説明

グレージングチャンネルの評価装置及びその方法

【課題】グレージングチャンネル付き板状体のサッシに対する嵌合荷重、引抜荷重等を定量的に取得する。
【解決手段】グレージングチャンネルが取り付けられた治具を板状体保持部材12に保持させるとともに、サッシをサッシ保持部材14に保持させる。送りねじ装置22を駆動して、サッシ保持部材14に対し板状体保持部材12を一定の速度で近づけ、サッシのサッシ溝にグレージングチャンネルを嵌合させ、嵌合荷重をプッシュプルゲージ20で測定する。治具をグレージングチャンネルを介してサッシ溝に嵌合させて、引抜荷重を測定する。すなわち、送りねじ装置22によってプッシュプルゲージ20を先とは逆方向に一定の速度で移動させ、プッシュプルゲージ20によって板状体保持部材12を牽引する。これにより、送りねじ装置22による引抜操作時の引抜荷重がプッシュプルゲージによって直接測定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス等の板状体の周縁部に装着されるグレージングチャンネルのサッシに対する嵌合荷重、引抜荷重、又は滑り荷重等を定量的に評価するグレージングチャンネルの評価装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーや防音の観点から窓用ガラスとして複層ガラスが多用されてきている。このような複層ガラスのサッシへの取り付け手法として、複層ガラスの周縁部にグレージングチャンネルを装着し、このグレージングチャンネルを介して複層ガラスをサッシ(又は框)に取り付ける手法が特許文献1等に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されたグレージングチャンネルは、複層ガラスの周縁部を包囲するチャンネル状の補強材と、この補強材の複層ガラスに相対する内側面に設けた内部軟質材と、補強材のサッシと係合する外側面に設けた外部軟質材とから構成されている。
【0004】
ところで、複層ガラス付きサッシの気密性能や水密性能、及び作業性を評価する方法として、グレージングチャンネルが装着された複層ガラスのサッシに対する嵌合荷重、引抜荷重、滑り荷重を測定する方法がある。すなわち、サッシに対して複層ガラスを嵌め込む際に必要な嵌合荷重、サッシに対して複層ガラスを引き抜く際に必要な引抜荷重、及びサッシの長手に複層ガラスがスライドする滑り荷重を測定する方法である。要するに、前記嵌合荷重、引抜荷重、滑り荷重が所定の荷重よりも小さい場合には気密性能や水密性能が低下するとともに、サッシから複層ガラスが抜け易くなるため作業性が悪くなる。これに対して嵌合荷重が所定の荷重よりも大きい場合には、複層ガラスをサッシに嵌め込み難くなり作業性が低下する。複層ガラスは、グレージングチャンネルが装着された状態で製造工場が出荷されるのが一般化しており、これらの荷重は、グレージングチャンネル付き複層ガラスの生産ラインにおいて管理され、気密性能や水密性能、及び作業性を満足した荷重を有する複層ガラスが選別されて出荷されている。
【0005】
従来の荷重測定方法は、例えば秤の上にサッシを載置し、これに複層ガラスを作業者が押し込んだ時の最大荷重を嵌合荷重として取得し、また、複層ガラスにプルゲージを連結し、これを作業者が引っ張って複層ガラスがサッシから引き抜かれている時の最大荷重を引抜荷重として取得している。同様に複層ガラスにプルゲージを連結し、これを作業者が引っ張って複層ガラスがサッシの長手方向に滑る時の最大荷重を滑り荷重として取得している。
【特許文献1】特開平7−71170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の荷重測定方法は、実質的に作業者が手作業にて実施するものなので、その力加減によって得られる荷重にバラツキが生じるという問題があった。したがって、従来の荷重測定方法では、嵌合荷重、引抜荷重、及び滑り荷重を定量的に取得することが難しいという欠点があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、グレージングチャンネル付き板状体のサッシに対する嵌合荷重、引抜荷重を定量的に取得することができるグレージングチャンネルの評価装置を提供することを目的とする。本発明は、また、グレージングチャンネル付き板状体のサッシに対する滑り荷重を定量的に取得することができるグレージングチャンネルの評価装置を提供することを目的とする。本発明は、更に、嵌合荷重、引抜荷重、又は滑り荷重を定量的に取得することができるグレージングチャンネルの評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、板状体をサッシへ装着するために板状体の周縁部に嵌合、装着されるグレージングチャンネルの前記サッシに対する嵌合荷重、及び引抜荷重を測定する評価装置であって、グレージングチャンネルが取り付けられた板状体を保持する板状体保持部材と、サッシを保持するサッシ保持部材と、サッシ保持部材に保持されたサッシの長手方向に対して直交する方向に、かつサッシに形成されたサッシ溝の開口方向に平行に移動するように、サッシ保持部材と板状体保持部材とを相対的に進退移動可能に、サッシ保持部材または板状体保持部材を支持する支持手段と、サッシの長手方向に対してグレージングチャンネルが直交する方向に、かつサッシ溝の開口方向に平行に、板状体に取り付けられたグレージングチャンネルをサッシに装着する際に必要な嵌合荷重を測定するとともに、サッシに装着された状態でサッシの長手方向に対してグレージングチャンネルを直交する方向に、かつサッシ溝の開口方向に平行に、板状体に取り付けられたグレージングチャンネルをサッシから引き抜く際に必要な引抜荷重を測定する荷重計と、サッシ保持部材に保持されたサッシの長手方向中央部に対して荷重計を、サッシの長手方向に対して直交方向に、かつサッシ溝の開口方向に平行に進退移動させる移動手段と、を有し、移動手段によって荷重計を進出移動させることにより荷重計の測定子を板状体保持部材又はサッシ保持部材に当接させて、板状体保持部材又はサッシ保持部材を互いに近づく方向に進出移動させることにより前記嵌合荷重を荷重計にて測定し、かつ、移動手段によって荷重計を退避移動させ荷重計の測定子を介して板状体保持部材又はサッシ保持部材を退避移動させることにより前記引抜荷重を荷重計にて測定することを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明について説明する。
【0010】
まず、グレージングチャンネルが取り付けられた板状体を板状体保持部材に保持させるとともに、サッシをサッシ保持部材に保持させる。この際に、グレージングチャンネルが取り付けられた板状体の縁部と、サッシのサッシ溝とが平行になるように板状体、及びサッシを保持させるとともに、板状体の縁部の中央の位置(高さ)とサッシのサッシ溝の中央の位置(高さ)とが等しくなるように保持させる。また、サッシ保持部材と板状体保持部材とは、支持手段によって相対的に進退移動可能に支持されている。すなわち、サッシ保持部材に保持されたサッシの長手方向に対して直交する方向に、かつサッシに形成されたサッシ溝の開口方向に平行に移動するように、サッシ保持部材と板状体保持部材とが相対的に進退移動可能に支持されている。
【0011】
次に、移動手段を駆動して、サッシ保持部材と板状体保持部材とが相対的に近づく方向に、かつ一定の速度でサッシ保持部材または板状体保持部材を移動させていくと、サッシのサッシ溝にグレージングチャンネルが嵌合し始める。この時の嵌合荷重は荷重計によって測定される。
【0012】
サッシ保持部材に対して板状体保持部材が移動する形態の場合、荷重計は移動手段と板状体保持部材との間に介在され、荷重計を介して移動手段の駆動力を板状体保持部材の長手方向中央部(サッシ保持部材に保持されたサッシの長手方向中央部)に伝達する形態となる。よって、移動手段による嵌合動作時の嵌合荷重が荷重計によって直接測定され、そして、この時の移動方向(荷重付加方向)および移動速度は一定なので、嵌合荷重を定量的に取得することができる。
【0013】
板状体がグレージングチャンネルを介してサッシ溝に完全に嵌合すると、次に、引抜荷重を測定する。すなわち、移動手段によって荷重計を先とは逆方向に一定の速度で移動させ、荷重計によって板状体保持部材を牽引する。これにより、移動手段による引抜操作時の引抜荷重が荷重計によって直接測定され、そして、この時の移動方向(荷重付加方向)および移動速度は一定なので、引抜荷重を定量的に取得することができる。
【0014】
なお、板状体保持部材に対してサッシ保持部材が移動する形態の場合は、移動手段とサッシ保持部材との間に荷重計を介在させればよい。また、移動手段は、一定の速度で荷重計を移動できる機構のものであれば手動式でもよく、電動式でもよい。手動式としては送りねじ装置、ボールねじ装置等の送り装置を手動ハンドルで操作する形態を例示できる。
【0015】
更に、本発明は嵌合荷重、引抜荷重の双方を評価する装置であるが、嵌合荷重、又は引抜荷重の一方を評価する評価装置であってもよい。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、板状体がグレージングチャンネルを介してサッシに嵌合された組立体を保持する組立体保持部材を有し、前記移動手段によって前記荷重計を、前記組立体保持部材に対して前記サッシの長手方向に退避移動させ、荷重計の測定子により前記板状体を前記サッシの長手方向に沿って牽引することにより、サッシに装着された状態でサッシの長手方向に沿って板状体が滑りを生ずる滑り荷重を荷重計にて測定することを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、まず、板状体がグレージングチャンネルを介してサッシに嵌合された組立体を組立体保持部材に保持させる。次に、請求項1の移動手段を利用して荷重計を、組立体保持部材に対してサッシの長手方向に退避移動させ、荷重計の測定子によって板状体をサッシの長手方向に沿って一定速度で牽引する。これにより、サッシの長手方向に沿って板状体が滑りを生ずる滑り荷重を定量的に取得することができる。この時の、荷重計による板状体の牽引位置は、可能な限りサッシ溝に近い位置であることが好ましい。牽引位置がサッシ溝に対して離れていると、大きなモーメントが発生し、正確な滑り荷重を測定できないからである。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記荷重計の前記サッシ保持部材に対する移動軸と前記組立体保持部材に対する移動軸とが一致するように、前記荷重計に対してサッシ保持部材、及び組立体保持部材が設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、組立体保持部材に対して荷重計を退避移動させる移動軸と、請求項1に記載した荷重計の移動軸とを合致させることが好ましい。これにより、移動手段の位置を変更することなく嵌合荷重、引抜荷重、及び滑り荷重を測定することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項1において、前記板状体保持部材又は前記サッシ保持部材は、前記グレージングチャンネルが取り付けられた板状体と前記サッシとの相対位置を調節するための第1の相対位置調節手段を有することを特徴としている。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、第1の相対位置調節手段によって、板状体保持部材又はサッシ保持部材の位置(高さ)を調節し、グレージングチャンネルが取り付けられた板状体とサッシとの位置(高さ)を調節する。すなわち、板状体の縁部の中央の位置(高さ)とサッシのサッシ溝の中央の位置(高さ)とが等しくなるように調節する。これにより、サイズの異なる板状体付きサッシの嵌合荷重、引抜荷重の測定が可能となる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項2において、前記組立体保持部材は、前記荷重計の測定子に対する相対位置を調節するための第2の相対位置調節手段を有することを特徴とする。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、第2の相対位置調節手段によって、荷重計の測定子に対する組立体保持部材の位置(高さ)を調節する。これにより、サイズの異なる板状体付きサッシの滑り荷重の測定が可能となる。また、荷重計の測定子に対する組立体保持部材の水平方向位置を調節する調節手段を設けることが好ましい。
【0024】
請求項6に記載の発明は、前記目的を達成するために、板状体をサッシへ装着するために板状体の周縁部に嵌合、装着されるグレージングチャンネルの前記サッシに対する滑り荷重を測定する評価装置であって、板状体がグレージングチャンネルを介してサッシに嵌合された組立体を保持する組立体保持部材と、サッシの長手方向に沿って板状体がサッシに対して滑りを生ずる滑り荷重を測定する荷重計と、組立体保持部材に保持されたサッシの長手方向に沿って荷重計を移動させる移動手段と、を有し、移動手段によって荷重計を、組立体保持部材に対して退避移動させて荷重計の測定子により板状体をサッシの長手方向に沿って牽引することにより、サッシに装着された状態でサッシの長手方向に沿って板状体が滑りを生ずる滑り荷重を荷重計にて測定することを特徴としている。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、まず、板状体がグレージングチャンネルを介してサッシに嵌合された組立体を組立体保持部材に保持させる。次に、移動手段によって荷重計を、組立体保持部材に対して退避移動させ、荷重計の測定子によって板状体をサッシの長手方向に沿って一定速度で牽引する。これにより、サッシの長手方向に沿って板状体が滑りを生ずる滑り荷重を定量的に取得することができる。また、荷重計による板状体の牽引位置は、可能な限りサッシ溝に近い位置であることが好ましい。牽引位置がサッシに対して離れていると、モーメント力が大きく発生し、正確な滑り荷重を測定できないからである。
【0026】
請求項7に記載の発明は、前記目的を達成するために、請求項1〜6のうちいずれかに記載のグレージングチャンネルの評価装置を用いて、グレージングチャンネルのサッシに対する嵌合荷重、引抜荷重、又はサッシの長手方向に沿って板状体が滑りを生ずる滑り荷重を測定することを特徴としている。
【0027】
これにより、請求項7に記載の発明によれば、嵌合荷重、引抜荷重、又は滑り荷重を定量的に取得することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るグレージングチャンネルの評価装置及びその方法の発明によれば、移動手段による嵌合動作時の嵌合荷重が荷重計によって直接測定されるので、嵌合荷重を定量的に取得することができる。また、移動手段による引抜操作時の引抜荷重が荷重計によって直接測定されるので、引抜荷重を定量的に取得することができる。更に、移動手段による牽引操作時の滑り荷重が荷重計によって直接測定されるので、滑り荷重を定量的に取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付図面に従って本発明に係るグレージングチャンネルの評価装置及びその方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0030】
図1は、グレージングチャンネルの評価装置10の全体構成を示した斜視図であり、図2はその平面図、図3は図2の右側面図である。
【0031】
これらの図に示す評価装置10は、板状体保持部材12、サッシ保持部材14、組立体保持部材16、スライダ(支持手段)18、プッシュプルゲージ(押し引き力を測定するフォースゲージ、荷重計)20、及び送りねじ装置(移動手段)22から構成され、これらの構成部材は同一の平坦な基台24上の所定の位置に搭載されている。
【0032】
なお、実施の形態では、板状体としての複層ガラスに代えて、図4に示す矩形の枠状に構成されたアルミニウム製の治具26を代用し、この治具26の長辺(例えば、長さ約300mm。荷重計の最大荷重値に応じて適宜設定する。)側の一方の縁部にグレージングチャンネル28が取り付けられている。この例では、治具26は正面視が矩形の平板状で、グレージングチャンネル28が装着される縁部よりも内側の領域において、空洞(開口)を設けている。このような空洞を設けることにより、治具26の重量が軽量化され、治具26を持ち運ぶ際や評価装置10に装着する際に取り扱いやすくので好ましい。板状体として、実際の窓に装着される単板ガラスや複層ガラス、合わせガラス等(ガラス材料としては、無機ガラス、有機ガラスの何れも含まれる)をそのまま使用して評価試験を行ってもよいが、評価試験時の作業性や耐久性、安全性の点で、金属製の治具を用いるのが好ましい。金属製の治具としては、対象とする板状体と摩擦係数が近似のものが好ましい。なお、評価にあたっては、板状体の全辺にグレージングチャンネル28を装着することを必要とせず、評価を行う代表的な辺にのみ装着すればよい。また、板状体の平面寸法は、評価を行う辺の所定長さが確保され、評価装置10に取り付ける際に支障のない大きさであれば、その大きさを問わない。グレージングチャンネル28は、特許文献1等に開示された既知の構成部材であり、すなわち、図5の如く治具26(板状体)の縁部を包囲するチャンネル状の補強材30と、補強材30の治具26に相対する内側面に設けた内部軟質材32と、補強材のサッシ34(図4参照)と係合する外側面に設けられた外部軟質部材36とからなる。なお、グレージングチャンネルは上記構成に限定されるものではなく、板状体をサッシへ装着するために板状体の周縁部に嵌合、装着される構造のものであればよい。
【0033】
グレージングチャンネル28を構成する補強材30は、金属あるいは合成樹脂等が使用できるが、硬質塩化ビニル製が好ましい。これらの補強材30は、複層ガラスに適用された状態において断面コ字状を有し、複層ガラスの周縁部を包囲する。
【0034】
また、実施の形態では、複層ガラスに代えてアルミニウム製の治具26を代用するため、複層ガラスを使用した際に得られる荷重とは若干異なるが、同サイズにおける双方のデータを複数サイズにおいて取得し、これらのデータを比較することによって得られる定数を、治具26で得られた荷重に乗算することにより、複層ガラスの場合の荷重に換算している。
【0035】
板状体保持部材12は、図1、図3、図5に示すようにグレージングチャンネル28が装着された治具26を水平方向に保持する部材であり、テーブル40、背面板42、42、及び押付板44、44等から構成され、スライダ18を介して基台24上に設置されている。
【0036】
この板状体保持部材12に対して治具26は、グレージングチャンネル28が図6において右側部に位置するようにテーブル40に載置されるとともに、グレージングチャンネル28とは反対側の縁部が背面板42、42に当接されて位置決めされる。この後、ツマミ46、46を回して押付板44、44を下降させ、押付板44、44とテーブル40との間で治具26を挟持することにより、治具26が板状体保持部材12に保持される。
【0037】
スライダ18は、摩擦抵抗の少ない転動体を使用したリニアガイドであり、このスライダ18によって板状体保持部材12は、図2、図3の矢印A方向にスライド(進退)移動される。このとき、矢印A方向と背面板42、42とは直交する方向に位置関係があるので、板状体保持部材12は、サッシ保持部材14に保持されたサッシ34の長手方向に対して直交する方向に、かつサッシ34に形成されたサッシ溝35の開口方向に平行に移動する。この移動については後述する。
【0038】
サッシ保持部材14は、治具26に適合する所定の長さ(本例では、約320mm)に切断された試験片であるサッシ34を保持する部材であり、テーブル48、ストッパ50、50、及び押付板52等から構成され、高さ調節機構(第1の相対位置調節手段)54を介して基台24上に設置されている。
【0039】
このサッシ保持部材14に対してサッシ34は、図6の如くサッシ溝35の開口部が左側部に位置するようにテーブル48に載置されるとともに、その左側部の両端部がストッパ50、50に当接されて位置決めされる。この後、図2、図3のツマミ56、56を回して押付板52をストッパ50側に移動させ、押付板52とストッパ50、50との間でサッシ34を挟持することにより、サッシ34がサッシ保持部材14に保持される。
【0040】
このとき、サッシ34のサッシ溝35は、図6の如く板状体保持部材12に保持された治具26のグレージングチャンネル28に対して平行に対向される。よって、前述の如く、サッシ保持部材14に保持されたサッシ34の長手方向に対して直交する方向に、かつサッシ34のサッシ溝35の開口方向に平行に移動するように、板状体保持部材12がサッシ保持部材14に対して進退移動される。また、治具26が板状体保持部材12に保持され、サッシ34がサッシ保持部材14に保持されると、互いの長手方向中央部が対向するように、治具26が板状体保持部材12に位置決めされ、サッシ34がサッシ保持部材14に位置決めされるようになっている。
【0041】
なお、サッシ34が厚みの厚い大型サイズの場合や、見込みが大きい場合など、固定が不安定な場合には、サッシ保持部材14にサッシクランプ部材(不図示)を設け、このサッシクランプ部材とテーブル48との間でサッシ34を挟持して保持させることが好ましい。これにより、大型サイズのサッシ34がサッシ保持部材14に安定して保持される。
【0042】
高さ調節機構54は、基台24に対するテーブル48の高さ位置を調節する機構であり、図7、図8に示すように、テーブル48の下面に垂設されたガイドロッド58、58…、一対のウォームギヤ機構60、60、及び高さ調節用ハンドル62等から構成される。なお、図7は、高さ調節機構54を簡略して示した平面図、図8は、高さ調節機構54の正面図である。
【0043】
ガイドロッド58は、図7の如くテーブル48の下面の四隅部から下方に垂直方向に垂設され、図8の如く基台24に形成された開口部25Aを介して、基台24の下面に設けられた軸受64にスライド自在に支持されている。また、ガイドロッド58にコイルスプリング66が挿通されており、このコイルスプリング66は、基台24とテーブル48との間で挟まれて圧縮方向に力を受けることにより、テーブル48が上方に付勢されている。よって、ガイドロッド58と同様にテーブル48の四隅部に配置されたコイルスプリング66、66…の均等な付勢力によって、テーブル48の重量が負担され、テーブル48は基台24に対して平行な姿勢に保持されており、作動も軽くなる。
【0044】
一対のウォームギヤ機構60、60は、テーブル48の下面に配設されるとともに、テーブル48の中心Oに対し、テーブル48の長手方向における点対称位置に配置されている。
【0045】
このウォームギヤ機構60は、ウォームギヤ68、ウォームホイールギヤ70、リードスクリュウ72、及びナット74から構成される。ウォームギヤ68は、テーブル48の長手方向に沿って配設された回転軸76に形成、又は別体に固着されている。この回転軸76は、両端部がテーブル48に固定された軸受78、78に回転自在に支持されるとともに、一端部が軸受78を介して高さ調節用ハンドル62に連結されている。ウォームギヤ68には、ウォームホイールギヤ70が噛合されている。このウォームホイールギヤ70は、テーブル48に固定された不図示のギヤボックスに回転自在に取り付けられるとともに、その中央部にリードスクリュウ72が垂直方向に固定されている。リードスクリュウ72は、基台24に形成された開口部25Bを介して、基台24の下面に設けられたナット74に噛合されている。
【0046】
したがって、このウォームギヤ機構60によれば、高さ調節用ハンドル62を利用して回転軸76を回転させると、その回転力がウォームギヤ68からウォームホイールギヤ70を介してリードスクリュウ72に伝達される。これにより、リードスクリュウ72とテーブル48に固定されたナット74との送り作用により、テーブル48がコイルスプリング66、66…の付勢力に抗して基台24に対し平行に上下移動される。これにより、テーブル48の高さ位置、すなわち、板状体保持部材12に対するテーブル48の高さ位置が調節される。このように、高さ調節機構54としてウォームギヤ機構60を適用すると、ウォームギヤ機構60はギヤ比が大きいことからテーブル48の高さを微調節することができる。
【0047】
なお、実施の形態では、スライダ18を介して板状体保持部材12をスライド移動自在に設けたが、これに限定されるものではなく、スライダ18を介してサッシ保持部材14をスライド移動自在に設けてもよい。また、高さ調節機構54を介してサッシ保持部材14を高さ調節可能としたが、これに限定されるものではなく、高さ調節機構54を介して板状体保持部材12を高さ調節可能としてもよい。更に、高さ調節機構54はウォームギヤ機構60に限定されるものではなく、ラックとピニオンからなる送り機構、ベベルギヤを用いた送り機構でも適用できる。
【0048】
一方、図1に示すプッシュプルゲージ20は、ゲージ本体20Aの上面に測定荷重を表示する目盛りと指針とを備えたメカニカル式(デジタル式でもよい)のゲージであって、最大指示値に指針が残る置き針方式のゲージである。また、ゲージ本体20Aの一端部には圧縮力を測定する測定子21Aが設けられるとともに、ゲージ本体20Aの他端部に引張力を測定する測定子21Bが設けられている。
【0049】
このプッシュプルゲージ20は、旋回座80を介して送りねじ装置22に搭載されている。すなわち、旋回座80の作用によりプッシュプルゲージ20は、測定子21Aを板状体保持部材12に対向させることができるとともに、旋回座80を利用してプッシュプルゲージ20を180°反転させることにより、図9の如く測定子21Bを板状体保持部材12に対向させることができる。
【0050】
送りねじ装置22は、プッシュプルゲージ20を板状体保持部材12に対して進退移動させるもので、リードスクリュウ22Aとスライドユニット(ナット)22Bとから構成されている。また、リードスクリュウ22Aには荷重測定用ハンドル82が連結されている。したがって、荷重測定用ハンドル82を回転させると、リードスクリュウ22Aによりスライドユニット(ナット)22B、旋回座80を介してプッシュプルゲージ20が板状体保持部材12に対して進退移動される。このときのプッシュプルゲージ20の移動軸(測定子21A、21Bの移動軸)は、板状体保持部材12に保持された治具26の長手方向中央部と、サッシ保持部材14に保持されたサッシ34の長手方向中央部とを結ぶ線分と合致するように設定されている。
【0051】
プッシュプルゲージ20の測定子21Aは、嵌合荷重の測定時に、図2の如く板状体保持部材12の背面板42に取り付けられたレバー84のフック86に当接される。この状態で送りねじ装置22によりプッシュプルゲージ20を板状体保持部材12に進出移動させ、図4の如く板状体保持部材12を介して治具26を押すことにより嵌合荷重がプッシュプルゲージ20によって測定される。なお、嵌合荷重とは、サッシ34の長手方向に対して直交する方向に、かつサッシ溝35の開口方向に平行にグレージングチャンネル28が装着された治具(板状体)26を装着する際に必要な荷重である。
【0052】
また、プッシュプルゲージ20の測定子21Bは、引抜荷重の測定時に、図9の如くレバー84のフック86にリング88を介して連結される。この状態で送りねじ装置22によりプッシュプルゲージ20を板状体保持部材12から退避移動させ、図10の如く板状体保持部材12を介して治具26を牽引することにより引抜荷重が測定される。なお、引抜荷重とは、サッシ34に装着された状態でサッシ34の長手方向に対して直交する方向に、かつサッシ溝35の開口方向に平行にグレージングチャンネル28が装着された治具(板状体)26を引き抜く際に必要な荷重である。
【0053】
次に、評価装置10を用いた嵌合荷重、引抜荷重の測定方法について説明する。
【0054】
まず、板状体保持部材12とサッシ保持部材14との間隔を十分に開けた状態で、グレージングチャンネル28が取り付けられた治具26を板状体保持部材12に保持させるとともに、サッシ34をサッシ保持部材14に保持させる。この際に、治具26に取り付けたグレージングチャンネル28とサッシ34のサッシ溝35とが対向するように、かつ、グレージングチャンネル28の底面とサッシ溝35の底面とが平行になるように治具26、及びサッシ34を保持させる。また、グレージングチャンネル28の中央(幅方向)の高さとサッシ34のサッシ溝35の中央(幅方向)の高さとが等しくなるように、高さ調節機構54を用いてサッシ保持部材14の高さを調節する。すなわち、グレージングチャンネル28の幅方向の中心線とサッシ34のサッシ溝35の幅方向の中心線とが一致するように調節する。
【0055】
次に、送りねじ装置22の荷重測定用ハンドル82を略一定の周速で回転させて、プッシュプルゲージ20の測定子21Aを、板状体保持部材12のレバー84のフック86に当接させる。この状態で送りねじ装置22によりプッシュプルゲージ20を板状体保持部材12に向けて進出移動させ、サッシ保持部材14に近づく方向に、板状体保持部材12を略一定の速度で移動させていくと、サッシ34のサッシ溝35にグレージングチャンネル28が嵌合し始める。この時の嵌合荷重がプッシュプルゲージ20によって測定される(図4参照)。
【0056】
この場合、プッシュプルゲージ20は送りねじ装置22と板状体保持部材12との間に介在され、プッシュプルゲージ20を介して送りねじ装置22の駆動力を板状体保持部材12の中央部(サッシ保持部材14に保持されたサッシ34の長手方向中央部)に伝達する。よって、送り装置22による嵌合動作時の嵌合荷重がプッシュプルゲージ20によって直接測定され、そして、この時の移動速度は略一定なので、嵌合荷重を定量的に取得することができる。
【0057】
次に、治具26がグレージングチャンネル28を介してサッシ溝35に完全に嵌合すると、引抜荷重を引き続き測定する。
【0058】
まず、送りねじ装置22によってプッシュプルゲージ20を、先とは逆方向に移動させ、板状体保持部材12から所定量離間させる。次いで、旋回座80を利用してプッシュプルゲージ20を180°反転させ、測定子21Bを板状体保持部材12に対向させる。この後、測定子21Bをフック86にリング88を介して連結する。
【0059】
次に、送りねじ装置22によってプッシュプルゲージ20を板状体保持部材12から退避する方向に略一定の速度で移動させ、プッシュプルゲージ20によって板状体保持部材12を牽引する。これにより、サッシ34のサッシ溝35から治具26が引き抜かれていき、この引抜操作時の引抜荷重がプッシュプルゲージ20によって直接測定される(図10参照)。そして、この時の移動速度は略一定なので、引抜荷重を定量的に取得することができる。
【0060】
なお、実施の形態では、移動手段として手動式の送りねじ装置22を例示したが、これに限定されるものではなく、一定の速度でプッシュプルゲージ20を移動できる電動式の送り装置でもよい。
【0061】
ところで、サッシ保持部材14の図1〜図3における右側方には、滑り荷重を測定するための組立体保持部材16が配置されている。滑り荷重とは、サッシ34に装着された状態でサッシ34の長手方向に沿って治具26が滑りを生ずる荷重である。
【0062】
この組立体保持部材16は、図11の如く治具26がグレージングチャンネル28を介してサッシ34に嵌合された組立体90を垂直方向に立てて保持するものであり、プッシュプルゲージ20の移動軸を挟んで対向する二対の支持板92、92に、高さ調節用のセットバー94、94…を各々かけ渡すことにより構成されている。すなわち、図12の如く、これらのセットバー94、94…に組立体90がサッシ34を下にして載置される。
【0063】
支持板92には、図3の如く多数の孔93、93…が上下方向に配列されており、これらの孔93、93…のうち所望の高さの孔93、93…にセットバー94、94…を挿入し、掛け渡すことにより組立体90の高さが調節される(第2の相対位置調節手段)。ここでいう組立体90の高さとは、プッシュプルゲージ20の測定子21Bに対する、組立体90に連結されたフック96の高さをいう。なお、実施の形態では、高さ調節手段として、セットバー94を用いた簡易型の構成について説明したが、これに限定されるものではなく、組立体保持部材16において組立体90の高さ位置を調節できる手段であれば適用できる。この高さ調節手段を設けることにより、サイズの異なる多品種の組立体90でも組立体保持部材16にセットすることができる。
【0064】
次に、滑り荷重の測定方法について説明する。
【0065】
まず、図11の如く組立体90の治具26の端部にフック96を連結し、このフック96とプッシュプルゲージ20の測定子21Bとをワイヤ98を介して連結する。この際に、板状体保持部材12に取り付けられたレバー84を、軸85を中心に反時計周りに180°回動させ、背面板42、42の間にワイヤ98が通過する溝43を確保しておく。これにより、嵌合荷重、引抜荷重の測定時におけるプッシュプルゲージ20の移動軸に、滑り荷重の測定時におけるプッシュプルゲージ20の移動軸が一致する。
【0066】
次に、送りねじ装置22によってプッシュプルゲージ20を、組立体保持部材16に対して退避移動させてプッシュプルゲージ20の測定子21Bにより治具26をサッシ34の長手方向に沿って略一定速度で牽引する。これにより、図12に示すサッシ34の下縁部34Aが、サッシ保持部材14のテーブル48の端部に当接し、この後、前記牽引動作により治具26がサッシ34の長手方向に沿って滑りはじめる。このときの滑り荷重をプッシュプルゲージ20にて測定する。よって、サッシ34の長手方向に沿って治具26が滑りを生ずる滑り荷重を定量的に取得することができる。
【0067】
なお、この時のプッシュプルゲージ20による治具26の牽引位置(フック92の位置)は、可能な限りサッシ34の下縁部34Aに近い位置であることが好ましい。牽引位置がサッシ34の下縁部34Aに対して離れていると、大きなモーメントが発生し、正確な滑り荷重を測定できないからである。
【0068】
また、この滑り荷重の測定において、組立体保持部材16に対してプッシュプルゲージ20を退避移動させる移動軸と、嵌合荷重、引抜荷重の測定時におけるプッシュプルゲージ20の移動軸とが合致しているため、送りねじ装置22の位置を変更することなく嵌合荷重、引抜荷重、及び滑り荷重を測定することができる。
【0069】
更に、幅サイズの異なる多品種の組立体90を組立体保持部材16にセット可能なように、プッシュプルゲージ20の測定子21Bに対する組立体の水平方向位置を調節する調節手段を設けることが好ましい。実施の形態では、図11の如く支持板92にカラー100、100を水平方向に装着し、幅サイズの異なる組立体90に対応させている。すなわち、組立体90の幅サイズに応じて長さの異なるカラー100、100を装着し、このカラー100、100の端部に治具26を当てて位置決めすることにより、幅サイズの異なる組立体90であっても前述した移動軸の延長上に治具26のフック96が位置するようにセットしている。
【0070】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更等が可能である。
【0071】
実施の形態では、嵌合荷重、引抜荷重、滑り荷重を測定する評価装置10について説明したが、嵌合荷重、引抜荷重を測定する評価装置であってもよく、滑り荷重のみを測定する評価装置であってもよい。
【0072】
板状体としては、前記した単板ガラス、複層ガラス、合わせガラスのほか、樹脂板、木製板(合板)、金属パネル等の板状体でも適用することができる。
【0073】
また、板状体保持部材12における治具26の設置方向やサッシ保持部材14におけるサッシ34の設置方向等は、水平方向に限定されるものではなく、これらの相対的な位置関係や、スライダ(支持手段)18および送りねじ装置(移動手段)22の移動方向(移動軸)が本発明の要件を満たす限りにおいて、種々の設計変更が可能である。組立体保持部材16についても同様である。
【0074】
更に、実施の形態は嵌合荷重、引抜荷重、滑り荷重の双方を評価する装置であるが、嵌合荷重、又は引抜荷重の一方を評価する評価装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】グレージングチャンネルの評価装置の全体構成を示した斜視図
【図2】図1に示した評価装置の平面図
【図3】図2に示した評価装置の側面図
【図4】治具をサッシに嵌合させる状態を示した模式図
【図5】グレージングチャンネルの構造を示した説明図
【図6】治具をサッシに嵌合させる状態を示した評価装置の要部斜視図
【図7】サッシ保持部材の高さ調節機構を簡略して示した平面図
【図8】図7に示した高さ調節機構の正面図
【図9】サッシから治具を引き抜く状態を示した評価装置の要部斜視図
【図10】サッシから治具を引き抜く状態を示した模式図
【図11】サッシに対して治具を滑らせる状態を示した評価装置の要部斜視図
【図12】サッシに対して治具を滑らせる状態を示した模式図
【符号の説明】
【0076】
10…グレージングチャンネルの評価装置、12…板状体保持部材、14…サッシ保持部材、16…組立体保持部材、18…スライダ、20…プッシュプルゲージ、20A…ゲージ本体,21A、21B…測定子、22…送りねじ装置、22A…リードスクリュウ、22B…スライドユニット(ナット)、24…基台、25A…開口部、25B…開口部、26…治具、28…グレージングチャンネル、30…補強材、32…内部軟質材、34…サッシ、34A…下縁部、35…サッシ溝、36…外部軟質部材、40…テーブル、42…背面板、43…溝、44…押付板、46…ツマミ、48…テーブル、50…ストッパ、52…押付板、54…高さ調節機構、56…ツマミ、58…ガイドロッド、60…ウォームギヤ機構、62…高さ調節用ハンドル、64…軸受、66…コイルスプリング、68…ウォームギヤ、70…ウォームホイールギヤ、72…リードスクリュウ、74…ナット、76…回転軸、78…軸受、80…旋回座、82…荷重測定用ハンドル、84…レバー、85…軸、86…フック、88…リング、90…組立体、92…支持板、93…孔、94…セットバー、96…フック、98…ワイヤ、100…カラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体をサッシへ装着するために板状体の周縁部に嵌合、装着されるグレージングチャンネルの前記サッシに対する嵌合荷重、及び引抜荷重を測定する評価装置であって、
グレージングチャンネルが取り付けられた板状体を保持する板状体保持部材と、
サッシを保持するサッシ保持部材と、
サッシ保持部材に保持されたサッシの長手方向に対して直交する方向に、かつサッシに形成されたサッシ溝の開口方向に平行に移動するように、サッシ保持部材と板状体保持部材とを相対的に進退移動可能に、サッシ保持部材または板状体保持部材を支持する支持手段と、
サッシの長手方向に対してグレージングチャンネルが直交する方向に、かつサッシ溝の開口方向に平行に、板状体に取り付けられたグレージングチャンネルをサッシに装着する際に必要な嵌合荷重を測定するとともに、サッシに装着された状態でサッシの長手方向に対してグレージングチャンネルを直交する方向に、かつサッシ溝の開口方向に平行に、板状体に取り付けられたグレージングチャンネルをサッシから引き抜く際に必要な引抜荷重を測定する荷重計と、
サッシ保持部材に保持されたサッシの長手方向中央部に対して荷重計を、サッシの長手方向に対して直交方向に、かつサッシ溝の開口方向に平行に進退移動させる移動手段と、を有し、
移動手段によって荷重計を進出移動させることにより荷重計の測定子を板状体保持部材又はサッシ保持部材に当接させて、板状体保持部材又はサッシ保持部材を互いに近づく方向に進出移動させることにより前記嵌合荷重を荷重計にて測定し、かつ、移動手段によって荷重計を退避移動させ荷重計の測定子を介して板状体保持部材又はサッシ保持部材を退避移動させることにより前記引抜荷重を荷重計にて測定することを特徴とするグレージングチャンネルの評価装置。
【請求項2】
板状体がグレージングチャンネルを介してサッシに嵌合された組立体を保持する組立体保持部材を有し、
前記移動手段によって前記荷重計を、前記組立体保持部材に対して前記サッシの長手方向に退避移動させ、荷重計の測定子により前記板状体を前記サッシの長手方向に沿って牽引することにより、サッシに装着された状態でサッシの長手方向に沿って板状体が滑りを生ずる滑り荷重を荷重計にて測定する請求項1に記載のグレージングチャンネルの評価装置。
【請求項3】
前記荷重計の前記サッシ保持部材に対する移動軸と前記組立体保持部材に対する移動軸とが一致するように、前記荷重計に対してサッシ保持部材、及び組立体保持部材が設けられている請求項2に記載のグレージングチャンネルの評価装置。
【請求項4】
前記板状体保持部材又は前記サッシ保持部材は、前記グレージングチャンネルが取り付けられた板状体と前記サッシとの相対位置を調節するための第1の相対位置調節手段を有する請求項1に記載のグレージングチャンネルの評価装置。
【請求項5】
前記組立体保持部材は、前記荷重計の測定子に対する相対位置を調節するための第2の相対位置調節手段を有する請求項2に記載のグレージングチャンネルの評価装置。
【請求項6】
板状体をサッシへ装着するために板状体の周縁部に嵌合、装着されるグレージングチャンネルの前記サッシに対する滑り荷重を測定する評価装置であって、
板状体がグレージングチャンネルを介してサッシに嵌合された組立体を保持する組立体保持部材と、
サッシの長手方向に沿って板状体がサッシに対して滑りを生ずる滑り荷重を測定する荷重計と、
組立体保持部材に保持されたサッシの長手方向に沿って荷重計を移動させる移動手段と、を有し、
移動手段によって荷重計を、組立体保持部材に対して退避移動させて荷重計の測定子により板状体をサッシの長手方向に沿って牽引することにより、サッシに装着された状態でサッシの長手方向に沿って板状体が滑りを生ずる滑り荷重を荷重計にて測定することを特徴とするグレージングチャンネルの評価装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれかに記載のグレージングチャンネルの評価装置を用いて、グレージングチャンネルのサッシに対する嵌合荷重、引抜荷重、又はサッシの長手方向に沿って板状体が滑りを生ずる滑り荷重を測定することを特徴とするグレージングチャンネルの評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−156616(P2009−156616A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332390(P2007−332390)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】