説明

コネクター

【課題】端子の着脱を繰り返し行っても正確に位置合わせできるコネクターを提供する。
【解決手段】
端子が接触可能な配線基板と、前記配線基板に対向配置されたガイド部材4と、を備え、前記ガイド部材4には、端子の挿入をガイドするガイド部42が設けられ、前記ガイド部42には、端子の挿入方向に交差する方向に切り欠いた切欠き部425が設けられていることを特徴とするコネクター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネルなどの製造にあたっては、各回路やモジュールなどをユニットごとに電気的に接続して検査や評価をした後、組み立てるという手順が採用されている。この検査および評価においては、例えば、クリップコネクターが一般的に用いられている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、基台に、端子が備えられたアームが揺動自在に固定され、クリップ状となったクリップコネクターが記載されている。基台にはフレキシブル基板を挿入して位置決めする凹溝状のガイド部が設けられ、このガイド部にフレキシブル基板を挿入することにより、フレキシブル基板が所定の位置に位置決めされる。そして、フレキシブル基板は、この位置において基台とアームとに挟持されることにより、アームに備えられた端子と電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−235217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般にフレキシブル基板は、絶縁基板、回路が形成された基板、さらには補強板などが接着剤で接着されて成る。このため、フレキシブル基板の製造においては、張り合わせ時に接着剤のはみ出しが発生することがある。
このような接着剤のはみ出しが生じたフレキシブル基板を特許文献1に記載のクリップコネクターに挿入し、検査を行うと、はみ出した接着剤がガイド部の壁に付着して、ガイド部内に残留するおそれがある。特に、検査では、複数のフレキシブル基板の挿入および排出を繰り返し行うため、残留した接着剤がガイド部内に蓄積されやすい。このため、この蓄積された接着剤により、フレキシブル基板の正確な位置合わせができないなどして、接触不良が起こり、検査が正確かつスムーズにできないという不都合が生じることがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、端子の着脱を繰り返し行っても正確に位置合わせできるコネクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコネクターは、端子が接触可能な配線基板と、前記配線基板に対向配置されたガイド部材と、を備え、前記ガイド部材には、端子の挿入をガイドするガイド部が設けられ、前記ガイド部には、端子の挿入方向に交差する方向に切り欠いた切欠き部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、端子の挿入をガイドするガイド部に、端子の挿入方向に交差する方向に切り欠いた切欠き部が設けられているので、端子にはみ出した接着剤など余分な付着物があっても、切欠き部内に押し出されて、端子の挿入経路に残留することがない。従って、付着物がガイド部に詰まって、端子の位置決めができなくなるといった不具合を解消することができる。
【0009】
本発明のコネクターにおいて、前記ガイド部の排出側端部には、端子の排出方向に向かうに従って、当該排出方向に直交する断面が大きくなるように形成された傾斜部が設けられていることが好ましい。
この発明によれば、ガイド部の排出側端部が外側(排出方向側)に向かうに従って、大きくなるよう形成されているので、端子の挿入が容易である。
【0010】
本発明のコネクターにおいて、前記端子は、屈曲可能な屈曲部を有し、前記傾斜部は、前記屈曲部の屈曲方向に傾斜していることが好ましい。
この発明によれば、端子の屈曲部を傾斜部に沿って屈曲させながら、端子を挿入したり、排出することが可能となり、これらの作業が容易になる。さらに、排出側端部を傾斜させない場合には、屈曲部を屈曲させると排出側端部の角部で損傷してしまうおそれがあるが、傾斜部を設けることで、このような不具合を防ぐことができる。
【0011】
本発明のコネクターは、前記端子に面接触する面接触部と、この面接触部を前記配線基板に近づく方向に押し付ける押圧部と、を備えることが好ましい。
この発明によれば、面接触部により端子を面で押圧するので、押圧力が分散され、点や線で押圧する場合に比べて、端子を損傷する可能性が低い上、広い面積を等しい力で押圧できる。
【0012】
さらに本発明のコネクターにおいて、前記面接触部は、弾性変形可能な部材で構成されることが好ましい。
この発明によれば、端子の大きさや検査などの利用目的に応じて、押圧部による押圧力を調整することにより、面接触部分の大きさを適切に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るコネクターの平面図
【図2】前記一実施形態に係るコネクターの分解斜視図
【図3】前記一実施形態に係るガイド部材の断面図
【図4】前記一実施形態に係るガイド部材の配線基板に対向する面の平面図
【図5】図1のV−V線に沿った断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態のコネクターの平面図である。図2は、コネクターの分解斜視図である。図3は、ガイド部材の断面図である。図4は、ガイド部材の配線基板に対向する面の平面図である。図5は、図1のV−V線に沿った断面図である。
コネクター1は、図1に示すように、電気信号入力装置Eと、液晶パネルLが接続されたフレキシブル基板7の端子72と、を電気的に接続する。
このコネクター1に接続されるフレキシブル基板7は、薄板状に形成されて、この板状の面と交差する方向に屈曲可能な屈曲部としての導線部71を備えている。この導線部71は、複数の図示しない部材が接着剤で接着されることにより構成されている。そして、導線部71の一端には、端子72が設けられ、他端には、液晶パネルLが接続されている。
【0015】
コネクター1は、図2にも示すように、支持部材2と、支持部材2に載置された配線基板3と、配線基板3の一方の面に対向配置されるガイド部材4と、ガイド部材4に回動可能に固定された押圧部5を備える。
【0016】
支持部材2は、長方形板状体であり、長手方向の一側縁から板状体の垂直方向に突出した側壁21を備えている。この側壁21に対して支持部材2の短手方向の両側縁には、配線基板3およびガイド部材4を固定するための一対の雌ねじ部22と、後述するばね52を保持する凹溝状のばね保持溝23とがそれぞれ設けられている。
【0017】
配線基板3の一面には、複数本の配線パターン31が形成されている。この配線パターン31の一端には、フレキシブル基板7に電気的に接続される固定端子部32が千鳥状に設けられ、他端には、電気信号入力装置Eの端子を接続するソケット33が設けられている。
また、配線パターン31を挟んだ両側で、支持部材2の一対の雌ねじ部22に対応する位置には、一対のねじ孔34が形成されている。さらに、支持部材2のばね保持溝23に対応する位置には、一対のばね孔35が貫通して形成されている。
この配線基板3は、固定端子部32が形成された側の外周面が支持部材2の側壁21に接するよう支持部材2に載置されることにより、位置決めされる。
【0018】
ガイド部材4は、図3および図4にも示すように、配線基板3に対向配置される略長方形板状のガイド本体41を備えている。
このガイド本体41の下面(配線基板3に対向する面であり、図3の下側の面)には、短手方向の中央から一側縁(フレキシブル基板7の排出方向側の端縁)にかけて上面側に凹み、フレキシブル基板7の挿入をガイドするガイド部42が設けられている。このガイド部42における排出方向側(図3の左側)の端部には、排出方向に向かうに従って上面に近づくように(フレキシブル基板7の導線部71の屈曲方向に)傾斜する上傾斜部421と、排出方向に向かうに従って左右方向(図4の上下方向)の寸法が大きくなるように傾斜する横傾斜部422とが設けられている。
すなわち、ガイド部42は、上傾斜部421と横傾斜部422により、フレキシブル基板7の排出方向に直交する断面が排出側端部の外側(図3の左側)に近づくに従って大きくなるように形成されている。
【0019】
また、ガイド部42における挿入方向側の端部には、ガイド本体41を上下に貫通する開口部423が設けられている。この開口部423は、ガイド本体41の長手方向に沿って延び、配線基板3の固定端子部32に対応する位置において、固定端子部32とほぼ同じか僅かに大きい大きさに形成されている。
また、開口部423を構成する挿入方向側の内面は、終端壁424になっている。そして、ガイド部42によりガイドされたフレキシブル基板7の先端が終端壁424に当接して、挿入完了位置に到達した際に、端子72が開口部423から露出するようになっている。
さらに、開口部423の長手方向の両側縁には、当該長手方向に切り欠かれた切欠き部425が設けられている。すなわち、ガイド部42には、フレキシブル基板7の挿入方向に直交する方向に切り欠かれた切欠き部425が設けられている。
【0020】
一方、ガイド本体41の上面には、開口部423を挟んで配置され、上方に突出する一対の固定部43が設けられている。
この固定部43には、上下に貫通するねじ孔431と、左右に貫通する軸孔432を備えている。
そして、ねじ孔421および配線基板3のねじ孔34に挿通されたねじ6が、支持部材2の雌ねじ部22に螺合することにより、ガイド本体41は、支持部材2に固定される。
【0021】
押圧部5は、図2および図5に示すように、固定部43に回動自在に固定される略四角板状の操作部材51と、この操作部材51を押圧するばね52とを備えている。
操作部材51の一側縁側の下面には、フレキシブル基板7の端子72に面接触して押圧する面接触部511が設けられている。この面接触部511は、例えば電気絶縁性に優れたシリコーンゴムにより円柱状に形成され、円柱の軸方向が前記一側縁と平行となるように設けられている。
また、操作部材51の面接触部511よりも挿入方向側(図2の右斜め上側)には、回動軸512を挿通する軸孔513が設けられている。そして、この軸孔513とガイド部材4の軸孔432とに、回動軸512が挿通されることで、操作部材51は、ガイド部材4に対して回動可能に支持される。
さらに、軸孔513の挿入方向側における下面(配線基板3に対向する面)には、ばね52を保持する凹溝状のばね保持溝514が設けられている。
【0022】
ばね52は、配線基板3のばね孔35に挿通され、かつ、両端が支持部材2のばね保持溝23と操作部材51のばね保持溝514に保持されるように配置され、面接触部511を配線基板3に接触させる向きに操作部材51を押圧している。なお、ばね52の押圧力は、フレキシブル基板7を押圧する際、面接触部511が弾性変形する程度である。
【0023】
このコネクター1を用いて、電気信号入力装置Eとフレキシブル基板7に接続された液晶パネルLを電気的に接続する方法を説明する。
電気信号入力装置Eを、コネクター1のソケット33に接続する。
次いで、操作部材51の操作により面接触部511を配線基板3から離した後、フレキシブル基板7をガイド部42に沿って挿入して終端壁424に当接させることで、端子72を固定端子部32に対向させる。この状態で、操作部材51から手を離すと、ばね52の付勢力により操作部材51が回動して、面接触部511がフレキシブル基板7に押し付けられる。この際、面接触部511は、変形した状態でフレキシブル基板7に面接触し、フレキシブル基板7の端子72が固定端子部32に押し付けられる。
一方、検査が終了したら、面接触部511をフレキシブル基板7から離してから、フレキシブル基板7を引っ張って排出する。
【0024】
この実施形態によれば、以下の効果が得られる。
ガイド部42に切欠き部425を設けたので、付着物のあるフレキシブル基板7を挿入し、付着物がガイド部42に付着し、残留した場合でも、フレキシブル基板7の挿入の繰り返しにより、付着物が切欠き部425に押し出される。従って、付着物がガイド部42に詰まって、挿入した端子72の位置決めができなくなることを防ぐことができる。
【0025】
また、フレキシブル基板7において付着物は、導線部71に沿った両側縁部で生じやすい。本実施形態では、切欠き部425を、ガイド部42においてこの両側縁部に応じた位置、すなわち、開口部423の両側縁に形成したので、付着物の切欠き部425への押し出しが効果的に行われる。
また、切欠き部425を開口部423に形成したので、切欠き部425に溜まった付着物が露出し、これを容易に取り除くことができる。
【0026】
さらに、ガイド部42の排出方向側の端部に上傾斜部421と横傾斜部422とを設けたので、排出側端部が大きくなり、フレキシブル基板7を容易かつ着実にガイド部42へ挿入することができる。
【0027】
また、傾斜部421を、フレキシブル基板7の導線部71の屈曲方向に傾斜するように設けたので、挿入や排出の際、導線部71が屈曲して、排出側端部に接触しても、傷つくことがない。
また、フレキシブル基板7の挿入および排出の際は、フレキシブル基板7を傾斜部421に沿って屈曲させながら、挿入および排出すればよいので、挿入および排出が容易である。特に、排出の際は、傾斜面に沿って上方に引き上げるように排出できる。
【0028】
さらに、端子72を面接触状態で配線基板3の固定端子部32に押圧する面接触部511を設けたので、端子72を損傷することなく押圧できる上、端子72にかかる押圧力が線接触や点接触の場合に比べて、広い範囲で均一に押圧できる。
また、この面接触部511を弾性変形可能な弾性部材511Aで形成したので、端子72の大きさや検査などの利用目的に応じて押圧部5による押圧力を調整し、端子72との面接触部分の大きさを適切に調整できる。
さらに、面接触部511を円柱状としたので、より広い範囲を確実に面接触した状態で押圧することが可能になり、前述の効果をより高く奏することができる。
【0029】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、切欠き部425をガイド部42の挿入方向側の端部に設けられた開口部423にのみ形成したが、ガイド部42の排出側端部に形成してもよい。また、切欠き部425の数は2つに限らず、1つでもよく、より多くの数の切欠き部を形成しても構わない。
また、面接触部511は、シリコーンゴムに限らず、弾性可能な他の素材あるいは弾性変形しない素材で形成してもよい。また、形状は円柱状に限らず、直方体等の多角形でもよい。
また、本発明のコネクター1に接続する端子72は、フレキシブル基板7の端子72に限らず、その他の基板の端子でもよい。その場合、ガイド部42は、端子の形状に合わせた形状とすることができる。
【符号の説明】
【0030】
1…コネクター、3…配線基板、4…ガイド部材、5…押圧部材(押圧部)、42…ガイド部、71…導線部(屈曲部)、72…端子、425…切欠き部、511…面接触部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子が接触可能な配線基板と、
前記配線基板に対向配置されたガイド部材と、を備え、
前記ガイド部材には、端子の挿入をガイドするガイド部が設けられ、
前記ガイド部には、端子の挿入方向に交差する方向に切り欠いた切欠き部が設けられている
ことを特徴とするコネクター。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクターであって、
前記ガイド部の排出側端部には、端子の排出方向に向かうに従って、当該排出方向に直交する断面が大きくなるように形成された傾斜部が設けられている
ことを特徴とするコネクター。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクターであって、
前記端子は、屈曲可能な屈曲部を有し、
前記傾斜部は、前記屈曲部の屈曲方向に傾斜している
ことを特徴とするコネクター。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のコネクターであって、
前記端子に面接触する面接触部と、この面接触部を前記配線基板に近づく方向に押し付ける押圧部と、を備える
ことを特徴とするコネクター。
【請求項5】
請求項4に記載のコネクターであって、
前記面接触部は、弾性変形可能な部材である
ことを特徴とするコネクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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