説明

ゲル化剤

【課題】 従来アルコールを3%以上含有するゲルを食品用のゲル化剤で作ることは、ゲル化剤の析出、溶解不良等の問題があり製造不可能であった。アルコールを高濃度で含む系、即ちアルコールを50%以下で含む系においてゲル化剤が析出すること無しに離水の無いゲルを食品用ゲル化剤を使用して提供する。
【解決手段】アルコールを高濃度で含む系、即ちアルコールを50%以下で含む系を、ネイティブジェランガムを0.05〜5.0%使用することでゲル化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコールを含有するゲルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来アルコール含有ゲルに使用されるゲル化剤、例えば寒天、ゼラチン等では、アルコール濃度が3%未満の製品のみの製造であった。アルコールを高濃度で含有するゲルを調整しようとすると、ゲル化剤が溶解しない、あるいは析出する等、作製が困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、アルコールを高濃度に含有するゲルを作ることは困難であるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は特に食品用ゲル化剤に着目し、上記問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、ネイティブジェランガムを0.05%〜5.0%使用することによって0.1〜50%のアルコールを含有するゲルを作製できることを最も主要な特徴とする。ネイティブジェランガムの使用量は好ましくは0.1%〜2.0%である。0.05%以下の使用では、必要とする強度が得られない。また、5%以上を使用するとゲル強度が強すぎて実用的ではない。
【発明の効果】
【0005】
本発明のネイティブジェランガムを0.05%〜5.0%ゲル化剤として使用するゲルは、アルコールを0.1〜50%含有しても析出等の問題も無く製造できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
アルコールを0.1%〜50%含有するゲルはネイティブジェランガムを0.05%〜5.0%使用することでなんら問題なく製造できることを実現した。
【0007】
本発明で使用するアルコールは特に限定されるものではなく、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコール、ウイスキー、ブランデー、ワイン、焼酎、日本酒等が挙げられる。
【0008】
本発明ではネイティブジェランガムを使用するが、ゲル強度上げる目的で1価あるいは2価のカチオンイオンを添加することも出来る。カチオンイオンとしては、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0009】
本発明ではゲル化剤としてネイティブジェランガムを用いるが、他の水溶性高分子を併用することも出来る。水溶性高分子としては、キサンタンガム、カルボキシメチルセルルースのナトリウム塩、アルギン酸ソーダ、デンプン、デキストリン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【実施例1】
【0010】
次に本発明のアルコール含有ネイティブジェランガムのゲルについて実施例を挙げて説明するが、本発明の範囲はこれらによって、何ら限定されるものではない。
【0011】
【表1】

【0012】
表1(本発明品1〜4及び比較品1)に示した配合処方によってアルコール含有ゲルを調整し、各々のゲルのゲル強度及び破断強度を評価した。
【0013】
表1(実施例)に示した配合処方によってアルコールに水をあらかじめ混合し、ゲル化剤粉体を加える。よく撹拌混合した後ゼリーカップに充填しシールした後、65℃で15分間加熱した。その後、冷蔵庫で1日放置した。放置後、SMS社Texture Analyxer
TA-XT2iを用いて、4ミリメートル圧縮時のゲル強度、及び破断強度を測定した。測定は室温で行い、プランジャーは円筒状で直径1/2インチを使用し、スピードは2.0mm/secで測定した。
【0014】
【表2】

【0015】
測定結果を表2(本発明品1〜4及び比較品1)に示す。
【0016】
表2に示したように本発明品1〜4はアルコール濃度20〜50%で離水の無いゲルが得られた。また、比較品1は、ゼリーカップの底にゲル化剤が沈降してゲル化しなかった。
【実施例2】
【0017】
【表3】

【0018】
表3(本発明品5〜8)に示した配合処方によってアルコールにネイティブジェランガムを分散させた後、水を加えよく撹拌混合した。ゼリーカップに充填しシールした後、65℃で15分間加熱した。その後、冷蔵庫で1日放置した。放置後、SMS社Texture Analyxer
TA-XT2iを用いて、4ミリメートル圧縮時のゲル強度、及び破断強度を測定した。測定は室温で行い、プランジャーは円筒状で直径1/2インチを使用し、スピードは2.0mm/secで測定した。含有ゲルを調整し、各々のゲルの離水および破断強度を評価した。
【0019】
測定結果を表4(本発明品5〜8)に示す。
【0020】
【表4】

【0021】
表4に示したようにジェランガムの0.4〜1.0%で離水の無いゲルが得られた。
【産業上の利用可能性】
【0022】
例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコール、ウイスキー、ブランデー、ワイン等の高濃度アルコール含有のゲルが作成できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコールを0.1〜50%含有するゲルであって、ネイティブジェランガムを含むゲル。
【請求項2】
アルコールを0.1〜50%含有する食用ゲルであって、ネイティブジェランガムを含むもの。
【請求項3】
ネイティブジェランガムを0.05%〜5.0%含有する請求項1記載のアルコール含有ゲル。

【公開番号】特開2008−60(P2008−60A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172202(P2006−172202)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000176095)三晶株式会社 (12)
【Fターム(参考)】