説明

グルコースレベルのモニター方法

【解決課題】非侵襲技術を活用し、血中の音の速度、導電率及び熱容量の測定ステップを含む人間と動物の血液内のグルコースレベル濃度のモニター並びに測定を行う方法に関わる。
【解決手段】グルコースレベルを計算させる他のパラメータの非侵襲測定であっても構わない。それら3測定(血中の音の速度、導電率及び熱容量の測定ステップ)のそれぞれに対するグルコースレベルが計算され、最終グルコース値はそれら3計算グルコース値の加重平均値で決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定疾病の治療薬と治療法に関し、特には非侵襲的技術を活用した人間及び動物血液内のグルコースレベルのモニター法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療関係者には良く知られているように、診断を目的とした測定のための重要な血液成分の1つはグルコースである。特に糖尿病患者にとってグルコース量とその測定法は重要である。血中グルコース濃度の典型的な測定法は、血液サンプルを獲得し、その血液に酵素処理した染色帯または電気化学プローブを適用することである。一般的に、血液サンプルは指先から採血される。一日に数回血中グルコースを測定しなければならない糖尿病患者にとって、このような採血は苦痛であり、感染症に罹患する可能性もある。
【0003】
長年にわたって人間と動物体内のグルコースレベルのモニターと測定のための多くの方法が存在した。しかし、それらの方法は一般的に侵襲的技術が関与し、幾分かの危険が伴うものであった。あるいは少なくとも多少の不快感が伴うものであった。近年、いくつかの非侵襲的モニター法が開発された。しかし、それらは必ずしも血中グルコースの正確な測定を提供しない。現在のところ、実用的で信頼性が高い方法は存在しない。
【0004】
トーマス(米国特許5119819)は血中グルコースの非侵襲的方法を教示するが、その方法は超音波パルスの往復伝播時間に基づいた音の速度の測定にのみ基づくものである。
【0005】
ゴザニ(米国特許5771891)は血液分析物測定のための非侵襲的方法を開示する。まず、内生組織を電気刺激し、続いて刺激に対する電気反応を検出する。1実施例では、低酸素症末梢神経が電気刺激され、その末梢神経に沿った他部位の複合作用電位が検出される。
【0006】
チョー(米国特許5795305及び5924996)はグルコース濃度を決定するために温度と、赤外線または熱伝導性の測定の組み合わせを利用する。
【0007】
チョウ(米国特許5941821及び6049728)は、電磁力線による患者の皮膚の加熱で音響パルスが発生する光音響測定によって血中グルコースレベルを決定する。
【0008】
これら従来技術のそれぞれで、1つだけの(2つの場合も有り)測定対象パラメータが存在する。よって、測定エラー発生の可能性は増大する。本発明は3つの異なるパラメータの測定を実施して血中グルコースレベルを決定する。従って、測定精度は高い。加えて、それら従来技術で本発明が利用する導電性も熱容量を利用するものは存在しない。
【0009】
従って、複数のパラメータをモニターすることでグルコースレベルを測定する正確で非侵襲的方法が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、非侵襲的技術を活用した人間と動物の血液内グルコース濃度のモニターと測定である。これには、相互補助的な複数の異なる技術を活用した同時測定が関与し、正確で信頼性が高い結果が提供される。この方法は次の3つの測定技術を組み合わせる。
・体内血液を通過する音の速度の測定。
・電磁インダクタンスを利用した血液導電率の測定。
・測定対象物の温度を変えることによる血液熱容量の測定。
【0011】
好適には、これら測定は、例えば、耳朶を介して実施する。
【0012】
患者血液の3種の物性を判定することで血中グルコース濃度が推定できる。測定が必要な物性とは血液中の音の速度、導電率及び熱容量である。
【0013】
この方法は、
1:2技術または3技術を活用した単測定試験
2:1技術、2技術または3技術を活用した連続測定試験
3:(1)と(2)の組み合わせ
【0014】
発明の詳細な説明
本発明の測定コンセプトは3種の技術である血中の音の速度、血液導電率及び血液熱容量である。特に、この方法はそれら技術の同時的あるいは順次的な組み合わせの利用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
まず次のような測定が実行される。
・体内血液中の音の速度
・電磁インダクタンスによる血液導電率
・測定対象物の温度を変化させることによる血液熱容量
【0016】
好適には、これら測定は例えば耳朶で実行される。その後、得られたパラメータに基づきグルコースレベルが計算される。
【0017】
単測定モード(SM)では、装置はそれら3方法を活用して測定ステップを開始する。異なる測定結果は以下で解説するように分析、比較され、データ整理されて表示される。
【0018】
連続測定モード(CM)では装置はそれら3種の方法を活用してSMの場合同様に開始する。以下のルーティン測定は単測定法に基づき実行され、所定間隔で反復される。数回の測定毎に、あるいは所定間隔にて装置は自動的に全測定結果に基づいた詳細測定を実行し、補正する。この方法は以下の結果をバイアス処理するためにも利用される。
【0019】
異なる測定結果は所定の許容誤差(偏差)ウィンドーでチェックされる。これは組み合わせ結果の信頼性をチェックするためである。異なる結果が許容偏差範囲内であれば、最終結果は全1回測定値の加重平均値となる。いずれかの測定結果の偏差が許容偏差ウィンドーを外れると、この方法は選択ツリーに基づいてまずその偏差が受け入れ可能であるか否かをチェックし、受け入れ可能と判断すれば最終結果が得られる。偏差が受け入れられなければ、この方法は新測定セッションの開始を指示する。全結果が許容偏差範囲外の場合にも同様なケースとなる。
【0020】
連続測定モードで単測定技術が使用されるとき、ドリフトと結果を補正するために所定の時間間隔で組み合わせ測定が自動的に実施される。
【0021】
血液中の音の速度は血液中のグルコース濃度に関係する。例えば耳朶を介して超音波が送られ、他方の耳で反射して戻る。この測定に基づいてグルコースレベルは公知方法で計算される。
【0022】
さらに、導電率は血液内のグルコースレベルの関数である。知られたパラメータの電磁波信号は、例えば耳朶に対して誘導され、インダクタンスで発生する電流レベルはグルコースレベルに左右される。グルコースレベルを計算するために電流強度が測定され、分析される。
【0023】
この場合は血液である溶液の熱容量は含有成分の関数である。例えば耳朶に対して知られた量のエネルギーが適用され、その温度を変化させる。その熱勾配変化量はグルコースレベルの関数である。なぜならそれは有力な変動成分だからである。この変化量はグルコースレベルと相関するように測定される。
【0024】
速度、導電率及び熱容量が決定されると、これら3つのパラメータの測定値に基づいてグルコースレベルは計算される。その後、これら3つのグリコース値全部が許容偏差範囲内であるか否かを調べるために、全部のグルコース値が評価される。許容偏差範囲内である判断されれば、グルコースレベルはそれら3つのグルコースレベル値の加重平均に基づいて最終決定される。1つの測定結果が許容偏差範囲外であれば、他の2つの測定結果はさらに厳格な許容偏差範囲に対してチェックされ、両方ともその条件を満たせば最終結果が計算される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の利点は、従来技術の1つのパラメータではなく、3つのパラメータを測定し、それら測定値が所定の許容偏差範囲内であるか否かをチェックし、さらに加重平均を求めることにより達成される。速度、導電率及び熱容量の3つの特定パラメータに言及するのは本発明の説明のためである。もし別なパラメータの非侵襲的測定が活用され、許容偏差範囲内であることを証明するために結果がチェックされ、加重平均が計算されるならばそれも本発明の想定範囲内である。このように、本発明の方法はそれらでも全く同様に作用する。非侵襲的に測定できる他のパラメータとは、例えば、音響インピーダンス、電気/磁気率、熱伝導率、柔軟性、血液濃度、比重、極性率、光拡散度、核磁気共鳴、分析物、血液温度及び体温、熱波の影響、身体からの赤外線、刺激に対する皮膚の反応、及び起電力や電流等の電気特性である。よって、本発明は、音の速度、導電率及び熱容量の測定に限定されず、それらのうちで1または2を利用し、残りをそれら他のパラメータから選択して利用すること、あるいは3パラメータともそれら他のパラメータから選択して利用することも想定する。本発明の本質は3パラメータの非侵襲的測定であり、グルコースレベルが決定できるパラメータである限り、どの3ラメータが使用されるかは決定的ではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
この方法は2つの操作モードである単測定モードと連続測定モードを有する。単測定モードでは(全3方法に対して)1回の測定が実行される。もし測定結果が所定の許容偏差ウィンドー内であれば測定は終了する。さもなければ、それら測定ステップは繰り返される。連続測定モードでは、最初の測定が全3方法を利用して実行され、続いて反復的に単技術(例えば音響技術のみ)が使用され、最初の(組み合された)測定を基準として測定傾向が導き出される。この時間割合はユーザーが設定し(不履行以外の期間が望まれるとき)、例えば、10分から2時間のごとく従前にセットできる。連続モードでは、全ての一定期間(2時間程度)毎、あるいは所定数の測定が実行された後に、全部の3技術を使用して(自動で)自己補正ステップが実行され、結果はさらに正確なものとなるべくバイアス処理される。
【0027】
許容偏差は2つの方法の一方で決定できる。1つの方法は、それら異なる測定値の比較と、それら異なる測定値間の偏差の検証であり、相違を限定的にする(10%から15%程度)ことである。別方法は、各結果とその前の結果との偏差をチェックすることである。この場合、偏差レベルは測定間の時間の関数となる。偏差レベルは短時間の場合の約20%から、さらに長い時間の場合の約50%(以上)の間で変動するであろう。
【0028】
単測定方法は3つの異なるパラメータの独立した測定を必要とする。各結果は該当補正係数が掛け算されて(オフライン計算)増加し、全結果を同一測定単位に補正する(mg/dl)。続いて、それら結果は比較される。もしそれら3つ全部の結果が一定の許容偏差ウィンドー内(例えば、結果1=結果2±10%及び結果2=結果3±10%及び結果1=結果3±10%)で類似していれば、加重平均最終結果は次のように計算される。最終結果=(結果1x相対加重値1)+(結果2x相対加重値2)+(結果3x相対加重値3)。もし2つの測定値のみが類似結果を提供し、第3の測定値が許容偏差ウィンドー外であれば、アルゴリズムによってそれら2つの同様な結果がさらに狭い許容偏差ウィンドー内(例えば、5%)であるか否かをチェックする。その範囲内であれば、最終結果はこれら2結果の加重平均となり、カウンター(第3方法に関する)は1だけその状態を増加させるであろう。カウンターが所定の制限値に到達すると、ユーザーに対して警告が発生され、当該方法の問題点を通知し、ユーザーに再補正を求める。3つの方法が異なる3つの読み取り値(全3値が広い許容偏差ウィンドー外、または1つが広い許容偏差ウィンドー外で、2つが狭い許容偏差ウィンドー外)を提供する場合、その方法は自動的に(ユーザー関与なく)測定を反復する。もし問題が所定回数以上反復するなら、ルーティンは測定不能を警告してユーザーに再補正を要請する。
【0029】
各測定値の加重値は特定測定プロセスの信頼性に依存する。これら数値は一般的に臨床試験で決定されるであろう。3つの測定プロセスが全て等しく信頼できるなら、加重係数は同一であり、1/3(0.333333・・・)となろう。“相対加重”変数を利用する理由は、使用される特定測定プロセスによっては状況によって1測定値が別測定値よりも正確であるという事実が考慮されているためである。例えば、もし1つの測定値が他の測定値よりも信頼性が高ければ、それはより重要視され(例えば0.5)、他のものは例えば0.2と0.3を受け取るであろう(総加重値は1または100%)。例示として、全方法が同一読み取り値(例えば95mg/dl)を提供すると仮定すると、最終結果は0.5X95+0.2X95+0.3X95=95である。
【0030】
真性結果が提供されるときは常に、本方法は現行ユーザーのファイルにその測定結果を日付と時間と共に登録し、ユーザー画面に結果を表示する。
【0031】
連続測定ではユーザーは自動と補正との間で測定値をコントロールし、測定を現行時間レートにて単(一定)法で反復的に実行する。測定値が所定数値を超過するときにはいつも、単測定の場合と同様に全部の3方法で完全測定が実行される。このプロセスにおいても登録と表示結果の同一概念が適用される。
【0032】
図1から図4では単測定法を説明するフローチャートが示される。まず(図1参照)、例えば音の速度に対する1測定がステップ102で実行されるが、非侵襲的に測定される他のパラメータであってもよい。続いて、必要な補正係数が掛けられ(ステップ104)、なんらかの方法でこのグルコースレベル値が記録される(ステップ106)。このプロセスは他の測定に対しても反復される。すなわち、導電率と熱容量または非侵襲的手段による他の選択パラメータに対しても反復され、3つのパラメータに対してそれぞれの値が提供される(ステップ108からステップ112及びステップ114からステップ118)。
【0033】
そこで、第1パラメータのグルコース測定値が第2パラメータのグルコース測定値の許容偏差範囲内であるか否かを決定するようにルーティンチェックが行われる(ステップ120)。範囲内であれば第1パラメータのグルコース測定値が第3パラメータのグルコース測定値の許容偏差範囲内であるか否かを決定するようにチェックする(ステップ122)。これら2パラメータのグルコース測定値が十分に接近していれば、第2パラメータのグルコース測定値が第3パラメータのグルコース測定値の許容偏差範囲内であるか否かを決定するようにルーティンチェックが実行される(ステップ124)。
【0034】
(以降、フローチャートの説明を容易化する目的で、“第1測定値”とは“第1パラメータのグルコース測定値”のことであり、第2測定値、第3測定値も同様とする。)
【0035】
全3測定値が相互に許容偏差範囲内の偏差であることが決定されると加重平均値が計算される(ステップ126)。これでユーザーにグルコースレベルの最終値が提供される。この最終値を将来のために適当な方法で記録することができる(ステップ128)。これで単測定プロセスは終了する。
【0036】
ルーティンチェックで第1測定値が第2測定値の許容偏差範囲内ではないと決定されたら(ステップ200)、(図2参照)第1測定値が第3測定値からさらに狭い許容偏差範囲内に存在するか否かがルーティンチェックされる(ステップ202)。その範囲内になければ、第2測定値と第3測定値は比較され、第2測定値が第3測定値のさらに狭い許容偏差範囲内であるか否かが判定される(ステップ204)。これら2測定値が許容偏差範囲内にない場合、3つのいずれの測定値も他の2測定値の許容偏差範囲内に存在しない可能性があり、それら測定値は使用できない。カウンターは1だけ増分され、不成功のプロセスを記録する(ステップ206)。もし所定数の失敗ルーティンに到達しなければ(ステップ208)、ルーティンは最初(A)に戻り、全ステップを繰り返す。もし所定数の不成功ルーティンがカウンターで示されたら、ルーティンは終了し(ステップ210)、単測定ルーティンは終了する(ステップ212)。ユーザーに対して信号が発生され、全体ルーティンのために測定プロセスを再補正させる。
【0037】
ルーティンが、第1測定値が第2測定値の許容偏差範囲内に存在しないと決定し、(図2参照)続いて第1測定値が第3測定値のさらに狭い許容偏差範囲内であると決定すると、第2測定値をゼロ加重値として加重平均が計算される。この場合、他の2測定値の加重値は相対的にそれぞれ増加する(ステップ214)。カウンターは増分され、第2測定値が他の測定値から偏差過多であることを示す(ステップ216)。これでユーザーには最終グルコースレベル値が提供される。この値を将来のために記録することができる(ステップ218)。これで単測定プロセスが完結する。カウンターが偏差過多である第2パラメータの測定値が過多に存在することを示す場合には(ステップ220)、第2パラメータの測定プロセスを再補正するように信号がユーザーに足して発生される(ステップ222)。
【0038】
ルーティンが、第1測定値が第2測定値の許容偏差範囲内になく、第3測定値のさらに狭い許容偏差範囲内にもないが、(図2参照)第2測定値は第3測定値のさらに狭い許容偏差範囲内に存在すると判定した場合に、第1測定値がゼロとして加重された状態で加重平均が計算され、他の2測定値の加重値はその分だけそれぞれ増加する(ステップ224)。カウンターは増分され、第1測定値が他の測定値から偏差過多であることを示す(ステップ226)。これでユーザーに最終的なグルコースレベルが提供される。これは将来のために記録できる(ステップ228)。これで単測定プロセスが完結する。カウンターが偏差過多である第1パラメータの測定値が過多であると示す場合には(ステップ230)、ユーザーに対して信号が発生され、第1パラメータに対する測定プロセスを再補正するように指示する(ステップ232)。
【0039】
ルーティンが、第1測定値が第2測定値の許容偏差範囲内にあるが第3測定値の許容偏差範囲内にはないと判断した場合(ステップ230)、(図3参照)ルーティンは第2測定値が第3測定値のさらに狭い許容偏差範囲内にあるか否かをチェックする(ステップ302)。これら2測定値が許容偏差範囲内に存在しなければ、3測定値のいずれも他の2測定値の許容偏差範囲内に存在しないことになり、測定値は利用できない。カウンターは1だけ増分され、不成功プロセスを記録する(ステップ304)。もし、所定数の失敗ルーティンに到達していなければ(ステップ306)、ルーティンは最初(A)に戻り、全プロセスを繰り返す。もし、所定数の不成功ルーティンがカウンターで示されていれば(ステップ308)、そのルーティンは終了し、単測定ルーティンは終了する。信号がユーザーに対して発生され、全ルーティンに対する測定プロセスを再補正するように指示する。
【0040】
ルーティンが、第1測定値が第2測定値の許容偏差範囲内であるが、第3測定値の許容偏差範囲内には存在せず、第2測定値が第3測定値のさらに狭い許容偏差範囲内であると決定すると、第1測定値をゼロ加重値として加重平均値が計算され、他の2測定加重値はそれぞれ相対的に増加する(ステップ310)。カウンターは増分され、第1測定値が他の測定値から偏差過多であることを示す(ステップ312)。これでユーザーに最終グルコースレベルが提供される。それは将来に備えて保存できる(ステップ314)。これで単測定プロセスは終了する。カウンターが偏差過多の第1パラメータの測定値が過多であることを示せば(ステップ316)、信号がユーザーに対して出され、第1パラメータに対する測定プロセスを再補正させる(ステップ318)。
【0041】
ルーティンが、第1測定値が第2測定値と第3測定値の両方の許容偏差範囲内にあり、第2測定値が第3測定値の許容偏差範囲内にはないと決定すると(ステップ400)、ルーティン(図4)は、第1測定値が第3測定値のさらに狭い許容偏差範囲内に存在する否かチェックする(ステップ402)。存在しなければ、第1測定値と第2測定値は比較され、第1測定値が第2測定値のさらにせまい許容偏差範囲内に存在するか否かが決定される(ステップ404)。これら2測定値が許容偏差範囲内に存在しない場合には3測定値のいずれもが他の2測定値の許容偏差範囲内に存在しない状況となり、測定値は利用できない。カウンターは1だけ増分され、不成功のプロセスは記録される(ステップ406)。所定数の失敗ルーティンに到達しなければ(ステップ408)、ルーティンは最初(A)に戻り、全プロセスが繰り返される。所定数の不成功ルーティンがカウンターで示されれば(ステップ410)、そのルーティンは終了し、単測定ルーティンは終了する。信号がユーザーに対して発生され、全ルーティンの測定プロセスの再補正が指示される。
【0042】
ルーティンにより第1測定値が第3測定値のさらに狭い許容偏差範囲内にあると判断されると、加重平均値が第2測定値をゼロ加重値として計算され、他の2つの測定加重値はそれぞれ相対的に増加する(ステップ412)。カウンターは増分され、第2測定値が他の2測定値から偏差過多であることを示す(ステップ414)。これでユーザーに最終的なグルコースレベル値が提供される。この値は将来のために記録できる(ステップ416)。これで単測定プロセスは終了する。カウンターが偏差過多である第2パラメータの測定値が過多であることを示すと(ステップ418)、信号がユーザーに対して発生され、第2パラメータの測定プロセスの再補正が指示される(ステップ420)。
【0043】
一方、もし第1測定値が第3測定値のさらに狭い許容偏差範囲内に存在しなければ、第1測定値は第2測定値と比較され、それらがさらに狭い許容偏差範囲内に存在するか否かがチェックされる(ステップ404)。存在すれば、第3測定値をゼロ加重値として加重平均値が計算される。他の2つの測定加重値はそれぞれ相対的に増加する(ステップ422)。カウンターは増分され、第3測定値が他の2測定値から偏差過多であることを示す(ステップ424)。これでユーザーには最終グルコースレベル値が提供され、将来に備えて保存される(ステップ426)。これで単測定プロセスが終結する。カウンターが偏差過多である第3パラメータの測定値が過多であることを示すと(ステップ428)、ユーザーに対して信号が発生され、第3パラメータの測定プロセスを再補正するように促す。
【0044】
図5は連続測定プロセスを示す。まず、単測定プロセスを活用し、各パラメータに対して値が得られる。続いて、ユーザーは自動補正処理に先立つ測定数と、測定間の時間間隔を確立しなければならない(先行数を使用すると決定しない場合)(ステップ502)。
【0045】
カウンターは1だけ増分する(ステップ504)。もしカウンターが自動補正処理数に到達していたら(ステップ506)、連続測定ルーティンの現行セッションは終了し、ルーティンは単測定プロセスに戻り、3つのパラメータのそれぞれに対して新値を取得させ、新連続測定セッションを開始させる。
【0046】
自動補正をする場合でなければ、選択パラメータ(例えば速度である第1パラメータ)が測定される(ステップ508)。それに補正係数が掛けられ、得られたグルコース値は適当な手段で記録される(ステップ512)。ここでルーティンは時間を計測する。適正な時間間隔が発生すると(ステップ514)、ルーティンは最初に戻り(ステップ504)、プロセスを繰り返す。
【0047】
本発明は特定の実施例に関して説明されているが、本発明のスコープ内でそれらの種々な変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は各パラメータの単測定でのグルコースレベル判定法フローチャートである。
【図2】図2は各パラメータの単測定でのグルコースレベル判定法フローチャートである。
【図3】図3は各パラメータの単測定でのグルコースレベル判定法フローチャートである。
【図4】図4は各パラメータの単測定でのグルコースレベル判定法フローチャートである。
【図5】図5は1パラメータの連続測定でのグルコースレベル傾向判定法フローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血中グルコースレベルを決定するための非侵襲法であって、
a.患者の血中の音の速度の非侵襲的測定ステップと、
b.患者血液の導電率の非侵襲的測定ステップと、
c.患者血液の熱容量の非侵襲的測定ステップと、
d.前記血中の音の速度、前記導電率及び前記熱容量のそれぞれの測定に対する対応グルコースレベルの計算ステップと、
e.それら3計算グルコースレベルの比較ステップと、
f.1.それら3計算グルコースレベルが所定の許容レベル範囲内で類似していれば、それら3計算グルコースレベルの加重平均値を決定することで最終グルコースレベルを計算するステップと、
f.2. それら3計算グルコースレベルの2つのみが所定の許容レベル範囲内で類似していれば、それら2つの類似計算グルコースレベルのみの加重平均値を決定することで最終グルコースレベルを計算するステップと、
を含んで成る非侵襲法。
【請求項2】
g.音の速度、導電率または熱容量であるパラメータの1つの測定をaからcの1つに従って繰り返すステップと、
h.ステップgのパラメータの測定に対する対応グルコースレベルを計算するステップと、
i.ステップaからfを定期的に繰り返し、グルコースレベル計算の精度を確認するステップと、
をさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載の非侵襲法。
【請求項3】
音の速度は、身体内を伝達される超音波信号の測定手段で決定されることを特徴とする請求項1記載の非侵襲法。
【請求項4】
血液の導電率は電磁インダクタンスで決定されることを特徴とする請求項1記載の非侵襲法。
【請求項5】
血液の熱容量は測定対象物の温度変化手段によって決定されることを特徴とする請求項1記載の非侵襲法。
【請求項6】
患者の血中グルコースレベルを決定するための非侵襲法であって、
a.グルコースレベルを計算させる身体の3つのパラメータの非侵襲的測定ステップと、
b.それら3測定のそれぞれに対する対応グルコースレベルの計算ステップと、
c.それら3計算グルコースレベルの比較ステップと、
d.1.それら3計算グルコースレベルが所定の許容レベル範囲内で類似していれば、それら3計算グルコースレベルの加重平均値を決定することで最終グルコースレベルを計算するステップと、
d.2. それら3計算グルコースレベルの2つのみが所定の許容レベル範囲内で類似していれば、それら2つの類似計算グルコースレベルのみの加重平均値を決定することで最終グルコースレベルを計算するステップと、
を含んで成る非侵襲法。
【請求項7】
e.パラメータの1つの測定を繰り返すステップと、
f.ステップeのパラメータの測定に対する対応グルコースレベルを計算するステップと、
g.ステップaからdを定期的に繰り返し、グルコースレベル計算の精度を確認するステップと、
をさらに含んでいることを特徴とする請求項6記載の非侵襲法。
【請求項8】
グルコースレベルを計算させる身体の3つの異なるパラメータは、身体内を通過する血中の音の速度、血液導電率、血液熱容量、音響インピーダンス、電気/磁気率、熱伝導率、柔軟性、血液濃度、比重、極性率、光拡散率、核磁気共鳴、分析物、血液温度及び体温、熱波の影響、身体からの赤外線、刺激に対する皮膚の反応、及び起電力や電流等の電気特性で成る群から選択されることを特徴とする請求項6記載の非侵襲法。
【請求項9】
それぞれの計算グルコースレベルの加重値は対応パラメータの測定の信頼性に基づくことを特徴とする請求項1記載の非侵襲法。
【請求項10】
それぞれの計算グルコースレベルの加重値は対応パラメータの測定の信頼性に基づくことを特徴とする請求項6記載の非侵襲法。
【請求項11】
ステップaからfを所定時間経過後に繰り返すことを特徴とする請求項2記載の非侵襲法。
【請求項12】
ステップaからfを所定側定数後に繰り返すことを特徴とする請求項2記載の非侵襲法。
【請求項13】
ステップaからdを所定時間経過後に繰り返すことを特徴とする請求項7記載の非侵襲法。
【請求項14】
ステップaからdを所定側定数後に繰り返すことを特徴とする請求項7記載の非侵襲法。
【請求項15】
計算グルコースレベルの1つが所定許容レベル範囲内に存在しない場合、残り2つの計算グルコースレベルをチェックして、それらがさらに狭い許容範囲内に存在することを確認し、それら2つの類似した計算グルコースレベルのみの加重平均値を決定することで最終グルコースレベルを計算することを特徴とする請求項1記載の非侵襲法。
【請求項16】
計算グルコースレベルの1つが所定許容レベル範囲内に存在しない場合、残り2つの計算グルコースレベルをチェックして、それらがさらに狭い許容範囲内に存在することを確認し、それら2つの類似した計算グルコースレベルのみの加重平均値を決定することで最終グルコースレベルを計算することを特徴とする請求項6記載の非侵襲法。
【請求項17】
計算グルコースレベルの1つが許容範囲内に存在しない場合毎にカウンターを増分するステップと、計算グルコースレベルが許容レベル範囲内に存在しないと前記カウンターが所定回数示したとき、測定プロセスを再補正するステップとの追加ステップを含んでいることを特徴とする請求項1記載の非侵襲法。
【請求項18】
計算グルコースレベルの1つが許容範囲内に存在しない場合毎にカウンターを増分するステップと、計算グルコースレベルが許容レベル範囲内に存在しないと前記カウンターが所定回数示したとき、測定プロセスを再補正するステップとの追加ステップを含んでいることを特徴とする請求項6記載の非侵襲法。
【請求項19】
患者の血中グルコースレベルを決定するための非侵襲法であって、
a.グルコースレベルを計算させる身体の3つの異なるパラメータの非侵襲的測定ステップと、
b.それら3測定のそれぞれに対する対応グルコースレベルの計算ステップと、
c.それら3計算グルコースレベルの加重平均値の決定ステップと、
d.前記パラメータの1つの測定を繰り返す反復ステップと、
e.ステップdのパラメータの測定に対する対応グルコースレベルの計算ステップと、
f.ステップaからcを定期的に繰り返し、グルコースレベル精度を確認する確認ステップと、
を含んで成る非侵襲法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−521098(P2007−521098A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523711(P2006−523711)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003509
【国際公開番号】WO2005/017642
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(506046241)エー.ディー.インテグリティー アプリケーションズ エルティーディー. (1)
【Fターム(参考)】