説明

ケイ酸アルミニウム不含、メトリブジン高濃度懸濁濃縮製剤

本発明は、活性物質メトリブジンと、「アクリルグラフトポリマー」群からの非イオン性ポリマーに基づく1つ以上の界面活性剤と、キサンタンガム群からのアニオン性ヘテロ多糖類に基づく1つ以上の増粘剤と、1つ以上の湿潤剤と、場合により他の成分、例えば、消泡剤、不凍剤、保存薬、および上述の成分とは異なる他の界面活性剤とを含有する、水性、ケイ酸アルミニウム不含、高濃度懸濁濃縮製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性物質の製剤の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
活性成分は、原則的には多種多様な方法で調合することができるが、この場合、活性物質の特性およびその製剤の性質が、製剤の生産性、安定性、有用性および有効性に関する問題をもたらすことがある。加えて、経済的および生態学的理由から、一定の製剤の方が他のものより有利である。
【0003】
水ベース製剤、例えば水性懸濁濃縮製剤(SC)は、概して、必要とする有機溶剤の含有量が低いまたはゼロであるという利点を有する。活性物質の製剤のための水性懸濁濃縮製剤は、農薬分野から公知である。例えば、農薬の水性懸濁濃縮製剤は、欧州特許出願公開第0110174号に記載されている。ここでは、好ましくは、ホルムアルデヒド縮合生成物またはリグニンスルホン酸塩と湿潤剤との混合物が使用される。
【0004】
これとは別に、活性物質の高濃度の製剤が一般に求められている。濃度が高い方が多くの利点を有するからである。例えば、高濃度の製剤の方が低濃度の製剤より必要とされる包装費用が安い。同様に、生産、輸送および保管の費用が減少する。また、例えば、噴霧用混合物の調製が単純化される。例えば充填および混合工程で処理しなければならない農薬などの量が、より少なくなるからである。
【0005】
ホルムアルデヒド濃縮製品、好ましくはリグニンスルホン酸塩と湿潤剤の混合物に基づく、例えば硫黄のもの(欧州特許出願公開第0220655号)などの、より高濃度の水性懸濁濃縮製剤が公知である。
【0006】
1,2,4−トリアジノン群からの活性物質、例えばメタミトロンおよびメトリブジンは、植生作物の中の有害植物に対して活性を有する非常に有効な除草剤である。活性物質メタミトロンについては、欧州特許出願公開第0620971号に、エトキシ化された、場合によりリン酸基を含有するトリスチレン−およびアルキル−フェノールとリグニンスルホン酸塩との混合物に基づく、より高濃度の水性懸濁濃縮製剤が記載されている。しかし、活性物質メトリブジンについての、欧州特許出願公開第0620971号に記載されている、これらの製剤アプローチの使用は、望ましい結果に至らなかった。この理由は、一方では、メトリブジンがメタミトロンより易湿潤性でないためであり得る。欧州特許出願公開第1790228号には、置換フェノールエーテルに基づく界面活性剤と、例えばアパタルジャイトなどのケイ酸アルミニウム系増粘剤との混合物の使用による、活性物質メトリブジンについてのより高濃度の水性懸濁濃縮製剤を製造できる方法が、記載されている。しかし、IRAC(国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer))からの報告によると、アタパルジャイトの粒子長によっては健康上危険である可能性がある。41重量パーセント(重量%)に相当する480gメトリブジン活性物質含有量/Lを有する、現在販売されているケイ酸アルミニウム不含SC製剤の処方をベースにして、これに500g活性物質/L(約43重量%に相当する)より多くの活性物質含有量を負荷する試みは、不成功に終わった。従って、ビーズミルによるミリング工程は、直ちに凝固が起こるので、実施不可能であることが判明した。
【0007】
目下の課題は、ケイ酸アルミニウム不含であり、有利な特性、例えば保管安定性および低粘度を有する、高活性物質濃度を有する活性物質メトリブジンの製剤を提供することであった。
【0008】
このことに加えて、高希釈活性物質濃度が施用前数時間にわたって安定していなければならない、噴霧混合物中での安定した分散物が必要とされる。噴霧混合物中での分散の安定性についての前述の要件は、種子処理用の製剤(種子粉衣剤、「種子処理用製剤または組成物」)については全く発生しない。これらは、濃縮された状態またはほんのわずかに希釈された状態のいずれかで直接種子に施用されるからである。従って、もっぱら「種子処理用組成物」に関する、例えば国際公開第2009/021985号などの、この分野からの出版物には、噴霧混合物中での安定した分散の維持についての適切な技術的教示が一切提供されていない。
【0009】
驚くべきことに、この問題は、本発明の水性懸濁濃縮製剤によって解決されることが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0110174号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0220655号
【特許文献3】欧州特許出願公開第0620971号
【特許文献4】欧州特許出願公開第1790228号
【特許文献5】国際公開第2009/021985号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の主題は、以下の成分を含有する、ケイ酸アルミニウム不含水性懸濁濃縮製剤である。
【0012】
(A)43〜61重量%の活性物質メトリブジン、
(B)0.5〜15重量%の1つ以上の界面活性剤であって、「アクリルグラフトポリマー」群からの非イオン性ポリマーに基づく界面活性剤、
(C)0.05〜0.3重量%の1つ以上の増粘剤であって、キサンタンガム群からのアニオン性ヘテロ多糖類に基づく増粘剤、
(D)0.1〜10重量%の1つ以上の湿潤剤、
(E)0〜1重量%の1つ以上の消泡剤、
(F)0〜20重量%の1つ以上の不凍剤、
(G)0〜1重量%の1つ以上の保存薬、
(H)0〜10重量%の1つ以上の他の界面活性剤であって、上述の成分とは異なる界面活性剤。
【0013】
用語「水性懸濁濃縮製剤」は、水ベース懸濁濃縮製剤を意味すると解する。本発明による懸濁濃縮製剤中の含水量は、一般に20〜60重量%、好ましくは25〜35重量%であり得、ここでおよび本明細書全体で、別の定義が無い限り、「重量%」(重量パーセント)という記載は、その製剤の総重量に基づく該成分の相対重量に関する。
【0014】
活性物質メトリブジン(成分A)は、「The Pesticide Manual」、第14版、The British Crop Protection Council(2006)において番号573のもとに記載されている。
【0015】
前記活性物質(成分A)は、本製剤全体の43重量%より多く(500g活性物質/Lより多くに相当する)、好ましくは43〜61重量%(500〜700g活性物質/Lに相当する)、特に好ましくは48〜57重量%(550〜650g活性物質/Lに相当する)という、本発明による懸濁濃縮製剤中の最低含有量を有する。
【0016】
「アクリルグラフトポリマー」群からの非イオン性ポリマーに基づく界面活性剤(成分B)は、例えば、「櫛」型構造を有する非イオン性ポリマー界面活性剤、特に、メトキシ−ポリエチレンオキシドがグラフトされたポリメタクリラート−メタクリル酸である。
【0017】
そのような界面活性剤の例は、特に、Atlox 4913(登録商標)およびTersperse 2500(登録商標)であり、これらは両方とも好ましい。
【0018】
本発明による懸濁濃縮製剤中の「アクリルグラフトポリマー」群からの非イオン性ポリマーに基づく界面活性剤(成分B)の含有量は、0.5〜15重量%、好ましくは2〜10重量%、特に好ましくは3〜6重量%である。
【0019】
キサンタンガム群からのアニオン性ヘテロ多糖類に基づく増粘剤(成分C)は、炭水化物(例えば糖)、窒素源および微量元素ならびに他の成長因子を含有する発酵培地におけるザントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)からの発酵産物である。これらは、水溶性である点で、毒物学的に無害である(従って、例えばキサンタンガムは、認可されている食品添加剤である)点で、およびこの場合は効力があり過ぎる増粘は望ましくない凝固に直結するので、より高濃度(0.1から2.5重量%)で使用され得るケイ酸アルミニウム系増粘剤とは対照的に、低濃度(0.05から0.5重量%)で、より有効な増粘を生じさせる特性、すなわち高負荷懸濁濃縮製剤でのそれらの使用に実際に影響を及ぼす特性により、欧州特許出願公開第1790228号において言及されているケイ酸アルミニウム系増粘剤(例えば、ヘクトライト、モンモリロナイト、サポナイト、カオリナイト、ベントナイト、アパタルジャイトなど)とは異なる。
【0020】
キサンタンガム群からのアニオン性ヘテロ多糖類に基づく増粘剤の例は、特に、RhodiaからのRhodopol(登録商標)製品であり、これらは、欧州特許出願公開第1790288号の中では一般にケイ酸アルミニウム系増粘剤に間違って指定されており、これらからの具体的な製品のさらなる詳述はない。この群からの既知の商品は、Rhodopol 23(登録商標)、Rhodopol G(登録商標)、Rhodoppol 50 MD(登録商標)、Rhodicare T(登録商標)、Kelzan(登録商標)、Kelzan S(登録商標)およびSatiaxane CX91(登録商標)であり、これらも好ましい。
【0021】
本発明による懸濁濃縮製剤中のキサンタンガム群からのアニオン性ヘテロ多糖類に基づく増粘剤(成分C)の含有量は、0.05〜0.30重量%、好ましくは0.10〜0.20重量%である。
【0022】
湿潤剤(成分D)は、例えば、C10〜C24アルコールであり、該アルコールは、例えば1〜60アルキレンオキシド単位、好ましくは任意の順序で1〜60 EOおよび/または1〜30 POおよび/または1〜15 BOでアルコキシ化されていることがある。これらの化合物の末端ヒドロキシ基は、1〜24個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアシル残基でエンドキャップされていることがある。
【0023】
そのような湿潤剤の例は、特に、ClariantからのGenapol(登録商標)C、L、O、T、UD、UDDおよびX製品、BASFからのPlurafac(登録商標)およびLutensol(登録商標)A、AT、ONおよびTO製品、CondeaからのMarlipal(登録商標)24およびO13製品、HenkelからのDehypon(登録商標)製品、Akzo NobelからのEthylan(登録商標)製品、例えばEthylan CD 120、ならびにエトキシ化脂肪アルコールの製剤、例えばUniquemaからのAtlox 4894(登録商標)である。Atlox 4894(登録商標)が好ましい。
【0024】
本発明による懸濁濃縮製剤中の湿潤剤(成分D)の含有量は、0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは1〜3重量%である。
【0025】
消泡剤(成分E)は、例えば、シリコーンまたはシランに基づく表面活性化合物、例えば、Evonikからの「TEGO(登録商標)Antifoam」品目ならびにWackerからのSE(登録商標)−、SD(登録商標)−およびSRE(登録商標)製品、ならびにRhone−Poulencからの製品品目Bevaloid(登録商標)、Bluestar SiliconesからのRhodorsil(登録商標)、ACCからのSilcolapse(登録商標)およびthe Dow Corning「Antifoam Emulsions」であり、ならびにまた過または多フッ素化表面活性化合物、例えば、ClariantからのFluowet(登録商標)製品、BayerからのBayowet(登録商標)製品、DuPontからのZonyl(登録商標)製品、ならびにダイキン工業(Daikin)および旭硝子(Asahi Glass)からのこのタイプの製品、ならびに例えばAir Productsからのものなどのアセチレン系のものも可能である。Rhodorsil(登録商標)製品、特に、Rhodorsil 454(登録商標)が好ましい。
【0026】
本発明による懸濁濃縮製剤中の消泡剤(成分E)の含有量は、0〜1.5重量%、好ましくは0.05〜1重量%、特に好ましくは0.1〜0.5重量%である。
【0027】
不凍剤(成分F)としては、例えば、グリコール、プロピレングリコール、グリセリンまたは尿素が可能である。プロピレングリコールが好ましい。
【0028】
本発明による懸濁濃縮製剤中の不凍剤(成分F)の含有量は、0〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは2〜10重量%である。
【0029】
保存薬(成分G)としては、イソチアゾリノン群からの殺菌および殺真菌製剤が適する。例は、Arch UK BiocidesからのProxel(登録商標)品目またはThor ChemieからのActicide(登録商標)品目からの製品である。Acticide MBS(登録商標)が保存薬(殺生物剤)として好ましい。
【0030】
本発明による懸濁濃縮製剤中の保存薬(成分G)の含有量は、0〜1重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%である。
【0031】
上述の成分とは異なる他の界面活性剤(成分H)の例(この場合、EOはエチレンオキシド単位を意味し、POはプロピレンオキシド単位を意味し、およびBOはブチレンオキシド単位を意味する)を下に列挙する。
【0032】
1)C10〜C24アルコールのアニオン性誘導体であって、アルコキシ化されていることがあり(例えば、1〜60のアルキレンオキシド単位で、好ましくは、任意の順序で1〜60のEOおよび/または1〜30のPOおよび/または1〜15のBOでアルコキシ化されていることがあり、この場合のこれらの化合物の末端ヒドロキシ基は、1〜24個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアシル残基によってエンドキャップされていることがある)、エーテルカルボキシラート、スルホナート、スルファートおよびホスファートならびにこれらの無機(例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属)塩および有機塩(例えばアミンまたはアルカノールアミン系の塩)の形態のもの、例えば、Genapol(登録商標)LRO、Sandopan(登録商標)製品、またはClariantからのHostaphat/Hordaphos(登録商標)製品。
【0033】
400から10の分子量を有する、例えばBASFからのPluronic(登録商標)製品およびUniqemaからのSynperonic(登録商標)製品などのブロックコポリマーのような、EO、POおよび/またはBO単位から成るコポリマー。
【0034】
〜Cアルコールのアルキレンオキシド付加体、例えば、UniqemaからのAtlox(登録商標)5000またはClariantからのHoe(登録商標)−S3510。
【0035】
2)脂肪酸およびトリグリセリドアルコキシラート、例えば、CondeaからのSerdox(登録商標)NOG製品、またはアルコキシ化植物油、例えばダイズ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、綿実油、アマニ油、ココナッツ油、パーム油、紅花油、クルミ油、落花生油、オリーブ油もしくはヒマシ油、特にナタネ油(この場合の植物油は、それらのエステル交換反応生成物、例えば、ナタネ油メチルエステルもしくはナタネ油エチルエステルなどのアルキルエステル、例えばClariantからのEmulsogen(登録商標)製品を意味するとも解される)、脂肪族、環式脂肪族およびオレフィン性カルボン酸およびポリカルボン酸の塩、ならびにHenkelから入手できるようなアルファ−スルホ脂肪酸エステル。
【0036】
3)脂肪酸アミドアルコキシラート、例えば、HenkelからのComperlan(登録商標)製品またはRhodiaからのAmam(登録商標)製品。
【0037】
アルキンジオールのアルキレンオキシド付加体、例えば、Air ProductsからのSurfynol(登録商標)製品。糖誘導体、例えば、Clariantからのアミノおよびアミド糖、Clariantからのグルシトール、HenkelからのAPG(登録商標)製品の形態のアルキルポリグリコシド、または例えば、UniqemaからのSpan(登録商標)−もしくはTween(登録商標)製品の形態のソルビタンエステル、またはWackerからのシクロデキストリンエステルもしくはエーテル。
【0038】
4)表面活性セルロースおよびアルギン、ペクチンおよびグアー誘導体、例えば、ClariantからのTylose(登録商標)製品、KelcoからのManutex(登録商標)製品およびCesalpinaからのグアー誘導体。
【0039】
ポリオールに基づくアルキレンオキシド付加体、例えば、ClariantからのPolyglykol(登録商標)製品。Clariantからの界面活性ポリグリセリドおよびそれらの誘導体。
【0040】
5)スルホスクシナート、アルカンスルホナート、パラフィン−およびオレフィンスルホナート、例えば、ClariantからのNetzer IS(登録商標)、Hoe(登録商標)S1728、Hostapur(登録商標)OS、Hostapur(登録商標)SAS、Union CarbideからのTriton(登録商標)GR7MEおよびGR5、Albright and WilsonからのEmpimin(登録商標)製品ならびにCondeaからのMarlon(登録商標)−PS65。
【0041】
6)スルホスクシナマート、例えば、CytecからのAerosol(登録商標)製品またはAlbright and WilsonからのEmpimin(登録商標)製品。
【0042】
7)8から22個の炭素原子(C〜C22)を有する、脂肪アミンまたは第四アンモニウム化合物のアルキレンオキシド付加体、例えば、ClariantからのGenamin(登録商標)C、L、OおよびT製品など。
【0043】
8)GoldschmidtからのTegotain(登録商標)製品、ClariantからのHostapon(登録商標)TおよびArkopon(登録商標)の形態の、タウリド、ベタインおよびスルホベタインなどの、表面活性両性イオン性化合物。
【0044】
9)界面活性スルホンアミド、例えば、von Bayer。
【0045】
10)界面活性ポリアクリルおよびポリメタクリル誘導体、例えば、BASFからのSokalan(登録商標)製品。
【0046】
11)表面活性ポリアミド、例えば、Bayerからの変性ゼラチンまたは誘導体化ポリアスパラギン酸およびこれらの誘導体。
【0047】
12)界面活性剤ポリビニル化合物、例えば、変性ポリビニルピロリドン、例えばBASFからのLuviskol(登録商標)製品およびISPからのAgrimer(登録商標)製品、または誘導体化ポリビニルアセタート、例えばClariantからのMowilith(登録商標)製品、またはポリビニルブチラート、例えばBASFからのLutonal(登録商標)製品、WackerからのVinnapas(登録商標)およびPioloform(登録商標)製品、または変性ポリビニルアルコール、例えばClariantからのMowiol(登録商標)製品。
【0048】
13)無水マレイン酸および/または無水マレイン酸の変換生成物、ならびに無水マレイン酸を含有するおよび/または無水マレイン酸の変換生成物を含有するコポリマーに基づく表面活性ポリマー、例えば、ISPからのAgrimer(登録商標)−VEMA製品。
【0049】
14)Montan、ポリエチレンおよびポリプロピレンワックスの表面活性誘導体、例えば、Hoechst(登録商標)ワックスまたはClariantからのLicowet(登録商標)製品。
【0050】
15)表面活性ホスホナートおよびホスフィナート、例えば、ClariantからのFluowet(登録商標)−PL。
【0051】
16)多または過ハロゲン化界面活性剤、例えば、ClariantからのEmulsogen(登録商標)−1557、など。
【0052】
17)形式的には上述のフェノールのスルホン酸またはリン酸での変換生成物である化合物、および適する塩基でのそれらの中和塩、例えば三重エトキシ化フェノールの酸性リン酸エステル、9molのエチレンオキシドと反応させたノニルフェノールの酸性リン酸エステル、およびトリエタノールアミンで中和された、20molのエチレンオキシドと1molのトリスチリルフェノールの反応生成物のリン酸エステル。
【0053】
18)ベンゼンスルホナート、例えばアルキル−またはアリールベンゼンスルホナート、例えば酸性(ポリ)アルキル−および(ポリ)アリール−ベンゼンスルホナート、ならびに適する塩基で中和されたもの、例えば、アルキル残基1つあたり1から12個のC原子またはポリアリール残基中に3つ以下のスチレン単位を有するもの、好ましくは(線状)ドデシルベンゼン−スルホン酸およびその油溶性塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸のカルシウム塩またはイソプロピルアンモニウム塩など。
【0054】
アルキレンオキシ単位の中では、エチレンオキシ(EO)−、プロピレンオキシ(PO)−およびブチレンオキシ(BO)−単位、特に、エチレンオキシ単位が好ましい。
【0055】
イオン性乳化剤および分散剤、例えば高分子電解質、例えばリグニンスルホン酸塩、例えばPolyfon(登録商標)O、Vanisperse(登録商標)CBまたはBorresperse(登録商標)3A(Borregard)も可能である。
【0056】
非芳香族系界面活性剤の群からの界面活性剤の例は、上述の群1)から16)の、好ましくは群1)、2)、6)および8)の界面活性剤である。
【0057】
芳香族系界面活性剤の群からの界面活性剤の例は、上述の群17)および18)の界面活性剤、好ましくは、4から10molのエチレンオキシドと反応させたフェノール、例えばAgisol(登録商標)製品(Akcros)の形態で市販されているもの、
4から50molのエチレンオキシドと反応させたノニルフェノール、例えばArkopal(登録商標)製品(Clariant)の形態で市販されているもの、
1から50molのエチレンオキシドと反応させたトリスチリルフェノール、例えばSoprophor(登録商標)品目(Rhodia)からのもの、例えばSoprophor(登録商標)FL、Soprophor(登録商標)4D−384、ならびに
酸性(線状)ドデシルベンゼンスルホナート、例えばMarlon(登録商標)製品(Huls)の形態で市販されているものである。
【0058】
置換フェノールエーテルに基づく界面活性剤の例は、アルコキシ化、例えばエトキシ化および/またはプロポキシ化および/またはブトキシ化されていることがある、一、二および好ましくは三置換フェノールである。この場合、アルキレンオキシ単位の数は、1〜100、好ましくは3〜60、特に好ましくは5〜25の間の範囲であり得る。フェノール置換基は、好ましくはスチリルまたはイソアルキル残基である。例は、フェニル−(C−C)アルキルエーテルまたは(ポリ)アルコキシ化フェノール[=フェノール−(ポリ)アルキレングリコールエーテル]、例えば(ポリ)アルキレンオキシ部分(この場合のアルキレン部分は、好ましくは2から4個のC原子を有する)の中に1から50のアルキレンオキシ単位を有するもの、好ましくは3から10molのアルキレンオキシドと反応させたフェノール、(ポリ)アルキルフェノールまたは(ポリ)アルキルフェノールアルコキシラート[=ポリアルキルフェノール(ポリ)アルキレングリコールエーテル]、例えばポリアルキレンオキシ部分の中にアルキル残基1つあたり1から12個のC原子および1から150のアルキレンオキシ単位を有するもの、好ましくは1から50molのエチレンオキシドと反応させたトリ−n−ブチルフェノールもしくはトリイソブチルフェノール、ポリアリールフェノールまたはポリアリールフェノールアルコキシラート[=ポリアリールフェノール(ポリ)アルキレングリコールエーテル]、例えばポリアルキレンオキシ部分の中に1から150のアルキレンオキシ単位を有するトリスチリルフェノールポリアルキレングリコールエーテル、好ましくは1から50molのエチレンオキシドと反応させたトリスチリルフェノールである。
【0059】
そのような界面活性剤の例は、Soprophor(登録商標)3D33、Soprophor(登録商標)BSU、Soprophor(登録商標)CY/8(Rhodia)およびHoe(登録商標)S3474、ならびにSapogenat(登録商標)T製品(Clariant)の形態のもの、例えば、Sapogenat(登録商標)T 100である。
【0060】
本発明の懸濁濃縮製剤中の上述の成分とは異なる他の界面活性剤(成分H)の含有量は、0〜10重量%である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
好ましい実施形態において、本発明による懸濁濃縮製剤は、以下のものを含有する。
【0062】
(A)43〜61重量%の活性物質メトリブジン、
(B)2〜10重量%の1つ以上の界面活性剤であって、「アクリルグラフトポリマー」群からの非イオン性ポリマーに基づく界面活性剤、好ましくは、Atlox 4913(登録商標)および/またはTersperse 2500(登録商標)、
(C)0.05〜0.3重量%の1つ以上の増粘剤であって、キサンタンガム群からのアニオン性ヘテロ多糖類に基づく増粘剤、好ましくは、Rhodopol 23(登録商標)、Rhodopol G(登録商標)、Rhodopol 50 MD(登録商標)、Rhodicare T(登録商標)、Kelzan(登録商標)、Kelzan S(登録商標)および/またはSatiaxane CX91(登録商標)、
(D)0.1〜10重量%の1つ以上の湿潤剤、好ましくは、Atlox 4894(登録商標)、
(E)0〜1重量%の1つ以上の消泡剤、好ましくは、Rhodorsil 454(登録商標)、
(F)0〜20重量%の1つ以上の不凍剤、好ましくは、プロピレングリコール、
(G)0〜1重量%の1つ以上の保存薬、好ましくは、Acticide MBS(登録商標)、ならびに
(H)0〜10重量%の1つ以上の他の界面活性剤であって、上述の成分とは異なる界面活性剤。
【0063】
特に好ましい実施形態は、以下のものを含有する、本発明による懸濁濃縮製剤である。
【0064】
(A)48〜57重量%の活性物質メトリブジン、
(B)2〜10重量%の1つ以上の界面活性剤であって、「アクリルグラフトポリマー」群からの非イオン性ポリマーに基づく界面活性剤、好ましくは、3〜6重量%のAtlox 4913(登録商標)および/またはTersperse 2500(登録商標)、
(C)0.05〜0.3重量%の1つ以上の増粘剤であって、キサンタンガム群からのアニオン性ヘテロ多糖類に基づく増粘剤、好ましくは、0.1〜0.2重量%のRhodopol 23(登録商標)、Rhodopol G(登録商標)、Rhodopol 50 MD(登録商標)、Rhodicare T(登録商標)、Kelzan(登録商標)、Kelzan S(登録商標)および/またはSatiaxane CX91(登録商標)、
(D)0.2〜5重量%の1つ以上の湿潤剤、好ましくは、1〜3重量%のAtlox 4894(登録商標)、
(E)0.05〜1重量%の1つ以上の消泡剤、好ましくは、0.1〜0.5重量%のRhodorsil 454(登録商標)、
(F)1〜15重量%の1つ以上の不凍剤、好ましくは、2〜10重量%のプロピレングリコール、
(G)0.01〜0.5重量%の1つ以上の保存薬、好ましくは、Acticide MBS(登録商標)、
(H)0〜10重量%の1つ以上の他の界面活性剤であって、上述の成分とは異なる界面活性剤。
【0065】
本発明による懸濁濃縮製剤の製造は、公知の手法で行われる(Winnacker−Kuchler、「Chemische Technologie」、第7巻、C.Hanser Verlag Munich、第4版、1986参照)。この中で、まず、製剤添加剤、例えば分散および湿潤剤、保存薬、消泡剤、不凍剤ならびに場合により他の添加剤を含有する水溶液に、攪拌により活性物質を添合する。
【0066】
次に、活性物質のミリングを概して2工程で行う。
【0067】
1.(プレミリング)例えばProbst & Claasenからのギヤコロイドミルなどのコロイドミルによる、約<200μmの粒径の獲得。
【0068】
2.(ファインミリング)例えばビーズミルでの(例えばDraisからのものなどの不連続ビーズミルを用いる、または例えばBachofenからのものなどの連続ビーズミルを用いる)湿式ミリングによる、最終所望粒径の獲得。
【0069】
アニオン性ヘテロ多糖類に基づく増粘剤を、ファインミリング工程後、完成品に添合する。これは、単なる攪拌によって行うか、場合により、コロイドミルによる高剪断力を用いて行う。これとは対照的に、無機ケイ酸アルミニウム増粘剤を使用する場合には、これらを最初から、例えば活性物質と一緒に添合し、様々なミリイングプロセスによってそれらを共にミリングすることができる。
【0070】
本発明は、本発明による懸濁濃縮製剤から液体、好ましくは水での希釈により得ることができる薬剤にも関する。
【0071】
このようにして得た薬剤へのさらなる活性物質、好ましくは農薬活性物質(例えば、適切な製剤の形態でタンク・ミックス・パートナーとして)ならびに/または施用のための通常の助剤および添加剤、例えば自己乳化性油、例えば植物油もしくはパラフィン油、および/または肥料の添加は有利であり得る。それ故、本発明による懸濁濃縮製剤に基づくそのような薬剤、好ましくは除草剤も本発明の主題である。
【0072】
本発明の特定の実施形態は、本発明の懸濁濃縮製剤から得ることができ、以下では「除草剤」と呼ぶ、望ましくない植物成長の防除のための薬剤の使用に関する。
【0073】
これらの除草剤は、広範囲の経済的に重要な単子葉類および双子葉類有害植物に対して優れた除草活性を有する。根茎、株または他の宿存性の器官から発芽する防除し難い多年生の雑草でさえ十分にカバーする。この場合、例えば、前記除草剤を、例えば播種前に、でなければ出芽前または出芽後に、施用することができる。特に、例として、前記除草剤によって防除することができる単子葉および双子葉雑草相の少数の代表名を挙げることができるが、それらの名を挙げることで一定の種に限定することを意図してはいない。
【0074】
単子葉雑草種の系統では、例えば、一年生の群から、セイヨウヌカボ(Apera spica venti)、カラスムギ属種(Avena spp.)、スズメノテッポウ属種(Alopecurus spp.)、ビロードキビ属種(Brachiaria spp.)、メヒシバ属種(Digitaria spp.)、ドクムギ属種(Lolium spp.)、ヒエ属種(Echinochloa spp.)、キビ属種(Panicum spp.)、クサヨシ属種(Phalaris spp.)、イチゴツナギ属種(Poa spp.)、エノコログサ属種(Setaria spp.)およびスズメノチャヒキ属種(Bromus spp.)、例えばイヌムギ(Bromus catharticus)、カラスノチャヒキ(Bromus secalinus)、ブロムス・エレクツス(Bromus erectus)、ウマノチャヒキ(Bromus tectorum)およびスズメノチャヒキ(Bromus japonicus)、ならびにカヤツリグサ属(Cyperus)種、ならびに多年生種の系統では、カモジグサ属(Agropyron)、ギョウギシバ属(Cynodon)、チガヤ属(Imperata)およびモロコシ属(Sorghum)ならびにまた頑強な(tenacious)カヤツリグサ属(Cyperus)種もカバーする。
【0075】
双子葉雑草種の中では、その活性範囲が、例えば、一年生の系統ではイチビ属種(Abutilon spp.)、ヒユ属種(Amaranthus spp.)、アカザ属種(Chenopodium spp.)、キク属種(Chrysanthemum spp.)、ヤエムグラ属種(Galium spp.)、例えばヤエムグラ(Galium aparine)、サツマイモ属種(Ipomoea spp.)、ホウキギ属種(Kochia spp.)、オドリコソウ属種(Lamium spp.)、シカギク属種(Matricaria spp.)、アサガオ属種(Pharbitis spp.)、タデ属種(Polygonum spp.)、シダ属種(Sida spp.)、シロガラシ属種(Sinapis spp.)、ナス属種(Solanum spp.)、ハコベ属種(Stellaria spp.)、クワガタソウ属種(Veronica spp.)およびスミレ属種(Viola spp.)、オナモミ属種(Xanthium spp.)などの種、ならびに多年生雑草種の中ではセイヨウヒルガオ属(Convolvulus)、アザミ属(Cirsium)、ギシギシ属(Rumex)およびヨモギ属(Artemisia)に及ぶ。
【0076】
例えばヒエ属(Echinochloa)、オモダカ属(Sagittaria)、サジオモダカ属(Alisma)、ハリイ属(Eleocharis)、ホタルイ属(Scirpus)およびカヤツリグサ属(Cyperus)などの、特定の栽培条件下でイネの中に発生する有害植物も、前記除草剤によって著しく防除される。
【0077】
前記除草剤を発芽前に土壌表面に施用すると、雑草実生の出芽が完全に防止されるか、雑草は子葉期まで成長するが、その後、成長を止め、3から4週間経過した後、最終的に完全に死滅する。
【0078】
出芽後法で緑色植物部分に前記除草剤を施用すると、処理後速やかに成長の徹底的停止も起こり、雑草植物は施用時点で存在していた成長期のままであるか、一定の期間の後に完全に死滅するため、このようにして作物植物に有害な雑草競合は、非常に速やかにおよび永続的に排除される。
【0079】
前記除草剤は、非常に速やかに発現して長期間持続する除草作用を特徴とする。前記除草剤中の活性物質の耐降雨性は、概して良好である。特別な利点として、前記除草剤中の使用されるおよび有効な除草剤化合物の投与量を非常に低く設定することができるので、それらの土壌作用は最適に低いことが重要である。従って、感受性の高い作物に関してそれらの使用が可能になるばかりでなく、地下水汚染が実際に回避される。本発明による活性物質の組み合わせにより、必要な活性物質の投与量の相当な低減が可能になる。
【0080】
前記特性および利点は、農作物を望ましくない競合植物なしで維持することができるため、従って、質的および量的に収穫を確保するおよび/または増加させるため、実際の雑草防除に有用である。これらの新規除草剤は、記載した特性に関してその技術基準を著しく上回る。
【0081】
前記除草剤は、単子葉および双子葉雑草に対して優れた除草活性を有するが、経済的に有意な作物の作物植物、例えば双子葉類作物、例えばダイズ、綿、ナタネおよびテンサイ、またはイネ科の作物、例えばコムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、キビ、イネもしくはトウモロコシを、ほんのわずかにしかまたは全く害さない。これらの理由のため、本除草剤は、農作物栽培場または風致林における望ましくない植物成長の選択的防除に非常に適する。
【0082】
加えて、対応する除草剤は、作物植物に関して顕著な成長調節特性を有する。本除草剤は、植物の内因性代謝に介入し、それを調節するので、例えば乾燥および成長抑制を誘発することなどにより、植物が含有する物質に故意に影響を及ぼすためにおよび収穫促進のために使用することができる。さらに、本除草剤は、植物を死滅させる過程でではなく、望ましくない栄養成長の一般的防除および抑制にも適する。多くの単子葉類および双子葉類作物に関して、栄養成長の抑制は非常に重要である。それによって倒伏を減少させるまたは完全に防ぐことができるからである。
【0083】
それらの除草特性および植物成長調節特性のため、前記除草剤は、公知のまたは今なお開発されている遺伝子修飾植物の作物における有害植物の防除にも使用することができる。トランスジェニック植物は、特定の有利な特性、例えば、一定の農薬、特に一定の除草剤に対する耐性、植物の病気または植物の病気の病原体、例えば一定の昆虫または微生物、例えば真菌、細菌もしくはウイルスに対する耐性を、概して特徴とする。他の特定の特性は、例えば、量、質、保存性、組成および具体的な成分物質の点で収穫産物に関する。従って、デンプン含有量が増加されたもしくはデンプンの質が改質されたトランスジェニック植物、または収穫産物の脂肪酸組成が異なるものが、公知である。
【0084】
有用な植物および鑑賞植物についての、例えば、イネ科の作物、例えばコムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、キビ、イネおよびトウモロコシについての、またはさらにテンサイ、綿、ダイズ、ナタネ、馬鈴薯、トマト、エンドウおよび他の野菜品種の作物についての経済的に重要なトランスジェニック作物における前記除草剤の使用は好ましい。好ましくは、前記除草剤を、除草剤の植物毒性効果に耐性であるまたは遺伝子工学によって耐性にされた有用な植生作物において使用することができる。
【0085】
トランスジェニック作物において前記除草剤を使用していると、他の作物において観察される有害植物に対する効果に加えて、関係トランスジェニック作物での施用に特異的である効果、例えば、防除することができる雑草範囲の改変または特異的拡大、施用に用いることができる施用投与量の改変、好ましくは、そのトランスジェニック作物が耐性である他の除草活性物質との良好な併用性、ならびにそのトランスジェニック作物植物の成長および収量に対する影響が、多くの場合、発生する。
【0086】
従って、本発明による除草剤を有害な植物、植物部分、植物種子、またはその植物が成長する表面、例えば耕作エリアに施用することを特徴とする、好ましくは植生作物、例えば穀類(例えば、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、イネ、トウモロコシまたはキビ)、テンサイ、サトウキビ、ナタネ、綿およびダイズにおける、特に好ましくは単子葉類作物、例えば穀類、例えばコムギ、オオムギ、ライムギ、エンバクおよびこれらの交配種、例えばライコムギ、イネ、トウモロコシおよびキビにおける、望ましくない植物成長の防除方法も、本発明の主題である。
【0087】
前記植生作物は、遺伝子修飾されている場合もあり、または突然変異選択によって得られる場合もあり、および好ましくはアセト乳酸シンターゼ(ALS)阻害剤に対して耐性である。
【0088】
本発明による懸濁濃縮製剤は、長期保管に安定であり、施用の技術的問題がない、改善された製剤をもたらす。
【0089】
本懸濁濃縮製剤は、低粘度を有し、それに関連して良好な流動特性を有する。この結果として、特に、使用者はドラムから正確に計量された量を引き出すことができる。加えて、この低粘度により、本発明による懸濁濃縮製剤を収容しているドラムを残さず空にすることが可能になる。
【0090】
加えて、驚くべきことに、本発明による懸濁濃縮製剤は、液体、好ましくは水でのさらなる希釈後、顕著な分散性および安定性を示す。
【0091】
従って、高希釈活性物質濃度が使用前数時間にわたって安定している、噴霧混合物中での安定した分散が得られる。
【0092】
この点について、本発明による懸濁濃縮製剤を用いると、単なる分散剤としての役割を果たす「アクリルグラフトポリマー」群からの非イオン性ポリマーに基づく界面活性剤(成分B)および0.05〜0.3重量%という非常に低い増粘剤(成分C)濃度を用いてこれが達成されることは、非常に驚くべきことである。これは、2つの分散剤を併用して相当高い増粘剤濃度(>1重量%)を必要とする、例えば国際公開第2009/021985号などの、種子処理用製剤分野からの技術的教示とは対照的である。
【実施例】
【0093】
1.製造
1.1 製剤実施例番号1(本発明によるもの)
水をバットに入れ、ポンプで送ってコロイドミル経由で循環路を巡らせる。塩基性成分、例えば、界面活性剤(例えばAtlox 4913(登録商標))および湿潤剤(例えばAtlox 4894(登録商標))および任意の成分(製剤助剤)、例えば消泡剤(例えばRhodorsil 454(登録商標))、不凍剤(例えばプロピレングリコール)および/または保存薬(例えばActicide MBS(登録商標))など、ならびにまた前述の成分とは異なる、さらなる界面活性剤を添加する。最後の成分として、活性物質を添加する。この後、その混合物全体をコロイドミル経由で別のバットに移す。その後、この混合物をビーズミルによる湿式ミリングによってミリングする。この湿式ミリング後に、アニオン性ヘテロ多糖類に基づく増粘剤(例えば、Rhodopol 23(登録商標))を、完成品に、コロイドミルにより「高剪断」攪拌で添合する。
【0094】
1.2 製剤実施例番号2および3(現時点の技術水準によるもの)
水をバットに入れ、ポンプで送ってコロイドミル経由で循環路を巡らせる。ケイ酸アルミニウム系増粘剤(例えばAttagel 40(登録商標)、Bentone EW(登録商標))および他の製剤助剤、例えば消泡剤(例えばRhodorsil 454(登録商標))、不凍剤(例えばプロピレングリコール)および/または保存薬(例えばActicide MBS(登録商標))などを添加し、その後、界面活性剤(例えばVanisperse CB(登録商標)、Soprophor CY/8(登録商標))および任意の湿潤剤(例えばHostapon T PHC(登録商標))を添加する。 最終成分として、活性物質を添加する。この後、その混合物全体をコロイドミル経由で別のバットに移す。その後、この混合物をビーズミルによる湿式ミリングによってミリングする。
【0095】
製剤実施例3では、主ケイ酸アルミニウム系増粘剤(Attagel 40(登録商標)の代わりに、アニオン性ヘテロ多糖類に基づく増粘剤(Rhodopol 23(登録商標))を用い、製剤実施例1に関して説明したのと同じ方法で(湿式ミリング後に)これを添合する。
【0096】
2.組成
【0097】
【表1】

3.試験法:
3.1 CIPAC MT 192による粘度の判定
粘度の判定は、CIPAC法MT 192に従って行い、Haakeからの通常の市販回転粘度計を用いて判定した。流動特性の特性づけのために、2つの異なる剪断速度、20s−1および100s−1で粘度を測定した。
【0098】
3.2 湿式ふるい残分の判定
湿式ふるい残分の判定は、適切な網目寸法を有するふるいセットにより、CIPAC法MT 59.3に従って行った。
【0099】
3.3 粒径の判定
粒径の判定は、レーザー回折分析により、CIPAC法MT 187に従って行った。
【0100】
4.結果:
【0101】
【表2】

コメント:懸濁濃縮製剤の粘度は、一方で、分散された活性物質粒子の沈降を抑制するために十分な高さでなければならない。もう一方で、できる限り低い粘度、およびこれに関連して良好な流動特性を達成するように努めるべきである。それによって使用者がドラムから正確に計量された分を引き出すことができるようにすべきである。加えて、残留物を残さずに農薬を含むドラムを空にすることを可能にすべきである。これには、液体調製物が低粘度を有する必要がある。経験により、言明した要件を満たす懸濁濃縮製剤の粘度は、(100s−1で測定して)約100mPasから500mpsの範囲に存する。これは、本発明による懸濁濃縮製剤により、保管後でさえ、理想的に完全に実現される。これに加えて、さらなる物理化学的データが本発明による懸濁濃縮製剤の有利な特性を示す。
【0102】
【表3】

コメント:現時点の技術水準における粘稠製剤(100s−1で>500mPas)とは対照的に、本発明による懸濁濃縮製剤の流動性は、低粘度(100s−1で100〜500mPasの間)のため、相当に改善される。
【0103】
【表4】

コメント:本発明による懸濁濃縮製剤とは対照的に、Rhodopol製品を使用した現時点の技術水準における製剤番号3は、保管安定性でないことが判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分:
(A)43〜61重量%の活性物質メトリブジン、
(B)0.5〜15重量%の1つ以上の界面活性剤であって、「アクリルグラフトポリマー」群からの非イオン性ポリマーに基づく界面活性剤、
(C)0.05〜0.3重量%の1つ以上の増粘剤であって、キサンタンガム群からのアニオン性ヘテロ多糖類に基づく増粘剤、
(D)0.1〜10重量%の1つ以上の湿潤剤、
(E)0〜1重量%の1つ以上の消泡剤、
(F)0〜20重量%の1つ以上の不凍剤、
(G)0〜1重量%の1つ以上の保存薬、および
(H)0〜10重量%の1つ以上の他の界面活性剤であって、上述の成分とは異なる界面活性剤
を含有する、ケイ酸アルミニウム不含水性懸濁濃縮製剤。
【請求項2】
(A)43〜61重量%の活性物質メトリブジン、
(B)2〜10重量%の1つ以上の界面活性剤であって、「アクリルグラフトポリマー」群からの非イオン性ポリマーに基づく界面活性剤、好ましくは、Atlox 4913(登録商標)および/またはTersperse 2500(登録商標)、
(C)0.05〜0.3重量%の1つ以上の増粘剤であって、キサンタンガム群からのアニオン性ヘテロ多糖類に基づく増粘剤、好ましくは、Rhodopol 23(登録商標)、Rhodopol G(登録商標)、Rhodopol 50 MD(登録商標)、Rhodicare T(登録商標)、Kelzan(登録商標)、Kelzan S(登録商標)および/またはSatiaxane CX91(登録商標)、
(D)0.1〜10重量%の1つ以上の湿潤剤、好ましくは、Atlox 4894(登録商標)、
(E)0〜1重量%の1つ以上の消泡剤、好ましくは、Rhodorsil 454(登録商標)、
(F)0〜20重量%の1つ以上の不凍剤、好ましくは、プロピレングリコール、
(G)0〜1重量%の1つ以上の保存薬、好ましくは、Acticide MBS(登録商標)、および
(H)0〜10重量%の1つ以上の他の界面活性剤であって、上述の成分とは異なる界面活性剤
を含有する、請求項1に記載の懸濁濃縮製剤。
【請求項3】
(A)48〜57重量%の活性物質メトリブジン、
(B)2〜10重量%の1つ以上の界面活性剤であって、「アクリルグラフトポリマー」群からの非イオン性ポリマーに基づく界面活性剤、好ましくは、3〜6重量%のAtlox 4913(登録商標)および/またはTersperse 2500(登録商標)、
(C)0.05〜0.3重量%の1つ以上の増粘剤であって、キサンタンガム群からのアニオン性ヘテロ多糖類に基づく増粘剤、好ましくは、0.1〜0.2重量%のRhodopol 23(登録商標)、Rhodopol G(登録商標)、Rhodopol 50 MD(登録商標)、Rhodicare T(登録商標)、Kelzan(登録商標)、Kelzan S(登録商標)および/またはSatiaxane CX91(登録商標)、
(D)0.2〜5重量%の1つ以上の湿潤剤、好ましくは、1〜3重量%のAtlox 4894(登録商標)、
(E)0.05〜1重量%の1つ以上の消泡剤、好ましくは、0.1〜0.5重量%のRhodorsil 454(登録商標)、
(F)1〜15重量%の1つ以上の不凍剤、好ましくは、2〜10重量%のプロピレングリコール、
(G)0.01〜0.5重量%の1つ以上の保存薬、好ましくは、Acticide MBS(登録商標)、および
(H)0〜10重量%の1つ以上の他の界面活性剤であって、上述の成分とは異なる界面活性剤
を含有する、請求項1または2に記載の懸濁濃縮製剤。
【請求項4】
請求項1から3の一項以上に記載の懸濁濃縮製剤から、液体、好ましくは水での希釈により得ることができる薬剤。
【請求項5】
望ましくない植物成長の防除のための、請求項1から3の一項以上に記載の懸濁濃縮製剤または請求項4に記載の薬剤の使用。
【請求項6】
請求項1から3の一項以上に記載の懸濁濃縮製剤または請求項4に記載の薬剤を、有害な植物、植物部分、植物種子、またはその植物が成長する表面に施用することを特徴とする、望ましくない植物成長の防除方法。

【公表番号】特表2013−501739(P2013−501739A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524136(P2012−524136)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004818
【国際公開番号】WO2011/018188
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(507203353)バイエル・クロップサイエンス・アーゲー (172)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE AG
【Fターム(参考)】