説明

コアシェル型酸化コバルト微粒子又はそれを含有する分散液、それらの製造方法及び用途

【課題】コアシェル型酸化コバルト微粒子又はそれを含有する分散液、それらの製造方法及び用途を提供する。
【解決手段】粒子径の平均が50〜200nmであるコアシェル型酸化コバルト微粒子であって、コア部分の二次粒子の形状が球状であり、その表面にシェルである有機高分子が付着している、前記微粒子、該酸化コバルト微粒子の分散液、該酸化コバルト微粒子分散液の乾燥粉体、及び、コバルトの塩と有機高分子を有機溶媒に混合して混合物を得る工程と、その混合物を所定の温度で加熱・還流してコアシェル型酸化コバルト微粒子を析出する工程とを有する、コアシェル型酸化コバルト微粒子又はその分散液の製造方法であって、前記コバルトの塩が、酢酸コバルトであるコアシェル型酸化コバルト微粒子の製造方法、及びそれらの用途。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアシェル型酸化コバルト微粒子又はそれを含有する分散液、それらの製造方法及び用途に関するものであり、更に詳しくは、顔料や触媒などに応用可能な、コアシェル型酸化コバルト微粒子及びそれを含む分散液、これらを製造するための当該酸化コバルト微粒子及びそれを含む分散液の製造方法及びその製品に関するものである。本発明は、コアシェル型酸化コバルト微粒子であって、その粒径は50〜200nm程度、粒径分布(粒径の標準偏差)が小さく、球状であり、コア部分の二次粒子も球状で大きさが揃っており、液中での分散性が良好であるコアシェル型酸化コバルト微粒子及び当該酸化コバルト微粒子分散液、並びに、還流法を適用させた、前記コアシェル型酸化コバルト微粒子及び当該酸化コバルト微粒子分散液の製造方法及びそれらの用途を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
酸化コバルトは、顔料の原料として有名な材料であり、例えば、先行文献には、酸化コバルトの顔料としての用途について開示されている(特許文献1、2参照)。顔料としては、含有する微粒子の分散性が悪いと顔料の塗布特性が悪くなるため、良好な分散性が必要となる。
【0003】
インクジェットでの顔料の塗布は、非常に微細な線や面を描画できるが、このためには、顔料に含まれる微粒子が小さい必要がある。そのため、ナノ粒子などの分散性について注目されているが、一般に、粒子が小さくなればなるほど凝集性が強くなり、顔料としての性能は悪くなる。
【0004】
上記用途用の酸化コバルト微粒子分散液を作製する場合、通常の方法により、単に乾燥した酸化コバルト微粒子を分散媒に分散させるだけでは、安定した分散液を得ることができない。これは、安定した分散液を得るためには、一度凝集した酸化コバルト微粒子の凝集を解く必要があるためである。
【0005】
ナノ粒子の合成方法が、気相プロセス、あるいは液相プロセスのいずれの場合であっても、ナノ粒子が生成した後、凝集を抑制しない限り、一般に、強固に凝集してしまう。一度、ナノ粒子が強固に凝集すると、凝集を解くための処理を行っても、凝集を解くことは、一般に、困難である。
【0006】
先行文献には、セラミックビーズを使って機械的に凝集を解く技術が開示されているが(特許文献3参照)、この場合、問題点として、不純物の混入が考えられ、また、溶媒に、分散剤を添加する必要が有る。以上のことから、凝集を解く方法が、機械的な手法でなく、また、分散剤の添加を必要としないで、分散しやすい(凝集しにくい)酸化コバルト微粒子を合成する必要がある。
【0007】
ナノ粒子が一度凝集してしまうと、乖離が困難なことから、凝集する前、すなわち、ナノ粒子の生成と同時に、凝集を抑制する処理を施せば、分散しやすい酸化コバルト微粒子が得られるはずである。
【0008】
このとき、高分子が溶解した分散媒を反応場として使用すれば、酸化コバルト微粒子の生成と同時に凝集を抑制でき、それにより、安定な酸化コバルト微粒子分散液が得られると考えられる。また、酸化コバルト微粒子分散液を乾燥させたとしても、凝集抑制処理を行っているため、それを、再度分散媒に再分散させれば、容易に分散することが予想される。
【0009】
酸化コバルトに関する報告ではないが、このようなコンセプトを、ゾルゲル法あるいは加水分解法に適用した例が報告されている(非特許文献1〜4、特許文献4参照)。しかしながら、これまで、このようなコンセプトを、酸化コバルト微粒子を析出させる還流法に適用した事例は見当たらない。
【0010】
これまで、酸化コバルトの微粒子やナノ粒子の合成については幾つかの報告がなされている(特許文献5〜7参照)。また、先行文献には、それぞれ、金属酸化物超微粒子とその製造方法、及び金属酸化物微粒子が開示されているが(特許文献8、9参照)、上記先行文献には、例えば、粒径は50〜200nm程度で、金属酸化物の粒径分布(粒径の標準偏差)が小さく、10から20nm程度の金属酸化物の一次粒子が集合した球状二次粒子であり、液中での分散性が良好であるコアシェル型の酸化コバルト微粒子又はコアシェル型酸化コバルト微粒子分散液に関する記述は何もなされていない。
【0011】
【特許文献1】特開2007−284340号公報
【特許文献2】特開2006−291215号公報
【特許文献3】特開2004−35632号公報
【特許文献4】特開平2−92810号公報
【特許文献5】特開2007−76975号公報
【特許文献6】特開2007−1809号公報
【特許文献7】特開2002−211930号公報
【特許文献8】特開平6−218276号公報
【特許文献9】特開2006−8629号公報
【非特許文献1】H.Yang,C.Huang,X.Su,Materials Letters,60(2006)3714
【非特許文献2】Z.T.Zhang,B.Zhao,L.M.Hu,J.Solid State Chem.,121(1996)105
【非特許文献3】D.L.Tao,F.Wei,Mater.Lett.58(2004)3226
【非特許文献4】G.C.Xi,Y.Y.Peng,L.Q.Xu,M.Zhang,W.C.Yu,Y.T.Qian Inorg.Chem.Commun.7(2004)607
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、ナノ粒子の凝集を抑制して、長期安定性を保持したナノサイズの酸化コバルト微粒子及びその分散液を製造する方法を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、還流法を用いることで、有機溶媒が使えること、反応開始剤を必要としない場合があるなど、有利な点が多いこと、原料としては、高価なアルコキシドでなく、安価な酢酸塩が好適に使用できること、それにより、ナノ粒子の凝集を抑制したコアシェル型酸化コバルト微粒子及びその分散液を調製できること、などの新規な知見を見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明は、以上のことを踏まえて、コアシェル型酸化コバルト微粒子であって、その粒径は50〜200nm程度、粒径分布(粒径の標準偏差)が小さく、球状であり、コア部分の二次粒子も球状で大きさが揃っており、液中での分散性が良好であるコアシェル型酸化コバルト微粒子及び当該酸化コバルト微粒子分散液を提供すること、及び、還流法を上記コンセプトに適用させた、前記コアシェル型酸化コバルト微粒子及び当該酸化コバルト微粒子分散液の製造方法及びそれらの用途を提供すること、を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)コアシェル型酸化コバルト微粒子であって、1)そのコア部分は酸化コバルトの一次粒子が球状に集合した二次粒子であり、2)その二次粒子の形状は揃っており、3)その二次粒子表面にシェル部分となる有機高分子の層が存在し、4)該微粒子の粒径の平均が50nmから200nmである、ことを特徴とするコアシェル型酸化コバルト微粒子。
(2)前記有機高分子の層が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、又はポリオールの有機高分子、あるいは該有機高分子が架橋した有機高分子で構成され、その層が、洗浄してもコア部分の二次粒子から分離することがなく、かつ、その層が、10wt%から20wt%の割合で存在している、前記(1)に記載のコアシェル型酸化コバルト微粒子。
(3)一次粒子径が10から20nmであり、かつ、二次粒子径の変動係数が0.2以下である、前記(1)に記載のコアシェル型酸化コバルト微粒子。
(4)前記(1)から(3)のいずれか1項に記載のコアシェル型酸化コバルト微粒子を含有する乾燥粉体であって、分散剤を添加していない分散媒に良好に分散する性質を有することを特徴とするコアシェル型酸化コバルト微粒子粉体。
(5)前記(1)から(3)のいずれか1項に記載のコアシェル型酸化コバルト微粒子又は請求項4に記載のコアシェル型酸化コバルト微粒子粉体が分散媒中に分散したことを特徴とするコアシェル型酸化コバルト微粒子分散液。
(6)前記分散媒が、水、エタノール、テルピネオール、エチレングリコールのいずれか一つ、あるいは、これらが複数混合している混合溶液である、前記(5)に記載のコアシェル型酸化コバルト微粒子分散液又は酸化コバルト微粒子分散液。
(7)前記(1)から(3)のいずれか1項に記載の微粒子、前記(4)に記載の微粒子粉体又前記(5)若しくは(6)に記載の微粒子分散液を含有することを特徴とする顔料。
(8)前記(1)から(6)のいずれか1項に記載のコアシェル型酸化コバルト微粒子、酸化コバルト微粒子粉体又は酸化コバルト微粒子分散液を製造する方法であって、コバルトの塩、有機高分子及び蒸留水を高沸点有機溶媒に混合して混合物を得る工程と、その混合物を190℃以上の温度で加熱・還流して酸化コバルト微粒子を析出する工程とを有することを特徴とする、コアシェル型酸化コバルト微粒子、酸化コバルト微粒子粉体又は酸化コバルト微粒子分散液の製造方法。
(9)前記コバルトの塩が、酢酸コバルトであり、前記有機高分子が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)又はポリエチレングリコール(PEG)であり、前記高沸点有機溶媒が、ジエチレングリコール(DEG)である、前記(9)に記載の酸化コバルト微粒子、酸化コバルト微粒子粉体又は酸化コバルト微粒子分散液の製造方法。
(10)前記有機高分子の濃度(単位有機溶媒体積当たりに添加した有機高分子重量)が、100kg/mから140kg/mである、前記(8)又は(9)に記載の酸化コバルト微粒子、酸化コバルト微粒子粉体又は酸化コバルト微粒子分散液の製造方法。
(11)前記有機高分子のポリエチレングリコール換算での平均分子量が、4000から5000である、あるいは、前記コバルトの塩の濃度が0.05kmol/mから0.20kmol/mである、前記(8)又は(9)に記載の酸化コバルト微粒子、酸化コバルト微粒子粉体又は酸化コバルト微粒子分散液の製造方法。
(12)前記蒸留水の添加割合が、前記高沸点有機溶媒に対して0.016以上の体積比である、前記(8)又は(9)に記載の酸化コバルト微粒子、酸化コバルト微粒子粉体又は酸化コバルト微粒子分散液の製造方法。
【0015】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、コアシェル型酸化コバルト微粒子であって、そのコア部分は酸化コバルトの一次粒子が球状に集合した二次粒子であり、その二次粒子の形状は揃っており、その二次粒子表面にシェル部分となる有機高分子の層が存在し、該微粒子の粒径の平均が50nmから200nmである、ことを特徴とするものである。また、本発明は、上記コアシェル型酸化コバルト微粒子を含有する乾燥粉体であって、分散剤を添加していない分散媒に良好に分散する性質を有することを特徴とするものである。また、本発明は、コアシェル型酸化コバルト微粒子分散液であって、上記コアシェル型酸化コバルト微粒子又は上記コアシェル型酸化コバルト微粒子粉体が分散媒中に分散したことを特徴とするものである。
【0016】
本発明で言うコアシェル型酸化コバルト微粒子とは、酸化コバルトの一次粒子が球状に集合した二次粒子表面に有機高分子層が存在する微粒子を意味するものとして定義されるものであり(図1参照)、該コアシェル型酸化コバルト粒子は、一次粒子又は一次粒子が不規則に凝集した二次粒子の表面に高分子が存在するものとは異なる。
【0017】
先行文献(特開2006−8629号公報)には、一次粒子又は凝集体の表面に高分子化合物が被覆した複合粒子が開示されているが、この一次粒子又は凝集体は、球状ではなく、不均一な形状をしている。それと言うのも、上記文献に開示されている製造方法では、予め合成された金属酸化物微粒子をビーズミルなどの分散機を使って分散及び解砕しているためである。
【0018】
この分散工程では、一次粒子あるいは一次粒子の凝集粒子に解砕されるが、解砕後の一次粒子の凝集粒子は、本発明のコアシェル型酸化コバルト粒子のように、粒子が、球状で、大きさが揃うことは有り得ない。更に、被覆する高分子の割合は25wt%以上であることが上記文献に記載されているが、本発明では、後記するように、高分子の割合は、10から20wt%であって、有機高分子の層が25wt%より少ない。これは、遊離しやすい有機高分子は、洗浄により取り除かれているためである。このことも、上記文献の複合粒子とは大きく異なる点である。
【0019】
本発明は、コアシェル型酸化コバルト微粒子の粒径の平均が、50nmから200nmであるコアシェル型酸化コバルト微粒子であって、コア部分である二次粒子の形状が球状であること、その二次粒子の形状は球状であって、大きさが揃っていること、酸化コバルト二次粒子表面に、シェル部分である有機高分子が付着していること、を特徴とするものである。
【0020】
また、本発明は、コアシェル型酸化コバルト微粒子分散液であって、上記のコアシェル型酸化コバルト微粒子が分散媒中に分散したこと、を特徴とするものである。また、本発明は、上記のコアシェル型酸化コバルト微粒子粉体であって、分散剤を添加していない分散媒に良好に分散する性質を有することを特徴とするものである。
【0021】
更に、本発明は、コアシェル型酸化コバルト微粒子の製造方法であって、コバルトの塩と有機高分子を高沸点有機溶媒に混合して混合物を得る工程と、その混合物を190℃以上の温度で加熱・還流して酸化コバルト微粒子を析出させ、有機高分子の架橋反応を生じさせる工程とを有すること、を特徴とするものである。また、本発明では、前記コバルトの塩が、酢酸コバルトであることを、好ましい実施の態様としている。
【0022】
ここで、コアシェル型酸化コバルト微粒子分散液とは、分散質であるコアシェル型酸化コバルト微粒子が分散媒に分散したものであり、分散液の代わりに、懸濁液、ゾル、サスペンジョンとも言うことが可能である。また、粘度が高い場合は、ペーストとも言う。
【0023】
まず、本発明のコアシェル型酸化コバルト微粒子分散液の製造方法について説明すると、出発原料となるのは、酢酸コバルト、高沸点有機溶媒、蒸留水及び有機高分子である。これらのうち、酢酸コバルトは、市販されているもので良く、一般には、水和物である。
【0024】
金属イオンを添加した(ドープした)酸化コバルト微粒子を得る場合は、酢酸コバルトの他に、金属塩を添加する。また、高沸点有機溶媒としては、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリンなどであり、より好ましくはDEGである。更に、有機高分子としては、有機溶媒に溶解するものが好ましく、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリエチレングリコール(PEG)などであり、より好ましくは、PVPである。
【0025】
これらの原料を混合し、溶解させる。これが、コバルトの塩、有機高分子及び蒸留水を高沸点有機溶媒に混合して混合物を得る工程である。このとき、酢酸コバルトの濃度は、0.05から0.2kmol/m以上であることが好ましい。有機高分子の濃度は、100kg/mから140kg/mであることが好ましい。
【0026】
ここで、有機高分子の濃度とは、単位溶媒体積当たりに添加した有機高分子の重量と定義される。有機高分子の濃度が100kg/mから140kg/mの範囲である理由は、これより少な過ぎると、分散性が悪くなる可能性があるためである。また、有機高分子の濃度が上記範囲より多過ぎると、球状の酸化コバルト微粒子が得られない可能性があるためである。また、得られる酸化コバルト微粒子の濃度を多くするために、蒸留水を加える。蒸留水の添加割合は、高沸点有機溶媒に対して、0.016以上の体積比であることが好ましい。
【0027】
次に、上記混合物を190℃以上の温度で加熱・還流するが、これが、所定の温度で加熱・還流して酸化コバルトを析出する工程である。一般に、酸化物を析出させる場合、水酸化ナトリウム、アンモニアなどのアルカリなどを加えるが、本発明は、それを必要としないことが特徴である。水酸化ナトリウムなどを加えると、最終的に得られるナノ粒子にナトリウムなどが混入する恐れがあるが、本発明では、アルカリなどを必要としないため、そのような不純物の混入は有り得ない。
【0028】
加熱・還流時間は、300分以上である。加熱・還流時間が短いと、未反応のコバルトイオンが多く残留する可能性がある。加熱・還流中に、混合液は、濁りを増す。所定の時間加熱・還流を行い、冷却する。こうして、有機高分子が溶解した有機溶媒に、コアシェル型酸化コバルト微粒子が分散した、コアシェル型酸化コバルト微粒子分散液が得られる。コアシェル型酸化コバルト微粒子の生成メカニズムは、以下のように考えられる。
【0029】
1.有機高分子が均一に溶解している高沸点有機溶媒(ポリオール)中に酸化コバルトの一次粒子が核生成する。
2.一次粒子が球状に凝集する。このときも、絶えず一次粒子が核生成する。
3.凝集粒子(二次粒子)の表面に核生成した一次粒子が球状に集まってくる。
4.このとき、二次粒子の表面で酸化コバルトが触媒として働き、有機高分子及び/又は有機溶媒が架橋反応を生じて、強固な有機高分子層が形成される。
5.強固な有機高分子層が十分発達すると、凝集ができなくなり、コアシェル型酸化コバルト微粒子となる。
【0030】
本発明において、コアシェル型酸化コバルト微粒子は、そのコア部分は、酸化コバルトの一次粒子が球状に集合した二次粒子であり、その二次粒子の形状は揃っており、その二次粒子表面にシェル部分となる有機高分子の層が存在し、該微粒子の粒径の平均が50nmから200nmである、ことで特徴付けられるものとして定義される。
【0031】
シェル部分の有機高分子層は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリエチレングリコール(PEG)やジエチレングリコール(DEG)などのポリオール又はこれらの関連有機高分子で構成されたものである。関連有機高分子とは、PVP同士で架橋した有機高分子、HPC同士で架橋した有機高分子、PVPやHPCとポリオールとが架橋した有機高分子、ポリオール同士が架橋した有機高分子などであり、このような有機高分子が種々含まれたものである。
【0032】
酸化コバルトが触媒作用を引き起こすには、熱が必要と考えられ、このために、190℃以上の温度での加熱・還流が必要となる。加熱・還流温度が低い場合、例え、一次粒子が生成したとしても、コアシェル型とはならない。一次粒子が凝集しなければ、本発明で言うコアシェル型酸化コバルト微粒子とはならない。
【0033】
この場合、未反応の有機高分子が多く存在するため、溶媒を揮発させると、高分子マトリックス中に一次粒子が取り残された酸化コバルト高分子複合組成物となるが、これは、明らかに、コアシェル型酸化コバルト微粒子とは異なる。
【0034】
また、この場合、例え、凝集が生じても、酸化コバルト表面での触媒反応がないため、有機高分子層が形成できず、形態が不均一な凝集粒子となる。先行文献(特開平6−218276号公報)には、このような金属酸化物高分子複合組成物が開示されているが、これと、本発明とは、本質的に異なるものである。
【0035】
後記する実施例で示すように、ある臨界となる温度より低いと、コアシェル型酸化コバルト微粒子が生成しないため、高温での加熱・還流が不可欠である。上記加熱・還流の直後に得られる、コアシェル型酸化コバルト微粒子分散液では、分散媒は、加熱・還流に用いた有機溶媒となる。例えば、ジエチレングリコール(DEG)で加熱・還流を行えば、分散媒は、DEGである。
【0036】
分散媒を任意の分散媒に変更したい場合は、分散媒の置換を行えば良い。例えば、遠心分離などで、分散媒と分散質とを分離し、分散媒を取り除き、所望の分散媒を加えることにより、分散媒の置換を行うことが可能である。このとき、シェル部分の有機高分子は、洗浄によって、分離するものではなく、コアと不可分のものである。
【0037】
上記加熱・還流で用いた有機高分子は、分散媒中に残留しており、また、未反応のCoイオンも残っていることが考えられる。このため、余分な有機高分子などは、遠心分離を施し、溶媒置換を繰り返すことで、除去することが可能である。上記方法より得られる分散液の分散質であるコアシェル型酸化コバルト微粒子は、球状である。ここでの粒径とは、コアシェル型酸化コバルト微粒子の粒子径であり、走査電子顕微鏡(SEM)観察で求められる粒径である。
【0038】
コア部分の二次粒子は、一次粒子の集合体であり、一次凝集体と言う場合もある。一次粒子径は、10から20nmである。コア部分の球状の酸化コバルト微粒子の1つ1つの粒子は、二次粒子であり、一次粒子ではない。また、酸化コバルト微粒子は、1価〜5価の金属イオンが添加されたものであっても良い。例えば、Na、Ca、Y、Gd、Zr、Hf、Nbなどの金属イオンが添加される。
【0039】
二次粒子(微粒子)が凝集したものを二次凝集体と言う場合もある。動的光散乱(DLS)法では、分散媒の屈折率と分散媒の粘度が必要であるが、分散媒の屈折率は、文献値を用いることができる。また、分散媒の粘度は、分散液の粘度と同一として、分散液の粘度を測定し、それを使用する。
【0040】
このようにして、平均粒径(d)及び標準偏差(s)を求め、変動係数c(=s/d)を計算する。また、上記方法より得られる分散液を、遠心分離と水やエタノールへの再分散を3回程度行い、例えば、80℃で乾燥させることで、乾燥粉体が得られる。これについて、SEMで観察し、形状、平均粒径、標準偏差を求める。
【0041】
コアシェル型酸化コバルト微粒子の平均粒径は、50nmから200nmである。更に、粒径が揃った、すなわち、粒径の変動係数が小さいコアシェル型酸化コバルト微粒子が得られる。この場合の変動係数は0.20以下であり、0.10程度の場合もある。これは、乾燥粉体のSEM観察で確認できる。また、分散媒中での粒径は、コアシェル型酸化コバルト微粒子の2倍以下である。分散媒中では、コアシェル型酸化コバルト微粒子は、ほとんど凝集せずに存在することが示される。
【0042】
また、コアシェル型酸化コバルト微粒子の表面には、当然ながら、シェル部分に有機高分子層が存在している。これは、上記乾燥粉体について、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)分析及び熱重量(TG)分析で調査し、確認することができる。上記乾燥粉体は、遠心分離と水やエタノールへの再分散を3回程度行っていることから、コアシェル型酸化コバルト微粒子と無関係な、余分な有機高分子は除去されている。また、乾燥を行っていることから、分散媒も十分除去されている。有機高分子層の割合は、10から20wt%が好ましい。
【0043】
フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)で観察される酸化コバルト以外の吸収ピークは、酸化コバルト微粒子表面に存在するものに起因するものであり、それは、有機高分子の吸収と似ていること、及び、分散媒の沸点よりも高温で重量変化が存在することにより、酸化コバルト微粒子の表面に有機高分子が付着している、との結論が導かれる。
【0044】
ここで、有機高分子としては、例えば、PVP、HPC、PVP同士で架橋した有機高分子、HPC同士で架橋した有機高分子、PVPやHPCとポリオールとが架橋した有機高分子、ポリオール同士が架橋した有機高分子又はそれらと酸化コバルトとが反応したものが好ましい。
【0045】
上記乾燥粉体を分散媒に再分散しても容易に分散する。これは、一般の粉体と異なる特性である。一般には、粉体を一度乾燥させると、強固に凝集するため、粉体を再分散させようとしても容易に分散しない。しかし、本発明の乾燥粉体は、例えば、超音波ホモジナイザーを使うだけで、分散剤は必要としないで、容易に分散させることができる。このときの分散媒は、任意であり、好適には、例えば、水、エタノール、テルピネオール、エチレングリコールのいずれか一つ、あるいは、複数混合している混合溶液、である。
【発明の効果】
【0046】
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)粒径が50nmから200nm程度で、球状で、液中での分散性が良好であるコアシェル型酸化コバルト微粒子及びその分散液を提供することができる。
(2)容易に再分散するコアシェル型酸化コバルト微粒子の乾燥粉体を提供できる。
(3)任意の分散媒に分散したコアシェル型酸化コバルト微粒子分散液を提供できる。
(4)高粘度であるコアシェル型酸化コバルト微粒子分散液、すなわち、コアシェル型酸化コバルト微粒子ペーストを提供できる。
(5)コアシェル型酸化コバルト微粒子及び当該酸化コバルト微粒子の分散液の簡便な製造方法を提供できる。
(6)高濃度の酸化コバルト微粒子分散液が得られる。
(7)インクジェットなどによる高精細な印刷、描画が可能である顔料を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0048】
[実施例1]
30cmのジエチレングリコール(DEG)(和光純薬製)に、水、ポリビニルピロリドン(PVP)(シグマアルドリッチ製)及びCo(CHCOO)・4HO(酢酸コバルト四水和物)(和光純薬製)を加え、撹拌した。水は、DEGの1cmに対して、0.017cm加えた。加えたポリマーの濃度は120kg/mとした。PVPの平均分子量は、カタログ値で10,000であり、ポリエチレングリコール換算での平均分子量が4,000から5,000である。Co(CHCOO)・4HOの濃度は、0.10kmol/m(1kmol/m=1mol/L)とした。
【0049】
上記混合物を加熱し、200℃で360min加熱・還流した。その後、冷却し、コアシェル型酸化コバルト微粒子分散液を得た。未反応物や、余分なPVPを除去するために、分散液を18000rpmの条件で遠心分離し、水及びエタノールで洗浄した。洗浄後、80℃で乾燥させ、粉体を得た。乾燥粉体をSEM観察し、その写真から、粒度分布を調査した。
【0050】
乾燥粉体のSEM像を図2に示す。球状の微粒子が観察された。SEM像から求めた粒径は81.1nmであり、変動係数は0.166であった。すなわち、粒径が揃っており、単分散であることが確認された。
【0051】
図3に、乾燥粉体のXRDパターンを示す。これは、NaCl構造の回折パターンであり、酸化コバルトであることが確認された。これによって、還流直後の分散液中に存在する微粒子及び乾燥粉体に、酸化コバルトが含有していることが確認された。ただし、わずかにCoOOHのピークも確認でき、乾燥粉体では、酸化物の単相ではなかった。回折ピーク幅から結晶子を計算すると、12−14nmであることが確認された。
【0052】
図4に、乾燥粉体のIRスペクトルを示す。また、後で示す比較例4の乾燥粉体のIRスペクトルを示す。比較例4は、実施例1の合成時にPVP及び水を添加しないで、かつ、還流・加熱温度が180℃で合成したものである。更に、PVPのIRスペクトルも併せて示す。実施例1の乾燥粉体のIRスペクトルには、1600から1700cm−1に吸収ピークが観察された。
【0053】
一方、比較例4の乾燥粉体のIRスペクトルには、吸収ピークは、観察されなかった。PVPのIRスペクトルにも、1600から1700cm−1に吸収ピークが観察されることから、比較例4では、観察されず、実施例1で観察される1600から1700cm−1のピークは、PVPに関連する吸収ピークであることが確認された。
【0054】
TG分析結果を図5に示す。900℃まで昇温すると、14%ほど重量が減少した。FTIR及びTGの結果から総合的に考えると、実施例1の微粒子は、表面にPVP又はPVPに関連した有機高分子が存在する。これによって、実施例1で得られた微粒子は、コアが酸化コバルト、シェルが有機高分子である、コアシェル型酸化コバルト微粒子であることが確認された。
【0055】
実施例1の乾燥粉体を、水に再分散させた分散液と、比較例5の乾燥粉体を水に再分散させた分散液の水中での分散安定性について調べた。比較例5については、後で詳細に記載する。実施例1又は比較例5の乾燥粉体0.02gを、水2cmに分散させ、分散液が沈殿する様子を観察した。
【0056】
超音波ホモジナイザーで3分間照射(アウトプット9.5)しても、両サンプルの沈殿物が残っていたので、手で振とうし、更に、6分間超音波を照射(アウトプット9.5)した。そうすると、実施例1のサンプルは、沈殿物がわずかに存在するが、液が茶色に濁り、再分散した。しかし、比較例5では、すぐに沈殿し、大部分が透明層となり、ほとんど再分散しなかった。
【0057】
実施例1の再分散サンプルは、一日放置することにより、沈殿物の割合は増えたが、分散しているものもあった。一方、比較例5では、沈殿層と透明層が完全に分離した。これらのことから、PVPを添加して得られた微粒子(実施例1)と、そうでない微粒子(比較例5)では、明らかに再分散性の挙動が異なり、実施例1の方が再分散性が容易であることが分かった。
【0058】
[実施例2、3]
実施例2、3として、実施例1における実験条件と全く同じ条件で実験を行った。いずれの実施例でも、得られた微粒子のコアは、酸化コバルト(但し、実施例1でも述べたように、わずかにCoOOHが存在した。)であり、微粒子の形状は球状であった。粒径は、実施例2及び3で、それぞれ57.2及び65.5nmであった。また、変動係数は、実施例2及び3で、それぞれ0.137及び0.105であった。また、XRDパターンやIRスペクトルも、ほぼ実施例1と同じであり、以上のことから、再現性が良いことが確認された。
【0059】
[比較例1]
比較例1として、実施例1を基本とし(次に示す条件以外は、実施例1と同じ)、加熱・還流温度を180℃に下げて、実験を行った。わずかな量の微粒子しか得られず、得られた微粒子は、球状粒子ではないことが、SEM観察で明らかとなった。これによって、加熱・還流温度は、180℃よりも高温でないと、球状の微粒子が得られないことが分かった。
【0060】
[比較例2]
比較例2として、実施例1を基本とし(次に示す条件以外は、実施例1と同じ)、水(蒸留水)の添加なしで実験を行った。この場合も、比較例1と同じでわずかな量の微粒子しか得られず、得られた微粒子は、球状粒子ではないことが、SEM観察で明らかとなった。これによって、水を添加しないと、球状の微粒子が得られないことが分かった。
【0061】
[比較例3]
比較例3として、実施例1を基本とし(次に示す条件以外は、実施例1と同じ)、加熱・還流温度を180℃に下げ、かつ、水の添加なしで実験を行った。この場合も、比較例1と同じで、わずかな量の微粒子しか得られず、得られた微粒子は、球状粒子ではないことが、SEM観察で明らかとなった。
【0062】
[比較例4]
比較例4として、比較例1を基本とし(次に示す条件以外は、比較例1と同じ)、PVPを添加しないで実験を行った。この場合、粒子は、多く得られたが、SEM観察の結果、球状粒子ではないことが明らかとなった。また、XRD分析の結果、非晶質であることが分かった。更に、IRパターンには、1600から1700cm−1付近に吸収ピークがなく、実施例1とは明らかに異なる結果であった。
【0063】
[比較例5]
比較例5として、実施例1を基本とし(次に示す条件以外は、実施例1と同じ)、PVPを添加しないで実験を行った。この場合も、比較例4と同じで、粒子は多く得られたが、得られた微粒子は、球状粒子ではないことが、SEM観察で明らかとなった。これによって、PVPを含有していない場合、球状粒子は得られないことが分かった。水への再分散実験を行っても、すぐに沈殿した。これは、凝集粒子が大きく、沈殿しやすくなったためである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上詳述した通り、本発明は、コアシェル型酸化コバルト微粒子又はそれを含有する分散液、それらの製造方法及び用途に係るものであり、本発明により、粒径が50nmから200nm程度で、球状で、液中での分散性が良好であるコアシェル型酸化コバルト微粒子及びその分散液を提供することができる。また、本発明により、コアシェル型酸化コバルト微粒子分散液又は該酸化コバルト粒子分散液を含有する顔料を提供することができる。本発明は、コアシェル型酸化コバルト微粒子であって、その粒径は50〜200nm程度、粒径分布(粒径の標準偏差)が小さく、球状であり、コア部分の二次粒子も球状で大きさが揃っており、液中での分散性が良好であるコアシェル型酸化コバルト微粒子及び当該酸化コバルト微粒子分散液を提供すること、及び、還流法を適用させた、前記コアシェル型酸化コバルト微粒子及び当該酸化コバルト微粒子分散液の製造方法及びそれらの用途を提供するものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】コアシェル構造の模式図を示す。
【図2】実施例1の乾燥粉体のSEM像を示す。
【図3】実施例1の乾燥粉体のXRDパターンを示す。
【図4】実施例1の乾燥粉体のIRスペクトルを示す。
【図5】実施例1の乾燥粉体のTG曲線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアシェル型酸化コバルト微粒子であって、1)そのコア部分は酸化コバルトの一次粒子が球状に集合した二次粒子であり、2)その二次粒子の形状は揃っており、3)その二次粒子表面にシェル部分となる有機高分子の層が存在し、4)該微粒子の粒径の平均が50nmから200nmである、ことを特徴とするコアシェル型酸化コバルト微粒子。
【請求項2】
前記有機高分子の層が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、又はポリオールの有機高分子、あるいは該有機高分子が架橋した有機高分子で構成され、その層が、洗浄してもコア部分の二次粒子から分離することがなく、かつ、その層が、10wt%から20wt%の割合で存在している、請求項1に記載のコアシェル型酸化コバルト微粒子。
【請求項3】
一次粒子径が10から20nmであり、かつ、二次粒子径の変動係数が0.2以下である、請求項1に記載のコアシェル型酸化コバルト微粒子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のコアシェル型酸化コバルト微粒子を含有する乾燥粉体であって、分散剤を添加していない分散媒に良好に分散する性質を有することを特徴とするコアシェル型酸化コバルト微粒子粉体。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載のコアシェル型酸化コバルト微粒子又は請求項4に記載のコアシェル型酸化コバルト微粒子粉体が分散媒中に分散したことを特徴とするコアシェル型酸化コバルト微粒子分散液。
【請求項6】
前記分散媒が、水、エタノール、テルピネオール、エチレングリコールのいずれか一つ、あるいは、これらが複数混合している混合溶液である、請求項5に記載のコアシェル型酸化コバルト微粒子分散液又は酸化コバルト微粒子分散液。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の微粒子、請求項4に記載の微粒子粉体又は請求項5若しくは6に記載の微粒子分散液を含有することを特徴とする顔料。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載のコアシェル型酸化コバルト微粒子、酸化コバルト微粒子粉体又は酸化コバルト微粒子分散液を製造する方法であって、コバルトの塩、有機高分子及び蒸留水を高沸点有機溶媒に混合して混合物を得る工程と、その混合物を190℃以上の温度で加熱・還流して酸化コバルト微粒子を析出する工程とを有することを特徴とする、コアシェル型酸化コバルト微粒子、酸化コバルト微粒子粉体又は酸化コバルト微粒子分散液の製造方法。
【請求項9】
前記コバルトの塩が、酢酸コバルトであり、前記有機高分子が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)又はポリエチレングリコール(PEG)であり、前記高沸点有機溶媒が、ジエチレングリコール(DEG)である、請求項9に記載の酸化コバルト微粒子、酸化コバルト微粒子粉体又は酸化コバルト微粒子分散液の製造方法。
【請求項10】
前記有機高分子の濃度(単位有機溶媒体積当たりに添加した有機高分子重量)が、100kg/mから140kg/mである、請求項8又は9に記載の酸化コバルト微粒子、酸化コバルト微粒子粉体又は酸化コバルト微粒子分散液の製造方法。
【請求項11】
前記有機高分子のポリエチレングリコール換算での平均分子量が、4000から5000である、あるいは、前記コバルトの塩の濃度が0.05kmol/mから0.20kmol/mである、請求項8又は9に記載の酸化コバルト微粒子、酸化コバルト微粒子粉体又は酸化コバルト微粒子分散液の製造方法。
【請求項12】
前記蒸留水の添加割合が、前記高沸点有機溶媒に対して0.016以上の体積比である、請求項8又は9に記載の酸化コバルト微粒子、酸化コバルト微粒子粉体又は酸化コバルト微粒子分散液の製造方法。


【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−184884(P2009−184884A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27187(P2008−27187)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】