としてはスイングが止まっているアドレス時のモーションセンサーの傾斜角と、高さの2つの情報があればよい。このうち、モーションセンサーの傾斜角はモーションセンサー自体で検知できるが、高さに関し正確に測定する手段は、従来存在しなかった。
このようなグリップエンド位置の高さを測定する装置は、上述したモーションセンサーを利用したスイング軌跡を算出する装置に用いることができる他、ゴルフクラブや練習用のゴルフクラブなどでスイング練習をする際においても、アドレス時にグリップエンドが適切な高さに位置しているかを判断する手段としても利用できると考えられる。
本発明は、以上のような観点から、ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブのアドレス時におけるグリップエンドの高さを、適切に測定することができる装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブのグリップエンド近傍の地面からの高さを測定するための器具であって、レーザー照射方向が前記クラブのシャフト中心軸に対して常に一定の角度となるようにグリップエンド位置に固定されるレーザー距離計と、前記レーザー距離計を前記シャフト中心軸回りに回動可能に保持するとともに、使用者が前記ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブを持って構えた状態で、前記レーザー距離計から照射されるレーザーが地面に垂直な平面に存するように、前記レーザー距離計の回転位置を調節するレーザー距離計方向調節手段と、レーザー距離計のレーザー照射方向の鉛直又は水平に対する角度を測定する傾斜角センサーとを有するグリップエンド高さ測定具である。なお、模擬ゴルフクラブには、練習用のゴルフクラブや、ゲーム操作のためのゴルフクラブを模した入力器具などが含まれる。
【0005】
請求項2に記載の発明は、シャフト中心軸の鉛直又は水平に対する角度を測定する傾斜角センサーが設けられたゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブのグリップエンド近傍の地面からの高さを測定するための器具であって、レーザー照射方向が前記シャフト中心軸に対して常に一定の角度となるようにグリップエンド位置に固定されるレーザー距離計と、 前記レーザー距離計を前記シャフト中心軸に回動可能に保持するとともに、使用者が前記ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブを持って構えた状態で、前記レーザー距離計から照射されるレーザーが地面に垂直な平面に存するように、前記レーザー距離計の方向を調節するレーザー距離計方向調節手段と、を有するグリップエンド高さ測定具である。
【0006】
請求項3に記載の発明は、前記グリップエンド高さ測定具において、前記レーザー距離計方向調節手段は、前記レーザー距離計のレーザー照射方向が重力により下方側に向くように前記レーザー距離計を前記シャフト中心軸回りに回動自在に保持する一軸重力回動部により形成されるものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載のグリップエンド高さ測定具において、前記ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブのグリップにはセンターマークが表されているものであり、前記レーザー距離計方向調節手段は、前記レーザー距離計を前記シャフト中心軸回りに回動可能かつ任意の回動位置で固定可能に保持する一軸固定回動部と、前記センターマークと前記シャフト中心軸を含む平面上に位置付けると、前記レーザー距離計から照射されるレーザーが前記センターマークと前記シャフト中心軸を含む平面上に存するように前記レーザー距離計に固定される基準部とから構成されるものである。
【0007】
請求項5に記載の発明は、ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブのグリップエンド近傍の地面からの高さを測定するための器具であって、グリップエンド位置に固定されるレーザー距離計と、前記レーザー距離計を前記クラブのシャフト中心軸回り及び当該中心軸に直角な直角軸回りに回動可能に保持するとともに、使用者が前記ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブを持って構えた状態で、前記レーザー距離計のレーザー照射方向が地面に垂直な方向を向くように前記レーザー距離計の方向を調節するレーザー距離計方向調節手段と、
を有するグリップエンド高さ測定具である。
【0008】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のグリップエンド高さ測定具において、前記レーザー距離方向調節手段は、レーザー照射方向が重力により下方側を向くように前記レーザー距離計を前記シャフト中心軸回り及び前記直角軸回りに回動自在に保持する二軸重力回動部により形成されるものである。
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載のグリップエンド高さ測定具において、前記ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブのグリップにはセンターマークが表されているものであり、前記レーザー距離計方向調節手段は、前記直角軸に対して前記レーザー距離計のレーザー照射方向が重力により下方を向くように前記レーザー距離計を回動自在に保持する水平軸重力回動部と、前記水平軸重力回動部を前記シャフト中心軸に対して回動可能かつ任意の回動位置で固定可能に保持する一軸回動固定部と、前記センターマークと前記シャフト中心軸を含む平面上に位置付けると、前記レーザー距離計から照射されるレーザーが前記センターマークと前記シャフト中心軸を含む平面上に存するように、前記一軸回動固定部に固定される基準部とから構成されるものである。
請求項8に記載の発明は、請求項4又は7に記載のグリップエンド高さ測定具において、前記基準部は前記グリップエンド側から見てセンターマーク位置に照準を合わせると、前記センターマークと前記シャフト中心軸を含む平面上に位置付けられるように構成される照準器により構成されるものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のような構成により、本発明は次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明は、ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブに装着して使用者がアドレスをとった状態で、レーザー距離計方向調整手段により、グリップエンド位置に設けられるレーザー距離計から照射されるレーザーを地面に垂直な平面に存するように位置付けて、レーザー距離計により地面までの斜め方向の距離を測定すると、レーザー照射方向のクラブのシャフト中心軸に対する固定の角度と、傾斜角センサーにより測定されるクラブのシャフト中心軸の鉛直又は水平に対する角度により、地面に対するレーザー照射方向の角度がわかるので、これを用いて測定した距離によりグリップエンドから地面までの垂直な高さを算出することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブに予めシャフト中心軸の傾きを検知する傾斜角センサーが設けられているという前提で、やはり、ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブに装着して使用者がアドレスをとった状態で、レーザー距離計方向調整手段により、グリップエンド位置に設けられるレーザー距離計から照射されるレーザーを地面に垂直な平面に存するように位置付けて、レーザー距離計により地面までの斜め方向の距離を測定すれば、この測定値と、傾斜角センサーにより検知される角度と、レーザー距離計の取付角度とを合わせて、地面からグリップエンドまでの高さを測定することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、重力で自然にレーザー照射方向が下を向くように構成されているので、使用者が調整作業をする必要がなく、使用者にとって簡易に測定を行うことができる。
請求項4に記載の発明は、前記レーザー距離計が前記シャフト中心軸回りに回動可能かつ固定可能とされ、基準部をセンターマーク位置に合わせるとレーザー照射方向が下を向くように構成されているので、レーザー距離計がグリップ部分に動くことなく固定された状態で距離の測定を行うことができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブに装着して使用者がアドレスをとった状態で、レーザー距離計方向調整手段により、グリップエンド位置に設けられるレーザー距離計のレーザー照射方向を地面に垂直な方向を向くように調整して、レーザー距離計により地面までの距離を測定すると、グリップエンドから地面までの垂直な高さ得ることができる。また、傾斜角センサーを要しないので、回路構成を簡易にすることができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、重力で自然にレーザー照射方向が地面に垂直な方向を向くように回動するよう構成されるので、使用者が調整作業をする必要がなく、使用者にとって簡易に測定を行うことができる。
請求項7に記載の発明は、前記レーザー距離計が前記シャフト中心軸に直角な直角軸回りに関して重力で自然にレーザー照射方向が下方を向き、シャフト中心軸回りに関しては、回動可能かつ固定可能として、基準部をセンターマーク位置に合わせると、レーザーの照射方向が地面に垂直な面内に存するように構成されることで、レーザー距離計がシャフト中心軸周りに関しては固定された状態で距離の測定を行うことができる。
請求項8に記載の発明は、基準部を照準器とすることで、比較的簡単な構造により基準部を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1に係るグリップエンド高さ測定具位置決め具とグリップエンド高さ測定具とからなるグリップエンド固定ユニットをグリップエンドに固定した状態を示す斜視図である。
【図2】(a)は実施形態1に係るグリップエンド高さ測定具の平面図であり、(b)は実施形態1に係るグリップエンド高さ測定具の正面図であり、(c)は実施形態1に係るグリップエンド高さ測定具の側面図であり、(d)は実施形態1に係るグリップエンド高さ測定具の底面図である。
【図3】実施形態1に係るグリップエンド高さ測定具位置決め具の使用状態を模式的に示す図である。
【図4】実施形態1の変形例に係るグリップエンド高さ測定具位置決め具の側面図である。
【図5】実施形態1の変形例に係るグリップエンド高さ測定具位置決め具の使用状態を模式的に示す図である。
【図6】実施形態2に係るグリップエンド高さ測定具位置決め具とグリップエンド高さ測定具とからなるグリップエンド固定ユニットをグリップエンドに固定した状態を示す斜視図である。
【図7】(a)は実施形態2に係るグリップエンド高さ測定具の平面図であり、(b)は実施形態2に係るグリップエンド高さ測定具の正面図であり、(c)は実施形態2に係るグリップエンド高さ測定具の側面図であり、(d)は実施形態2に係るグリップエンド高さ測定具の底面図である。
【図8】(a)は位置の調整前のグリップエンド側から実施形態2に係るグリップエンド高さ測定具位置決め具の照準器越しにセンターマークを見た状態を示す図であり、(b)は位置の調整完了後のグリップエンド側から実施形態2に係るグリップエンド高さ測定具位置決め具の照準器越しにセンターマークを見た状態を示す図である。
【図9】実施形態3に係るグリップエンド高さ測定具位置決め具とグリップエンド高さ測定具とからなるグリップエンド固定ユニットをグリップエンドに固定した状態を示す斜視図である。
【図10】(a)は実施形態3に係るグリップエンド高さ測定具の平面図であり、(b)は実施形態3に係るグリップエンド高さ測定具の正面図であり、(c)は実施形態3に係るグリップエンド高さ測定具の側面図であり、(d)は実施形態3に係るグリップエンド高さ測定具の底面図である。
【図11】実施形態3に係るグリップエンド高さ測定具位置決め具の使用状態を模式的に示す図である。
【図12】実施形態4に係るグリップエンド高さ測定具位置決め具とグリップエンド高さ測定具とからなるグリップエンド固定ユニットをグリップエンドに固定した状態を示す斜視図である。
【図13】(a)は実施形態4に係るグリップエンド高さ測定具の平面図であり、(b)は実施形態4に係るグリップエンド高さ測定具の正面図であり、(c)は実施形態4に係るグリップエンド高さ測定具の側面図であり、(d)は実施形態4に係るグリップエンド高さ測定具の底面図である。
【図14】(a)基準部としてレーザーポインタを装着したグリップエンド高さ測定具位置決め具の斜視図であり、(b)は基準部として指示針を装着したグリップエンド高さ測定具位置決め具斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1に実施形態1に係るグリップエンド高さ測定具XをモーションセンサーSがグリップエンドに固定されたゴルフクラブに固定した状態を示す斜視図を示す。
モーションセンサーSは、扁平な円筒のケーシングに収められ、静電容量式の加速度センサーにより、直交する3軸に対する加速度および傾斜角を算出するための数値データを検知して内蔵する無線装置により送信するものである。ここでは受信機としてマイコンが内蔵された携帯電話が用いられ、携帯電話に組み込まれたプログラムによりゴルフクラブのシャフト中心軸に対する傾斜角が計算される。即ち、モーションセンサーSはシャフト中心軸に対する傾斜角センサーとしての機能を果たす。
【0016】
図2(a)にグリップエンド高さ測定具Xの平面図を、図2(b)にグリップエンド高さ測定具Xの正面図を、図2(c)にグリップエンド高さ測定具Xの側面図を、図2(d)にグリップエンド高さ測定具Xの底面図をそれぞれ示す。グリップエンド高さ測定具Xはレーザー距離測定部10と、台座部20とから構成される。レーザー距離測定部10は扁平な箱体からなるケーシング11の正面にレーザダイオードによるレーザー光を照射するレーザー出力部12と、レーザー出力部12が照射したレーザーの反射光を検知するレーザー受光部13とが設けられ、ケーシング11内部にレーザー光の出力から受光までの時間を測定する反射時間測定手段が設けられる。これらの構造は一般的なレーザー距離測定器と同様である。ケーシング11内部にはさらに、検知した時間情報を携帯電話に送信する送信手段が内蔵される。
【0017】
台座部20は、ケーシング11の底面を支持固定するものであり、グリップエンド端部とほぼ同じ直径の円板から構成される。台座部20は、円板の中心を垂直に通る回転軸回りにケーシング11が重力により自在に回転するようにケーシング11を上面に固定する。また、台座部20の底面には、モーションセンサーSの上面中心に設けられるシャフト中心軸を通る穴に嵌合固定するために係合突起22が中心に設けられる。このような構造により、台座部20の係合突起22をモーションセンサーSの穴に係合し固定すると、レーザー距離測定部10のレーザー出力部12は、シャフト軸に対して90度の角度を保ちながら、シャフト中心軸回りを重力により常に下方側を向くように回転するように支持されることになる。
【0018】
次に、以上のような構成を有する、グリップエンド高さ測定具Xの使用方法について説明する。使用者はまず、グリップエンドに固定されたモーションセンサーS上面の穴に、台座部20の係合突起22を挿入してグリップエンド高さ測定具Xをグリップエンドに固定する。この状態で、使用者がクラブのグリップを握ってアドレスをとると、図3に示すように、レーザー距離測定部10のレーザー出力部12は下方側を向くので、レーザー出力部12が出力するレーザーの軌跡とシャフト中心軸を含む平面は地面に対する垂直面となる。この状態で、レーザー距離測定部10は、図3の距離Dまでの時間を携帯電話に送信する。一方、モーションセンサーSからはシャフト中心軸に対する傾斜角θに関する情報が携帯電話に送られてくるので、この2つのデータから、携帯電話に内蔵されたソフトウエアによって図における高さHを算出することができる。
【0019】
なお、ここでは、モーションセンサーSをレーザー距離測定部10のレーザー照射方向の傾斜角を測定する傾斜角センサーとして用いたが、レーザー距離測定部10のケーシング11内に傾斜角センサーを内蔵するようにしてもよい。この場合は、モーションセンサーSを取り付けず、直接クラブのグリップエンドにグリップエンド高さ測定具Xを取り付けてグリップエンドのアドレス時の地面からの高さを測定することができる。
また、ここでは、レーザー距離測定部10のレーザー照射方向をクラブのシャフト中心軸に対して直角方向にしているが、図4に示すように、一定の角度α(0<α<90°
をもって、やや斜め下方に向くようにしてもよい。この場合は図5に示すように傾斜角θのみでは高さを算出することはできないが、角度αがわかっているので、例えば図5においてH=Dsin(α−θ)から高さHを求めることができる。
【0020】
(実施形態2)
図6に実施形態2に係るグリップエンド高さ測定具YをモーションセンサーSがグリップエンドに固定されたゴルフクラブに固定した状態を示す斜視図を示す。なお、モーションセンサーSは実施形態1に係るものと同じである。また、図7(a)にグリップエンド高さ測定具Yの平面図を、図7(b)にグリップエンド高さ測定具Yの正面図を、図7(c)にグリップエンド高さ測定具Yの側面図を、図7(d)にグリップエンド高さ測定具Yの底面図をそれぞれ示す。
【0021】
グリップエンド高さ測定具Yはレーザー距離測定部10と、照準器30とから構成される。レーザー距離測定部10は、実施形態1に係るグリップエンド高さ測定具Xとほぼ同じ構造であるが、底面に、モーションセンサーSの上面中心に設けられるシャフト中心軸を通る穴に嵌合固定するために係合突起22が設けられる。この係合突起22をモーションセンサーSの穴に係合し固定すると、レーザー距離測定部10のレーザー出力部12は、シャフト中心軸に対して90度の角度を保ち、一定の力を加えるとシャフト中心軸回りを回転し、力を加えない状態で、任意の回転位置で固定することができる。
【0022】
照準器20は、平面視等脚台形状体の厚い板体であり、上面中央に断面逆三角形状の溝21が形成されている。この溝21の底に形成されるエッジラインは、底面方向に向かって本体側に近づくように緩く傾斜している。この照準器20は、溝21の頂点がちょうどレーザー照射方向の逆側であって、レーザーを当該逆側に延長した延長線上に位置するように配される。照準器20の溝21のエッジラインの延長線をセンターマークとシャフト中心軸を通る平面に位置付けると、レーザー光この平面上に存することとなる。
【0023】
次に、以上のような構成を有する、グリップエンド高さ測定具Yの使用方法について説明する。使用者はまず、グリップエンドに固定されたモーションセンサーS上面の穴に、係合突起22を挿入してグリップエンド高さ測定具Yをグリップエンドに固定する。この状態で、使用者は、グリップGに描かれているセンターマークMの方向に、照準器30が向くようにグリップエンド高さ測定具位置決め具Yを回転させる。この状態で、グリップエンド側から、照準器30越しに、グリップGのセンターマークMを見ると図8(a)のようになる。この段階では通常、この図に示すように、視線を照準器30の溝底のエッジラインに合わせると、視線がセンターマークMには一致しない。そこで、グリップエンド高さ測定具位置決め具Yを回転させて、図8(b)に示すように、視線上に照準器30の溝底のエッジラインとセンターマークM並ぶように調節する。これにより、レーザー照射方向はセンターマークMの中心とクラブシャフト中心軸を通る平面内において、センターマーク側とは反対側を向くことになる。この状態で、使用者がクラブのグリップを握ってアドレスをとると、センターマークはグリップの上側中心に位置付けられるので、前述した図3に示すように、レーザー出力部12が出力するレーザーの軌跡とシャフト中心軸を含む平面は地面に対する垂直面となる。従って、レーザー距離測定部10による図3の距離Dまでのレーザー光が往復する時間と、モーションセンサーSによるはシャフト中心軸に対する傾斜角θに関する情報により図3における高さHを算出することができる。
なお、実施形態2においても、実施形態1と同様に、レーザー距離測定部10のケーシング11内に傾斜角センサーを内蔵するようにしてもよく、また、レーザーの照射方向を一定の角度α(0<α<90)をもって、やや斜め下方に向くようにしてもよい。
【0024】
(実施形態3)
図9に実施形態3に係るグリップエンド高さ測定具Zをゴルフクラブのグリップエンドに固定した状態を示す斜視図を示す。また、図10(a)にグリップエンド高さ測定具Zの平面図を、図10(b)にグリップエンド高さ測定具Zの正面図を、図10(c)にグリップエンド高さ測定具Zの側面図を、図10(d)にグリップエンド高さ測定具Zの底面図をそれぞれ示す。グリップエンド高さ測定具Zはレーザー距離測定部10と、水平支持部40と、台座部20とから構成される。
【0025】
レーザー距離測定部10は、実施形態1に係るグリップエンド高さ測定具Xとほぼ同じ構造である。水平支持部40は、レーザー距離測定部10のケーシング11の両側面を後端よりの位置で回動可能に軸支する一対の板体からなる脚部41、41と、脚部41、41を下端側で固定する円板体からなる固定板42とから構成され、レーザー距離測定部10のレーザー照射方向が重力により下方側を向くように支持する。台座部20は、実施形態1に係るグリップエンド高さ測定具Xとほぼ同じ構造であるが、ケーシング11を支持固定することに変えて、水平支持部40の固定板42の底面を回動自在に支持する。このような構造により、台座部20の係合突起22をグリップエンド端部の穴に係合し固定すると、台座部20による回転と水平支持部40による回転によって、レーザー距離測定部10のレーザー出力部12は重力を受けて常に鉛直下方を向くよう支持されることになる。
【0026】
次に、以上のような構成を有するグリップエンド高さ測定具Zの使用方法について説明する。使用者はまず、グリップエンド端部の穴に、係合突起22を挿入してグリップエンド高さ測定具Zをグリップエンドに固定する。この状態で、使用者がクラブのグリップを握ってアドレスをとると、図11に示すように重力により自然に、台座部20及び水平支持部40の軸支部分が回転してレーザー距離測定部10のレーザー照射方向が鉛直下方を向くことになるので、この状態でレーザー距離測定を行うことで、地面からグリップエンドまでの高さを測定することができる。
【0027】
(実施形態4)
図12に実施形態4に係るグリップエンド高さ測定具Vをゴルフクラブのグリップエンドに固定した状態を示す斜視図を示す。また、図13(a)にグリップエンド高さ測定具Vの平面図を、図13(b)にグリップエンド高さ測定具Vの正面図を、図13(c)にグリップエンド高さ測定具Vの側面図を、図13(d)にグリップエンド高さ測定具Vの底面図をそれぞれ示す。グリップエンド高さ測定具Vはレーザー距離測定部10と、水平支持部40と、照準器30とから構成される。レーザー測定部10及び水平支持部40は、実施形態3に係るグリップエンド高さ測定具Zのものとほぼ同様である。違いは、水平支持部40の固定円板がやや厚く形成され、この底面に係合突起22が設けられている点、さらに固定円板42に照準器30が設けられている点である。照準器30の構成は、実施形態2に係るグリップエンド高さ測定具Yのものと同じである。照準器30は、水平支持部40がレーザー距離測定部10を回転可能に支持する回転軸を垂直に二等分する平面上に溝31のエッジラインが位置するように配置される。
【0028】
次に、以上のような構成を有する、グリップエンド高さ測定具Vの使用方法について説明する。使用者はまず、ゴルフクラブのグリップエンド端部の穴に、係合突起22を挿入してグリップエンド高さ測定具Vをグリップエンドに固定する。この状態で、使用者は、グリップGに描かれているセンターマークMの方向に、照準器30が向くようにグリップエンド高さ測定具位置決め具Vを回転させ実施形態2のグリップエンド高さ測定具Yと同じように、グリップエンド側から見て視線上に照準器30の溝底のエッジラインとセンターマークM並ぶように調節する。これにより、照射されるレーザーの方向はセンターマークMの中心とクラブシャフト中心軸を通る平面内を回転することになる。この状態で、使用者がクラブのグリップを握ってアドレスをとると、センターマークはグリップの上側中心に位置付けられるので、センターマークとシャフト中心軸を含む平面は地面に対する垂直面となる。即ち、レーザー照射方向は鉛直面内に存することになる。一方、レーザー距離測定部10のレーザー照射方向は水平支持部40による回転面内において、重力により自然に鉛直下方を向くことになるので、結果としてレーザー照射方向は図11のように鉛直下方となり、この状態でレーザー距離測定を行うことで、地面からグリップエンドまでの高さを測定することができる。
【0029】
(変形例)
上記実施形態2、4では、位置の基準を合わせるための基準部として照準器を利用したが、他の仕組みを用いてもよい。例えば、図14に示すように、シャフト中心軸に平行に延びる指示針51を支持干52に支持させ、指示針51の先端位置をセンターマークM上に位置付けるようにする等、種々の変形が考えられる。さらに、照準器を用いる場合であっても、照準器の形状は種々の変形が可能であり、スコープ型のものなどを採用することもできる。
また、実施形態3において、自在に回転する回転軸を直交する2軸としたが、実質的にシャフト中心軸とこれに直交する直交軸に回転すればよいので、球面継ぎ手でレーザー距離測定部10を回動自在に固定するようにしてもよい。
さらに、上記各実施形態では、ゴルフクラブのグリップエンドに固定する場合を例示したが、クリップエンド部分があれば、他の形状は問わないので、練習用のゴルフクラブやゴルフクラブのグリップ部分を模したコンピュータゲームの入力装置などに用いることができる。また、これらに関しては予め傾斜角センサーを内蔵しておいてよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0030】
S モーションセンサー
X、Y、Z、V グリップエンド高さ測定具位置決め具
10 レーザー距離測定部
12 レーザー出力部
13 レーザー受光部
20 台座部
22 係合突起
30 照準器
31 溝
40 水平支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブのグリップエンド近傍の地面からの高さを測定するための器具であって、
レーザー照射方向が前記クラブのシャフト中心軸に対して常に一定の角度となるようにグリップエンド位置に固定されるレーザー距離計と、
前記レーザー距離計を前記シャフト中心軸回りに回動可能に保持するとともに、使用者が前記ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブを持って構えた状態で、前記レーザー距離計から照射されるレーザーが地面に垂直な平面に存するように、前記レーザー距離計の回転位置を調節するレーザー距離計方向調節手段と、
レーザー距離計のレーザー照射方向の鉛直又は水平に対する角度を測定する傾斜角センサーと
を有するグリップエンド高さ測定具。
【請求項2】
シャフト中心軸の鉛直又は水平に対する角度を測定する傾斜角センサーが設けられたゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブのグリップエンド近傍の地面からの高さを測定するための器具であって、
レーザー照射方向が前記シャフト中心軸に対して常に一定の角度となるようにグリップエンド位置に固定されるレーザー距離計と、
前記レーザー距離計を前記シャフト中心軸に回動可能に保持するとともに、使用者が前記ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブを持って構えた状態で、前記レーザー距離計から照射されるレーザーが地面に垂直な平面に存するように、前記レーザー距離計の方向を調節するレーザー距離計方向調節手段と、
を有するグリップエンド高さ測定具。
【請求項3】
前記レーザー距離計方向調節手段は、
前記レーザー距離計のレーザー照射方向が重力により下方側に向くように前記レーザー距離計を前記シャフト中心軸回りに回動自在に保持する一軸重力回動部により形成されるものである
請求項1又は2に記載のグリップエンド高さ測定具。
【請求項4】
前記ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブのグリップにはセンターマークが表されているものであって、
前記レーザー距離計方向調節手段は、
前記レーザー距離計を前記シャフト中心軸回りに回動可能かつ任意の回動位置で固定可能に保持する一軸固定回動部と、
前記センターマークと前記シャフト中心軸を含む平面上に位置づけると、前記レーザー距離計から照射されるレーザーが前記センターマークと前記シャフト中心軸を含む平面上に存するように、前記レーザー距離計に固定される基準部と
から構成される
請求項1又は2に記載のグリップエンド高さ測定具。
【請求項5】
ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブのグリップエンド近傍の地面からの高さを測定するための器具であって、
グリップエンド位置に固定されるレーザー距離計と、
前記レーザー距離計を前記クラブのシャフト中心軸回り及び当該中心軸に直角な直角軸回りに回動可能に保持するとともに、使用者が前記ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブを持って構えた状態で、前記レーザー距離計のレーザー照射方向が地面に垂直な方向を向くように前記レーザー距離計の方向を調節するレーザー距離計方向調節手段と、
を有するグリップエンド高さ測定具。
【請求項6】
前記レーザー距離方向調節手段は、
レーザー照射方向が重力により下方側を向くように前記レーザー距離計を前記シャフト中心軸回り及び前記直角軸回りに回動自在に保持する二軸重力回動部により形成される請求項5に記載のグリップエンド高さ測定具。
【請求項7】
前記ゴルフクラブ又は模擬ゴルフクラブのグリップにはセンターマークが表されているものであって、
前記レーザー距離計方向調節手段は、
前記直角軸に対して前記レーザー距離計のレーザー照射方向が重力により下方を向くように前記レーザー距離計を回動自在に保持する水平軸重力回動部と、
前記水平軸重力回動部を前記シャフト中心軸に対して回動可能かつ任意の回動位置で固定可能に保持する一軸回動固定部と、
前記センターマークと前記シャフト中心軸を含む平面上に位置づけると、前記レーザー距離計から照射されるレーザーが前記センターマークと前記シャフト中心軸を含む平面上に存するように、前記一軸回動固定部に固定される基準部と
から構成される
請求項5に記載のグリップエンド高さ測定具。
【請求項8】
前記基準部は前記グリップエンド側から見てセンターマーク位置に照準を合わせると、前記センターマークと前記シャフト中心軸を含む平面上に位置づけられるように構成される照準器により構成される
請求項4又は7に記載のグリップエンド高さ測定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−217864(P2011−217864A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88398(P2010−88398)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(509345992)株式会社エイチワイカンパニー (3)
【Fターム(参考)】