説明

グループB連鎖球菌抗原

【課題】グループB連鎖球菌(GBS)細菌病原体の治療および/または予防のためのワクチン成分として有用な抗原の提供。
【解決手段】グループB連鎖球菌(GBS)細菌病原体由来のタンパク質は抗原性であり、従って動物における連鎖球菌感染の予防または治療のための有用なワクチン成分である。他の態様において、発現性制御領域に操作可能に結合したポリヌクレオチド遺伝子を含むベクター、および該ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞および該宿主細胞を発現に適した条件下で培養することを含むポリペプチドの製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は治療および/または予防のためのワクチン成分として有用な抗原、より具体的には、グループB連鎖球菌(GBS)細菌病原体のタンパク質抗原に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
連鎖球菌はグラム(+)細菌であり、細胞表面に見られるグループ特異的炭水化物抗原AからOにより区別される。連鎖球菌は、更に、タイプ特異的カプセル状ポリサッカライド抗原により分類される。数種の抗原型がグループB連鎖球菌(GBS)に関して同定されている:Ia、Ib、II、III、IV、V、VI、VIIおよびVIII。GBSはまた“C−タンパク質”(アルファ、ベータ、ガンマおよびデルタ)として既知の抗原タンパク質を含み、その幾つかはクローン化されている。
【0003】
GBSは正常ヒト膣および結腸叢の常在菌であり、この病原体は長い間新生児敗血症および髄膜炎、幼児の遅延発症髄膜炎、分娩後子宮内膜炎ならびに乳牛乳房炎の主な原因であるとして認識されている。GBSに曝された妊婦は、分娩後感染の危険性があり、子供が、産道を通過する際に感染が赤ん坊に伝播している可能性がある。本生物は抗生物質に感受性であるが、高い攻撃率および新生児における敗血症および幼児の髄膜炎の速い発症は、高い罹病率および致死率をもたらす。
【0004】
個体をGBS感染から保護するワクチンを発見するために、研究はタイプ特異的抗原に向かっている。不幸なことに、これらのポリサッカライドはヒトで免疫原性が乏しく、ポリサッカライドが由来する特定の抗原型に限定されている。更に、カプセル状ポリサッカライドはT細胞非依存的反応を誘発し、即ち、IgG産生をしない。結果として、カプセル状ポリサッカライド抗原は、GBS感染に対する保護のためのワクチン成分として適していない。
【0005】
他の研究は、マウスおよびウサギモデルで免疫原性特性が証明されているC−タンパク質ベータ抗原を焦点にしている。このタンパク質は、ヒトIgAのFc領域と高親和性および非免疫原性方法で相互作用する望ましくない特性のために、ヒトワクチンとしては不適当であることが判明した。C−タンパク質アルファ抗原は殆どのGBS介在状態を担う抗原型であるGBSのタイプIII抗原型で少なく、従って、ワクチン成分としての使用はほとんどない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、GBS感染の予防および/または治療のためのワクチン成分として使用し得るGBS抗原のまだ充たされていない必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要約)
一つの態様にしたがって、本発明は:
配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号44またはそのフラグメント、アナログまたは誘導体からなる群から選択される配列を有する第2のポリペプチドと少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを提供する。
【0008】
他の態様において、発現性制御領域に操作可能に結合した本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、および該ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞および該宿主細胞を発現に適した条件下で培養することを含むポリペプチドの製造法を提供する。
【0009】
更に別の態様において、本発明のポリヌクレオチドによりコードされる新規ポリペプチドを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1a】クローン1(配列番号1)のDNA配列とオープンリーディングフレームに関して対応するアミノ酸配列。
【図1b】配列番号2のアミノ酸配列。
【図1c】配列番号3のアミノ酸配列。
【図1d】配列番号4のアミノ酸配列。
【図1e】配列番号5のアミノ酸配列。
【図1f】配列番号6のアミノ酸配列。
【図2a】クローン2(配列番号7)のDNA配列とオープンリーディングフレームに関して対応するアミノ酸配列。
【図2b】配列番号8のアミノ酸配列。
【図2c】配列番号9のアミノ酸配列。
【図2d】配列番号10のアミノ酸配列。
【図2e】配列番号11のアミノ酸配列。
【図2f】配列番号12のアミノ酸配列。
【図3a】クローン3(配列番号13)のDNA配列とオープンリーディングフレームに関して対応するアミノ酸配列。
【図3b】配列番号14のアミノ酸配列。
【図3c】配列番号15のアミノ酸配列。
【図3d】配列番号16のアミノ酸配列。
【図3e】配列番号17のアミノ酸配列。
【図3f】配列番号18のアミノ酸配列。
【図3g】配列番号19のアミノ酸配列。
【図3h】配列番号20のアミノ酸配列。
【図3i】配列番号21のアミノ酸配列。
【図4a】クローン4(配列番号22)のDNA配列とオープンリーディングフレームに関して対応するアミノ酸配列。
【図4b】配列番号23のアミノ酸配列。
【図4c】配列番号24のアミノ酸配列。
【図4d】配列番号25のアミノ酸配列。
【図4e】配列番号26のアミノ酸配列。
【図5a】クローン5(配列番号27)のDNA配列とオープンリーディングフレームに関して対応するアミノ酸配列。
【図5b】配列番号28のアミノ酸配列。
【図5c】配列番号29のアミノ酸配列。
【図5d】配列番号30のアミノ酸配列。
【図5e】配列番号31のアミノ酸配列。
【図6a】クローン6(配列番号32)のDNA配列とオープンリーディングフレームに関して対応するアミノ酸配列。
【図6b】配列番号33のアミノ酸配列。
【図6c】配列番号34のアミノ酸配列。
【図6d】配列番号35のアミノ酸配列。
【図6e】配列番号36のアミノ酸配列。
【図7a】クローン7(配列番号37)のDNA配列とオープンリーディングフレームに関して対応するアミノ酸配列。
【図7b】配列番号38のアミノ酸配列。
【図7c】配列番号39のアミノ酸配列。
【図7d】配列番号40のアミノ酸配列。
【図7e】配列番号41のアミノ酸配列。
【図8】シグナル配列を有するクローン7の一部のDNA配列(配列番号42)。
【図9】シグナル配列なしのクローン7の一部のDNA配列(配列番号43)。
【図9a】アミノ酸配列(配列番号44)。
【図10】配列番号39に対応する組換えGBSタンパク質で免疫化したCD-1マウスの血清の抗−GBS ELISA力価の分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(発明の詳細な説明)
本発明は:
配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号44またはそのフラグメント、アナログまたは誘導体からなる群から選択されるアミノ酸配列により特徴付けられるグループB連鎖球菌(GBS)の新規抗原性ポリペプチドに関する。
【0012】
本発明の好ましい態様は、配列番号39および配列番号44を含む。
本発明の更に好ましい態様は、配列番号39を含む。
本発明の更に好ましい態様は、配列番号44を含む。
【0013】
本明細書で使用する限り、本発明のポリペプチドの“フラグメント”、“誘導体”または“アナログ”は、1個またはそれ以上のアミノ酸残基が、天然または非天然であり得る保存または非保存アミノ酸残基(好ましくは保存)で置換されたポリペプチドを含む。
【0014】
本発明の“フラグメント”、“誘導体”または“アナログ”なる用語は、またポリペプチドが免疫応答を誘発する能力を保持する限り、アミノ酸の付加、欠失、置換により修飾されたポリペプチドを含む。
【0015】
“保存アミノ酸”は、1個またはそれ以上のアミノ酸の、ある抗原の抗原決定基(二次構造およびヒドロパシー性質を含む)が、置換にもかかわらず完全にまたは部分的に保存されている、他のものへの置換を意味する。
【0016】
例えば、配列内の1個またはそれ以上のアミノ酸残基を、機能的相同物として働き、沈黙的改変をもたらす同様の極性の他のアミノ酸に置換できる。配列内のアミノ酸の置換は、そのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択し得る。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸はアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンを含む。極性中性アミノ酸はグリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンを含む。陽性荷電(塩基性)アミノ酸はアルギニン、リジンおよびヒスチジンを含む。陰性荷電(酸性)アミノ酸はアスパラギン酸およびグルタミン酸を含む。
【0017】
好ましくは、本発明のポリペプチドの誘導体およびアナログは、図に記載の配列またはそのフラグメントと約70%の同一性を有する。即ち、70%の残基が同じである。より好ましくは、ポリペプチドは95%以上の相同性を有する。他の好ましい態様において、本発明のポリペプチドの誘導体およびアナログは約20個より少ない、およびより好ましくは10個より少ないアミノ酸残基置換、修飾または欠失を有する。好ましい置換は、当分野で保存として既知のもの、すなわち、置換残基が疎水性、サイズ、電荷または官能基のような物理的または化学的性質を共有するものである。
【0018】
更に、アミノ酸領域が多形体である状況において、1個またはそれ以上の特定のアミノ酸を異なるGBS株の異なるエピトープをより有効に模倣するように変えることが望ましい場合がある。
【0019】
またポリペプチド生理学的または薬理学的性質を変える他の化合物、即ち、半減期を増加させるためのポリエチレングリコール(PEG);精製を容易にするためのリーダーまたは分泌性アミノ酸配列;プレプロ−およびプロ−配列;および(ポリ)サッカライドと融合したポリペプチドが含まれる。
【0020】
更に、本発明のポリペプチドは、安定性、支持体または他の分子への連結または結合のための疎水性の増加を提供するため、末端−NHアシル化(例えば、アセチル化、または例えばアンモニアまたはメチルアミンでのチオグリコール酸アミド化、末端カルボキシアミド化)により修飾できる。
【0021】
また意図されるのは、ポリペプチドフラグメント、アナログおよび誘導体のヘテロおよびホモポリペプチド多量体である。これらの多量体形は、例えば、アビジン/ビオチン、グルタールアルデヒドまたはジメチル−スペルミデートのような架橋剤で架橋している1個またはそれ以上のポリペプチドを含む。このような多量体形はまた、組換えDNA法により多シストロン性mRNAから産生された2個またはそれ以上の連結(tandem)または逆転連結(inverted contiguous)配列を有するポリペプチドを含む。好ましくは、本発明のポリペプチドのフラグメント、アナログまたは誘導体は少なくとも一つの抗原性領域、即ち、少なくとも一つのエピトープを含む。
【0022】
抗原性ポリマー(即ち合成多量体)の形成を達成するために、試薬がチオ基に特異的であるとき、ビスハロアセチル基、ニトロアリールハライド等を有するポリペプチドを利用し得る。従って、異なるポリペプチドの二つのメルカプト基の間の結合は単結合であり得、または少なくとも2個、典型的には少なくとも4個、そして16個を超えないが、通常約14個を超えない炭素原子の架橋基を含み得る。
【0023】
特定の態様において、本発明のポリペプチドフラグメント、アナログおよび誘導体はメチオニン(Met)開始残基を含まない。好ましくは、ポリペプチドはリーダーまたは分泌性配列(シグナル配列)を包含しない。本発明のポリペプチドのシグナル部分は確立された分子生物法により決定し得る。一般に、目的のポリペプチドはGBS培養から単離し、続いて配列決定して成熟タンパク質の最初の残基、従って成熟ポリペプチド配列を決定し得る。
【0024】
他の態様において、本発明の1個またはそれ以上のGBSポリペプチドを、薬学的に許容される担体、希釈剤またはアジュバントとの混合物で含むワクチン組成物を提供する。
【0025】
適当なアジュバントは、油、即ち、フロインド完全または不完全アジュバント;塩、即ちAlK(SO)、AlNa(SO)、AlNH4(SO)、Al(OH)、AlPO、シリカ、カオリン;サポニン誘導体、炭素ポリヌクレオチド、即ち、ポリICおよびポリAUおよびまた粘膜免疫性の誘発のための無毒化コレラ毒素(CTB)およびE. coli加熱不安定毒素を含む。好ましいアジュバントは、QuilA(登録商標)、Alhydrogel(登録商標)およびAjduphos(登録商標)を含む。本発明のワクチンは、注射、急速点滴、鼻咽腔吸収、皮膚吸収により非経腸的に、またはバッカルまたは経口で投与し得る。
【0026】
本発明のワクチン組成物は連鎖球菌感染および/または連鎖球菌、特にグループA連鎖球菌(発熱原)、グループB連鎖球菌(GBSまたはagalactiae)、dysgalactiae、uberis、nocardiaならびにStaphylococcus aureus感染により媒介される疾病および症状の処置または予防に使用される。連鎖球菌に関する一般的情報は、Manual of Clinical Microbiology, P. R. Murray et al., (1995, 第6版, ASM Press, Washington, D.C.)から入手可能である。より具体的に、グループB連鎖球菌、agalactiae。特定の態様において、ワクチンは妊婦および幼児のような敗血症、髄膜炎および肺炎の感染の危険性のある個体に、および糖尿病、肝臓疾患または癌のような免疫無防備個体に投与する。ワクチンはまた、上記の細菌およびE. coliにより媒介されるウシの乳房炎の処置のような獣医学的適用を有し得る。
【0027】
本発明のワクチンはまた連鎖球菌感染および/または連鎖球菌、特にグループA連鎖球菌(発熱原)、グループB連鎖球菌(GBSまたはagalactiae)、dysgalactiae、uberis、nocardiaならびにStaphylococcus aureus感染により介在される疾病および症状の処置または予防に使用する医薬の製造にも使用される。より具体的に、グループB連鎖球菌、agalactiae。
【0028】
ワクチン組成物は、好ましくは約0.001から100μg/kg(抗原/体重)およびより好ましくは0.01から10μg/kg、最も好ましくは0.1から1μg/kgの単位投与量を1から12週、およびより好ましくは1から6週間隔で1から3回投与する。
【0029】
他の態様において:
配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41および配列番号44またはそのフラグメント、アナログまたは誘導体からなる群から選択されるアミノ酸により特徴付けられる、グループB連鎖球菌(GBS)のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供される。
【0030】
好ましいポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードする、オープンリーディングフレームに対応する、図1a(配列番号1)、2a(配列番号7)、3a(配列番号13)、4a(配列番号22)、5a(配列番号27)、6a(配列番号32)、7a(配列番号37)、8(配列番号42)および9(配列番号43)に説明するものである。
【0031】
好ましいポリヌクレオチドは、図1a(配列番号1)、2a(配列番号7)、3a(配列番号13)、4a(配列番号22)、5a(配列番号27)、6a(配列番号32)、7a(配列番号37)、8(配列番号42)および9(配列番号43)に説明するものおよびそのフラグメント、アナログおよび誘導体である。
【0032】
より好ましい本発明のポリヌクレオチドは、図7(配列番号37)、8(配列番号42)および9(配列番号43)に説明するものである。
最も好ましい本発明のポリヌクレオチドは、8(配列番号42)および9(配列番号43)に説明するものである。
【0033】
図に記載のポリヌクレオチド配列は、本発明のポリペプチドをなおコードしている限り、縮重コドンで改変されていてもよい。
【0034】
ヌクレオチドコード配列の縮重のために、実質的に本発明と同じポリペプチドをコードする他のポリヌクレオチド配列を本発明の実施に使用し得る。これらは、配列内の同じアミノ酸残基をコードする異なるコドンへの置換、即ち、沈黙的改変を行うことを含むが、これらに限定されない。
【0035】
従って、本発明は更に配列の間の50%、好ましくは少なくとも70%の同一性を有する上記のポリヌクレオチド配列(またはその相補的配列)とハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する。より好ましくは、ポリヌクレオチドはストリンジェントな条件下でハイブリダイズできる、即ち、少なくとも95%同一性および最も好ましくは97%以上の同一性を有する。
【0036】
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズを行うことは、核酸分子の、第2核酸配列(cDNA、mRNAまたはゲノムDNAにかかわらず)の少なくとも一つの領域へのまたはその相補的鎖への、標準条件下、例えば、非相補的ヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションを好まない傾向のある高温および/または低塩濃度でのアニーリングを意味する。適当なプロトコールは、引用して本明細書に包含させるManiatis T. et al., Molecular cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1982に記載されている。
【0037】
更なる態様において、本発明のポリペプチド、またはそのフラグメント、アナログまたは誘導体をコードするポリヌクレオチドを、DNA免疫化法に使用し得る。即ち、それらを注射により複製可能および発現可能なベクターに包含させ、それによりインビボで抗原ポリペプチドを産生することができる。例えば、ポリヌクレオチドを、真核細胞内で機能的なCMVプロモーターの制御化にプラスミドベクターに包含させる。好ましくは、ベクターを筋肉内注射する。
【0038】
他の態様に従って、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを宿主細胞内に発現させ、発現ポリペプチド生産物を回収することによる、組換え法による本発明のポリペプチドの製造法が提供される。あるいは、ポリペプチドを確立された合成化学法、即ち、完全ポリペプチドを製造するためにライゲートする(ブロックライゲーション)オリゴペプチドの液相または固相合成により製造できる。
【0039】
組換え製造のために、宿主細胞をポリペプチドをコードするベクターでトランスフェクトし、次いでプロモーターの活性化、形質転換体の選択または遺伝子の増幅に適当なように修飾した栄養培地で培養する。適当なベクターは、選択した宿主内で生存可能および複製可能であり、染色体、非染色体および合成DNA配列、例えば細菌プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAの組合わせに由来するベクターを含む。ポリペプチド配列は、プロモーター、リボソーム結合部位(コンセンサス領域またはシャイン−ダルガーノ配列)、および所望によりオペレーター(コントロール要素)を含む発現制御領域に操作可能に結合するように、制限酵素を使用して適当な部位でベクターに取りこまれる。ある宿主およびベクターに適当な発現制御領域の個々の成分を、確立された分子生物学原理に従って選択できる(引用して本明細書に包含させるSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)。適当なプロモーターは、LTRまたはSV40プロモーター、E. coli lac、tacまたはtrpプロモーターおよびファージラムダPLプロモーターを含むがこれらに限定されない。ベクターは好ましくは複製起源および選択マーカー、即ち、アンピシリン耐性遺伝子を含む。適当な細菌ベクターは、pET、pQE70、pQE60、pQE-9、PBS、pD10ファージスクリプト、psiX174、pbluescript SK、PBSks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、ptrc99a、pKK223-2、pKK233-3、pDR540、pRIT5および真核ベクターpBlueBacIII、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG、pSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVLを含む。宿主細胞は、細菌、即ち、E. coli、Bacillus subtilis、Streptomyces;真菌、即ちAspergillus niger、Aspergillus nidulins;酵母、即ち、Saccharomycesまたは真菌、即ちCHO、COSを含む。
【0040】
培養におけるポリペプチドの発現後に、細胞を典型的に遠心により回収し、次いで物理的または化学的手段(発現ポリペプチドが媒体中に分泌されない場合)で粉砕させ、得られた粗抽出物を保持して目的のポリペプチドを単離する。培養媒体または細胞破砕物からのポリペプチドの精製は、ポリペプチドの性質に依存して、確立された方法で、すなわち、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを使用して達成し得る。最終精製はHPLCを使用して達成し得る。
【0041】
ポリペプチドは、リーダーまたは分泌配列を伴いまたは欠いて発現し得る。前者の場合、リーダーは翻訳後処理(引用して本明細書に包含させる米国特許4,431,739;4,425,437;および4,338,397参照)を使用して除去し得、または発現ポリペプチドの精製に続いて化学的に除去し得る。
【0042】
更なる態様に従って、本発明のGBSポリペプチドは特定のGBS感染における連鎖球菌感染の診断的試験に使用し得る。数個の診断法、例えば、生物学的サンプル中の連鎖球菌生物の検出が可能であり、以下の方法に従い得る:
a)患者からの生物学的サンプルの所得;
b)混合物を形成するための本発明のGBSポリペプチドと反応性の抗体またはそのフラグメントと生物学的サンプルのインキュベーション;
c)混合物中の、連鎖球菌に特異的な抗体の存在を示す特異的結合抗体または結合フラグメントの検出。
【0043】
あるいは、抗体を含む、または含むことが疑われる生物学的サンプル中の連鎖球菌抗原に特異的な抗体の検出法は、以下の通りに行い得る:
a)患者からの生物学的サンプルの分離;
b)混合物を形成するための本発明のGBSポリペプチドまたはそのフラグメントと生物学的サンプルのインキュベーション;
c)混合物中の、連鎖球菌に特異的な抗体の存在を示す特異的結合抗原または結合フラグメントの検出。
【0044】
当業者は、本診断試験が、本質的にタンパク質に特異的な抗体が生物中に存在するか否かを決定する、酵素結合免疫収着検定(ELISA)、放射免疫アッセイまたはラテックス凝集アッセイのような酵素免疫学的試験を含む数個の形で行い得ることを認識する。
【0045】
本発明のポリペプチドをコードするDNA配列は、また連鎖球菌の存在の、このような細菌を含むことが疑われる生物学的サンプルでの検出に使用する、DNAプローブの設計に使用し得る。本発明の検出法は:
a)患者からの生物学的サンプルの分離;
b)混合物を形成するための本発明のポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするDNA配列を有する1個またはそれ以上のDNAプローブと生物学的サンプルのインキュベーション;
c)混合物中の、連鎖球菌の存在を示す特異的結合DNAプローブの検出
を含む。
【0046】
本発明のDNAプローブは、また、連鎖球菌感染の診断法として、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を使用したサンプル中の循環連鎖球菌、即ちGBS核酸の検出にも使用し得る。プローブは、慣用の方法を使用して合成し得、固相に固定化し得、または検出可能標識で標識し得る。この適用のための好ましいDNAプローブは、本発明のGBSポリペプチドの少なくとも約6連続ヌクレオチドと相補的な配列を有するオリゴマーである。
【0047】
患者における連鎖球菌の他の検出法は:
a)本発明のポリペプチドまたはそのフラグメントと反応性の抗体の検出可能標識での標識;
b)標識抗体または標識フラグメントの患者への投与;そして
c)連鎖球菌の存在を示す、患者の中の特異的結合標識抗体または標識フラグメントの検出
を含む。
【0048】
本発明の更なる態様は、本発明のGBSポリペプチドの、診断用および特に連鎖球菌感染処置用の特異的抗体の製造のための免疫原としての使用である。適当な抗体は、適当なスクリーニング法、例えば、特定の抗体が試験モデルにおいて連鎖球菌感染に対して受動的に保護する能力の測定により決定し得る。動物モデルの一つの例は、本明細書の実施例に記載するマウスモデルである。抗体は全抗体またはその抗原結合フラグメントであり得、一般に任意の免疫グロブリンクラスに属する。抗体またはフラグメントは、動物起源、特に哺乳類起源、およびより特異的にはマウス、ラットまたはヒト起源であり得る。天然抗体またはそのフラグメント、または所望により、組換え抗体または抗体フラグメントであり得る。組換え抗体または抗体フラグメントなる用語は、分子生物法を使用して産生された抗体または抗体フラグメントを意味する。抗体または抗体フラグメントは、ポリクローナル、または好ましくはモノクローナルであり得る。GBSと会合するエピトープの数については特異的であり得るが、好ましくは一つに対して特異的である。
【実施例】
【0049】
(実施例)
実施例1 致死グループB連鎖球菌(GBS)感染のマウスモデル
GBS感染のマウスモデルは、Lancefield et al (J Exp Med 142:165-179, 1975)に詳述されている。GBS株C388/90(臨床単離物は、Children's Hospital of Eastern Ontario, Ottawa, Canadaから、髄膜炎に罹患している患者の頭脊柱(cephalorachidian)液から1990年に得られている)およびNCS246(National Center for Streptococcus, Provincial Laboratory of Public Health for Northern Alberta, Edmonton, Canada)は、各々抗原型タイプIa/cおよびタイプII/Rと分類された。
【0050】
その毒性を増加させるために、GBS株C388/90(抗原型Ia/c)おおびNCS246(抗原型II/R)を先に記載(Lancefield et al. J Exp Med 142:165-179, 1975)のようにマウスを通して連続的に継代した。簡単に、毒性の増加を、感染マウスの血液または脾臓のいずれかから得たトッド−ヒューイットブロスの継代培養の連続希釈の腹腔内接種を使用して追跡した。最後の継代の後、感染血液サンプルを使用してトッド−ヒューイットブロスに接種した。2時間、37℃で7%COでの2時間のインキュベーション後、最終濃度10%(v/v)のグリセロールを培養に添加した。次いで、GBS攻撃実験に使用するために、培養を等分し、−80℃で貯蔵した。これらの凍結サンプルに存在するGBSのcfuの数を決定した。18週齢マウスを100%を殺すのに必要な細菌濃度(LD100)は、GBS株C388/90およびNCS246で各々3.5×10および1.1×10であり、両方の株の毒性の有意な増加に対応した。実際、これらの二つの株の継代前に記録されたLD100は10cfuより高かった。
【0051】
細菌攻撃において、毒性GBS株の新たに融解したアリコートを、トッド−ヒューイットブロスを使用して適当な細菌濃度に希釈し、1mLを各雌CD-1マウスに腹腔内注射した。受動的保護の実験に使用したマウスは6から8週齢であったが、報道的保護実験に使用したものは攻撃時に約18週齢であった。全ての接種物はコロニー計数で立証した。動物は攻撃後最初の48時間は1日4回、ついで次ぎの12日は毎日感染の兆候に関して観察した。この期間の終りに血液サンプルを生存動物から得、−20℃に凍結させた。この攻撃で生存した各マウスから得た脾臓を残ったGBSの同定のために培養した。
【0052】
実施例2 ホルムアルデヒド死滅全GBS細胞でのマウス免疫化および保護
ホルムアルデヒド死滅GBS全細胞をLancefield et al (J Exp Med 142:165-179, 1975)に記載の方法に従って調製した。簡単に、GBS株のヒツジ血液寒天プレート(Quelab Laboratories, Montreal, Canada)での一晩の培養を、2回PBS(リン酸緩衝化食塩水、pH7.2)で洗浄し、約3×10cfu/mLに調節して一晩0.3%(v/v)ホルムアルデヒド含有PBS中でインキュベートした。死滅GBS懸濁液をPBSで洗浄し、−80℃に保った。
【0053】
雌CD-1マウス、6から8週齢(Charles River, St-Constant, Quebec, Canada)に、C388/90(〜6×10GBS)の0.1mlのホルムアルデヒド死滅細胞またはコントロールグループのために0.1mlのPBSを皮下注射した。免疫化の前日、Alhydrogel(登録商標)(Superfos Biosector, Frederikssund, Denmark)を0.14mgまたは0.21mgのAlの最終濃度でこれらの調製物に添加し、一晩4℃で撹拌しながらインキュベートした。血清サンプルを各マウスから免疫化プロトコール開始前および最後の注射2週間後に得た。血清を−20℃で凍結させた。
【0054】
各々PBSを注射したコントロールグループおよびホルムアルデヒド死滅全細胞GBS株C388/90(Ia/c)で免疫化した8匹のマウスを、1.5×10cfuのGBS株C388/90(Ia/c)で3回目の注射の1週間後に攻撃した。ホルムアルデヒド死滅GBS全細胞で免疫化した全マウスは同種攻撃で生存したが、攻撃後5日以内に、PBSを注射した8匹のうち4匹のみが感染から生存した。コントロール群の致死率を増加させるために、細菌懸濁液を細菌攻撃の時点のマウスの年齢に従って調節している。続く攻撃実験において、マウスが15週齢より上である場合、細菌接種は3.0×10および2.5×10cfuの間に増加させた。
【0055】
【表1】

最終濃度0.14mgまたは0.21mgのAl濃度のAlhydrogel(登録商標)を使用した;
約6×10cfu;
1.5×10に調節したGBS C388/90(Ia/c)懸濁液含有1mLトッド−ヒューイット培養培地で腹腔内攻撃
2.1×10に調節したGBS C388/90(Ia/c)懸濁液含有1mLトッド−ヒューイット培養培地で腹腔内攻撃
実施せず
2.1×10に調節したGBS NCS246(II/R)懸濁液含有1mLトッド−ヒューイット培養培地で腹腔内攻撃。
【0056】
他の実験において、コントロールグループに対応する12匹のマウスにPBSを注射し、一方12匹のマウスの第2グループをGBS株C388/90(Ia/c)のホルムアルデヒド死滅全細胞で免疫化した。これらの2つのグループの各々由来の6匹のマウスを、GBS株C388/90(Ia/c)の2.1×10cfuで攻撃した(表I)。最初の攻撃実験において、GBS株C388/90(Ia/c)で免疫化した全マウスは同種攻撃で生存した。PBSを注射した6匹のマウスのうち2匹のみが感染から生存した。
【0057】
両方の群の残りの6匹のマウスを次いで1週間後に使用して、この抗原性調製物が、血清学的に異なるカプセルを産生する株HCS246(II/R)に対する交差防御を付与するかを確かめた。この第2GBS株で感染したマウスで生存したものはなかった。後者の結果は、ホルムアルデヒド死滅株C388/90により誘発された保護的免疫応答のほとんどが本カプセル状ポリサッカライドに対するものであり、特定の抗原型の株に限定されることを示す。これらの結果は、感染の特定のモデルが、ワクチン化により付与される保護の実験に効率的に使用できることを示す。
【0058】
実施例3 ホルムアルデヒド死滅全GBS細胞でのウサギの免疫化およびマウスの受動的保護
ニュージーランドウサギ(2.5kg、Charles River, St-Constant, Quebec, Canada)を、GBS株C388/90(Ia/c)のホルムアルデヒド死滅細胞で免疫化し、高度免疫血清を得た。このウサギに3回、3週間間隔で、約1.5×10cfuのGBS株C388/90(Ia/c)のホルムアルデヒド死滅全細胞を注射した。フロインド完全アジュバント(Gibco BRL Life Technologies, Grand Island, New York)を最初の免疫化のアジュバントとして使用し、一方フロインド不完全アジュバント(Gibco BRL)を続く2回の注射に使用した。血清サンプルを免疫化プロトコールの開始前および最後の注射2週間後に得た。血清を−20℃で凍結させた。
【0059】
この特定のウサギ高度免疫血清の、GBS致死感染に対する受動保護の能力をまた評価した。マウスへの15または25μLの高度免疫ウサギ血清の攻撃18時間前の腹腔注射は、感染に対し5匹中4匹(80%)のマウスを攻撃から保護した。比較して、PBSまたは髄膜炎菌外膜調製物で免疫化したウサギ由来の血清を注射したマウスで、20%以下の生存率が記録された。この結果は、他の動物種の死滅GBS細胞での免疫化が、マウスを受動的に保護できる抗体の産生を誘発できることを明らかに示す。この試薬はまたクローンの特徴づけにも使用する。
【0060】
【表2】

フロインド完全アジュバントを最初の免疫化に、フロインド不完全アジュバントを続く2回の注射に使用した;
2.1×10cfuに調節したGBS NCS246(II/R)懸濁液含有1mLトッド−ヒューイット培養培地で腹腔内攻撃。
【0061】
実施例4 Hisタグ−GBS融合タンパク質の組換え製造
GBS株C388/90(Ia/c)のゲノムDNA由来のGBS遺伝子のコード領域を、制限部位BglIII(AGATCT)およびHindIII(AAGCTT)のおのおの制限部位の付加のために伸ばされた塩基を含むオリゴを使用して、PCR(DNA Thermal Cyclar GeneAmp PCRシステム Perkin Elmer, Sna Jose, CA)で増幅した。PCR生産物をアガロースゲルから、Qiagen(Chatsworth, CA)からのQiaex IIゲル抽出キットを使用して精製し、制限酵素BglIIおよびHindIII(Pharmacia Canada Inc Baie d'Urge, Canada)で消化させ、フェノール:クロロホルムで抽出してエタノール沈殿した。チオレドキシン−Hisタグ配列を有するpET-32b(+)ベクター(Novagen, Madison, WI)を制限酵素BglIIおよびHindIIIで消化させ、フェノール:クロロホルムで抽出し、次いでエタノール沈殿した。BglII-HindIIIゲノムDNAフラグメントをBglII−HindIII pET-32b(+)ベクターにライゲートし、チオレドキシン−Hisタグ−GBS融合タンパク質を製造し、その遺伝子はT7プロモーターの制御下にあった。ライゲートした生産物をE. coli株XLI Blue MRF'(Δ(mcrA)183Δ(mcrCB-hsdSMR-mrr)173 endA1 supE44 thi-1 recA1 gyrA96 relA1 lac[F'proAB lacIZΔM15Tn10(Tetr)])(Stratagene, La Jolla, CA)に、Simanis(Hanahan, D. DNA Cloning, 1985, D.M. Glover (ed.), pp. 109-135)の方法に従って形質転換した。組換えpETプラスミドをQiagenキット(Qiagen, Chatsworth, CA)を使用して精製し、DNA挿入物のヌクレオチド配列をDNA配列決定(Taq Dye Deoxy Terminator Cycle Sequencing kit, ABI,, Foster City, CA)にりより確認した。組換えpETプラスミドを電気穿孔(Gene Pulser II装置, BIO-RAD Labs, Mississauga, Canada)により、E. coli株AD494(DE3)(Δara-leu7697Δlacx74 ΔphoA PvuII phoR ΔmalF3 F'[lac+(lacIq)pro]trxB::Kan(DE3))(Novagen, Madison, WI)に形質転換した。E. coliのこの株において、融合タンパク質のT7プロモーター制御発現がT7 RNAポリメラーゼ(λDEプロファージに存在)により特異的に認識され、その遺伝子はイソプロピル−β−D−チオ−ガラクトピラノシド(IPTG)により誘導可能なlacプロモーターの制御下である。
【0062】
形質転換体AD494(DE3)/rpETを37℃で、1mL当たり100μgアンピシリン(Sigma-Aldrich Canada Ltd., Oakville, Canada)含有LBブロス(ペプトン10g/L、酵母抽出物5g/L、NaCl 10g/L)中250rpmで撹拌しながら、A600が0.6の値に近づくまで生育させた。チオレドキシン−Hisタグ−GBS融合タンパク質の製造の誘導のために、細胞を更に2時間、最終濃度1mMのIPTG存在下でインキュベートした。細菌細胞を遠心により回収した。
【0063】
2時間、IPTG誘導によりAD494(DE3)/rpET32により産生された組換え誘導タンパク質は、不溶性体として部分的に得られ、それを内因性E. coliタンパク質から不溶性凝集体の単離により精製した(Gerlach, G.F. et al. 1992, Infect. Immun. 60:892)。500mL培養から誘導された細胞を20mLの25%スクロース−50mMトリス−HCl緩衝液(pH8.0)に再懸濁し、−70℃で凍結させた。融解懸濁液中の細胞溶解を5mLの250mMトリス−HCl緩衝液(pH8.0)中のリソザイム(10mg/mL)の添加、続く10から15分の氷上でのインキュベーション、および15mLの界面活性剤混合物(5部の20mMトリス−HCl緩衝系[pH7.4]−300mM NaCl−2%デオキシコール酸−2% Nonidet P-40および4部の100mMトリス−HCl緩衝液[pH8]−50mM EDTA−2%Triton X-100)の添加、続く5分の氷上でのインキュベーションにより達成した。超音波処理の後、タンパク質凝集物を30分、35,000×gで遠心することにより回収し、可溶性細胞性フラクションのサンプルを保有した。凝集タンパク質を6Mグアニジン塩酸塩中に可溶化した。可溶性および不溶性フラクションの両方への融合タンパク質の存在を、ウェスタンブロット分析により、GBS株C388/90(Ia/c)のホルムアルデヒド死滅細胞を注射された対応するGBSの攻撃で生存したマウスの血清を使用して示した。
【0064】
IPTG−誘導AD494(DE3)/rpETの可溶性フラクション由来の融合タンパク質の精製を、His結合金属キレート化樹脂(Novagen, Madison, WI)に固定化した2価カチオン(Ni2+)に結合するHisタグ配列の脂質に基づいた親和性クロマトグラフィーにより行った。使用した精製法は、pETシステムマニュアル、第6版Novagen, Madison, WI)に記載のものである。簡単に、IPTGで誘導した100mL培養から得たペレット化細胞を4mLの結合緩衝液(5mMイミダゾール−500mM NaCl−20mM トリス−HCl pH7.9)に再懸濁し、超音波処理し、39,000×gで20分回転させて残骸を除去した。上清を濾過し(0.45μmポアサイズ膜)、結合緩衝液で平衡化したHis結合樹脂のカラムに沈着させた。次いで、カラムを10カラム容量の結合緩衝液、続いて6カラム容量の洗浄緩衝液(20mMイミダゾール−500mM NaCl−20mMトリス−HCl、pH7.9)で洗浄した。チオレドキシン−Hisタグ−GBS融合タンパク質は、溶出緩衝液(1Mイミダゾール−500mM NaCl−20mMトリス−HCl pH7.9)で溶出した。サンプルからの塩およびイミダゾールの除去は、3×1リットルPBSに対する4℃での透析により行った。
【0065】
E. coliの可溶性または不溶性のいずれかの細胞質フラクションから得た融合タンパク質の量を、これらのタンパク質の連続希釈およびウシ血清アルブミン標準(Pierce Chemical Co. Rockford, Ill)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲルのクーマシー染色により概算した。
【0066】
実施例5 λPLプロモーター制御下のGBSタンパク質の組換え産生
GBSのDNAコード領域を、翻訳ベクターpURV22のプロモーターλPLの下流に挿入した。本プラスミドは、I型単純ヘルペス(HSV-I)糖タンパク質(gD-1)が除去され、アンピシリン耐性遺伝子がプラスミドベクターpUC4K(Pharmacia Biotech Canada Inc., Baie D'Urfe, Canada)から得られたカナマイシンカセットで置き換えられたp629(George et al, 1987, Bio/Technology 5:600)由来であった。ベクターは、機能的Pプロモーターが欠失しているバクテリオファージλcI85温度感受性リプレッサー遺伝子のカセットを含んだ。cI857リプレッサーの30−37℃から37−42℃への温度上昇による不活性化は、λPL制御下の遺伝子の誘導をもたらした。遺伝子の翻訳は、下流がbGlII制限部位(AGATCT)およびATG:ACTAAGGAGGTTAGATCTATGに続くリボソーム結合部位により制御された。
【0067】
制限酵素およびT4 DNAリガーゼを供給者(Pharmacia Biotech Canada Inc., Baie D'Urfe, Canada; およびNew England Biolabs Ltd., Mississauga, Canada)に従って使用した。DNAフラグメントのアガロースゲル電気泳動をSambrook et al. (Molecular cloning: A laboratory Manual, 1989, Cold Spring Harbor Laboratory Press, N.Y.)に記載のように行った。GBS細菌の染色体DNAをJayarao et al (J. Clin. Microbiol., 1991, 29:2774)に記載の方法のように製造した。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるDNA増幅反応は、DNA Thermal Cycler GeneAmp PCRシステム2400(Perkin Elmer, San Jose, CA)を使用して行った。DNA配列決定に使用したプラスミドはQiagen(Chatsworth, CA)由来のプラスミドキッドを使用して精製した。DNAフラグメントは、Qiagen(Chatsworth, CA)由来のQiaex IIゲル抽出キットを使用してアガロースゲルから精製した。プラスミド形質転換は、Hanahan(DNA Cloning, Glover(ed.) pp, 109-135, 1985)に記載の方法により行った。プラスミド中のゲノムDNA挿入物の配列決定は、オリゴヌクレオチドシンセサイザーモデル394(Perkin-Elmer Corp., Applied Biosystems Div. (ABI), Foster City, CA)で合成した合成オリゴヌクレオチドを使用して行った。配列決定反応は、Taq Dye Deoxy Terminator Cycle Sequencingキット(ABI, Foster City, CA)を使用したPCRにより行い、DNA電気泳動は、自動DNAシークエンサー373A(ABI, Foster City, CA)を使用して行った。DNA配列およびその推定されるポリペプチドの分析は、プログラムGene Worksバージョン2.45(Intelligenetics, Inc., Mountain View CA)で行った。
【0068】
GBS遺伝子のコード領域は、制限部位BglII(AGATCT)およびXbaI(TCTAGA)のために各々伸ばされた塩基を含むオリゴを使用したGBS株C388/90(Ia/c)ゲノムDNA由来のPCRにより増幅した。PCR生産物を、Qiagen(Chatsworth, CA)由来のQiaex IIゲル抽出キットを使用してアガロースゲルから精製し、制限酵素BglIIおよびXbaIで消化し、フェノール:クロロホルムで抽出し、エタノール沈殿した。pURV22ベクターを制限酵素BglIIおよびXbaIで消化し、フェノール:クロロホルムで抽出し、エタノール沈殿した。BglII−XbaIゲノムDNAフラグメントをBglII-XbaI pURV22ベクターにライゲートし、その中でGBS遺伝子はλPLプロモーターの制御下であった。ライゲートした生産物をE. coli株XLI Blue MRF'(Δ(mcrA)183Δ(mcrCB-hsdSMR-mrr)173 endA1 supE44 thi-1 recA1 gyrA96 relA1 lac[F' proAB lac1qZΔM15 Tn10(Tetr)]](Stratagene, La Jolla CA)に、Hanahan, 前掲に記載の方法に従って形質転換した。プラスミド挿入物を担持する形質転換体を、アガロース電気泳動(Sambrook et al., 前掲)に従った溶解細胞の分析により同定した。組換えpURV22プラスミドをQiagenキット(Qiagen, Chatsworth, CA)に従って精製し、DNA挿入物のヌクレオチド配列を、DNA配列決定により確認した。
【0069】
形質転換体XL1 Blue MRF'/rpURV22を34℃で、250rpmで撹拌しながら、1mL当たり50μgカナマイシン含有LBブロス中で、A600が0.6の値に到達するまで生育させた。融合タンパク質の産生を誘導するために、細胞を更に4時間39℃でインキュベートした。細菌細胞を遠心により回収し、サンプル緩衝液に再懸濁し、10分沸騰させ、−20℃に保った。
【0070】
実施例6 CMVプラスミドpCMV-GH中のGBSタンパク質遺伝子のサブクローニング
GBSタンパク質のDNAコード領域を、プラスミドベクターpCMV-GH(Tang et al, Nature, 1992, 356:152)中のサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターの転写的制御下にあるヒト成長ホルモン(hGH)遺伝子の下流に相で挿入した。CMVプロモーターはE. coli細胞内で非機能性であるが、真核細胞内のプラスミドの投与により活性となる。ベクターはまたアンピシリン耐性遺伝子も含む。
【0071】
遺伝子のコード領域は、制限部位BglII(AGATCT)およびHindIII(AAGCTTT)のために各々伸ばされた塩基を含むオリゴを使用したGBS株C388/90(Ia/c)のゲノムDNAからのPCRにより増幅した。PCR生産物を、Qiagen(Chatsworth, CA)由来のQiaex IIゲル抽出キットを使用してアガロースゲルから精製し、制限酵素BglIIおよびHindIIIで消化し、フェノール:クロロホルムで抽出し、エタノール沈殿した。誘導タンパク質を創造するためにヒト成長ホルモン含有pCMV-GHベクター(Laboratory of Dr. Stephen A. Johnston, Department of Biochemistry, The University of Texas, Dallas, Texas)を制限酵素BamHIおよびHindIIIで消化し、フェノール:クロロホルムで抽出し、エタノール沈殿した。1.3kb BglII−HindIIIゲノムDNAフラグメントをBamHI-HindIII pCMV-GHベクターにライゲートし、CMVプロモーターの制御下にhGH-GBS誘導タンパク質を創造した。ライゲート生産物をE. coli株DH5α[Ф80 lacZ ΔM15 endA1 recA1 hsdR17 (rK-mK+) supE44 thi-1λ gyrA96 relA1 Δ(lacZYA-argF)U169](Gibco BRL, Gaithersburg, MD)に、Hanahan、前掲の方法に従って形質転換した。挿入物を有するプラスミドを担持する形質転換体は、アガロースゲルでの電気泳動により提供された融解細胞の分析により同定した(Sambrook, J. et al, 前掲)。組換えpCMVプラスミドをQiagenキット(Qiagen, Chatsworth, CA)を使用して精製し、DNA挿入物のヌクレオチド配列をDNA配列決定により確認した。
【0072】
実施例7 GBSタンパク質のGBS攻撃に対する免疫学的活性
6から8週齢の12匹の雌CD-1マウス(Charles River, St-Constant, Quebec, Canada)の4つの群に、3回、3週間間隔で0.1mLの以下の抗原調製物を皮下注射した:GBS株C388/90のホルムアルデヒド死滅細胞(〜6×10cfu)、不溶性(封入体)から得た20μgのチオレドキシン−Hisタグ−GBS融合タンパク質、またはE. coli内の可溶性細胞質フラクション由来の親和性精製(ニッケルカラム)した20μgの融合タンパク質、または20μgの親和性精製(ニッケルカラム)チオレドキシン−Hisタグコントロールポリペプチド。20μgのQuilA(登録商標)(Cedarlane Laboratories Ltd, Hornby, Canada)をアジュバントとして各抗原性調製物に添加した。血清サンプルを各マウスから、免疫化前(PB)ならびに免疫化プロトコール中の20日目(TB1)、41日目(TB2)および54日目(TB3)に得た。血清を−20℃で凍結させた。
【0073】
ELISA力価の増加を、融合タンパク質の各注射後に記録し、各第2回および第3回投与後に特異的な体液性免疫応答の良好な初期応答および追加免疫が示された。免疫化期間の最後に、相互的ELISA力価は、E. coli内の可溶性フラクションから得たタンパク質で免疫化したマウスの群の290,133と比較して、封入体から得た20μgの融合タンパク質に関して456,145であった。後者の結果は、封入体から得たタンパク質が、可溶性タンパク質よりも免疫原性であることを示す。プレートをコートするために親和性精製チオレドキシン−Hisタグを使用したELISAにおけるマウス血清の分析は、無視できる抗体力価が、融合タンパク質のチオレドキシン−Hisタグ部分に対して産生されることを示した。組換え誘導タンパク質を注射したマウスからの血清の反応性をまたGBS株C388/90のホルムアルデヒド死滅全細胞に対するELISAにより試験した。組換え誘導タンパク質での免疫化により誘発した抗体はまたGBS細胞上のその特異的エピトープを認識し、その立体配置が交差反応性抗体を誘発するために天然連鎖球菌タンパク質と十分近いことを示す。
【0074】
免疫化により誘発された免疫応答が、GBS感染に対して保護するかを確認するために、マウスを3.5×10cfuのGBS株C338/90(Ia/c)および1.2×10cfuの株NSC345(II/R)で攻撃し、その結果を表3および4に各々記載する。コントロールチオレドキシン−Hisタグで免疫化したマウスは、いずれのGBS株の攻撃に対しても保護されなかったが、ホルムアルデヒド死滅C388/90全細胞での免疫化は、同種攻撃に対してのみ保護を提供した。本発明のチオレドキシン−Hisタグ−GBS誘導タンパク質は両方のGBS株の攻撃からマウスを保護した。これらのマウスの血液および脾臓培養はGBSの存在を示さなかった。
【0075】
【表3】

3.5×10cfuに調節した1mlトッド−ヒューイット培養培地の腹腔内投与;
20μg投与;後足が生存マウスで麻痺;血液および脾臓でGBSが検出;
6×10cfu投与;
20μg投与。
【0076】
【表4】

1.2×10cfuに調節したGBS C388/90(Ia/c)懸濁液含有1mlトッド−ヒューイット培養培地の腹腔内投与;
220μg投与;
6×10cfu投与;
免疫化中に1匹のマウス死亡。
【0077】
実施例8 組換えGBSタンパク質での免疫化の実験的GBS感染に対する保護の提供
本実施例は、配列番号39に対応する組換えタンパク質による免疫化による、胎児GBS感染に対するマウスの保護を説明する。
【0078】
10匹の雌CD-1マウス(Charles River)を3回、3週間間隔で、配列番号42に対応するGBS遺伝子を含む組換えpURV22プラスミドベクターを担持するE. coli株BLR(Novagen)から精製した20μgの組換えタンパク質で、20μgのアジュバントCedarlane Laboratories Ltd, Hornby, Canada)の存在下、またはコントロールとして、PBS中のQuilA(登録商標)単独で免疫化した。血液サンプルを各免疫化の前1、22および43日、および3回目の注射に後14日目(57日目)に眼窩の洞から採取した。1週間後、マウスを約10から10CFUの種々の毒性GBS株で攻撃した。GBS攻撃接種のサンプルをTSA/5%ヒツジ血液寒天プレートにまき、CFUを決定し、攻撃投与量を確認した。死亡を14日間の期間および攻撃後14日に記録し、生存マウスを殺して血液および脾臓をGBS生物の存在に関して試験した。生存データを表5に示す。
【0079】
攻撃前血清は、標準免疫アッセイによりGBSと反応性の抗体の存在について分析した。ELISAおよび免疫ブロット分析は、E. coli内で産生された組換えGBSでの免疫化が、組換えおよび天然GBSタンパク質の両方と反応性の抗体を誘発することを示した。GBSに応答する抗体を実施例9に記載する。
【0080】
【表5】

グループ当たり10匹のマウスのグループを使用し、感染により生存したマウスの数および死亡したマウスの数を示す。組換えGBSタンパク質−免疫化動物に対応する生存曲線を擬似感染動物に対応する生存曲線と、ノンパラメトリック分析に関してログ−ランク試験を使用して比較。
NCS915-F-免疫化動物との比較分析;
動物を、QuilA(登録商標)アジュバント存在下、ホルムアルデヒド死滅GBSで免疫化した。
【0081】
生存マウスからの全ての血液培養(hemoculture)は、攻撃後14日に陰性であった。生存マウスからの脾臓は、実験MB-11由来の数匹のマウス以外、陰性であった。
【0082】
実施例9 組換えGBSタンパク質のワクチン接種はGBSに対する免疫応答を誘発する
10匹の雌CD-1マウスのグループを、実施例8の配列番号39に対応する組換えGBSタンパク質で免疫化した。天然GBSタンパク質に対する抗体応答を評価するために、免疫化前および3回目の免疫化14日後に採取した血液サンプル由来の血清を、タイプIII株NCS 954、タイプIB株ATCC12401、タイプV株NCS 535またはタイプVI株NCS 9842由来のホルムアルデヒド死滅GBS細胞でコートしたプレートを使用して、ELISAによりGBSと反応性の抗体に関して試験した。GBSタンパク質に対して惹起した抗体の特性を、GBS細胞抽出物および組換え抗原に対するウェスタンブロットにより確認した。図10に示す結果は、3回目の免疫化後に採取した血清に対して、コート抗原に依存して、12000から128000の間で変化する中間相互抗体力価を免疫原として使用した組換えGBSタンパク質と動物が強く応答することを明らかに示す。全ての前免疫血清は、1:100の希釈で試験したとき、陰性であった。GBS反応性抗体は、組換えGBSタンパク質の1回の注射の後に各動物の血清で検出可能であった。
【0083】
実施例10 本発明のGBSタンパク質の抗原性保存
本発明のGBSタンパク質に特異的なモノクローナル抗体(MAb)を使用して、この表面抗原が全てのGBSにより産生され、また抗原性が非常に保存されていることを証明した。
【0084】
68種のGBS単離体の収集物を使用して、GBS−特異的MAbの反応性を評価した。これらの株はNational Center for Streptococcus, Provincial Laboratory of Public Health for Northern Alberta, Canada; Centre Hospitalier Universitaire de Quebec, Pavillon CHUL; American Type Culture Collection, USA; Laboratoire de Sante Publique de Quebec, Canada; およびDept. of Infectious Disease, Children's Hospital and Mdical Center, Seattle, USAから得た。全8種のMAbを以下のパネルの株に対して試験した;抗原型IaまたはIa/cの6種の単離体、抗原型Ibの3種の単離体、抗原型IIの4種の単離体、抗原型IIIの14種の単離体、抗原型IVの2種の単離体、抗原型Vの2種の単離体、抗原型VIIVの2種の単離体、抗原型VIIIの1種の単離体、抗原型分離されていない10種の単離体および3種のウシS. agalactiae株。MAb 3A2をまた更なるGBSと反応させた:抗原型Ia/cの9種の単離体および抗原型Vの10種の単離体。株を一晩血液寒天プレートで、37℃で5% COの雰囲気中で生育させた。培養物を−70℃で20%(v/v)グリセロール添加心臓浸出液ブロス中で貯蔵した。
【0085】
GBSタンパク質特異的MAbを得るために、マウスを3回、3週間間隔で20μgの精製組換えGBSタンパク質(配列番号44)で、20%QuilA(登録商標)アジュバント存在下で免疫化した。ハイブリドーマ細胞を免疫化マウスから回収した脾臓細胞と、非分泌性SP2/0ミエローマ細胞から、先に(Hamel, J. et al. 1987. J. Med. Microbiol. 23:163-170)記載のように産生した。ハイブリッドクローン上清を、先に(Hamel, J. et al. 1987. J. Med. Microbiol. 23:163-170)記載のようにELISAにより、ホルムアルデヒド不活性化GBSおよび精製組換えGBSタンパク質(配列番号39または44)をコート抗原として使用して特異的抗体産生に関して試験した。特異的ハイブリッドの限定希釈、拡大、および液体窒素中での凍結によりクローン化した。組換えGBSタンパク質の産生は、実施例4および5に記載した。精製組換えGBSタンパク質またはホルムアルデヒド不活性化GBSを、電気泳動により、Laemmliの不連続緩衝系を製造者が推奨のように使用して解析し、次いで先に(Martin et al. 1992. Infect. Immum. 60:2718-2725)記載のようにウェスタン免疫ブロッティングのためにニトロセルロース膜に移した。
【0086】
ウェスタン免疫ブロッティング実験は、明らかに、全8種のMAbが精製組換えGBSタンパク質(配列番号39)に対応するタンパク質バンドを認識することを示した。これらのMAbはまたこれまで試験した全てのGBS単離体に存在するタンパク質バンドと反応した。これらのGBS−特異的MAbの反応性は表6に示す。各MAbは全46種のGBSと良好に反応した。加えて、これらのMAbはまた試験したウシ起源の3種のS. agalactiae株を認識した。Mab 3A2はまた19種のGBS;抗原型Ia/cの9種のおよび抗原型Vの10種の単離体を認識した。他のMAbはこれらの付加的株に対して試験しなかった。
【0087】
これらの結果は、GBSタンパク質(配列番号39)がこれまで試験した全65種のGBSおよびウシ起源の3種のS. agalactiae株の全てにより産生されることを証明した。より重要なことに、これらの結果は、これらの8種のGBS−特異的MAbにより認識されるエピトープは、広範囲に分布し、GBS間で保存的であることを証明した。これらの結果はまたこれらのエピトープが、主要な疾病の原因グループを含む全ての既知のGBS抗原型の代表を試験したため、血清学的に関連する単離体に限定されないことを示した。
【0088】
結論として、本実験で示されるデータは、本発明のGBSタンパク質が全GBSにより産生され、抗原的に非常に保存的であることを明らかに証明した。
【0089】
【表6】

【図1a−1】

【図1a−2】

【図1a−3】

【図1a−4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号15、配列番号16、配列番号39もしくは配列番号44で示したアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、または配列番号15、配列番号16、配列番号39もしくは配列番号44の抗原性フラグメントを含む、単離ポリペプチド。

【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図1f】
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【図2a−1】
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【図2a−2】
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【図2a−3】
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【図2a−4】
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【図2a−5】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図3a−1】
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【図3a−2】
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【図3a−3】
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【図3a−4】
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【図3a−5】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図3g】
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【図3h】
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【図3i】
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【図4a−1】
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【図4a−2】
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【図4a−3】
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【図4a−4】
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【図4a−5】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図5a−1】
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【図5a−2】
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【図5a−3】
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【図5a−4】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図6a−1】
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【図6a−2】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図7a−1】
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【図7a−2】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図7e】
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【図8】
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【図9】
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【図9a】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−242403(P2009−242403A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132976(P2009−132976)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【分割の表示】特願2000−532528(P2000−532528)の分割
【原出願日】平成11年2月17日(1999.2.17)
【出願人】(505330594)アイディ・バイオメディカル・コーポレイション (2)
【氏名又は名称原語表記】ID Biomedical Corporation
【Fターム(参考)】