説明

コネクタ及び該コネクタに用いるコンタクトの挿入方法

【課題】本発明はコネクタの低背化ができ、かつ、コンタクトの挿入が容易にでき、挿入されたFPCの撓みを防止でき、安定した接続を得られる構造のコネクタを提供する。
【解決手段】本目的はコンタクト14の第1片20のほぼ中央付近に弾性部38の反対側に突出する凸部26を設け、少なくともコンタクト14を含み、まず、コンタクト14を嵌合口18の反対方向よりハウジング12の挿入孔52に斜めに挿入し、次に、コンタクト14を挿入していくと、コンタクト14の凸部26がハウジング12の挿入孔52の内壁に接し、次に、さらに挿入すると凸部26が押し込まれることによりコンタクト14の第1接触部22がハウジング12の挿入孔52と略平行になり、最後に、コンタクト14の挿入が完了した際に少なくとも延設部34の先端付近と基板との間隔が0.03mm以下になるようにするによって達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やノートパソコンやデジタルカメラ等の電気機器や電子機器に使用されるコネクタに関するもので、特に、コネクタの低背化ができ、かつ、コンタクトの挿入が容易にでき、挿入されたFPCの撓みを防止でき、安定したフレキシブルプリント基板(以下「FPC」という)の接続を得られる構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のFPCを用いたコネクタは、前記FPCが挿入される反対側で回動部材を回転させて、回動部材の部位をコンタクトの部位に作用させることで、前記コンタクトと前記FPCとを接続させるもの(特許文献1)がある。これと同様の構造を用いて、コネクタの低背と接続対象物のコジリ対策を施したもの(特許文献2)がある。つまり、この種のFPCを用いたコネクタは、ハウジングと少なくとも1つのコンタクトとこのコンタクトに作用する回動部材を備えている。
下記に、回動部材タイプの文献として、特許文献1(特開2004−71160)、特許文献2(特願2011−9617)を挙げる。
【特許文献1】特開2004−71160の要約によると、本発明は、各部位の強度や仕様等を損なうことなく、スライダー16でFPC40又はFFCを確実にコンタクト14の接触部22に押圧することができ、作業性がよく、ピッチの狭小化や低背位化が可能なコネクタを提供することを目的とし、低背位化は、コンタクト14の接触部22と接続部24との間に弾性部34と支点部32とを設けるとともに接触部22と弾性部34と支点部32と接続部24とを略クランク形状に配置し、かつ、接続部24と対向する位置に弾性部34から延設された押受部20を設け、スライダー16に長手方向に連設した押圧部36を設け、押圧部36がコンタクト14の接続部22と押受部20との間で回動自在にスライダー16をハウジング12に装着することにより達成できる構造のコネクタが開示されている。
【特許文献2】特願2011−9617の要約によると、本発明は低背を維持しつつ、接続対象物の挿入方向や長手方向及びコネクタの厚み方向のコジリに強く、FPC等の可撓性がある基板に実装された場合でも、接続対象物の撓みを防止し、安定した接続が得られるコネクタ10を提供することを目的とし、複数のコンタクト14とハウジング12とロック部材18と回動部材16を備えるコネクタにおいて、ハウジング12の天井部125の補強で固定具20を配置し、厚み方向と長手方向へのコジリ対策をし、ロック部材18を接続対象物に係合させ、挿入方向のコジリ対策をし、ハウジング12に第1切欠部123と第2切欠部124を設け、コネクタ10の低背化を図り、第2切欠部124にコンタクト14の第1接続部143を配置し、FPC70等の可撓性がある基板80に実装された場合、接続対象物の撓み等を防止するようにしたコネクタ10により達成できる構造のコネクタが開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、通信機器や電気機器や電子機器等の小型化が進む中、コネクタの小型化も進み、更なる低背化若しくは現状の低背を維持しつつ、挿入されたFPCの撓み等を防止でき、安定した接続が得られることが要求されている。
特許文献1の構造では、コネクタの低背化にも限度があり、0.5mm以下の低背化は困難であった。
特許文献2の構造では、0.5mm以下の低背化が可能ではあるが、嵌合口の反対側より挿入するコンタクトのみを用いる場合に、挿入されたFPCの撓みを防止するために接触部の反対側に延設部を設け、かつ、この延設部の先端部分を基板に接するようにした場合には、コンタクトが挿入できない。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、コネクタの低背化ができ、かつ、コンタクトの挿入が容易にでき、挿入されたFPCの撓みを防止でき、安定した接続を得られる構造のコネクタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本目的は、請求項1記載のように、接続対象物が着脱自在に挿抜されるコネクタであって、
前記接続対象物と接触する接触部と基板に接続する接続部を有する所要数のコンタクトと該コンタクトが挿入されるとともに配列・保持される挿入孔と前記接続対象物が挿入される嵌合口を有するハウジングと前記ハウジングの嵌合口の反対側に装着されるとともに前記コンタクトに作用することにより前記接続対象物に前記コンタクトを接触させる回動部材とを備えるコネクタにおいて、
前記コンタクトには、一方端に前記接触部である第1接触部と他方端に押受部を有する第一片と、他方端に前記接続部である第1接続部と一方端で、かつ、前記第1接触部に対向する位置に延設部を有する第二片と、前記第1接触部と前記第1接続部の間に位置するとともに前記第一片と前記第二片を連結する弾性部及び支点部とを有するとともに前記第1接触部と前記弾性部と前記支点部と前記第1接続部を略クランク形状に配置し、前記第一片のほぼ中央付近に前記弾性部連結側の反対方向外側に突出する凸部を設けるとともに前記コンタクトの挿入が完了した際に少なくとも前記延設部の先端付近と前記基板との間隔を0.03mm以下にし、
前記ハウジングには、前記押受部が変位可能な第1切欠部と前記第1接触部の反対側に第2切欠部とを設け、前記挿入孔は前記回動部材が装着される側から前記嵌合口側に向かう方向に設けられるとともに前記コンタクトが前記挿入孔に挿入され、
前記回動部材には、長手方向に連設した細長形状をした押圧部を設けるとともに、前記コンタクトの各々の押受部と対応して係合する複数の係止孔を別個独立に形成して、隣接するコンタクト間に仕切り壁を配設し、前記押圧部が前記コンタクトの押受部に作用するように回動自在に前記ハウジングに装着し、
前記コンタクトを前記ハウジングの挿入孔に挿入する際に、前記コンタクトを挿入すると前記コンタクトの凸部が前記ハウジングの挿入孔の内壁に接し、さらに挿入すると前記凸部が押し込まれることにより前記コンタクトの第1接触部が前記ハウジングの挿入孔と略平行になり、
前記回動部材の押圧部が前記コンタクトの押受部に作用すると、前記コンタクトの接続部は変位せず、前記コンタクトの押受部のみが前記押圧部によって押し上げられ、前記支点部を支点にし、前記弾性部が前記第1接触部側に傾くことによって、前記接続対象物を直に押圧することなく、前記第1接触部が前記接続対象物側に変位し、押圧することにより前記接続対象物が下方変位して、前記第1接触部と前記接続対象物とが接続し、
少なくとも前記コンタクトを含むことを特徴とするコネクタにすることにより達成できる。
【0006】
請求項2記載のコネクタは、前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部の形状を略ハ字形状にすることを特徴とする請求項1記載のコネクタにある。
また、請求項3記載のコネクタは、前記第二片の、前記延設部と前記第1接続部との間を段差形状にすることを特徴とする請求項1記載のコネクタにある。
さらに、請求項4記載のコネクタは、前記凸部の挿入方向側を、傾斜形状にすることを特徴とする請求項2または3記載のコネクタにある。
【0007】
請求項5記載のコネクタは、前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部の先端に、誘い部を設けることを特徴とする請求項2または3記載のコネクタにある。
また、請求項6記載のコネクタは、前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部に、弾性を持たせることを特徴とする請求項2または3記載のコネクタにある。
【0008】
本目的は、請求項7記載のように、接続対象物と接触する接触部と基板に接続する接続部を有する所要数のコンタクトと該コンタクトが挿入されるとともに配列・保持される挿入孔と前記接続対象物が挿入される嵌合口を有するハウジングと前記ハウジングの嵌合口の反対側に装着されるとともに前記コンタクトに作用することにより前記接続対象物に前記コンタクトを接触させる回動部材とを備えるコネクタであって、
前記ハウジングに前記コンタクトを挿入するコンタクト挿入方法において、
前記コンタクトには、一方端に前記接触部である第1接触部と他方端に押受部を有する第一片と、他方端に前記接続部である第1接続部と一方端で、かつ、前記第1接触部に対向する位置に延設部を有する第二片と、前記第1接触部と前記第1接続部の間に位置するとともに前記第一片と前記第二片を連結する弾性部及び支点部とを有するとともに前記第1接触部と前記弾性部と前記支点部と前記第1接続部を略クランク形状に配置し、前記第一片のほぼ中央付近に前記弾性部連結側の反対方向外側に突出する凸部を設けるとともに前記コンタクトの挿入が完了した際に少なくとも前記延設部の先端付近と前記基板との間隔を0.03mm以下にし、
少なくとも前記コンタクトを含み、
まず、前記コンタクトを前記嵌合口の反対方向より前記ハウジングの挿入孔に挿入し、
次に、前記コンタクトを挿入していくと、前記コンタクトの凸部が前記ハウジングの挿入孔の内壁に接し、
次に、さらに挿入すると前記凸部が押し込まれることにより前記コンタクトの第1接触部が前記ハウジングの挿入孔と略平行になり、
最後に、前記コンタクトの挿入が完了した際に少なくとも前記延設部の先端付近と前記基板との間隔が0.03mm以下になることを特徴とするコンタクト挿入方法により達成できる。
【0009】
請求項8記載のコンタクトの挿入方法は、前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部の形状を略ハ字形状にすることを特徴とする請求項7記載のコンタクトの挿入方法にある。
また、請求項9記載のコンタクトの挿入方法は、前記第二片の、前記延設部と前記第1接続部との間を段差形状にすることを特徴とする請求項7記載のコンタクトの挿入方法にある。
さらに、請求項10記載のコンタクトの挿入方法は、前記凸部の挿入方向側を傾斜形状にし、前記凸部が前記ハウジングの挿入孔の内壁に接した状態からさらに挿入すると前記凸部の傾斜形状部分が押し込まれることで前記コンタクトが回転することにより前記第1接触部が前記ハウジングの挿入孔と略平行になることを特徴とする請求項8または9記載のコンタクトの挿入方法にある。
【0010】
請求項9記載のコンタクトの挿入方法は、前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部の先端に、誘い部を設けることを特徴とする請求項7または8記載のコンタクトの挿入方法にある。
また、請求項10記載のコンタクトの挿入方法は、前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部に、弾性を持たせることを特徴とする請求項7または8記載のコンタクトの挿入方法にある。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明のコネクタと該コネクタに用いるコンタクトの挿入方法によると、次のような優れた効果が得られる。0.5mm以下の低背化が可能で、コンタクトを嵌合口の反対側から容易にハウジングの挿入孔に挿入でき、FPCの撓みを防止でき、安定した接続を得られる。
【0012】
(1)接続対象物が着脱自在に挿抜されるコネクタであって、前記接続対象物と接触する接触部と基板に接続する接続部を有する所要数のコンタクトと該コンタクトが挿入されるとともに配列・保持される挿入孔と前記接続対象物が挿入される嵌合口を有するハウジングと前記ハウジングの嵌合口の反対側に装着されるとともに前記コンタクトに作用することにより前記接続対象物に前記コンタクトを接触させる回動部材とを備えるコネクタにおいて、前記コンタクトには、一方端に前記接触部である第1接触部と他方端に押受部を有する第一片と、他方端に前記接続部である第1接続部と一方端で、かつ、前記第1接触部に対向する位置に延設部を有する第二片と、前記第1接触部と前記第1接続部の間に位置するとともに前記第一片と前記第二片を連結する弾性部及び支点部とを有するとともに前記第1接触部と前記弾性部と前記支点部と前記第1接続部を略クランク形状に配置し、前記第一片のほぼ中央付近に前記弾性部連結側の反対方向外側に突出する凸部を設けるとともに前記コンタクトの挿入が完了した際に少なくとも前記延設部の先端付近と前記基板との間隔を0.03mm以下にし、前記ハウジングには、前記押受部が変位可能な第1切欠部と前記第1接触部の反対側に第2切欠部とを設け、前記挿入孔は前記回動部材が装着される側から前記嵌合口側に向かう方向に設けられるとともに前記コンタクトが前記挿入孔に挿入され、前記回動部材には、長手方向に連設した細長形状をした押圧部を設けるとともに、前記コンタクトの各々の押受部と対応して係合する複数の係止孔を別個独立に形成して、隣接するコンタクト間に仕切り壁を配設し、前記押圧部が前記コンタクトの押受部に作用するように回動自在に前記ハウジングに装着し、前記コンタクトを前記ハウジングの挿入孔に挿入する際に、前記コンタクトを挿入すると前記コンタクトの凸部が前記ハウジングの挿入孔の内壁に接し、さらに挿入すると前記凸部が押し込まれることにより前記コンタクトの第1接触部が前記ハウジングの挿入孔と略平行になり、前記回動部材の押圧部が前記コンタクトの押受部に作用すると、前記コンタクトの接続部は変位せず、前記コンタクトの押受部のみが前記押圧部によって押し上げられ、前記支点部を支点にし、前記弾性部が前記第1接触部側に傾くことによって、前記接続対象物を直に押圧することなく、前記第1接触部が前記接続対象物側に変位し、押圧することにより前記接続対象物が下方変位して、前記第1接触部と前記接続対象物とが接続し、少なくとも前記コンタクトを含むことを特徴とするコネクタにしているので、0.5mm以下の低背化が可能で、コンタクトを嵌合口の反対側から容易にハウジングの挿入孔に挿入でき、FPCの撓みを防止でき、安定した接続を得られる。
(2)請求項2記載のコネクタは、前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部の形状を略ハ字形状にすることを特徴とする請求項1記載のコネクタにしているので、0.5mm以下の低背化が可能で、コンタクトを嵌合口の反対側から容易にハウジングの挿入孔に挿入でき、前記延設部の先端部分と前記基板との間隔を簡単に0.1mm以下にでき、基板FPCの撓みを防止でき、安定した接続を得られる。
(3)請求項3記載のコネクタは、前記第二片の、前記延設部と前記第1接続部との間を段差形状にすることを特徴とする請求項1記載のコネクタにしているので、0.5mm以下の低背化が可能で、コンタクトを嵌合口の反対側から容易にハウジングの挿入孔に挿入でき、前記延設部の先端部分と前記基板との間隔を簡単に0.1mm以下にでき、FPCの撓みを防止でき、安定した接続を得られる。
(4)請求項4記載のコネクタは、前記凸部の挿入方向側を、傾斜形状にすることを特徴とする請求項2または3記載のコネクタにしているので、0.5mm以下の低背化が可能で、コンタクトを嵌合口の反対側から容易にハウジングの挿入孔に挿入でき、前記延設部の先端部分と前記基板との間隔を簡単に0.1mm以下にでき、FPCの撓みを防止でき、安定した接続を得られる。
(5)請求項5記載のコネクタは、前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部の先端に、誘い部を設けることを特徴とする請求項2または3記載のコネクタにしているので、0.5mm以下の低背化が可能で、誘われ易く、コンタクトを嵌合口の反対側から容易にハウジングの挿入孔に挿入でき、FPCの撓みを防止でき、安定した接続を得られる。
(6)請求項6記載のコネクタは、前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部に、弾性を持たせることを特徴とする請求項2または3記載のコネクタにしているので、0.5mm以下の低背化が可能で、コンタクトを嵌合口の反対側から容易にハウジングの挿入孔に挿入でき、前記挿入孔に挿入された後に前記第1接触部と前記延設部が内側に戻り易く、FPCの撓みを防止でき、安定した接続を得られる。
【0013】
(7)請求項7記載のコンタクトの挿入方法は、接続対象物と接触する接触部と基板に接続する接続部を有する所要数のコンタクトと該コンタクトが挿入されるとともに配列・保持される挿入孔と前記接続対象物が挿入される嵌合口を有するハウジングと前記ハウジングの嵌合口の反対側に装着されるとともに前記コンタクトに作用することにより前記接続対象物に前記コンタクトを接触させる回動部材とを備えるコネクタであって、前記ハウジングに前記コンタクトを挿入するコンタクト挿入方法において、前記コンタクトには、一方端に前記接触部である第1接触部と他方端に押受部を有する第一片と、他方端に前記接続部である第1接続部と一方端で、かつ、前記第1接触部に対向する位置に延設部を有する第二片と、前記第1接触部と前記第1接続部の間に位置するとともに前記第一片と前記第二片を連結する弾性部及び支点部とを有するとともに前記第1接触部と前記弾性部と前記支点部と前記第1接続部を略クランク形状に配置し、前記第一片のほぼ中央付近に前記弾性部連結側の反対方向外側に突出する凸部を設けるとともに前記コンタクトの挿入が完了した際に少なくとも前記延設部の先端付近と前記基板との間隔を0.03mm以下にし、少なくとも前記コンタクトを含み、まず、前記コンタクトを前記嵌合口の反対方向より前記ハウジングの挿入孔に挿入し、次に、前記コンタクトを挿入していくと、前記コンタクトの凸部が前記ハウジングの挿入孔の内壁に接し、次に、さらに挿入すると前記凸部が押し込まれることにより前記コンタクトの第1接触部が前記ハウジングの挿入孔と略平行になり、最後に、前記コンタクトの挿入が完了した際に少なくとも前記延設部の先端付近と前記基板との間隔が0.03mm以下になることを特徴とするコンタクト挿入方法にしているので、0.5mm以下の低背化が可能で、コンタクトを嵌合口の反対側から容易にハウジングの挿入孔に挿入でき、FPCの撓みを防止でき、安定した接続を得られる。
(8)請求項8記載のコンタクトの挿入方法は、前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部の形状を略ハ字形状にすることを特徴とする請求項7記載のコンタクトの挿入方法にしているので、0.5mm以下の低背化が可能で、コンタクトを嵌合口の反対側から容易にハウジングの挿入孔に挿入でき、前記延設部の先端部分と前記基板との間隔を簡単に0.1mm以下にでき、FPCの撓みを防止でき、安定した接続を得られる。
(9)請求項9記載のコンタクトの挿入方法は、前記第二片の、前記延設部と前記第1接続部との間を段差形状にすることを特徴とする請求項7記載のコンタクトの挿入方法にしているので、0.5mm以下の低背化が可能で、コンタクトを嵌合口の反対側から容易にハウジングの挿入孔に挿入でき、前記延設部の先端部分と前記基板との間隔を簡単に0.1mm以下にでき、FPCの撓みを防止でき、安定した接続を得られる。
(10)請求項10記載のコンタクトの挿入方法は、前記凸部の挿入方向側を傾斜形状にし、前記凸部が前記ハウジングの挿入孔の内壁に接した状態からさらに挿入すると前記凸部の傾斜形状部分が押し込まれることで前記コンタクトが回転することにより前記第1接触部が前記ハウジングの挿入孔と略平行になることを特徴とする請求項8または9記載のコンタクトの挿入方法にしているので、0.5mm以下の低背化が可能で、コンタクトを嵌合口の反対側から容易にハウジングの挿入孔に挿入でき、前記延設部の先端部分と前記基板との間隔を簡単に0.1mm以下にでき、FPCの撓みを防止でき、安定した接続を得られる。
(11)請求項11記載のコンタクトの挿入方法は、前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部の先端に、誘い部を設けることを特徴とする請求項8または9記載のコンタクトの挿入方法にしているので、0.5mm以下の低背化が可能で、誘われ易く、コンタクトを嵌合口の反対側から容易にハウジングの挿入孔に挿入でき、FPCの撓みを防止でき、安定した接続を得られる。
(12)請求項12記載のコンタクトの挿入方法は、前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部に、弾性を持たせることを特徴とする請求項8または9記載のコンタクトの挿入方法にしているので、0.5mm以下の低背化が可能で、コンタクトを嵌合口の反対側から容易にハウジングの挿入孔に挿入でき、前記挿入孔に挿入された後に前記第1接触部と前記延設部が内側に戻り易く、FPCの撓みを防止でき、安定した接続を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A) 本発明のコネクタとFPCを嵌合口側の上方からみた斜視図である。(B) 本発明のコネクタとFPCを嵌合口と反対側の下方からみた斜視図である。
【図2】(A) FPCが挿入されてなく、かつ、回動部材が開いた状態で、あるコンタクト部分で断面した断面図である。(B) FPCが挿入され、かつ、回動部材が開いた状態で、あるコンタクト部分で断面した断面図である。(C) FPCが挿入され、かつ、回動部材が閉じた状態で、あるコンタクト部分で断面した断面図である。
【図3】コンタクトの斜視図である。
【図4】(A) 嵌合口側上方よりみたハウジングの斜視図である。(B) 嵌合口と反対側下方よりみたハウジングの斜視図である。(C) ハウジングをあるコンタクト挿入孔部分で断面した断面図である。
【図5】回動部材の斜視図である。
【図6】(A) コンタクトをハウジングに挿入する前の、挿入孔部分とコンタクトの断面図である。(B) コンタクトの接触部先端がハウジングに接した状態の、挿入孔部分とコンタクトの断面図である。(C) コンタクトの凸部がハウジングに接した状態の、挿入孔部分とコンタクトの断面図である。(D) (C)の状態よりさらに挿入し、コンタクトがハウジングの挿入孔と略平行になった状態の、挿入孔部分とコンタクトの断面図である。(E) コンタクトがハウジングに完全に挿入された状態の、挿入孔部分の断面図である。
【図7】(A) 図6とは別のコンタクトをハウジングに挿入する前の、挿入孔部分とコンタクトの断面図である。(B) 図6とは別のコンタクトの接触部先端がハウジングに接した状態の、挿入孔部分とコンタクトの断面図である。(C) 図6とは別のコンタクトの凸部がハウジングに接した状態の、挿入孔部分とコンタクトの断面図である。(D) (C)の状態よりさらに挿入し、図6とは別のコンタクトがハウジングの挿入孔と略平行になった状態の、挿入孔部分とコンタクトの断面図である。(E) 図6とは別のコンタクトがハウジングに完全に挿入された状態の、挿入孔部分の断面図である。
【図8】段差がある別のコンタクトの斜視図である。
【図9】千鳥に用いるさらに別のコンタクトの斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の特徴は、接続対象物が着脱自在に挿抜されるコネクタ10であって、前記接続対象物と接触する接触部と基板に接続する接続部を有する所要数のコンタクト14と該コンタクト14が挿入されるとともに配列・保持される挿入孔52と前記接続対象物が挿入される嵌合口18を有するハウジング12と前記ハウジング12の嵌合口18の反対側に装着されるとともに前記コンタクト14に作用することにより前記接続対象物に前記コンタクト14を接触させる回動部材16とを備えるコネクタ10において、前記コンタクト14には、一方端に前記接触部である第1接触部22と他方端に押受部24を有する第一片20と、他方端に前記接続部である第1接続部32と一方端で、かつ、前記第1接触部22に対向する位置に延設部34を有する第二片30と、前記第1接触部22と前記第1接続部32の間に位置するとともに前記第一片20と前記第二片30を連結する弾性部38及び支点部40とを有するとともに前記第1接触部22と前記弾性部38と前記支点部40と前記第1接続部32を略クランク形状に配置し、前記第一片20のほぼ中央付近に前記弾性部連結側の反対方向外側に突出する凸部26を設けるとともに前記コンタクト14の挿入が完了した際に少なくとも前記延設部34の先端付近と前記基板との間隔を0.03mm以下にし、前記ハウジング12には、前記押受部24が変位可能な第1切欠部54と前記第1接触部22の反対側に第2切欠部56とを設け、前記挿入孔52は前記回動部材16が装着される側から前記嵌合口18側に向かう方向に設けられるとともに前記コンタクト14が前記挿入孔52に挿入され、前記回動部材16には、長手方向に連設した細長形状をした押圧部46を設けるとともに、前記コンタクト14の各々の押受部24と対応して係合する複数の係止孔44を別個独立に形成して、隣接するコンタクト14間に仕切り壁48を配設し、前記押圧部46が前記コンタクト14の押受部24に作用するように回動自在に前記ハウジング12に装着し、前記コンタクト14を前記ハウジング12の挿入孔52に挿入する際に、前記コンタクト14を挿入すると前記コンタクト14の凸部26が前記ハウジング12の挿入孔52の内壁に接し、さらに挿入すると前記凸部26が押し込まれることにより前記コンタクト14の第1接触部22が前記ハウジング12の挿入孔52と略平行になり、前記回動部材16の押圧部46が前記コンタクト14の押受部24に作用すると、前記コンタクト14の接続部32は変位せず、前記コンタクト14の押受部24のみが前記押圧部47によって押し上げられ、前記支点部40を支点にし、前記弾性部38が前記第1接触部22側に傾くことによって、前記接続対象物を直に押圧することなく、前記第1接触部22が前記接続対象物側に変位し、押圧することにより前記接続対象物が下方変位して、前記第1接触部22と前記接続対象物とが接続し、少なくとも前記コンタクト14を含むことを特徴とするコネクタである。
また、本発明の特徴は、接続対象物と接触する接触部と基板に接続する接続部を有する所要数のコンタクト14と該コンタクト14が挿入されるとともに配列・保持される挿入孔52と前記接続対象物が挿入される嵌合口18を有するハウジング12と前記ハウジング12の嵌合口18の反対側に装着されるとともに前記コンタクト14に作用することにより前記接続対象物に前記コンタクト14を接触させる回動部材16とを備えるコネクタ10であって、前記ハウジング12に前記コンタクト14を挿入するコンタクト挿入方法において、前記コンタクト14には、一方端に前記接触部である第1接触部22と他方端に押受部24を有する第一片20と、他方端に前記接続部である第1接続部32と一方端で、かつ、前記第1接触部22に対向する位置に延設部34を有する第二片30と、前記第1接触部22と前記第1接続部32の間に位置するとともに前記第一片20と前記第二片30を連結する弾性部38及び支点部40とを有するとともに前記第1接触部22と前記弾性部38と前記支点部40と前記第1接続部32を略クランク形状に配置し、前記第一片20のほぼ中央付近に前記弾性部連結側の反対方向外側に突出する凸部26を設けるとともに前記コンタクト14の挿入が完了した際に少なくとも前記延設部34の先端付近と前記基板との間隔を0.03mm以下にし、少なくとも前記コンタクト14を含み、まず、前記コンタクト14を前記嵌合口18の反対方向より前記ハウジング12の挿入孔52に挿入し、次に、前記コンタクト14を挿入していくと、前記コンタクト14の凸部26が前記ハウジング12の挿入孔52の内壁に接し、次に、さらに挿入すると前記凸部26が押し込まれることにより前記コンタクト14の第1接触部22が前記ハウジング12の挿入孔52と略平行になり、最後に、前記コンタクト14の挿入が完了した際に少なくとも前記延設部34の先端付近と前記基板との間隔が0.03mm以下になることを特徴とするコンタクト挿入方法である。
つまり、前記コンタクト14の第一片20のほぼ中央付近に前記弾性部連結側の反対方向外側に突出する凸部26を設け、少なくとも前記コンタクト14を含み、まず、前記コンタクト14を前記嵌合口18の反対方向より前記ハウジング12の挿入孔52に挿入し、次に、前記コンタクト14を挿入していくと、前記コンタクト14の凸部26が前記ハウジング12の挿入孔52の内壁に接し、次に、さらに挿入すると前記凸部26が押し込まれることにより前記コンタクト14の第1接触部22が前記ハウジング12の挿入孔52と略平行になり、最後に、前記コンタクト14の挿入が完了した際に少なくとも前記延設部34の先端付近と前記基板との間隔が0.03mm以下になるようにしたものである。
【0016】
図1から図9に基づいて、本発明のコネクタ10及び該コネクタ10に用いるコンタクト14の挿入方法の一実施例について説明する。図1(A)は本発明のコネクタとFPCを嵌合口側の上方からみた斜視図であり、(B)は本発明のコネクタとFPCを嵌合口と反対側の下方からみた斜視図である。図2(A)はFPCが挿入されてなく、かつ、回動部材が開いた状態で、あるコンタクト部分で断面した断面図であり、(B)はFPCが挿入され、かつ、回動部材が開いた状態で、あるコンタクト部分で断面した断面図であり、(C)はFPCが挿入され、かつ、回動部材が閉じた状態で、あるコンタクト部分で断面した断面図である。図3はコンタクトの斜視図である。図4(A)は嵌合口側上方よりみたハウジングの斜視図であり、(B)は嵌合口と反対側下方よりみたハウジングの斜視図であり、(C)はハウジングをあるコンタクト挿入孔部分で断面した断面図である。図5回動部材の斜視図である。図6(A)はコンタクトをハウジングに挿入する前の、挿入孔部分とコンタクトの断面図であり、(B)はコンタクトの接触部先端がハウジングに接した状態の、挿入孔部分とコンタクトの断面図であり、(C)はコンタクトの凸部がハウジングに接した状態の、挿入孔部分とコンタクトの断面図であり、(D)は(C)の状態よりさらに挿入し、コンタクトがハウジングの挿入孔と略平行になった状態の、挿入孔部分とコンタクトの断面図であり、(E)はコンタクトがハウジングに完全に挿入された状態の、挿入孔部分の断面図である。図7(A)は図6とは別のコンタクトをハウジングに挿入する前の、挿入孔部分とコンタクトの断面図であり、(B)は図6とは別のコンタクトの接触部先端がハウジングに接した状態の、挿入孔部分とコンタクトの断面図であり、(C)は図6とは別のコンタクトの凸部がハウジングに接した状態の、挿入孔部分とコンタクトの断面図であり、(D)は(C)の状態よりさらに挿入し、図6とは別のコンタクトがハウジングの挿入孔と略平行になった状態の、挿入孔部分とコンタクトの断面図であり、(E)は図6とは別のコンタクトがハウジングに完全に挿入された状態の、挿入孔部分の断面図である。図8は段差がある別のコンタクトの斜視図である。図9は千鳥に用いるさらに別のコンタクトの斜視図である。
【0017】
本発明のコネクタ10は、主にハウジング12とコンタクト14と回動部材16とを備えている。
【0018】
構成部品を説明する前に、FPC80について説明する。前記FPC80には、主にコンタクト14の第1接触部22と接触する接点と該接点から回路へ繋がるパターンとを備えている。
【0019】
図に基づいて本発明のコネクタ10の構成部品について説明する。まず、コンタクト14について説明する。前記コンタクト14は金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記コンタクト14の材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。本実施例では、前記コンタクト14は前記ハウジング12の挿入孔52内に挿入される。
【0020】
前記コンタクト14は、少なくとも一方端に第1接触部22と他方端に押受部24とを有する第一片20と、一方端に前記第1接触部22と対向する位置に延設された延設部34と他方端に接続部である第1接続部32とを有する第二片30と、前記第1接触部22と前記第1接続部32の間に位置するとともに前記第一片20と前記第二片28を連結する弾性部38及び支点部40とを有している。つまり、前記コンタクト14は、略逆倒H形状をし、前記第一片20の第1接触部22と前記弾性部38と前記支点部40と前記第1接続部32は略クランク形状に配置されている。
【0021】
前記固定部36は、前記コンタクト14の第1接続部32近傍の幅方向にボス(図示せず)が設けられている。前記固定部36の位置や大きさは、前記コンタクト14の保持力や接続安定性等を考慮して適宜設計している。
【0022】
接触部である前記第1接触部22は、前記FPC80と接触し易いように凸部形状にしており、前記第1接続部32は本実施例では図3のように表面実装タイプ(SMT)にしているが、ディップタイプでも良い。前記弾性部38から前記第1接触部22の先端までは、傾斜形状にしている。
【0023】
前記第1片20のほぼ中央付近には、前記弾性部連結側の反対方向外側に突出する凸部26が設けられている。前記凸部26の役割は、前記ハウジング12の挿入孔52に押し込むことによって、前記コンタクト14の第1接触部22を前記挿入孔52と略平行にするものである。さらに、前記コンタクト14の挿入が完了した際に少なくとも前記延設部34の先端付近と前記基板との間隔を0.03mm以下にしている。前記凸部26の形状・大きさは、このような役割や接続安定性やコネクタの小型化や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。本実施例では、前記凸部26の形状は前記ハウジング12の挿入方向側を傾斜形状にしている。挿入方向側を傾斜形状にすることで、前記凸部26が前記ハウジング12の挿入孔52の内壁に接した状態からさらに挿入すると前記凸部26の傾斜形状部分が押し込まれることで前記コンタクト14が回転することにより前記第1接触部22が前記ハウジング12の挿入孔52と略平行になる。
【0024】
前記支点部30と前記弾性部38と前記押受部24とは、前記FPC80が挿入された際に、次のような作用を果たすための部分である。前記FPC80が前記ハウジング12の嵌合口18内に挿入された後に、前記回動部材16の押圧部46が回動し、前記コンタクト14の押受部24に作用すると、前記押受部24が前記押圧部46によって押し上げられることで前記コンタクト14の支点部40を支点にし、前記コンタクト14の弾性部38が前記第1接触部22側に傾くことによって、前記第1接触部22が前記FPC80に押圧される。前記支点部40と前記弾性部38と前記押受部24の大きさや形状は、このような作用を果たすために、適宜設計されている。
【0025】
前記延設部34は、前記第1接触部22により前記FPC80が押圧された際の前記FPC80の撓みを防止するための部分である。前記延設部34の形状は、前記支点部40から傾斜させ、先端部分は実装基板と平行にしている。前記第1接触部22の先端と前記延設部34の先端は、略ハ字形状にし、各々には弾性を持たせている。このような形状にすることで、前記挿入孔52に挿入し易くし、前記コンタクト14の挿入が完了した際に少なくとも前記延設部34の先端付近と前記基板との間隔が0.03mm以下になるようにしている。上述のように、前記延設部34を傾斜させることにより、挿入が完了した際に前記ハウジング12の実装基板側の肉厚を逃げる構造にしている。なお、前記延設部34の先端部分に、第2の接触部を設けてもよい。
【0026】
さらに、前記コンタクト14の押受部24の先端に膨れ防止手段を設けることが好ましい。前記回動部材16の押圧部46を回動させるとき、前記回動部材16の回動に対する反発力が強い為に、前記回動部材16の中央部が膨れる傾向があるが、前記膨れ防止手段を設けることにより、かかる傾向を防ぐようにすることができるためである。さらに、前記膨れ防止手段として、前記押受部24の先端に突出部28を設けることがより好適である。前記突出部28の大きさは、上記役割を果たすことが出来れば如何なる大きさでもよく、前記回動部材16の押圧部46が引っ掛かる程度に適宜設計する。
【0027】
次に、回動部材16について説明する。この回動部材16は電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やポリフェニレンサルファイド(PPS)やこれらの合成材料を挙げることができる。前記回動部材16は主に操作部42とハウジング12に回動可能に装着される軸部分と前記コンタクト14の押受部24が入る係止孔44と押受部24を押圧する押圧部46とを備えている。前記軸は、回動部材16を回動するための支点であり、ハウジング12の長手方向両側に回動部材16が回動可能に適宜装着されている。前記軸と前記ハウジング12の軸受との関係は、前記回動部材16が回動した際に、前記押圧部46が移動及び回転できる程度の0.05〜0.07mm程度クリアランスを設けている。このようにクリアランスを設けることで、前記押圧部46は回転軸を持つことなく、移動及び回転をし、コンパクトに回ることができ、より低背化が可能になる。
【0028】
前記押圧部46は、前記コンタクト14の押受部24に押し付ける部分であり、その形状としては細長形状にする。前記押圧部46の形状は、本実施例では楕円形状をしている。このように楕円形状にすることによって、前記回動部材16を回動させ、前記コンタクト14の押受部24と接続部30との間で回転させることで、前記押圧部46の大きさの変化により前記コンタクト14の押受部24が持ち上げられ、前記FPC80に前記コンタクト14の第1接触部22側を押し付けている。前記押圧部46の形状としては、前記コンタクト14の押受部24と接続部30との間で回転でき、長軸と短軸といった大きさの違いにより前記コンタクト14の押受部24を押し上げられれば、如何なるものでもよい。
【0029】
また、前記回動部材16を回動した際に、前記回動部材16の回動に対する反発力が強く、前記回動部材16の中央部が膨れてしまうことを防ぐようにする為に、前記コンタクト14の押受部24が入る係止孔44が別個独立に設けられている。別個独立に設けることで、結果的に隣接する前記コンタクト14の間には、仕切り壁48が設けられることになり、前記係止孔44を別個独立に設け、かつ、前記仕切り壁48を設けることで、前記回動部材16の強度アップや回動時の変形を防止している。
【0030】
さらに、前記操作部42は、前記回動部材16を回動させる際に、指や治具等で押す部分である。前記操作部42の形状・大きさは、指や治具等で押せればよく、コネクタの小型化や強度や加工性や操作性等を考慮して適宜設計する。
【0031】
次に、ハウジング12について説明する。このハウジング12は電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。前記ハウジング12には、前記FPC80が挿入される嵌合口18が設けられている。前記嵌合口18は、前記FPC80が入ればよく、前記FPC80の厚さより大きくし、前記FPC80を挿入した際には、前記コンタクト14の第1接触部22と接触しない所謂ZIF(ゼロ・インサーション・フォース)構造になっている。
【0032】
前記ハウジング12には、所要数のコンタクトが装着される挿入孔52が設けられており、圧入や引っ掛け(ランス)や溶着等によって固定されている。前記挿入孔52は、前記回動部材16が装着される側から前記嵌合口18側に向かう方向に設けられている。前記コンタクト14の延設部34は前記挿入孔52に挿入されただけで、保持(固定)されていない。前記コンタクト14の固定は、所定の幅方向にボスを設けることで行われている。また、前記コンタクト14の接続部30でも保持されている場合がある。
【0033】
長手方向両側には、前記回動部材16の軸が回動可能に装着される軸受部が設けられている。この軸受部の形状や大きさは、回動部材16の軸が移動及び回動できるように装着されていれば如何なるものでもよく、この役割やハウジング12の強度や大きさ等を考慮して適宜設計する。
【0034】
前記ハウジング12は、前記コンタクト14の第一片20の第1接触部22を被覆する天井部50を備えている。前記ハウジング12には、前記天井部50に連設し、かつ、前記コンタクト14の押受部24側に、前記回動部材16の押圧部46によって前記コンタクト14の押受部24が押し上げられて上方変位する際、前記押受部24の上方変位を妨げることがないように、全てのコンタクト14に対応する位置に、一つの第1切欠部54が設けられている。前記第1切欠部54は、前記押受部24の上方変位を妨げなければ、如何なる形状・大きさでもよいが、その役割や強度や加工性やコネクタの小型化等を考慮して適宜設計する。前記ハウジング12の嵌合口18の外周には、FPC80等の接続対象物が入り易いように誘い部を設けることが望ましい。
【0035】
前記ハウジング12には、前記コンタクト14の第1接触部22の反対側で、かつ、前記延設部34に対応する位置に、1つ若しくは前記コンタクト14に対応する数の第2切欠部56が設けられている。本実施例では加工性や強度を考慮して、1つの切欠けにしている。前記第2切欠部56を設けることで、コネクタの低背化を図っている。前記第2切欠部56の形状・大きさは、コネクタの低背や加工性や強度等を考慮して適宜設計する。基板側の前記ハウジング12の肉厚は、コネクタの低背や加工性や強度を考慮して、本実施例では0.08mm程度にしている。
【0036】
ここで、前記コンタクト14の前記ハウジング12への挿入方法について説明する。
第1に、前記コンタクト14を前記嵌合口18の反対方向より前記ハウジング12の挿入孔52に挿入する。
第2に、前記コンタクト14をさらに挿入していくと、前記コンタクト14の凸部26が前記ハウジング12の挿入孔52の内壁に接する。
第3に、さらに挿入すると前記凸部26が押し込まれることにより前記コンタクト14の第1接触部22が前記ハウジング12の挿入孔52と略平行になる。
最後に、前記コンタクト14の挿入が完了した際に少なくとも前記延設部34の先端付近と前記基板との間隔が0.03mm以下になる。(前記延設部34は弾性を有しているので、基板側に開こうとする。)
前記凸部26の挿入側を傾斜形状にすると、上記第3の工程は次のような動きになる。第3に、さらに挿入すると前記凸部26が押し込まれることにより傾斜形状に沿って前記コンタクト14が回転することで、前記コンタクト14の第1接触部22が前記ハウジング12の挿入孔52と略平行になる。
【0037】
図8に基づいて、図3とは別のコンタクト141について説明する。ここでは、図3の前記コンタクト14と相違する部分について説明する。相違しているのは、前記支点部40から前記延設部34の形状であり、前記コンタクト141では、前記支点部40から前記延設部34の先端までの形状は前記支点部40部分に段差58を設け、前記延設部34の先端部分は実装基板と平行にしている。前記段差58を設けることにより、挿入が完了した際に前記ハウジング12の実装基板側の肉厚を逃げる構造にしている。前記段差58の形状・大きさは、この役割や強度や加工性等を考慮して適宜設計する。
【0038】
図9に基づいて、狭ピッチ化する場合の別の第2コンタクト15について説明する。狭ピッチする場合には、前記コンタクト14、141と前記第2コンタクトを長手ピッチ方向に千鳥に配列する。つまり、前記コンタクト14、141を前記嵌合口18の反対側より挿入し、前記第2コンタクト15を前記嵌合口18側より挿入し、それぞれのコンタクトを交互(千鳥)に挿入する。前記第2コンタクト15は、少なくとも一方端に第1接触部22と他方端に押受部24とを有する第一片20と、一方端に接続部である第1接続部32と他方端に前記押受部24と対向する位置に延設された延設部34とを有する第二片30と、前記第1接触部22と前記第1接続部32の間に位置するとともに前記第一片20と前記第二片28を連結する弾性部38及び支点部40とを有している。つまり、前記第2コンタクト15は、略逆倒H形状をし、前記第一片20の第1接触部22と前記弾性部38と前記支点部40と前記第1接続部32は略コ字形状に配置されている。各々の部位の役割や作用は上述の前記コンタクト14、141と同様である。但し、前記凸部26及び前記突出部28については、設けても、設けなくてもよい。また、前記延設部34も、設けない場合もあり、その場合は前記第2コンタクト15は略逆倒h形状になる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の活用例としては、携帯電話やノートパソコンやデジタルカメラ等の電気機器や電子機器に使用されるコネクタ10に活用され、特に、コネクタの低背化ができ、かつ、コンタクトの挿入が容易にでき、挿入されたFPCの撓みを防止でき、安定したFPCの接続を得られる構造に関するものである。
【符号の説明】
【0040】
10 コネクタ
12 ハウジング
14、141 コンタクト
15 第2コンタクト
16 回動部材
18 嵌合口
20 第一片
22 第1接触部
24 押受部
26 凸部
28 突出部
30 第二片
32 第1接続部
34 延設部
36 固定部
38 弾性部
40 支点部
42 操作部
44 係止孔
46 押圧部
48 仕切り壁
50 天井部
52 挿入孔
54 第1切欠部
56 第2切欠部
58 段差
80 FPC(フレキシブルプリント基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象物が着脱自在に挿抜されるコネクタであって、
前記接続対象物と接触する接触部と基板に接続する接続部を有する所要数のコンタクトと該コンタクトが挿入されるとともに配列・保持される挿入孔と前記接続対象物が挿入される嵌合口を有するハウジングと前記ハウジングの嵌合口の反対側に装着されるとともに前記コンタクトに作用することにより前記接続対象物に前記コンタクトを接触させる回動部材とを備えるコネクタにおいて、
前記コンタクトには、一方端に前記接触部である第1接触部と他方端に押受部を有する第一片と、他方端に前記接続部である第1接続部と一方端で、かつ、前記第1接触部に対向する位置に延設部を有する第二片と、前記第1接触部と前記第1接続部の間に位置するとともに前記第一片と前記第二片を連結する弾性部及び支点部とを有するとともに前記第1接触部と前記弾性部と前記支点部と前記第1接続部を略クランク形状に配置し、前記第一片のほぼ中央付近に前記弾性部連結側の反対方向外側に突出する凸部を設けるとともに前記コンタクトの挿入が完了した際に少なくとも前記延設部の先端付近と前記基板との間隔を0.03mm以下にし、
前記ハウジングには、前記押受部が変位可能な第1切欠部と前記第1接触部の反対側に第2切欠部とを設け、前記挿入孔は前記回動部材が装着される側から前記嵌合口側に向かう方向に設けられるとともに前記コンタクトが前記挿入孔に挿入され、
前記回動部材には、長手方向に連設した細長形状をした押圧部を設けるとともに、前記コンタクトの各々の押受部と対応して係合する複数の係止孔を別個独立に形成して、隣接するコンタクト間に仕切り壁を配設し、前記押圧部が前記コンタクトの押受部に作用するように回動自在に前記ハウジングに装着し、
前記コンタクトを前記ハウジングの挿入孔に挿入する際に、前記コンタクトを挿入すると前記コンタクトの凸部が前記ハウジングの挿入孔の内壁に接し、さらに挿入すると前記凸部が押し込まれることにより前記コンタクトの第1接触部が前記ハウジングの挿入孔と略平行になり、
前記回動部材の押圧部が前記コンタクトの押受部に作用すると、前記コンタクトの接続部は変位せず、前記コンタクトの押受部のみが前記押圧部によって押し上げられ、前記支点部を支点にし、前記弾性部が前記第1接触部側に傾くことによって、前記接続対象物を直に押圧することなく、前記第1接触部が前記接続対象物側に変位し、押圧することにより前記接続対象物が下方変位して、前記第1接触部と前記接続対象物とが接続し、
少なくとも前記コンタクトを含むことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部の形状を略ハ字形状にすることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第二片の、前記延設部と前記第1接続部との間を段差形状にすることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項4】
前記凸部の挿入方向側を、傾斜形状にすることを特徴とする請求項2または3記載のコネクタ。
【請求項5】
前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部の先端に、誘い部を設けることを特徴とする請求項2または3記載のコネクタ。
【請求項6】
前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部に、弾性を持たせることを特徴とする請求項2または3記載のコネクタ。
【請求項7】
接続対象物と接触する接触部と基板に接続する接続部を有する所要数のコンタクトと該コンタクトが挿入されるとともに配列・保持される挿入孔と前記接続対象物が挿入される嵌合口を有するハウジングと前記ハウジングの嵌合口の反対側に装着されるとともに前記コンタクトに作用することにより前記接続対象物に前記コンタクトを接触させる回動部材とを備えるコネクタであって、
前記ハウジングに前記コンタクトを挿入するコンタクト挿入方法において、
前記コンタクトには、一方端に前記接触部である第1接触部と他方端に押受部を有する第一片と、他方端に前記接続部である第1接続部と一方端で、かつ、前記第1接触部に対向する位置に延設部を有する第二片と、前記第1接触部と前記第1接続部の間に位置するとともに前記第一片と前記第二片を連結する弾性部及び支点部とを有するとともに前記第1接触部と前記弾性部と前記支点部と前記第1接続部を略クランク形状に配置し、前記第一片のほぼ中央付近に前記弾性部連結側の反対方向外側に突出する凸部を設けるとともに前記コンタクトの挿入が完了した際に少なくとも前記延設部の先端付近と前記基板との間隔を0.03mm以下にし、
少なくとも前記コンタクトを含み、
まず、前記コンタクトを前記嵌合口の反対方向より前記ハウジングの挿入孔に挿入し、
次に、前記コンタクトを挿入していくと、前記コンタクトの凸部が前記ハウジングの挿入孔の内壁に接し、
次に、さらに挿入すると前記凸部が押し込まれることにより前記コンタクトの第1接触部が前記ハウジングの挿入孔と略平行になり、
最後に、前記コンタクトの挿入が完了した際に少なくとも前記延設部の先端付近と前記基板との間隔が0.03mm以下になることを特徴とするコンタクト挿入方法。
【請求項8】
前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部の形状を略ハ字形状にすることを特徴とする請求項7記載のコンタクトの挿入方法。
【請求項9】
前記第二片の、前記延設部と前記第1接続部との間を段差形状にすることを特徴とする請求項7記載のコンタクトの挿入方法。
【請求項10】
前記凸部の挿入方向側を傾斜形状にし、前記凸部が前記ハウジングの挿入孔の内壁に接した状態からさらに挿入すると前記凸部の傾斜形状部分が押し込まれることで前記コンタクトが回転することにより前記第1接触部が前記ハウジングの挿入孔と略平行になることを特徴とする請求項8または9記載のコンタクトの挿入方法。
【請求項11】
前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部の先端に、誘い部を設けることを特徴とする請求項8または9記載のコンタクトの挿入方法。
【請求項12】
前記コンタクトの、前記第1接触部と前記延設部に、弾性を持たせることを特徴とする請求項8または9記載のコンタクトの挿入方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−109995(P2013−109995A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254688(P2011−254688)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000208835)第一電子工業株式会社 (182)
【Fターム(参考)】