説明

ケースの嵌合保持部構造

【課題】半嵌合部位での風洩れを防ぐことのできるケースの嵌合保持部構造を提供する。
【解決手段】上下ケース1、2の両結合端面1a、2a同士が接合しても嵌合凹凸溝12、13の内側略半分だけ嵌り合って半嵌合となる範囲は、その半嵌合部と係止部との間にシール凸部14を形成する。
これにより、嵌合凹凸溝12、13内の隙間を伝う風が嵌合凹溝壁の途切れた半嵌合部位から洩れ出す風洩れを、シール凸部14でシールさせることによって防ぐことができる。また、本対策では容易にシール形状を見出すことができるため、複雑な嵌合形状をチューニングすることによるトライ数の増大や調整期間の増大をなくすことができるうえ、別部品によるシール構造を構成する必要もなく、コストを抑えることができる。また、本発明においては半嵌合部と係止部との間にシール凸部14を設けるため、ケース嵌合や係止部の係止がしづらくなるという問題点もない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数に分割された箱体を嵌合して構成されるケースの両側嵌合部に一体で形成された係止枠と係止突起とを用いて係止する嵌合保持部の構造に関するものであり、特に、半嵌合となる部分の風洩れ防止に関するものであり、例えば車両用空調装置のケースに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用空調装置における送風機ユニットや空調ユニットなどのケースは、通常、複数に分割されたケース(分割箱体)を嵌合させて構成している。そして、この分割ケースの嵌合保持部として、種々のものが考案されて実用化されている。例えば、いずれも図示を省略するが、2つの樹脂製ケースの結合端面両側に外方へ突出した締結部を一体成形し、この締結部を締結手段としてのタッピングスクリュを用いて螺子締めにて一体に結合して嵌合を保持するものがある。
【0003】
また、締結手段として上記タッピングスクリュの代わりに弾性を有する金属製でC型形状のクリップを用い、2つの樹脂製ケースの結合端面両側に外方へ突出した係止部を一体成形し、その係止部に先のクリップを嵌めて一体に結合させて嵌合を保持するものもある。
【0004】
また、車両や他の部品との間でスペースがあまり取れない場合などは、上記したタッピングスクリュやC型クリップのような別体の締結部品を用いずに、ケースに係止手段を一体成形したもので、一方のケースに係止爪形状を持った係止突起を一体成形すると共に、他方のケースにこの係止突起を受入れて係止する係止枠を一体成形し、この両者の嵌合係止によりケースを一体に結合して嵌合を保持するものもある。
【0005】
図10は、嵌合保持部として通常の係止部K1の構造を示す部分斜視図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後である。上記した係止部では、係止突起を他方のケース側へ延長して形成しているが、この例は係止枠10を他方のケース側へ延長して形成したものである。なお、図中の12、13は、ケース嵌合部に設けられた嵌合凹凸溝である。
【0006】
また、このような係止による嵌合保持部の従来技術としては、下記特許文献1に示されるものなどがある。下記特許文献1は、ケース嵌合後の嵌合面に隙間が生じないようにしたものである。なお、図10中で説明していない符号は、後述の本発明の実施形態中で説明する符号と対応しており、ここでの説明は省略する。
【特許文献1】実開平5−49416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図10に示した嵌合保持部K1の形状を、樹脂の射出成型で形成する場合、特に係止枠10を有するケース2側は、嵌合凸溝12の突出方向である紙面の上方向と、ケース壁面と直交する外方(図10(a)中に白抜き矢印で示す)とに成形型を抜く必要がある。しかしながら、ケース形状によってはこの型抜きが成立せず、とはいえ嵌合保持のためのスペースがあまり取れない場合は、図2に示すような嵌合保持部K2を採用する場合がある。
【0008】
図2は、本発明の一実施形態における係止部K2の構造を示す部分斜視図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後である。また図9は、従来の係止部K2の中央を縦に切った部分断面図である。この係止部K2ではケース2側の成形において、紙面の上方向への型抜きが取れないため、図2(a)中に白抜き矢印で示すように、係止枠10の部分はケース内方へ成形型を抜いて形成したものである。
【0009】
このため図2に示すように、係止枠10の幅範囲は嵌合凸溝12との間に肉が詰まった形状となるため、図9に示すように、係止枠10の幅範囲だけは部分的に嵌合凹凸溝12、13の内側略半分だけ嵌り合った半嵌合となってしまう。そして、図9に示すように、嵌合凹凸溝12、13内の隙間を伝う風が嵌合凹溝壁の途切れた半嵌合部位から集中してケース外部へ洩れ出してしまうという問題点がある。
【0010】
従来は、この風洩れに対しケースインシュレーターなどの別部品によるシール構造を構成するか、半嵌合部分の型チューニング(寸法調整)などの対策が成されるが、コスト面やチューニングのトライ&エラーによるトライ数の増大や調整期間増大などのデメリットがあるうえ、ケース嵌合がしづらくなるという問題点がある。本発明は、上記従来の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、半嵌合部位での風洩れを防ぐことのできるケースの嵌合保持部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために、請求項1ないし請求項6に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、第1の開口端周縁に形成された第1結合端面(1a)と、第1の開口端周縁に形成され嵌合凹凸溝(12、13)を構成する凹部または凸部の一方とを有して樹脂にて形成された第1の分割箱体(1)と、
第1結合端面(1a)に対応して第2の開口端周縁に形成された第2結合端面(2a)と、第2の開口端周縁に形成され嵌合凹凸溝(12、13)を構成する凹部または凸部の他方とを有して樹脂にて形成された第2の分割箱体(2)とからなるケースであり、
第1の分割箱体(1)の開口端の外周縁に設けられた係止突起(20)と、第2の分割箱体(2)の開口端の外周縁に設けられ係止突起(20)と係止可能な係止枠(10)とからなるケースの嵌合保持部(K2)において、
第1、第2の分割箱体(1、2)の第1、第2結合端面(1a、2a)同士が接合しても嵌合凹凸溝(12、13)の内側略半分だけ嵌り合って半嵌合となる範囲は、その半嵌合部と、係止枠(10)と係止突起(20)とからなる係止部との間にシール凸部(14)を形成したことを特徴としている。
【0012】
この請求項1に記載の発明によれば、嵌合凹凸溝(12、13)内の隙間を伝う風が嵌合凹溝壁の途切れた半嵌合部位から洩れ出す風洩れを、半嵌合部と係止部との間に設けたシール凸部(14)でシールさせることによって防ぐことができる。
【0013】
また、本発明では容易にシール形状を見出すことができるため、複雑な嵌合形状をチューニングすることによるトライ&エラーでのトライ数の増大や調整期間の増大をなくすことができるうえ、ケースインシュレーターなどの別部品によるシール構造を構成する必要もなく、コストを抑えることができる。また、本発明においては半嵌合部と係止部との間にシール凸部(14)を設けるため、ケース嵌合や係止部の係止がしづらくなるという問題点もない。
【0014】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のケースの嵌合保持部構造において、第1、第2の分割箱体(1、2)の内外方向で係止枠部(10)と係止突起部(20)とが対向する壁部間に、シール凸部(14)としての膨出部(14a、14b)を形成したことを特徴としている。この請求項2に記載の発明によれば、ケース壁面と直交する方向で面シール構造を持たせることができる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1に記載のケースの嵌合保持部構造において、第1、第2の分割箱体(1、2)が嵌合された際に膨出部(14a、14b)と他方の第1、第2の分割箱体(1、2)とが当接する部分に面取り部(C)を設けたことを特徴としている。この請求項3に記載の発明によれば、第1、第2の分割箱体(1、2)の嵌合方向に対して面取り部(C)を設けることで嵌合組み付け性を悪化させることがない。
【0016】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1に記載のケースの嵌合保持部構造において、第1、第2の分割箱体(1、2)の内外方向で係止枠部(10)と係止突起部(20)とが対向する壁部間に、嵌合凹凸溝(12、13)と略平行にシール凸部(14)としてのシールリブ(14c、14d)を形成したことを特徴としている。この請求項4に記載の発明によれば、ケース壁面と直交する方向で線シール構造を持たせることができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1に記載のケースの嵌合保持部構造において、半嵌合部と係止部との間で第1、第2の分割箱体(1、2)の嵌合方向で対向する壁部間に、嵌合凹凸溝(12、13)と略平行にシール凸部(14)としての膨出部(14e)を形成したことを特徴としている。この請求項5に記載の発明によれば、嵌合凹凸溝(12、13)の嵌合方向で面シール構造を持たせることができる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明では、請求項1に記載のケースの嵌合保持部構造において、半嵌合部と係止部との間で第1、第2の分割箱体(1、2)の嵌合方向で対向する壁部間に、嵌合凹凸溝(12、13)と略平行にシール凸部(14)としてのシールリブ(14f)を形成したことを特徴としている。この請求項6に記載の発明によれば、嵌合凹凸溝(12、13)の嵌合方向で線シール構造を持たせることができる。
【0019】
なお、特許請求の範囲および上記各手段に記載の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1形態について添付した図1ないし図4を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るケース1・2の全体構造を示す斜視図である。また図2は、本発明の一実施形態における嵌合保持部としての係止部K2の構造を示す部分斜視図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後である。また図3は、本発明の第1実施形態における係止部K2の中央を縦に切った部分断面図であり、図4は、第1実施形態の変形例における係止部K2の中央を縦に切った部分断面図である。
【0021】
まず、ケースの概略構造を、図1を用いて説明する。図1において1と2は、車両用空調装置(クーラーユニット)の空調用通風路を形成する上下ケースであり、本発明で言う分割箱体である。図1の例では、図中横に走る分割面で上下に上ケース1と下ケース2とに分割されている。そして、それぞれの上下ケース1、2は、ポリプロピレンのような弾性を有する樹脂で略U字形状に成形されている。
【0022】
そして、そのU字形状の両端部分が相互の第1、第2結合端面1a、2a(図2〜図4参照)として形成されており、その第1、第2結合端面1a、2aの外方に複数の図示しないクリップ留め部を含む締結部や係止部K1、K2などが一体に形成されている。これらの締結部や係止部は、全てケースの嵌合保持部である。
【0023】
図1中の係止部K1は、図10に詳細を示すように、下ケース2に設けられて上ケース1側に向かって延長する係止枠10に対して、上ケース1に突設された係止突起20が入り込むことによって嵌合状態を保持する嵌合保持部である。また、図1中の係止部K2も、図2に詳細を示すように、下ケース2に設けられて上ケース1側に向かって延長する係止枠10に対して、上ケース1に突設された係止突起20が入り込むことによって嵌合状態を保持する嵌合保持部である。なお、詳細は後述する。
【0024】
そして、上下ケース1、2の内部に空気冷却用のエバポレータ(熱交換器)30などの空調用機器を収容した後、上記したいずれかの締結部や係止部で上下ケース1、2は一体に結合されて保持される。この分割箱体からなる上下ケース1、2の図1左右両端には、通風路接続用の開口部(図1では右側の開口部のみ図示)が設けられており、この開口部にはシール用のパッキン31が貼着されている。図1の図示しない左側開口部は、図示しない送風機ユニットに接続され、図1の右側開口部は図示しないヒーターユニットに接続される。
【0025】
次に、図2、図3を用いて、本発明の要部である係止部K2について詳細に説明する。第1、第2結合端面1a、2aには、その全域にわたって嵌合凹凸溝12、13が形成されている。本実施形態では、第1結合端面1a側に嵌合凹溝13が形成され、結合端面2a側に嵌合凸溝12が一体成形されている。更に下ケース2には、結合端面2aから上ケース1側へ突出した係止枠10が形成され、その係止枠10に対応して上ケース1には、第1結合端面1aから係止枠10を係止する係止突起20がケース外方へ突出して形成されている。
【0026】
本係止部K2では下ケース2側の成形において、紙面の上方向への型抜きが取れないため、図2(a)中に白抜き矢印で示すように、係止枠10の部分はケース内方へ成形型を抜いて形成したものである。このため図2に示すように、係止枠10の幅範囲は嵌合凸溝12との間に肉が詰まった形状となるため、図3に示すように、係止枠10の幅範囲だけは部分的に嵌合凹凸溝12、13の内側略半分だけ嵌り合った半嵌合となってしまう。
【0027】
なお、このままでは図9で示したように、嵌合凹凸溝12、13内の隙間を伝う風が嵌合凹溝壁の途切れた半嵌合部位から集中してケース外部へ洩れ出してしまうため、この半嵌合となる範囲は、その半嵌合部と、係止枠10と係止突起20とからなる係止部との間にシール凸部14を形成している。より具体的には、上下ケース1、2の内外方向で係止枠部10と係止突起部20とが対向する壁部間、本実施形態では係止枠10の根元部の内壁にシール凸部14としての膨出部14aを形成している。
【0028】
そして、上下ケース1、2を嵌合させた時に、この膨出部14aが上ケース1の係止突起20下方の壁部と密着することで面シールが成されて風洩れを防止するようになっている。なお、膨出部14aの紙面上端側には面取り部Cを形成しているため、嵌合時に上ケース1の係止突起20下方の角と膨出部14aとで担ぎが発生して組み付け性が悪くなることはない。
【0029】
なお図4は、第1実施形態の変形例における係止部K2の中央を縦に切った部分断面図である。本変形例はシール凸部14としての膨出部14bを、上ケース1側の係止突起20下方の壁部に形成したものである。このため上記した面取り部Cも係止突起20下方の角部に設けている。このように、係止枠部10と係止突起部20とが対向する壁部間であれば膨出部14も面取り部Cもいずれの側に形成しても良いし、勿論両側に形成しても良い。
【0030】
次に、本実施形態での特徴と、その効果について述べる。まず上下ケース1、2の第1、第2結合端面1a、2a同士が接合しても嵌合凹凸溝12、13の内側略半分だけ嵌り合って半嵌合となる範囲は、その半嵌合部と、係止枠10と係止突起20とからなる係止部との間にシール凸部14を形成している。これによれば、嵌合凹凸溝12、13内の隙間を伝う風が嵌合凹溝壁の途切れた半嵌合部位から洩れ出す風洩れを、半嵌合部と係止部との間に設けたシール凸部14でシールさせることによって防ぐことができる。
【0031】
また、本対策では容易にシール形状を見出すことができるため、複雑な嵌合形状をチューニングすることによるトライ&エラーでのトライ数の増大や調整期間の増大をなくすことができるうえ、ケースインシュレーターなどの別部品によるシール構造を構成する必要もなく、コストを抑えることができる。また、本発明においては半嵌合部と係止部との間にシール凸部14を設けるため、ケース嵌合や係止部の係止がしづらくなるという問題点もない。
【0032】
また、上下ケース1、2の内外方向で係止枠部10と係止突起部20とが対向する壁部間に、シール凸部14としての膨出部14a、14bを形成している。これによれば、ケース壁面と直交する方向で面シール構造を持たせることができる。また、上下ケース1、2が嵌合された際に膨出部14a、14bと他方のケース1、2とが当接する部分に面取り部Cを設けている。これによれば、上下ケース1、2の嵌合方向に対して面取り部Cを設けることで嵌合組み付け性を悪化させることがない。
【0033】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態における係止部K2の中央を縦に切った部分断面図である。上述した第1実施形態と異なる特徴部分を説明すると、上下ケース1、2の内外方向で係止枠部10と係止突起部20とが対向する壁部間、本実施形態では係止枠10の根元部の内壁に、嵌合凹凸溝12、13と略平行にシール凸部14としてのシールリブ14cを形成している。
【0034】
また、図6は、第2実施形態の変形例における係止部K2の中央を縦に切った部分断面図である。本変形例はシール凸部14としてのシールリブ14dを、上ケース1側の係止突起20下方の壁部に形成したものである。なお、図5、図6ではシールリブ14c、14dを三角リブとしているが、これに限るものではなく、例えば断面が半円形のリブであっても良い。これによれば、ケース壁面と直交する方向で線シール構造を持たせることができる。
【0035】
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態における係止部K2の中央を縦に切った部分断面図である。上述した各実施形態と異なる特徴部分を説明すると、半嵌合部と係止部との間で上下ケース1、2の嵌合方向で対向する壁部間、本実施形態では嵌合凸溝12の先端部との同一面と嵌合凹溝13の底部との同一面とに、嵌合凹凸溝12、13と略平行にシール凸部14としての膨出部14eを形成している。
【0036】
より具体的に、本実施形態では係止枠10の根元部に略三角形の膨出部14eを形成し、この三角の斜面に上ケース1の係止突起20下方の角部を当接させることでシールを図っている。なお、図7では膨出部14eを略三角形としているが、これに限るものではなく、例えば矩形として、互いの角部が僅かにラップして角部同士が当接する構造としても良い。これによれば、嵌合凹凸溝12、13の嵌合方向で面シール構造を持たせることができる。
【0037】
(第4実施形態)
図8は、本発明の第4実施形態における係止部K2の中央を縦に切った部分断面図である。上述した各実施形態と異なる特徴部分を説明すると、半嵌合部と係止部との間で上下ケース1、2の嵌合方向で対向する壁部間、本実施形態では嵌合凸溝12の先端部との同一面と嵌合凹溝13の底部との同一面とに、嵌合凹凸溝12、13と略平行にシール凸部14としてのシールリブ14fを形成している。
【0038】
より具体的に、本実施形態では係止突起20下方部に略三角形のシールリブ14fを形成し、このシールリブ先端を下ケース2の嵌合凸溝12の先端部との同一面に当接させることでシールを図っている。なお、図8ではシールリブ14fを三角リブとしているが、これに限るものではなく、例えば断面が半円形のリブであっても良い。これによっても、嵌合凹凸溝12、13の嵌合方向で線シール構造を持たせることができる。
【0039】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、上ケース1に嵌合凹溝13と係止突起20とを設け、下ケース2に嵌合凸溝12と係止枠10とを設けているが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明は嵌合凹凸溝12、13の上下方向や、係止枠10と係止突起20とによる係止部の上下方向には関連はなく、例えば、上ケース1に嵌合凸溝12、下ケース2に嵌合凹溝13を設けても良いし、上ケース1に係止枠10、下ケース2に係止突起20を設けても良い。
【0040】
また、本発明は車両用空調装置のケースに限るものではなく、分割されたケース同士を結合して用いるものに適用しても良い。なお、図1の実施形態では、嵌合保持部として図10に示す係止部K1、および図2に示す係止部K2を用いているが、図示しないタッピングスクリュやクリップを用いるものや、係止枠内に係止突起を挿入する係止部構造であっても良いし、これら以外の嵌合保持部であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係るケース1・2の全体構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態における嵌合保持部としての係止部K2の構造を示す部分斜視図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後である。
【図3】本発明の第1実施形態における係止部K2の中央を縦に切った部分断面図である。
【図4】第1実施形態の変形例における係止部K2の中央を縦に切った部分断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態における係止部K2の中央を縦に切った部分断面図である。
【図6】第2実施形態の変形例における係止部K2の中央を縦に切った部分断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態における係止部K2の中央を縦に切った部分断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態における係止部K2の中央を縦に切った部分断面図である。
【図9】従来の係止部K2の中央を縦に切った部分断面図である。
【図10】嵌合保持部として通常の係止部K1の構造を示す部分斜視図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後である。
【符号の説明】
【0042】
1…上ケース(第1の分割箱体)
1a…第1結合端面
2…下ケース(第2の分割箱体)
2a…第2結合端面
10…係止枠
12…嵌合凸溝(嵌合凹凸溝)
13…嵌合凹溝(嵌合凹凸溝)
14…シール凸部
14a、14b、14e…膨出部
14c、14d、14f…シールリブ
20…係止突起
C…面取り部
K2…係止部(嵌合保持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の開口端周縁に形成された第1結合端面(1a)と、前記第1の開口端周縁に形成され嵌合凹凸溝(12、13)を構成する凹部または凸部の一方とを有して樹脂にて形成された第1の分割箱体(1)と、
前記第1結合端面(1a)に対応して第2の開口端周縁に形成された第2結合端面(2a)と、前記第2の開口端周縁に形成され前記嵌合凹凸溝(12、13)を構成する凹部または凸部の他方とを有して樹脂にて形成された第2の分割箱体(2)とからなるケースであり、
前記第1の分割箱体(1)の開口端の外周縁に設けられた係止突起(20)と、前記第2の分割箱体(2)の開口端の外周縁に設けられ前記係止突起(20)と係止可能な係止枠(10)とからなる前記ケースの嵌合保持部(K2)において、
前記第1、第2の分割箱体(1、2)の前記第1、第2結合端面(1a、2a)同士が接合しても前記嵌合凹凸溝(12、13)の内側略半分だけ嵌り合って半嵌合となる範囲は、その半嵌合部と、前記係止枠(10)と前記係止突起(20)とからなる係止部との間にシール凸部(14)を形成したことを特徴とするケースの嵌合保持部構造。
【請求項2】
前記第1、第2の分割箱体(1、2)の内外方向で前記係止枠部(10)と前記係止突起部(20)とが対向する壁部間に、前記シール凸部(14)としての膨出部(14a、14b)を形成したことを特徴とする請求項1に記載のケースの嵌合保持部構造。
【請求項3】
前記第1、第2の分割箱体(1、2)が嵌合された際に前記膨出部(14a、14b)と他方の前記第1、第2の分割箱体(1、2)とが当接する部分に面取り部(C)を設けたことを特徴とする請求項2に記載のケースの嵌合保持部構造。
【請求項4】
前記第1、第2の分割箱体(1、2)の内外方向で前記係止枠部(10)と前記係止突起部(20)とが対向する壁部間に、前記嵌合凹凸溝(12、13)と略平行に前記シール凸部(14)としてのシールリブ(14c、14d)を形成したことを特徴とする請求項1に記載のケースの嵌合保持部構造。
【請求項5】
前記半嵌合部と前記係止部との間で前記第1、第2の分割箱体(1、2)の嵌合方向で対向する壁部間に、前記嵌合凹凸溝(12、13)と略平行に前記シール凸部(14)としての膨出部(14e)を形成したことを特徴とする請求項1に記載のケースの嵌合保持部構造。
【請求項6】
前記半嵌合部と前記係止部との間で前記第1、第2の分割箱体(1、2)の嵌合方向で対向する壁部間に、前記嵌合凹凸溝(12、13)と略平行に前記シール凸部(14)としてのシールリブ(14f)を形成したことを特徴とする請求項1に記載のケースの嵌合保持部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−24231(P2008−24231A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−201024(P2006−201024)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】