ケーブル運搬設備の制動をシミュレートするシミュレーション方法、その運搬設備の制動を診断する診断方法、及び同運搬設備を制御する制御装置
本発明は、少なくとも1つの制動手段及び駆動手段を備えるケーブル運搬設備の制動をシミュレートするシミュレーション方法に関する。このシミュレーション方法は、制動手段を検査するための少なくとも1つの検査段階を含み、この検査段階は少なくとも、予め定められた制御曲線「F=f(t)」によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により駆動される前記運搬設備に、前記制動手段を使用するステップを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル運搬設備の制動をシミュレートするシミュレーション方法に関し、更に制動手段を診断する診断方法、その診断方法を用いて制動手段を調整する調整方法、及びケーブル運搬設備を制御してそのシミュレーション方法を実行可能にするための制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
安全上の理由で、ケーブル運搬設備を制動する制動手段が定期的に検査されるべきである。なるべく作動状態に近い状態下でこのような検査を実行するために、その制動は、運搬設備が荷積みされている状態において検査されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術にあっては、制動手段において検査作業が実行される前に、運搬設備に底荷を積む構成が知られている。このように底荷を積むことにより、荷積みされている状態で駆動される運搬設備の通常作動をシミュレートすることができる。しかしながら、このように底荷を積むことは、制動手段を検査するための時間及び費用を増加させる取扱い作業を多く必要とするシミュレーション作業である。
【0004】
本発明の目的は、運搬設備の制動をシミュレートする簡単、安価、迅速に実行可能、且つ正確な方法を提案することにより、これらの問題点を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、第1の態様において、本発明は、少なくとも1つの制動手段及び駆動手段を有するケーブル運搬設備の制動をシミュレートするシミュレーション方法において、少なくとも、予め定められた制御曲線「F=f(t)」によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により駆動される前記運搬設備に前記制動手段を使用するステップを備えるシミュレーション方法を提供する。
【0006】
これにより、制動手段が使用された際に続いて作動する駆動手段は、特に運搬設備における負荷の力をシミュレートすることができる。このシミュレーションにより、特に、運搬設備に底荷を積む必要がなく、制動手段を診断することができる。
【0007】
第1の形態において、前記閉ループ制御のために、前記設定信号は、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段の特性を示し、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段によって供給される瞬間的な出力に比例している変数の測定値と比較される。
【0008】
第2の形態において、前記閉ループ制御のために、前記設定信号は、前記ケーブルの速度の測定値と比較される。
本発明の第2の態様において、本発明は、駆動手段を有するケーブル運搬設備の少なくとも1つの制動手段を診断するための診断方法において、前記診断方法は、少なくとも制動手段を検査する検査段階を備え、前記検査段階は、少なくとも、本発明の第1の態様のシミュレーション方法を使用したシミュレーションのためのシミュレーション段階を備え、同検査段階は、荷積みされていない状態で駆動される運搬設備において実行され、検査特性曲線を記録する診断方法を提供する。
【0009】
前記診断段階は、検査特性曲線を予め記録された較正基準曲線と比較する第2ステップを更に備えることが好ましい。
これにより、検査特性曲線を理想曲線或いは予備段階において計測される曲線と比較することにより、制動手段の診断が簡単に実行される。
【0010】
本発明の一変更例において、前記診断方法は、予備較正段階を更に備え、該予備較正段階は少なくとも、荷積みされている状態で運転している設備に前記制動手段が使用される際に、前記較正基準特性曲線を記録するステップと、前記基準特性曲線によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により、荷積みされていない状態で駆動される前記運搬設備に前記制動手段が使用される際に、前記駆動手段制御曲線「F=f(t)」を記録するステップとを備える。
【0011】
本発明の別の変更例において、前記診断方法は、予備較正段階を更に備え、該予備較正段階は少なくとも、前記運搬設備が荷積みされている状態で運転している際に同設備に前記制動手段が使用される際に、前記駆動手段制御曲線「F=f(t)」を記録するステップと、前記制御曲線によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により、荷積みされていない状態で駆動される前記運搬設備に前記制動手段が使用される際に、前記較正基準特性曲線を記録するステップとを備える。
【0012】
前記予備段階は、前記制動手段を調整する第1のステップを更に含むことが好ましい。これにより、本発明の方法は、正確な診断を可能にする。
前記予備段階は、前記較正を確認する確認作業を更に含み、前記確認作業は、前記運搬設備が荷積みされていない状態で運転しており、且つ前記制御曲線「F=f(t)」によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により前記運搬設備が駆動されている際に、前記制動手段を前記設備に使用するとともに、確認特性曲線を記録するステップと、前記確認特性曲線を前記較正基準特性曲線と比較するステップとを備えることが好ましい。
【0013】
これにより、この作業は、較正段階の整合性を図ることができる。
前記制御曲線「F=f(t)」は、そのシミュレーションを較正ステップの減速時間よりも長くするように、定数関数「K=f(t)」に基づいて延びていることが好ましい。
【0014】
前記検査段階は、前記運搬設備が荷積みされていない状態で運転している際に、前記制動手段を同設備に使用するとともに、無負荷特性曲線を記録するステップと、前記無負荷特性曲線を予め記録された無負荷較正基準特性曲線と比較するステップとを備えることが好ましい。
【0015】
前記無負荷較正基準特性曲線は、荷積みされていない状態で運転している前記運搬設備に前記制動手段が使用される際に記録される曲線である。
これにより、本発明の方法は、荷積みされていない状態で運転している運搬設備における制動手段を診断することも可能である。
第1の形態において、前記特性曲線は、前記ケーブルの減速度を示す減速度曲線であり、前記制御曲線「F=f(t)」は、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段の特性を示し、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段により供給される瞬間的な電力に比例する変数を測定することにより記録される。
第2の形態において、前記特性曲線は、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段の特性を示し、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、又は前記駆動手段により供給される瞬間的な電力に比例する変数の測定値を示す曲線であり、前記制御曲線「F=f(t)」は、前記ケーブルの減速度を測定することにより記録される。
この方法は、前記ケーブルによって駆動される少なくとも1つの車輌の位置の索引を使用することが好ましい。これにより、ケーブルにおける同様の負荷分配のために多種の記録が行われることが可能である。
制動手段が空気圧式又は液圧式の手段であるケーブル運搬設備のために、前記検査段階は、前記制動手段の使用の際の圧力変化を示す圧力変化曲線「Pt=f(t)」を記録するステップと、「Pt=f(t)」を予め定められた曲線「Pe=f(t)」と比較するステップとを備えることが好ましい。
前記曲線「Pe=f(t)」は、前記制動手段が使用される際に、前記予備段階において記録される圧力変化曲線である。
【0016】
これにより、これら曲線は、運転偏差値が液圧式或いは空気圧式の制御手段に関連するか否かを判断することができる。
第3の態様において、本発明は、ケーブル運搬設備の少なくとも1つの制動手段を調整するための調整方法において、同調整方法は少なくとも、第2の形態の診断方法を用いることにより、前記制動手段を検査する検査ステップと、減速度曲線「Vec=f(t)」と「Vtc=f(t)」との比較関数として、前記制動手段を調整する調整ステップとを備える。
【0017】
従って、制動手段を正確に調整することができる。
最後に、第4の態様において、本発明は、駆動手段と少なくとも1つの制動手段とを有するケーブル運搬設備を制御する制御装置であって、前記駆動手段を制御する制御手段、前記制動手段を制御する制御手段、及び安全装置を備える制御装置において、前記駆動手段と前記制動手段との同時の作動を許容しない主動位置と、前記同時の作動を許容する受動位置との間で前記安全装置を切替える切替え手段を更に備える制御装置を提供する。
【0018】
同装置は、前記ケーブルの速度を測定する測定手段、データ記録手段、圧力測定手段、前記駆動手段を流れる電流を測定する電流測定手段、及び前記ケーブルによって駆動される少なくとも1つの車輌の位置に索引を付ける位置索引手段を更に備えることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の形態における特性曲線を示し、同曲線は、荷積みされている状態で運転している運搬設備における制動手段の使用の際に記録され、その特性曲線は、ケーブル減速度曲線「Vec=f(t)」である。
【図2】図1の較正基準減速度曲線「Vec=f(t)」、及び減速度曲線「Vec=f(t)」によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される駆動手段により、荷積みされていない状態で駆動される運搬設備における制動手段の使用の際に記録される駆動手段制御曲線「F=f(t)」を示す。
【図3】較正基準減速度曲線「Vec=f(t)」、駆動手段制御曲線「F=f(t)」、及び較正確認作業において記録されるケーブル減速度曲線「Vv=f(t)」を示す。
【図4】図1及び図2の曲線、並びに制動が強すぎる際、正確に調整された際、緩すぎる際の3つの減速度検査曲線「Vtc=f(t)」を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の詳細な説明において、「閉ループ」が使用されており、この閉ループは、出力値が設定値に近づくように同出力値を変化させるために、その設定値を出力値と比較するサーボ制御を意味する。
【0021】
また、以下の説明において、駆動手段の特性を示し、ケーブルに作用される力又は駆動トルクに比例する変数が言及される際に、このような変数は、駆動手段のために選択された給電の種類に基づき、例えば駆動手段に給電するコンバータの変調周波数や、駆動手段に給電するための可変の電圧或いは電流等の電気制御変数であってもよい。この変数は、例えば駆動ケーブルの張力や、駆動手段のトルク等、運搬設備において直接的に検出される機械的変量であってもよい。
【0022】
通常、ケーブル運搬設備は少なくとも2つの停留所によって構成され、これらの停留所の間においては、1つ又は2以上の例えばケーブル車等の車輌をそれらの停留所の一方から他方へ牽引するために、少なくとも1つの移動牽引ケーブルにより、ループが形成されている。それらの車輌は、同車輌を駆動する移動ケーブルから吊されてもよい。代わりに、大容量設備のための一般的な方法のように、それらの車輌は、回動輪を備える懸架アームにより固定ケーブルから吊されてもよく、また、移動牽引ケーブルによって固定ケーブルに沿って駆動されてもよい。
【0023】
駆動手段は、そのケーブルを駆動可能である。例えば、駆動手段は、1つ又は2つ以上の電動モータ、駆動プーリ、並びにクラッチを含み、モータと駆動プーリとの間において運動を伝達する変速機によって構成されている。
【0024】
更に、この運搬設備は、制動手段を備えている。制動手段は、通常、モータへの給電を遮断する1つの電磁制動機、運搬設備の通常制動に用いられる1つ又は2つ以上の常用制動機、及び1つ又は2つ以上の緊急制動機を含んでいる。
【0025】
本発明の一形態では、常用制動機は駆動手段の伝動軸に作用する一方、緊急制動機は駆動プーリに直接的に作用する。
一変更例では、制動手段は、液圧式又は空気圧式の制動機である。例えば、この制動手段は、アクチュエータ等の液圧式又は空気圧式の手段と、同制動手段をその非制動位置に返送可能なスプリング等の機械的返送手段とによって制動開始状態に切替えられる制動手段である。
【0026】
運搬設備は、同設備を制御するための制御装置を更に備えている。この制御装置は、少なくとも駆動手段を制御するための制御手段、及び制動手段を制御するための制御手段を備えている。この制御装置は、駆動可能な位置においてその制動手段が駆動されるとすぐに駆動手段への給電を遮断可能な安全装置を更に備えることが好ましい。本発明に係る方法は、駆動手段が制動手段と同時に動作しなければならないステップを含んでいる。そのため、この運搬設備の制御装置は、安全装置をその主動位置と、駆動手段と制動手段とが同時に作動することを許容する受動位置との間で切替える切替え装置を含んでいる。
【0027】
この制御装置は、診断装置を更に備えている。この診断装置は、駆動手段及び制動手段に連結されたデータ記録手段を備えており、ケーブルの速度を検出するための検出手段、駆動手段の特性を示す変数を検出する検出手段、車輌の位置に索引を付ける索引付与手段、及び制動手段における圧力を検出するための検出手段から情報を取込む。
【0028】
一形態では、駆動手段の特性を示す変数は、その駆動手段を流れる電流である。
一変形例では、制御装置及び診断装置は、コンソール及び自動論理制御機によって構成されている。なお、本発明はこの実施形態に限らないことに注目すべきである。任意の適切なコンピュータ科学技術或いは電子制御装置が使用されることが可能である。
【0029】
本発明の好ましい形態では、制動手段を診断するための診断方法は、運搬設備を使い始めることができる、即ちこの運搬設備を試運転することができる予備較正段階を備えている。
【0030】
この較正段階において、その運搬設備の制動手段は、規制設定状態に事前調整される。
この較正段階は、第1ステップを含み、この第1ステップにおいては、荷積みされている状態で作動する運搬設備に制動手段が使用され、較正基準特性曲線が記録される。図示の実施形態において、較正基準特性曲線は、ケーブル減速度曲線「Vec=f(t)」である(図1に示される「1」参照)。
【0031】
このステップにおいて、制動手段が使用された際に、駆動手段が停止されることに注目すべきである。
制動手段が空気圧式又は液圧式のものである場合には、このステップにおいて、制動手段が運搬設備に使用される際に制動手段における圧力の変化を示す圧力変化曲線「Pe=f(t)」を記録することも可能である。
【0032】
第2ステップにおいて、制動手段は、荷積みされていない状態で駆動手段によって駆動される運搬設備に使用され、その駆動手段は、上述の較正基準特性曲線、即ち図示の減速度曲線「Vec=f(t)」によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される。閉ループ制御装置は、ケーブルの実際の減速度を設定減速度「Vec=f(t)」と比較し、設定減速度に対応する実際の減速度が得られるように駆動手段を作動させる。このステップにおいて、駆動手段制御曲線「F=f(t)」(図2に示される「2」参照)が記録される。
【0033】
図2に示される第1実施形態において、制御曲線2は、駆動手段を流れる電流強度の変化に対応する。なお、上述の制御曲線は、ケーブルにおいて駆動手段により発生する力、或いは駆動トルク、或いは駆動手段によって供給される瞬間的な電力に関連する任意の変数を検出することにより得られることにも注目すべきである。
【0034】
このように、較正段階は、駆動手段の制御のための制御曲線「F=f(t)」(「2」参照)を得ることができ、該制御曲線は、荷積みされていない状態で運転している運搬設備に制動手段が使用された際に負荷の力をシミュレートすることを可能にすることに注目すべきである。
【0035】
更に、制御曲線F=f(t)は、定数関数「K=f(t)」(「7」参照)に基づいて延びていることに注目すべきである。この定数関数は、第2減速ステップにおいてケーブルが減速するための時間よりも長い時間にその負荷をシミュレートすることを可能にすることに注目すべきである。
【0036】
更に、上述の第2ステップにおいて、圧力変位曲線「Pe1=f(t)」を記録してこれが予め記録された曲線「Pe=f(t)」に対応することを確認することも可能である。
【0037】
制御曲線「F=f(t)」(「2」参照)によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される駆動手段により、荷積みされていない状態で駆動される運搬設備に制動手段が使用される際に、確認特性曲線を記録することにより、その較正を確認することが望ましい。図示の実施形態では、確認特性曲線は、ケーブル減速曲線「Vv=f(t)」(「6」参照)に対応している。この確認の間に、確認特性曲線(図3)が測定され、選択的に、圧力曲線「Pe2=f(t)」が測定されてもよい。この確認特性曲線が較正基準特性曲線と一致するときに、その較正を有効にすることができる。本発明の一実施形態において、圧力曲線「Pe=f(t)」と「Pe2=f(t)」との一致についても確認する。
【0038】
この診断方法は、少なくとも制動手段を検査するための1つの検査ステップを含んでいる。特に、この検査ステップは、規定調整設定に適合する制動の調整を確認するために予め実行されることが可能である。
【0039】
この検査ステップの間に、荷積みされていない状態で運転される運搬設備において、荷積みされている状態で運転される運搬設備において実行される制動をシミュレートするシミュレーション作動が実行される。この目的のために、制動手段は、予め記録された制御曲線「F=f(t)」によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される駆動手段により、荷積みされていない状態で駆動される運搬設備に使用される。そのため、このステップにおいて、その駆動手段が負荷の力をシミュレートするとともに、検査特性曲線が記録される。
【0040】
図4に示される実施形態において、ケーブル減速曲線「Vtc=f(t)」(「3」、「4」、「5」参照)によって構成された3つの検査特性曲線が示されている。
制動の調整が適合するか否かを判断するために、ケーブル減速曲線「Vtc=f(t)」(「3」、「4」、「5」参照)が較正基準特性曲線「Vec=f(t)」と比較される。
【0041】
図4において、第1の曲線「3」は、較正基準曲線「Vec=f(t)」よりも急な勾配を有し、制動が強すぎる状態を示している。第2の曲線「4」は、較正基準曲線「Vec=f(t)」と同じ勾配を有し、制動が正確に調整されている状態を示している。最後に、第3の曲線「5」は、較正基準曲線「Vec=f(t)」によりも緩い勾配を有し、制動が緩すぎる状態を示している。曲線「Vec=f(t)」及び「Vtc=f(t)」の比較関数に基づきその制動手段を正確な設定に調整することができる。
【0042】
その検査段階は制動手段における圧力曲線「Pt=f(t)」を記録するための記録ステップを更に含むことが好ましい。この圧力曲線「Pt=f(t)」は、較正基準圧力曲線「Pe=f(t)」と比較される。これにより、曲線「Vec=f(t)」と「Vtc=f(t)」との間の偏差値が液圧式或いは空気圧式の制御手段に関連するか否かを判断することにより、制動手段の診断を深くすることができる。
【0043】
本発明の一実施形態において、診断手段は、荷積みされていない状態で運転している運搬設備において制動手段の予備検査を更に含んでもよい。そのために、較正基準特性曲線は、予備較正段階において荷積みされていない状態で運転している運搬設備に制動手段が使用される際に記録される。図示される実施形態において、無負荷基準特性曲線は、減速曲線「Vev=f(t)」である。そして、検査段階において、荷積みされていない状態で運転している運搬設備に制動手段が使用される際に、特性曲線が記録される。なお、本実施例において、その特性曲線は、減速曲線「Vtv=f(t)」である。制動手段の任意の不正確な調整を検出するために、特性曲線「Vev=f(t)」と「Vtv=f(t)」とが比較される。
【0044】
第2の実施形態(図示せず)において、特性曲線は、ケーブルに作用される力、或いは駆動トルク、或いは駆動手段の特性を示し、ケーブルに作用される力又は駆動トルクに比例する変数の測定値を示す測定曲線であってもよい。この場合、その制御曲線は、ケーブルの減速を示す減速曲線に対応する。なお、この実施形態において、較正基準曲線と検査特性曲線との比較の解釈は、相対的に難しいことに注目すべきである。
【0045】
この場合は、較正段階の間に、荷積みされている状態で運転している運搬設備に制動手段が使用されている際に、駆動手段制御曲線「F=f(t)」が記録されることに注目すべきである。そして、第2のステップの間に、予め記録された制御曲線によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される駆動手段により、荷積みされていない状態で駆動される運搬設備に制動手段が使用される際に、基準特性曲線が記録される。
【0046】
本発明の診断方法は、例えば電磁制動機、緊急制動機、又は常用制動機等、運搬設備の多種の制動手段の調整を検査できる構成を採用することが望ましい。この目的のために、その方法は、各種の制動手段のために、減速曲線「Vec=f(t)」,「Vtc=f(t)」,「Vv=f(t)」,「Vev=f(t)」及び「Vtv=f(t)」(「1」,「3」,「4」,「5」及び「6」参照)、並びに駆動手段制御曲線「F=f(t)」(「2」参照)を記録する。そのため、各制動手段の調整は、各別に検査されることが可能である。
【0047】
制動手段の正確な診断を行うためには、制動手段の全ての、本方法要求の応用がケーブルにおいて略同じの負荷配分で実行されるように、ケーブルにおける車輌の位置が正確に索引されることが好ましい。
【0048】
更に、検査される制動手段が「アール・オア・ナッシング」(all−or−nothing)モードで作動しない場合には、制動手段が診断方法のコンテキストにおける同一のレベルに使用されるべきであることに注意すべきである。
【0049】
制動手段は、ケーブルの減速度の関数に基づき力を調整することにより制御される手段である場合には、制動手段を診断する方法を実行する前に、その調整を一時中断することが必要となる。
【0050】
なお、本発明のシミュレーション方法は、ケーブルの減速度の関数に基づき力の調整を診断することもできる。減速度曲線である制御曲線「F=f(t)」によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて駆動手段が制御される際に、較正段階において記録された制御曲線「Fe=f(t)」に関連して制御曲線「F=f(t)」を変化させるとともに、調整装置の応答を監視することにより、調整装置を検査することが可能である。
【0051】
上述の診断方法を確認できる数学上の証明は、以下のとおりである。
予備段階において、制動手段が荷積みされていない状態で運転している運搬設備に使用されるとともに、「Vec=f(t)」が記録された際に、以下の関係が得られる。
【0052】
Fc+Ffe=Mc*αec (a)
Fc :荷積みされている状態下で運転している運搬設備における負荷により発生した力
Ffe :較正基準制動力
M :ケーブル及び車輌の質量
α :ケーブルの加速度
同様に、荷積みされていない状態で運転している運搬設備に制動手段が使用された際に、以下の関係が得られる。
【0053】
Fv+Ffe=Mv*αv (b)
Fv :荷積みされていない運搬設備の負荷により発生した力
予備較正段階において、駆動手段が、設定信号としての減速度曲線「Vec=f(t)」(「1」参照)に基づいて制御される際に、以下の関係が得られる。
【0054】
Fmot+Fv+Ffe=Mv*αec (c)
或いは、Fmot=Mv*αec−Fv−Ffe (c’)
Fmot :モータにより発生した力
最後に、検査段階において、駆動手段が制御曲線「F=f(t)」(「2」参照)に基づいて制御されるとともに、曲線「Vtc=f(t)」(「3」,「4」,「5」参照)が測定された際に、以下の関係が得られる。
【0055】
Fmot+Fv−Fft=Mv*αtc (d)
関係「c’」の「Fmot」を置換えることにより、以下の関係が得られる。
【0056】
Mv*αec−Fv−Ffe−Fv−Fft=Mv*αtc
Mv*αec−Ffe−Fft=Mv*αtc
従って、曲線「Vec=f(t)」と「Vtc=f(t)」とが同様である場合、「αec=αtc」となる。その結果、検査された制動手段の制動力は、制動手段の較正基準制動力と等しくなる(Fft=Ffe)。従って、この場合、制動手段が正確に調整される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル運搬設備の制動をシミュレートするシミュレーション方法に関し、更に制動手段を診断する診断方法、その診断方法を用いて制動手段を調整する調整方法、及びケーブル運搬設備を制御してそのシミュレーション方法を実行可能にするための制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
安全上の理由で、ケーブル運搬設備を制動する制動手段が定期的に検査されるべきである。なるべく作動状態に近い状態下でこのような検査を実行するために、その制動は、運搬設備が荷積みされている状態において検査されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術にあっては、制動手段において検査作業が実行される前に、運搬設備に底荷を積む構成が知られている。このように底荷を積むことにより、荷積みされている状態で駆動される運搬設備の通常作動をシミュレートすることができる。しかしながら、このように底荷を積むことは、制動手段を検査するための時間及び費用を増加させる取扱い作業を多く必要とするシミュレーション作業である。
【0004】
本発明の目的は、運搬設備の制動をシミュレートする簡単、安価、迅速に実行可能、且つ正確な方法を提案することにより、これらの問題点を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、第1の態様において、本発明は、少なくとも1つの制動手段及び駆動手段を有するケーブル運搬設備の制動をシミュレートするシミュレーション方法において、少なくとも、予め定められた制御曲線「F=f(t)」によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により駆動される前記運搬設備に前記制動手段を使用するステップを備えるシミュレーション方法を提供する。
【0006】
これにより、制動手段が使用された際に続いて作動する駆動手段は、特に運搬設備における負荷の力をシミュレートすることができる。このシミュレーションにより、特に、運搬設備に底荷を積む必要がなく、制動手段を診断することができる。
【0007】
第1の形態において、前記閉ループ制御のために、前記設定信号は、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段の特性を示し、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段によって供給される瞬間的な出力に比例している変数の測定値と比較される。
【0008】
第2の形態において、前記閉ループ制御のために、前記設定信号は、前記ケーブルの速度の測定値と比較される。
本発明の第2の態様において、本発明は、駆動手段を有するケーブル運搬設備の少なくとも1つの制動手段を診断するための診断方法において、前記診断方法は、少なくとも制動手段を検査する検査段階を備え、前記検査段階は、少なくとも、本発明の第1の態様のシミュレーション方法を使用したシミュレーションのためのシミュレーション段階を備え、同検査段階は、荷積みされていない状態で駆動される運搬設備において実行され、検査特性曲線を記録する診断方法を提供する。
【0009】
前記診断段階は、検査特性曲線を予め記録された較正基準曲線と比較する第2ステップを更に備えることが好ましい。
これにより、検査特性曲線を理想曲線或いは予備段階において計測される曲線と比較することにより、制動手段の診断が簡単に実行される。
【0010】
本発明の一変更例において、前記診断方法は、予備較正段階を更に備え、該予備較正段階は少なくとも、荷積みされている状態で運転している設備に前記制動手段が使用される際に、前記較正基準特性曲線を記録するステップと、前記基準特性曲線によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により、荷積みされていない状態で駆動される前記運搬設備に前記制動手段が使用される際に、前記駆動手段制御曲線「F=f(t)」を記録するステップとを備える。
【0011】
本発明の別の変更例において、前記診断方法は、予備較正段階を更に備え、該予備較正段階は少なくとも、前記運搬設備が荷積みされている状態で運転している際に同設備に前記制動手段が使用される際に、前記駆動手段制御曲線「F=f(t)」を記録するステップと、前記制御曲線によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により、荷積みされていない状態で駆動される前記運搬設備に前記制動手段が使用される際に、前記較正基準特性曲線を記録するステップとを備える。
【0012】
前記予備段階は、前記制動手段を調整する第1のステップを更に含むことが好ましい。これにより、本発明の方法は、正確な診断を可能にする。
前記予備段階は、前記較正を確認する確認作業を更に含み、前記確認作業は、前記運搬設備が荷積みされていない状態で運転しており、且つ前記制御曲線「F=f(t)」によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により前記運搬設備が駆動されている際に、前記制動手段を前記設備に使用するとともに、確認特性曲線を記録するステップと、前記確認特性曲線を前記較正基準特性曲線と比較するステップとを備えることが好ましい。
【0013】
これにより、この作業は、較正段階の整合性を図ることができる。
前記制御曲線「F=f(t)」は、そのシミュレーションを較正ステップの減速時間よりも長くするように、定数関数「K=f(t)」に基づいて延びていることが好ましい。
【0014】
前記検査段階は、前記運搬設備が荷積みされていない状態で運転している際に、前記制動手段を同設備に使用するとともに、無負荷特性曲線を記録するステップと、前記無負荷特性曲線を予め記録された無負荷較正基準特性曲線と比較するステップとを備えることが好ましい。
【0015】
前記無負荷較正基準特性曲線は、荷積みされていない状態で運転している前記運搬設備に前記制動手段が使用される際に記録される曲線である。
これにより、本発明の方法は、荷積みされていない状態で運転している運搬設備における制動手段を診断することも可能である。
第1の形態において、前記特性曲線は、前記ケーブルの減速度を示す減速度曲線であり、前記制御曲線「F=f(t)」は、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段の特性を示し、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段により供給される瞬間的な電力に比例する変数を測定することにより記録される。
第2の形態において、前記特性曲線は、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段の特性を示し、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、又は前記駆動手段により供給される瞬間的な電力に比例する変数の測定値を示す曲線であり、前記制御曲線「F=f(t)」は、前記ケーブルの減速度を測定することにより記録される。
この方法は、前記ケーブルによって駆動される少なくとも1つの車輌の位置の索引を使用することが好ましい。これにより、ケーブルにおける同様の負荷分配のために多種の記録が行われることが可能である。
制動手段が空気圧式又は液圧式の手段であるケーブル運搬設備のために、前記検査段階は、前記制動手段の使用の際の圧力変化を示す圧力変化曲線「Pt=f(t)」を記録するステップと、「Pt=f(t)」を予め定められた曲線「Pe=f(t)」と比較するステップとを備えることが好ましい。
前記曲線「Pe=f(t)」は、前記制動手段が使用される際に、前記予備段階において記録される圧力変化曲線である。
【0016】
これにより、これら曲線は、運転偏差値が液圧式或いは空気圧式の制御手段に関連するか否かを判断することができる。
第3の態様において、本発明は、ケーブル運搬設備の少なくとも1つの制動手段を調整するための調整方法において、同調整方法は少なくとも、第2の形態の診断方法を用いることにより、前記制動手段を検査する検査ステップと、減速度曲線「Vec=f(t)」と「Vtc=f(t)」との比較関数として、前記制動手段を調整する調整ステップとを備える。
【0017】
従って、制動手段を正確に調整することができる。
最後に、第4の態様において、本発明は、駆動手段と少なくとも1つの制動手段とを有するケーブル運搬設備を制御する制御装置であって、前記駆動手段を制御する制御手段、前記制動手段を制御する制御手段、及び安全装置を備える制御装置において、前記駆動手段と前記制動手段との同時の作動を許容しない主動位置と、前記同時の作動を許容する受動位置との間で前記安全装置を切替える切替え手段を更に備える制御装置を提供する。
【0018】
同装置は、前記ケーブルの速度を測定する測定手段、データ記録手段、圧力測定手段、前記駆動手段を流れる電流を測定する電流測定手段、及び前記ケーブルによって駆動される少なくとも1つの車輌の位置に索引を付ける位置索引手段を更に備えることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の形態における特性曲線を示し、同曲線は、荷積みされている状態で運転している運搬設備における制動手段の使用の際に記録され、その特性曲線は、ケーブル減速度曲線「Vec=f(t)」である。
【図2】図1の較正基準減速度曲線「Vec=f(t)」、及び減速度曲線「Vec=f(t)」によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される駆動手段により、荷積みされていない状態で駆動される運搬設備における制動手段の使用の際に記録される駆動手段制御曲線「F=f(t)」を示す。
【図3】較正基準減速度曲線「Vec=f(t)」、駆動手段制御曲線「F=f(t)」、及び較正確認作業において記録されるケーブル減速度曲線「Vv=f(t)」を示す。
【図4】図1及び図2の曲線、並びに制動が強すぎる際、正確に調整された際、緩すぎる際の3つの減速度検査曲線「Vtc=f(t)」を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の詳細な説明において、「閉ループ」が使用されており、この閉ループは、出力値が設定値に近づくように同出力値を変化させるために、その設定値を出力値と比較するサーボ制御を意味する。
【0021】
また、以下の説明において、駆動手段の特性を示し、ケーブルに作用される力又は駆動トルクに比例する変数が言及される際に、このような変数は、駆動手段のために選択された給電の種類に基づき、例えば駆動手段に給電するコンバータの変調周波数や、駆動手段に給電するための可変の電圧或いは電流等の電気制御変数であってもよい。この変数は、例えば駆動ケーブルの張力や、駆動手段のトルク等、運搬設備において直接的に検出される機械的変量であってもよい。
【0022】
通常、ケーブル運搬設備は少なくとも2つの停留所によって構成され、これらの停留所の間においては、1つ又は2以上の例えばケーブル車等の車輌をそれらの停留所の一方から他方へ牽引するために、少なくとも1つの移動牽引ケーブルにより、ループが形成されている。それらの車輌は、同車輌を駆動する移動ケーブルから吊されてもよい。代わりに、大容量設備のための一般的な方法のように、それらの車輌は、回動輪を備える懸架アームにより固定ケーブルから吊されてもよく、また、移動牽引ケーブルによって固定ケーブルに沿って駆動されてもよい。
【0023】
駆動手段は、そのケーブルを駆動可能である。例えば、駆動手段は、1つ又は2つ以上の電動モータ、駆動プーリ、並びにクラッチを含み、モータと駆動プーリとの間において運動を伝達する変速機によって構成されている。
【0024】
更に、この運搬設備は、制動手段を備えている。制動手段は、通常、モータへの給電を遮断する1つの電磁制動機、運搬設備の通常制動に用いられる1つ又は2つ以上の常用制動機、及び1つ又は2つ以上の緊急制動機を含んでいる。
【0025】
本発明の一形態では、常用制動機は駆動手段の伝動軸に作用する一方、緊急制動機は駆動プーリに直接的に作用する。
一変更例では、制動手段は、液圧式又は空気圧式の制動機である。例えば、この制動手段は、アクチュエータ等の液圧式又は空気圧式の手段と、同制動手段をその非制動位置に返送可能なスプリング等の機械的返送手段とによって制動開始状態に切替えられる制動手段である。
【0026】
運搬設備は、同設備を制御するための制御装置を更に備えている。この制御装置は、少なくとも駆動手段を制御するための制御手段、及び制動手段を制御するための制御手段を備えている。この制御装置は、駆動可能な位置においてその制動手段が駆動されるとすぐに駆動手段への給電を遮断可能な安全装置を更に備えることが好ましい。本発明に係る方法は、駆動手段が制動手段と同時に動作しなければならないステップを含んでいる。そのため、この運搬設備の制御装置は、安全装置をその主動位置と、駆動手段と制動手段とが同時に作動することを許容する受動位置との間で切替える切替え装置を含んでいる。
【0027】
この制御装置は、診断装置を更に備えている。この診断装置は、駆動手段及び制動手段に連結されたデータ記録手段を備えており、ケーブルの速度を検出するための検出手段、駆動手段の特性を示す変数を検出する検出手段、車輌の位置に索引を付ける索引付与手段、及び制動手段における圧力を検出するための検出手段から情報を取込む。
【0028】
一形態では、駆動手段の特性を示す変数は、その駆動手段を流れる電流である。
一変形例では、制御装置及び診断装置は、コンソール及び自動論理制御機によって構成されている。なお、本発明はこの実施形態に限らないことに注目すべきである。任意の適切なコンピュータ科学技術或いは電子制御装置が使用されることが可能である。
【0029】
本発明の好ましい形態では、制動手段を診断するための診断方法は、運搬設備を使い始めることができる、即ちこの運搬設備を試運転することができる予備較正段階を備えている。
【0030】
この較正段階において、その運搬設備の制動手段は、規制設定状態に事前調整される。
この較正段階は、第1ステップを含み、この第1ステップにおいては、荷積みされている状態で作動する運搬設備に制動手段が使用され、較正基準特性曲線が記録される。図示の実施形態において、較正基準特性曲線は、ケーブル減速度曲線「Vec=f(t)」である(図1に示される「1」参照)。
【0031】
このステップにおいて、制動手段が使用された際に、駆動手段が停止されることに注目すべきである。
制動手段が空気圧式又は液圧式のものである場合には、このステップにおいて、制動手段が運搬設備に使用される際に制動手段における圧力の変化を示す圧力変化曲線「Pe=f(t)」を記録することも可能である。
【0032】
第2ステップにおいて、制動手段は、荷積みされていない状態で駆動手段によって駆動される運搬設備に使用され、その駆動手段は、上述の較正基準特性曲線、即ち図示の減速度曲線「Vec=f(t)」によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される。閉ループ制御装置は、ケーブルの実際の減速度を設定減速度「Vec=f(t)」と比較し、設定減速度に対応する実際の減速度が得られるように駆動手段を作動させる。このステップにおいて、駆動手段制御曲線「F=f(t)」(図2に示される「2」参照)が記録される。
【0033】
図2に示される第1実施形態において、制御曲線2は、駆動手段を流れる電流強度の変化に対応する。なお、上述の制御曲線は、ケーブルにおいて駆動手段により発生する力、或いは駆動トルク、或いは駆動手段によって供給される瞬間的な電力に関連する任意の変数を検出することにより得られることにも注目すべきである。
【0034】
このように、較正段階は、駆動手段の制御のための制御曲線「F=f(t)」(「2」参照)を得ることができ、該制御曲線は、荷積みされていない状態で運転している運搬設備に制動手段が使用された際に負荷の力をシミュレートすることを可能にすることに注目すべきである。
【0035】
更に、制御曲線F=f(t)は、定数関数「K=f(t)」(「7」参照)に基づいて延びていることに注目すべきである。この定数関数は、第2減速ステップにおいてケーブルが減速するための時間よりも長い時間にその負荷をシミュレートすることを可能にすることに注目すべきである。
【0036】
更に、上述の第2ステップにおいて、圧力変位曲線「Pe1=f(t)」を記録してこれが予め記録された曲線「Pe=f(t)」に対応することを確認することも可能である。
【0037】
制御曲線「F=f(t)」(「2」参照)によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される駆動手段により、荷積みされていない状態で駆動される運搬設備に制動手段が使用される際に、確認特性曲線を記録することにより、その較正を確認することが望ましい。図示の実施形態では、確認特性曲線は、ケーブル減速曲線「Vv=f(t)」(「6」参照)に対応している。この確認の間に、確認特性曲線(図3)が測定され、選択的に、圧力曲線「Pe2=f(t)」が測定されてもよい。この確認特性曲線が較正基準特性曲線と一致するときに、その較正を有効にすることができる。本発明の一実施形態において、圧力曲線「Pe=f(t)」と「Pe2=f(t)」との一致についても確認する。
【0038】
この診断方法は、少なくとも制動手段を検査するための1つの検査ステップを含んでいる。特に、この検査ステップは、規定調整設定に適合する制動の調整を確認するために予め実行されることが可能である。
【0039】
この検査ステップの間に、荷積みされていない状態で運転される運搬設備において、荷積みされている状態で運転される運搬設備において実行される制動をシミュレートするシミュレーション作動が実行される。この目的のために、制動手段は、予め記録された制御曲線「F=f(t)」によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される駆動手段により、荷積みされていない状態で駆動される運搬設備に使用される。そのため、このステップにおいて、その駆動手段が負荷の力をシミュレートするとともに、検査特性曲線が記録される。
【0040】
図4に示される実施形態において、ケーブル減速曲線「Vtc=f(t)」(「3」、「4」、「5」参照)によって構成された3つの検査特性曲線が示されている。
制動の調整が適合するか否かを判断するために、ケーブル減速曲線「Vtc=f(t)」(「3」、「4」、「5」参照)が較正基準特性曲線「Vec=f(t)」と比較される。
【0041】
図4において、第1の曲線「3」は、較正基準曲線「Vec=f(t)」よりも急な勾配を有し、制動が強すぎる状態を示している。第2の曲線「4」は、較正基準曲線「Vec=f(t)」と同じ勾配を有し、制動が正確に調整されている状態を示している。最後に、第3の曲線「5」は、較正基準曲線「Vec=f(t)」によりも緩い勾配を有し、制動が緩すぎる状態を示している。曲線「Vec=f(t)」及び「Vtc=f(t)」の比較関数に基づきその制動手段を正確な設定に調整することができる。
【0042】
その検査段階は制動手段における圧力曲線「Pt=f(t)」を記録するための記録ステップを更に含むことが好ましい。この圧力曲線「Pt=f(t)」は、較正基準圧力曲線「Pe=f(t)」と比較される。これにより、曲線「Vec=f(t)」と「Vtc=f(t)」との間の偏差値が液圧式或いは空気圧式の制御手段に関連するか否かを判断することにより、制動手段の診断を深くすることができる。
【0043】
本発明の一実施形態において、診断手段は、荷積みされていない状態で運転している運搬設備において制動手段の予備検査を更に含んでもよい。そのために、較正基準特性曲線は、予備較正段階において荷積みされていない状態で運転している運搬設備に制動手段が使用される際に記録される。図示される実施形態において、無負荷基準特性曲線は、減速曲線「Vev=f(t)」である。そして、検査段階において、荷積みされていない状態で運転している運搬設備に制動手段が使用される際に、特性曲線が記録される。なお、本実施例において、その特性曲線は、減速曲線「Vtv=f(t)」である。制動手段の任意の不正確な調整を検出するために、特性曲線「Vev=f(t)」と「Vtv=f(t)」とが比較される。
【0044】
第2の実施形態(図示せず)において、特性曲線は、ケーブルに作用される力、或いは駆動トルク、或いは駆動手段の特性を示し、ケーブルに作用される力又は駆動トルクに比例する変数の測定値を示す測定曲線であってもよい。この場合、その制御曲線は、ケーブルの減速を示す減速曲線に対応する。なお、この実施形態において、較正基準曲線と検査特性曲線との比較の解釈は、相対的に難しいことに注目すべきである。
【0045】
この場合は、較正段階の間に、荷積みされている状態で運転している運搬設備に制動手段が使用されている際に、駆動手段制御曲線「F=f(t)」が記録されることに注目すべきである。そして、第2のステップの間に、予め記録された制御曲線によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される駆動手段により、荷積みされていない状態で駆動される運搬設備に制動手段が使用される際に、基準特性曲線が記録される。
【0046】
本発明の診断方法は、例えば電磁制動機、緊急制動機、又は常用制動機等、運搬設備の多種の制動手段の調整を検査できる構成を採用することが望ましい。この目的のために、その方法は、各種の制動手段のために、減速曲線「Vec=f(t)」,「Vtc=f(t)」,「Vv=f(t)」,「Vev=f(t)」及び「Vtv=f(t)」(「1」,「3」,「4」,「5」及び「6」参照)、並びに駆動手段制御曲線「F=f(t)」(「2」参照)を記録する。そのため、各制動手段の調整は、各別に検査されることが可能である。
【0047】
制動手段の正確な診断を行うためには、制動手段の全ての、本方法要求の応用がケーブルにおいて略同じの負荷配分で実行されるように、ケーブルにおける車輌の位置が正確に索引されることが好ましい。
【0048】
更に、検査される制動手段が「アール・オア・ナッシング」(all−or−nothing)モードで作動しない場合には、制動手段が診断方法のコンテキストにおける同一のレベルに使用されるべきであることに注意すべきである。
【0049】
制動手段は、ケーブルの減速度の関数に基づき力を調整することにより制御される手段である場合には、制動手段を診断する方法を実行する前に、その調整を一時中断することが必要となる。
【0050】
なお、本発明のシミュレーション方法は、ケーブルの減速度の関数に基づき力の調整を診断することもできる。減速度曲線である制御曲線「F=f(t)」によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて駆動手段が制御される際に、較正段階において記録された制御曲線「Fe=f(t)」に関連して制御曲線「F=f(t)」を変化させるとともに、調整装置の応答を監視することにより、調整装置を検査することが可能である。
【0051】
上述の診断方法を確認できる数学上の証明は、以下のとおりである。
予備段階において、制動手段が荷積みされていない状態で運転している運搬設備に使用されるとともに、「Vec=f(t)」が記録された際に、以下の関係が得られる。
【0052】
Fc+Ffe=Mc*αec (a)
Fc :荷積みされている状態下で運転している運搬設備における負荷により発生した力
Ffe :較正基準制動力
M :ケーブル及び車輌の質量
α :ケーブルの加速度
同様に、荷積みされていない状態で運転している運搬設備に制動手段が使用された際に、以下の関係が得られる。
【0053】
Fv+Ffe=Mv*αv (b)
Fv :荷積みされていない運搬設備の負荷により発生した力
予備較正段階において、駆動手段が、設定信号としての減速度曲線「Vec=f(t)」(「1」参照)に基づいて制御される際に、以下の関係が得られる。
【0054】
Fmot+Fv+Ffe=Mv*αec (c)
或いは、Fmot=Mv*αec−Fv−Ffe (c’)
Fmot :モータにより発生した力
最後に、検査段階において、駆動手段が制御曲線「F=f(t)」(「2」参照)に基づいて制御されるとともに、曲線「Vtc=f(t)」(「3」,「4」,「5」参照)が測定された際に、以下の関係が得られる。
【0055】
Fmot+Fv−Fft=Mv*αtc (d)
関係「c’」の「Fmot」を置換えることにより、以下の関係が得られる。
【0056】
Mv*αec−Fv−Ffe−Fv−Fft=Mv*αtc
Mv*αec−Ffe−Fft=Mv*αtc
従って、曲線「Vec=f(t)」と「Vtc=f(t)」とが同様である場合、「αec=αtc」となる。その結果、検査された制動手段の制動力は、制動手段の較正基準制動力と等しくなる(Fft=Ffe)。従って、この場合、制動手段が正確に調整される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの制動手段及び駆動手段を有するケーブル運搬設備の制動をシミュレートするシミュレーション方法において、
前記シミュレーション方法は、少なくとも、予め定められた制御曲線「F=f(t)」(2)によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により駆動される前記運搬設備に、前記制動手段を使用するステップを備える
ことを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項2】
請求項1に記載のシミュレーション方法において、
前記閉ループ制御のために、前記設定信号は、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段の特性を示し、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段によって供給される瞬間的な出力に比例する変数の測定値と比較される
ことを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項3】
請求項1に記載のシミュレーション方法において、
前記閉ループ制御のために、前記設定信号は、前記ケーブルの速度の測定値と比較される
ことを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項4】
駆動手段を有するケーブル運搬設備の少なくとも1つの制動手段を診断するための診断方法において、
前記診断方法は、少なくとも制動手段を検査する検査段階を備え、
前記検査段階は、少なくとも、請求項1〜3の何れか一項に記載のシミュレーション方法を使用したシミュレーションのためのシミュレーション段階を備え、
同検査段階は、荷積みされていない状態で駆動される運搬設備において実行され、検査特性曲線(4,5,6)を記録する
ことを特徴とする診断方法。
【請求項5】
請求項4に記載の診断方法において、
前記診断段階は、検査特性曲線(4,5,6)を予め記録された較正基準曲線(1)と比較する第2ステップを更に備える
ことを特徴とする診断方法。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の診断方法において、
前記診断方法は、予備較正段階を更に備え、
該予備較正段階は少なくとも、
荷積みされている状態で運転している設備に前記制動手段が使用される際に、前記較正基準特性曲線(1)を記録するステップと、
前記基準特性曲線(1)によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により、荷積みされていない状態で駆動される前記運搬設備に前記制動手段が使用される際に、前記駆動手段制御曲線「F=f(t)」(2)を記録するステップとを備える
ことを特徴とする診断方法。
【請求項7】
請求項4又は請求項5に記載の診断方法において、
前記診断方法は、予備較正段階を更に備え、
該予備較正段階は少なくとも、
前記運搬設備が荷積みされている状態で運転している際に同設備に前記制動手段が使用される際に、前記駆動手段制御曲線「F=f(t)」(1)を記録するステップと、
前記制御曲線(1)によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により、荷積みされていない状態で駆動される前記運搬設備に前記制動手段が使用される際に、前記較正基準特性曲線(2)を記録するステップとを備える
ことを特徴とする診断方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の診断方法において、
前記予備段階は、前記制動手段を調整する第1のステップを更に含む
ことを特徴とする診断方法。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の診断方法において、
前記予備段階は、前記較正を確認する確認作業を更に含み、
前記確認作業は、
前記運搬設備が荷積みされていない状態で運転しており、且つ前記制御曲線「F=f(t)」(2)によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により前記運搬設備が駆動されている際に、前記制動手段を前記設備に使用するとともに、確認特性曲線(6)を記録するステップと、
前記確認特性曲線を前記較正基準特性曲線と比較するステップとを備える
ことを特徴とする診断方法。
【請求項10】
請求項4〜9の何れか一項に記載の診断方法において、
前記検査段階は、
前記運搬設備が荷積みされていない状態で運転している際に、前記制動手段を同設備に使用するとともに、無負荷特性曲線を記録するステップと、
前記無負荷特性曲線を予め記録された無負荷較正基準特性曲線と比較するステップとを備える
ことを特徴とする診断方法。
【請求項11】
請求項10に記載の診断方法において、
前記無負荷較正基準特性曲線は、荷積みされていない状態で運転している前記運搬設備に前記制動手段が使用される際に記録される曲線である
ことを特徴とする診断方法。
【請求項12】
請求項4〜11の何れか一項に記載の診断方法において、
前記特性曲線は、前記ケーブルの減速度を示す減速度曲線である
ことを特徴とする診断方法。
【請求項13】
請求項12に記載の診断方法において、
前記制御曲線「F=f(t)」(2)は、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段の特性を示し、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段により供給される瞬間的な電力に比例する変数を測定することにより記録される
ことを特徴とする診断方法。
【請求項14】
請求項4〜11の何れか一項に記載の診断方法において、
前記特性曲線は、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段の特性を示し、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、又は前記駆動手段により供給される瞬間的な電力に比例する変数の測定値を示す曲線である
ことを特徴とする診断方法。
【請求項15】
請求項14に記載の診断方法において、
前記制御曲線「F=f(t)」は、前記ケーブルの減速度を測定することにより記録される
ことを特徴とする診断方法。
【請求項16】
請求項4〜15の何れか一項に記載の診断方法において、
前記制御曲線「F=f(t)」(2)は、定数関数「K=f(t)」(7)に基づいて延びている
ことを特徴とする診断方法。
【請求項17】
請求項4〜16の何れか一項に記載の診断方法において、
前記ケーブルによって駆動される少なくとも1つの車輌の位置の索引を使用する
ことを特徴とする診断方法。
【請求項18】
制動手段が空気圧式又は液圧式の手段であるケーブル運搬設備に適用される請求項4〜17の何れか一項に記載の診断方法において、
前記検査段階は、前記制動手段の使用の際の圧力変化を示す圧力変化曲線「Pt=f(t)」を記録するステップと、「Pt=f(t)」を予め定められた曲線「Pe=f(t)」と比較するステップとを備える
ことを特徴とする診断方法。
【請求項19】
請求項18に記載の診断方法において、
前記曲線「Pe=f(t)」は、前記制動手段が使用される際に、前記予備段階において記録される圧力変化曲線である
ことを特徴とする診断方法。
【請求項20】
ケーブル運搬設備の少なくとも1つの制動手段を調整するための調整方法において、
同調整方法は少なくとも、
請求項4〜19の何れか一項に記載の診断方法を用いることにより、前記制動手段を検査する検査ステップと、
前記検査特性曲線と基準特性曲線との比較関数として、前記制動手段を調整する調整ステップとを備える
ことを特徴とする診断方法。
【請求項21】
駆動手段と少なくとも1つの制動手段とを有するケーブル運搬設備を制御する制御装置であって、前記駆動手段を制御する制御手段、前記制動手段を制御する制御手段、及び安全装置を備える制御装置において、
前記駆動手段と前記制動手段との同時の作動を許容しない主動位置と、前記同時の作動を許容する受動位置との間で前記安全装置を切替える切替え手段を更に備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項22】
請求項21に記載の制御装置において、
前記ケーブルの速度を測定する測定手段を更に備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項23】
請求項21又は請求項22に記載の制御装置において、
データ記録手段を更に備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項24】
請求項21〜23の何れか一項に記載の制御装置において、
圧力測定手段を更に備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項25】
請求項21〜24の何れか一項に記載の制御装置において、
前記駆動手段を流れる電流を測定する電流測定手段を更に備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項26】
請求項21〜25の何れか一項に記載の制御装置において、
前記ケーブルによって駆動される少なくとも1つの車輌の位置に索引を付ける位置索引手段を更に備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項1】
少なくとも1つの制動手段及び駆動手段を有するケーブル運搬設備の制動をシミュレートするシミュレーション方法において、
前記シミュレーション方法は、少なくとも、予め定められた制御曲線「F=f(t)」(2)によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により駆動される前記運搬設備に、前記制動手段を使用するステップを備える
ことを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項2】
請求項1に記載のシミュレーション方法において、
前記閉ループ制御のために、前記設定信号は、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段の特性を示し、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段によって供給される瞬間的な出力に比例する変数の測定値と比較される
ことを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項3】
請求項1に記載のシミュレーション方法において、
前記閉ループ制御のために、前記設定信号は、前記ケーブルの速度の測定値と比較される
ことを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項4】
駆動手段を有するケーブル運搬設備の少なくとも1つの制動手段を診断するための診断方法において、
前記診断方法は、少なくとも制動手段を検査する検査段階を備え、
前記検査段階は、少なくとも、請求項1〜3の何れか一項に記載のシミュレーション方法を使用したシミュレーションのためのシミュレーション段階を備え、
同検査段階は、荷積みされていない状態で駆動される運搬設備において実行され、検査特性曲線(4,5,6)を記録する
ことを特徴とする診断方法。
【請求項5】
請求項4に記載の診断方法において、
前記診断段階は、検査特性曲線(4,5,6)を予め記録された較正基準曲線(1)と比較する第2ステップを更に備える
ことを特徴とする診断方法。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の診断方法において、
前記診断方法は、予備較正段階を更に備え、
該予備較正段階は少なくとも、
荷積みされている状態で運転している設備に前記制動手段が使用される際に、前記較正基準特性曲線(1)を記録するステップと、
前記基準特性曲線(1)によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により、荷積みされていない状態で駆動される前記運搬設備に前記制動手段が使用される際に、前記駆動手段制御曲線「F=f(t)」(2)を記録するステップとを備える
ことを特徴とする診断方法。
【請求項7】
請求項4又は請求項5に記載の診断方法において、
前記診断方法は、予備較正段階を更に備え、
該予備較正段階は少なくとも、
前記運搬設備が荷積みされている状態で運転している際に同設備に前記制動手段が使用される際に、前記駆動手段制御曲線「F=f(t)」(1)を記録するステップと、
前記制御曲線(1)によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により、荷積みされていない状態で駆動される前記運搬設備に前記制動手段が使用される際に、前記較正基準特性曲線(2)を記録するステップとを備える
ことを特徴とする診断方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の診断方法において、
前記予備段階は、前記制動手段を調整する第1のステップを更に含む
ことを特徴とする診断方法。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の診断方法において、
前記予備段階は、前記較正を確認する確認作業を更に含み、
前記確認作業は、
前記運搬設備が荷積みされていない状態で運転しており、且つ前記制御曲線「F=f(t)」(2)によって構成された設定信号に基づき閉ループにおいて制御される前記駆動手段により前記運搬設備が駆動されている際に、前記制動手段を前記設備に使用するとともに、確認特性曲線(6)を記録するステップと、
前記確認特性曲線を前記較正基準特性曲線と比較するステップとを備える
ことを特徴とする診断方法。
【請求項10】
請求項4〜9の何れか一項に記載の診断方法において、
前記検査段階は、
前記運搬設備が荷積みされていない状態で運転している際に、前記制動手段を同設備に使用するとともに、無負荷特性曲線を記録するステップと、
前記無負荷特性曲線を予め記録された無負荷較正基準特性曲線と比較するステップとを備える
ことを特徴とする診断方法。
【請求項11】
請求項10に記載の診断方法において、
前記無負荷較正基準特性曲線は、荷積みされていない状態で運転している前記運搬設備に前記制動手段が使用される際に記録される曲線である
ことを特徴とする診断方法。
【請求項12】
請求項4〜11の何れか一項に記載の診断方法において、
前記特性曲線は、前記ケーブルの減速度を示す減速度曲線である
ことを特徴とする診断方法。
【請求項13】
請求項12に記載の診断方法において、
前記制御曲線「F=f(t)」(2)は、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段の特性を示し、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段により供給される瞬間的な電力に比例する変数を測定することにより記録される
ことを特徴とする診断方法。
【請求項14】
請求項4〜11の何れか一項に記載の診断方法において、
前記特性曲線は、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、或いは前記駆動手段の特性を示し、前記ケーブルに作用される力、前記駆動トルク、又は前記駆動手段により供給される瞬間的な電力に比例する変数の測定値を示す曲線である
ことを特徴とする診断方法。
【請求項15】
請求項14に記載の診断方法において、
前記制御曲線「F=f(t)」は、前記ケーブルの減速度を測定することにより記録される
ことを特徴とする診断方法。
【請求項16】
請求項4〜15の何れか一項に記載の診断方法において、
前記制御曲線「F=f(t)」(2)は、定数関数「K=f(t)」(7)に基づいて延びている
ことを特徴とする診断方法。
【請求項17】
請求項4〜16の何れか一項に記載の診断方法において、
前記ケーブルによって駆動される少なくとも1つの車輌の位置の索引を使用する
ことを特徴とする診断方法。
【請求項18】
制動手段が空気圧式又は液圧式の手段であるケーブル運搬設備に適用される請求項4〜17の何れか一項に記載の診断方法において、
前記検査段階は、前記制動手段の使用の際の圧力変化を示す圧力変化曲線「Pt=f(t)」を記録するステップと、「Pt=f(t)」を予め定められた曲線「Pe=f(t)」と比較するステップとを備える
ことを特徴とする診断方法。
【請求項19】
請求項18に記載の診断方法において、
前記曲線「Pe=f(t)」は、前記制動手段が使用される際に、前記予備段階において記録される圧力変化曲線である
ことを特徴とする診断方法。
【請求項20】
ケーブル運搬設備の少なくとも1つの制動手段を調整するための調整方法において、
同調整方法は少なくとも、
請求項4〜19の何れか一項に記載の診断方法を用いることにより、前記制動手段を検査する検査ステップと、
前記検査特性曲線と基準特性曲線との比較関数として、前記制動手段を調整する調整ステップとを備える
ことを特徴とする診断方法。
【請求項21】
駆動手段と少なくとも1つの制動手段とを有するケーブル運搬設備を制御する制御装置であって、前記駆動手段を制御する制御手段、前記制動手段を制御する制御手段、及び安全装置を備える制御装置において、
前記駆動手段と前記制動手段との同時の作動を許容しない主動位置と、前記同時の作動を許容する受動位置との間で前記安全装置を切替える切替え手段を更に備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項22】
請求項21に記載の制御装置において、
前記ケーブルの速度を測定する測定手段を更に備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項23】
請求項21又は請求項22に記載の制御装置において、
データ記録手段を更に備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項24】
請求項21〜23の何れか一項に記載の制御装置において、
圧力測定手段を更に備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項25】
請求項21〜24の何れか一項に記載の制御装置において、
前記駆動手段を流れる電流を測定する電流測定手段を更に備える
ことを特徴とする制御装置。
【請求項26】
請求項21〜25の何れか一項に記載の制御装置において、
前記ケーブルによって駆動される少なくとも1つの車輌の位置に索引を付ける位置索引手段を更に備える
ことを特徴とする制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公表番号】特表2010−510598(P2010−510598A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537676(P2009−537676)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001915
【国際公開番号】WO2008/074940
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(591108444)ポマガルスキー (16)
【氏名又は名称原語表記】POMAGALSKI
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001915
【国際公開番号】WO2008/074940
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(591108444)ポマガルスキー (16)
【氏名又は名称原語表記】POMAGALSKI
【Fターム(参考)】
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