説明

ゲーム装置、ゲーム装置の動作方法、およびプログラム

【課題】
3人以上のプレイヤーが対戦するゲームなどにおいても、勝敗の内容(大差がついたのか、僅差だったのか)を加味して新たなレーティングを算出する。
【解決手段】
記憶装置1は、n個のレーティングと、n個の得点とを記憶する。そして、CPU4は、n個のレーティングの内のk番目のレーティングxkについてレーティング偏差値akを算出し、前記レーティングxkに対応する得点Pについて得点偏差値bkを算出し、下記式(I)によって新たなレーティングXkを算出する。
Xk=xk+(bk−ak)・・・(I)
(ただし、nは2以上の自然数で、kは1以上n以下の自然数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームの対戦結果などに基づいてプレイヤーの実力を評価するレーティングプログラム、方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チェス、将棋といったゲームなどの分野において、レーティングシステムという実力評価方法が知られている。例えば、チェスではイロ教授が開発したイロ・レーティングシステムが著名である(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「過去および現在におけるチェスプレイヤーのレーティング(TheRating of Chessplayers, Past and Present)」アルパッド・イロ(Arpad Elo)著、Arco Publishers社発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレーティングシステムは、2人のプレイヤーが1対1で対戦するゲームにおいて、そのゲームの勝敗と両プレイヤーが有していたレーティングに基づいて新たなレーティングを算出することはできた。しかし、3人以上のプレイヤーが対戦するゲームには適用することができない。また、勝敗の内容(大差がついたのか、僅差だったのか)を加味して新たなレーティングを算出することもできない。
そこで、本発明は、3人以上のプレイヤーが参加するゲームにも適用することが可能であり、かつ勝敗の内容も加味して新たなレーティングを算出可能なプログラム、方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴は、レーティングプログラムであって、コンピュータを、
n個のレーティングと、n個の得点とを記憶する記憶手段、
前記n個のレーティングの内のk番目のレーティングxkについてレーティング偏差値akを算出し、前記レーティングxkに対応する得点Pについて得点偏差値bkを算出し、下記式(I)によって新たなレーティングXkを算出する演算手段、
として機能させることにある。
Xk=xk+(bk−ak)・・・(I)
(ただし、nは2以上の自然数で、kは1以上n以下の自然数を示す。)
【0006】
「n個のレーティング」とは、例えば、n人が参加するゲームにおいて、ゲーム開始前の第1の参加者のレーティング、第2の参加者のレーティング、・・・、第nの参加者のレーティングを意味する。「レーティング偏差値ak」とは、例えば、ゲーム開始前の第kの参加者のレーティングxkの偏差値を意味する。
【0007】
また、「レーティングxkに対応する得点P」とは、例えば、マージャン・ゲーム終了時の第kの参加者の持ち点を意味する。「得点偏差値bk」とは、例えば、ゲーム終了時の第kの参加者の得点の偏差値を意味する。
【0008】
本発明の第2の特徴は、前記記憶手段は、前記n個の得点のそれぞれについてm個の得点要素を記憶し、
前記演算手段は、前記k番目の得点の1番目からm番目の得点要素のそれぞれに関する得点要素偏差値bk1,…,bkmを算出し、下記式(II)によって新たなレーティングXkを算出することにある。
Xk=xk+(bk1+…+bkm−ak)・・・(II)
(ただし、nは2以上の自然数で、kは1以上n以下の自然数で、mは2以上の自然数を示す。)
【0009】
「得点要素」とは、例えば、マージャン・ゲームの場合、「ゲーム終了時の持ち点」、「振込回数」、「つも上がりの回数」などを意味する。「n個の得点のそれぞれについてm個の得点要素」とは、例えば、第1の参加者、第2の参加者、・・・、第nの参加者のそれぞれについての「ゲーム終了時の持ち点」、「振込回数」、「つも上がりの回数」などを意味する。あるいは、連勝数、連敗数等の情報を得点要素としても良い。
【0010】
「レーティングxkに対応する得点Pの1番目からm番目の得点要素のそれぞれに関する得点要素偏差値bk1,…,bkm」とは、例えば、第kの参加者の「ゲーム終了時の持ち点」の偏差値、「振込回数」の偏差値、「つも上がりの回数」の偏差値などを意味する。
【0011】
本発明の第3の特徴は、前記記憶手段は、前記得点要素偏差値bk1,…,bkmのそれぞれの重み付けwk1,…,wkmを記憶し、
前記演算手段は、下記式(III)によって新たなレーティングXkを算出することにある。
Xk=xk+(wk1×bk1+…+wkm×bkm−ak)・・・(III)
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の特徴によれば、例えば、第1の参加者、第2の参加者、・・・、第nの参加者の「ゲーム開始時のレーティング」、「ゲーム開始時のレーティングの偏差値」、「ゲーム終了時の持ち点の偏差値」によって新たなレーティングを算出することによって、精度の高いレーティングが可能となる。
【0013】
また、本発明の第2の特徴によれば、第1の参加者、第2の参加者、・・・、第nの参加者のそれぞれについて「ゲーム終了時の持ち点」の偏差値、「振込回数」の偏差値、「つも上がりの回数」の偏差値などの複数の要素の偏差値を加味してレーティングすることによってレーティングの精度をさらに高めることが可能となる。
さらに、本発明の第3の特徴によれば、複数の要素の偏差値に重み付けをしてレーティングすることによってレーティングの精度をより一層高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態におけるレーティング算出装置の機能構成の一例を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態におけるレーティング算出処理の流れの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面に基づいて、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、以下の説明は、単なる例示に過ぎず、本発明の技術的範囲は以下の説明に限定されるものではない。
【0016】
図1に、本発明の実施形態におけるレーティング算出装置のハードウェア構成の一例を示す。
【0017】
入力装置2はキーボードやマウスなどのポインティングデバイスである。表示装置3は、例えば液晶表示装置やCRT(Cathode Ray Tube) である。プレイヤーは入力装置2を用いて指示を入力する。例えば、表示装置3の表示画面には対戦相手となる複数のキャラクターが表示される。プレイヤーはマウスを用いて表示画面に表示されているポインターを任意のキャラクターの上に移動させ、そのキャラクターをクリックすることによってそのキャラクターを対戦相手として選択することができる。そして、プレイヤーは、ゲーム開始に必要なキャラクターを選択し終えた後に、表示画面に表示されている「PLAY」ボタンをクリックしてゲームを開始する。
【0018】
CPU4は、システム全体を制御し、ゲームプログラムに従って、ゲームを実行し、ゲーム結果を出力する。ゲームとは、例えばマージャン・ゲーム、レーシング・ゲームを含む。ゲーム結果とは、例えばマージャン・ゲームの場合は各プレイヤーの得点、レーシング・ゲームの場合はトップとのタイム差を含む。そして、CPU4は、後述する計算式に基づいてレーティングを算出する。
【0019】
記憶装置1は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)などである。記憶装置1には、対戦結果算出プログラム11を含むゲームプログラム10、ならびに偏差値算出プログラム21および新レーティング算出プログラム22を含むレーティング算出プログラム20が記憶される。また、記憶装置1は、レーティング算出開始時にプレイヤーレーティング値33と相手キャラレーティング値34を記憶している。さらに、記憶装置1は、レーティング算出中にレーティング偏差値31と得点偏差値32を一時的に記憶する。
【0020】
図2に、本発明の実施形態におけるレーティング算出処理の流れの一例を示す。図2に示すように、ゲームが終了すると(ステップS13)、CPU4は、対戦結果算出プログラム11に従って対戦結果(プレイヤーおよび相手キャラクターの得点)を算出する(ステップS15)。続いて偏差値算出プログラム21に従い、得点に基づく得点偏差値32(後述の実施例では得点偏差値bと記述)を算出する(ステップS17)。また、偏差値算出プログラム21に従って、プレイヤーレーティング値33および相手キャラレーティング値34に基づくレーティング偏差値31(後述の実施例ではレーティング偏差値aと記述)を算出する(ステップS11)。そして、CPU4は、新レーティング算出プログラム22に従い、元のレーティング(現時点でのプレイヤーレーティング値33および相手キャラレーティング値34)とレーティング偏差値31と得点偏差値32とに基づいて新たなレーティングを算出する(ステップS19)。プレイヤーレーティング値33および相手キャラレーティング値34は、ここで算出された新たなレーティングによって更新される(ステップS21)。
【0021】
図2の内容をより具体的に説明する。
(1)まず各々の元のレーティング(対戦前のレーティング:x1,x2,…,xn)の偏差値aを算出する。偏差値の算出については、公知の手法を用いて行う。すなわち、
(1−1)n人のレーティングの平均値xμを算出し、
xμ =(x1+x2+…+xn)/n
(1−2)n人のレーティングの標準偏差xσを算出し、
xσ=[{ (x1−xμ)^+(x2−xμ)^+…+(xn−xμ)^}/n]^(1/2)
(1−3)各人のレーティングの偏差値a1からan
a1=Cs×{(x1−xμ)/ xσ}+Cm
a2=Cs×{(x2−xμ)/ xσ}+Cm
:
an=Cs×{(xn−xμ)/ xσ}+Cm
を算出する。なお、説明の簡略化のために後述の計算式では、全体の平均値が50、標準偏差が10になるように、Csを10、Cmを50とする。しかし、全体の平均値が50、標準偏差が10になるように修正する必要は必ずしもない。このため、Cs、Cmは任意の数値としうる。
【0022】
(2)次に各々の得点(y1,y2,yn)の偏差値bを算出する。偏差値の算出については、公知の手法を用いて行う。すなわち、
(2−1)n人の得点の平均値yμを算出し、
yμ=(y1+y2+…+yn)/n
(2−2)n人の得点の標準偏差yσを算出し、
yσ=[{ (y1−yμ)^+(y2−yμ)^+…+(yn−yμ)^}/n]^(1/2)
(2−3)各人の得点の偏差値b1 からbn
b1=10×{(y1−yμ)/ yσ}+50
b2=10×{(y2−yμ)/ yσ}+50
:
bn=10×{(yn−yμ)/ yσ}+50
を算出する。
【0023】
(3)そして、下記式
X1= x1+( b1−a1)
X2= x2+( b2−a2)
:
Xn= xn+( bn−an)
によって算出した値を新たなレーティング(X1,X2,Xn)とする。
【0024】
以下、本発明の実施例1〜3を記載する。以下の実施例では、レーティングが20またはそれ以上増減すると、レーティングが大きく変化したと言い得る。
【実施例1】
【0025】
プレイヤーAと、ゲームプログラムがあらかじめ用意している相手キャラクターB,C,Dがマージャン・ゲームをした。プレイヤーAのレーティングは低く(x1=1500)、相手キャラクターBのレーティングは高く(x2=2500)、相手キャラクターC,DのレーティングはプレイヤーAと相手キャラクターBの間であった(x3=2000x4=2000)。そして、ゲーム終了時、プレイヤーA,相手キャラクターB,C,Dの得点はそれぞれy1=6000,y2=92000,y3=1000,y4=1000であった。
【0026】
(1)まず各々の元のレーティングの偏差値aを算出すると、
(1−1)4人のレーティングの平均値xμは、
xμ=2000
となり、
(1−2)4人のレーティングの標準偏差xσは、
xσ=353.5534
となり、
(1−3)各人のレーティングの偏差値a1 からa4は、
a1= 35.85786
a2= 64.14214
a3= 50
a4= 50
となる。
【0027】
(2)次に各々の得点(y1,y2,y3,y4)の偏差値bを算出すると、
(2−1)4人の得点の平均値yμは、
yμ=25000
となり、
(2−2)4人の得点の標準偏差yσは、
yσ=38736.29
となり、
(2−3)各人の得点の偏差値b1からb4は、
b1=45.09504
b2=67.29644
b3=43.80426
b4=43.80426
となる。
【0028】
(3)よって、新たなレーティングは
X1=1509.237
X2=2503.154
X3=1993.804
X4=1993.804
となる。
【0029】
前記の内容を[表1]にまとめて示す。前記の如く、実施例1では、レーティングが低いプレイヤーAは、レーティングが高い相手キャラクターBに大差で負けても、レーティングは下がらずに、上がる場合がある。また、レーティングが高い相手キャラクターBは、レーティングが低いプレイヤーAに大差で勝っても、レーティングは少ししか上がらない。
【表1】

【実施例2】
【0030】
プレイヤーAと、相手キャラクターB,C,Dがマージャン・ゲームをした。プレイヤーAおよび相手キャラクターB,C,Dのレーティングは実施例1と同じである。そして、ゲーム終了時、プレイヤーA,相手キャラクターB,C,Dの得点はそれぞれy1=92000, y2=1000, y3=6000, y4=1000であった。
【0031】
(1)まず各々の元のレーティングの偏差値aを算出すると、4人のレーティングの平均値xμ、レーティングの標準偏差xσ、及び各人のレーティングの偏差値a1
からa4は、実施例1と同じになる。
【0032】
(2)次に各々の得点(y1,y2,y3,y4)の偏差値bを算出すると、
(2−1)4人の得点の平均値yμは、
yμ=25000
となり、
(2−2)4人の得点の標準偏差yσは、
yσ=38736.29
となり、
(2−3)各人の得点の偏差値b1からb4は、
b1=67.29644
b2=43.80426
b3=45.09504
b4=43.80426
となる。
【0033】
(3)よって、新たなレーティングは
X1=1531.439
X2=2479.662
X3=1995.095
X4=1993.804
となる。
【0034】
前記の内容を[表2]にまとめて示す。前記の如く、実施例2では、レーティングが低いプレイヤーAは、レーティングが高い相手キャラクターBに大差で勝つと、レーティングは大きく上がる。また、レーティングが高い相手キャラクターBは、レーティングが低いプレイヤーAに大差で負けると、レーティングは大きく下がる。
【表2】

【実施例3】
【0035】
プレイヤーAと、相手キャラクターB,C,Dがマージャン・ゲームをした。プレイヤーAのレーティングは高く(x1=2500)、相手キャラクターBのレーティングは低く(x2=1500)、相手キャラクターC,DのレーティングはプレイヤーAと相手キャラクターBの間であった(x3=2000x4=2000)。そして、ゲーム終了時、プレイヤーA,相手キャラクターB,C,Dの得点はそれぞれy1=30100,y2=29900, y3=30000,y4=10000であった。
【0036】
(1)まず各々の元のレーティングの偏差値aを算出すると、4人のレーティングの平均値xμ、レーティングの標準偏差xσは、実施例1と同じになり、
(1−1)各人のレーティングの偏差値a1 からa4は、
a1= 64.14214
a2= 35.85786
a3= 50
a4= 50
となる。
【0037】
(2)次に各々の得点(y1,y2,y3,y4)の偏差値bを算出すると、
(2−1)4人の得点の平均値yμは、
yμ=25000
となり、
(2−2)4人の得点の標準偏差yσは、
yσ=8660.542708
となり、
(2−3)各人の得点の偏差値b1からb4は、
b1=55.88878
b2=55.65784
b3=55.77331
b4=32.68007
となる。
【0038】
(3)よって、新たなレーティングは
X1=2491.747
X2=1519.8
X3=2005.773
X4=1982.68
となる。
【0039】
前記の内容を[表3]にまとめて示す。前記の如く、実施例3では、レーティングが高いプレイヤーAは、レーティングが低い相手キャラクターBに勝った場合であっても、プレイヤーAと相手キャラクターBの得点差が小さい場合は、レーティングは下がる。これによりプレイヤーは、格下の相手と戦う場合であっても緊張感のあるゲームを展開することができる。
【表3】

【実施例4】
【0040】
プレイヤーAと、相手キャラクターB,C,Dがマージャン・ゲームをした。プレイヤーAのレーティングはわずかに高く(x1=1900)、相手キャラクターBのレーティングはほんの少し低く(x2=1899)、相手キャラクターCのレーティングはもう少し低く(x3=1895)、相手キャラクターDのレーティングは相手キャラクターBと同じであった(x4=1899)。そして、ゲーム終了時、プレイヤーA,相手キャラクターB,C,Dの得点はそれぞれy1=30100,y2=29900,y3=30000,y4=10000であった。
【0041】
(1)まず各々の元のレーティングの偏差値aを算出すると、
(1−1)4人のレーティングの平均値xμは、
xμ=1898.25
となり、
(1−2)4人のレーティングの標準偏差xσは、
xσ=1.920286437
となり、
(1−3)各人のレーティングの偏差値a1 からa4は、
a1=59.11322
a2=53.90567
a3=33.07544
a4=53.90567
となる。
【0042】
(2)次に各々の得点(y1,y2,y3,y4)の偏差値bを算出すると、
(2−1)4人の得点の平均値yμは、
yμ=25000
となり、
(2−2)4人の得点の標準偏差yσは、
yσ=8660.542708
となり、
(2−3)各人の得点の偏差値b1からb4は、
b1=55.88878
b2=55.65784
b3=55.77331
b4=32.68007
となる。
【0043】
(3)よって、新たなレーティングは
X1=1896.776
X2=1900.752
X3=1917.698
X4=1877.774
となる。
【0044】
前記の内容を[表4]にまとめて示す。前記の如く、実施例4では、レーティングがほんの少し高いプレイヤーAは、レーティングがほんの少し低い相手キャラクターBに勝って1位になった場合であっても、プレイヤーAと相手キャラクターBの得点差が小さい場合は、レーティングは下がっている。つまり、実力が拮抗している相手と対戦する場合には、得点差が小さいと、1位でもレーティングがマイナスされることがある。すなわち、単に勝つだけではレーティングは上がらず、逆に下がる場合もありうる。
【表4】

【0045】
実施例1〜4では、元のレーティングとレーティング偏差値と得点偏差値とを用いて、新たなレーティングを算出しているが、得点偏差値の代わりに、複数の得点要素偏差値を用いて新たなレーティングを算出するとしても良い。この場合には、対戦結果に基づいて、例えば「ゲーム終了時の持ち点」、「振込回数」、「つも上がりの回数」の各値を得点要素として算出し、記憶装置1に記憶しておく。そして、実施例1〜4における得点偏差値の代わりに、各得点要素の偏差値、すなわち「ゲーム終了時の持ち点」の偏差値、「振込回数」の偏差値、「つも上がりの回数」の偏差値の総和を用いる。
【0046】
具体的には、上記した実施形態と同様に、(1)各々の元のレーティング(対戦前のレーティング:x1,x2,…,xn)の偏差値aを算出する。続いて(2)各々の得点(y1,y2,yn)それぞれについて、m個の得点要素に関する得点要素偏差値b11,…,b1m,b21,…,b2m,bn1,…,bnmを算出する。そして、下記式
X1= x1+(b11+…+b1m−a1)
X2= x2+(b21+…+b2m−a2)
:
Xn= xn+(bn1+…+bnm−an)
によって算出した値を新たなレーティング(X1,X2,Xn)とする。
【0047】
これにより、より正確なレーティングが可能となる。
【0048】
また、複数の得点要素偏差値を用いて新たなレーティングを算出する際に、特定の得点要素偏差値のウェートを高く、他の得点要素偏差値のウェートを低くすることによって、さらに一層正確なレーティングが可能となる。このウェートは、得点要素毎に定めた値でも良いし、ゲームが進むにつれて変化するであっても良く、適宜設定する。
【0049】
具体的には、予め、各得点要素偏差値b11,…,b1m,b21,…,bn1,…,bnmそれぞれの重み付け(ウェート)w11,…,w1m,w21,…,wn1,…,wnmを、記憶装置1に記憶しておく。そして、上記した実施形態と同様に、(1)各々の元のレーティング(対戦前のレーティング:x1,x2,…,xn)の偏差値aを算出する。続いて(2)各々の得点(y1,y2,yn)それぞれについて、m個の得点要素に関する得点要素偏差値b11,…b1m,b21,…,bn1…,bnmを算出する。そして、下記式
X1= x1+( w11×b11+…+ w1m×b1m−a1)
X2= x2+( w21×b21+…+ w21×b2m−a2)
:
Xn= xn+(wnm×b n1+…+wnm×bnm−an)
によって算出した値を新たなレーティング(X1,X2,Xn)とする。
【0050】
実施例1〜4は、4人で対戦するマージャン・ゲームにおけるレーティングであったが、本発明は4人未満または5人以上で対戦するゲーム、例えばレーシング・ゲームにおけるレーティングにも適用可能である。
【0051】
また、実施例1〜4は、1人のプレイヤーと3人のキャラクターとの対戦(いわゆるCPU対戦)であったが、本発明はこのようなCPU対戦に限定されず、複数のプレイヤーがインターネットなどのネットワークを介して対戦するネットワーク対戦等の対人戦であっても同様に適用可能である。
【0052】
前記の如く、本発明によれば、3人以上のプレイヤーまたは仮想的プレイヤーであるキャラクターが同時にプレイするゲームであっても、レーティングを算出することができる。しかも、各プレイヤーまたはキャラクターの勝敗結果のみならず、勝敗内容(大差で勝利もしくは敗北または僅差で勝利または敗北)も加味して、新たなレーティングを算出することができるので、従来方法に比して各プレイヤーまたはキャラクターの実力をより正確かつ迅速に評価することが可能となる。これによって、例えば高い実力を有するプレイヤーが誤って低い評価(つまり低いレーティング)となってしまい、当該プレイヤーがレーティングに対して不満を感じ、ひいては当該ゲーム自体に興味を失うなどということを回避することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…記憶装置
2…入力装置
3…表示装置
4…CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3人以上のn人のプレイヤーが参加する得点型のゲームを実行するゲーム装置であって、
前記各プレイヤーの得点に基づくプレイ評価値であるレーティングを計算するための所定の計算式を保持する計算式保持手段と、
n個のレーティングと、n個の得点とを記憶する記憶手段と、
前記n個のレーティングの内のk番目のレーティングxkについてレーティング偏差値akを算出し、前記レーティングxkを有していたプレイヤーが新しく獲得した得点Pについて得点偏差値bkを算出し、算出したakとbk、および前記保持されている所定の計算式によって新たなレーティングXkを算出する演算手段と、
を有するゲーム装置。
(ただし、nは3以上の自然数で、kは1以上n以下の自然数を示す。)
【請求項2】
前記記憶手段は、前記n個の得点のそれぞれについて、当該得点を算出する要素に関する値を示すm個の得点要素を記憶し、
前記演算手段は、前記得点Pの1番目からm番目の得点要素のそれぞれに関する得点要素偏差値bk1,…,bkmを算出し、その算出したbk1,…,bkmを前記得点偏差値bkの替わりに用いて新たなレーティングXkを算出することを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
(ただし、mは2以上の自然数を示す。)
【請求項3】
前記記憶手段は、前記得点要素偏差値bk1,…,bkmのそれぞれの重み付けwk1,…,wkmを記憶し、
前記演算手段は、前記wk1,…,wkmで重み付けされた得点要素偏差値wk1×bk1,…,wkm×bkmを用いて新たなレーティングXkを算出することを特徴とする請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
3人以上のn人のプレイヤーが参加する得点型のゲームを実行するゲーム装置であって、
前記各プレイヤーの得点に基づくプレイ評価値であるレーティングを計算するための下記の計算式(I)を保持する計算式保持手段と、
n個のレーティングと、n個の得点とを記憶する記憶手段
前記n個のレーティングの内のk番目のレーティングxkについてレーティング偏差値akを算出し、前記レーティングxkを有していたプレイヤーが新しく獲得した得点Pについて得点偏差値bkを算出し、前記保持されている計算式(I)によって新たなレーティングXkを算出する演算手段
を有するゲーム装置。
Xk=xk+(bk−ak)・・・(I)
(ただし、nは以上の自然数で、kは1以上n以下の自然数を示す。)
【請求項5】
前記記憶手段は、前記n個の得点のそれぞれについて、当該得点を算出する要素に関する値を示すm個の得点要素を記憶し、
計算式保持手段は、前記計算式(I)に替えて下記の計算式(II)を保持し、
前記演算手段は、前記得点Pの1番目からm番目の得点要素のそれぞれに関する得点要素偏差値bk1,…,bkmを算出し、前記保持されている計算式(II)によって新たなレーティングXkを算出することを特徴とする請求項に記載のゲーム装置。
Xk=xk+(bk1+…+bkm−ak)・・・(II)
(ただし、mは2以上の自然数を示す。)
【請求項6】
前記記憶手段は、前記得点要素偏差値bk1,…,bkmのそれぞれの重み付けwk1,…,wkmを記憶し、
計算式保持手段は、前記計算式(II)に替えて下記の計算式(III)を保持し、
前記演算手段は、前記保持されている計算式(III)によって新たなレーティングXkを算出することを特徴とする請求項に記載のゲーム装置。
Xk=xk+(wk1×bk1+…+wkm×bkm−ak)・・・(III)
【請求項7】
3人以上のn人のプレイヤーが参加する得点型のゲームを実行するゲーム装置の動作方法であって、
n個のレーティングと、n個の得点とを記憶する記憶ステップと、
前記n個のレーティングの内のk番目のレーティングxkについてレーティング偏差値akを算出し、前記レーティングxkを有していたプレイヤーが新しく獲得した得点Pについて得点偏差値bkを算出し、算出したakとbk、および前記各プレイヤーの得点に基づくプレイ評価値であるレーティングを計算するための所定の計算式によって新たなレーティングXkを算出する演算ステップと、
を実行するゲーム装置の動作方法。
【請求項8】
3人以上のn人のプレイヤーが参加する得点型のゲームを実行するゲーム装置に、
n個のレーティングと、n個の得点とを記憶手段に記憶する記憶ステップと、
演算手段によって前記n個のレーティングの内のk番目のレーティングxkについてレーティング偏差値akを算出し、前記レーティングxkを有していたプレイヤーが新しく獲得したPについて得点偏差値bkを算出し、算出したakとbk、および前記各プレイヤーの得点に基づくプレイ評価値であるレーティングを計算するための所定の計算式によって新たなレーティングXkを算出する演算ステップと、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−106110(P2012−106110A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−53806(P2012−53806)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【分割の表示】特願2011−213989(P2011−213989)の分割
【原出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(598138327)株式会社ドワンゴ (97)
【Fターム(参考)】