説明

ケーブル等用支持具

【課題】ボルト・ナット等の螺着作業をなくし、簡単に取り付け可能とすること。
【解決手段】支持本体部10とこれに着脱自在に取り付けられる複数の支持部材20とからなるケーブル等の支持具である。支持本体部10は、管体、棒状体、チャンネル材等の長尺状体からなり、長手方向には貫通孔12が列設されている。支持部材20は、支持本体部を外側から抱持する抱持枠体21と、この抱持枠体の内側で内向きに延長する心棒22と、抱持枠体の外側で外向きに延長する支持腕部23とからなる。支持部材の心棒を支持本体部の貫通孔に挿通させ、抱持枠体が支持本体部を抱持することにより支持部材が支持本体部に結合する。これにより支持腕部がケーブルや配管等を支持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線ケーブルや配管等を支持するための支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のケーブル等の支持具としては、例えば下記特許文献1に示したものがあるが、このケーブル保持具においては、支柱に支持具を取り付ける際に複数のボルト・ナットを使用し、固定している。
その他従来の種々の支持具においても、その固定は、やはり螺子やボルト・ナット等による締着具を使用するのが通例であった。
【特許文献1】登録実用新案第3011262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来例においては、ボルト・ナット等による螺着作業が手間の掛かる作業となり、より簡便な作業によって設置できるケーブル等の固定具が望まれていた。
そこで本発明においては、従来のように支持具を取り付ける際に、ボルト・ナット等による螺着作業をなくし、ワンタッチで組立て、設置可能なケーブル等用固定具の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、支持本体部とこれに着脱自在に取り付けられる複数の支持部材とからなり、支持本体部は、管体、棒状体、チャンネル材等の長尺状体からなり、この支持本体部の長手方向には貫通孔が列設され、支持部材は、上記支持本体部を外側から抱持する抱持枠体と、この抱持枠体の内側で内向きに延長する心棒と、抱持枠体の外側で外向きに延長する支持腕部とからなり、支持部材の心棒を支持本体部の貫通孔に挿通させ、抱持枠体が支持本体部を抱持することにより支持部材が支持本体部に結合でき、これにより支持腕部がケーブルや配管等を支持することができるケーブル等用支持具である。
本発明の第2のものは、支持部材の心棒が支持本体部の貫通孔から抜脱しないように、心棒の先端部に抜け落ち防止手段を設けたことを特徴とするケーブル等用支持具である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の第1のものにおいては、支持本体部の貫通孔に支持部材の心棒を挿通させ、支持部材の抱持枠体が支持本体部を抱持するために、ワンタッチで簡単に支持部材を支持本体部に取り付けることができる。
ここで上記心棒とは、棒体や管体等を含む棒状体を意味している。
特に、支持部材の抱持枠体によって支持本体部が外側から、抱持され或は挟持されることにより支持部材は支持本体部に確実に保持され、結合されるのである。
本発明の第2のものにおいては、支持部材の心棒の先端に抜け落ち防止手段が設けられているために、例えば地震等が発生した場合であっても、支持部材が支持本体部から抜け落ちることが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、添付図面に基き本発明に係る支持具の実施形態について説明する。
図1は、本発明のケーブル等用支持具に係る第1の実施形態の斜視説明図である。
本発明に係る支持具は、支持本体部10と複数の支持部材20、20、…とからなる。支持本体部10は、適宜の外径と厚みを有する金属製パイプからなり、その長手方向には、直径方向に貫通する貫通孔12が一定間隔で複数列設されている。
他方、支持部材20は、金属製の板材を適宜湾曲させた抱持枠体21と、この抱持枠体21の内側で且つ内向きに延長する金属製の細径パイプ材からなる心棒22と、抱持枠体21の外側で且つ外向きに延長するやはり金属製パイプ材からなる支持腕部23とから構成されている。
【0007】
抱持枠体21は、支持本体部10を適切に抱持又は挟持できるように湾曲されており、その曲率は支持本体部10よりも大きく形成している。心棒22は、パイプでなく、棒体でもよい。
この実施形態では、上記支持腕部23は、抱持枠体21の両側に2本形成されている。また、その先端部には、上方に突出する突起部24を形成し、支持されるケーブル等が落下しないような落下防止手段を有している。
【0008】
以上の構成からなる本発明に係る支持具においては、その支持部材20の心棒22を支持本体部10の貫通孔12内に挿入し、貫通させて取り付けることができる。この際、抱持枠体21自身が有する弾性力により、支持部材20が支持本体部10をその外側から抱持し、結合される。このようにして、支持部材20の複数を支持本体部10の長手方向に一定間隔で取り付けることが出来、これにより支持部材20の支持腕部23がケーブルや配管等を支持することができるのである。
特にこの実施形態では、支持腕部23が丸パイプから形成されているために、ケーブル等を引っ張って配線する際に、摩擦抵抗が少なくなり、良好に配線することができる。
【0009】
また、支持本体部10は、金属製パイプからなり、このパイプは、壁、柱、天井、床、梁等の建築物等の種々の部位に配管用支持金具を利用して配設し、固定することができ、しかも、その支持本体部10の配管も図示はしていないが、縦、横、斜め等自由に配設できるものである。
更に、図1中には示していないが、後に説明する通り、心棒22の先端に貫通孔を設け、各種のストッパーピン等により抜け落ち防止手段を講じることができる。本発明においては、支持部材20の抱持枠体21の弾性力により支持本体部10に結合されるのであるが、この抜け落ち防止手段により地震等に遭っても支持部材20が抜け落ちることが防止される。
【0010】
図2は、本発明の他の実施形態を図示する斜視説明図である。
この実施形態においては、支持本体部10が縦方向に配置されているが、金属製パイプから形成され、貫通孔12が一定間隔で列設されている点は上記第1の実施形態と同様である。
他方、支持部材30は、上記実施形態と異なり、湾曲された金属製の板材からなる抱持枠体21と、この抱持枠体21の略中央部を貫通する金属製の細径パイプが、心棒22と支持腕部23を兼ねている。この細径パイプは、棒体であってもよい。支持腕部23の先端にはケーブル等の落下防止手段である起立部25が設けられている。
【0011】
以上の構成からなる本発明に係る支持具は、心棒22を横方向から支持本体部10の貫通孔12に貫通させて、支持部材30を支持本体部10に取り付け、結合でき、その後、心棒の先端部に形成された貫通孔22hにストッパーピン22pを取り付けて、支持部材30の抜け落ちを防止できる。これら貫通孔22hとストッパーピン22pが抜け落ち防止手段となる。
この実施形態では、心棒22と支持腕部23とが1本の金属製パイプから形成されているために、支持腕部23の強度が十分に保持されるものとなる。
【0012】
図3は、上記第1の実施形態と同様の構成を有する支持具の断面説明図であるが、その支持腕部が金属製の板材から形成されているものである。
支持本体部10は、金属製パイプからなり、支持部材20は、抱持枠体21と、その内側略中央部から内側方向に延長する心棒22と、抱持枠体21の外側で図中左右両側で外側やや斜め上方に延長する支持腕部23とから形成されているが、この支持腕部23が金属製の板材から形成されている。
ここで、抱持枠体21の頂部から右方向に延長する支持腕部23uを更に設けることも可能である。本発明においては、このように支持腕部は1又は2以上任意に適切な部位に形成することができる。
また、心棒22の先端部には、抜け落ち防止手段として、ストッパーピン22pが設けられている。図中、Cは支持されるケーブル等を示している。
【0013】
図4乃至図8は、本発明の他の実施形態に係る支持本体部と支持部材の各種の形態と両者の関係を図示する断面説明図である。
図4に図示した実施形態においては、支持本体部40が角型パイプからなり、図中横方向に貫通孔42が設けられている。
他方、支持部材45は、抱持枠体46が金属製板材からなり、前記支持本体部40の略三辺を抱持できるような形状を有したものからなり、この抱持枠体46の略中央部、図中右辺の略中央部を細径金属製パイプが貫通し、このパイプが心棒47と支持腕部48の機能を果たしている。
支持腕部48には、仕切部48pを設け、ケーブルC等を区別して支持することができる。支持腕部48の先端には落下防止手段として起立部49も設けている。
【0014】
図5に図示した実施形態においては、上記第1の実施形態と同様の金属製パイプからなる支持本体部10を斜めに配置し、即ち、その貫通孔12を斜めに配置し、支持部材50は、抱持枠体51とその内側に設けられた心棒52と、支持腕部53とから形成されているが、その支持腕部53の位置が上記第1の実施形態とは異なり、心棒52の取り付け位置に近付いて設けられ、しかも、図示した通り、心棒52が斜めに配置された状態で、支持腕部53が略斜め上方に延長するように形成している。
この実施形態においては、支持腕部53は金属製の板材から形成されているが、第1の実施形態のように細径の金属製パイプ材から形成してもよい。
支持腕部53uのように、更に上方にもう1本支持腕部を設けることもできる。
【0015】
図6に図示した実施形態においては、支持本体部60が断面コ字形状の金属製チャンネル材からなり、その両脚部に貫通孔62を図中上下方向に設けたものである。
支持部材65も、同様に断面コ字形状の金属製板材からなる抱持枠体66と、その内側略中央部から内側方向(図中下方向)に延長する心棒67と、抱持枠体66の右辺部から右側方向に延長する支持腕部68とから形成されている。
支持腕部68の先端部にはケーブルCの落下防止手段、心棒67の先端には抜け落ち防止手段が設けられている。
【0016】
図7に図示した実施形態においては、支持本体部10は上記第1の実施形態と同じであるが、支持部材70が異なる。
即ち、支持部材70は、抱持枠体71が支持本体部10の略半分の部分しか抱持せず、心棒72も抱持枠体71の一方の端部(図中上部)から内側方向(下方向)に延長している。支持腕部73は、抱持枠体71の略中央部から外側方向に斜め上方に延長している。
このように、抱持枠体は、支持本体部の一部を抱持するものであってもよく、心棒との共働作用によって支持本体部を抱持又は挟持することが可能である。
支持腕部73の先端部にケーブルCが落下しないように落下防止手段が、心棒72の先端には支持部材の抜脱防止用の抜け落ち防止手段が設けられている。
【0017】
図8に図示した実施形態においては、支持本体部10が上記第1の実施形態と同じ金属製パイプからなるが、支持部材75において、抱持枠体76と支持腕部78とが一体的に形成され、即ち、金属製板材の一体成形ものから形成され、心棒77は抱持枠体76の略中央部から内側方向に延長して設けられているものである。
支持腕部78の先端部にケーブルCが落下しないように落下防止手段が、心棒77の先端には支持部材の抜け落ち防止手段が設けられている。
【0018】
以上、各種の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り設計変更可能である。
支持本体部は、上記実施形態の通り、丸パイプ、角型パイプ、丸棒、角棒、チャンネル材等を使用でき、貫通孔が列設できる各種の長尺状体のものであればよい。
貫通孔を設ける方向は、上下方向、水平方向或は斜め方向の何れでもよく、この貫通孔の方向は、貫通孔が設けられた長尺状体を設置する際に、所望角度だけ回動させて設置すればよい。
上記支持本体部に複数取り付けられる支持部材は、少なくとも抱持枠体と心棒と支持腕部とから形成されていればよく、それらの相互の位置関係は、上記実施形態の通り、種々の形態に設定することができる。要は、心棒が支持本体部の貫通孔に貫通して、この心棒と支持枠体とで支持部材が支持本体部に結合できればよいのである。
抱持枠体に適宜リブ等を設け、強度を高くすることも可能である。
【0019】
心棒は、管体や棒体の何れでもよい。また支持腕部も板状体、管体、棒体等、ケーブル等を支持できるものであればどのようなものでもよい。
支持腕部にケーブル等を区別する仕切部や、その先端にケーブル等が落下することを防止する手段を設けることも自由であり、更に、ケーブル等を固定するための固定用サドル等の各種タイプの固定具を設けることもできる。
心棒の先端に支持部材の抜け落ち防止手段を設けることも自由である。
本発明に係る支持具は、上記の通り、金属製のものとして実施したが、これを合成樹脂製のものとして実施することも勿論可能である。
以上、本発明においては、ケーブル等を支持する支持具を各種部位に、所望の形態で簡単に設置することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る第1の実施形態を示す斜視説明図である。
【図2】本発明の他の実施形態を示す斜視説明図である。
【図3】上記第1の実施形態と同様の構成を有する支持具の断面説明図であり、その支持腕部が金属製板材から形成されているものを示している。
【図4】本発明の他の実施形態の断面説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態の断面説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態の断面説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態の断面説明図である。
【図8】本発明の他の実施形態の断面説明図である。
【符号の説明】
【0021】
10、40、60…支持本体部
12,42、62…貫通孔
20、30、45、50、65、70、75…支持部材
21、46、51、66,71、76…抱持枠体
22、47、52、67、72、77…心棒
23,48,53、68、73、78…支持腕部
24…突起部
22p…ストッパーピン
25、49…起立部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持本体部(10)とこれに着脱自在に取り付けられる複数の支持部材(20)とからなり、
支持本体部(10)は、管体、棒状体、チャンネル材等の長尺状体からなり、この支持本体部(10)の長手方向には貫通孔(12)が列設され、
支持部材(20)は、上記支持本体部(10)を外側から抱持する抱持枠体(21)と、この抱持枠体(21)の内側で内向きに延長する心棒(22)と、抱持枠体(21)の外側で外向きに延長する支持腕部(23)とからなり、
支持部材(20)の心棒(22)を支持本体部(10)の貫通孔(12)に挿通させ、抱持枠体(21)が支持本体部(10)を抱持することにより支持部材(20)が支持本体部(10)に結合でき、これにより支持腕部(23)がケーブルや配管等を支持することができるケーブル等用支持具。
【請求項2】
請求項1において、支持部材(20)の心棒(22)が支持本体部(10)の貫通孔(12)から抜脱しないように、心棒(22)の先端部に抜け落ち防止手段を設けたことを特徴とするケーブル等用支持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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