説明

コネクタ

【課題】 FPC等の接続対象物とハウジングに複数列に配設されているコンタクトとを確実に接離することができるコネクタを提供する。
【解決手段】 図(A),(B)は、FPC11がコネクタ1に挿入され、第2アクチュエータ6と第1アクチュエータ4が順次それぞれ軸6a,4aを中心として約90°回転した後の状態を示す。この状態では、第1アクチュエータのカム部4bは、FPCを下方に押圧しているので、FPCの導電パターンは、各第1コンタクト3の接点3b1に接続する。ただし、FPCの厚さは、実際よりも大きく記載されている。このとき、各第1コンタクトの凹部3c1は、第1アクチュエータの軸4aを支持する軸受の役割を営む。また、第2アクチュエータのカム部6bは、FPCを下方に押圧しているので、FPCの導電パターンは、各第2コンタクト5の接点5b1に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPC,FFC又は剛性の基板等の接続対象物と接続するコネクタに関し、詳しく述べると、複数列に配設されているコンタクトが接続対象物と確実に接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のFPC用コネクタについて説明する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図3は、2枚のFPC70,80がまだFPC用コネクタ21に嵌合していない状態を示す断面図であり、図4は、嵌合した状態を示す断面図である。
【0004】
FPC用コネクタ21は、ハウジング(インシュレータ)30と、第1コンタクト(上側コンタクト)40と、第2コンタクト(下側コンタクト)50と、アクチュエータ60とを有する。
【0005】
ハウジング30は、略直方体形状に構成され、その前面に2つのFPC挿入口31,32が設けられ、その上面に開口部33が設けられている。
【0006】
第1コンタクト40は、アクチュエータ60を回転可能に支持する支持部41と、第1FPC70の導電パターン(図示せず)と接触するばね部42と、第2FPC80を押圧する突部43と、ハウジング30の孔34に圧入される圧入部44とを有する。
【0007】
支持部41の先端部41aは、鉤形に形成されている。
【0008】
ばね部42の先端には、接触部42aが上下方向へ弾性変形可能に形成されている。
【0009】
第1コンタクト40の接触部42aは、アクチュエータ60と上下方向で対向する。FPC挿入口31に挿入された第1FPC70は、アクチュエータ60と接触部42aの間に位置する。
【0010】
ばね部42には、突部43が接触部42aと一体に形成されている。
【0011】
第2コンタクト50は、第2FPC80の導体パターン(図示せず)と接触するばね部51と、ハウジング30の孔35に圧入される圧入部52とを有する。
【0012】
ばね部51の先端には、接触部51aが上下方向へ弾性変形可能に形成されている。
【0013】
第2コンタクト50の接触部51aは、突部43と上下方向で対向する。FPC挿入口32に挿入された第2FPC80は、突部43と接触部51aの間に位置する。
【0014】
アクチュエータ60には、長手方向に沿って溝62が形成され、溝62が第1コンタクト40の支持部41の先端部41aに回転可能に支持されている。
【0015】
第1FPC70と第2FPC80のコネクタ21への装着について説明する。
【0016】
まず、アクチュエータ60の溝62を支持部41の先端部41aに係合させる。
【0017】
次に、第1FPC70と第2FPC80を、それぞれFPC挿入口31,32に挿入する。この結果、第1FPC70と接触部42aと第2FPC80と接触部51aとが、上下方向に交互に配置される。このとき、第1FPC70の導体パターンは、第1コンタクト40の接触部42aに接触する。また、第2FPC80の導体パターンは、第2コンタクト50の接触部51aに接触する。
【0018】
その後、アクチュエータ60の溝62と支持部41の先端部41aとの接点を回転中心として、アクチュエータ60を反時計方向へ回転させる。すると、アクチュエータ60の平面押圧部61は、第1FPC70を押圧して下方に押し下げる。
【0019】
この結果、第1コンタクト40の接触部42aは、ばね部42の弾性力により第1FPC70の導体パターンに押し付けられる。
【0020】
このとき、ばね部42が下方へ変位し、突部43は第2FPC80を押し下げる。
【0021】
この結果、第2コンタクト50の接触部51aは、ばね部42の突部43により第2FPC80の導体パターンに押し付けられる。
【0022】
このとき、ハウジング30の開口部33は、アクチュエータ60により閉じられる。
【0023】
【特許文献1】特開2000−113933号公報(第2頁第2欄第42行〜第3頁第4欄第46行、図1〜3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
前記従来のFPC用コネクタでは、2枚のFPCとハウジングに2列に配設されているコンタクトとが、1個のアクチュエータにより接離される。したがって、このコネクタには、操作部材が1個のアクチュエータのみであるという利点が存在する反面、接離を確実に行い難いという欠点が存在する。
【0025】
そこで、本発明は、前記従来のFPC用コネクタの欠点を改良し、FPC等の接続対象物とハウジングに複数列に配設されているコンタクトとを確実に接離することができるコネクタを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、前記課題を解決するため、次の手段を採用する。
【0027】
接続対象物と接続するコネクタにおいて、前記コネクタは、前記接続対象物と接続する複数のコンタクトと、前記各コンタクトを保持するハウジングと、前記接続対象物との接続位置と非接続位置の間で回転可能に前記ハウジングに保持されている複数の操作部材とを有し、前記各操作部材は、カム部と回転軸とを有し、前記各コンタクトは、前記接続対象物と接続する接点を備える弾性変形可能な一側梁と、前記一側梁と対向し、かつ、前記各操作部材の回転軸と係合する凹部を備える他側梁とを有し、前記各コンタクトの接点は、前記接続対象物との嵌合離脱方向において、複数列配設され、前記各操作部材は、前記複数列の各コンタクトの接点に対応し、列毎に前記各コンタクトの接点と前記接続対象物とを接離するコネクタ。
【発明の効果】
【0028】
明細書の説明から明らかなように、本発明は、次の効果を奏する。
【0029】
1.複数の操作部材は、それぞれ複数列の各コンタクトの接点に対応し、列毎に各コンタクトの接点と接続対象物とを確実に接続することができる。
【0030】
2.コネクタは、複数のコンタクトと、ハウジングと、複数の操作部材とから構成されるので、部品点数が少なく、構造が簡素で、しかも、コストが安価である。
【0031】
3.各操作部材の回転軸は、ハウジングに保持され、また、各コンタクトの凹部に係合して支持されるので、各操作部材は、安定して回転することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の一実施例のコネクタについて説明する。
【実施例1】
【0033】
本発明の実施例1のFPC用コネクタについて図1と図2を参照して説明する。
【0034】
図1(A)は、FPC11がコネクタ1に嵌合する前の状態において、主としてインシュレータ(ハウジング)2に保持されている第1列の第1コンタクト3と、インシュレータ2に軸4aが保持されている第1アクチュエータ(第1操作部材)4とを示す断面図である。
【0035】
各第1コンタクト3は、ベース部3aと、弾性変形可能な下側梁3bと、下側梁3bと対向する上側梁3cと、固定用端子部3dとから略U字形状に一体に構成される。
【0036】
各下側梁3bの先端には、接点3b1が突出するように形成される。各上側梁3cの先端には、凹部3c1が形成される。
【0037】
第1アクチュエータ4に設けられている軸4aは、各第1コンタクト3の凹部3c1に係合する。
【0038】
図1(B)は、FPC11がコネクタ1に嵌合する前の状態において、主としてインシュレータ2に保持されている第2列の第2コンタクト5と、インシュレータ2に軸6aが保持されている第2アクチュエータ(第2操作部材)6とを示す断面図である。
【0039】
各第2コンタクト5は、ベース部5aと、弾性変形可能な下側梁5bと、下側梁5bと対向する上側梁5cと、固定用端子部5dとから略U字形状に一体に構成される。
【0040】
各下側梁5bの先端には、接点5b1が突出するように形成される。各上側梁5cの先端には、凹部5c1が形成される。
【0041】
第2アクチュエータ6に設けられている軸6aは、各第2コンタクト5の凹部5c1に係合する。
【0042】
各第1コンタクト3の接点3b1と各第2コンタクト5の接点5b1とは、インシュレータ2において千鳥状に配列されている。
【0043】
FPC11とコネクタ1との嵌合について説明する。
【0044】
まず、図1の状態において、FPC11をコネクタ1に挿入する。
【0045】
次に、図1(B)の状態において、第2アクチュエータ6を軸6aを回転中心として約90°左回転すると、第2アクチュエータ6は図2(B)の状態に至る。この状態では、第2アクチュエータ6のカム部6bは、FPC11を下方に押圧しているので、FPC11の導電パターン(図示せず)は、各第2コンタクト5の接点5b1に接続する。ただし、FPC11の厚さは、実際よりも過大に記載されている。このとき、各第2コンタクト5の凹部5c1は、第2アクチュエータ6の軸6aを支持する軸受の役割を営む。
【0046】
続いて、図1(A)の状態において、第1アクチュエータ4を軸4aを回転中心として約90°左回転すると、第1アクチュエータ4は図2(A)の状態に至る。この状態では、第1アクチュエータ4のカム部4bは、FPC11を下方に押圧しているので、FPC11の導電パターン(図示せず)は、各第1コンタクト3の接点3b1に接続する。ただし、FPC11の厚さは、実際よりも過大に記載されている。このとき、各第1コンタクト3の凹部3c1は、第1アクチュエータ4の軸4aを支持する軸受の役割を営む。
【0047】
このようにして、第1列の各第1コンタクト3と第2列の各第2コンタクト5は、FPC11の導電パターンに接続するので、FPC11は、コネクタ1と嵌合する。
【0048】
本実施例1においては、コンタクト列は2列で、アクチュエータは2個であるが、コンタクト列を3列以上、アクチュエータを3個以上に増設することは、設計上随意である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例1のコネクタにFPCが嵌合する前の状態の断面図であり、(A)は主として第1列の第1コンタクトと第1アクチュエータ、(B)は主として第2列の第2コンタクトと第2アクチュエータを、それぞれ示す。
【図2】同コネクタに同FPCが嵌合した状態の断面図であり、(A)は主として同第1列の第1コンタクトと同第1アクチュエータ、(B)は主として同第2列の第2コンタクトと同第2アクチュエータを、それぞれ示す。
【図3】従来のFPC用コネクタにFPCが嵌合する前の状態の断面図である。
【図4】同FPC用コネクタに同FPCが嵌合した状態の断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 コネクタ(FPC用コネクタ)
2 インシュレータ(ハウジング)
3 第1コンタクト
3a ベース部
3b 下側梁
3b1 接点
3c 上側梁
3c1 凹部
3d 固定用端子部
4 第1アクチュエータ(第1操作部材)
4a 軸
4b カム部
5 第2コンタクト
5a ベース部
5b 下側梁
5b1 接点
5c 上側梁
5c1 凹部
5d 固定用端子部
6 第2アクチュエータ(第2操作部材)
6a 軸
6b カム部
11 FPC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象物と接続するコネクタにおいて、
前記コネクタは、前記接続対象物と接続する複数のコンタクトと、前記各コンタクトを保持するハウジングと、前記接続対象物との接続位置と非接続位置の間で回転可能に前記ハウジングに保持されている複数の操作部材とを有し、
前記各操作部材は、カム部と回転軸とを有し、
前記各コンタクトは、前記接続対象物と接続する接点を備える弾性変形可能な一側梁と、前記一側梁と対向し、かつ、前記各操作部材の回転軸と係合する凹部を備える他側梁とを有し、
前記各コンタクトの接点は、前記接続対象物との嵌合離脱方向において、複数列配設され、
前記各操作部材は、前記複数列の各コンタクトの接点に対応し、列毎に前記各コンタクトの接点と前記接続対象物とを接離することを特徴とするコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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