説明

ゲームシステム、ゲームシステムの制御方法及びプログラム

【課題】不得意なゲーム内操作を行わなければならない状況に陥ったプレイヤと観戦者とを交代可能とすることにより、より興趣性の高い通信対戦型のネットワークゲームを実現させるゲームシステムを提供する。
【解決手段】ネットワークゲームシステムは、対戦中のプレイヤが当該プレイヤのゲーム内操作を観戦者と交代することを要求したとき、当該プレイヤの端末装置を観戦端末とすると共に、前記観戦者の端末装置を対戦端末とする交代処理を管理する交代管理手段72を備えており、交代管理手段72により前記プレイヤと交代した前記観戦者は、当該プレイヤのゲーム内操作を当該観戦者の端末装置を操作することにより実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信対戦型のネットワークゲームをコンピュータに実現させるためのゲームシステム、当該ゲームシステムの制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット接続におけるデータ転送速度の高速化によって、インターネットを介して複数の端末装置を通信可能に接続し、各端末装置を操作するプレイヤ同士が対戦するネットワークゲームが普及している。端末装置としてはパーソナルコンピュータ、家庭用ゲーム機器などが用いられ、この種の通信対戦型ネットワークゲームとしては、野球、サッカー、格闘技など、様々なゲームが存在する。
【0003】
上記のような通信対戦型ネットワークゲームは、それぞれネットワークに接続された複数の端末装置およびサーバ装置を含むゲームシステムにより実現される。通常、ゲームシステムを利用する各プレイヤは、端末装置を操作してサーバ装置にログインし、端末装置をゲームシステム内に組み込む。そして、サーバ装置は、ログインしている複数の端末装置の中から対戦相手の組み合わせを決定するマッチング処理を行う。サーバ装置により対戦相手の組み合わせが決定された後は、決定された端末装置同士で直接的にデータを送受信することで、ネットワークゲームが実施されることになる。
【0004】
また、近年、対戦中のプレイヤとは別の者が、観戦者として対戦中のゲーム状況を、ネットワークを通じて観戦することができるネットワークゲームシステムも提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−526581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、対戦中にプレイヤにとって不得意なゲーム内操作を行わなければならない状況に陥ったとき、当該プレイヤにとっては、当該操作が苦手であるためにゲームそのものの興趣を欠く結果となることもある。
【0007】
上記の特許文献1のネットワークゲームシステムでは、観戦者のゲームへの参加レベルを変更可能とし、例えば、プレイヤにアドバイスを与えるといったことが可能になっている。しかしながら、不得意なゲーム内操作を行わなければならない状況に陥ったプレイヤにとっては、単にアドバイスを受けただけでは当該操作を的確に行うことが困難な場合が多く、このような状況に陥ったプレイヤのネットワークゲームの興趣性を高めるのは困難である。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、不得意なゲーム内操作を行わなければならない状況に陥ったプレイヤと観戦者とを交代可能とすることにより、より興趣性の高い通信対戦型のネットワークゲームを実現させるゲームシステム、ゲームシステムの制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の一局面に係るゲームシステムは、少なくとも2台の端末装置を含む対戦端末をそれぞれ操作するプレイヤ同士が通信ネットワークを介して対戦している最中に、少なくとも1台の端末装置を含む観戦端末を操作する観戦者が通信ネットワークを介して対戦中のゲーム状況を観戦することが可能なネットワークゲームを実行するゲームシステムであって、対戦中のプレイヤが当該プレイヤのゲーム内操作を前記観戦者と交代することを要求したとき、当該プレイヤの端末装置を観戦端末とすると共に、前記観戦者の端末装置を対戦端末とする交代処理を管理する交代管理手段を備えており、前記交代管理手段により前記プレイヤと交代した前記観戦者は、当該プレイヤのゲーム内操作を当該観戦者の端末装置を操作することにより実行することを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、対戦端末を操作するプレイヤ同士が通信ネットワークを介して対戦し、観戦端末を操作する観戦者が対戦中のゲーム状況を観戦することが可能となっている。そして、例えば、対戦中のプレイヤにとって不得意なゲーム内操作を行わなければならない状況に陥ったとき、あるいは、ゲーム内のある状況において他の観戦者が行うであろう操作テクニックを確認したいとき等に、当該プレイヤは当該ゲーム内操作を観戦者と交代することを要求できる。この要求があったとき、交代管理手段は、プレイヤの端末装置を観戦端末とすると共に、前記観戦者の端末装置を対戦端末とする交代処理を管理する。これにより、プレイヤと交代した観戦者は、当該プレイヤのゲーム内操作を、当該観戦者の端末装置を操作することにより、通信ネットワークを介して交代実行することができるようになる。
【0011】
ここで、対戦中のプレイヤと観戦者とが交代したとしても、あくまで観戦者は当該プレイヤのゲーム内操作を交代実行するだけである。すなわち、ゲーム画面内のプレイヤのキャラクタ自体が変更されるようなことにはならないので、当該交代によりゲーム進行に違和感を与えるようなこともない。
【0012】
これにより、不得意なゲーム内操作を行わなければならない状況に陥ったプレイヤが観戦者の助けを借りて自らのゲームを進めることが可能になる。よって、これまで特定の操作が不得意であるためにゲームそのものの興趣を欠いていたプレイヤに対し、ゲームの興趣性を高めることができる。
【0013】
さらに、対戦中のプレイヤと観戦者とが交代できるゲーム環境を構築することができるので、対戦を観戦しているだけでは決して得られないユーザ同士のコミュニティを形成することも可能になり、この点からもネットワークゲームの興趣性を高め得る。
【0014】
(2)上記の構成において、対戦中のプレイヤがゲーム内操作の交代を希望する観戦者を選択するための観戦者リストを、当該プレイヤの操作する端末装置に表示する観戦者リスト表示手段をさらに備え、前記観戦者リスト表示手段は、各観戦者のゲーム操作能力の高さを示す能力評価レベルを前記観戦者リスト内に表示する能力評価レベル表示部を備えていることが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、プレイヤの操作する端末装置には、交代を希望する観戦者を選択するための観戦者リストが表示されるようになっている。そして、その観戦者リスト内には、各観戦者のゲーム操作能力の高さを示す能力評価レベルも表示される。これにより、対戦を行っているプレイヤは、各観戦者の能力評価レベルを確認しながら交代を希望する観戦者を選択することができる。よって、プレイヤは、予めゲーム操作能力の高さを知っている友人・知人だけではなく、全くそのような予備知識のない観戦者であっても、能力評価レベルを参考にすれば、交代を希望する観戦者として選択できるようになる。したがって、プレイヤにとっては、交代を希望する観戦者の選択の幅が広がり、よりネットワークゲームの興趣性を高め得る。
【0016】
(3)上記の構成において、対戦中のプレイヤと交代して当該プレイヤのゲーム内操作を行った観戦者のゲームへの貢献の程度を示す寄与率を求める寄与率演算手段と、前記寄与率演算手段が求めた寄与率に応じて前記観戦者にメリットポイントを付与するポイント付与手段とをさらに備えていることが好ましい。
【0017】
このように、対戦中のプレイヤと交代した観戦者の寄与率に応じて当該観戦者にメリットポイントを付与することにより、交代をする観戦者にとっての興趣性を高めることが可能になる。また、なんらメリットのない交代と異なり、交代によってメリットを得る機会を与えることにより、観戦者が積極的に交代を行おうとするゲーム環境を構築でき、当該交代可能なシステムを円滑に運用することができるようになる。
【0018】
(4)上記の構成において、前記交代管理手段は、前記プレイヤと交代した前記観戦者が前記プレイヤまたは他の観戦者と再度交代することを要求したとき、当該観戦者の端末装置を対戦端末から観戦端末に戻すと共に、前記プレイヤまたは他の観戦者の端末装置を対戦端末とすることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、一旦プレイヤと交代した観戦者が、元のプレイヤまたは他の観戦者と再度交代することが可能である。すなわち、元のプレイヤのゲーム内操作についての交代処理は複数回にわたって行うことができる。これにより、自由度の高い交代システム環境が構築できる。
【0020】
(5)上記の構成において、前記観戦端末に含まれる端末装置は、前記対戦端末の何れかに対してそれぞれ、順次、直列に接続されており、観戦を希望する者が対戦端末を指定して観戦することを要求したとき、当該対戦端末と直列に接続される系列に当該観戦を希望する者の端末装置を観戦端末として接続する観戦者管理手段をさらに含み、前記交代管理手段は、対戦中のプレイヤに対して、当該プレイヤの対戦端末と直列に接続されている系列の端末装置の観戦者とのみ交代することを許可するように前記交代処理を管理することが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、観戦者の端末装置は、自分が応援したいプレイヤの対戦端末と直列に接続される系列の中に観戦端末として組み込まれることになる。ここで、交代管理手段により、対戦中のプレイヤに対して、当該プレイヤの対戦端末と直列接続されている系列の端末装置の観戦者とのみ交代可能とする制限が設けられる。よって、友人の多い(あるいは人気のある)プレイヤほど、交替可能な観戦者を多く抱えることとなり(従って、交替可能な観戦者のレベル、能力の多様性が向上することとなり)、有利になる。この結果、プレイヤ自身の操作能力以外の要素が加味されることとなり、従来にないゲームの趣興性を打ち出すことができる。
【0022】
(6)上記の構成において、前記観戦者管理手段は、新たに観戦を希望する者が対戦端末を指定して観戦することを要求したとき、当該対戦端末と直列に接続される系列の最も下流に接続されている端末装置のさらに下位に、当該新たに観戦を希望する者の端末装置を観戦端末として接続することが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、系列内で既に観戦端末として存在している端末装置の直列接続を維持したまま、新たな観戦者の端末装置を系列内における最下流の端末装置のさらに下位に接続することにより、新たな観戦者の端末装置を、観戦端末として容易かつ迅速に組み入れることが可能となる。よって、例えば、新たな観戦者の端末装置が観戦端末として組み入れられた後、直ちにプレイヤが当該新たな観戦者と交代する場合であっても、新たな観戦端末の組み入れが迅速であるため、交代処理までに要する時間も短縮化できる。
【0024】
(7)本発明の他の局面に係るゲームシステムの制御方法は、少なくとも2台の端末装置を含む対戦端末をそれぞれ操作するプレイヤ同士が通信ネットワークを介して対戦している最中に、少なくとも1台の端末装置を含む観戦端末を操作する観戦者が通信ネットワークを介して対戦中のゲーム状況を観戦することが可能なネットワークゲームを実行するゲームシステムの制御方法であって、対戦中のプレイヤが当該プレイヤのゲーム内操作を前記観戦者と交代することを要求したとき、当該プレイヤの端末装置を観戦端末とすると共に前記観戦者の端末装置を対戦端末とする交代処理を管理する交代管理ステップを備えていることを特徴としている。
【0025】
(8)本発明のさらに他の局面に係るプログラムは、少なくとも2台の端末装置を含む対戦端末をそれぞれ操作するプレイヤ同士が通信ネットワークを介して対戦している最中に、少なくとも1台の端末装置を含む観戦端末を操作する観戦者が通信ネットワークを介して対戦中のゲーム状況を観戦することが可能なネットワークゲームを実行するゲームシステムに含まれるコンピュータに、対戦中のプレイヤが当該プレイヤのゲーム内操作を前記観戦者と交代することを要求したとき、当該プレイヤの端末装置を観戦端末とすると共に前記観戦者の端末装置を対戦端末とする交代処理を管理する交代管理機能を実現させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
不得意なゲーム内操作を行わなければならない状況に陥ったプレイヤと観戦者とを交代可能とすることにより、より興趣性の高い通信対戦型のネットワークゲームを実現させるゲームシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムの全体構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムを構成する対戦サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムを構成する端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る対戦サーバの制御部の機能ブロック図である。
【図5】図4に示す制御部における交代管理手段の構成を示す機能ブロック図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムを構成する各端末装置における制御部の機能ブロック図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおける対戦時の主な動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおける観戦時の主な動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおけるプレイヤと観戦者との交代時の主な動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおけるプレイヤと観戦者との交代時の動作の一例を説明するための説明図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおけるプレイヤと観戦者との交代時の動作の一例を説明するための説明図である。
【図12】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおけるプレイヤと観戦者との交代時の動作の一例を説明するための説明図である。
【図13】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおけるプレイヤと観戦者との交代時の動作の一例を説明するための説明図である。
【図14】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおけるプレイヤと観戦者との交代時の動作の一例を説明するための説明図である。
【図15】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおけるプレイヤと観戦者との交代時の動作の一例を説明するための説明図である。
【図16】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおけるプレイヤと観戦者との交代時の動作のその他の例を説明するための説明図である。
【図17】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおけるプレイヤと観戦者との交代時の動作のその他の例を説明するための説明図である。
【図18】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおけるプレイヤと観戦者との交代時の動作のさらに他の例を説明するための説明図である。
【図19】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおけるプレイヤと観戦者との交代時の動作のさらに他の例を説明するための説明図である。
【図20】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおけるプレイヤと観戦者との交代時の動作のさらに他の例を説明するための説明図である。
【図21】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおけるプレイヤと観戦者との交代時の動作のさらに他の例を説明するための説明図である。
【図22】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおけるプレイヤと観戦者との交代時の動作のさらに他の例を説明するための説明図である。
【図23】本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムにおける対戦ゲーム終了時の対戦サーバの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施の形態に係るネットワークゲームシステムについて、図面を参照し、以下に説明する。
【0029】
〔ネットワークゲームシステムの全体構成〕
図1は、本ネットワークゲームシステム100の全体構成を示す図である。
【0030】
図1に示すように、本実施の形態に係る通信対戦型のネットワークゲームを実行可能なネットワークゲームシステム100は、対戦サーバ101と、コミュニケーションサーバ102と、当該対戦サーバ101およびコミュニケーションサーバ102と通信可能に接続される複数の端末装置103とを備えている。これらの装置(対戦サーバ101、コミュニケーションサーバ102および複数の端末装置103)は、通信ネットワークとしてのインターネット104を介して接続されている。
【0031】
なお、本実施の形態の通信ネットワークは、インターネット104に限定されるものではなく、対戦サーバ101、コミュニケーションサーバ102および端末装置103の間を通信可能に相互に接続できるものであれば、例えば、専用回線、公衆回線、LAN等であってもよく、或いはこれらを組み合わせたものであってもよい。
【0032】
本実施の形態に係るネットワークゲームシステム100は、少なくとも2台の端末装置103を含む対戦端末をそれぞれ操作するプレイヤ同士がインターネット104を介して対戦可能である。さらに、本ネットワークゲームシステム100は、プレイヤ同士が対戦している最中に、少なくとも1台の端末装置103を含む観戦端末を操作する観戦者がインターネット104を介して対戦中のゲーム状況を観戦することが可能である。
【0033】
なお、ネットワークゲームシステム100内には複数の端末装置103が存在するが、各端末装置103の基本構成は同一であり、各端末装置103は、プレイヤ同士がインターネット104を介して対戦するための対戦端末にも成り得るし、観戦者がインターネット104を介して対戦中のゲーム状況を観戦するための観戦端末にも成り得る。なお、複数の端末装置103における個々の動作や役割を説明するために、必要に応じて、端末装置A、端末装置B、端末装置C、・・・のように、個々の端末装置を識別できる記号を付加して適宜説明することとする。
【0034】
本ネットワークゲームシステム100で実行可能な対戦型のネットワークゲームに参加する各々のプレイヤが操作する端末装置103は、公知の家庭用ゲーム機、携帯ゲーム機、携帯情報端末、携帯電話機またはパーソナルコンピュータ等により構成される。各々のプレイヤが操作する端末装置103同士間で対戦を行う方法には、端末装置103同士間で直接通信して対戦する方法と、対戦サーバ101を経由して対戦する方法とがある。何れの方法でも対戦は可能であるが、本実施の形態では、先ず前者の方法、すなわち、端末装置103同士間で直接データのやりとりを行う、いわゆるP2P(Peer to Peer)接続によりネットワークゲームを行うゲームシステムについて説明する。そして、後者の方法、すなわち、対戦サーバ101を介してクライアントとしての端末装置103同士が対戦する、いわゆるクライアント/サーバ(C/S)接続によりネットワークゲームを行うゲームシステムについても、後に説明する。
【0035】
各端末装置103と対戦サーバ101との間の通信、および各端末装置103とコミュニケーションサーバ102との間の通信は、例えば、ベースのプロトコルとしてTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)上で動作するHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を使用し、本システムで規定するアプリケーションプロトコルを上位に実装することによって実現できる。
【0036】
一方、P2P接続される端末装置103同士間の通信は、OSI参照モデルのトランスポート層上の通信規約(プロトコル)であって主にIPプロトコル上に実装されるUDP(User Datagram Protocol)によって実現できる。上記のUDPは、データの送達確認やエラー訂正を行わず、データを相手側の端末装置に送りっぱなしにする通信方式であるため、データの信頼度は低いがデータの転送速度が高いという利点がある。このため、高いリアルタイム性が要求されるゲーム環境の中で大量のデータを相互に高速通信する通信対戦型のネットワークゲームでは、UDPが好適に用いられる。なお、端末装置Aと端末装置Bとの間の通信にUDP以外の他の既存プロトコルを用いたり、今後、新たに規定される新規プロトコルを用いたりすることも勿論可能である。
【0037】
ネットワークゲームシステム100において、各端末装置103には、当該各端末装置103を一意に識別するための端末IDが付与されている。さらに、各端末装置103を操作する各プレイヤには、当該各プレイヤを特定するためのプレイヤIDが付与されている。そして、対戦サーバ101は、これらの識別情報(端末IDおよびプレイヤID)に対応付けて、各端末装置103との間でデータの送受信を行うことによって、各端末装置103および各プレイヤに関する情報を管理し、後述する対戦相手決定処理(マッチング処理)、対戦管理処理、観戦者管理処理、交代管理処理、段位管理処理などを実行する。
【0038】
また、ネットワークゲームシステム100内のコミュニケーションサーバ102は、プレイヤ同士間やプレイヤと観戦者との間のコミュニティ形成を担うサーバ装置である。端末装置103を操作するプレイヤまたは観戦者は、コミュニケーションサーバ102を介して、他の端末装置103を操作するプレイヤまたは観戦者と、例えばチャット形式で文字ベースの情報をリアルタイムで送受信することが可能である。なお、各端末装置103にマイクロフォンを設け、コミュニケーションサーバ102を介して端末装置103同士間で、音声ベースの情報をリアルタイムで送受信することも可能である。
【0039】
ネットワークゲームシステム100にて実現される通信対戦型のネットワークゲームには様々なものがあるが、その一例としては、野球ゲームがある。端末装置Aを操作するプレイヤAが選択した第1チームと、端末装置BのプレイヤBが選択した第2チームとが対戦する野球ゲームにおいては、例えば、プレイヤAが操作する投手キャラクタがボールオブジェクトを投球し、プレイヤBが操作する打者キャラクタが投球されたボールオブジェクトを打撃する。また、打撃後のボールオブジェクトをプレイヤAが操作する野手キャラクタが捕球や送球をし、プレイヤBが操作する走者キャラクタが走塁をする。このように、一般的な野球のルールを適用してプレイヤAとプレイヤBとが攻守を変えながら得点を競う野球ゲームを例に挙げて、以下に説明する。
【0040】
プレイヤ同士の対戦中に、観戦端末を操作する観戦者がインターネット104を介して対戦中のゲーム状況を観戦することを可能とするシステム構成としては、種々の態様が考えられる。その一例を、図10を参照して以下に説明する。
【0041】
図10では、プレイヤA(対戦者A)とプレイヤB(対戦者B)とが対戦サーバ101によってマッチングされ、プレイヤAが操作する端末装置AとプレイヤBが操作する端末装置Bとが、対戦端末としてインターネット104を介してP2P接続されている例を示している。さらに、プレイヤA側の観戦者として観戦者Cおよび観戦者Eが存在し、プレイヤB側の観戦者として観戦者Dおよび観戦者Fが存在する例を示している。この場合、プレイヤAの端末装置Aと観戦者Cの端末装置Cとが、インターネット104を介してP2P接続され、端末装置Aから端末装置Cへ最新のゲーム状況データが送信される。
【0042】
ゲーム状況データには、試合経過を示す試合経過データおよび仮想3次元ゲーム空間の現在の状態を示す状態データ等を含む。試合経過データには、試合時間データ、経過イニングデータ、各チームの得点データ、ボールカウントデータ、アウトカウントデータなどを含む。状態データには、野球場に設置されている仮想カメラの視野および視線方向を示すデータ、ボールオブジェクトの現在の位置・移動方向・速度を示すデータ、選手オブジェクト(投手キャラクタ、野手キャラクタ、走者キャラクタ)の現在の位置・姿勢・移動方向・速度・動作種類(例えば、投球動作やバッティング動作など)を示すデータなどが含まれる。各端末装置103は、ゲーム状況データに応じた画像をモニタに表示する機能を具備している。
【0043】
上記のように、端末装置Aから端末装置Cへ最新のゲーム状況データがP2P接続により送信されることにより、観戦端末である端末装置Cのモニタには、対戦端末である端末装置Aと同一のゲーム状況画像が表示されることになる。さらに、観戦者Cの端末装置Cと観戦者Eの端末装置Eとが、インターネット104を介してP2P接続され、端末装置Cから端末装置Eへ、端末装置Aから受信した最新のゲーム状況データが送信される。これにより、観戦端末である端末装置Eのモニタにも、対戦端末である端末装置Aと同一のゲーム状況画像が表示されることになる。
【0044】
このように、P2Pにより数珠繋ぎに直列接続された各端末装置により、最新のゲーム状況データがリレー形式で配信されることによって(上記の例では端末装置A→端末装置C→端末装置E)、高いリアルタイム性を担保した状態で複数台の観戦端末による観戦を可能としている。さらに、この方式では、各端末装置がゲーム状況データの配信機能を分散的に負担するので、対戦サーバ101に大きな負荷をかけることがない。そして、この方式では、さらに観戦端末が増加しようとも、高いリアルタイム性の担保と対戦サーバ101の負荷増大回避を実現できる。
【0045】
上記のP2P接続の順番に関しては、対戦サーバ101が決定している。対戦サーバ101は、基本的には、ネットワークゲームシステム100内に観戦端末が組み込まれたときにP2P接続の順番を決定し、その後は各観戦端末の通信が切断されていないことを確認するのみで、ゲーム状況データの配信機能そのものは持たない。よって、対戦サーバ101の負荷は、比較的小さいものとなっている。
【0046】
なお、プレイヤB側の観戦に関しても上記と同様に、端末装置B→端末装置D→端末装置Fの順でP2P接続され、対戦端末である端末装置Bから送信された最新のゲーム状況データが各観戦端末に配信される。
【0047】
また、後述するように、各端末装置103は、対戦中であれば任意のタイミングで観戦端末となることができる。
【0048】
なお、上記では、P2Pにより数珠繋ぎに接続された各端末装置によりゲーム状況データがリレー形式で配信される構成例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、対戦端末である端末装置Aが自己の観戦端末(図10の例では端末装置C、E)の全てに対してマルチキャストでゲーム状況データを一斉配信すると共に、対戦端末である端末装置Bも自己の観戦端末(図10の例では端末装置D、F)の全てに対してマルチキャストでゲーム状況データを一斉配信する構成でもよい。また、対戦端末の何れか1台(例えば端末装置A)が、全ての観戦端末(図10の例では端末装置C、D、E、F)に対してマルチキャストでゲーム状況データを一斉配信してもよい。
【0049】
また、クライアント/サーバ(C/S)接続によりネットワークゲームを行うゲームシステムにおいて、対戦中のゲーム状況を観戦することを可能とするシステムの構成については後述する。
【0050】
また、本実施の形態に係るネットワークゲームシステム100は、ネットワーク対戦中において、対戦を行っているプレイヤと、インターネット104を介してその対戦を観戦している観戦者とを入れ代えることが可能となっている。すなわち、対戦中のプレイヤが当該プレイヤのキャラクタ操作(ゲーム内操作)を観戦者と交代することを要求したとき、当該プレイヤの端末装置を観戦端末とすると共に、前記観戦者の端末装置を対戦端末とする交代処理を実現する。そして、プレイヤと交代した観戦者は、当該プレイヤのキャラクタ操作を当該観戦者の端末装置103を操作することにより実行することができるようになっている。
【0051】
例えば、対戦を行っているプレイヤが、対戦の中で自分にとって不得意なキャラクタ操作を強いられる状況になったときに、その対戦を観戦している者(友人・知人またはそれ以外の者)に交代を依頼することができるのである。この場合、ゲーム画面中で動いているプレイヤのキャラクタ自体は変わることなく、当該キャラクタを操作する対象者が、プレイヤから観戦者へと変わることになる。また、キャラクタ操作をプレイヤと交代した観戦者が当該プレイヤまたは他の観戦者と再度交代することも可能となっている。すなわち、キャラクタ操作の交代は、複数回にわたって何度もすることが可能である。
【0052】
上記のキャラクタ操作の交代を実現するネットワークゲームシステム内の各装置の構成を、以下に詳細に説明する。
【0053】
〔ネットワークゲームシステム内の各装置の構成〕
図3に示すように、端末装置103は、制御部10a、表示画像処理部20a、音声再生部30a、外部入出力制御部40a及び通信部50aを備え、これらはバス5により相互に接続されている。
【0054】
図3に示すように、制御部10aは、端末装置103の全体の動作を制御するもので、ゲームの進行全般に関する処理、画像表示処理の他、種々の情報処理を行う情報処理部(CPU)11aと、処理途中の情報等を一時的に格納するRAM(Random Access Memory)12aと、各種プログラム等が予め記憶されたROM13aと、を備え、これらはバス5を介して相互に接続されている。
【0055】
ROM13aには、オペレーションシステム(OS)のプログラムデータや、画像データ、音声データ並びに各種プログラムデータからなるゲームデータ等が記録されている。ROM13aに記録されている画像データとしては、投手キャラクタ、打者キャラクタ、野手キャラクタ、走者キャラクタ、背景画像、各種の操作画面や設定画面の画像等のデータがあげられる。また、投手キャラクタや打者キャラクタ等の画像データは、3次元描画が可能なように、それらを構成する所要数のポリゴンで構成されている。
【0056】
そして、CPU11aは、内蔵のあるいは装着脱可能なROM13aに記録されているオペレーティングシステムに基づいて、ROM13aから画像データ、音声データ、制御プログラムデータ、ゲームプログラムデータ等を読み出す。読み出されたデータの一部若しくは全部は、RAM12a上に保持される。以後、CPU11aは、RAM12a上に記憶されている制御プログラムや各種データ(表示物体のポリゴン、テクスチャ、その他の文字画像を含む画像データ、音声データなど)に基づいて、各種データ処理を行う。
【0057】
上記のデータ処理としては、3次元空間上における計算処理と、3次元空間上から擬似3次元空間上への位置変換計算処理と、光源計算処理と、画像および音声データの生成加工処理などが含まれる。
【0058】
ROM13aに記憶されている各種データのうち装着脱可能な記録媒体に記憶され得るデータは、例えばハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、カセット媒体読み取り機等の各種ドライブユニットで読み取り可能としてもよい。この場合、記録媒体としては、例えばハードディスク、光ディスク(CD−ROM、DVD−ROM、UMDなど)、フレキシブルディスク、半導体メモリ、ROMカセット、あるいは家庭用ビデオゲーム装置用のカートリッジ等を用いることができる。
【0059】
表示画像処理部20aは、インターフェース回路やD/Aコンバータ(Digital-To-Analogコンバータ)等を備え、CPU11aからの画像表示指示に従って、RAM12aに書き込まれた画像データや、ROM13aから読み出される画像データ等を液晶ディスプレイ等のモニタ21aに表示させるものである。
【0060】
音声出力部30aは、CPU11aからの指示に従ってゲーム進行過程の中で発生させるべき音声メッセージ、効果音、楽曲データ等を生成し、スピーカ31aに出力するものである。
【0061】
外部入出力制御部40aは、インターフェース回路等を含み、制御部10aと入力操作部41aとの間、または制御部10aとカードリーダライタ42aとの間でデータの入出力制御を行う。例えば、外部入出力制御部40aは、入力操作部41aから入力される操作検出信号を制御部10aで処理可能なデジタル信号に変換する。入力操作部41aは、プレイヤAが種々の操作命令を入力するためのキーボード、マウス、家庭用ビデオゲーム装置用コントローラ等から構成される。
【0062】
通信部50aは、通信情報インターフェース回路や通信モデム等を備え、対戦サーバ101との間、および対戦相手の端末装置Bとの間で、インターネット104を介して各種データの送受信をするためのものである。
【0063】
次に、対戦サーバ101の構成を説明する。図2に示すように、対戦サーバ101は、
サーバ制御部10c及びサーバ通信部50cを備えるコンピュータである。
【0064】
サーバ制御部10cは、対戦サーバ101の全体の動作を制御するもので、情報処理部(CPU)160と、処理途中の情報等を一時的に格納するRAM170と、所定のプログラム等が予め記憶されたROM180と、ハードディスク装置や光ディスク装置などの補助記憶部190とを備える。ROM180や補助記憶部190に記録されているオペレーションシステム(OS)、各種プログラム、各種設定データはRAM170上にロードされ、CPU160によりRAM170上のプログラムが順次実行されることによって、対戦サーバ101の各種機能が実現される。
【0065】
サーバ通信部50cは、通信情報インターフェース回路や通信モデム等を備え、各端末装置A・B…との間で、インターネット104を介して各種データの送受信を行う。
【0066】
次に、コミュニケーションサーバ102の構成を説明する。コミュニケーションサーバ102も、前記対戦サーバ101と同様であり、サーバ制御部及びサーバ通信部を備えるコンピュータである。コミュニケーションサーバ102の基本的なハード構成は、図2に示す対戦サーバ101と同様であるため、その図示を省略している。
【0067】
次に、端末装置103および対戦サーバ101の機能的構成について、以下に説明する。図4は、対戦サーバ101におけるサーバ制御部10cの機能ブロック図である。図6は、端末装置103における制御部10aの機能ブロック図である。
【0068】
先ず、対戦サーバ101の主な機能について説明する。対戦サーバ101は、ログイン認証機能、マッチング機能、対戦管理機能、観戦者管理機能、交代管理機能、能力評価レベル(仮想的な段位、報賞、名誉、等級等)管理機能などを有する。
【0069】
上記ログイン認証機能とは、通信対戦型のネットワークゲームへの参加または観戦を希望する各ユーザが各端末装置103を操作して対戦サーバ101にログインしようとした際、各ユーザのゲーム参加資格・観戦資格の有無を判断してログイン認証を行う機能である。例えば、会員制オンラインサービスのゲームの場合は、会員認証がなされる。
【0070】
上記マッチング機能とは、対戦を要求している複数の端末装置からなる対戦要求端末群の中から対戦相手の組み合わせを決定する機能である。
【0071】
上記対戦管理機能とは、複数の端末装置103間で対戦ゲームが実施されているとき、当該対戦ゲームが終了するまで各端末装置103の通信状態を確認して、対戦継続中か否かを管理する機能である。
【0072】
上記観戦者管理機能とは、対戦中の観戦者を特定してリストアップし、各観戦者の端末装置の通信状態を確認して、観戦継続中か否かを管理する機能である。
【0073】
上記交代管理機能とは、対戦中のプレイヤが当該プレイヤのゲーム操作を観戦者と交代することを要求したとき、当該プレイヤの端末装置103を観戦端末とすると共に、前記観戦者の端末装置103を対戦端末とする交代処理を管理する機能である。
【0074】
上記能力評価レベル管理機能とは、各プレイヤの現在までのゲーム成績を累積的に評価して各プレイヤに付与する能力評価レベル(仮想的な段位、報賞、名誉、等級等)を決定し、当該能力評価レベルを各端末装置A・Bの識別情報(端末IDやプレイヤID)と関連付けて管理する機能である。本実施の形態では、対戦サーバ101が管理する能力評価レベルとして段位を例示する。また、対戦サーバ101は、各プレイヤの能力評価レベルに基づいて、全世界ランキング、全国ランキングまたは特定地域内ランキングを算出する機能を有していてもよい。
【0075】
なお、上記のログイン認証機能、マッチング機能、対戦管理機能、観戦者管理機能、交代管理機能および能力評価レベル管理機能は、ネットワークゲームシステム100内のどこかで実現されればよいため、必ずしも1台の対戦サーバ101にて実現する必要はない。例えば、これらの機能の一部を分離して機能分散型の複数台のサーバとして実現することもできる。本実施の形態では、便宜上、これらの機能を対戦サーバ101が全て有し、当該対戦サーバ101が一元管理する構成例について説明する。
【0076】
図4に示すように、対戦サーバ101のサーバ制御部10cは、対戦要求受付手段61、待機端末管理手段62、プレイヤ情報記憶手段63、マッチング手段64、対戦相手通知手段65、対戦管理手段66、段位管理手段67、段位通知手段68、観戦要求受付手段69、観戦者管理手段70、交代要求受付手段71、交代管理手段72および寄与率演算手段73を備えている。
【0077】
対戦要求受付手段61は、ネットワークゲームへの参加を希望する各プレイヤが各端末装置103を操作して対戦サーバ101にログインしようとした際、各端末装置103の識別情報(端末IDおよびプレイヤID等の個人情報)を受け付ける。そして、対戦要求受付手段61は、プレイヤ情報記憶手段63に格納されているプレイヤ情報に基づき、端末IDやプレイヤIDを照合して各プレイヤのゲームへの参加を受け付けるものであり、上述のログイン認証機能を実現する。
【0078】
待機端末管理手段62は、対戦相手の組み合わせが決定するまでの間、参加を受け付けた端末装置103を対戦要求端末群として管理するものであり、対戦要求端末群を参加リスト62aに登録して管理する。参加リスト62aに登録された対戦要求端末群は、マッチング手段64によるマッチング処理の対象となる。
【0079】
マッチング手段64は、上述のマッチング機能を実現するものであり、参加リスト62aに登録されている対戦要求端末群の中から対戦相手の組み合わせを決定するマッチング処理を行う。マッチング手段64によるマッチング処理には様々な方式があるが、本実施の形態では、マッチング手段64が各プレイヤのマッチングレートに基づいてマッチングを行うマッチングレート方式を適用した例について説明する。ここで、マッチングレートとは、プレイヤの強さ(ゲーム熟練度の高さ)の指標となる数値であって、対戦の結果に応じて変動するものである。当該方式では、マッチング手段64は、参加リスト62aに登録されている対戦要求端末群の中からマッチングレートが近い端末装置(プレイヤ)同士をマッチングするようになっている。あるいは、マッチングレートを用いたマッチングレート対応モードとマッチングレートを使用しないマッチングレート非対応モードとをプレイヤが任意に選択できるものとし、各プレイヤが自己と近い強さ(ゲーム熟練度)のプレイヤに限定したマッチングを希望する場合のみ、マッチングレート対応モードを選択するようにしてもよい。この場合、マッチング手段64は、通常(マッチングレート非対応モードの場合)、対戦要求端末群の中からランダム抽選によりマッチングを行うが、プレイヤによりマッチングレート対応モードが選択された場合には、マッチングレートが近いプレイヤ同士をマッチングすることになる。あまりにもゲームの熟練度に開きがあるプレイヤ同士が対戦した場合、白熱したゲーム展開が期待できずに興趣性を損なうことがある。そこで、上記のマッチングレート方式のマッチングを適用すれば、熟練度の近いプレイヤ同士がマッチングされ易くなり、興趣性を向上させることができる。
【0080】
なお、マッチングレートは、各プレイヤが端末装置の画面上で確認することも可能ではあるが、主にマッチング手段64によるマッチング処理に使用されるものであり、段位や段位ポイントとは別に管理されるものである。
【0081】
対戦相手通知手段65は、マッチング手段64によりマッチングされた第1の端末装置(以下、端末装置Aとして説明する)および第2の端末装置(以下、端末装置Bとして説明する)に対して、それぞれ対戦相手の情報を通知する。すなわち、対戦相手通知手段65は、端末装置Aに対しては、対戦相手となる端末装置BのプレイヤBに関する情報をプレイヤ情報記憶部63の中から抽出して送信する。また、対戦相手通知手段65は、端末装置Bに対しては、対戦相手となる端末装置AのプレイヤAに関する情報をプレイヤ情報記憶部63の中から抽出して送信する。
【0082】
対戦管理手段66は、端末装置Aと端末装置Bとの対戦ゲームが実施されているとき、当該対戦ゲームが終了するまで、両端末装置の通信状態を管理する。具体的には、端末装置Aおよび端末装置Bは、P2P接続で対戦ゲームを実施しながらも、対戦サーバ101に定期データ(ハートビート)を断続的に送信しており、対戦サーバ101の対戦管理手段66は、両端末装置A・Bからハートビートを受信している間は、両端末装置A・Bが問題なく対戦ゲームを実行していると判断する。一方、対戦管理手段66は、所定時間(例えば、10秒間)ハートビートの受信ができなかった場合に、当該ハートビートを送信していた端末装置との通信が切断されたと判断する。例えば、端末装置Aからのハートビートの受信は途絶えたが、端末装置Bからのハートビートの受信については継続中である場合、対戦管理手段66は、対戦中に端末装置Aが通信を切断したと判断できる。また、このような場合、端末装置Bから対戦サーバ101へ、「対戦中に端末装置Aが通信を切断した」旨の異常終了通知がなされるので、対戦サーバ101は、当該異常終了通知をもって端末装置Aが対戦中に通信を切断したことを確実に判断できる。
【0083】
また、対戦ゲームが正常に終了した場合、端末装置Aおよび端末装置Bの何れか一方または両方から、対戦結果情報(勝敗等の情報)を含む正常終了通知が対戦サーバ101に対して行われる。対戦管理手段66は、この正常終了通知または上記の異常終了通知を受領した場合、端末装置Aおよび端末装置Bを、対戦管理対象から外す。なお、トラフィックの増加によりネットワークが異常輻輳となる等のネットワーク障害が発生した場合、端末装置Aおよび端末装置Bの両者から同時にハートビートが途絶えることもあり得るが、このような場合も、対戦管理手段66は両端末装置A・Bを対戦管理対象から外すことができる。
【0084】
段位管理手段67は、上述の能力評価レベル管理機能を実現するものであり、各プレイヤの「段位」および「段位ポイント」を端末装置の識別情報(端末IDやプレイヤID)と関連付けて記憶する記憶領域を有し、対戦ゲームが終了する毎に、対戦結果情報に基づいて段位および段位ポイントを更新する。
【0085】
ここで、段位とは、プレイヤの能力の高さ(強さ)を多段階で示す能力評価レベルの一つであり、例えば、最も弱い段位である「0」から最も強い段位である「19」までの20段階の段位がプレイヤに付与されるものである。なお、段位はこれに限定されるものではなく、例えば19段階以下または21段階以上の段位を設定することもできる。また、段位ポイントとは、段位の変動基準となるものである。例えば、各プレイヤは段位ポイント0(持ち点ゼロ)からスタートし、段位ポイントが所定のプラスポイントに達したときに段位が一つ昇格し、段位ポイントが所定のマイナスポイントに達したときに段位が一つ降格するものとすることができる。
【0086】
また、段位管理手段67は、端末装置AのプレイヤAと端末装置BのプレイヤBとの対戦が正常に終了した場合、勝った方のプレイヤに対しては所定の勝利ポイント(例えば、両者の段位差に応じた勝利ポイント)を当該プレイヤの段位ポイントに付加する一方、負けた方のプレイヤに対しては所定の敗戦ポイント(例えば、両者の段位差に応じた敗戦ポイント)を当該プレイヤの段位ポイントから削減するようになっている。
【0087】
さらに、ポイント付与手段としての段位管理手段67は、対戦中のプレイヤと交代して観戦者が当該プレイヤのゲーム操作を行った場合において、後述する寄与率演算手段73が求めた寄与率(観戦者のゲームへの貢献の程度を示す値)に応じて、前記観戦者に段位ポイント(メリットポイント)を付与する。この場合、段位管理手段67は、観戦者と交代したことによって勝利したプレイヤが得る勝利ポイントから、当該観戦者の寄与率に応じて観戦者に付与した段位ポイント(メリットポイント)を削減した分のポイントを、勝利したプレイヤに付与するようにしてもよい。
【0088】
段位管理手段67は、上述の段位に関する情報、勝利ポイントおよび敗戦ポイントの情報を不揮発性メモリに記憶しており、当該各情報を参照しながら上記の動作を行う。
【0089】
段位通知手段68は、対戦終了後の段位を、端末装置Aおよび端末装置Bに送信する機能を有する。これにより、端末装置AのプレイヤAおよび端末装置BのプレイヤBは、対戦終了後の自己の段位を画面上で確認することができる。さらに、段位通知手段68は、各プレイヤの段位および段位ポイントに基づいて、全世界ランキング、全国ランキングまたは特定地域内ランキングを算出し、対戦終了後のランキングを端末装置Aおよび端末装置Bに送信したり、ランキングの上位に入ったプレイヤに対しては当該プレイヤの氏名等の情報を登録できるようにしたりする機能を有していてもよい。これにより、端末装置AのプレイヤAおよび端末装置BのプレイヤBは、対戦終了後の自己のランキングを画面上で確認等することができる。
【0090】
観戦要求受付手段69は、対戦中のゲームの観戦を希望するユーザが端末装置103を操作して対戦サーバ101に観戦要求(観戦要求コマンドの送信)を行った場合に、観戦要求コマンドを受信して、当該ユーザ(観戦者)の端末装置103を観戦端末とするゲーム観戦を受け付けるものである。
【0091】
観戦者管理手段70は、観戦を受け付けた端末装置103を観戦端末群として管理するものである。観戦者管理手段70は、観戦端末が複数存在し、図10に示したように対戦端末と直列に数珠繋ぎのP2P接続が必要な場合は、当該P2P接続の順番を決定する。
【0092】
この観戦者管理手段70は、観戦を希望する者が対戦端末を指定して観戦することを要求したとき、当該対戦端末と直列接続される系列に当該観戦を希望する者の端末装置103を観戦端末として接続するようになっている。これにより、観戦を希望する者の端末装置103は、自分が応援したい(あるいは交代しても良いと考える)プレイヤ(対戦者)の対戦端末と直列接続される系列に入ることになる。
【0093】
また、観戦者管理手段70は、新たに観戦を希望する者が対戦端末を指定して観戦することを要求したとき、当該対戦端末と直列に接続される系列の最も下流に接続されている端末装置103のさらに下位に、当該新たに観戦を希望する者の端末装置103を観戦端末として接続することが望ましい。これにより、系列内で既に観戦している観戦者の観戦端末のP2P接続の順番を入れ替えることなく、新たな観戦者の端末装置103を系列の最下流の端末装置103と接続することにより、観戦端末として容易かつ迅速に組み入れることが可能となる。
【0094】
また、観戦者管理手段70は、観戦者が観戦を終了するまで(観戦者が観戦を途中で終了しなかった場合は対戦ゲームが終了するまで)、観戦端末の通信状態を管理する。具体的には、各観戦端末は、P2P接続でゲーム状況データの受信(または送受信)を行いながらも、対戦サーバ101に定期データ(ハートビート)を断続的に送信しており、対戦サーバ101の観戦者管理手段70は、観戦端末からハートビートを受信している間は、当該観戦端末が問題なくゲーム状況データの受信(または送受信)を実行していると判断する。
【0095】
一方、観戦者管理手段70は、所定時間(例えば、10秒間)ハートビートの受信ができなかった場合に、当該ハートビートを送信していた観戦端末との通信が切断されたと判断する。通信が途絶えた観戦端末が存在する場合、観戦者管理手段70は、通信が途絶えていない観戦端末の観戦が継続できるように、必要に応じて数珠繋ぎのP2P接続の順番を再決定する。
【0096】
交代要求受付手段71は、対戦中のプレイヤが当該プレイヤのゲーム操作を観戦者と交代することを要求(交代要求コマンドを送信)したとき、交代要求コマンドを受信して当該交代要求を受け付けるものである。
【0097】
交代管理手段72は、交代要求を受け付けたプレイヤの端末装置103を観戦端末とすると共に、前記観戦者の端末装置103を対戦端末とする交代処理を管理する。交代管理手段72によりプレイヤと交代した観戦者は、当該プレイヤのキャラクタ操作を、当該観戦者の端末装置103を操作することによりインターネット104を介して実行することができる。また、交代管理手段72は、対戦中のプレイヤに対して、当該プレイヤの対戦端末と直列に接続されている系列の端末装置103の観戦者とのみ交代することを許可するように前記交代処理を管理することができる。この交代管理手段72のさらに詳細な構成については後述する。
【0098】
寄与率演算手段73は、対戦中のプレイヤと交代して当該プレイヤのキャラクタ操作を行った観戦者のゲームへの貢献の程度を示す寄与率を求める。この寄与率の演算には、種々の態様が考えられる。
【0099】
例えば、攻撃の場面で交代をしたことによって得点が獲得できた場合は寄与率を演算するが、得点を獲得できなかった場合には寄与率をゼロとすることができる。また、守備の場面で交代をしたことによって対戦相手の得点を阻止できた場合は寄与率を演算するが、対戦相手に得点を許した場合には寄与率をゼロとすることができる。また、交代をしたことによって試合に勝った場合は寄与率を演算するが、試合に負けた場合には寄与率をゼロとすることができる。
【0100】
また、寄与率を演算する場合、交代をしたイニング数に基づいて寄与率を求めることができる。例えば、1試合(9イニング)のうち3イニングの交代があった場合、寄与率を0.33(33%)とすることができる。あるいは、交代をしたことにより得点した場合においては、合計得点に対する交代による得点に基づいて寄与率を求めることができる。例えば、1試合で合計5点を獲得したうちの2点が交代による得点であった場合、寄与率を0.40(40%)とすることができる。ここで説明した寄与率の演算方法は、ほんの一例であって、その他にも種々の態様が考えられる。
【0101】
次に、交代管理手段72のさらに詳細な構成を、図5に基づいて説明する。交代管理手段72は、対戦相手変更情報送信部72aと、P2P接続変更情報送信部72bと、交代時間管理部72cを含んでいる。
【0102】
対戦相手変更情報送信部72aは、交代要求をしたプレイヤ(例えば、対戦者Aとする)と対戦しているプレイヤ(例えば、対戦者Bとする)の端末装置Bに対して、対戦相手が対戦者Aから観戦者(例えば、観戦者Eとする)に変更になった旨を示す対戦相手変更情報を送信する。対戦相手変更情報には、交代する観戦者に関する識別情報(端末IDおよびプレイヤID)が含まれる。そして、この対戦相手変更情報を受信した対戦者Bの端末装置Bは、対戦者Aの端末装置AとのP2P接続を解除して、新たに観戦者Eの端末装置EとのP2P接続を行うことになる。
【0103】
ところで、対戦者Aと観戦者Eとが交代することに伴って、図10に示した数珠繋ぎP2P接続の端末装置103の順番を変更する必要が生じる。そこで、P2P接続変更情報送信部72bは、各端末装置にP2P接続の変更を指示するP2P接続変更情報を送信する。上記の例では、P2P接続変更情報送信部72bが端末装置A、C、EにP2P接続変更情報を送信することにより、例えば図14に示すように、数珠繋ぎP2P接続の順番が端末装置E→端末装置A→端末装置Cに変更される。
【0104】
交代時間管理部72cは、プレイヤから観戦者への交代処理の時間管理を行い、予め定められた交代処理上限時間を経過しても交代処理が完了しなかった場合に、交代不成立として元のプレイヤ同士の対戦に戻す処理を行うものである。交代時間管理部72cは、例えば内部クロックに基づいて、交代処理上限時間を管理することができる。交代時間管理部72cによる交代処理の時間管理の開始は、対戦サーバ101が、プレイヤから観戦者への交代処理を受け付けた時点とすることができる。
【0105】
なお、プレイヤから観戦者への交代処理を行う場合には、予め当該プレイヤが作戦タイムをかけて試合を一時中断状態とすることが望ましい。そうすることによって、対戦相手に違和感を与えることなく、実際の試合と同じ感覚でプレイヤから観戦者への交代処理を実行することができる。この場合においては、交代時間管理部72cによる交代処理の時間管理の開始は、作戦タイムによる試合の一時中断状態の開始時点とすることができる。
【0106】
次に、端末装置103の主な機能について説明する。図6に示すように、端末装置103の制御部10aは、対戦要求手段21と、観戦要求手段22と、交代要求手段23と、交代依頼手段24と、観戦者情報受信手段25と、観戦者リスト表示手段26と、観戦者選択手段27と、段位情報受信手段28と、段位表示手段29と、通信状態確認手段30と、通信切断情報送信手段31とを備えている。
【0107】
対戦要求手段21は、対戦要求コマンドを対戦サーバ101へ送信して対戦要求を行うものである。この対戦要求コマンドには、対戦を要求する端末装置103の識別情報(端末IDおよびプレイヤID)が付加される。
【0108】
観戦要求手段22は、対戦サーバ101に対して観戦要求(観戦要求コマンドの送信)を行うものである。対戦サーバ101へのログインを行っている端末装置103では、対戦中リスト(現在対戦を行っている対戦者のリスト)を画面上で確認できるようになっており、どの対戦者のゲームを観戦するかを指定できる。観戦要求コマンドには、観戦者の識別情報(端末IDおよびプレイヤID)と共に、観戦対象の対戦者の識別情報(端末IDおよびプレイヤID)が付加される。
【0109】
交代要求手段23は、対戦サーバ101に対して交代要求(交代要求コマンドの送信)を行うものである。交代要求コマンドには、プレイヤの識別情報(端末IDおよびプレイヤID)と共に、交代対象の観戦者の識別情報(端末IDおよびプレイヤID)が付加される。
【0110】
交代依頼手段24は、コミュニケーションサーバ102を介して、交代を希望する観戦者に交代を依頼する。この交代依頼の形態としては、リアルタイムに文字ベースの会話を行うことができるチャット形式がある。チャット形式の交代依頼の場合は、例えば、依頼者であるプレイヤが「操作を交代してください」等の任意のコメント(交代依頼情報)を、コミュニケーションサーバ102を介して交代を希望する観戦者に送信する。それに対して、観戦者が、「了解しました」等の任意のコメント(交代受諾情報)を、コミュニケーションサーバ102を介してプレイヤの端末装置103へ返信する。なお、観戦者が交代を希望しない場合は、「交代を希望しません」等の任意のコメント(交代拒否情報)を、コミュニケーションサーバ102を介してプレイヤの端末装置103へ返信することもできる。
【0111】
他の交代依頼の形態としては、コミュニケーションサーバ102を介して、交代を希望する観戦者に交代依頼コマンド(交代依頼情報)を送信するコマンド形式もある。この場合、交代依頼コマンドを受けた観戦者の表示画面には、プレイヤからの交代依頼を示す情報が表示され、当該依頼に対して観戦者が、所定のボタン操作やポインティングデバイス操作等を行うことにより、交代受諾コマンド(交代受諾情報)を、コミュニケーションサーバ102を介してプレイヤの端末装置103へ返信する。なお、観戦者が交代を希望しない場合は、交代拒否コマンド(交代拒否情報)を、コミュニケーションサーバ102を介してプレイヤの端末装置103へ返信することもできる。
【0112】
観戦者情報受信手段25は、対戦サーバ101の観戦者管理手段70から、インターネット104を介して観戦者情報を受信する。
【0113】
観戦者リスト表示手段26は、受信した観戦者情報に基づいて、対戦を行っているプレイヤ(対戦者)の端末装置103の表示画面に、対戦を観戦している観戦者の一覧リストを表示する。図10の例では、端末装置Aの表示画面には、観戦者C、D、E、Fの情報が表示され、端末装置Bの表示画面にも、観戦者C、D、E、Fの情報が表示される。
【0114】
観戦者のリスト表示形式には、様々な形態が考えられる。例えば、対戦中のゲーム画面から観戦者リストの画面(ウインドウ)を呼び出して、観戦者の一覧リストを表示することもできる。あるいは、対戦中のゲーム画面の中に、常時、観戦者を表示することも可能である。その一例としては、野球場のスタンドの中に観戦者のキャラクタ(観戦者の分身として画面上に登場するキャラクタであるアバター等)を表示することが考えられる。このように、対戦中のゲーム画面内に観戦者のキャラクタを表示することによって、観戦者のゲームへの参加意識(観戦者としての参加意識)が高まり、興趣性を高めることができると共に、プレイヤにとっても観戦者として誰がいるのかを容易かつ迅速に判断できる。
【0115】
また、観戦者リスト表示手段26は、上記の観戦者リストに、各観戦者のゲーム操作能力の高さを示す段位(能力評価レベル)を併せて表示する段位表示部(能力評価レベル表示部)26aを備えている。これにより、対戦を行っているプレイヤ(対戦者)は、各観戦者の段位を確認しながら交代を希望する観戦者を選択することができる。よって、予めゲーム操作能力の高さを知っている友人・知人だけではなく、全くそのような予備知識のない観戦者であっても、プレイヤは、段位表示部26aにより表示される段位を参考にして、交代を希望する観戦者として選択できるようになる。
【0116】
観戦者選択手段27は、前記観戦者リスト表示手段26により画面に表示された観戦者リストの中から、交代を希望する観戦者の選択処理を実行する。例えば、表示された観戦者リストに対して、所定のボタン操作やポインティングデバイス操作等を行うことにより、プレイヤが、交代を希望する観戦者を選択することができる。特に、対戦中のゲーム画面内に観戦者のキャラクタ(アバター等)を表示する形式の場合、画面を切り替えたり別ウインドウ画面を表示したりすることなく、対戦中のゲーム画面内で迅速に上記選択処理が行えるので望ましい。
【0117】
段位情報受信手段28は、対戦サーバ101へのログイン時や対戦終了時に、対戦サーバ101から送信される段位情報を受信する。段位表示手段29は、段位情報受信手段28が受信した段位情報に基づいて、プレイヤの現在の段位をモニタ21aに表示する。
【0118】
通信状態確認手段30は、対戦サーバ101との間の通信状態および対戦相手端末装置との通信状態を確認するものであり、定期通信状態確認部30aと、対戦通信状態確認部30bとを含む。定期通信状態確認部30aは、対戦サーバ101への接続後、所定時間毎に(例えば、10秒毎に)対戦サーバ101に定期データ(ハートビート)を送信しながら対戦サーバ101との間の定期通信が確立されているか否かを確認する。対戦通信状態確認部30bは、対戦ゲーム中に、対戦相手端末装置との間のデータの送受信状態を検知しながら対戦相手端末装置との間の対戦通信が確立されているか否かを確認する。
【0119】
例えば、端末装置AのプレイヤAと端末装置BのプレイヤBとの対戦中に、端末装置Aの通信が切断された場合を考えると、端末装置Bでは、定期通信状態確認部30aによって対戦サーバ101と端末装置Bとの間の定期通信が確立していることが確認される一方、対戦通信状態確認部30bによって端末装置Aと端末装置Bとの間の対戦通信が切断されたことが確認される。これにより、端末装置Bの通信状態確認手段30は、対戦中に対戦相手端末装置(端末装置A)が通信を切断したことを検知する。
【0120】
通信切断情報送信手段31は、通信状態確認手段30によって対戦相手端末装置が対戦中に通信を切断したことが検知された場合、対戦中に対戦相手端末装置が通信を切断した旨の通信切断情報を対戦サーバ101に送信することによって、対戦サーバ101へ異常終了通知を行う。
【0121】
次に、本実施の形態に係るネットワークゲームシステム100の動作の概略について、図7ないし図9に示すフローチャートを用いて説明する。
【0122】
図7のフローチャートは、プレイヤAの端末装置AおよびプレイヤBの端末装置Bがネットワークゲームシステム100に参加し、両端末装置A・Bがマッチングされ、プレイヤA(対戦者A)とプレイヤB(対戦者B)とが対戦する場合を想定した動作例を示すものである。
【0123】
各プレイヤはネットワークゲームに参加するためには、ネットワークゲームシステム100に端末装置を組み込むことが必要となる。そこで、プレイヤAは、端末装置Aを操作して条件設定を行った後に、対戦サーバ101へネットワークゲームへの参加要求(ログイン)を行う(S11)。同様に、プレイヤBは、端末装置Bを操作して各種条件設定をした後に、対戦サーバ101へネットワークゲームへの参加要求(ログイン)を行う(S21)。
【0124】
各端末装置A・Bから参加要求を受けた対戦サーバ101は、ログイン認証を行った上で、各端末装置A・Bのネットワークゲームへの参加を受け付ける(S31)。その後、対戦サーバ101は、対戦を要求している複数の端末装置からなる対戦要求端末群の中から対戦相手の組み合わせを決定するマッチングを行う(S32)。ここでは、端末装置Aと端末装置Bとがマッチングされたものとして説明を続ける。対戦サーバ101は、マッチングされた端末装置Aと端末装置Bとに対して、それぞれ対戦相手情報を通知する(S33)。
【0125】
端末装置Aが対戦サーバ101から対戦相手情報を受領すると共に(S12)、端末装置Bが対戦サーバ101から対戦相手情報を受領することによって(S22)、両端末装置A・BがP2Pで相互に接続できるようになり、両端末装置A・Bが対戦ゲームを開始する(S13およびS23)。
【0126】
また、各端末装置A・Bは、対戦ゲーム中、対戦サーバ101に定期データ(ハートビート)を送信する定期通信も行っている(S14およびS24)。そして、対戦サーバ101は、各端末装置A・Bからハートビートを受信することによって、各端末装置A・Bの定期通信状態を確認している(S34)。
【0127】
ここで、対戦ゲーム中に端末装置Aの通信が切断された場合(S15)、端末装置Aと対戦サーバ101との間の定期通信が途絶えると共に、端末装置Aと端末装置Bとの間の対戦通信も途絶える。一方、端末装置Bと対戦サーバ101との間の定期通信は継続される(S25)。この場合、対戦サーバ101は、端末装置Aからの定期通信が途絶え、かつ、端末装置Bからの定期通信が継続されている状態をもって、対戦ゲーム中に端末装置Aが通信を切断したと判断することができる。また、端末装置Bは、対戦サーバ101との間の定期通信が継続できているにもかかわらず、端末装置Aとの間の対戦通信が切断されたことをもって、対戦ゲーム中に端末装置Aが通信を切断したと判断することができる。そこで、端末装置Bは、対戦中に端末装置Aが通信を切断した旨を示す通信切断情報を対戦サーバ101へ送信する(S26)。対戦サーバ101は、端末装置Bから上記の通信切断情報を受領することによって、端末装置Aが対戦中に通信を切断したことを確信する(S35)。
【0128】
また、図8のフローチャートは、端末装置Cを操作するユーザCが、プレイヤAが対戦しているゲームの観戦者となり、プレイヤAの端末装置Aからゲーム状況データを受信して観戦を行う場合を想定した動作例を示すものである。
【0129】
ユーザCが、プレイヤAが対戦しているゲームの観戦者となるために、端末装置Cを操作して、対戦サーバ101に観戦要求(観戦要求コマンドの送信)を行う(S41)。これに対して、対戦サーバ101は、観戦要求コマンドを受信して、ユーザC(観戦者C)の端末装置103を観戦端末とするゲーム観戦を受け付ける(S51)。
【0130】
次に、対戦サーバ101は、プレイヤAの端末装置Aに対して、ユーザCが観戦者となることを示す観戦者情報を通知する(S52)。このとき、対戦サーバ101は、プレイヤAの端末装置Aに対して、ユーザCの端末装置CとP2P接続を行ってゲーム状況データを端末装置Cに送信すべき旨の指示を行う。また、対戦サーバ101は、P2P接続によるゲーム状況データの送信元となる端末装置が端末装置Aである旨を、観戦者Cの端末装置Cに通知する(S53)。
【0131】
このように、観戦者の端末装置は、自分が応援したいプレイヤ(対戦者)の対戦端末と直列接続される系列の下流に入ることになる。ここで、対戦中のプレイヤに対して、当該プレイヤの対戦端末と直列接続されている系列の端末装置の観戦者とのみ交代可能とする制限を設けた場合、友人の多い(あるいは人気のある)プレイヤほど、交替可能な観戦者を多く抱えることとなり(従って、交替可能な観戦者のレベル、能力の多様性が向上することとなり)、有利になる。この結果、プレイヤ自身の操作能力以外の要素が加味されることとなり、従来にないゲームの趣興性を打ち出すことができる。
【0132】
次に、対戦端末としての端末装置Aは、観戦者情報およびゲーム状況データを送信すべき端末装置の情報を受信し(S61)、端末装置CとP2P接続を行うべきことを認識する。また、観戦端末としての端末装置Cは、ゲーム状況データの送信元となる端末装置の情報を受信し(S42)、端末装置AとP2P接続を行うべきことを認識する。
【0133】
そして、端末装置Aと端末装置CとがP2P接続を行い、端末装置Aから端末装置Cへ最新のゲーム状況データが送信される(S62およびS43)。これにより、端末装置Cの観戦者Cは、プレイヤAが対戦しているゲームを、端末装置Cの表示画面上で観戦することができる。端末装置Aから端末装置Cへのゲーム状況データの送信は、途中で端末装置Cの観戦者Cが観戦を中止するか、または端末装置A、C間の通信がネットワーク障害等によって途絶えない限り、ゲーム終了まで継続される(S63)。
【0134】
また、端末装置Cは、観戦中において、対戦サーバ101に定期データ(ハートビート)を送信する定期通信も行っている(S44)。そして、対戦サーバ101は、端末装置Cからハートビートを受信することによって、端末装置Cの定期通信状態を確認している(S54)。この端末装置Cによる定期通信および対戦サーバ101による定期通信状態の確認は、途中で端末装置Cの観戦者Cが観戦を中止しない限り、ゲーム終了まで継続される(S45およびS55)。
【0135】
また、図9のフローチャートは、プレイヤAとプレイヤBとが対戦している最中に、プレイヤAが自己のキャラクタ操作を観戦者Eと交代する場合を想定した動作例を示すものである。図9のフローチャートの動作例を、さらに図10ないし図15を参照しながら以下に説明する。
【0136】
ここでは、図10に示すように、プレイヤA(以下、対戦者A)とプレイヤB(以下、対戦者B)とが対戦している場合において、対戦者A側の観戦者として観戦者Cおよび観戦者Eが存在し、対戦者B側の観戦者として観戦者Dおよび観戦者Fが存在する場合を例示する。
【0137】
対戦者Aが観戦者Eに交代を依頼しようとする場合、先ず、対戦者Aが対戦相手である対戦者Bに作戦タイムをかけて対戦を一時的に中断する。この場合、対戦者Aの端末装置Aから対戦者Bの端末装置Bへ、対戦サーバ101を介して、対戦中断コマンドが送信されて、対戦が一時中断状態になる。このとき、対戦サーバ101の交代時間管理部72cは、交代処理上限時間の管理を開始する。
【0138】
上記のようにして対戦を一時中断状態とした後、図11に示すように、対戦者Aは、コミュニケーションサーバ102を介して、交代を希望する観戦者Eに交代を依頼する。すなわち、対戦者Aの端末装置Aからコミュニケーションサーバ102へ、観戦者Eを指定した交代依頼情報が送信される(S71)。ここで、観戦者Eは、対戦者Aが予めゲーム操作能力の高さを知っている友人・知人または観戦者リストに表示される段位を参考にして対戦者Aが選択した観戦者である。交代依頼情報を受信したコミュニケーションサーバ102は、当該交代依頼情報を、観戦者Eの端末装置Eへ転送する(S81)。そして、観戦者Eの端末装置Eは、コミュニケーションサーバ102から交代依頼情報を受信する(S91)。これによって、端末装置Eの表示画面には、対戦者Aからの交代依頼を示す情報が表示される。
【0139】
そして、観戦者Eが交代を受諾する場合、端末装置Eが対戦者Aの端末装置Aへコミュニケーションサーバ102を介して交代受諾情報を返信し(S92およびS82)、端末装置Aが当該交代受諾情報を受信する(S72)。
【0140】
上記で説明した交代依頼・受諾の処理(S71、S72、S81、S82、S91、S92)は、前述のチャット形式またはコマンド形式の何れを用いてもよい。なお、観戦者が交代を希望しない場合は、交代拒否情報を、コミュニケーションサーバ102を介して対戦者Aの端末装置Aへ返信することもできる。観戦者が交代を拒絶すれば、交代不成立で作戦タイムによる一時中断が解除されて、対戦者Aと対戦者Bとの対戦が再開されることになる。また、交代依頼・受諾のやりとりに時間がかかって交代処理上限時間を経過してしまった場合も、交代不成立で作戦タイムによる一時中断が解除されて、対戦者Aと対戦者Bとの対戦が再開されることになる。ここでは、交代処理上限時間内に観戦者Eが交代を受諾するものとして、以下の説明を続ける。
【0141】
次に、対戦者Aの端末装置Aは、図12に示すように、対戦サーバ101へ、観戦者Eへの交代を要求(交代要求コマンドを送信)する(S73)。そして、対戦サーバ101は、交代要求コマンドを受信して、対戦者Aの交代要求を受け付ける(S101)。
【0142】
次に、対戦サーバ101は、図12に示すように、対戦者Aの対戦相手である対戦者Bの端末装置Bに対して、対戦相手を対戦者Aから観戦者Eに変更すべき旨を示す対戦相手変更情報を送信し(S102)、端末装置Bは対戦相手変更情報を受信する(S111)。そして、図13に示すように、交代を要求した端末装置Aと対戦相手変更情報を受信した端末装置Bとは、P2P接続を解除する(S74およびS112)。
【0143】
また、対戦サーバ101は、数珠繋ぎP2P接続の順番を、例えば図14に示すように、端末装置E→端末装置A→端末装置Cに変更するために、各端末装置にP2P接続の変更を指示するP2P接続変更情報を送信する(S103)。そして、P2P接続の順番の変更後、図15に示すように、端末装置Eと端末装置BとがP2P接続を行い、ユーザEが観戦者から対戦者となって、対戦者Bとの対戦ゲームを実行する(S94およびS113)。この対戦ゲームにおいて、ユーザAと交代したユーザEは、当該ユーザAのキャラクタ操作(ゲーム内操作)を、ユーザE(対戦者E)の端末装置Eを操作することにより実行する。このとき、ゲーム画面内のユーザAのキャラクタ自体は変更されていないので、端末装置Bを操作している対戦者Bにとっては、当該交代によりゲーム進行に違和感を与えるようなこともない。
【0144】
なお、ユーザAのキャラクタの操作を行っている者がユーザAからユーザEに交代したことを対戦者Bの端末装置Bの画面上に表示しなければ、対戦者Bにとっては、ユーザAのキャラクタの操作を行っている者の交代を意識することなく、ゲームを進行することができる。一方、ユーザAのキャラクタの操作を行っている者がユーザAからユーザEに交代したことを対戦者Bの端末装置Bの画面上に表示することにより、対戦者Bに対して、ユーザAのキャラクタの操作を行っている者の交代の事実を認識させることができる。例えば、ユーザAのキャラクタの操作を行っている者がユーザAからユーザEに交代したことで、ユーザA側のゲーム内操作能力が突然高くなることもあるので、交代の事実を対戦者Bの端末装置Bの画面上に表示する方が望ましいこともある。交代の事実を対戦者の端末装置の画面上に表示するか否かは、任意に設定することができる。
【0145】
また、対戦中においては、端末装置Eから端末装置Aにゲーム状況データが送信され(S95)、当該ゲーム状況データを受信した端末装置Aの観戦者A(元の対戦者)は、対戦ゲームの状況を、端末装置Aの表示画面上で観戦することができる(S76)。
【0146】
なお、ネットトラブルその他の要因により、交代処理上限時間以内に、端末装置Eと端末装置BとのP2P接続が完了しなかった(交代処理が完了しなかった)場合、対戦サーバ101は、自動的に端末装置Aと端末装置BとのP2P接続を実行させて、交代のない対戦を再開させる。
【0147】
上記では、対戦者Aが、当該対戦者A側の観戦を行っている観戦者Eと交代する例を示したが、これに限定されるものではなく、対戦者Aの対戦相手である対戦者B側の観戦を行っている観戦者Dまたは観戦者Fと対戦者Aとが交代を行うことも可能である。但し、友人の多い(あるいは人気のある)プレイヤ(対戦者)ほど、交替可能な観戦者を多く抱えることで有利になるといったゲーム性を生かすためには、プレイヤには、当該プレイヤの対戦端末と直列に接続されている系列の端末装置の観戦者とのみ交代が可能という制限を設けることが望ましい。
【0148】
また、上記では、対戦者Aが既に観戦を行っている観戦者Eと交代する例を示したが、図16に示すように、対戦者Aが未だ観戦を行っていないユーザGに対して観戦を呼びかけて、ユーザGと交代を行うようにすることも可能である。すなわち、ユーザGの端末装置Gが対戦サーバ101にログインしており、ネットワークゲームシステム100内に組み込まれている状態であれば、対戦者Aは、コミュニケーションサーバ102を介して、チャット等でユーザGに交代依頼を行うことができる。そして、ユーザGが交代を受諾する場合、図17に示すように、その後にユーザG(観戦者G)の端末装置Gを観戦端末として組み込めば、上述のように対戦者Aと観戦者Gとの交代を実現できる。このように、本ネットワークゲームシステム100では、どのタイミングで端末装置を観戦端末として組み込んでも、対戦者と観戦者との交代が可能である。
【0149】
なお、このように、ユーザGの端末装置Gが単なるユーザ端末としてではなく、予め観戦者Gの観戦端末として組み込まれていることで、上記交代に多くの時間を要することなくスムーズな実行が可能となる。この理由は以下の通りである。すなわち、シミュレーション系のゲームやスポーツゲームなどの場合、伝えるべきゲーム環境のデータ量(ゲーム状況データの量)は膨大である。よって、上記例では、対戦者AがユーザGと交代したいと考えた場合、その場で、対戦者Aの端末装置AからユーザGの端末装置Gへゲーム状況データを転送していたのでは、そこからかなりの時間を要することになってしまい、その結果として対戦相手を長時間待たせるという不都合を招来する。この点、上記構成であれば、ユーザG(観戦者G)の端末装置Gは、観戦端末として最初から対戦者Aの端末装置Aと同じゲーム状況データを共有している状態にあるため、対戦者Aがプレイヤ交代をしたいと思った時に、観戦者Gの端末装置Gへのデータ転送を最低限に抑えることが可能となる。
【0150】
ところで、図17に示すように、新たに観戦者となるユーザGの端末装置Gは、対戦者Aの端末装置Aと直列に接続される系列の最も下位に組み込まれることになる。すなわち、対戦者Aと交代をするために、ユーザGが対戦者Aの対戦端末を指定して観戦することを対戦サーバ101に要求したとき、対戦サーバ101の観戦者管理手段70は、当該対戦端末と直列に接続される系列の最も下流に接続されている端末装置Eのさらに下位に、ユーザGの端末装置Gを観戦端末として接続する。これにより、対戦者Aの系列内で既に観戦端末として存在している端末装置C、Eの直列接続を維持したまま、新たな観戦者Gの端末装置Gを系列の最下流の端末装置Eと接続することにより、端末装置Gを観戦端末として容易かつ迅速に組み入れることが可能となる。そして、その後に観戦者Gの端末装置Gを対戦端末とする交代処理がなされる場合、ユーザGの端末装置Gの観戦端末としての組み入れが迅速であるため、交代処理までに要する時間も短縮化できる。
【0151】
また、ユーザAのキャラクタ操作をユーザA(元の対戦者で現在の観戦者)と交代したユーザE(現在の対戦者)が、再度、ユーザAと交代する場合は、図9のフローチャートに示したルーチンと同様の処理を行うことにより実現できる。さらに、ユーザAと交代したユーザE(現在の対戦者)が、ユーザAとは異なる他の観戦者(例えば、図15における観戦者C、DまたはF)と交代する場合も、図9のフローチャートに示したルーチンと同様の処理を行うことにより実現できる。さらに、交代後の観戦者(現在の対戦者)が別の観戦者と交代することもでき、キャラクタ操作の交代は、基本的に何度でもすることが可能である。但し、対戦中にキャラクタ操作の交代を頻繁に行うことによって、ゲーム進行が滞り、対戦相手の興趣性を損ねることもあり得るので、これを回避するために、1ゲーム当たりの交代回数の上限を設けてもよい。
【0152】
上記では、端末装置103同士間で直接データのやりとりを行うP2P接続によりネットワークゲームを行うゲームシステムについて説明したが、以下に、クライアント/サーバ(C/S)接続によりネットワークゲームを行うゲームシステムについて説明する。
【0153】
図18に例示するように、C/S接続のゲームシステムでは、対戦サーバ201とクライアントとしての端末装置A、B、C、D、E、Fとが、インターネット104を介して接続されている。そして、対戦者Aと対戦者Bとの間の対戦、および各観戦者C、D、E、Fの観戦は、全て対戦サーバ201を介して実現されることになる。
【0154】
C/S接続のゲームシステムにおける対戦サーバ201のサーバ制御部の基本的な構成は、図4に示した対戦サーバ101のサーバ制御部10cと同様であり、その説明を省略する。但し、C/S接続のゲームシステムにおける対戦サーバ201の交代管理手段は、図5に示した対戦サーバ101の交代管理手段72のP2P接続変更情報送信部72bを含まない構成となっている。
【0155】
上記のようなC/S接続のゲームシステムにおいて、対戦者Aが自己のキャラクタ操作を観戦者Eと交代することを希望する場合、図19に示すように、対戦者Aが、コミュニケーションサーバ102を介して、観戦者Eに交代を依頼する。この動作は、図11に示した動作と同様であり、対戦者Aの端末装置Aから観戦者Eの端末装置Eへ、コミュニケーションサーバ102を介して交代依頼情報が送信される。これによって、端末装置Eの表示画面には、対戦者Aからの交代依頼を示す情報が表示される。そして、観戦者Eが交代を受諾する場合、端末装置Eが、コミュニケーションサーバ102を介して対戦者Aの端末装置Aへ交代受諾情報を返信する。
【0156】
次に、対戦者Aの端末装置Aは、図20に示すように、対戦サーバ201へ、観戦者Eへの交代を要求(交代要求コマンドを送信)する。そして、対戦サーバ201は、交代要求コマンドを受信して、対戦者Aの交代要求を受け付ける。また、対戦サーバ201は、対戦者Aの対戦相手である対戦者Bの端末装置Bに対して、対戦相手が対戦者Aから観戦者Eに変更となることを示す対戦相手変更情報を送信する。その後、対戦サーバ201は、図21に示すように、対戦者Aの端末装置Aが観戦端末となる一方、観戦者Eの端末装置Eが対戦端末となるように入れ替えて、最終的に図22に示すように、ユーザE(対戦者E)と対戦者Bとの対戦ゲームを実現する。この場合、ユーザAと交代したユーザEは、当該ユーザAのキャラクタ操作を、ユーザE(対戦者E)の端末装置Eを操作することにより実行する。また、対戦中においては、対戦サーバ201から端末装置A、C、D、Fにゲーム状況データが送信される。よって、ゲーム状況データを受信した端末装置Aの観戦者A(元の対戦者)は、対戦ゲームの状況を、端末装置Aの表示画面上で観戦することができる。
【0157】
このように、C/S接続のゲームシステムでは、対戦および観戦の全ての通信処理を、対戦サーバ201を介して実行するので、対戦サーバ201の負荷はP2P接続のゲームシステムに較べて大きいが、対戦者と観戦者との交代処理をP2P接続のゲームシステムよりも簡単に実現することができる。
【0158】
P2P接続またはC/S接続の何れのゲームシステムにおいても、対戦中のプレイヤと交代して当該プレイヤのキャラクタ操作を行った観戦者が存在する場合は、対戦ゲームが終了したときに、対戦サーバ101(201)が当該観戦者の寄与率に応じて観戦者に段位ポイントを付与することになる。そこで、対戦ゲーム終了時の対戦サーバ101(201)の動作の一例を、図23のフローチャートを参照して説明する。ここでは、端末装置Aを操作するプレイヤAと端末装置Bを操作するプレイヤBとが対戦したものとして以下に説明する。また、図23のフローチャートの動作について、対戦サーバ101と対戦サーバ201の動作は同一であるので、以下では、対戦サーバ101の動作として説明する。
【0159】
対戦サーバ101は、対戦ゲームが終了した場合(S121でYES)、プレイヤAが対戦に勝利した勝者であるか否かを判断する(S122)。プレイヤAが勝者である場合(S122でYES)、対戦サーバ101は、さらに、プレイヤAが対戦中に観戦者と途中で交代したか否かを判断する(S123)。そして、対戦中に観戦者と交代している場合(S123でYES)、対戦サーバ101の寄与率演算手段73は、対戦中のプレイヤAと交代して当該プレイヤAのキャラクタ操作を行った観戦者のゲームへの貢献の程度を示す寄与率を求める(S124)。その後、対戦サーバ101の段位管理手段67(ポイント付与手段)は、求めた寄与率に応じて、前記観戦者に段位ポイント(メリットポイント)を付与する(S125)。その後、対戦サーバ101の段位管理手段67は、勝者であるプレイヤAに対して、勝利ポイントを当該プレイヤAの段位ポイントに付加する(S126)。なお、対戦中に観戦者と交代していない場合は(S123でNO)、上記S124およびS126を実行することなくS126に移行する。
【0160】
また、プレイヤAが敗者である場合(S122でNO)、対戦サーバ101の段位管理手段67は、プレイヤAに対して、敗戦ポイントを当該プレイヤAの段位ポイントから削減する(S127)。
【0161】
上記S126またはS127の後、対戦サーバ101の段位管理手段67は、プレイヤAの段位ポイントに基づいて段位判定を行う(S128)。このとき、対戦サーバ101の段位管理手段67は、S125において寄与率に応じて観戦者に段位ポイントを付与している場合も、当該観戦者の現在の合計段位ポイントに基づいて段位判定を行う。そして、対戦サーバ101の段位通知手段68は、プレイヤAおよび交代をした観戦者に対して、段位情報を送信する(S129)。
【0162】
その後、対戦サーバ101は、全てのプレイヤの段位判定処理が終了したかを判断する(S130)。ここでは、プレイヤBに対する段位判定処理が終了していないので(S130でNO)、S122に移行し、プレイヤBに対しても上記と同様の処理がなされることになる。
【0163】
このように、対戦中のプレイヤと交代した観戦者の寄与率に応じて当該観戦者に段位ポイントを付与することにより、交代をする観戦者にとっての興趣性を高めることが可能になる。また、なんらメリットのない交代と異なり、交代によってメリットを得る機会を与えることにより、観戦者が積極的に交代を行おうとするゲーム環境を構築でき、交代可能なシステムを円滑に運用することができる。
【0164】
以上のように、本実施の形態に係るネットワークゲームシステム100は、少なくとも2台の端末装置103を含む対戦端末をそれぞれ操作するプレイヤ同士がインターネット104等の通信ネットワークを介して対戦している最中に、少なくとも1台の端末装置103を含む観戦端末を操作する観戦者が通信ネットワークを介して対戦中のゲーム状況を観戦することが可能なゲームシステムである。そして、ネットワークゲームシステム100は、対戦中のプレイヤが当該プレイヤのゲーム内操作を前記観戦者と交代することを要求したとき、当該プレイヤの端末装置103を観戦端末とすると共に前記観戦者の端末装置103を対戦端末とする交代処理を管理する交代管理手段72を備えている。この交代管理手段72により前記プレイヤと交代した前記観戦者は、当該プレイヤのゲーム内操作を、当該観戦者の端末装置103を操作することにより交代実行することができる。
【0165】
これにより、不得意なゲーム内操作を行わなければならない状況に陥ったプレイヤが観戦者の助けを借りて自らのゲームを進めることが可能になり、これまで特定の操作が不得意であるためにゲームそのものの興趣を欠いていたプレイヤに対し、ゲームの興趣性を高めることができる。さらに、対戦中のプレイヤと観戦者とが交代できるゲーム環境を構築することができるので、対戦を観戦しているだけでは決して得られないユーザ同士のコミュニティを形成することも可能になる。これにより、より興趣性の高い通信対戦型のネットワークゲームを実現している。
【0166】
なお、上述のように、対戦サーバ101の機能はネットワークゲームシステム100内のどこかで実現されればよいため、機能分散型の複数台のサーバとして実現することもできる。また、ネットワークゲームシステム100内にある1台または複数台の小型コンピュータに、対戦サーバ101の機能の一部または全部を持たせるシステム構成も可能である。
【0167】
また、本実施の形態では、対戦サーバ101とは別にコミュニケーションサーバ102を設けているが、コミュニケーションサーバ102の機能を対戦サーバ101に持たせてコミュニケーションサーバ102を省略する構成も可能である。
【0168】
本実施の形態に係るネットワークゲームシステム100において、対戦サーバ101(201)および端末装置が実行するコンピュータ読み取り可能な各種プログラムは、ハードディスク、光ディスク(CD−ROM、DVD−ROM、UMDなど)、フレキシブルディスク、半導体メモリ、ROMカセット、あるいは家庭用ビデオゲーム装置用のカートリッジ等のコンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録され、対戦サーバ101および端末装置に読み出されて実行される。なお、各種プログラムを対戦サーバ101や端末装置に提供する手段は、前述した記録媒体に限定されるものではなく、インターネット104介して行うこともできる。例えば、ネットワークゲームを管理している会社が提供するホームページ等からインターネット104を介してダウンロード可能な場合は、ゲーム進行プログラム等を当該ホームページから直接ダウンロードして実行できるようにしてもよい。
【0169】
また、本実施の形態では、ネットワークゲームの一例として野球ゲームを挙げて説明したが、適用可能なネットワークゲームはこれに限定されるものではなく、プレイヤ間で対戦を行う通信対戦型のネットワークゲームであれば、種々のゲームに適用することができる。例えば、サッカー、テニス、格闘技等の種々のスポーツゲーム、シミュレーションゲーム、シューティングゲーム、ロールプレイングゲーム等に同様に適用することができる。
【0170】
また、本実施の形態では、2人のプレイヤが一対一で対戦する例を示したが、3人以上のプレイヤが対戦するネットワークゲームにも適用可能である。例えば、対戦型カーレースゲームでは、ゲームに参加するプレイヤを3人以上とすることができる。
【0171】
また、本実施の形態では、能力評価レベルとして段位を用いた例を示したがこれに限定されるものではなく、例えば、報賞、名誉、等級などとして表される他の能力評価レベルを用いることもできる。
【0172】
なお、本実施の形態では、寄与率に応じて交代をした観戦者に付与するメリットポイントとして段位ポイントを例示して説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ゲーム内で使用できる仮想通貨ポイントをメリットポイントとし、交代をした観戦者に対してその寄与率に応じて仮想通貨ポイント付与するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0173】
10a 制御部
10c サーバ制御部
21 対戦要求手段
22 観戦要求手段
23 交代要求手段
24 交代依頼手段
25 観戦者情報受信手段
26 観戦者リスト表示手段
27 観戦者選択手段
28 段位情報受信手段
29 段位表示手段
30 通信状態確認手段
31 通信切断情報送信手段
50c サーバ通信部
61 対戦要求受付手段
62 待機端末管理手段
63 プレイヤ情報記憶手段
64 マッチング手段
65 対戦相手通知手段
66 対戦管理手段
67 段位管理手段
68 段位通知手段
69 観戦要求受付手段
70 観戦者管理手段
71 交代要求受付手段
72 交代管理手段
72a 対戦相手変更情報送信部
72b P2P接続変更情報送信部
72c 交代時間管理部
73 寄与率演算手段
100 ネットワークゲームシステム
101 対戦サーバ
102 コミュニケーションサーバ
103 端末装置
104 インターネット(通信ネットワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2台の端末装置を含む対戦端末をそれぞれ操作するプレイヤ同士が通信ネットワークを介して対戦している最中に、少なくとも1台の端末装置を含む観戦端末を操作する観戦者が通信ネットワークを介して対戦中のゲーム状況を観戦することが可能なネットワークゲームを実行するゲームシステムであって、
対戦中のプレイヤが当該プレイヤのゲーム内操作を前記観戦者と交代することを要求したとき、当該プレイヤの端末装置を観戦端末とすると共に、前記観戦者の端末装置を対戦端末とする交代処理を管理する交代管理手段を備えており、
前記交代管理手段により前記プレイヤと交代した前記観戦者は、当該プレイヤのゲーム内操作を当該観戦者の端末装置を操作することにより実行することを特徴とするゲームシステム。
【請求項2】
対戦中のプレイヤがゲーム内操作の交代を希望する観戦者を選択するための観戦者リストを、当該プレイヤの操作する端末装置に表示する観戦者リスト表示手段をさらに備え、
前記観戦者リスト表示手段は、各観戦者のゲーム操作能力の高さを示す能力評価レベルを前記観戦者リスト内に表示する能力評価レベル表示部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
対戦中のプレイヤと交代して当該プレイヤのゲーム内操作を行った観戦者のゲームへの貢献の程度を示す寄与率を求める寄与率演算手段と、
前記寄与率演算手段が求めた寄与率に応じて前記観戦者にメリットポイントを付与するポイント付与手段と、をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記交代管理手段は、前記プレイヤと交代した前記観戦者が前記プレイヤまたは他の観戦者と再度交代することを要求したとき、当該観戦者の端末装置を対戦端末から観戦端末に戻すと共に、前記プレイヤまたは他の観戦者の端末装置を対戦端末とすることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記観戦端末に含まれる端末装置は、前記対戦端末の何れかに対してそれぞれ、順次、直列に接続されており、
観戦を希望する者が対戦端末を指定して観戦することを要求したとき、当該対戦端末と直列に接続される系列に当該観戦を希望する者の端末装置を観戦端末として接続する観戦者管理手段をさらに含み、
前記交代管理手段は、対戦中のプレイヤに対して、当該プレイヤの対戦端末と直列に接続されている系列の端末装置の観戦者とのみ交代することを許可するように前記交代処理を管理することを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記観戦者管理手段は、新たに観戦を希望する者が対戦端末を指定して観戦することを要求したとき、当該対戦端末と直列に接続される系列の最も下流に接続されている端末装置のさらに下位に、当該新たに観戦を希望する者の端末装置を観戦端末として接続することを特徴とする請求項5に記載のゲームシステム。
【請求項7】
少なくとも2台の端末装置を含む対戦端末をそれぞれ操作するプレイヤ同士が通信ネットワークを介して対戦している最中に、少なくとも1台の端末装置を含む観戦端末を操作する観戦者が通信ネットワークを介して対戦中のゲーム状況を観戦することが可能なネットワークゲームを実行するゲームシステムの制御方法であって、
対戦中のプレイヤが当該プレイヤのゲーム内操作を前記観戦者と交代することを要求したとき、当該プレイヤの端末装置を観戦端末とすると共に、前記観戦者の端末装置を対戦端末とする交代処理を管理する交代管理ステップを備えていることを特徴とするゲームシステムの制御方法。
【請求項8】
少なくとも2台の端末装置を含む対戦端末をそれぞれ操作するプレイヤ同士が通信ネットワークを介して対戦している最中に、少なくとも1台の端末装置を含む観戦端末を操作する観戦者が通信ネットワークを介して対戦中のゲーム状況を観戦することが可能なネットワークゲームを実行するゲームシステムに含まれるコンピュータに、
対戦中のプレイヤが当該プレイヤのゲーム内操作を前記観戦者と交代することを要求したとき、当該プレイヤの端末装置を観戦端末とすると共に、前記観戦者の端末装置を対戦端末とする交代処理を管理する交代管理機能を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−224204(P2011−224204A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97988(P2010−97988)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】