説明

ゲーム用孔カードを用いたゲームシステム

【課題】種々のコンピュータカードゲームに使用するカードに孔を開けることによって、目が不自由な人もカードゲームを行うことができ、カードの種類と個体差(同じカードの種類ではあるが、孔の開け方によってそれぞれの効果が異なる)を飛躍的に多くでき、従来にないゲーム機能を容易に実現できるカードを用いたゲームシステムを提供する。
【解決手段】ゲーム開始時にカード排出口3からカードが排出される。例えば、予め丸孔が形成されており、十字形孔などがプレイヤによって作られる。このように作られたカードをカード読取部2に搭載することにより、カードゲームを行うことができる。カード4に作られる孔の形状は、予め決められた多数の形の範囲の形状であれば、形の大小が異なっても、また、孔を形成する直線部分や曲線部分が正確に刻まれていなくても、カード読取部2は正確に読み込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム用に孔を開けたカードを用いてゲームを行うゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カードを用い、そのカードの内容を識別してカードゲームを行うものが多数実施されている。
その一つとして特許文献1が提案されている。
これはカードおよびカードゲームであり、カードゲームで使用するカードが、単純で飽き易いという欠点を解決する方法を示している。
その方法とはカード上の表示物を変更することであり、表示されている点数やプレイ方法がカードごとに異なっている。また、カードの位置の組み合わせによってゲームで使用される数値の変化や、ゲームにストーリー展開を盛り込もうとしている。
【0003】
このような方法によりゲームの進行が複雑な展開となる。また、この提案については孔は、カードを綴じるために用いられるものであって、カードの携帯性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−204313号公報
【特許文献2】特開2008−125973号公報
【特許文献3】特開2008−126607号公報
【特許文献4】特開2009−297303号公報
【特許文献5】特開2008−23233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、この提案ではカードにバリエーションをつけるためには、カードの印刷内容を変更し種類を多くする必要があるが、印刷内容の変更には人の手間と時間、すなわちコストがかかってしまうという欠点があった。そのためカードの種類を多くすることには限界があった。これは携帯ゲーム端末,家庭用ゲーム機や業務用ゲーム機に共通した問題であるが、業務用ゲーム機にとって顕著である。
(a)カードの種類を多くできないことは、ゲーム内容を従来のゲーム機にはない機能を実現させたものにする上で不都合であった。ロールプレイングゲームなどにおいて、例えば、戦闘する場合、ゲーマーにとっては戦い方の選択肢が多いほど、ゲーム性を高めることができる。また、カードの種類を多くできないことは、従来にない機能を盛り込む上で、ゲーム作りに支障をきたす。
【0006】
(b)また、カードは使用者の手に渡るときには印刷されているため、使用者が内容を変更したいと思っても困難である。これは、ゲームに参加してカードを一度手にした場合、そのカードによってゲーム内容の多様性を高めることができないものである。ゲーマーの意思によって、ゲーム途中からでもカードの種類を変えることができれば、ゲームに対する興味を向上させることができると考えられる。
【0007】
(c)さらに、カードは印刷物であるため、目の不自由な人には内容が判別できない。目が不自由な人が手にしただけで、判別できれば、そのカードを使用して、従来では参加できないようなゲームにも参加することができる可能性がある。
【0008】
カードに種々の認識するマークや絵柄を付けて、そのカードの種類を識別し、そのカードの内容を取り入れたゲームを実現するゲーム機は多数存在する。
例えば、特許文献2〜5である。
特許文献2は、カード基台の中央にキャラクタの絵が印刷され、カード基台の右上にキャラクタを識別するキャラクタコードが印刷されている。カード基台の下方向にはキャラクタの能力について、シールの形状で示すシールが貼付されている。シールを貼り代えることによりカードの能力の変更を行えるものである。しかしながら、このカードは、形が異なるシールを貼り代えることにより能力値を代えるため、変化させる能力値は、シールの形のみに限定され、シール自体多数の形を用意することができない。また、シール自体視覚で判定されるため、目の不自由な人は扱えない。すなわち、ゲームを実施するにあたり上記(a)と(c)の点について検討するとその問題点はそのまま残るものである。
【0009】
特許文献3は、カード基台の中央上部にキャラクタの絵が、その下部にQRコード(登録商標)が印刷されている。このQRコードを覆うようにスクラッチ層が形成されている。スクラッチ層にはQRコードが印刷されている。このスクラッチ層を爪先などで擦り取ることにより隠されたQRコードが現れ、カードの性格を変えるものである。カードの性格はスクラッチ層を擦り取ることにより1回だけ変えることができる。利用の仕方はスクラッチ層に印刷されたQRコードのままか、スクラッチ層を擦り取って下側のQRコードを使用するものである。しかしながらゲームを実施するにあたり上記(a)(b)(c)の点について検討するとその問題点はそのまま残るものである。
【0010】
特許文献4は、ゲームの出力画面上にカードを配置するカードゲーム機において、透明カードを用い、カード下を透かしてみせることにより、カードの種類に応じてカード中の絵柄や画像を変化させる処理を行ってカードのインタラクティブ性を向上させたものである。カードは偵察カードや,キャラクタカードなどであり、カード自体が当初より識別されるもので、ゲーム中に変化させることができるものではない。また、カードの上にシール等を貼付するようなカードでもない。したがって、ゲームを実施するにあたり上記(a)(b)(c)の点について検討すると、その問題は残るものである。
【0011】
特許文献5は、プレイヤがデータを保有するシールを使用してカードをデコレーションすることにより、外見上のカードのカスタマイズと対応する内部データのカスタマイズを同時に行うことができるカードである。基本カードにキャラクタの図柄が記載されており、そのキャラクタのデータが基本カードの磁気記録部に記録されている。キャラクタの頭部,腰,足などにシールを貼付することによりカスタマイズが可能である。シールにはシールの品物データが記録されている。シールを貼付しカスタマイズ、ということは、ゲーム途中でカードの性格を変えられるが、カスタマイズできるシールは限られており、多数のカードの種類を実現できるものではない。また、目の不自由な人を対象とするカードでもない。したがって、(a)(c)の点について検討すると、これについてもその問題は残る。
以上のような状況から上記(a)(b)(c)の問題を同時に解決できるものは存在しない。
【0012】
本発明の目的は、種々のコンピュータカードゲームに使用するカードに孔を開けることによって、目が不自由な人もカードゲームを行うことができ、カードの種類と個体差(同じカードの種類ではあるが、孔の開け方によってそれぞれの効果が異なる)を飛躍的に多くでき、従来にないゲーム機能を容易に実現できるカードを用いたゲームシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、カードの種類を特定するための印刷されたコードを備え、カードの他の領域には種々の形の孔を既に有しているか、種々の孔を開けることができるカードと、カードを格納するカード格納部と、前記カードのコードと、カードに孔が開いている場合は、開いている孔を読み取るカード読取装置と、前記カード読取装置で読み取ったコードおよび孔を解釈して、カードによって特定された種類のゲームを起動し、起動されたゲームについて前記孔によりそのゲームでカードが表現するアイテム,キャラクタの能力,体力,知恵または特殊能力のレベルの状態を解釈し、解釈した内容でゲームを立ち上げるように処理するゲーム処理部とを備え、ゲーム開始時に前記カード格納部からカードが排出され、排出の際に孔が形成されているか、排出された後に孔を形成したカード、またはすでに所持しているカードを前記カード読取装置に載置してゲームを行うことを特徴とする。
本発明の請求項2は請求項1記載の発明においてプレイヤが操作により所望の孔を開けるための孔開け装置を有し、カード排出の際にカードに孔開けを可能にすることを特徴とする。
本発明の請求項3は請求項1または2記載の発明において前記印刷されたコードは、カードの右上または左上に形成し、前記孔はカードの他の領域に形成することを特徴とする。
本発明の請求項4は請求項1,2または3記載の発明において前記孔によって解釈される内容は、孔の大きさ,形,数,位置によって異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記構成によれば、目が不自由な人もカードゲームを行うことができ、カードの種類および同じカードの種類ではあるが、孔の開け方によってそれぞれの効果が異なる個体差を飛躍的に多くできる。したがって、プレイヤのカードへの孔開けによりカードの種類を多くできたり、少なくでき、カードの種類を多くできることにより、従来にない多様なゲーム機能を容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明によるゲーム用孔カードを用いたゲームシステムの概略図である。
【図1B】孔開けカードの一例を示す図である。
【図1C】弓を表現するカードの孔の数などに対する効果を説明するための図である。
【図2】カード読取装置の基本的な動作を説明するための図である。
【図3】本発明によるゲームシステムのゲーム装置の回路の実施の形態を示す回路図である。
【図4】ちから99のカードに、種々の形状,大きさの孔が種々の位置に形成されたときの例を示す図である。
【図5】ゲーム進行の一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】ゲーム進行の他の例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1Aは本発明によるゲーム用孔カードを用いたゲームシステムの概略図である。
ゲームシステムはゲーム装置1とカード4よりなる。ゲーム装置1は正面にスクリーン7を有し、前面側にカード読取部2を備えている。カード読取部2の手前側には操作ボタン6が設けられている。スクリーン7の両側上部にはカード読取部2を照明する補助ライト9が配置されている。
プレイヤが位置するゲーム機本体の前面側にゲームを開始するときにカードを排出するためのカード排出口3が設けられている。
【0017】
図1Bは本発明に用いるカードの実施の形態を示す図である。
カード4は下部に「武器」というカード名45が記されている。カード4の右上にカードの種類を特定するための2次元コード41が印刷されている。ゲーム装置1は2次元コードによりこのカードは武器に関するカードということを読み取ることができる。
カード4の中央に「D」という図柄43が表示され、左上に丸孔42,中央に十字形孔44がそれぞれ形成されている。ここで、丸孔42は武器の中でも、例えば剣を意味する孔であり、十字形孔44はその剣の威力すなわち、相手に一撃を加えたときに所定量(例えば−50)を相手の生命力から削ぐ効果を与えるものである。丸孔42のカード中の位置によって例えば種々の剣(槍,鉄拳,鎖鎌,薙刀,弓など)を表現することができる。また、丸の大きさによって特定された武器について購入価格や取得価格などが決められる。さらに他の形状の孔の種類によって、例えば「弓」を選択している場合、相手に攻撃を仕掛けたときに相手に与えることができるダメージを数値で表現できる。
【0018】
図1Cは弓を表現するカードの孔の数などに対する効果を説明するための図である。
(イ)は孔の数と弓により放たれる矢の威力を数値表示したものである。カードに孔の数を多数設けるほど一度に放たれる矢の数が多くなるが反面その威力は小さくなる。
例えば孔の数が「1」個の場合、威力「8」の矢が放たれ、孔の数を「4」個にすると、威力「6」の矢が放たれる。したがって、孔を何個あけるかは、矢の威力を考慮して一番良いバランスを試行錯誤する必要がある。
(ロ)は孔の大きさに対する矢の大きさおよび矢の速度を数値表示したものである。
孔の大きさが大きくなる程、矢の大きさは大きくなり、敵に当たりやすくなるが、矢の放たれる速度は小さくなり当たりにくくなる。例えば、孔の大きさが「1」であれば、矢の大きさは「1」の寸法になって当たりにくいが、速度は「3」のスピードとなって当たりやすくなる。一方、孔の大きさを「3」というように大きくすると、矢の大きさは「3」というように大きくなり当たりやすくなるが、速度は「1」のスピードに低下するため当たりにくくなる。
(a)〜(e)は孔の方向と形状で矢の放たれる方向と形状が変化する例を示している。例えば(a)はカードの左上に孔が有るため、キャラクタの弓から放たれる矢はその方向に飛び、かつ矢の形状は丸孔特有の形である。(d)はカード下側にL形状の孔があるため、キャラクタの弓から放たれる矢は下側にL形状の軌跡で飛び、かつ矢の形状はL形孔特有の形状である。(e)はカードの上に円弧孔が、カードの下に星形孔があるため、キャラクタの弓から放たれる矢はそれぞれ上側と下側に飛び、かつ矢の形状は星形と円弧形特有の形状である。
【0019】
カードにそれぞれ異なる形状の孔が複数個形成されている場合、その組合せによって、特定された武器やアイテムの効果,威力,キャラクタの能力などが特定される。
ゲーム開始にあたりプレイヤはゲーム用孔カードをカード読取部2の上に搭載し、カードに開けられている孔の位置,大きさ,形状をゲーム装置は読み取ることとなる。
ゲーム装置から排出されて最初に取得したとき、予め特性を示す種々の孔が開けられているカードや、未だ孔を開けられていないが、プレイヤ自身が孔を自ら作ることもできるカードなどがある。このような場合、作った孔がゲーム装置によって読み取れないような形状,大きさの場合には、デフォルトで決められているカードの特性となる。カードを取得したときに孔が既に開いている場合でも、プレイヤ自らが孔を追加することができる。 既に開いている孔に対し繋げるように孔を追加した場合には、元の孔の形状が変わることになるが、変わった形状もゲーム装置が認識できる場合には、カードの性格が変わることになり、孔に対し繋げるように孔を追加して読み取れない形状などになった場合には、元の孔が示す特性が無くなり、基本的な特性を有するカードとなる。
【0020】
図2はカード読取装置の基本的な動作を説明するための図である。
カード読取部2の上にカード4を載置すると、補助ライト9の光によってカード4が照明され、孔42を有するカード4のイメージがカメラ8によって撮影される。カードのイメージは、ゲームを実行するCPUによって解析される。このカード4の場合、左上に小さい孔42が形成されており、3個の小さい孔42をCPUは認識し、予め登録されている孔の形状,位置,大きさ,および組合せに対し、カードがどのような特性、効果を有するかを記した表と比較し、カード読取部2に載置されたカードの特性,効果が認識される。また、同時に右上の2次元コード41も認識され、このカード4のデフォルトの特性が認識される。
【0021】
図3は、本発明によるゲームシステムのゲーム装置の回路の実施の形態を示す回路図である。本発明に直接関連する部分のみを示してある。
ゲーム装置は操作ボタン6,カード読取部2,入出力制御部24,補助ライト9,カード排出制御部25,カード排出口3,カード格納部26,孔開け装置27,スクリーン7,ROM22,RAM23およびCPU21を備えている。
操作ボタン6によりゲームの開始指示,スクリーン中に表示された部分の選択,実行操作,ゲーム終了操作などが行われ、入出力制御部24を介して、操作情報はCPU21に伝達される。ROM22にはこのゲーム装置全体の制御を司る制御プログラム,カードゲームを行うためのゲームプログラム,カード読取処理を行うためのカード読取プログラム,カードゲームに必要な情報が記憶されている。
【0022】
制御部21a,ゲーム実行部21bおよびカード読取制御部21cは、ROM22から各プログラムを読み出すことにより機能が実現される。
操作ボタン6が操作されゲームが起動すると、その起動情報はCPU21に伝達され、制御部21aはカード排出制御部25に対し、カード格納部26よりカードを取り出すよう指示を出す。カード格納部26より排出されるカードには、プレイヤの操作指示によって孔開け装置27で種々の位置,形状,大きさの孔を開けることができる。
このようにしてカードがカード排出口3より排出されプレイヤはこのゲームに使用するカードを取得することができる。
カード排出口3には既述したように孔が形成されていないカードか、または所定の位置に所定の形状の孔が形成されているカードが排出される。プレイヤは孔が形成されていないカードおよび孔が形成されているカードいずれにも、自らが望む位置および形状の孔を手動(例えば小刀やパンチなどを用いて)で開けることもできる。パンチには孔開け用のみならず、特定の形状、例えば十字や星形のパンチも含まれ、特定の形状が開けられるパンチを用いることで、所望の効果が保障され易い。
【0023】
このようにして取得したカードがカード読取部2に載置された場合、カード読取制御部21cはカメラ8を起動し補助ライト9で照明されたカードの撮影を行いカードイメージを得る。カード読取制御部21cは取り込んだカードイメージを解析し、2次元コードおよびカードに形成されている孔の位置,形状および大きさの情報を得ることができる。
ゲーム実行部21bは得られた情報によりカードの特性を得、カードを用いることができる。プレイヤがスクリーン7に表示されるゲーム内容を把握して操作ボタン6を操作することによりゲーム実行部21bはゲーム処理を行いカードゲームを続行させることができる。RAM23はゲーム実行に際し、演算,処理のために一時的に用いるメモリ部であり、また、ゲーム実行により更新される情報を一時的に格納するためのものである。
【0024】
図4は、ちから99のカードに種々の形状,大きさの孔が種々の位置に形成されたときの例を示す図である。
(a)で示すカードが孔が開けられていないデフォルトのカード5である。カード名53は「ちから99」,図柄52は「A」であり、右上に2次元コード51が印刷されている。以下、種々の位置に種々の形状,大きさの孔が形成されているが、ゲーム装置からカードが排出された時点で、このような孔が既に形成されていても、また後で孔を追加してもよく、さらに排出時には全く孔が形成されておらず、プレイヤが孔を作ってもよい。
(b)は左上に大丸孔54が形成されている例で、キャラクタの体力10を示すものである。(c)は左上に小丸孔55,大丸孔54がそれぞれ2個ずつ形成されている例で、キャラクタの体力20を示すものである。(d)はカードの略中央に、縦孔57と、斜孔56が形成されている例で、キャラクタの特殊能力10を示すものである。(e)はカードの下部にL形孔58が形成されている例で、キャラクタの知恵10を示すものである。(f)はカードの中央に円弧孔59が、下部左側に星形孔60が形成されている例で、キャラクタの知恵20を示すものである。
それぞれの孔は、それぞれの形状,大きさ,位置により特性が決められている。
【0025】
図5はゲーム進行の一例を説明するためのフローチャートである。
制御部21aはゲーム開始の情報が入力されるか否かを監視している(ステップ(以下「S」という)01)。プレイヤが操作ボタン6によりゲーム開始情報を入力すると、制御部21aはスクリーン7に排出するカードに孔を開けるか否かをプレイヤに選択させるための表示をする(S02)。プレイヤが孔開けを選択した場合、制御部21aはカード排出制御部25に指示を出し、カード格納部26から孔開け装置27の孔開け部にカードを搬送させる。そして搬送したカードをスクリーンに表示する。スクリーンにはカーソルが表示され、プレイヤの操作ボタン6の操作によって孔を開けるべき位置を指定することができる。また、小丸孔,大丸孔,縦孔,角孔,斜孔,十字孔,星孔,L形孔など多数種類の孔形状のサンプルおよび、かつ大,中,小などの大きさを指定するための形状選択表示がなされ、その表示に対し、プレイヤは孔の形状,大きさを選択し、所望の孔を開けることができる(S03)。
【0026】
つぎに制御部21aはプレイヤが孔開け終了を操作したか、タイムオーバしたかによって孔開け操作の終了を監視する(S04)。操作が終了しない場合には、孔開け作業を続行する。この孔開け操作により、1以上の孔を開けることもできる。
S02で孔開けを選択しない場合、またはS04で孔開けが終了した場合、カードの排出が行なわれる(S05)。
これによりプレイヤは排出されたカードの取り出しを行う(S06)。
そして、取り出されたカードは、プレイヤが孔開けパンチや特定の形状が開けられるパンチ、小刀等を用いてさらに所望の孔を追加することも可能である(S07)。十字や星形のような特定の形状を開けられるパンチを用いることで、特定の効果を得やすい。
【0027】
カード排出後、カード読取制御部21cは、カードがカード読取部2に載置されるか否かを監視している(S08)。カード読取部2にはカードは排出された形態のままで載置されるか、または孔を追加して載置されることとなる。カード読取制御部21cは、カードが載置されれば、カード読取の処理を行う(S09)。そしてゲーム実行部21bは読み取られたカードを用いてプレイヤの操作指示に基づきゲームを行う(S10)。そして、ゲームオーバになるか、またはプレイヤがゲーム終了操作を行ったか否かを監視している(S11)。ゲームオーバなどになった場合、ゲームを終了する。
【0028】
図6はゲーム進行の他の例を説明するためのフローチャートである。
このゲーム進行例は、ゲーム機から排出されるカードを利用するのではなく、プレイヤが以前遊んだカードをゲーム当初から用いる流れ、およびゲーム中に特別なイベントの発生や、ゲームオーバとなったという条件が発生した場合にもカードを排出するという流れを挿入したものである。
S102においてカードを排出するか否かの判断ステップを備えており、カードを排出しない場合、既に所持しているカードを準備(S103)して、カードをカード読取部2に載置するというステップを備えている。また、ゲーム中にS113においてボスを倒す、仲間を救出するなどのイベントが発生した場合や、ゲームオーバになった場合、S114でカードを排出するステップを備えている。
上記以外のステップ、すなわちS101,S104〜S112,S115は、図5で示した各ステップS01〜S11にそれぞれ対応し、各処理,操作は略同じである。
【0029】
本発明に用いるカードは印刷だけのカードに比べて、格段にカードの効果のバリエーションを増やすことが可能となる。また、カード孔は手で触って判別することができるため、例えば目が不自由な人も孔を判別でき、ゲームに参加することが可能となる。遊技者( プレイヤ) の手によりゲーム装置からカードを排出する際、カード孔を改変する、という遊びを提供できる。また、孔の位置や数を変更して開けることができ、ゲーム装置から同じカードが出てきても孔を新しく開けることにより全く能力の異なるカードを作ることができ、孔開けの試行錯誤のゲームを楽しむことができる。さらに孔の種々の形状,大きさおよび位置がカードを読み取るまでどのようなステータスか分からないというドキドキ感の効果をプレイヤに与えることができる。
【0030】
以上の実施の形態において利用するカードはゲームを開始するときにゲーム装置から排出されるカードを用いる例、以前遊んで既に所持しているカードを用いる例を説明したが、同種のゲーム装置であるならば、他のゲーム装置で排出されたカードを利用することも可能である。プレイヤが孔を追加した場合、ゲーム装置の表内に存在しない形状の場合には、2次元コードで表現されたデフォルトの特性を有するカードとして機能する例を説明したが、ゲーム装置が判定する形状などに合致しない旨を表示し、再度孔の開け直しを音声やスクリーンで指示することもできる。
既に開けてある孔の形状を変える場合、その孔に繋がる孔を作って異なる孔形状にするか、またはテープなどを貼付して孔の一部を塞ぐことによって孔の形状を変えることにより、カードの効果などを変えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
ゲーム用に孔を開けたカードを用いてゲームを行うゲームシステムである。
【符号の説明】
【0032】
1 ゲーム装置
2 カード読取部
3 カード排出口
4,5 カード
9 補助ライト
6 操作ボタン
7 スクリーン
8 カメラ
41,51 2次元コード
42 孔
43,52 カードの図柄
44 十字形孔
45,53 カード名
54 大丸孔
55 小丸孔
56 斜孔
57 縦孔
58 L形孔
59 円弧孔
60 星形孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードの種類を特定するための印刷されたコードを備え、カードの他の領域には種々の形の孔を既に有しているか、種々の孔を開けることができるカードと、
カードを格納するカード格納部と、
前記カードのコードと、カードに孔が開いている場合は、開いている孔を読み取るカード読取装置と、
前記カード読取装置で読み取ったコードおよび孔を解釈して、カードによって特定された種類のゲームを起動し、起動されたゲームについて前記孔によりそのゲームでカードが表現するアイテム,キャラクタの能力,体力,知恵または特殊能力のレベルの状態を解釈し、解釈した内容でゲームを立ち上げるように処理するゲーム処理部と、
を備え、
ゲーム開始時に前記カード格納部からカードが排出され、排出の際に孔が形成されているか、排出された後に孔を形成したカード、またはすでに所持しているカードを前記カード読取装置に載置してゲームを行うことを特徴とするゲーム用孔カードを用いたゲームシステム。
【請求項2】
プレイヤが操作により所望の孔を開けるための孔開け装置を有し、
カード排出の際にカードに孔開けを可能にすることを特徴とする請求項1記載のゲーム用孔カードを用いたゲームシステム。
【請求項3】
前記印刷されたコードは、カードの右上または左上に形成し、前記孔はカードの他の領域に形成することを特徴とする請求項1または2記載のゲーム用孔カードを用いたゲームシステム。
【請求項4】
前記孔によって解釈される内容は、孔の大きさ,形,数,位置によって異なることを特徴とする請求項1,2または3記載のゲーム用孔カードを用いたゲームシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−254218(P2012−254218A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129516(P2011−129516)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)
【Fターム(参考)】