説明

コマセ籠

【課題】下降速度を上げ必要なときにだけ餌12を出す。
【解決手段】餌12を収容する円筒状部14と、この円筒状部14を道糸16で吊り下げたとき、下端に位置する部分に設けた第1餌撒き用孔を設ける。上端には網状の窓を有する蓋20を設ける。円筒状部14の下端全体を覆い下方に尖端を向け、側壁に第2餌撒き用孔を有する円錐状のシャッター24を設ける。シャッター24を円筒状部14の下端にバネ26の弾力で押しつける。シャッター24の壁が第1餌撒き用孔を塞ぐ。道糸16をしゃくると、円筒状部14が上昇してシャッター24が開く。水がシャッター24の内部に侵入して、円筒状部14の第1餌撒き用孔から出た餌12が水とともにシャッター24の第2餌撒き用孔から放出される。しゃくりの程度で円筒状部14の餌撒き用孔から放出される餌12の量を調節できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りの際に餌を撒くために使用するコマセ籠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコマセ籠は、本体が網籠状のものであった。コマセ籠には、例えば、アミエビを収容する。このコマセ籠を道糸に吊り下げて、海に沈めて適当な場所にアミエビを撒く。例えば、アジの釣れ始めには、アジは海底にいるので、エサを海底近くに撒くのが釣果のポイントになる。こうした目的のために、各種のコマセ籠が開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−89146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
図1(a)と(b)は従来のコマセ籠32を示す側面図である。道糸16に吊り下げられて海底に沈められる。いずれも底の部分に錘が取り付けられている。このようなコマセ籠32の中に収容されたアミエビは、周囲の網目から一部はみ出ていることが多い。従って、本体を海底に沈める途中で、目的外の魚がアミエビをつつく。
【0005】
このために、本体の下降速度が落ち、本体が揺らされてアミエビがこぼれ落ちてしまう。その結果、本体が海底に到着した頃には、収容されていたアミエビが減少してしまう。また、蓋34の付いたコマセ籠は水の抵抗が大きくて下降速度が遅い。(b)に示した蓋無しコマセ籠36は、エサのアミエビを撒きながら下降するので、エサの海底への到達率が悪い。
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は 下降速度を上げ、下降時に餌を出なくして、必要なときにだけ餌が出るコマセ籠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
餌を収容する円筒状部と、この円筒状部を道糸で吊り下げた状態のとき下端に位置する部分に設けた第1餌撒き用孔と、上端に位置する部分に設けた網状の窓を有する蓋と、前記円筒状部の下端全体を覆い下方に尖端を向け、側壁に第2餌撒き用孔を有する円錐状のシャッターと、このシャッターを前記円筒状部の下端にバネの弾力で押しつけて、前記シャッターの壁で前記円筒状部の第1餌撒き用孔を塞ぐ状態に支持し、前記道糸が引き上げられて前記円筒状部が上昇するときに水圧で前記シャッターが前記円筒状部の下端から離れて、水が前記シャッターの内部に侵入して、前記円筒状部の第1餌撒き用孔から出た餌が水とともに前記シャッターの第2餌撒き用孔から放出されるように前記シャッターとバネとを支持する支持部材とを備えたことを特徴とするコマセ籠。
【0008】
〈構成2〉
構成1に記載のコマセ籠において、円筒状部の側面に、前記円筒状部が上昇するときに水が流入する方向に開口した水インテークを設けたことを特徴とするコマセ籠。
【発明の効果】
【0009】
〈構成1の効果〉
下端に円錐形のシャッターを設けたので下降速度が速い。コマセ籠の下降時に、シャッターにより円筒状部の餌撒き用孔を閉じるので、餌が無駄に放出されない。しゃくりにより道糸が引き上げられたとき、シャッターが開いて餌を撒くので、最適な場所で適量の餌を撒くことができる。蓋に網状の窓が設けられているので、しゃくりの程度で円筒状部の餌撒き用孔から放出される餌の量を調節できる。
〈構成2の効果〉
大型のコマセ籠の場合に、しゃくりにより円筒状部に水がより多く流入して、餌撒き量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】 (a)と(b)は従来のコマセ籠32を示す側面図である。
【図2】 実施例1のコマセ籠10を示し、(a)はシャッター部分を切断した側面図、(b)は同図でしゃくりをした状態の側面図、(c)は蓋の上面図、(d)はシャッターの側面図である。
【図3】 コマセ籠10の外観を示す側面図で、(a)は実施例1のもの、(b)は実施例2のものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図2は実施例1のコマセ籠10を示し、(a)はシャッター部分を切断した側面図、(b)は同図でしゃくりをした状態の側面図、(c)は蓋の上面図、(d)はシャッターの側面図である。
図2(a)に示すように、実施例1のコマセ籠10は、円筒状部14を道糸16で吊り下げて使用する。コマセ籠10の各部は金属やプラスチックで構成することができる。その底に近い下端に位置する部分には、餌撒き用孔18が設けられている。その下側を覆うシャッター24にも、餌撒き用孔22が設けられている。両者を区別するために、円筒状部14の餌撒き用孔を第1餌撒き用孔18と呼び、シャッター24の餌撒き用孔を第2餌撒き用孔22と呼ぶことにする。
【0013】
円筒状部14には餌12を収容する。円筒状部14の上端に位置する部分には、図2(c)に示すように、網状の窓21を有する蓋20を取り付ける。図2(c)に示すように、シャッター24は円錐状をしており、円筒状部14の下端全体を覆って、下方に尖端を向けて配置されている。円筒状部14の底の中央部には、ボルト状の支持部材28が固定されている。この支持部材28には、コイル状のバネ26が嵌め込まれており、その弾力で、シャッター24を円筒状部14の下端に押しつけている。
【0014】
この状態で、シャッター24の壁が、円筒状部14の第1餌撒き用孔18を塞ぐので、円筒状部14に収容された餌は外部に出ない。また、円筒状部14の底やシャッター24が錘になって、コマセ籠10は速い速度で下降する。錘の重さを調整することで、下降速度も選択できる。
【0015】
目的の場所まで、コマセ籠10が下降した後に、釣り竿をしゃくる(釣り竿を上方向にあおる事)と、図2(b)に示すように、円筒状部14が上昇してシャッター24が開く。円筒状部14の蓋20から水が入り、第1餌撒き用孔18から餌とともに水が吹き出す。この圧力で、シャッター24が開く。餌は、円筒状部14の第1餌撒き用孔から出て餌12が水とともにシャッター24の第2餌撒き用孔22から放出される。
【0016】
しゃくりの程度で放出される餌12の量を調節できる。また、ばねの強さを調節する機構(カム式等のプリテンション調整機構)を設ける事により、シャッター24の開代や開く強さを調節できる。
【実施例2】
【0017】
図3はコマセ籠10の外観を示す側面図で、(a)は実施例1のもの、(b)は実施例2のものである。
図の(a)に示すように、コマセ籠10に餌を収容するときには、蓋20を開く。図2の(c)に示すように窓21の網の目は、水を通すが餌を通さない十分に細かい網目が好ましい。この窓21は、コマセ籠10を引き上げたときに、円筒状部14に水が一気に流れ込むようにするためのものである。
【0018】
図の(b)に示すように、コマセ籠10を大型にすると、数回分の餌を収容することができる。必要なときだけ餌を放出できるので、船釣りでも大きな効果が期待できる。円筒状部14に流れ込む水量が、蓋20の窓から流入するだけでは不足するときには、円筒状部14が上昇するときに水が流入する方向に開口した水インテーク30を設けるとよい。これで、一回のしゃくりによる餌の撒き量を増やすことができる。
【0019】
実際には、次のように本発明のコマセ籠10を使用する。まず、円筒状部14に餌を入れる。次に、道糸に吊したコマセ籠10の仕掛けを海の底まで落とす。アジは海底付近にいるが中層にいる事もある。イワシは上層にいる。リールを2〜3回まわして海底から1〜2mの所で仕掛けを固定する。吊り竿を1度大きく上下させてしゃくり、アミカゴの中に入った餌を撒く。プルプルと吊り竿にアタリがでたら、2〜3秒待ってアジに追い食いをさせてから巻き上げる。こうして、一度で沢山釣ることができる。20秒程アタリがなければ、仕掛けを巻き上げて、同じことを繰り返すとよい。
【0020】
以上のように、本発明のコマセ籠10、水の抵抗を減らして下降速度を上げることができた。また、蓋20を取り付け、本体を筒状にし、網目や格子をやめたので、下降時に網カゴ内のエサを出なくなった。さらに、可働式のシャッター24を取り付けたので、下降時には閉じていて、シャクッタ時だけ水の抵抗で開き餌を撒くことができる。ばねの力を調整しておけば、魚の取り込み等の通常の巻き上げ時には開かないようにすることもできる。従って、エサを節約し、エサ取りを集めない効果がある。
【符号の説明】
【0021】
10 コマセ籠
12 餌
14 円筒状部
16 道糸
18 第1餌撒き用孔
20 蓋
21 窓
22 第2餌撒き用孔
24 シャッター
26 バネ
28 支持部材
30 水インテーク
32 コマセ籠
34 蓋
36 コマセ籠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
餌を収容する円筒状部と、この円筒状部を道糸で吊り下げた状態のとき下端に位置する部分に設けた第1餌撒き用孔と、上端に位置する部分に設けた網状の窓を有する蓋と、前記円筒状部の下端全体を覆い下方に尖端を向け、側壁に第2餌撒き用孔を有する円錐状のシャッターと、このシャッターを前記円筒状部の下端にバネの弾力で押しつけて、前記シャッターの壁で前記円筒状部の第1餌撒き用孔を塞ぐ状態に支持し、前記道糸が引き上げられて前記円筒状部が上昇するときに水圧で前記シャッターが前記円筒状部の下端から離れて、水が前記シャッターの内部に侵入して、前記円筒状部の第1餌撒き用孔から出た餌が水とともに前記シャッターの第2餌撒き用孔から放出されるように前記シャッターとバネとを支持する支持部材とを備えたことを特徴とするコマセ籠。
【請求項2】
請求項1に記載のコマセ籠において、
円筒状部の側面に、前記円筒状部が上昇するときに水が流入する方向に開口した水インテークを設けたことを特徴とするコマセ籠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−9659(P2013−9659A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155232(P2011−155232)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(511171338)
【Fターム(参考)】