説明

ケーブルウェイシステム並びにゴンドラ並びにケーブルウェイシステムのゴンドラを暖房する方法

【課題】ケーブルウェイシステムのゴンドラ(1)を暖房する方法と、適したゴンドラと、このタイプのゴンドラを備えたケーブルウェイシステムとを提供する。
【解決手段】輸送される乗客の快適さを増すために、基部(6)又は基部の一部分は、特にゴンドラがケーブルウェイシステムのステーション内で停車されているときにのみこの基部に組み込まれた電気加熱装置によって加熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルウェイシステムのゴンドラを暖房する方法、これに適したゴンドラ、およびこのタイプのゴンドラを備えたケーブルウェイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブル鉄道の乗客用車両は風雨に対して保護されているが、特に非常に寒いときには快適ではない。ゴンドラ内部は低温の時には特に著しく寒くなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かくして、本発明の目的は、ゴンドラ内の快適さを増すタイプのゴンドラを有する方法、このゴンドラ、およびこのタイプのゴンドラを有するケーブルウェイシステムを明確にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、本発明に関われば、請求項1、7、および24の特徴によって果される。本発明の有意な改良例と発展例とが、従属請求項に明確にされている。
【0005】
本発明は、基部と基部の一部とが、ゴンドラがケーブルウェイシステムのステーション内で停車されている間に電気的な加熱装置によって加熱されるというように要約される。この結果、基部は、乗車前または乗車中に乗客にとって快適な温度まで所定の温度に調節され得る。
【0006】
本方法の1つの有意な改良により、ゴンドラがケーブルウェイステーション内で停車されている間のみ電力が供給される加熱装置が提供される。
【0007】
特に、電力供給の持続時間および/または強さは、局所的な外部の温度に従って調整され得る。これは、寒くなるほど、ゴンドラの基部がより高温に、または、長い間暖房されることを意味する。
【0008】
本発明の1実施形態では、加熱装置の電力供給は、基部の加熱部の温度が所定の最大温度に達すると遮断される。この最大温度は、同様に、局所的な外部温度に従って規定され得る。
【0009】
本発明の1つの好ましい実施形態では、加熱装置に電気的に接続された少なくとも1つの集電器が、ゴンドラ、ゴンドラのサスペンション、駆動装置(running gear)(2)、またはケーブルへの取り付け装置に設けられており、この集電器は、ケーブルウェイシステムのステーションに設けられた少なくとも1つの接点装置と相互作用する。
【0010】
ケーブルウェイステーションに入るとき、集電器は、ケーブルウェイシステム内に設けられた接点装置と接触する。この結果、電流が加熱装置に流れ、ゴンドラを暖房する。
【0011】
集電器は、ローラタイプの接触部と摺動接触部との両方を有していてよく、これら接触部は、夫々に対応して構成された接点装置と相互作用する。接点装置は、ケーブルウェイシステム内のゴンドラの運搬経路に沿って配置された母線として設計されていると好ましい。
【0012】
有意な変形例が、誘導カップリングの形で接触なしで移送されるエネルギー移送を提供する。この場合、対応する装置が、交流電場を形成する。この装置は、ゴンドラから他の対応する装置によって持ち上げられ、加熱装置の作動を助ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、ケーブルウェイシステムのステーションを概略的に示している。図示されている典型的な実施形態では、2つの終着ステーションの間にある中間的なステーションを有している。ゴンドラ1は駆動装置2を有しており、この駆動装置は、ステーション内で循環ケーブルから外され得るため、ゴンドラは、相当な低速でステーションのレール上を更に動かされる。
【0014】
駆動装置とレールとは、従来の方法で実施可能であり本発明の主題ではないため、本図では詳しく示されていない。
【0015】
前記レールは、T字形状のサポート3に取付けられ、母線(接点装置)4が、このレールの下でサポート3に取付けられている。所定の集電器5が、駆動装置2に取付けられている。これら集電器5は、ゴンドラの基部6に配置された加熱装置に接続されている。加熱装置は、基部6の全領域にわたって、または、乗客が立っているか座席に着いた乗客の足が位置されている一部の領域にのみ延びていてよい。この場合、基部は、従来どおりに、必要に応じてゴム・マットで覆われたシート状のスチールプレートを有していてよい。シート状のスチーププレートの下には、電気毛布や例えば曲がった形で横たえられた加熱コイルなどの電気加熱装置が配置されており、可能な限り直接的にベースプレートと熱交換が行なわれ得る。電気加熱装置の下には、下方へ、即ち、周囲へとできるだけ熱を逃がさないように断熱層が設けられていると理想的である。例えば曲がった形で横たえられた加熱コイルが使用される場合は、これらコイルをこれらに対応して形成された溝によって断熱プレート中に挿入することも可能である。
【0016】
基部6を加熱するのに十分な時間が得られるように、母線4が、ステーション内でゴンドラ1の移動経路全体に沿って延びていると理想的である。これら母線は、ケーブルウェイシステムの全ステーション、即ち、谷部のステーションおよび山部のステーションおよび可能な中間的なステーションに、または、唯一1つのステーション、例えば谷部のステーションもしくは停車場のみに、設けられ得る。しかしながら、母線はまた、ステーション内でゴンドラ1の移動経路の一部分にのみ延びていてもよい。基部が必要以上に過熱されないように、適当な制御部を用いて、加熱装置によって基部のプレートが加熱される時間を制限することが可能である。基部が必要以上に過熱されると、乗客にとって不快であるだけでなく、必要以上に高いエネルギー消費を招く。この加熱時間は、ゴンドラ内の温度および/または基部の加熱された部分の温度および/または周囲温度に従って調整可能である。代わりに、または、付加的に、基部の加熱された部分および/またはゴンドラ内部が最大温度に達した時に加熱装置を停止させる温度センサーを設けることも可能である。同様に、ゴンドラが停止している時に加熱装置の電力供給を遮断することもまた可能である。
【0017】
更に、比較的高さがあり加熱装置用に切欠部を備えている基部プレート内に加熱装置が配置されておりこの加熱装置が高い蓄熱能力を有している、ゴンドラの基部の実施形態も考えられる。しかしながら、言うまでもなく、この高い蓄熱能力は、基部プレートの領域内の他の付加的な保存部材によって果されてもよい。この高い蓄熱能力は、基部プレートがステーションに停車されている間に加熱されるだけで、次のステーションに到着するまで乗客にとって快適な温度を保持するという利点を有している。
【0018】
この接続において、他に考えられる蓄熱部材には、部材の温度を明らかに変える必要がなく熱が与えられかつ消失され得ることから動作温度では潜在的な蓄熱能力を有している蓄熱部材がある。
【0019】
母線4と集電器5とを備えた接点装置に関しては、本発明の範囲内で様々の実施形態が考えられる。例えば、摺動接触部を備えた集電器を参照したい。図2は、集電器8が運搬ロッド7に取付けられ、これら集電器がサポート3に取付けられた導電体9と電気接触されている、1つの実施形態の接点装置を1例として示している。
【0020】
しかしながら、取付け工または保守要員が帯電部に直接接触する危険がなくなるようにエネルギー移送用の部材を電気的に絶縁することにより、接点装置はまた、直接的な電気接点装置でなくエネルギー移送用の誘導接点装置としても実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】停車された2つのゴンドラを備えたケーブルウェイシステムのステーションを示している。
【図2】集電器の1つの実施形態を詳しく示している。
【符号の説明】
【0022】
1・・・ゴンドラ、3・・・サポート、4・・・母線、6・・・基部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルウェイシステムのゴンドラ(1)を暖房する方法において、ゴンドラの基部(6)の少なくとも一部分が、好ましくはゴンドラ(1)がケーブルウェイシステムのステーションに停車されている時に、電気的な加熱装置によって加熱されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記加熱装置には、特定の時間のみ、電力が供給されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
前記電力供給の持続時間および/または強さは、局所的な外部温度に従って調整されることを特徴とする請求項1または2の方法。
【請求項4】
加熱装置の前記電力供給は、基部(6)の加熱された部分の温度が所定の最大温度に達するとすぐに遮断されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1の方法。
【請求項5】
加熱装置の前記電力供給は、ケーブルウェイシステムが停止されている時は遮断されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1の方法。
【請求項6】
前記加熱装置は、ゴンドラ(1)がステーションに停車されている間のみ作動されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1の方法。
【請求項7】
基部(6)、側壁、屋根、および適切な場合は座席を有するケーブルウェイシステムのゴンドラにおいて、電気的に作動される加熱装置を具備し、この加熱装置によって前記基部(6)の少なくとも一部分が加熱可能であることを特徴とするゴンドラ。
【請求項8】
前記加熱装置に電気的に接続された少なくとも1つの集電器(5,8)が、ゴンドラ(1)、ゴンドラのサスペンション、駆動装置(2)、またはケーブルへの取り付け装置に設けられており、前記集電器は、ケーブルウェイシステムのステーションに設けられた少なくとも1つの接点装置(4,9)と相互作用することを特徴とする請求項7のゴンドラ。
【請求項9】
前記集電器(5)は、ローラタイプの接触部を有していることを特徴とする請求項8のゴンドラ。
【請求項10】
前記集電器(5)は、摺動接触部を有していることを特徴とする請求項8または9のゴンドラ。
【請求項11】
前記接点装置は、ステーション内でゴンドラ(1)の移動経路に沿って配置された母線(4)を有していることを特徴とする請求項8のゴンドラ。
【請求項12】
前記集電器(5)と接点装置(4)とは、誘導エネルギーの伝達用の装置の一部であることを特徴とする請求項8のゴンドラ。
【請求項13】
前記加熱装置は、動作温度でよい蓄熱能力を備えた部材を有していることを特徴とする請求項7ないし12のいずれか1の装置。
【請求項14】
前記部材は、平坦なプレートタイプの構成を有していることを特徴とする請求項7ないし13のいずれか1のゴンドラ。
【請求項15】
前記加熱装置は、部分的に前記部材の上に載っているか前記部材を囲んでいることを特徴とする請求項13または14のゴンドラ。
【請求項16】
前記加熱装置は、前記部材内に配置されていることを特徴とする請求項15のゴンドラ。
【請求項17】
前記加熱装置は、平坦な形状を有し、この平坦な加熱装置の表面または中に、熱を放射する加熱ラインが取付けられていることを特徴とする請求項7ないし16のいずれか1のゴンドラ。
【請求項18】
前記加熱ラインは、電気加熱導体であることを特徴とする請求項17のゴンドラ。
【請求項19】
前記部材と前記加熱装置とは、乗客用車両から離れた側に断熱層を有していることを特徴とする請求項13ないし18のいずれか1のゴンドラ。
【請求項20】
前記加熱装置を制御する制御装置を具備していることを特徴とする請求項7ないし19のいずれか1のゴンドラ。
【請求項21】
前記制御装置は、基部(6)の加熱された部分の温度を検出する温度センサーに接続されていることを特徴とする請求項20のゴンドラ。
【請求項22】
前記制御装置は、ゴンドラ(1)の周囲温度、および/または、ステーション内の温度を検出する温度センサーに接続されていることを特徴とする請求項20のゴンドラ。
【請求項23】
前記部材、即ち、この部材が含む物質が、動作温度では潜在的な蓄熱能力を有していることを特徴とする請求項13ないし22のいずれか1のゴンドラ。
【請求項24】
人を運搬する複数のゴンドラ(1)を有しているケーブルウェイシステムにおいて、前記ゴンドラ(1)は、請求項7ないし23のいずれか1に関わるゴンドラであることを特徴とするケーブルウェイシステム。
【請求項25】
外部のエネルギー源に接続された母線(4)が、ケーブルウェイシステムの少なくとも1つのステーションに設けられていることを特徴とする請求項24のケーブルウェイシステム。
【請求項26】
前記ゴンドラ(1)が使用されない時に保管される停車場を具備している請求項24または25のケーブルウェイシステムにおいて、外部のエネルギー源に接続された母線(4)は、前記停車場内に設けられていることを特徴とするケーブルウェイシステム。
【請求項27】
周囲温度用の温度センサーおよび/または加熱装置用の中央コントローラが、少なくとも1つのステーション内で配置されていることを特徴とする請求項24ないし26のいずれか1のケーブルウェイシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−82799(P2006−82799A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263666(P2005−263666)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(505343882)インノワ・パテント・ゲーエムベーハー (7)