説明

コイン計数システム、コインカウンタ及びコイン計数方法

【課題】 汎用性が高く、発生したノイズがサンプリングされず、コインメカニズムで生成したパルス状の電気信号の取りこぼしもなくなり、複数のコイン動作機器に投入されたコインの枚数及び種類をコイン動作機器から離れた場所で正確に把握できるコイン計数システム、コインカウンタ、コイン計数方法を提供する。
【解決手段】 コインメカニズム3aで生成した電気信号を一定周期でサンプリングするサンプリング手段4Aと、二値化データに変換する二値化処理手段4Bと、コイン動作機器2内に投入されたコインの枚数及び種類を判定するコイン投入判定手段4Cと、コイン投入情報を記憶する記憶手段4Dとを備えたコインカウンタ4,4,4...と、コインカウンタ4,4,4...から送られた情報を取得し、管理する情報管理サーバ6とを有するコイン計数システム1などにより、課題を達成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコイン動作機器、特に、機器の内部でノイズが不定期に大量発生するコインランドリー機器に投入されたコインの枚数及び種類を複数のコイン動作機器から離れた場所で正確に把握することができるコイン計数システム、このコイン計数システムに用いるコインカウンタ及びコイン計数方法に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者がコインを投入すると、作動して、機能を発揮するコイン動作機器は、商業施設等に複数設置されている。
【0003】
コイン動作機器には、機器内に投入されたコインの種類に対応したパルス状の電気信号を生成するコインメカニズムが組み込まれている。コインメカニズムで生成されるパルス状の電気信号は通常30〜60ミリ秒と幅があるため、コインメカニズムで生成したパルス状の電気信号を検出する場合、15ミリ秒より短いサンプリング周期でサンプリングする必要がある。ここで、汎用コンピュータは、例えば、インターネット通信やデータベースの更新処理などの一時的に負荷が高くなる処理も行うため、15ミリ秒以内にサンプリング処理を行うことができるとは限らない。それ故、コインメカニズムで生成したパルス状の電気信号を汎用コンピュータでサンプリングした場合には、パルス状の電気信号を取りこぼす可能性があることから、機器内に投入されたコインの枚数及び種類をコイン動作機器から離れた場所で正確に把握することができないという実情がある。
【0004】
コイン動作機器の中でも、特に、コインランドリー機器は、ガスの点火プラグ、モーター、電磁扉ロックなどによるノイズが不定期に大量発生するため、コインメカニズムで生成したパルス状の電気信号を検出するという点では非常に劣悪な環境にあるといえる。それ故、ノイズ対策を十分に行わなければ、コインメカニズムで生成したパルス状の電気信号のみならず、不定期に発生したノイズが検出されるため、例えば、千円の売上が三十万円の売上と表示されることも珍しくない。
【0005】
コインランドリー機器の売上を把握するシステムとしては、特許文献1に記載されたコインランドリー用洗濯システムが挙げられる。
【0006】
特許文献1に記載されたコインランドリー用洗濯システムにおいて、コインランドリー機器の売上を把握するためには、検銭器(コインメカニズム)で生成したパルス状の電気信号を検銭器と制御部のインターフェースの間から取得する必要があるが、検銭器と制御部のインターフェースの間を結ぶ線には不定期に大量のノイズが乗るという問題がある。この大量のノイズが乗る問題に対して、特許文献1に記載されたコインランドリー用洗濯システムでは、制御部でノイズの処理を行っている関係上、汎用性が全くないという欠陥があり、制御部におけるノイズの処理も必ずしも十分でなく、発生するノイズがパルス状の電気信号としてサンプリングされてしまうという可能性もある。
【特許文献1】特開2003−125090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願の発明者は、機器の内部で発生するノイズがコインメカニズムで生成したパルス状の電気信号としてサンプリングされるという問題に対しては、コインメカニズムで生成した電気信号を抵抗、コンデンサ及びコイルを含むハードウェアによるローパスフィルタに通し、発生したノイズの消去に成功した。
【0008】
しかしながら、コインメカニズムで生成したパルス状の電気信号のパルス幅はコイン動作機器の機種により異なるため、ハードウェアによるローパスフィルタを用いた場合、コイン動作機器の機種に依存してしまい、柔軟性に欠け、汎用性が低いという課題があった。
【0009】
また、本願の発明者は、パルス状の電気信号の取りこぼしに対しては、各コイン動作機器の内部に、コインメカニズムで生成したパルス状の電気信号のエッジを検出し、検出したパルス状の電気信号に対して十分な長さのパルスを生成する回路を構築した。そのため、汎用コンピュータを用いてサンプリングを行った場合であっても、各コイン動作機器内で生成した一定時間のパルスを検出することにより、コインメカニズムで生成したパルス状の電気信号の取りこぼしを効果的に抑制することが可能になった。
【0010】
ところが、コインメカニズムによっては、機器内に500円玉を1枚投入すると、機器内に擬似的に100円玉を5枚投入したとして、短時間に5つの連続したパルス状の電気信号を出力するものもある。ここで、検出したパルス状の電気信号に対して十分な長さのパルスをコインメカニズムで生成するようにした場合、個々のパルスが重なる現象が発生し得るため、5つの連続したパルス状の電気信号をすべて検出するためには、コインメカニズムで生成するパルス長を十分長くできないことから、汎用コンピュータでは、どうしてもパルス状の電気信号の取りこぼしが発生してしまうという課題があった。
【0011】
本発明の目的とするところは、汎用性が高く、機器の内部でノイズが不定期に大量発生するコインランドリー機器であっても、発生したノイズがサンプリングされず、コインメカニズムで生成したパルス状の電気信号の取りこぼしもなくなり、複数のコイン動作機器に投入されたコインの枚数及び種類を複数のコイン動作機器から離れた場所で正確に把握することができるコイン計数システム、このコイン計数システムに用いるコインカウンタ及びコイン計数方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の発明者は、前記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、コインメカニズムで生成した電気信号を一定周期でサンプリングするサンプリング手段と、サンプリング手段でサンプリングしたサンプリング値を第一のしきい値と比較して二値化データに変換する二値化処理手段と、所定の時間区間にサンプリングした複数のサンプリング値に基づく二値化データを積算して積算二値化データとし、複数個の積算二値化データに基づいてコイン動作機器に投入されたコインの枚数及び種類を判定するコイン投入判定手段と、コイン投入判定手段で判定したコインの枚数及び種類とコイン動作機器に投入されたコインの投入時間とを関連付けてコイン投入情報として記憶する記憶手段とを備えたコインカウンタ及びコインカウンタから送られた情報を有線又は無線を介して取得し、管理する情報管理サーバを有するコイン計数システムなどが上記目的を達成することを見出し、本発明をするに至った。
【0013】
即ち、本発明のコイン計数システムは、コインを投入すると作動するコイン動作機器内に組み込まれ、該コイン動作機器に投入されたコインの種類に対応したパルス状の電気信号を生成するコインメカニズムに接続したコインカウンタと、単数又は複数のコインカウンタから送られた情報を有線又は無線を介して取得し、管理する情報管理サーバとを有するコイン計数システムであって、前記コインカウンタは、前記コインメカニズムで生成した電気信号を一定周期でサンプリングするサンプリング手段と、該サンプリング手段でサンプリングしたサンプリング値を第一のしきい値と比較して二値化データに変換する二値化処理手段と、該二値化処理手段で変換した二値化データのうち、所定の時間区間にサンプリングした複数のサンプリング値に基づく二値化データを積算して、その結果を積算二値化データとし、複数個の積算二値化データに基づいて前記コイン動作機器に投入されたコインの枚数及び種類を判定するコイン投入判定手段と、該コイン投入判定手段で判定したコインの枚数及び種類と前記コイン動作機器に投入されたコインの投入時間とを関連付けてコイン投入情報として記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の好適形態においては、前記コインカウンタは、前記情報管理サーバから任意の時間毎に送られたカウント情報作成命令を受信すると、前記記憶手段に記憶された前記コイン投入情報から、該カウント情報作成命令に基づき、必要な情報を抽出してカウント情報を作成し、該カウント情報を情報管理サーバに送信するカウント情報作成送信手段をさらに備えたものであり、前記コイン投入判定手段は、第1の開始時間と該第1の開始時間から予め設定した時間区間を経過した第1の終了時間との間にサンプリングしたサンプリング値に基づく二値化データを積算した第1の積算二値化データから第N−1の開始時間(N−1は二以上の正の整数)より一回のサンプリング周期だけ遅らせた第Nの開始時間(Nは三以上の正の整数)と該第Nの開始時間から予め設定した時間区間を経過した第Nの終了時間との間にサンプリングしたサンプリング値に基づく二値化データを積算した第Nの積算二値化データまでの合計N個の積算二値化データを時系列に並べ、積算二値化データが第二のしきい値を上回った後、第二のしきい値より低い第三のしきい値を下回った時点で、コイン動作機器にコインが一枚投入されたと判定するものである。
【0015】
本発明のコインカウンタは、上述したコイン計数システムに用いるものである。
【0016】
本発明のコイン計数方法は、コインを投入することにより作動するコイン動作機器に投入されたコインの種類に対応したパルス状の電気信号を生成するコインメカニズムで生成した電気信号を一定周期でサンプリングする第一のステップと、該第一のステップでサンプリングしたサンプリング値を第一のしきい値と比較して二値化データに変換する第二のステップと、該第二のステップで変換した二値化データのうち、所定の時間区間にサンプリングした複数のサンプリング値に基づく二値化データを積算して、その結果を積算二値化データとし、複数個の積算二値化データに基づいて前記コイン動作機器に投入されたコインの枚数及び種類を判定する第三のステップと、該第三のステップで判定したコインの枚数及び種類と前記コイン動作機器に投入されたコインの投入時間とを関連付けてコイン投入情報として記憶する第四のステップと、該第四のステップで記憶された情報を有線又は無線を介して取得し、管理する第五のステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明を用いることにより、コイン動作機器の内部でノイズが不定期に大量発生するコインランドリー機器等であっても、投入されたコインの枚数及び種類をコイン動作機器から離れた場所で正確に把握することができるため、コイン動作機器の売上げ集計を短周期で高精度に行うことができるようになった。
【0018】
また、本発明を用いることにより、コイン動作機器のオーナーは、自己が所有するコイン動作機器の売上状況を短周期で高精度に把握することができるため、コイン動作機器の集金時期を適切に把握できるだけでなく、釣り銭切れの時期も的確に予測できるようになった。
【0019】
さらに、本発明を用いることにより、必ずしも自分で集金業務を行う必要がなくなって、アルバイトを含む従業員に集金業務を依頼することも可能になり、自分の行動範囲を超える遠隔の地域にある商業施設等に設置されたコイン動作機器のオーナーになることも問題なくできるようになった。
【0020】
本発明は、汎用性が高いため、コイン動作機器の種類、メーカーを問わないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。本発明のコイン計数方法を用いた本発明のコイン計数システム1は、コインカウンタ4,4,4...と、情報管理サーバ6とを備える(図1)。
【0022】
コインカウンタ4は、例えば、コイン動作機器2内に組み込まれたコインメカニズム3aと機器制御装置3bとを結ぶ配線に接続する。コインカウンタ4は、コイン動作機器2内に配置してもよく(図1)、コイン動作機器2外に配置してもよい。なお、図1のように、コインカウンタ4が、コイン動作機器2内に組み込まれ、かつコインメカニズム3aと一対一に対応するように接続されている場合には、コインカウンタ4は、他のコイン動作機器2,2,2...へコインを投入するタイミングに依存することなく、組み込まれたコイン動作機器2に投入されたコインの枚数及び種類を正確に把握することが可能である。
【0023】
コインカウンタ4は、サンプリング手段4Aと、二値化処理手段4Bと、コイン投入判定手段4Cと、記憶手段4Dと、カウント情報作成送信手段4Eとを備える(図1)。
【0024】
サンプリング手段4Aでは、コインメカニズム3aで生成した電気信号を一定周期でサンプリングする。サンプリング手段4Aにおいて、コインメカニズム3aで生成した電気信号を一定周期でサンプリングする場合、その周期は特に限定されないが、2ミリ秒以下が望ましい。なお、サンプリングの周期は、パラメータを変えることにより容易に変更することができる。
【0025】
二値化処理手段4Bでは、サンプリング手段4Aでサンプリングしたサンプリング値を第一のしきい値と比較して二値化データに変換する。サンプリング手段4Bでサンプリングしたサンプリング値はノイズを含む電気信号であるため、コイン動作機器2内に投入されたコインの枚数及び種類をサンプリング値に基づいて判断するためには、ノイズを除去して必要な電気信号だけを取り出さなければならないが、本発明では、ノイズ除去の第一段階として、サンプリング値を二値化データに変換する。第一のしきい値としては、例えば、電気信号が電圧である場合には、2.5Vが挙げられる。サンプリング値を二値化データに変換する方法としては、公知の方法を使用することができるが、例えば、第一のしきい値以上のサンプリング値を+1とし、第一のしきい値未満のサンプリング値を0とする方法が挙げられる。なお、第一のしきい値は、サンプリングの周期と同様に、パラメータを変えることにより容易に変更することができる。
【0026】
コイン投入判定手段4Cは、二値化処理手段4Bで変換した二値化データのうち、所定の時間区間内にサンプリングしたサンプリング値に基づく二値化データを積算して、その結果を積算二値化データとし、複数個の積算二値化データに基づいてコイン動作機器2に投入されたコインの枚数及び種類を判定する。本発明では、ノイズ除去の第二段階として、二値化データを積算した積算二値化データを求め、その後、ノイズ除去の第三段階として、複数個の積算二値化データに基づいてコイン動作機器2に投入されたコインの枚数及び種類を判定する。それ故、本発明を用いることにより、例えば、コインランドリー機器の内部のように、ノイズが大量発生する環境においても、大量発生したノイズを除去して、誤カウントを効果的に抑制することが可能になった。
【0027】
ここにいう所定の時間区間は、特に限定されないが、例えば、32ミリ秒が挙げられる。
【0028】
複数個の積算二値化データに基づいてコイン動作機器2に投入されたコインの枚数及び種類を判定する方法としては、第二のしきい値及び第二のしきい値より低い値である第三のしきい値を用いることが好ましく、例えば、第1の積算二値化データから第Nの積算二値化データ(Nは3以上の正の整数)を求めて、時系列に並べ、積算二値化データが低い値から高い値に変化した際における基準である第二のしきい値と、積算二値化データが高い値から低い値に変化した際における基準である第三のしきい値を用い、積算二値化データが第二のしきい値を上回った後、第三のしきい値を下回った時点で、コイン動作機器2に100円が一枚投入されたと判定する方法が挙げられる。
【0029】
ここにいう第1の積算二値化データは、第1の開始時間から第1の終了時間(設定した時間区間の経過時)までにサンプリングしたM個(Mは2以上の正の整数で、例えば、M=16が挙げられる。)のサンプリング値に基づく二値化データを積算することにより求めることができ、第2の積算二値化データは、第2の開始時間(第1の開始時間から一回のサンプリング周期だけ遅らせた時間)から第2の終了時間(第1の終了時間から一回のサンプリング周期だけ遅らせた時間)までにサンプリングしたM個のサンプリング値に基づく二値化データを積算することにより求めることができ、第Nの積算二値化データは、第Nの開始時間(第N−1の開始時間から一回のサンプリング周期だけ遅らせた時間)から第Nの終了時間(第N−1の終了時間から一回のサンプリング周期だけ遅らせた時間)までにサンプリングしたM個のサンプリング値に基づく二値化データを積算することにより求めることができる。このようにして求めた第1の積算二値化データから第Nの積算二値化データは、第一のしきい値以上のサンプリング値を+1とし、第一のしきい値未満のサンプリング値を0とした場合、0から+Mの間の値をとる。なお、第二のしきい値と第三のしきい値も、サンプリングの周期や第一のしきい値と同様に、パラメータの変更により容易に変更することができるため、ノイズ除去に関してより一層高い柔軟性を有することになる。
【0030】
記憶手段4Dには、コイン投入判定手段4Cで判定したコインの枚数及び種類とコイン動作機器2に投入されたコインの投入時間が関連付けられ、コイン投入情報として記憶される。コイン投入情報は、コインが投入された時間とコインの枚数及び種類に応じて、例えば、EEPROM部4fのアドレスマップの領域データ0〜データ6の日付に対応した部分に保持され、ノイズによる瞬時の停電が発生した場合や情報管理サーバが故障した場合であっても、一定期間はコイン投入情報を保持することができるようになっている。
【0031】
カウント情報作成送信手段4Eは、情報管理サーバ6から任意の時間毎に送られたカウント情報作成命令を受信すると、記憶手段4Dに記憶されたコイン投入情報から、カウント情報作成命令に基づき、必要な情報を抽出してカウント情報を作成し、作成したカウント情報を情報管理サーバ6に送信する。
【0032】
任意の時間毎としては、60秒毎〜24時間毎の間であれば特に問題がないが、売上げのリアルタイム性を重視する場合には60秒毎が好ましく、時間帯毎の売上げの管理だけでよい場合には1時間毎が好ましい。
【0033】
カウント情報作成命令としては、対象となる日、機器番号、コイン種別などが含まれる。
【0034】
カウント情報としては、例えば、機器番号、対象となる日の0時0分からのコインの種類毎に枚数を積算した枚数積算値などが含まれる。
【0035】
コインカウンタ4の基本的な構成の一例を図3に示す。コインカウンタ4は、電気信号の変換及び波形の整形などを行うインターフェース部4aと、プログラムが格納されるROM部4bと、プログラムに必要な変数が格納されるRAM部4cと、プログラムに従い演算処理を行うCPU4dと、時刻計算や割り込み処理を行うためのタイマー部4eと、コインが投入された枚数と種類、コインが投入された時刻などの情報を保持する電気的消去可能な不揮発性ROM(EEPROM)部4fと、外部にある制御管理サーバと通信を行う通信部4gを備える。なお、ここにいう電気信号としては、例えば、コインメカニズム3aが生成する定常的な電気信号やパルス状の電気信号が挙げられるが、ポイントカードシステムが生成する擬似的なパルス状の電気信号、売上回収ボタンの電気信号、コイン収納ボックス脱着センサからの電気信号なども含まれる。
【0036】
情報管理サーバ6は、コインカウンタ4から送信された情報を有線又は無線を介して取得し、管理する。情報管理サーバ6は、例えば、複数のコイン動作機器2,2,2...が配置された商業施設等内に設置した場合には、各コイン動作機器2に組み込まれたコインカウンタ4とRS−232Cケーブルなどの通信ケーブル5を介して通信する。
【0037】
情報管理サーバ6は、複数のコイン動作機器2,2,2...に投入されたコインの枚数及び種類をコイン動作機器2,2,2...から離れた場所でリアルタイムに把握する情報を得る一方で、負荷の増大を効果的に抑制し、競合による取りこぼしがないようにするため、各コイン動作機器2に組み込まれたコインカウンタ4から一方的に送信された、各コイン動作機器2内に投入されたコインの枚数及び種類に関する情報を受信するのではなく、任意の時間毎、例えば60秒毎に、情報管理サーバ6から各コイン動作機器2のコインカウンタ4にカウント情報作成命令を送信し、各コイン動作機器2のコインカウンタ4で作成されたカウント情報を取得する要求応答型の形式を採用するのが好ましい。要求応答型の形式を採用することにより、情報管理サーバ6に多数のコインカウンタ4,4,4...を接続した場合に発生し得る、競合(コンフリクト)によるデータ情報の取りこぼし問題を解決することができ、情報管理サーバ6とコインカウンタ4を接続する通信ケーブル5に混入したノイズによる通信エラーが発生しても、データ情報の取りこぼし問題やデータ情報の消失問題を解決することができ、コインの種類や枚数に誤差が蓄積しないようになる。
【0038】
情報管理サーバ6は、コイン動作機器2,2,2...に組み込まれたコインカウンタ4,4,4...から送信されたカウント情報を受信すると、機器番号毎に、例えば、情報データベースに記録する。情報管理サーバ6には、モニタなどの表示手段6aを接続したり、モデムルーター7a、インターネット7を介してコイン動作機器2,2,2...の管理会社に設置された管理者用サーバ8や携帯電話10にコイン動作機器2,2,2...の売上情報を送信するためのメールサーバ9を接続することにより、コイン動作機器2,2,2...の売上状況を遠隔でリアルタイムに把握することが可能な状態となる。
【0039】
情報管理サーバ6の内部時計は、インターネット上の時刻サーバと適宜通信し、正確な時刻となるように調整される。情報管理サーバ6は、複数のコイン動作機器2,2,2...の各々に組み込まれたコインカウンタ4,4,4...の内部時計の日時をすべて統一するため、日時変更のコマンドを送信して、コインカウンタ4,4,4...の内部時計を補正する。
【0040】
なお、情報管理サーバ6には、コイン収納ボックスの残容量を計算して回収が必要となる時期を通知する機能を持たせてもよく、コイン収納ボックスの脱着を感知するコイン収納ボックス脱着センサからの脱着信号を記録し、インターネット7を通して管理者に通知する機能を持たせてもよく、つり銭の保持及び両替の制御を行う両替機器制御部からの制御信号により払出し処理を行うコインホッパー内のつり銭の残量を計算し、釣り銭の補充が必要となる時期を通知する機能を持たせてもよく、両替機の扉の開閉を感知する両替機器扉開閉センサからの感知信号により両替機の扉の開閉を記録し、インターネット7を通して管理者に通知する機能を持たせてもよい。
【0041】
次に、コインカウンタ4について、コインメカニズム3aで生成した電圧のサンプリングからカウント情報の送信までの過程の一例を図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
コインカウンタ4は、タイマー部4eからの指令により、ROM部4bからプログラムを読み出し、コインメカニズム3aで生成した電圧を2ミリ秒の周期でサンプリングする(ステップS101)。ここで、コインメカニズム3aで生成した電気信号は、インターフェース部4aで変換・整形した後、サンプリング値として、CPU4dに送られる。サンプリング値は、2.5V(第一のしきい値)以上のサンプリング値を+1とし、第一のしきい値未満のサンプリング値を0として、二値化データに変換される(ステップS102)。
【0043】
変換した二値化データのうち、第1の開始時間から32ミリ秒(設定した時間区間)経過した第1の終了時間までにサンプリングした16個のサンプリング値に基づく二値化データは、CPU4dで積算されて、第1の積算二値化データとされ、第1の開始時間から2ミリ秒(一回のサンプリング周期)だけ遅らせた第2の開始時間から第1の終了時間から2ミリ秒だけ遅らせた第2の終了時間までの32ミリ秒(設定した時間区間)の間にサンプリングした16個のサンプリング値に基づく二値化データは、CPU4dで積算されて、第2の積算二値化データとされ、第N−1(N−1は2以上の正の整数)の開始時間から2ミリ秒だけ遅らせた第Nの開始時間から第N−1の終了時間から2ミリ秒だけ遅らせた第Nの終了時間までの32ミリ秒にサンプリングした16個のサンプリング値に基づく二値化データは、CPU4dで積算されて、第Nの積算二値化データとされて、第1の積算二値化データから第Nの積算二値化データが算出される(ステップS103)。
【0044】
第1の積算二値化データから第Nの積算二値化データは、時系列に並べられ(ステップS104)、積算二値化データが低い値から高い値に変化した際における基準である第二のしきい値と、積算二値化データが高い値から低い値に変化した際における基準である第三のしきい値を用い、積算二値化データが第二のしきい値を上回った後、第三のしきい値を下回った時点で、コイン動作機器2に100円が一枚投入されたと判定される(ステップS105)。
【0045】
判定されたコインの枚数及び種類は、コイン動作機器に投入されたコインの投入時間と関連付けられ、電気的消去可能な不揮発性ROM(EEPROM)部4fにコイン投入情報として記憶される(ステップS106)。
【0046】
通信ケーブル(RC−232Cケーブル)5を介して情報管理サーバ6から送られた、対象となる日、機器番号、コイン種別を含むカウント情報作成命令を通信部4gで受信した場合には、CPU4dにより不揮発性ROM部4bからコイン投入情報が読み出され、CPU4dで、対象となる日の0時0分からのコインの種類毎の枚数が積算され、対象となる日の0時0分からの積算枚数が機器番号と関連付けられてカウント情報となる(ステップS107)。作成されたカウント情報は、通信部4gから通信ケーブル5を介して、情報管理サーバ6に送信される(ステップS108)。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のコイン計数方法を用いた本発明のコイン計数システムの基本的な構成の一例を説明する図である。
【図2】本発明におけるコイン投入を判定する処理過程の一例を説明する図である。
【図3】本発明のコインカウンタの基本的な構成の一例を説明する図である。
【図4】本発明におけるサンプリングからコインカウント情報の送信までの過程の一例を説明するフローシートである。
【符号の説明】
【0048】
1 コイン計数システム
2 コイン動作機器
3a コインメカニズム
3b 機器制御装置
4 コインカウンタ
4A サンプリング手段
4B 二値化処理手段
4C コイン投入判定手段
4D 記憶手段
4E カウント情報作成送信手段
4a インターフェース部
4b ROM部
4c RAM部
4d CPU
4e タイマー部
4f EEPROM部
4g 通信部
5 通信ケーブル
6 情報管理サーバ
6a 表示手段
7 インターネット
7a モデムルーター
8 管理者用サーバ
9 メールサーバ
10 携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コインを投入すると作動するコイン動作機器内に組み込まれ、該コイン動作機器に投入されたコインの種類に対応したパルス状の電気信号を生成するコインメカニズムに接続したコインカウンタと、単数又は複数のコインカウンタから送られた情報を有線又は無線を介して取得し、管理する情報管理サーバとを有するコイン計数システムであって、
前記コインカウンタは、前記コインメカニズムで生成した電気信号を一定周期でサンプリングするサンプリング手段と、該サンプリング手段でサンプリングしたサンプリング値を第一のしきい値と比較して二値化データに変換する二値化処理手段と、該二値化処理手段で変換した二値化データのうち、所定の時間区間にサンプリングした複数のサンプリング値に基づく二値化データを積算して、その結果を積算二値化データとし、複数個の積算二値化データに基づいて前記コイン動作機器に投入されたコインの枚数及び種類を判定するコイン投入判定手段と、該コイン投入判定手段で判定したコインの枚数及び種類と前記コイン動作機器に投入されたコインの投入時間とを関連付けてコイン投入情報として記憶する記憶手段を備えたことを特徴とするコイン計数システム。
【請求項2】
前記コインカウンタは、前記情報管理サーバから任意の時間毎に送られたカウント情報作成命令を受信すると、前記記憶手段に記憶された前記コイン投入情報から、該カウント情報作成命令に基づき、必要な情報を抽出してカウント情報を作成し、該カウント情報を情報管理サーバに送信するカウント情報作成送信手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のコイン計数システム。
【請求項3】
前記コイン投入判定手段は、第1の開始時間と該第1の開始時間から予め設定した時間区間を経過した第1の終了時間との間にサンプリングしたサンプリング値に基づく二値化データを積算した第1の積算二値化データから第N−1の開始時間(N−1は二以上の正の整数)より一回のサンプリング周期だけ遅らせた第Nの開始時間(Nは三以上の正の整数)と該第Nの開始時間から予め設定した時間区間を経過した第Nの終了時間との間にサンプリングしたサンプリング値に基づく二値化データを積算した第Nの積算二値化データまでの合計N個の積算二値化データを時系列に並べ、積算二値化データが第二のしきい値を上回った後、第二のしきい値より低い第三のしきい値を下回った時点で、コイン動作機器にコインが一枚投入されたと判定するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のコイン計数システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のコイン計数システムに用いるコインカウンタ。
【請求項5】
コインを投入することにより作動するコイン動作機器に投入されたコインの種類に対応したパルス状の電気信号を生成するコインメカニズムで生成した電気信号を一定周期でサンプリングする第一のステップと、
該第一のステップでサンプリングしたサンプリング値を第一のしきい値と比較して二値化データに変換する第二のステップと、
該第二のステップで変換した二値化データのうち、所定の時間区間にサンプリングした複数のサンプリング値に基づく二値化データを積算して、その結果を積算二値化データとし、複数個の積算二値化データに基づいて前記コイン動作機器に投入されたコインの枚数及び種類を判定する第三のステップと、
該第三のステップで判定したコインの枚数及び種類と前記コイン動作機器に投入されたコインの投入時間とを関連付けてコイン投入情報として記憶する第四のステップと、
該第四のステップで記憶された情報を有線又は無線を介して取得し、管理する第五のステップと
を備えることを特徴とするコイン計数方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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