説明

コネクタ

【課題】小型化しやすい簡素な構成の排出機構を備えるコネクタであって比較的高い強度を有するコネクタを提供すること。
【解決手段】コネクタ10は、収容位置と図示された排出位置との間で回動可能な排出部材50と、バックアップ部80とを有している。排出部材50は、正面72f及び背面72bを有する受部72と排出部60とを含んでおり、コネクタ10とは別体の操作部材(ピン)を用いて受部72の正面72fを−X方向(押圧方向)に沿って押圧して排出部材50を排出位置まで回動させると+X方向(排出方向)に沿って排出部60がトレイを押して排出させる。バックアップ部80は、排出位置を超えて排出部材50を回動させようとするような過度な力が受部72の72f正面に加えられた際に受部72の背面72bに当接して受部72をバックアップする。このバックアップ部80により比較的高い強度が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIM(Subscriber Identity Module)カードのようなカードと接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチメディアカード(MMC)などのメモリカードと接続するコネクタとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1のコネクタは、トレイに搭載されたカードを収容・排出するものである。換言すると、特許文献1のコネクタにおいて直接的な収容・排出の対象物はトレイである。このコネクタにおいては、トレイに形成された孔部にピン(操作部材)を挿入し、このピンによってプッシュレバーを押圧してロック機構のロックを解除することにより、トレイと共にカードの排出を行う。特許文献1においては、このトレイの排出機構がコネクタ自体に設けられている。
【0003】
同様に、トレイを直接的な収容・排出の対象物とすると共にそのトレイに搭載されたSIMカード等のカード類と接続するコネクタとしては、例えば、特許文献2に開示されたものがある。特許文献2においては、トレイの排出機構がコネクタではなく、コネクタを搭載する電子機器に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−108695公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/267677号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の排出機構には小型化しにくいという問題がある。特許文献2の排出機構は比較的少数の部材から構成可能であるが、電子機器自体に設けられており、組立時の位置合わせ等において問題が生じ易い。
【0006】
加えて、ピン(操作部材)により過度な押圧力が排出機構に加わった場合を想定して排出機構の強度をある程度確保したいという要求もある。
【0007】
そこで、本発明は、小型化しやすい簡素な構成の排出機構を備えるコネクタであって、操作部材の押圧力に対して比較的高い強度を有するコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1のコネクタとして、
対象物を少なくとも部分的に収容可能なコネクタであって、
排出位置と収容位置の間で回動可能な排出部材であって、正面及び背面を有する受部と排出部とを含み、且つ、前記コネクタとは別体の操作部材を用いて前記受部の前記正面を押圧方向に沿って押圧して前記排出部材を前記収容位置から前記排出位置まで回動させた際に前記押圧方向の逆方向である排出方向に沿って前記排出部が前記対象物を排出させるように設けられた排出部材と、
前記排出方向と直交する垂直方向において、前記受部の上端及び下端により上限及び下限を夫々規定される所定範囲内に位置しており、前記排出位置を超えて前記排出部材を回動させようとするような過度な力が前記受部の前記正面に加えられた際に前記受部の前記背面に当接して前記受部をバックアップするバックアップ部と
を備えるコネクタを提供する。
【0009】
また、本発明は、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記バックアップ部は、前記排出部材に一体形成されている
コネクタを提供する。
【0010】
また、本発明は、第3のコネクタとして、第1又は第2のコネクタであって、
コンタクトと、前記コンタクトを保持する保持部材と、前記対象物を収容する収容部を前記保持部材と共に形成するカバーシェルとを備えており、
前記排出部材は、前記カバーシェルに回動支持されている
コネクタを提供する。
【0011】
また、本発明は、第4のコネクタとして、第3のコネクタであって、
前記排出部材には、回動ストッパが設けられており、
前記カバーシェルには、前記排出部材が前記排出位置にあるとき前記回動ストッパと当接するシェルストッパが設けられており、
前記回動ストッパは、前記所定範囲内に位置している
コネクタを提供する。
【0012】
また、本発明は、第5のコネクタとして、第4のコネクタであって、
前記バックアップ部及び前記回動ストッパは、前記所定範囲を前記垂直方向において三等分した場合の中間範囲内に位置している
コネクタを提供する。
【0013】
また、本発明は、第6のコネクタとして、第1乃至第5のコネクタであって、
前記排出部材は、一枚の金属板を折り曲げ加工して形成されたものである
コネクタを提供する。
【0014】
また、本発明は、第7のコネクタとして、第6のコネクタであって、
前記受部に対して力が加えられていない状態において、前記受部と前記バックアップ部との間の距離は前記金属板の板厚以下である
コネクタを提供する。
【0015】
また、本発明は、第8のコネクタとして、第1乃至第7のいずれかのコネクタであって、
前記排出部は、前記所定範囲を前記垂直方向において三等分した場合の中間範囲内に位置している
コネクタを提供する。
【0016】
また、本発明は、第9のコネクタとして、第1乃至第8のいずれかのコネクタであって、
前記バックアップ部は、前記垂直方向と直交する面内に延びる板状形状を有している
コネクタを提供する。
【0017】
また、本発明は、第10のコネクタとして、第9のコネクタであって、
前記バックアップ部は、前記排出部材の回動中心から離れるに連れて先細っている
コネクタを提供する。
【0018】
また、本発明は、第11のコネクタとして、第1乃至第10のいずれかのコネクタであって、
前記排出部材は、前記操作部材の先端を受容する受容部を有しており、
前記受部は、前記押圧方向において前記受容部の最奥の壁である
コネクタを提供する。
【0019】
また、本発明は、第12のコネクタとして、第11のコネクタであって、
前記受容部は、箱型形状を有している
コネクタを提供する。
【0020】
また、本発明は、第13のコネクタとして、第1乃至第12のいずれかのコネクタであって、
前記排出部と前記受部とは前記排出部材の回動中心を挟んで反対側に設けられている
コネクタを提供する。
【0021】
更に、本発明は、第14のコネクタとして、第1乃至第13のいずれかのコネクタであって、
前記対象物は、前記コネクタと接続されるカードを搭載するためのトレイであり、
前記トレイには、前記操作部材で前記受部を押圧する際に前記操作部材を挿入される挿入孔が設けられている
コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によるコネクタは、受部及び排出部を有すると共に回動可能な排出部材を備えており、排出部材の受部を押圧すると、排出部が対象物を排出するように構成されている。そのため、排出機構の小型化を達成し易く、またその構成も簡素である。
【0023】
更に本発明によるコネクタは、排出部材の回動限界(排出位置)を超えて排出部材を回動させようとするような過度な力が受部に加えられた際に受部をバックアップするバックアップ部を備えている。そのため、本発明によれば、比較的高い強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態によるコネクタを示す上面図である。ここで、排出部材は収容位置にある。
【図2】図1のコネクタを示す他の上面図である。ここで、排出部材は排出位置にある。
【図3】図1のコネクタを示す正面図である。
【図4】図1のコネクタ及びトレイ(対象物)を示す斜視図である。トレイはコネクタに収容されている。
【図5】図1のコネクタを示す側面図である。
【図6】図1のコネクタの排出部材を示す斜視図である。
【図7】図6の排出部材を示す他の斜視図である。
【図8】図6の排出部材を示す側面図である。
【図9】変形例によるコネクタを示す上面図である。ここで、排出部材は収容位置にある。
【図10】図9のコネクタを示す斜視図である。
【図11】図9のコネクタを示す側面図である。
【図12】図9のコネクタを示す上面図である。ここで、排出部材は排出位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1乃至図5を参照すると、本発明の実施の形態によるコネクタ10は、収容部12(特に図3参照)に対してトレイ(対象物)100(特に図4参照)を−X方向(押圧方向)に沿って部分的に収容する一方、排出部材50の回動によりトレイ100を+X(排出方向)に沿って排出するものである。トレイ100には、例えば、SIMカードのようなカード(図示せず)が搭載される。トレイ100が収容部12に収容されると、カード(図示せず)とコネクタ10との接続を図ることができる。
【0026】
図3及び図4から理解されるように、本実施の形態によるトレイ100は、前壁部110を+X側に残した状態で残りの部分を収容部12に収容されるようなサイズ及び形状を有するものである。詳しくは、トレイ100が部分的に収容部12に収容された際に、本実施の形態による前壁部110は、収容部12の前端開口を塞いでいる。図4に示されるように、前壁部110の+Y側側部には、−X方向(押圧方向)に沿って延びる棒状部130が設けられており、その棒状部130には、X方向(前後方向)に沿って棒状部130を貫通する挿入孔140が形成されている。この挿入孔140は、後述するように、収容部12に収容されたトレイ100の排出操作を行う際に、操作部材(ピン)を挿入ガイドするための孔である。なお、トレイ100にはトレイ100の排出操作時に+X方向(排出方向)へ向かう力を受ける力受部120が設けられている。
【0027】
図3を参照すると、本実施の形態によるコネクタ10は、カード(図示せず)の端子に接続される導電性のコンタクト20と、コンタクト20を保持する絶縁体からなる保持部材22と、カード(図示せず)を収容する収容部12を保持部材22と共に形成する金属製のカバーシェル30と、カバーシェル30に取り付けられた金属製の排出部材50とを少なくとも備えている。
【0028】
図1乃至図5を参照すると、排出部材50は、カバーシェル30の上部30uに回動可能に取り付けられている。図1及び図2に示されるように、上部30u上の位置であって後壁30bよりも前端30fに近い位置には、排出部材50の取付用の構造が形成されている。具体的には、Y方向(横方向)の中心よりも+Y側であって比較的前端30fに近い位置には、開口部の斜め後方に向くエッジを+Z方向(上方)に隆起させてなるシェルストッパ32が設けられている。また、シェルストッパ32の斜め後方(−X方向且つ+Y方向)には、軸片34が設けられている。軸片34は、YZ平面に平行であり且つY方向に長手を有する小片であり、+Z方向(上方)に突出している。X方向(前後方向)において軸片34を挟む位置には、第1保持部36と第2保持部37とが設けられている。第1保持部36及び第2保持部37は、いずれも+Z方向(上方)に隆起している。第1保持部36及び第2保持部37のいずれの−Z側(下方)にもスペースが形成されており、それらスペースは、夫々、第1保持部36及び第2保持部37の軸片34側に形成された溝部と通じている。更に、軸片34の−Y側には、第3保持部38が形成されている。第3保持部38は+Z方向(上方)に隆起している。第3保持部38の−Z側(下方)にはスペースが形成されており、そのスペースは、第3保持部38の軸片34側に形成された溝部と通じている。
【0029】
図6乃至図8を参照すると、排出部材50は、一枚の金属板を折り曲げ加工して形成されたものであり、板状の主部52を有している。図1乃至図5から理解されるように、主部52は、排出部材50がカバーシェル30に取り付けられた状態において、XY平面と平行に延びている。図6及び図7に示されるように、主部52の長手方向の1/3あたりの位置には、瓢箪形又は8字形の孔からなる軸部54が形成されている。この軸部54は、図1、図2及び図4から理解されるように、カバーシェル30の軸片34を受容する部位であり、その受容により排出部材50は回動可能にカバーシェル30に支持される。排出部材50の回動可能な範囲は、収容位置(図1参照)と排出位置(図2参照)の間である。本実施の形態においては、図6及び図7に示されるように、主部52の長手方向の1/2あたりの位置であって前縁側には回動ストッパ56が設けられており、図2に示されるように、この回動ストッパ56がカバーシェル30のシェルストッパ32に当接することで、排出部材50の回動限界の一つである排出位置が規定されている。
【0030】
図6及び図7に示されるように、排出部材50には、排出部60と受容部70とが設けられている。排出部60と受容部70とは軸部54(即ち、排出部材50の回動中心)を挟んで互いに反対側に位置している。即ち、軸部54は、排出部60と受容部70との間に位置している。
【0031】
受容部70は、収容されたトレイ100を排出させる際に操作部材(ピン)の先端を受容するものである。詳しくは、図5乃至図7に示されるように、本実施の形態による受容部70は、略四角形状の受部72と、受部72の各辺に対応する側壁部74とで構成されている。図4に示されるように、受容部70は、排出部材50が収容位置にあるときX方向(前後方向)においてトレイ100の棒状部130(特に、挿入孔140)と一直線上に並ぶように設けられている。そのため、操作部材(ピン)を挿入孔140に挿入しつつ−X方向に押し込むと、操作部材(ピン)の先端が受容部70内にスムーズに受容される。即ち、棒状部130に形成された挿入孔140は、操作部材(ピン)を受容部70までガイドするガイド部として機能している。
【0032】
本実施の形態による受部72は、収容位置(図1参照)にあるときを基準とすると、受容部70の−X方向(押圧方向)最奥に位置する壁からなるものであり、受容部70は、+X方向(排出方向)に開口した箱型形状を有している。特に、受部72は、+Y方向最外側の側壁部74と繋がっており、他の側壁部74とは直接的には繋がっていない。
【0033】
排出部材50が収容位置(図1参照)にあるとき、操作部材の先端を受容部70内に挿入し、操作部材で受部72の正面72fを押圧すると、排出部材50は軸部54を中心として回動ストッパ56がシェルストッパ32に当接するまで回動する。この回動の際、排出部60は、概略、+X方向(排出方向)に移動し、トレイ100の力受部120に対して+X方向に向かう力を加える。即ち、回動により、排出部60は、力受部120を+X方向に押し出す。これによって、収容部12に収容されたトレイ100は+X方向(排出方向)に排出される。
【0034】
更に、図1及び図2に示されるように、排出部材50には、カバーシェル30の第1保持部36〜第3保持部38に夫々対応する第1被保持部76〜第3被保持部78が設けられている。図6及び図7に示されるように、第1被保持部76と第2被保持部77は、軸部54を挟むようにして設けられている。具体的には、第1被保持部76と第2被保持部77とを結ぶ線が排出部60と受容部70とを結ぶ線と交差するように、第1被保持部76と第2被保持部77とは設けられている。第3被保持部78は、軸部54から最も遠い位置に設けられている。即ち、本実施の形態における第3被保持部78は、排出部材50の長手方向の端部に形成されている。これら第1被保持部76〜第3被保持部78は主部52よりも−Z方向(下方)に凹んでおり、図1及び図2から理解されるように、+Z方向に隆起した第1保持部36〜第3保持部38の下のスペースに夫々受容される。図1及び図2から理解されるように、第1被保持部76〜第3被保持部78は、第1保持部36〜第3保持部38の下のスペース内においてXY平面内で移動可能である一方、+Z方向への移動は第1保持部36〜第3保持部38によって規制されている。即ち、排出部材50は、収容位置と排出位置との間で回動可能である一方、カバーシェル30から基本的には外れないようにカバーシェル30の上部30uに保持されている。
【0035】
図1、図2、図4乃至図8に示されるように、本実施の形態による排出部材50には、バックアップ部80が設けられている。即ち、本実施の形態によるバックアップ部80は、排出部材50の一部として排出部材50と一体形成されている。バックアップ部80は、排出位置を超えて排出部材50を回動させようとするような過度な力が受部72の正面72fに加えられた際に受部72の背面72bに当接して受部72をバックアップして、受部72の破損等を防ぐための部位である。本実施の形態によるバックアップ部80は、何らの負荷が加わっていない状態でも受部72の背面72bに殆ど接しているが本発明はこれに限定されない。バックアップ部80は、排出位置を超えて排出部材50を回動させようとするような過度な力が受部72の正面72fに加えられた際に少なくとも受部72の背面72bに当接して受部72をバックアップすればよく、通常状態(受部72に対して力が加えられていない状態)においてバックアップ部80は受部72から離れるように設けられていてもよい。但し、バックアップ部80が受部72から離れすぎると、受部72が過度な力を受けた際に適切にバックアップできない恐れがあるので、通常状態におけるバックアップ部80と受部72との距離は排出部材50の母材たる金属板の板厚以下であることが好ましい。
【0036】
また、バックアップ部80は受部72の背面72bをバックアップするものであることから、図8に示されるように、バックアップ部80は、垂直方向(Z方向)において、受部72の上端72u及び下端72lにて上限及び下限を規定される所定範囲R内に位置している。更に、バックアップ部80で受部72をバックアップしている際に排出部材50に対して排出部材50を捩じるような力が加わってしまうことを避けるためには、バックアップ部80が受部72をバックアップする位置と回動ストッパ56とシェルストッパ32との当接する位置とが垂直方向において同じようなレベルにあることが好ましい。そのため、回動ストッパ56は所定範囲R内においてカバーシェル30のシェルストッパ32に当接することが好ましい。同様に、トレイ100の排出時に排出部材50に好ましくない捩じり力が加わらないように、排出部60に所定範囲R内においてトレイ100の力受部120に力を加えることが好ましい。バックアップ時の捩じり力の影響軽減をより確実なものとするためには、所定範囲Rを垂直方向において上部範囲U、中間範囲M及び下部範囲Lの3つに範囲に三等分した場合の中間範囲M内にバックアップ部80及び回動ストッパ56が位置していることが好ましい。トレイ100の排出時における捩じり力の影響軽減をより確実なものとするためには、排出部60が垂直方向において中間範囲M内に位置していることが好ましい。
【0037】
図1及び図2に示されるように、本実施の形態によるバックアップ部80は、主部52の延長上に形成されていることから、排出部材50をカバーシェル30に取り付けた状態において、XY平面内に位置している。即ち、バックアップ部80は、XY平面内に延びる板状形状を有している。主部52の延長部を複数回折り返すことによりバックアップ部80を形成することとしてもよいが、本実施の形態のように一枚の板状であっても十分なバックアップ強度を確保することができることから、製造コスト等を考慮すると、バックアップ部80は一枚の板状形状を有することが望ましい。
【0038】
また、図6及び図7に示されるように、本実施の形態によるバックアップ部80は、略三角形形状をしており、排出部材50の回動中心(軸部54)から離れるに連れて先細っている。受部72に過度な力が加わったとき、バックアップ部80は前縁(前端のエッジ部分)で受部72の背面72bを受けるが、この際、バックアップ部80が上述したように先細り形状を有していると、バックアップ部80の根元にかかる応力を軽減することができる。
【0039】
以上、本発明について実施の形態を掲げて具体的に説明してきたが、本発明はこれに制限されるわけではない。例えば、上述したバックアップ部80は、排出部材50の一部として形成されていたが、バックアップ部80と排出部材50とを別体としてもよい。
【0040】
図9乃至図12を参照すると、変形例によるコネクタ10aのバックアップ部80aは、排出部材50aではなくカバーシェル30aと一体形成されている。詳しくは、バックアップ部80aは、カバーシェル30aの上部30uと面一な板状の部位であり、+Y方向に突出している。具体的には、バックアップ部80aは、+Y方向に突出するに連れて先細っており、前縁は、X方向及びY方向の双方と斜交している。バックアップ部80aの位置及び形状は、受部72をバックアップ可能となるようにして定められている。具体的には、図12に示されるように、バックアップ部80aは、排出部材50aが排出位置にあるとき(回動ストッパ56とシェルストッパ32とが当接しているとき)に−X方向に向かう過度な力が受部72に加わったとしても受部72の背面72bに当接してバックアップできるように設けられている。
【0041】
図9乃至図12にて例示したようにバックアップ部80aは排出部材50aとは別の部材に設けられていてもよい。但し、図1乃至図8に示される前述の実施の形態のようにバックアップ部80を排出部材50の一部として形成すると、受部72とバックアップ部80との位置合わせを容易にすることができることから、前述の実施の形態のようにバックアップ部80と排出部材50とを一体に形成することが好ましい。
【符号の説明】
【0042】
10,10a コネクタ
12 収容部
20 コンタクト
22 保持部材
30,30a カバーシェル
30u 上部
30f 前端
30b 後壁
32 シェルストッパ
34 軸片
36 第1保持部
37 第2保持部
38 第3保持部
50,50a 排出部材
52 主部
54 軸部
56 回動ストッパ
60 排出部
70 受容部
72 受部
72f 正面
72b 背面
72u 上端
72l 下端
74 側壁部
76 第1被保持部
77 第2被保持部
78 第3被保持部
80,80a バックアップ部
100 トレイ(対象物)
110 前壁部
120 力受部
130 棒状部
140 挿入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を少なくとも部分的に収容可能なコネクタであって、
排出位置と収容位置の間で回動可能な排出部材であって、正面及び背面を有する受部と排出部とを含み、且つ、前記コネクタとは別体の操作部材を用いて前記受部の前記正面を押圧方向に沿って押圧して前記排出部材を前記収容位置から前記排出位置まで回動させた際に前記押圧方向の逆方向である排出方向に沿って前記排出部が前記対象物を排出させるように設けられた排出部材と、
前記排出方向と直交する垂直方向において、前記受部の上端及び下端により上限及び下限を夫々規定される所定範囲内に位置しており、前記排出位置を超えて前記排出部材を回動させようとするような過度な力が前記受部の前記正面に加えられた際に前記受部の前記背面に当接して前記受部をバックアップするバックアップ部と
を備えるコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記バックアップ部は、前記排出部材に一体形成されている
コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のコネクタであって、
コンタクトと、前記コンタクトを保持する保持部材と、前記対象物を収容する収容部を前記保持部材と共に形成するカバーシェルとを備えており、
前記排出部材は、前記カバーシェルに回動支持されている
コネクタ。
【請求項4】
請求項3記載のコネクタであって、
前記排出部材には、回動ストッパが設けられており、
前記カバーシェルには、前記排出部材が前記排出位置にあるとき前記回動ストッパと当接するシェルストッパが設けられており、
前記回動ストッパは、前記所定範囲内に位置している
コネクタ。
【請求項5】
請求項4記載のコネクタであって、
前記バックアップ部及び前記回動ストッパは、前記所定範囲を前記垂直方向において三等分した場合の中間範囲内に位置している
コネクタ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のコネクタであって、
前記排出部材は、一枚の金属板を折り曲げ加工して形成されたものである
コネクタ。
【請求項7】
請求項6記載のコネクタであって、
前記受部に対して力が加えられていない状態において、前記受部と前記バックアップ部との間の距離は前記金属板の板厚以下である
コネクタ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のコネクタであって、
前記排出部は、前記所定範囲を前記垂直方向において三等分した場合の中間範囲内に位置している
コネクタ。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のコネクタであって、
前記バックアップ部は、前記垂直方向と直交する面内に延びる板状形状を有している
コネクタ。
【請求項10】
請求項9記載のコネクタであって、
前記バックアップ部は、前記排出部材の回動中心から離れるに連れて先細っている
コネクタ。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のコネクタであって、
前記排出部材は、前記操作部材の先端を受容する受容部を有しており、
前記受部は、前記押圧方向において前記受容部の最奥の壁である
コネクタ。
【請求項12】
請求項11記載のコネクタであって、
前記受容部は、箱型形状を有している
コネクタ。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載のコネクタであって、
前記排出部と前記受部とは前記排出部材の回動中心を挟んで反対側に設けられている
コネクタ。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれかに記載のコネクタであって、
前記対象物は、前記コネクタと接続されるカードを搭載するためのトレイであり、
前記トレイには、前記操作部材で前記受部を押圧する際に前記操作部材を挿入される挿入孔が設けられている
コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−77510(P2013−77510A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217858(P2011−217858)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【出願人】(508104961)台湾航空電子股▲ふん▼有限公司 (3)
【Fターム(参考)】