コネクタ取外治具
【課題】プリント基板に実装されたコネクタをプリント基板から取外すためのコネクタ取外治具を提供することを課題とする。
【解決手段】本実施例の取外治具は、1の方向に延びた本体部と、前記本体部の第1の位置から突出し、前記1の方向とは異なる他の方向に延びた支持部と、前記本体部の第2の位置から突出し、前記他の方向に沿って延び、先端がプリント基板に実装されたコネクタの一部を保持可能な保持部と、を備えている。
【解決手段】本実施例の取外治具は、1の方向に延びた本体部と、前記本体部の第1の位置から突出し、前記1の方向とは異なる他の方向に延びた支持部と、前記本体部の第2の位置から突出し、前記他の方向に沿って延び、先端がプリント基板に実装されたコネクタの一部を保持可能な保持部と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ取外治具に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板に実装されたコネクタをプリント基板から取外す場合、例えば、作業者はペンチ等を用いてプリント基板から引き剥がすことが考えられる。特許文献1、2には、コネクタを取外すために用いられる治具が開示されている(例えば、特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−22591号公報
【特許文献2】特開2005−216658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ペンチによりコネクタの一端を挟んでプリント基板から引き剥がす場合、引き剥がしている途中でコネクタが折れてコネクタの他端側がプリント基板に取付けられたままになるおそれがある。この場合、作業者はプリント基板に取付けられたコネクタの他端側を再度ペンチで挟んで引き剥がす必要がある。また、コネクタが折れないようにプリント基板から取外すためには、熟練した作業を要する。
【0005】
本発明は、プリント基板に実装されたコネクタをプリント基板から取外すためのコネクタ取外治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示のコネクタ取外治具は、1の方向に延びた本体部と、前記本体部の第1の位置から突出し、前記1の方向とは異なる他の方向に延びた支持部と、前記本体部の第2の位置から突出し、前記他の方向に沿って延び、先端がプリント基板に実装されたコネクタの一部を保持可能な保持部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
プリント基板に実装されたコネクタをプリント基板から取外すためのコネクタ取外治具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1A、実施例1のコネクタ取外治具の上面図であり、図1Bは実施例のコネクタ取外治具の側面図である。
【図2】図2は、プリント基板に実装された複数のコネクタの斜視図である。
【図3】図3は、コネクタの側面図である。
【図4】図4は、コネクタにセットされた取外治具の図である。
【図5】図5Aは、コネクタがプリント基板から取外される場合でのコネクタの変形の説明図であり、図5Bは、図5Aの一部拡大図である。
【図6】図6A、6Bは、取外治具によるコネクタの取外しの説明図である。
【図7】図7A、7Bは、取外治具によるコネクタの取外しの説明図である。
【図8】図8Aは、ペンチによりコネクタを取外す場合の説明図であり、図8Bは、本実施例の取外治具とは構造が異なる取外治具を用いてコネクタを取外す場合の説明図である。
【図9】図9A、9Bは、第1変形例の取外治具の説明図である。
【図10】図10A、10Bは、第1変形例の取外治具の説明図である。
【図11】図11は、第1変形例の取外治具の説明図である。
【図12】図12A〜12Cは、第2変形例である取外治具の説明図である。
【図13】図13A〜13Cは、第3変形例である取外治具の説明図である。
【図14】図14は、第4変形例である取外治具の説明図である。
【図15】図15A、15Bは、第5変形例である取外治具の説明図である。
【図16】図16Aは、第6変形例である取外治具の説明図であり、図16Bは、第7変形例である取外治具の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1A、実施例1のコネクタ取外治具(以下、取外治具と称する)1の上面図であり、図1Bは実施例1の取外治具1の側面図である。取外治具1は、本体部10、支持部20、保持部30を含む。本体部10、支持部20、保持部30は、例えば金属製であるが、これに限定されず、合成樹脂製であってもよい。本体部10は、1の方向、即ち、所定方向に延びた棒状である。支持部20は、本体部10から前記1の方向とは異なる他の方向に突出している。保持部30は、本体部10から支持部20が突出した方向、即ち前記他の方向に沿って突出している。即ち、支持部20、保持部30は、本体部10に対して同じ側に突出している。支持部20は、本体部10の第1の位置から突出している。保持部30は、本体部10の前記第1の位置とは異なる第2の位置から突出している。支持部20の基端部22は、本体部10の第1端部11で支持ピンAPにより回転可能に連結されている。図1Aに示すように、本体部10の第1端部11側には、スリット16が形成されている。支持部20は、薄板状であり、支持部20は本体部10に対して回転してスリット16内に進入可能な程度の厚みに設定されている。
【0010】
保持部30は、支持部20とは異なり、本体部10の第1端部11と第2端部12との間で回転不能に固定されている。保持部30の支持部20側の面には、固定片37が固定されている。保持部30には、固定片37と対向する面に凹部33、凸部34が形成されている。保持部30の基端部32は、2つのネジSにより本体部10に固定されている。固定片37は、固定ピンFPにより保持部30に固定されている。固定ピンFPは保持部30と螺合している。固定ピンFPと保持部30との螺合量を調整することにより、保持部30から固定片37を引き離すことができる。図1Bに示した状態では、固定片37は保持部30に固定されている。固定片37の保持部30と対向する面に凸部38が形成されている。固定片37が保持部30に固定された状態で、保持部30と固定片37との間には所定の空間が形成される。この空間については詳しくは後述する。保持部30に形成された凸部34は固定片37側に突出しており、固定片37に形成された凸部38は保持部30側に突出している。
【0011】
本体部10の第2端部12には作業者が掴むためのグリップGが固定されている。グリップGは、作業者が本体部10を操作する際に掴む把持部の一例である。グリップGは、例えば合成樹脂製である。尚、グリップGは設けられていなくてもよい。
【0012】
次に、プリント基板(以下、基板と称する)PSに実装されたコネクタ100について説明する。図2は、基板PSに実装された複数のコネクタ100の斜視図である。コネクタ100は、所定方向に延びた胴体部110、胴体部110の第1端部に形成されたラッチ部120、胴体部110の第2端部に形成されたラッチ部130、を含む。胴体部110、ラッチ部120、130は、合成樹脂製である。胴体部110の底面には、複数の金属製の端子ピン115が形成されている。
【0013】
端子ピン115は、基板PSのスルーホールに挿入されている。スルーホールは、基板PSの内層又は外層に形成された導体パターンと電気的に接続している。端子ピン115がスルーホールに挿入されることによって、コネクタ100の端子ピン115と基板PSの導体パターンとは電気的に接続している。胴体部110には、長手方向にわたって挿入口117が形成されている。相手方のコネクタの端子部を挿入口117に挿入することにより、基板PSの導体パターンと相手方のコネクタとはコネクタ100を介して導通接続される。
【0014】
ラッチ部120、130は、挿入口117に挿入された相手方コネクタと係合することにより、挿入口117からの相手方コネクタの離脱を防止する。ラッチ部120、130を操作することにより、相手方コネクタとの係合が解除され、コネクタ100から相手方コネクタを取外すことができる。ラッチ部120、130は、胴体部110の端部から上方に突出している。
【0015】
コネクタ100はプレスフィット実装により基板PSに実装されている。即ち、コネクタ100の端子ピン115が基板PSのスルーホールに圧入されている。従って、コネクタ100ははんだを用いずに基板PSに実装されている。コネクタ100の基板PSからの取外し作業は、例えば基板PSに実装されたコネクタ100に欠陥がある場合に正常なコネクタと交換するために行われる。
【0016】
図3は、コネクタ100の側面図である。ラッチ部130の先端部133は、胴体部110の外側に向けて水平方向に若干突出している。ラッチ部130の外側の面には凹部134が形成され、ラッチ部130の胴体部110側の面には凹部138が形成されている。ラッチ部120は、ラッチ部130と同様の形状であり、先端部123、凹部124、128を有している。
【0017】
図4は、コネクタ100にセットされた取外治具1の図である。セット状態においては、支持部20は、コネクタ100の挿入口117のラッチ部120側に位置している。換言すれば、支持部20は、ラッチ部130よりもラッチ部120に近い位置にある。保持部30は、ラッチ部130を保持している。換言すれば、保持部30は、ラッチ部120よりもラッチ部130に近い位置にある。セット状態においては、支持部20、保持部30は略平行であり、基板PSに対して略垂直である。本体部10は、基板PS、コネクタ100に略平行である。
【0018】
コネクタ100への取外治具1のセットは、以下のように行なう。まず、固定ピンFPを調整して保持部30から固定片37を引き離す。次に、凹部33を先端部133に係合させ凸部34を凹部134に係合させる。次に、固定ピンFPを調整して、固定片37の凸部38に凹部138を係合するように固定片37を保持部30に当接させる。次に固定ピンFPにより固定片37を保持部30に固定する。このようにして、保持部30にラッチ部130を保持させる。次に、支持部20を基板PSに対して垂直にした状態で、ラッチ部120側の位置で挿入口117に挿入する。これにより、支持部20はラッチ部120側に位置し、保持部30はラッチ部130側に位置する。これにより、取外治具1はコネクタ100にセットされる。
【0019】
この状態で、作業者はグリップGを掴んで、支持部20周りに本体部10を反時計方向に回転させる。詳細には、支持ピンAPを支点として本体部10を回転させる。これにより、支持部20が本体部10を支持しかつコネクタ100のラッチ部120側を基板PSに向けて押しながら、保持部30は基板PSから離れる方向に移動する。これにより、ラッチ部130が基板PSから引き離され、胴体部110はラッチ部130側からラッチ部120側に順に剥離される。このようにして、コネクタ100を基板PSから取外すことができる。このように、本実施例の取外治具1は、コネクタ100に設けられているラッチ部130を利用して、ラッチ部130を引き上げることによりコネクタ100を基板PSから取外す。詳細は後述する。
【0020】
次に、ラッチ部130を基板PSから引張り上げることによりコネクタ100が基板PSから取外される場合でのコネクタ100の変形について説明する。図5Aは、コネクタ100が基板PSから取外される場合でのコネクタ100の変形の説明図である。図5Bは、図5Aの一部拡大図である。図5A、5Bでは、理解を容易にするために各部分を模式的に記載している。図5A、5Bには、基板PSから取外される前と取外されている途中とのコネクタ100を示している。図5A、5Bでは、基板PSから胴体部110が剥離されている途中でのラッチ部130を、ラッチ部130´、130´´の符号で説明している。基板PSから剥離された部分と剥離されていない部分との境界の位置を境界位置H1、H2とする。尚、図5A、5Bにおいては、端子ピン115については図示を省略してある。
【0021】
図5Bに示すように、剥離前においては、ラッチ部130を基板PSの面に垂直なZ方向、又はZ方向よりも若干左側に傾いた左側上方に引張り上げるのが理想である。Z方向よりも若干右側に傾いた方向にラッチ部130を引張り上げると、基板PSから剥離された胴体部110の部分にZ方向に垂直なX方向に力が作用して、胴体部110がX方向に引張られて破断するおそれがあるからである。
【0022】
ラッチ部130が引張り上げられ胴体部110が境界位置H1まで剥離された場合、胴体部110の一部である剥離部分R1は基板PSから剥離されて、ラッチ部130´はラッチ部130よりも僅かに図中の左上に位置する。このときのラッチ部120、130´間の距離D1は、ラッチ部120、130間の距離Dよりも短い。胴体部110の一部が基板PSから剥離がされてラッチ部130´がラッチ部120側に傾いているからである。また、剥離部分R1は、剥離部分R1の底面が基板PS側に凸となるように若干湾曲する。胴体部110は合成樹脂製であるのでこのように撓む。従って、胴体部110の一部が基板PSから剥離したことのみならず剥離部分R1が湾曲することも起因して、距離D1は距離Dよりも短くなっている。
【0023】
ラッチ部130´は、基板PSから剥離された剥離部分R1の長手方向に垂直な方向であるZ´方向に引張り上げられるのが理想である。例えば、ラッチ部130´を基板PSに垂直なZ方向に引き上げた場合、Z´方向に略直交するX´方向の力が剥離部分R1に作用する。剥離部分R1以外の胴体部110の部分は基板PSに固定されたままであるため、剥離部分R1はX´方向(剥離部分R1の長手方向)に引張られる。従って、ラッチ部130´を引張り上げる力の大きさによっては、ラッチ部130の根元部分が破断するおそれがあるからである。
【0024】
更に胴体部110が境界位置H2まで剥離された場合、剥離部分R2が基板PSから剥離され、ラッチ部130´´は、ラッチ部130よりも図中の左上に位置する。このときのラッチ部120、130´´間の距離D2は、ラッチ部120、130´間の距離D1よりも短い。剥離部分R2は剥離部分R1よりも長く、剥離部分R2は剥離部分R1よりも大きく傾斜しているからである。また、剥離部分R2は剥離部分R1よりも長いため、剥離部分R2の方が剥離部分R1よりも大きく湾曲しているからである。従って、剥離された剥離部分が長いほど、湾曲した剥離部分の曲率は大きくなる。このため、剥離部分が長いほど、剥離部分が湾曲することに起因するラッチ部120、130間の距離の短縮の度合は大きくなる。
【0025】
ラッチ部130´´においても、基板PSから剥がされた剥離部分R2の長手方向に略垂直な方向であるZ´´方向に引張り上げるのが望ましい。この場合も、例えばラッチ部130´´をZ´方向又はZ方向に引張り上げると、Z´´方向に垂直なX´´方向の力が胴体部110に作用する。このため、Z´方向の力が大きいと、ラッチ部130´´にX´方向に大きな力が作用して剥離部分R2が引張られて、剥離部分R2が破断するおそれがあるからである。
【0026】
以上のように、基板PSからの胴体部110の剥離が進行するにつれて、ラッチ部120、130間の距離は徐々に短くなる。この理由は、上述したように、剥離部分が徐々に長くなることのみならず、剥離部分が湾曲し、しかも剥離部分が大きくなるほど湾曲の曲率が大きくなるからである。本実施例の取外治具1は、このようなコネクタ100の変形を考慮してコネクタ100を基板PSから取外すことができる。
【0027】
図6A〜7Bは、取外治具1によるコネクタ100の取外しの説明図である。尚、図6A〜7Bでは、理解を容易にするために各部分を模式的に示している。図6Aは、コネクタ100に取外治具1をセットした状態を示している。図6Bは、図6AのA−A断面図である。支持部20の先端部21を挿入口117に挿入し保持部30をラッチ部130に保持させて、取外治具1をコネクタ100にセットする。本体部10の長手方向での支持ピンAPと保持部30との間の距離をEとする。また、互いに対向する支持部20の先端部21の側面と保持部30の先端部31の側面との間の距離をLとする。距離Eは、例えばコネクタ100の長手方向の長さの3分の2以上であるが、これに限定されない。距離Eは、例えば120mm程度であり、支持部20の高さは3〜12mmであるがこれに限定されない。また、各部材の大きさは、コネクタ100の大きさ、形状に応じて適宜変更してよい。
【0028】
取外治具1をコネクタ100にセットした後、作業者は、保持部30から支持部20に向かう方向(図中の−Xの方向)に本体部10を押しながら、支持ピンAPを支点として本体部10を反時計方向に回転させる。−X方向は基板PSの平面に平行な方向を意味する。これにより、図7Aに示すように、支持部20の先端部21が保持部30に接近するようにして支持部20は挿入口117内で傾斜し、本体部10の第1端部11はラッチ部120よりも外側に移動する。詳細には、支持部20の基端部22側が−X方向に押されることにより、支持部20がラッチ部120に当接することにより、支持部20の先端部21はX方向側に移動し基端部22は−X方向に移動する。このようにして支持部20は保持部30側に傾く。換言すれば、支持部20の先端部21と保持部30の先端部31との間の距離が短くなるように支持部20が傾く。これにより、支持部20の先端部21の側面と保持部30の先端部31の側面との間の距離L1は、取外治具1をセットした状態での距離Lよりも短くなる。
【0029】
また、支持部20が傾くことにより、支持ピンAPは−X方向及び−Z方向に移動する。−Z方向は、−X方向に垂直であり基板PSに向かう方向である。このように本体部10の回転の支点となる支持ピンAPの位置が移動する。このため、保持部30によりラッチ部130に作用する力の方向は、Z´方向に近い方向になるものと思われる。
【0030】
作業者が更に保持部30から支持部20に向かう方向に本体部10を押しながら反時計方向に回転させると、支持部20は本体部10側に更に傾斜する。これにより、支持部20の先端部21の側面と保持部30の先端部31の側面との間の距離L2は、距離L1よりも短くなる。また、支持ピンAPは更に−X方向及び−Z方向に移動する。このように本体部10の回転の支点となる支持ピンAPの位置が移動する。このため、保持部30によりラッチ部130に作用する力の方向は、Z´´方向に近い方向になるものと思われる。尚、距離Eは支持部20の傾きによらずに不変であり、支持ピンAP、ラッチ部130間の距離も不変である。
【0031】
このように、基板PSからのコネクタ100の剥離が進行するにつれて、支持部20の先端部21と保持部30の先端部31との間の距離が短くなる。上述したように、剥離が進行するにつれてラッチ部120、130間の距離が短くなるようにコネクタ100も変形する。従って、コネクタ100の変形に対応するようにして、支持部20の先端部21と保持部30の先端部31との間の距離も短くなる。また、支持ピンAPの位置も、支持部20が傾くことにより−X方向及び−Z方向に移動する。これは、保持部30の回転支点の位置が−X方向及び−Z方向に移動することを意味する。これにより、コネクタ100の変形に対応してラッチ部130を保持する保持部30の姿勢が変更される。これにより、胴体部110の剥離部分に長手方向の大きな引張り力が作用せずに、ラッチ部130が引張り上げられる。これにより、コネクタ100が破損することなく基板PSから取外すことができる。
【0032】
尚、コネクタ100の剥離が終了する直前では、コネクタ100は図7Bに示した状態よりも更に急角度で傾斜した状態となる。これにより、コネクタ100の胴体部110が直線状に戻ろうとする弾性復元力の作用により、コネクタ100の剥離が促進される。
【0033】
尚、挿入口117内には金属製の端子部が複数設けられている。支持部20の先端部21が挿入口117に挿入されることにより、先端部21は挿入口117内の端子部により両面から挟まれる。これにより、支持部20が傾斜してもその状態のまま挿入口117内にある端子部により保持される。これにより、支持部20が傾斜しても支持部20を支点として本体部10を安定して回転させることができる。また、支持部20はコネクタ100を基板PSに向けて押し付けられるので、ラッチ部130を引張り上げる際にコネクタ100と共に基板PSが浮き上がることを防止している。また、支持部20がコネクタ100の挿入口117内に挿入されてコネクタ100の取外し作業が行なわれるので、支持部20によって基板PSに傷がつくことが防止される。コネクタ100を交換する場合には、再使用される基板PSに傷がつかないことが望まれているからである。
【0034】
次に、コネクタ100の変形を考慮せずにコネクタ100を基板PSから取外す場合について説明する。最初に、作業者がペンチによりコネクタ100を取外す場合について説明する。図8Aは、ペンチによりコネクタ100を取外す場合の説明図である。ペンチPCによりラッチ部130を挟んで作業者が基板PSに対して垂直上方(Z方向)に引き上げる場合を想定する。
【0035】
作業者がペンチを垂直姿勢で水平方向に移動させずに垂直上方にのみ引き上げると、剥離部分R1に、X方向、即ち剥離部分R1の長手方向に引張り力が大きく作用するものと思われる。剥離部分R1に作用するX方向での引張り力が胴体部110の弾性限度を超えると、図8Aに示すようにラッチ部130の根元部分が折れるおそれがある。または、境界位置H1付近で胴体部110が折れるおそれがある。また、例えば、作業者がペンチを垂直姿勢で垂直上方のみならず、コネクタ100の剥離の進行に応じて水平方向(−X方向)にも移動させた場合、ペンチが垂直姿勢に維持されているため、剥離の進行中にラッチ部130の根元部がおれるおそれがある。
【0036】
この場合、作業者は再度ラッチ部120を掴んで、コネクタ100が折れないように剥離させる必要がある。この場合、作業者には、一つのコネクタ100を取外すために複数回の作業が強いられる。また、破損しないようにコネクタ100を取外すためには、剥離途中でのコネクタ100の変形を考慮してペンチPCの姿勢を変更しつつラッチ部130を引張る必要がある。従って、作業者には熟練した作業が要され、このようにペンチを用いた作業は困難である。
【0037】
次に、本実施例の取外治具1とは構造が異なる取外治具1xを用いてコネクタ100を取外す場合について説明する。図8Bは、本実施例の取外治具1とは構造が異なる取外治具1xを用いてコネクタ100を取外す場合の説明図である。取外治具1xの支持部20xは、ラッチ部120を保持している。このため、支持部20xはラッチ部120に対して傾くことはできず、支持ピンAPの位置は移動できない。このため、保持部30は移動しない支持ピンAPを支点として反時計方向に回転する。本体部10が支持ピンAPを支点として反時計方向に回転すると、保持部30の先端部31はZ方向のみならずX方向にも移動しようとする。剥離部分R1にX方向の大きな力が作用して弾性限度を超えると、ラッチ部130の根元部が折れるおそれがある。このため、コネクタ100を破損させずに1回の作業で基板PSから取外すことができない。
【0038】
ここで、図7Aと図8Bとを比較すると、本実施例の取外治具1では支持ピンAPが移動するため、保持部30によりラッチ部130に作用する力のX方向の成分は、取外治具1xの保持部30によりラッチ部130に作用する力のX方向の成分よりも小さくなるものと思われる。このため、本実施例では、胴体部110の長手方向での引張りの弾性限度を超えることなくコネクタ100を取外すことができる。
【0039】
また、本実施例の場合、基板PSからコネクタ100を剥離している最中、換言すれば本体部10を回転させている最中に、支持部20は保持部30側に傾き支持ピンAPの位置が移動する。これにより、剥離中でのコネクタ100の変形に対応することができ、胴体部110の長手方向に大きな力を作用させずにコネクタ100を基板PSから剥離することができる。このため、熟練した作業者でなくてもコネクタ100を取外すことができる。
【0040】
図9A〜11は、第1変形例の取外治具1aの説明図である。尚、以下の変形例では、上記実施例と同一、類似の部材については、同一、類似の符号を付する。可動ピンFPaは、保持部30a、固定片37aを貫通している。可動ピンFPaの両端はフランジ状になっており、可動ピンFPaが保持部30a、固定片37aから離脱しないようになっている。可動ピンFPaは、保持部30a、固定片37aを軸方向にスライド可能に貫通している。保持部30aの側面には、ロック片35aが回転可能に連結されている。ロック片35aは、側面視で略L字状である。固定片37aの側面には、係止突起39aが形成されている。
【0041】
図9Aに示すように、保持部30aから固定片37aを引き離し、保持部30aと固定片37aとの間にラッチ部130を挟むように取外治具1aをセットする。次に、図9Bに示すように、保持部30aの凹部33がラッチ部130の先端部133に係合するように取外治具1aを移動させ、支持部20の先端部21をコネクタ100の挿入口117に挿入する。次に、図10Aに示すように、可動ピンFPaをグリップG側に引張り、固定片37aを保持部30aに当接させる。
【0042】
次に、図10Bに示すように、ロック片35aを回転させてロック片35aを係止突起39aに係合させる。これにより、固定片37aが保持部30aに固定された状態にロックされる。ロック片35aは自重により係止突起39aとの係合状態が維持される。これによって保持部30aはラッチ部130を保持する。この状態で、作業者は、上述した実施例1の取外治具1と同様に取外治具1aを操作することにより、図11に示すようにコネクタ100を基板PSから剥離することができる。尚、可動ピンFPaは、外周にネジ溝が形成され、保持部30a、固定片37aのそれぞれにはネジ孔が形成され、可動ピンFPaと、保持部30a、固定片37aとが螺合するものであってもよい。
【0043】
図12A〜12Cは、第2変形例である取外治具1bの説明図である。支持台200は、基板PSを支持するためのものである。支持台200には、2つの押え部201が設けられている。2つの押え部201は、支持台20に配置された基板PSを押えることにより、本体部10bを操作した際に基板PSが支持台200から浮き上がることを防止する。押え部201は、例えば、支持台200の上面に形成されたレールによって、スライド可能に設けられている。
【0044】
支持部20の先端部21bは、支持台200の連結部210に回転可能に連結されている。支持部20bは、コネクタ100から大きく離れているがラッチ部120側に位置している。換言すれば、支持部20bは、ラッチ部130よりもラッチ部120に近い位置にある。本体部10bには、保持部30bを着脱可能な取付部15bが設けられている。取付部15bには、例えば、保持部30bと係合可能なレールが設けられているが、これ以外の構造であってもよい。例えば、取付部15bは、ネジやピン、磁石によって保持部30bを着脱可能としてもよい。尚、保持部30bは、保持部30aと略同様の構造であるが、ラッチ部130を保持可能であればこれに限定されない。例えば、保持部30bは、保持部30又は30aと同様の構造であってもよいしそれ以外であってもよい。
【0045】
図12Bに示すように、支持台200上に基板PSを配置して押え部201をスライドさせて基板PSを支持台200に固定する。次に、保持部30bをラッチ部130に保持させ保持部30bを取付部15bに取付ける。次に、図12Cに示すように、実施例1の取外治具1と同じように本体部10bを操作することにより基板PSからコネクタ100を取外すことができる。図12Cに示すように、支持部20bの先端部21bが支持台200の連結部210に回転可能に連結されているため、支持部20bも保持部30b側に傾くことが可能であり、支持ピンAPの位置も移動可能である。これにより、剥離途中において支持部20bは保持部30bに傾く。
【0046】
尚、例えば、図2に示したように、基板PSに複数のコネクタ100が実装されている場合には、保持部30bが複数のコネクタ100のラッチ部130を保持することにより、一回の作業で複数のコネクタ100を取外すことができる。この場合、本体部10b、支持部20bはある程度厚みがあるように形成してもよい。
【0047】
図13A〜13Cは、第3変形例である取外治具1cの説明図である。基板PScには予め露出孔PSHが形成されている。露出孔PSHは、コネクタ100のラッチ部130の底面を露出させている。保持部30cの先端部31cは、先端が碇状となっている。露出孔PSHを介して保持部30cの先端部31cをラッチ部130の底面に係止させ、支持部20を本体部10cに対して回転させて挿入口117に挿入する。この状態で本体部10cを同様に操作することにより、基板PScからコネクタ100を取外すことができる。尚、本体部10cの第2端部12にはグリップGが設けられていないが、設けてもよい。
【0048】
図13B、13Cは、上面視での露出孔PSHの周辺を示している。露出孔PSHの形状は、図13Bのように、長軸がコネクタ100の長手方向に沿った楕円であってもよいし、図13Cに示すように、短軸がコネクタ100の長手方向に沿った楕円であってもよい。露出孔PSHは、このような形状に限定されず、円形、多角形であってもよい。露出孔PSHの大きさは、コネクタ100が基板PScに実装された状態で保持部30cの先端部31cが挿入可能な程度の大きさであればよい。
【0049】
図14は、第4変形例である取外治具1dの説明図である。保持部30dの先端部31dは、側面視で略L字状に形成されている。コネクタ100dのラッチ部130dの底面には、基板PSから退避した逃げ部150dが形成されている。逃げ部150dと基板PSとの間には隙間が形成される。この隙間に保持部30dの先端部31dを挿入して本体部10dを同様に操作することにより、基板PSからコネクタ100dを取外すことができる。
【0050】
図15A、15Bは、第5変形例である取外治具1eの説明図である。図15A、15Bに示すように、保持部30eは、2つの挟持片35eを有しておりペンチ状に形成されている。3つの挟持片35eは、バネの付勢力によりラッチ部130を挟んで保持することが可能である。図15Aに示すように、基板PSeには、コネクタ100のラッチ部120の近傍に導体部310が形成されている。導体部310上に半田部320が形成されている。支持部20eを半田部320上に配置した状態で取外治具1eをコネクタ100にセットする。この状態で本体部10eを同様に操作することにより、基板PSeからコネクタ100を取外すことができる。
【0051】
このように導体部310、半田部320は、取外治具1eによりコネクタ100を取外す際に取外治具1eの支持部20eを支える。導体部310、半田部320によって支持部20eを支えることにより、支持部20eが直接基板PSeの表面に当接して基板PSeに傷がつくのを防止できる。基板PSeの大きさや基板PSeに実装される電子部品の実装密度に余裕がある場合には、このように基板PSeに、導体部310、半田部320を設けることができる。
【0052】
また、図15Bに示すように、コネクタ100eのラッチ部120側には、支持部140eが形成されている。支持部140eはラッチ部120の底面から水平方向に延在した薄板状である。支持部140eは、胴体部110またはラッチ部120と一体に形成されている。図15Bに示すように、支持部20eの先端部21eを支持部140eに配置する。この状態で本体部10eを同様に操作することにより、基板PSからコネクタ100eを取外すことができる。このように、基板PSの大きさに余裕がある場合には、胴体部110の外側に支持部20eを支持するための支持部140eをコネクタ100eに設けてもよい。支持部140eによって支持部20eを支えることにより、支持部20eが直接基板PSeの表面に当接して基板PSeに傷がつくのを防止できる。
【0053】
尚、支持部20eが傾斜しやすいように、支持部20eは、先端に向かって幅が小さくなっている。保持部30eの2つの挟持片35eは、例えばネジ等により両者間の距離を調整、固定できるものであってもよい。
【0054】
図16Aは、第6変形例である取外治具1fの説明図である。本体部10fには、ペンチ状の保持部30fが固定されている。このように、ペンチ状の保持部30fによりラッチ部130を保持した状態で本体部10fを同様に操作することにより、基板PSからコネクタ100を取外すことができる。
【0055】
図16Bは、第7変形例である取外治具1gの説明図である。保持部30gの先端部31gは、側面視でL字状又は碇状に形成されている。基板PSgに形成された露出孔PSHを介して保持部30gの先端部31gをラッチ部130の底面に係止した状態で、本体部10gを同様に操作することにより、基板PSgからコネクタ100を取外すことができる。
【0056】
上記に述べた保持部30〜30gは、これらの形状や大きさに限定されない。コネクタのラッチ部の形状は種類によってさまざまであり、このラッチ部を保持可能であれば、保持部30〜30gはどのような形状、構造であってもよい。
【0057】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0058】
実施例及び変形例においては、コネクタ100の胴体部110の端部に形成されたラッチ部130を取外治具1の保持部30が保持する。取外治具の保持部は、コネクタの一部であればラッチ部以外の部分を挟んで保持するものであってもよい。また、ラッチ部が形成されていないコネクタをプリント基板から取外す場合には、取外治具の保持部は、コネクタの胴体部の一部を挟んで保持するものであってもよい。例えば、取外治具の保持部は、コネクタの胴体部の端部を両側面から挟んで保持することが可能なものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1〜1g 取外治具
10、10b〜10e 本体部
20、20b、20e 支持部
30a〜30g 保持部
AP 支持ピン
100 コネクタ
110 胴体部
115 端子ピン
117 挿入口
120、130 ラッチ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ取外治具に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板に実装されたコネクタをプリント基板から取外す場合、例えば、作業者はペンチ等を用いてプリント基板から引き剥がすことが考えられる。特許文献1、2には、コネクタを取外すために用いられる治具が開示されている(例えば、特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−22591号公報
【特許文献2】特開2005−216658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ペンチによりコネクタの一端を挟んでプリント基板から引き剥がす場合、引き剥がしている途中でコネクタが折れてコネクタの他端側がプリント基板に取付けられたままになるおそれがある。この場合、作業者はプリント基板に取付けられたコネクタの他端側を再度ペンチで挟んで引き剥がす必要がある。また、コネクタが折れないようにプリント基板から取外すためには、熟練した作業を要する。
【0005】
本発明は、プリント基板に実装されたコネクタをプリント基板から取外すためのコネクタ取外治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示のコネクタ取外治具は、1の方向に延びた本体部と、前記本体部の第1の位置から突出し、前記1の方向とは異なる他の方向に延びた支持部と、前記本体部の第2の位置から突出し、前記他の方向に沿って延び、先端がプリント基板に実装されたコネクタの一部を保持可能な保持部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
プリント基板に実装されたコネクタをプリント基板から取外すためのコネクタ取外治具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1A、実施例1のコネクタ取外治具の上面図であり、図1Bは実施例のコネクタ取外治具の側面図である。
【図2】図2は、プリント基板に実装された複数のコネクタの斜視図である。
【図3】図3は、コネクタの側面図である。
【図4】図4は、コネクタにセットされた取外治具の図である。
【図5】図5Aは、コネクタがプリント基板から取外される場合でのコネクタの変形の説明図であり、図5Bは、図5Aの一部拡大図である。
【図6】図6A、6Bは、取外治具によるコネクタの取外しの説明図である。
【図7】図7A、7Bは、取外治具によるコネクタの取外しの説明図である。
【図8】図8Aは、ペンチによりコネクタを取外す場合の説明図であり、図8Bは、本実施例の取外治具とは構造が異なる取外治具を用いてコネクタを取外す場合の説明図である。
【図9】図9A、9Bは、第1変形例の取外治具の説明図である。
【図10】図10A、10Bは、第1変形例の取外治具の説明図である。
【図11】図11は、第1変形例の取外治具の説明図である。
【図12】図12A〜12Cは、第2変形例である取外治具の説明図である。
【図13】図13A〜13Cは、第3変形例である取外治具の説明図である。
【図14】図14は、第4変形例である取外治具の説明図である。
【図15】図15A、15Bは、第5変形例である取外治具の説明図である。
【図16】図16Aは、第6変形例である取外治具の説明図であり、図16Bは、第7変形例である取外治具の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1A、実施例1のコネクタ取外治具(以下、取外治具と称する)1の上面図であり、図1Bは実施例1の取外治具1の側面図である。取外治具1は、本体部10、支持部20、保持部30を含む。本体部10、支持部20、保持部30は、例えば金属製であるが、これに限定されず、合成樹脂製であってもよい。本体部10は、1の方向、即ち、所定方向に延びた棒状である。支持部20は、本体部10から前記1の方向とは異なる他の方向に突出している。保持部30は、本体部10から支持部20が突出した方向、即ち前記他の方向に沿って突出している。即ち、支持部20、保持部30は、本体部10に対して同じ側に突出している。支持部20は、本体部10の第1の位置から突出している。保持部30は、本体部10の前記第1の位置とは異なる第2の位置から突出している。支持部20の基端部22は、本体部10の第1端部11で支持ピンAPにより回転可能に連結されている。図1Aに示すように、本体部10の第1端部11側には、スリット16が形成されている。支持部20は、薄板状であり、支持部20は本体部10に対して回転してスリット16内に進入可能な程度の厚みに設定されている。
【0010】
保持部30は、支持部20とは異なり、本体部10の第1端部11と第2端部12との間で回転不能に固定されている。保持部30の支持部20側の面には、固定片37が固定されている。保持部30には、固定片37と対向する面に凹部33、凸部34が形成されている。保持部30の基端部32は、2つのネジSにより本体部10に固定されている。固定片37は、固定ピンFPにより保持部30に固定されている。固定ピンFPは保持部30と螺合している。固定ピンFPと保持部30との螺合量を調整することにより、保持部30から固定片37を引き離すことができる。図1Bに示した状態では、固定片37は保持部30に固定されている。固定片37の保持部30と対向する面に凸部38が形成されている。固定片37が保持部30に固定された状態で、保持部30と固定片37との間には所定の空間が形成される。この空間については詳しくは後述する。保持部30に形成された凸部34は固定片37側に突出しており、固定片37に形成された凸部38は保持部30側に突出している。
【0011】
本体部10の第2端部12には作業者が掴むためのグリップGが固定されている。グリップGは、作業者が本体部10を操作する際に掴む把持部の一例である。グリップGは、例えば合成樹脂製である。尚、グリップGは設けられていなくてもよい。
【0012】
次に、プリント基板(以下、基板と称する)PSに実装されたコネクタ100について説明する。図2は、基板PSに実装された複数のコネクタ100の斜視図である。コネクタ100は、所定方向に延びた胴体部110、胴体部110の第1端部に形成されたラッチ部120、胴体部110の第2端部に形成されたラッチ部130、を含む。胴体部110、ラッチ部120、130は、合成樹脂製である。胴体部110の底面には、複数の金属製の端子ピン115が形成されている。
【0013】
端子ピン115は、基板PSのスルーホールに挿入されている。スルーホールは、基板PSの内層又は外層に形成された導体パターンと電気的に接続している。端子ピン115がスルーホールに挿入されることによって、コネクタ100の端子ピン115と基板PSの導体パターンとは電気的に接続している。胴体部110には、長手方向にわたって挿入口117が形成されている。相手方のコネクタの端子部を挿入口117に挿入することにより、基板PSの導体パターンと相手方のコネクタとはコネクタ100を介して導通接続される。
【0014】
ラッチ部120、130は、挿入口117に挿入された相手方コネクタと係合することにより、挿入口117からの相手方コネクタの離脱を防止する。ラッチ部120、130を操作することにより、相手方コネクタとの係合が解除され、コネクタ100から相手方コネクタを取外すことができる。ラッチ部120、130は、胴体部110の端部から上方に突出している。
【0015】
コネクタ100はプレスフィット実装により基板PSに実装されている。即ち、コネクタ100の端子ピン115が基板PSのスルーホールに圧入されている。従って、コネクタ100ははんだを用いずに基板PSに実装されている。コネクタ100の基板PSからの取外し作業は、例えば基板PSに実装されたコネクタ100に欠陥がある場合に正常なコネクタと交換するために行われる。
【0016】
図3は、コネクタ100の側面図である。ラッチ部130の先端部133は、胴体部110の外側に向けて水平方向に若干突出している。ラッチ部130の外側の面には凹部134が形成され、ラッチ部130の胴体部110側の面には凹部138が形成されている。ラッチ部120は、ラッチ部130と同様の形状であり、先端部123、凹部124、128を有している。
【0017】
図4は、コネクタ100にセットされた取外治具1の図である。セット状態においては、支持部20は、コネクタ100の挿入口117のラッチ部120側に位置している。換言すれば、支持部20は、ラッチ部130よりもラッチ部120に近い位置にある。保持部30は、ラッチ部130を保持している。換言すれば、保持部30は、ラッチ部120よりもラッチ部130に近い位置にある。セット状態においては、支持部20、保持部30は略平行であり、基板PSに対して略垂直である。本体部10は、基板PS、コネクタ100に略平行である。
【0018】
コネクタ100への取外治具1のセットは、以下のように行なう。まず、固定ピンFPを調整して保持部30から固定片37を引き離す。次に、凹部33を先端部133に係合させ凸部34を凹部134に係合させる。次に、固定ピンFPを調整して、固定片37の凸部38に凹部138を係合するように固定片37を保持部30に当接させる。次に固定ピンFPにより固定片37を保持部30に固定する。このようにして、保持部30にラッチ部130を保持させる。次に、支持部20を基板PSに対して垂直にした状態で、ラッチ部120側の位置で挿入口117に挿入する。これにより、支持部20はラッチ部120側に位置し、保持部30はラッチ部130側に位置する。これにより、取外治具1はコネクタ100にセットされる。
【0019】
この状態で、作業者はグリップGを掴んで、支持部20周りに本体部10を反時計方向に回転させる。詳細には、支持ピンAPを支点として本体部10を回転させる。これにより、支持部20が本体部10を支持しかつコネクタ100のラッチ部120側を基板PSに向けて押しながら、保持部30は基板PSから離れる方向に移動する。これにより、ラッチ部130が基板PSから引き離され、胴体部110はラッチ部130側からラッチ部120側に順に剥離される。このようにして、コネクタ100を基板PSから取外すことができる。このように、本実施例の取外治具1は、コネクタ100に設けられているラッチ部130を利用して、ラッチ部130を引き上げることによりコネクタ100を基板PSから取外す。詳細は後述する。
【0020】
次に、ラッチ部130を基板PSから引張り上げることによりコネクタ100が基板PSから取外される場合でのコネクタ100の変形について説明する。図5Aは、コネクタ100が基板PSから取外される場合でのコネクタ100の変形の説明図である。図5Bは、図5Aの一部拡大図である。図5A、5Bでは、理解を容易にするために各部分を模式的に記載している。図5A、5Bには、基板PSから取外される前と取外されている途中とのコネクタ100を示している。図5A、5Bでは、基板PSから胴体部110が剥離されている途中でのラッチ部130を、ラッチ部130´、130´´の符号で説明している。基板PSから剥離された部分と剥離されていない部分との境界の位置を境界位置H1、H2とする。尚、図5A、5Bにおいては、端子ピン115については図示を省略してある。
【0021】
図5Bに示すように、剥離前においては、ラッチ部130を基板PSの面に垂直なZ方向、又はZ方向よりも若干左側に傾いた左側上方に引張り上げるのが理想である。Z方向よりも若干右側に傾いた方向にラッチ部130を引張り上げると、基板PSから剥離された胴体部110の部分にZ方向に垂直なX方向に力が作用して、胴体部110がX方向に引張られて破断するおそれがあるからである。
【0022】
ラッチ部130が引張り上げられ胴体部110が境界位置H1まで剥離された場合、胴体部110の一部である剥離部分R1は基板PSから剥離されて、ラッチ部130´はラッチ部130よりも僅かに図中の左上に位置する。このときのラッチ部120、130´間の距離D1は、ラッチ部120、130間の距離Dよりも短い。胴体部110の一部が基板PSから剥離がされてラッチ部130´がラッチ部120側に傾いているからである。また、剥離部分R1は、剥離部分R1の底面が基板PS側に凸となるように若干湾曲する。胴体部110は合成樹脂製であるのでこのように撓む。従って、胴体部110の一部が基板PSから剥離したことのみならず剥離部分R1が湾曲することも起因して、距離D1は距離Dよりも短くなっている。
【0023】
ラッチ部130´は、基板PSから剥離された剥離部分R1の長手方向に垂直な方向であるZ´方向に引張り上げられるのが理想である。例えば、ラッチ部130´を基板PSに垂直なZ方向に引き上げた場合、Z´方向に略直交するX´方向の力が剥離部分R1に作用する。剥離部分R1以外の胴体部110の部分は基板PSに固定されたままであるため、剥離部分R1はX´方向(剥離部分R1の長手方向)に引張られる。従って、ラッチ部130´を引張り上げる力の大きさによっては、ラッチ部130の根元部分が破断するおそれがあるからである。
【0024】
更に胴体部110が境界位置H2まで剥離された場合、剥離部分R2が基板PSから剥離され、ラッチ部130´´は、ラッチ部130よりも図中の左上に位置する。このときのラッチ部120、130´´間の距離D2は、ラッチ部120、130´間の距離D1よりも短い。剥離部分R2は剥離部分R1よりも長く、剥離部分R2は剥離部分R1よりも大きく傾斜しているからである。また、剥離部分R2は剥離部分R1よりも長いため、剥離部分R2の方が剥離部分R1よりも大きく湾曲しているからである。従って、剥離された剥離部分が長いほど、湾曲した剥離部分の曲率は大きくなる。このため、剥離部分が長いほど、剥離部分が湾曲することに起因するラッチ部120、130間の距離の短縮の度合は大きくなる。
【0025】
ラッチ部130´´においても、基板PSから剥がされた剥離部分R2の長手方向に略垂直な方向であるZ´´方向に引張り上げるのが望ましい。この場合も、例えばラッチ部130´´をZ´方向又はZ方向に引張り上げると、Z´´方向に垂直なX´´方向の力が胴体部110に作用する。このため、Z´方向の力が大きいと、ラッチ部130´´にX´方向に大きな力が作用して剥離部分R2が引張られて、剥離部分R2が破断するおそれがあるからである。
【0026】
以上のように、基板PSからの胴体部110の剥離が進行するにつれて、ラッチ部120、130間の距離は徐々に短くなる。この理由は、上述したように、剥離部分が徐々に長くなることのみならず、剥離部分が湾曲し、しかも剥離部分が大きくなるほど湾曲の曲率が大きくなるからである。本実施例の取外治具1は、このようなコネクタ100の変形を考慮してコネクタ100を基板PSから取外すことができる。
【0027】
図6A〜7Bは、取外治具1によるコネクタ100の取外しの説明図である。尚、図6A〜7Bでは、理解を容易にするために各部分を模式的に示している。図6Aは、コネクタ100に取外治具1をセットした状態を示している。図6Bは、図6AのA−A断面図である。支持部20の先端部21を挿入口117に挿入し保持部30をラッチ部130に保持させて、取外治具1をコネクタ100にセットする。本体部10の長手方向での支持ピンAPと保持部30との間の距離をEとする。また、互いに対向する支持部20の先端部21の側面と保持部30の先端部31の側面との間の距離をLとする。距離Eは、例えばコネクタ100の長手方向の長さの3分の2以上であるが、これに限定されない。距離Eは、例えば120mm程度であり、支持部20の高さは3〜12mmであるがこれに限定されない。また、各部材の大きさは、コネクタ100の大きさ、形状に応じて適宜変更してよい。
【0028】
取外治具1をコネクタ100にセットした後、作業者は、保持部30から支持部20に向かう方向(図中の−Xの方向)に本体部10を押しながら、支持ピンAPを支点として本体部10を反時計方向に回転させる。−X方向は基板PSの平面に平行な方向を意味する。これにより、図7Aに示すように、支持部20の先端部21が保持部30に接近するようにして支持部20は挿入口117内で傾斜し、本体部10の第1端部11はラッチ部120よりも外側に移動する。詳細には、支持部20の基端部22側が−X方向に押されることにより、支持部20がラッチ部120に当接することにより、支持部20の先端部21はX方向側に移動し基端部22は−X方向に移動する。このようにして支持部20は保持部30側に傾く。換言すれば、支持部20の先端部21と保持部30の先端部31との間の距離が短くなるように支持部20が傾く。これにより、支持部20の先端部21の側面と保持部30の先端部31の側面との間の距離L1は、取外治具1をセットした状態での距離Lよりも短くなる。
【0029】
また、支持部20が傾くことにより、支持ピンAPは−X方向及び−Z方向に移動する。−Z方向は、−X方向に垂直であり基板PSに向かう方向である。このように本体部10の回転の支点となる支持ピンAPの位置が移動する。このため、保持部30によりラッチ部130に作用する力の方向は、Z´方向に近い方向になるものと思われる。
【0030】
作業者が更に保持部30から支持部20に向かう方向に本体部10を押しながら反時計方向に回転させると、支持部20は本体部10側に更に傾斜する。これにより、支持部20の先端部21の側面と保持部30の先端部31の側面との間の距離L2は、距離L1よりも短くなる。また、支持ピンAPは更に−X方向及び−Z方向に移動する。このように本体部10の回転の支点となる支持ピンAPの位置が移動する。このため、保持部30によりラッチ部130に作用する力の方向は、Z´´方向に近い方向になるものと思われる。尚、距離Eは支持部20の傾きによらずに不変であり、支持ピンAP、ラッチ部130間の距離も不変である。
【0031】
このように、基板PSからのコネクタ100の剥離が進行するにつれて、支持部20の先端部21と保持部30の先端部31との間の距離が短くなる。上述したように、剥離が進行するにつれてラッチ部120、130間の距離が短くなるようにコネクタ100も変形する。従って、コネクタ100の変形に対応するようにして、支持部20の先端部21と保持部30の先端部31との間の距離も短くなる。また、支持ピンAPの位置も、支持部20が傾くことにより−X方向及び−Z方向に移動する。これは、保持部30の回転支点の位置が−X方向及び−Z方向に移動することを意味する。これにより、コネクタ100の変形に対応してラッチ部130を保持する保持部30の姿勢が変更される。これにより、胴体部110の剥離部分に長手方向の大きな引張り力が作用せずに、ラッチ部130が引張り上げられる。これにより、コネクタ100が破損することなく基板PSから取外すことができる。
【0032】
尚、コネクタ100の剥離が終了する直前では、コネクタ100は図7Bに示した状態よりも更に急角度で傾斜した状態となる。これにより、コネクタ100の胴体部110が直線状に戻ろうとする弾性復元力の作用により、コネクタ100の剥離が促進される。
【0033】
尚、挿入口117内には金属製の端子部が複数設けられている。支持部20の先端部21が挿入口117に挿入されることにより、先端部21は挿入口117内の端子部により両面から挟まれる。これにより、支持部20が傾斜してもその状態のまま挿入口117内にある端子部により保持される。これにより、支持部20が傾斜しても支持部20を支点として本体部10を安定して回転させることができる。また、支持部20はコネクタ100を基板PSに向けて押し付けられるので、ラッチ部130を引張り上げる際にコネクタ100と共に基板PSが浮き上がることを防止している。また、支持部20がコネクタ100の挿入口117内に挿入されてコネクタ100の取外し作業が行なわれるので、支持部20によって基板PSに傷がつくことが防止される。コネクタ100を交換する場合には、再使用される基板PSに傷がつかないことが望まれているからである。
【0034】
次に、コネクタ100の変形を考慮せずにコネクタ100を基板PSから取外す場合について説明する。最初に、作業者がペンチによりコネクタ100を取外す場合について説明する。図8Aは、ペンチによりコネクタ100を取外す場合の説明図である。ペンチPCによりラッチ部130を挟んで作業者が基板PSに対して垂直上方(Z方向)に引き上げる場合を想定する。
【0035】
作業者がペンチを垂直姿勢で水平方向に移動させずに垂直上方にのみ引き上げると、剥離部分R1に、X方向、即ち剥離部分R1の長手方向に引張り力が大きく作用するものと思われる。剥離部分R1に作用するX方向での引張り力が胴体部110の弾性限度を超えると、図8Aに示すようにラッチ部130の根元部分が折れるおそれがある。または、境界位置H1付近で胴体部110が折れるおそれがある。また、例えば、作業者がペンチを垂直姿勢で垂直上方のみならず、コネクタ100の剥離の進行に応じて水平方向(−X方向)にも移動させた場合、ペンチが垂直姿勢に維持されているため、剥離の進行中にラッチ部130の根元部がおれるおそれがある。
【0036】
この場合、作業者は再度ラッチ部120を掴んで、コネクタ100が折れないように剥離させる必要がある。この場合、作業者には、一つのコネクタ100を取外すために複数回の作業が強いられる。また、破損しないようにコネクタ100を取外すためには、剥離途中でのコネクタ100の変形を考慮してペンチPCの姿勢を変更しつつラッチ部130を引張る必要がある。従って、作業者には熟練した作業が要され、このようにペンチを用いた作業は困難である。
【0037】
次に、本実施例の取外治具1とは構造が異なる取外治具1xを用いてコネクタ100を取外す場合について説明する。図8Bは、本実施例の取外治具1とは構造が異なる取外治具1xを用いてコネクタ100を取外す場合の説明図である。取外治具1xの支持部20xは、ラッチ部120を保持している。このため、支持部20xはラッチ部120に対して傾くことはできず、支持ピンAPの位置は移動できない。このため、保持部30は移動しない支持ピンAPを支点として反時計方向に回転する。本体部10が支持ピンAPを支点として反時計方向に回転すると、保持部30の先端部31はZ方向のみならずX方向にも移動しようとする。剥離部分R1にX方向の大きな力が作用して弾性限度を超えると、ラッチ部130の根元部が折れるおそれがある。このため、コネクタ100を破損させずに1回の作業で基板PSから取外すことができない。
【0038】
ここで、図7Aと図8Bとを比較すると、本実施例の取外治具1では支持ピンAPが移動するため、保持部30によりラッチ部130に作用する力のX方向の成分は、取外治具1xの保持部30によりラッチ部130に作用する力のX方向の成分よりも小さくなるものと思われる。このため、本実施例では、胴体部110の長手方向での引張りの弾性限度を超えることなくコネクタ100を取外すことができる。
【0039】
また、本実施例の場合、基板PSからコネクタ100を剥離している最中、換言すれば本体部10を回転させている最中に、支持部20は保持部30側に傾き支持ピンAPの位置が移動する。これにより、剥離中でのコネクタ100の変形に対応することができ、胴体部110の長手方向に大きな力を作用させずにコネクタ100を基板PSから剥離することができる。このため、熟練した作業者でなくてもコネクタ100を取外すことができる。
【0040】
図9A〜11は、第1変形例の取外治具1aの説明図である。尚、以下の変形例では、上記実施例と同一、類似の部材については、同一、類似の符号を付する。可動ピンFPaは、保持部30a、固定片37aを貫通している。可動ピンFPaの両端はフランジ状になっており、可動ピンFPaが保持部30a、固定片37aから離脱しないようになっている。可動ピンFPaは、保持部30a、固定片37aを軸方向にスライド可能に貫通している。保持部30aの側面には、ロック片35aが回転可能に連結されている。ロック片35aは、側面視で略L字状である。固定片37aの側面には、係止突起39aが形成されている。
【0041】
図9Aに示すように、保持部30aから固定片37aを引き離し、保持部30aと固定片37aとの間にラッチ部130を挟むように取外治具1aをセットする。次に、図9Bに示すように、保持部30aの凹部33がラッチ部130の先端部133に係合するように取外治具1aを移動させ、支持部20の先端部21をコネクタ100の挿入口117に挿入する。次に、図10Aに示すように、可動ピンFPaをグリップG側に引張り、固定片37aを保持部30aに当接させる。
【0042】
次に、図10Bに示すように、ロック片35aを回転させてロック片35aを係止突起39aに係合させる。これにより、固定片37aが保持部30aに固定された状態にロックされる。ロック片35aは自重により係止突起39aとの係合状態が維持される。これによって保持部30aはラッチ部130を保持する。この状態で、作業者は、上述した実施例1の取外治具1と同様に取外治具1aを操作することにより、図11に示すようにコネクタ100を基板PSから剥離することができる。尚、可動ピンFPaは、外周にネジ溝が形成され、保持部30a、固定片37aのそれぞれにはネジ孔が形成され、可動ピンFPaと、保持部30a、固定片37aとが螺合するものであってもよい。
【0043】
図12A〜12Cは、第2変形例である取外治具1bの説明図である。支持台200は、基板PSを支持するためのものである。支持台200には、2つの押え部201が設けられている。2つの押え部201は、支持台20に配置された基板PSを押えることにより、本体部10bを操作した際に基板PSが支持台200から浮き上がることを防止する。押え部201は、例えば、支持台200の上面に形成されたレールによって、スライド可能に設けられている。
【0044】
支持部20の先端部21bは、支持台200の連結部210に回転可能に連結されている。支持部20bは、コネクタ100から大きく離れているがラッチ部120側に位置している。換言すれば、支持部20bは、ラッチ部130よりもラッチ部120に近い位置にある。本体部10bには、保持部30bを着脱可能な取付部15bが設けられている。取付部15bには、例えば、保持部30bと係合可能なレールが設けられているが、これ以外の構造であってもよい。例えば、取付部15bは、ネジやピン、磁石によって保持部30bを着脱可能としてもよい。尚、保持部30bは、保持部30aと略同様の構造であるが、ラッチ部130を保持可能であればこれに限定されない。例えば、保持部30bは、保持部30又は30aと同様の構造であってもよいしそれ以外であってもよい。
【0045】
図12Bに示すように、支持台200上に基板PSを配置して押え部201をスライドさせて基板PSを支持台200に固定する。次に、保持部30bをラッチ部130に保持させ保持部30bを取付部15bに取付ける。次に、図12Cに示すように、実施例1の取外治具1と同じように本体部10bを操作することにより基板PSからコネクタ100を取外すことができる。図12Cに示すように、支持部20bの先端部21bが支持台200の連結部210に回転可能に連結されているため、支持部20bも保持部30b側に傾くことが可能であり、支持ピンAPの位置も移動可能である。これにより、剥離途中において支持部20bは保持部30bに傾く。
【0046】
尚、例えば、図2に示したように、基板PSに複数のコネクタ100が実装されている場合には、保持部30bが複数のコネクタ100のラッチ部130を保持することにより、一回の作業で複数のコネクタ100を取外すことができる。この場合、本体部10b、支持部20bはある程度厚みがあるように形成してもよい。
【0047】
図13A〜13Cは、第3変形例である取外治具1cの説明図である。基板PScには予め露出孔PSHが形成されている。露出孔PSHは、コネクタ100のラッチ部130の底面を露出させている。保持部30cの先端部31cは、先端が碇状となっている。露出孔PSHを介して保持部30cの先端部31cをラッチ部130の底面に係止させ、支持部20を本体部10cに対して回転させて挿入口117に挿入する。この状態で本体部10cを同様に操作することにより、基板PScからコネクタ100を取外すことができる。尚、本体部10cの第2端部12にはグリップGが設けられていないが、設けてもよい。
【0048】
図13B、13Cは、上面視での露出孔PSHの周辺を示している。露出孔PSHの形状は、図13Bのように、長軸がコネクタ100の長手方向に沿った楕円であってもよいし、図13Cに示すように、短軸がコネクタ100の長手方向に沿った楕円であってもよい。露出孔PSHは、このような形状に限定されず、円形、多角形であってもよい。露出孔PSHの大きさは、コネクタ100が基板PScに実装された状態で保持部30cの先端部31cが挿入可能な程度の大きさであればよい。
【0049】
図14は、第4変形例である取外治具1dの説明図である。保持部30dの先端部31dは、側面視で略L字状に形成されている。コネクタ100dのラッチ部130dの底面には、基板PSから退避した逃げ部150dが形成されている。逃げ部150dと基板PSとの間には隙間が形成される。この隙間に保持部30dの先端部31dを挿入して本体部10dを同様に操作することにより、基板PSからコネクタ100dを取外すことができる。
【0050】
図15A、15Bは、第5変形例である取外治具1eの説明図である。図15A、15Bに示すように、保持部30eは、2つの挟持片35eを有しておりペンチ状に形成されている。3つの挟持片35eは、バネの付勢力によりラッチ部130を挟んで保持することが可能である。図15Aに示すように、基板PSeには、コネクタ100のラッチ部120の近傍に導体部310が形成されている。導体部310上に半田部320が形成されている。支持部20eを半田部320上に配置した状態で取外治具1eをコネクタ100にセットする。この状態で本体部10eを同様に操作することにより、基板PSeからコネクタ100を取外すことができる。
【0051】
このように導体部310、半田部320は、取外治具1eによりコネクタ100を取外す際に取外治具1eの支持部20eを支える。導体部310、半田部320によって支持部20eを支えることにより、支持部20eが直接基板PSeの表面に当接して基板PSeに傷がつくのを防止できる。基板PSeの大きさや基板PSeに実装される電子部品の実装密度に余裕がある場合には、このように基板PSeに、導体部310、半田部320を設けることができる。
【0052】
また、図15Bに示すように、コネクタ100eのラッチ部120側には、支持部140eが形成されている。支持部140eはラッチ部120の底面から水平方向に延在した薄板状である。支持部140eは、胴体部110またはラッチ部120と一体に形成されている。図15Bに示すように、支持部20eの先端部21eを支持部140eに配置する。この状態で本体部10eを同様に操作することにより、基板PSからコネクタ100eを取外すことができる。このように、基板PSの大きさに余裕がある場合には、胴体部110の外側に支持部20eを支持するための支持部140eをコネクタ100eに設けてもよい。支持部140eによって支持部20eを支えることにより、支持部20eが直接基板PSeの表面に当接して基板PSeに傷がつくのを防止できる。
【0053】
尚、支持部20eが傾斜しやすいように、支持部20eは、先端に向かって幅が小さくなっている。保持部30eの2つの挟持片35eは、例えばネジ等により両者間の距離を調整、固定できるものであってもよい。
【0054】
図16Aは、第6変形例である取外治具1fの説明図である。本体部10fには、ペンチ状の保持部30fが固定されている。このように、ペンチ状の保持部30fによりラッチ部130を保持した状態で本体部10fを同様に操作することにより、基板PSからコネクタ100を取外すことができる。
【0055】
図16Bは、第7変形例である取外治具1gの説明図である。保持部30gの先端部31gは、側面視でL字状又は碇状に形成されている。基板PSgに形成された露出孔PSHを介して保持部30gの先端部31gをラッチ部130の底面に係止した状態で、本体部10gを同様に操作することにより、基板PSgからコネクタ100を取外すことができる。
【0056】
上記に述べた保持部30〜30gは、これらの形状や大きさに限定されない。コネクタのラッチ部の形状は種類によってさまざまであり、このラッチ部を保持可能であれば、保持部30〜30gはどのような形状、構造であってもよい。
【0057】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0058】
実施例及び変形例においては、コネクタ100の胴体部110の端部に形成されたラッチ部130を取外治具1の保持部30が保持する。取外治具の保持部は、コネクタの一部であればラッチ部以外の部分を挟んで保持するものであってもよい。また、ラッチ部が形成されていないコネクタをプリント基板から取外す場合には、取外治具の保持部は、コネクタの胴体部の一部を挟んで保持するものであってもよい。例えば、取外治具の保持部は、コネクタの胴体部の端部を両側面から挟んで保持することが可能なものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1〜1g 取外治具
10、10b〜10e 本体部
20、20b、20e 支持部
30a〜30g 保持部
AP 支持ピン
100 コネクタ
110 胴体部
115 端子ピン
117 挿入口
120、130 ラッチ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1の方向に延びた本体部と、
前記本体部の第1の位置から突出し、前記1の方向とは異なる他の方向に延びた支持部と、
前記本体部の第2の位置から突出し、前記他の方向に沿って延び、先端がプリント基板に実装されたコネクタの一部を保持可能な保持部と、
を備えたコネクタ取外治具。
【請求項2】
前記支持部は、前記本体部に対して回転可能に連結されており、
前記保持部は、前記本体部に対して回転不能である、請求項1のコネクタ取外治具。
【請求項3】
前記一部は、第1及び第2端部を含み、
前記支持部が前記第1端部側に位置して前記本体部を支持し前記保持部が前記第2端部を保持した状態から、前記保持部から前記支持部に向かう方向に前記本体部を押しながら前記支持部に対して前記本体部を回転させることにより、前記保持部が前記プリント基板から離れて前記プリント基板から前記コネクタが剥離する、請求項2のコネクタ取外治具。
【請求項4】
前記本体部を回転させている最中で、前記支持部は前記保持部側に傾く、請求項3のコネクタ取外治具。
【請求項5】
前記本体部を回転させている最中で、前記本体部の回転支点の位置は移動する。請求項3又は4のコネクタ取外治具。
【請求項6】
前記支持部は、相手方コネクタを挿入可能な前記コネクタの挿入口に差し込まれる、請求項3乃至5の何れかのコネクタ取外治具。
【請求項7】
前記コネクタは前記プリント基板にプレスフィット実装されている、請求項1乃至6の何れかのコネクタ取外治具。
【請求項1】
1の方向に延びた本体部と、
前記本体部の第1の位置から突出し、前記1の方向とは異なる他の方向に延びた支持部と、
前記本体部の第2の位置から突出し、前記他の方向に沿って延び、先端がプリント基板に実装されたコネクタの一部を保持可能な保持部と、
を備えたコネクタ取外治具。
【請求項2】
前記支持部は、前記本体部に対して回転可能に連結されており、
前記保持部は、前記本体部に対して回転不能である、請求項1のコネクタ取外治具。
【請求項3】
前記一部は、第1及び第2端部を含み、
前記支持部が前記第1端部側に位置して前記本体部を支持し前記保持部が前記第2端部を保持した状態から、前記保持部から前記支持部に向かう方向に前記本体部を押しながら前記支持部に対して前記本体部を回転させることにより、前記保持部が前記プリント基板から離れて前記プリント基板から前記コネクタが剥離する、請求項2のコネクタ取外治具。
【請求項4】
前記本体部を回転させている最中で、前記支持部は前記保持部側に傾く、請求項3のコネクタ取外治具。
【請求項5】
前記本体部を回転させている最中で、前記本体部の回転支点の位置は移動する。請求項3又は4のコネクタ取外治具。
【請求項6】
前記支持部は、相手方コネクタを挿入可能な前記コネクタの挿入口に差し込まれる、請求項3乃至5の何れかのコネクタ取外治具。
【請求項7】
前記コネクタは前記プリント基板にプレスフィット実装されている、請求項1乃至6の何れかのコネクタ取外治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−26040(P2013−26040A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160204(P2011−160204)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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